魔法の杖ってドロップアイテムだけじゃないの? 作:星火 悠瑠璃
今回はあの女性目線なので、表題も#ではなく♯と少し字体が違いますが、別にこの方音楽関連の方ではありませんので、悪しからず。
説明する量が増えてしまったので、分割しました。ということで、次回、というか続きます。ナンバリングは決めていませんが、できれば年内に出会っていただきたいので、あと6時間ほどの執筆に力を注ぐ所存です。
小難しくなってしまったので、軽く後書きで補正します。
では、ごゆるりと。
P.S. あきほ様 高評価ありがとうございます。
路徳様 評価ありがとうございます。
ところで、高評価ってどこまでが高評価なのでしょう? 半分以上なのか、正直1以外そう言ってもいいような気もしますし、10と9のみという意見があっても不思議ではない気もします。皆さんはどう思いますか?
一応、6・7を中の上と定義して、8より上を高いと表記しておりますが、特に気にかける必要はございません。便宜上区別させていただいておりますが、無論強制するものではありません。
辞令。
それは魔導師にとっては時として死の宣告ともなる。
魔法士である私にとっては何ら関係のない話ではあるのだが、それは“本来“のことだ。
それについてはまず魔導師と魔法士の違いから説明しなければならない。要点だけ述べれば「教師」と「研究者」の違いだ。
前者は「“導“く」「“師“匠」の字の通り、普段は各地からの留学生に対して教鞭を振るっている。だが、新たな拠点となる街が設立されれば、魔導師の階位の高い人物から派遣される。その時の階位が高いほど拠点となる街での給料が高くなる仕組みだ。なのだが、尚且つ採点官の居ない街では階位の上昇つまり昇級のチャンスは激減すると言ってもいい。そのため、早くに魔導師になり、良い成績を出せそうな生徒の教育実績を出したり、討伐任務を一定以上行うことが、魔法を志す者にとっては常識だ。
街の設立やら強大な魔物の討伐やらが多い年は上の階位が出払っている。そんな理由で階位が低いまま、生活水準の悪い街に飛ばされようものなら、メンタル次第では自殺者だって出るし、大概惨めな余生となる。これが死刑宣告呼ばわりされる辞令の、極端な方。
私は一生を見知らぬ街に縛り付けられるのが嫌で、魔法士3等位のうち最上位の位を手に入れた時点で試験をばっくれた。これの1等位は自動的に魔導師(及び昇階)試験の目標得点が一回り下がる。だが、魔導師になるつもりのない私にとっては益にもなりはしない。研究費の助成が降りやすくなるために手に入れただけの資格。とっとと後進の育成に励めとせっつく事務の嫌がらせか、定期的に研究費を削減される以外、何不自由することなく研究生活に浸ることができた。できたのだが。
「貴君を特任魔導師に任ずる。」
は?
「従って貴君は…」
私のような不良魔法士を僻地に送り出すために、まさか、新たな仕組みまで作るとは誰が思うだろうか。しかも、よりにもよって私がその第一号だなどと。
そして狙いすましたかのようにやってきた師匠からの手紙。絶対に確信犯だろう。なにせ、ついさっき叙任され、一般の魔導師と比べればろくな給料も無い(そも階位自体がないのだから固定給になり得ない)ままに地方に飛ばされることが言い渡された私に、どうして赴任することを前提とした手紙が届くと言うのか。
「『リュシーという少女を助手に出来ないか見極めて欲しい』…だぁ? 」
あのジジイ、それだけのために私の研究ライフをぶち壊したのか?
私が行くことになったのは、砂糖の大量生産地という点が地理の試験で出るため、魔法士見習い、及びその下の魔法使いの誰もが知っている街。
歴史は深くはない。深くはないのだが、わざわざ魔導師を派遣するほど新興の街ではない。だが、さらにその遠方に新たに街を拓くための下準備という名目はまぁ、全くあり得ないわけではない。文面上は、な。
だが、現在進行形で発展する街の先に造るものといえば、だ。あれは一部の大魔術師の御業のやるべきことであって、断じて魔法に携わる者のできる事ではない。
魔術士、体系化された魔法を体得する魔法士の中で、どう抗っても「教科書に著すことの出来ない技術の使い手」達。その中でもとびっきりの腕の持ち主は、当代に両の手で数えられる程度にしかいない。
そんな大仕事の隠れ蓑として設立する「魔法使い養成学校」。そこでの助手の推薦? しかも、その娘はただの村娘ときた。これはその娘の能力次第では使い道のないジジイの肉を踏み潰し続けないと気が済まない。
というか、私の研究は大体のリタイアジジイ共の金にもなるんだからな、あのジジイ絶対自分の金にする気、いやあの師匠のせいで私もこれ(研究漬け)だからな。まぁ、研究材料はポケットに詰めるだけ詰めてるし、希少材料はともかくとして、メインとなる材料は輸入物だから着いたら、都から街に輸送先を書き換えて郵送しておけばいいか。他の材料も魔法士階位の権限が引き継がれるのなら、討伐任務のオーダーを出せばいい。
私物なんて研究室に持ち込んだ物は数えるほどしかない。それに自室に貴重品なんて置くたちではないのだから、調度品なんてものは後から来る奴にくれてやっても惜しくはない。幸にしてあのジジ…師匠の言う店で毎日一食程度なら食事しても問題ない程度には特任だかでも金が出る。
久しぶりに使うから腕が鈍っていなければいいが、鈍っているならいるでそこらの街で何泊かしても問題はあるまい。
「来いっ!」
もう戻って来れるか分からない研究室の窓から、膝まである外套を放り投げ、杖先を向ける。
「まっ、この程度すら鈍っているとしたら等位剥奪ものだけどな。」
外套が安楽椅子のような形に変化し、袖がだらりと足の椅子のように垂れ下がった。シートベルトのように体につける奴もいるが、万が一下から攻撃された時の対迎撃用砲身にもなってくれるのだから、そのままにしておいた方がいいと思うのだがな。
都周りでは手に入りにくいマンメイドの杖、師匠が隠居する時に餞別としてもらった師匠のお手製だ。だが、単純な出力ではやはり魔物の骨や鱗を削ったものや、ごく稀に出る希少な討伐によるドロップ品に遥かに劣る。その反面繊細さや制御のし易さに関してはこちらの方が上で、引退した魔法従事者が隠居するような土地だと、そこからの留学生が隠居ジジィどもの小遣い稼ぎとして作られた杖を後生大事に持っていることがある。多くが詐欺レベルの出来だがな。
あくまで初心者用のご当地品扱いに甘んじてはいる。だが
「別に作り手の腕次第で出力なんて如何様にでもなる。」
それを覆すのが私の研究だ。
風を推進力として移動するだけで、地上には大風を吹かせるような大馬鹿者もいるが、ハンドメイドならばそこまでの過剰な出力は出ない。そして、師匠ほどの腕前があれば最大出力も、そんじょそこらの魔物の死骸を握れる形にした程度の品には負けない。
早駆けの馬の数倍は早く、されども後に残る風は外開きの窓を優しく揺らす程度。眼下の景色は目まぐるしく変わるが、一度上昇するか都を抜けてしまえば、しばらくは同じ景色が続く。広い平原に森が点在する大地がこの国の領土。
試しに師匠と二人で倒した竜のドロップ品の杖で風を放ってみれば、同じくらいの力の入れ方だというのに、風で目を開け難くなるほどの速度になった。ただし、後ろを振り向いてみれば、平原に湖ほどの陥没跡が見えた。平時でこんなものを人気のあるところでやろうものなら、開戦ものだ。物理的にクビが飛ぶ。
まぁ、竜なんてそう滅多にいるわけでもなく、途轍もない一撃でトドメを刺さないとドロップ品は出現しない。具体的には心臓を消しとばして、竜の再生しようとするエネルギーが一点に集中しながら消滅することで、結晶系のドロップ品が生成される。無論頑丈な骨や鱗が欲しいならそんなことはしてはいけない。普通に倒すだけでも結構固いし、触媒には十分だ。ただ残った量が少なければ少ない程、再生の起点としてエネルギーが集中し、それが全身を再構築できないギリギリの量ともなれば、それはもう伝説級(と私は考えている)素材ができる。
一般の魔物ならばもう少し違うのかも知れないが、師匠の研究はレアドロ(由緒正しい略し方、らしい)の研究だったし、そのために制御不可能な竜の出現スパン増やしてた(大魔術師に名を連ねる栄誉(笑)を受けられる禁術)のがバレて、研究禁止命令が下されてしまったため、追加の研究は不可能だった。
多くが成体ではなかったとはいえ数千と竜を消し炭にしてきた師匠の戦闘力の高さが理由として、討伐部隊に組み込まれて各地を行脚するか、引退かを迫られた。結果として引退を選び片田舎でスローライフを満喫している。だが、研究過程でレアドロ武器を溜め込んでるかも知れないから、出来れば、国への悪感情の無いままにくたばって貰って、家探ししたいというのが国の立場なのだろう。
せっかくのレアドロ武器を失いたくない腹づもりなんだろうが…無いんだよな、これが。
ぜんっぜん研究進まなかったし。むしろ、付き合わされた私以外の弟子は皆逃げ出してたから、言ってしまえば、私の戦闘力と忍耐力の育成にしかならなかった。
「遠方の魔法の授業なんて、適当に小難しそうなこと並べてれば良いし、それさえやれば研究もしてていいらしいし、飯も美味い時期が長いらしいし。」
街への方向を確認し、私の魔力が一定以下になるまで自動で魔法が使われるよう、即興で術式を組み、魔法が終わるまで眠ることにした。
基本的には「魔法学」
都に留学後は
「魔法使い」(一般留学生、)
↓(魔法以外が目当てならこの称号と共に帰郷してリタイア)
「魔法士見習い」(トップクラス魔法士が持つ研究室に出入りできる)
↓(特定の依頼を受けたり、研究室を持てるようになる。)
「魔法士」(3段階あるが1番上の人材は魔導師志望が多く、人手不足)
として実績をあげていくと生活は保証されます。ですが、副業をしない限りは一般的な衣食住程度しか保証されません。
魔法使い資格の時点で軍の魔法部門に志願することが可能になり、軍属のままに簡易試験を受けて位を上げつつ給料も得るというのが地方出身の出稼ぎにありがち。ただその場合は位の頭に「軍事」と付き、除隊後に教職としてついても本来の試験をパスするまではあまりいい給料ではない。
「魔法士」⇆「魔術士」
魔法士は教科書的な能力が高いが、その中でも魔術師は個人の素質による能力が高い。そのため某監督のような擬音でしか説明できない感覚派、クレイジー()な魔法、あとは禁術指定の危険な(女性の師匠がこれに該当)ものを会得している場合はこの称号が得られる。
凄いけど、教科書に載せられんわっ! ってなった都のお偉いさんが任命するって感覚でいいです。
「魔導師」
教師(軍からスカウトされることも)。昇給試験(生徒の出来、オーダーの達成内容)があり、魔法に関わって食べていく職業とも言える。遊んで暮らす金が入ってくるだけの稼ぎが期待できる一方で、「もう十分いい夢を見ただろ?」と言わんばかりに新たに開拓された街(僻地)に飛ばされる。
リュシーの街の教師、の教師がこれにあたる。今の教師たちは魔法については概要を知ってるだけで、使えもしない現地要員。過去の教員たちが都に戻れたのか、それとも近隣で散ったのかは定かではない()。が、一生都に帰れない訳ではない。帰れないわけではない(震え声)
現代ならこうです。
「魔法使い」高校生・高卒認定(都以外)
「魔法士見習い」大学生
「魔法士」研究費は違うが博士課程や助教
「魔導師」魔法についてしゃべるだけで飯が食える・主に教師
魔法の詳しい設定とチラッと触れたオーダー(よくあるクエストのようなもの)については近々劇中で。杖はタイトルから察して頂ける通り、主人公が関わるところとなった段階で、このような形で説明させていただきます。
私も語感から役割を当てはめただけですので、違和感を感じたら遠慮せずお申し付けください。
あと6時間以内にもう1話投稿できればと思います。では、また。