魔法の杖ってドロップアイテムだけじゃないの?   作:星火 悠瑠璃

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 良いお年を!(ヤケクソ)

 はい、20年中に投稿すると言って、間に合わなかったのは誰でしょう。そう、私でございます。申し訳ありませんでした。

 ということで、お察しです。


 ごゆるりと。


♯5 都より来たる<後編>

「腹、減ったな。」

 

 出る前に食べればよかったとはいえ、まさか一昼夜かかる程に私の腕が衰えているとは思わなかったんだ。研究室に篭り切りになる前なら夜までには着けているつもりだったのだが。くそ、こんなことなら自動制御に頼らないで自分で速度調整をすれば良かった。

 

 並列思考やら、寝ながらでも魔法が操作できるだなんて特殊技能なんて要らない。そういった術式が必要になったのは師匠にドラゴン狩りマラソンだなんて阿呆の所業に付き合わされた時のことだ。戦闘と同時並行で別の魔法を常にかけ続けなければならなかったため、私が開発することとなった。

 獲物のうちの1体が分泌した毒の液を蒸散させ、自らの体温を下げながら周囲の同格以上の存在を屠るほどの毒の霧を纏っていた。この毒の不思議な傾向として、大型生物ほど死に至りやすいという点が(ドラゴンに挑む戦闘職の人間ならば)割と知られている。

 さて、言うまでもないだろうが、これの解毒をしながらの戦闘が、私が若くして魔法自動制御術式だなんてものを作(らされ)る理由となったのである。

 

 話を毒に戻そう。蛇足だとしても、話を中途半端に切り上げられては気になって夜も眠れないことだろう。

 なんてことはない、これは致死量の計算法が違ったのだ。一定以上が体内に取り込まれると体内で毒同士が結合し、致命傷を生じる。他の毒が体重などに比例する中、これは毒の量のみで致死量が決定されるのである。因みに死に方を具体的に言えば…爆発する。太古の賢者が死因を調べようとした結果、刃物で遺体の腹を裂いた途端に液体のようになっていた中身が弾けたと古文書に記されていたのを師匠が見つけた。これのおかげで師匠も私も生きながらえていると言っても過言ではないはずだ。

 最近ようやく死因究明のための解剖という学問が似非黒魔術から切り離されてきたとはいえ、それでも異端子扱いにウジ呼ばわりと変わり者しか知ろうとしない内容に手を出した太古の賢者は賞賛に値するだろう。まぁ、当時の衛生学の認識不足から、最後は流行病の遺体を解剖して自身もその遺体から感染した流行病で亡くなるという、少々、いやかなり残念な死を遂げている。やりたがる人間が少ないのも納得ではある。

 

 師匠はそういった古文書や、実地調査で死骸の傾向を調べていくことで、その毒について解明した(なおその過程で生きたままふん縛られて、悲鳴を上げ続け毒の餌食となった実験動物は数知れない)。

 今では恐らく肉体を構成する最小単位を一定時間壊し続けると推測されているし、師匠の馬鹿騒ぎのせいでほぼ証明されている。

 まぁ、それについて詳しくは、また討伐するような事態になった時に考えるとしよう。

 

 そろそろ空腹で頭が回らなくなってきた。

 

 確か、師匠からの手紙に静かに食べれる店が書いてあった、気がする。

 

 門兵に辞令書を見せるのと一緒に件の店の場所を尋ねると、場所の情報に加えて、丁度ついさっき店の馴染みの生産者が野菜を運んできていたから、数日は美味い料理が出るだろうという話を聞かされた。

 

 街の上から見た時の印象としては、それなり、だ。

 

 ここ数年の発展が特に著しい様子で、中央の鐘塔が真新しい輝きを残したままだった。大体の街は教会や農業用倉庫が街の中心となっていて、1番見窄らしい建物となっていることも珍しく無い。街の形状も中心から円を外側へと広げていくこと自体は珍しくはないが、完全な円を描いたり、袋小路が見当たらなかった点は極めて優秀な設計者の影を感じさせる。

 

 街の中を飛ぶのも悪目立ちする。それに、あまり出歩く予定はないとはいえども、これから住む街だ。見て回っておくべきだろう。

 

 外周の名残りでもある円形の大通りではなく、鐘塔を中心とした広場から十字に伸びる道路を通ることにした。そちらの方が私が入った門からは近いし、街の大体の特徴がわかる。

 

 昔、師匠に付き合わされたレアドロマラソン(文献に載っていた由緒正しい言葉らしい)で色んなところに出向いた。街村と呼ばれる、路村より建物の密度や商家の割合が大きいところでは、旅人向けの宿や酒場が多かった。そこに比べれば、こちらは近くの農産品を売っている店が目立ち、同じ「商人の街」でも、商人同士の売買が目立つ。

 

 無論、冬を乗り越え脂が減った赤身肉の焼けた匂い、薫風を思わせる蒸した芽物の爽やかな香りが漂うように、決して屋台の数が少ないわけではない。だが、矢張りこの街はここで生活する人たちの環境音ではなく、遠いどこかへ向けた声に満ちているように思えた。

 

「いらっしゃい。」

 

 此処だろうという店はそこらの建物と何ら変わらない規格だったが、中身は小洒落ていて派手な塗料などとは無縁な木目模様が目立つ。客は早い時間だからだろう、まばらで3人程しかいなかった。

 

 カウンターに座り、店主に何かオススメのものはあるかと尋ねると、スパゲッティがオススメだと言った。確か、都の南東の方の料理だったか。都には専門店がなかったから食べたことがなかった。

 

 此処で漸く、これから宿舎暮らし故に、同僚などに挨拶しなければならないことに思い至った。そも宿代に足るものなど持っているか定かでない。

 

「そういえば、これから人と会う予定があるのだが、それは、口臭などを気にしなくても大丈夫だろうか?」

 

「それならば、ニンニクを減らしましょう。」

 

「では、それで頼む。」

 

 目の前で行われる手際の良い調理や作り置きの麵の色味に目が行くが、同時に周囲の客がどうやって口に運んでいるかも気になった。何やら平めな棒の先が数本に別れた物に巻きつけて口に運んでいるようだ。

 

 店主は瞬く間に火の上の鉄器の上で麺と素材を混ぜ合わせると店に香ばしい香りが広がった。

 

「金額次第ですが、香辛料はどれくらいかけましょうか。」

 

 珍しい香辛料を使った料理ということにも驚きだが、客が積んだチップの量で使用量が変わるというのは、あからさまではあるが、なかなかに面白いシステムだと思った。

 

 懐の中にある硬貨を弄理ながら、取り敢えず下から二番目程度の量だとどれくらいか尋ねると、一般的な魔導師ならばそれほど高くない値段が提示された。まぁ、こちらに赴任してきたばかりだし、少し豪華なくらいでも良いだろう。その額分テーブルの上にコインを重ねた。なお、この時先ほど頭をよぎった宿代のことなど頭から吹き飛んでいた。

 

「承知しました。」

 

 店主が静かに頷くと豪快に皿の上に鉄器の中身を移し、その上で香辛料のボトル? の先を回した。すると香辛料の粉末だろうものが降り掛かった。成る程、あちらでは都とも違う文化がとても発展しているらしい。

 

 周囲の食べ方を今一度確認しながら口に運ぶうちに二人の少女が入ってきた。二人はそのまま店の1番奥に座って、話し始めた。店の関係者だろうか?

 

 噂に聞いていた香辛料の辛味のある刺激的な味と、干し野菜などの甘味や酸味が食べ慣れない味の筈なのに体に染み入るようだった。

 

 響く声で話す二人だったが、私は黒髪の少女から感じること、いや、“魔法の気配を全く感じない”ことに驚き、会話が頭の中を通り抜けていった。

 

 そして、その少女が「リュシー」。そう呼ばれたことで現実に引き戻された。

 

 そうか、彼女が…

 

 確かに、面白い人材ではある。

 

「少し話さないか?」

 

 その短い会話の末に彼女が中々に面白い思考をしている事が分かった私は、最後にもう一声かけて店を出た。

 

「この後、街の学校の方に来てくれないか?」

 

 

 なお、後々分かったのだが、こちらのことに思考が気を取られて、まるで生娘のように恥じらう感情を微塵も隠せなくなっていたという。確かに肉欲的な話題自体を避けていたので、そういったことに免疫が無かったかも知れない。




 ほとんど中身がない。何だこれ。

 やはり、のんびり時間をかけて短い物を書くのが今の私の能力なのですね。中学生の頃より衰えてるなぁ。ファンタジーを作りたくなるのは中二病が由来だからかな?

 ということで、次回はこの「先生」による魔法助手勧誘回です。そろそろ魔法の杖案件を回収しないとタイトル詐欺ですもの。ちょっと強引ですけど、彼女がなぜリュシー嬢に目が行ったのか、本人の口から説明していただきましょう。

 では、2週間以内にまた。(冬休み明けはレポートとテストが折り重なっているため、これを逃すと完全に1月以上先です。)→後者の1ヶ月先になりましたby2月現在の私


 明けましておめでとうございます。本年もごゆるりと、のんびりしたひと時をお過ごしいただけますように。
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