魔法の杖ってドロップアイテムだけじゃないの? 作:星火 悠瑠璃
ようやくタイトル回収…したのかなぁ。
と、言いつつもあと少しで物語がきちんと加速してくれる筈、という長らくプロットというか、断片として頭の中で暴れるストーリーの山場と、その山場まで辿り着けずにエタッてしまった作品の悪夢が、過りますね。
そのうち一度設定入れないといけないですね。具体的には私の頭の中のクリス先生の服装が白じゃなくなったらですが()
では、ごゆるりと。
君は10、いや、100年に一人と言っても良い『微塵も魔力を持ちえない』人間だからな。
魔力。多分、魔法を使うための力のことでしょう。
一応都からいらっしゃる方は、行商人以外の方はなんだかんだと魔法について学んだ方だったりはしますが、その実、魔法を見せビラかして下さった方のものは、どうしても「しょぼい手品」の域を出ませんでした。
自己顕示欲に伴わない能力だったといいますか、ちょっと鳩を出しますね、のノリで自分の帽子が跳ねて落ちていくだけのものを見せられても、困るのです。あの微妙な空気は笑えば良いのか、喜べば良いのか、ホステスの如くおだてれば良いのか、とても悩ましいものでした。
聞いていますか? 飲み会でウェイウェイ言って学んでいることを誇りながらも、その実、出来ることに中身のないMr.陽キャ。中身を伴うために勉学に励んできては? 中身の伴った陽キャなんて実力者は私とは縁がないので、耳も痛くない方はお気になさらないで。
そういえば、先の魔力の言い方について、少し気になったことがありました。
「“持ち得ない“、ですか?」
持たないというのは分かります。
現に私自身に不思議パワーがあるとは長年知りませんでした。それに、何より学校の授業で軽くかじった瞬間に、自分の机を浮かせてしまったり、濡らしてしまう子はいました。が、私にはそういう兆候はありませんでした。因みにどちらも暴風とか川とか大規模なイメージしたところでそれだったそうですが、たかだか数ミリ未満の浮遊に、涙程度の水でした。魔法ってショボいなぁ、とかいう感傷はありましたね。
話を戻しますが、そういった身体機能にも満たない魔法を使うことができないというのは、まぁ、頷けます。ただ、なんで、それが「魔力を持つことができない」という点まで分かるのでしょうか?
「冷静なんだな。」
果たして私は冷静、なのでしょうか? 私はただ実感が、ないだけのような気がします。
実際問題、都へと魔法を学びにいくような話ならば兎も角として、農家の娘をやる分には魔法なんて微塵も縁がないものです。それの適性がどうのこうの、どいう話をされても、なんとも言えません。
クリスさんはまぁ良い、と一言呟いて、お茶を含んでから続けました。
「魔力を生み出す能力というのは強くすることができる。筋肉と同じで付きやすい、付き難いという差異はあるがな。だが、それは言った通り、筋肉なんだ。生まれながらに誰もが大なり小なり、どんなに微弱でもそういう『器官』がある。だが、君にはそれの探知に長けた私でさえそれを感じることができない。」
「つまり、私は何らかの臓器が欠けてるようなもの、と?」
とはいえ、生きてるので腎臓の片方、みたいなものでしょうか。
「まぁ、そうなるな。私も文献でしか見た事はないが、ごく稀に現れる、という。まぁ、日常生活を送る分には不自由することはないだろうけどな。
ただ、都での生活はかなり難しいだろう。」
あの、金銭に続いてのパワーワードですね。何でしょう、地方と都ではカルチャーギャップというべきものが存在しているように思えるのですが。
今私が暮らしている国って、魔法国家とかいうようなファンタジー主人公が訪れたり、仲間の魔法使いキャラの出身国みたいな国ではなかったと記憶しているのですが、それでも魔力って大事なんでしょうか?
目が点になっている自信はありますが、澄まし顔でお茶を飲んで間を広げないで下さい。思考が停止、なのではなくて、情報が不足していて理解ができないだけですから、むしろ、説明を、早く、して、下さい!
「先ほども言った通り、あちらは物価が違う。それは出稼ぎなどの人の往来を制限することも目的ではあるが、別に数晩凌げるような場所はいくらでもあるから、それは主目的ではない。だが、先ほども見せたあの小銭は、魔力を通すことで本当の価値が出る。」
そう言ってクリスさんが懐から取り出したあの透明な五円玉は一瞬にして淡い朱色を放ちながら、金色に染まっていました。オーラのような赤は霧散してしまいましたが、金色は未だ残っていて、魔力を通し続ける必要な無いように見受けられます。というか、先生の魔力の色って朱色なんでしょうか。いえ、魔力に色があるとかいうのは前世の創作物の知識ですので、一概にはいえませんが。
「このように魔力を通すことで、この貨幣は真偽や価値を確認することができる。これができない君は、騙されたり、同様の仕組みの身分証明証が利用できなかったりととてもじゃないが都では生活が難しいだろう。」
大概は身分証発行時に簡単な魔力の使い方は覚えるんだけどな。そう彼女は締めくくりました。
身分証に魔力って…真偽の確認とか個人証明でしょうか? まぁ、私にはそう縁のない話だとは思いますが、少し気になりますね。
とはいえ、これで分かったことがあるといえば、私には都に出稼ぎに行くことができない、ということくらいでしょうか。
「が、それは私の研究次第ではある。」
「はい?」
タバコか、吹けてない口笛なのかわかりませんが、ふゅう、と口から息を虚空に吹きかけた彼女は足を組み替えて、シニカルな笑みで話を再開しました。
「私の研究の副産物、ではあるが、使い捨て式の魔力タンクの研究もしている。それを再充填が可能なシステムを組むことができれば、例えばそうだな…」
彼女自身の左手首を指し示しました。腕時計のようなものは見えませんが、右手の人差し指にあの硬貨と同じ材質の指輪のようなものが見えました。何かのマジックアイテムだったりするんでしょうか。
「ブレスレットのような形にはなるかもしれない。そうすれば左手限定だがそういうものを使用できるようになる。」
そして左手で指を鳴らし、ゆっくりと開いた掌の中に小さな炎が生まれました。因みに指パッチンの音はなりませんでしたが、そこには言及しないことにしました。カスッというような擦れた、あ、いえ、掠れたような音は出てました。
正直、酒場で見せて下さった酔っ払いは、瞬間的な爆発でご自慢のお髭がアフロになっていました。その後、木製の食器を一つ焦がしたとかで、店長にジャーマンスープレックスを受けて、店先の樽で犬神家をやってました。因みに樽から足が生えた着ぐるみみたいな感じで、酔っ払ったまま街中を歩いたらしく、その後はお店のマスコットとして、ビール樽が定着しました。
そんな酒の肴の笑い話を思い出し、緩みそうになった表情筋を引き締め直しました。流石に本職の方ですから爆発はしないと思いますが。
「これと似た仕組みでな、アイテムに記録された通りの動作をトリガーとして手首から先の一部のみで魔力を使う。」
器用に炎は手の平から人差し指の指先へと滑っていき、クイッと指先を上へ跳ね上げると、炎は弾かれたようにティーカップの上へと放物線を描き、飲みかけで冷めてしまっていた私のお茶は再び湯気を出し始めました。
炎というものは物質が大気中などの酸素と結びつく、現象、ですから、何も可燃物がないところで燃えるわけがないと思うのですが、そこはファンタジー。機会があれば調べてみたいものですね。
いえ、そこではありませんでした。以前のその飲兵衛爆発さん太郎のそれとは違い、クリスさんのそれは静かなもので、結合し続ける現象を一定に保ち続けるという、ある種の脅威的なコントロール力を誇っていた、ということを後々私は知ることとなったのでした。
普通は火なんて属性はなく、爆発するだけで「風」属性中の2つの主流のウチの一つとして扱われているとか。そういうことを学んでいくことになるのです。因みに、もう片方はそよ風を生み出すことの延長線上のタイプだそうです。机を浮かせた子が多分それですね。普通に持ち上げた方が高効率だったので頭の隅に追いやられていましたが。
「まっ、これは魔力操作と感知がメインの私なりの解釈。だが、私がメインで行っている『杖』の研究も含めて、私が長らく修行したコントロールの精度でも自分の魔力が邪魔になってね。魔力の持たない人間に作業をお願いしたいんだよ。」
魔法の杖って、素材を削るとかじゃなくて魔法使いさんが作るんですね…
こうして、クリスさんからの仕事の説明を受けた私は、家族に相談するため、当初の予定通りに今日中にお爺様の馬車で家へと帰る事ができたのでした。
まぁ、ネリ姉さんも言っていた通り、寧ろ強く勧められることになるという、確信はしていました。
設定が生えました。
魔法は使えても気づかないレベルが一般的で、入門書で日常だとものを投げるような感じで魔力が瞬間的に流せて、非義務教育で多少はNARUT○っぽく属性話ができるようになって、越えられない壁を経て、専門家が飛んだりバトルできるレベル、ですかね。
なおそれでも実力者がウォーターカッター、単発の爆発、土砂崩れ。魔法剣士が剣を加速させたりなんかすごく熱くして切ってるだけです。(正直いきなり魔法がファンタジー満載で始まるのもつまらんかった。「派手になればすごくてつよい」って出尽くしてるし、というなんとなくです。完成形は魔法科高校の○等生の物理現象チックな魔法ですけど、中世でそこまでの出来は釣り合わない)
…土の形を変えたり、ものを動かしたりで初期の描写は説明できるから、問題はない、筈。
設定はそのうち練り直します。
次回、多分「助手のお仕事始めます(魔法についてのあれこれの授業)」。
ところでコレRPGにおける第1章のタイトルコール前なのでは、と何度も思うこの頃です。我ながら筆が遅い。
では、また。