ガンダムビルドダイバーズ ちゃれんじゃーず   作:tbrh

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書き始めるまでがやたらと長いくせに書き始めると内容は無駄に長くなる悪癖が治らない今日この頃。


第四話 青春を謳歌する少女の翼

「今回も動画撮った」

 

「凄い人とガンプラに遭ったんです。トオノさんも是非見て下さい」

 

眠気も忘れて目を輝かせるミオとクサカからスマホを受け取ると、トオノ店員は早速動画の視聴を始めた。

 

(よっぽど楽しかったんだなぁ。これなら僕も投資した甲斐があ……る……?)

 

対戦相手なのだというガンプラが画面に映ると、最初は暖かな微笑みを湛えていたトオノ店員の表情が凍った。

いきなりの先制攻撃に始まり、ハイパー・メガ・カノンの直撃を無傷で凌ぎきり、その後の反撃も機体に掠らせる素振りもない。

 

(ちょ……)

 

それでもめげずにあの手この手で反撃を試みるミオ達を嘲笑うかの如く性能差を見せつけ、光の翼を用いた超高速戦闘で完膚なきまでにミオ達のFAZZは叩き潰されてしまった。

 

「格好良かった」

 

「最後のあれも凄いですけど、もう全部の操作が綺麗すぎて。いや~、経験者って凄いですね~」

 

一緒に画面を覗き込みながら、二人はウンウンと頷き合う。

 

「いやいやいや! これ普通に初心者狩りでしょ……」

 

 

 

 

 

Episode 4 青春を謳歌する少女の翼

 

 

 

 

 

「それで、君達はこれからどうするつもりなんだい?」

 

「いやーそんなはずないですよー」だの「あんな親切な人が初心者狩りの筈がない」だの言う二人を説得することを諦めたトオノ店員は、これからの展望を聞いてみることにした。ミオ達側の通信記録から会話音声はばっちり残されており、最後に初心者狩りダイバーが二人に送った言葉についてどう思っているのか気になったのである。

 

「足、それと腰。何とかしたい」

 

「あー……それは確かに。後、ミオさん回避が相変わらず大変そうだしもう少し速くしたいかも」

 

FAZZはフルアーマー部分の設計から、旧MGのキットであっても脚部の可動範囲が極めて狭い。加えて腰回りが完全固定である。元が完全に宇宙用の機体なのだからそれでもなんら不自由しないという事なのだろうが、今の所彼らが戦ったのは地上ステージのみである。初戦に始まり二回目に続き、対人戦も経験した彼らだが、やはり足や腰が殆ど動かせないのは機体の慣性制御の点で多大な不便を強いる物であった。

そして、速度である。丁寧に作り直したことで大分改善したが、それでも未だに加速力ではNPDリーオーにすら劣り、前回対戦したデスティニーとは比較にもならない。その為スマートな回避が行えず、ミオは機体全体で体勢を崩すようなやり方しか出来なかった。

 

「なるほどねぇ。それじゃあどうすれば改善するか、考えてみようか。製作スペースに行こう」

 

トオノ店員に笑顔で促されるまま、ミオとクサカは製作スペースの一つを借りてそこに陣取った。遅れてトオノ店員も今度はちゃんと許可をもらった上で、同じ作業台の机に集合する。

 

「とりあえずこれ、見てみて」

 

そう言ってトオノ店員が机に置いたのは、ミオ達の使うFAZZとほぼ同じ程度のサイズのガンプラ。トリコロールに黄色を足したヒロイックなカラーの機体である。FAZZに比べると増加装甲を除いてもスリムな体型であり、背中の細い翼と左手に持たされた鳥の嘴のような大きな盾、そして右手の無骨なビーム砲が特徴的である。

 

「飾ってあった奴ですか?」

 

「そうそう。名前はウイングガンダム。塗装と墨入れくらいしかやってないけど、手にとって動かしてみてよ」

 

手に取ったミオが、腕や足をとりあえず的に動かしてみる。

 

「おおー」

 

思わず、感嘆の声が出た。

FAZZの構造では肘や肩は精々直角が限界であるが、こちらでは人間と遜色ない可動域を持っている。更に肩部分の接続部が引き出せることによって両手で剣を構えるような動作も行う事ができ、股関節も二重に動作するため地面と水平に開くような動きが可能となっている。

 

「これももうそんなに新しいガンプラって訳じゃないけど、可動部の構造なら参考になるかな?」

 

「なるとは思います。とは言っても……」

 

「再現は、難しそう」

 

その機構に感心していたミオだが、すぐに声のトーンは落ち込んでしまった。彼らは初心者ダイバーでありビルダーである。まだまだ本格的な改造は敷居が高いのだ。

 

「大丈夫大丈夫。大変ではあるけど余程致命的なミスをしなければ大抵の失敗は取り返しがきくから。ここでやるなら僕も教えてあげられるしね。で、後は速くしたいんだったよね」

 

「ん。あいつみたいに」

 

「あれは流石に無理かなぁ……。でも速度を上げる方法はあるよ。武装や部品を減らしたり装甲を薄くしたりしてガンプラを軽くするとか、スラスターパーツを増設したりすることだね。FAZZはフルアーマー部分に沢山スラスターがあるからそこまで速度は落ちてないけど、その分重量があるから挙動が重いって感じなのかな」

 

より完成度の高いガンプラを作成することでパラメータにプラス補正をかけるという方法もあるが、彼はあえてこれを伏せた。往々にしてこの仕様は、初心者ビルダーの自由な発想を妨げることにもなりかねない。彼はそれを懸念したのである。

 

「むぅ。気のせいじゃなかった」

 

ミオが思い起こしたのは、ハイパー・メガ・カノンが破壊された後の戦闘。巨大なハイパー・メガ・カノンが無くなった分、素早い挙動や照準動作が可能になっていた。それがあったから後半に実行した一撃離脱戦法でデスティニーに何とか対抗してみせることが出来たのだと、彼女は理解していた。

 

「う~んそれなら、思い切ってこれは下ろしちゃおう。自分から見ても、ちょっと取り扱いは不便だし。何より……」

 

「「前が見れない」」

 

合わせて放たれたミオの言葉に、クサカはフフっと小さく笑った。

 

「まだ色々煮詰める所はあると思うけど、また遅くなっても困るし今日はこの辺にしといた方が良いんじゃないかな? あ、次来た時に返してくれるならそのウイングガンダムは持ってって良いよ」

 

「ええ!? 展示品なのに良いんですか?」

 

「太っ腹」

 

何でも無いことのように言ってのけるトオノ店員に、ミオは兎も角流石にクサカは恐縮してしまった。

 

「大丈夫大丈夫。元々GBNの貸し出し用のでもあるから。それより、もう暗くなるよ」

 

トオノ店員につられて外を見ると、確かに日は傾き始めている。今更ながらに寝不足である事を思い出した二人は、一緒に欠伸をかみ殺した。

 

「それじゃ、またね」

 

顔を見合わせるミオとクサカに、トオノ店員は愉快そうに微笑んだ。

 

 

 

店を出た後ミオとクサカで話し合った結果、FAZZはクサカの方が、ウイングガンダムはミオの方が持つことになった。

クサカは素組みのガンプラを幾つか所有しているので、それらを元に具体的な改造プランと必要な部品の割り出しを行う。ミオはトオノ店員から貸し与えられたウイングガンダムを壊さない程度に弄くり回して、クサカの考えたプランに口出しできるようにしておく。そういう話で纏まったのである。

ミオはウイングガンダムのガンプラを動かし、更に先の対戦動画を眺めながら色々考えた。どうやって稼働を実現しているか。必要な物は何か。どんな武器構成なら対戦で優位に立てるか。

眠くて仕方が無かったにもかかわらず、思索はベッドに横になっても尽きることはなく、寝落ちしたことにも気づかぬまま夢の中でもガンプラのことを考え続け、気がつけば一睡の実感も無いまま朝日が顔を照らしていた。

 

 

 

「ミオちゃん……」

 

瞬き一つせずジッと黒板を凝視し続けるミオを、後ろから少女が揺さぶった。しかしミオは微動だにせず、彫像の如く同じ姿勢を維持し続けている。

 

「ミオちゃんってば……」

 

よく見るとその目は焦点が合っておらず、呼吸も間延びしている。

教壇の後ろに立つ教師が睨み付けると少女は引きつった笑いを浮かべ、脇の下に手を差し入れて無理矢理立ち上がらせた。ミオは逆らうことなく立ち上がる。その分視線が上がり、黒板の少し上を凝視したまま気をつけの姿勢を取った。

 

「礼!」

 

号令がかかり、教室の全員が頭を下げるが、やはりミオは直立不動のまま。

諦めたような溜息を残し、教師は教室を去って行く。同時に生徒達は次の授業の準備を開始した。

それを見送った少女は相変わらず同じ姿勢で立っているミオの正面に回ると、おもむろに両手を横に広げる。

 

「えい!」

 

パァン。

ミオの眼前で、その両掌が勢いよく打ち合わされる。空気の弾ける小気味良い音が鳴り響き、ミオはビクンと体を震わせ、漸く瞳孔が定まり目の前の少女を捉えた。とどのつまり、彼女は今の今までずっと、目を見開いたままで居眠りをしていたのである。

 

「……クミ、おはよう」

 

「うん、おはよう! って、これでもう五回目なんだけど」

 

クミと呼ばれた少女は呆れた顔で腰に手を当てた。

彼女は白金久美(シラカネ・クミ以降:クミ)。あまり友達のいないミオにとってはとても貴重な、学校内の友人である。身長の低いミオに比べると、彼女の身長は頭一つ分ほど高く、スタイルも良い。鮮やかな栗色の長髪を頭の後ろで一束に纏めた姿は、ミオに比べると活動的な印象を与える。

 

「色々、あって、眠い」

 

言うやいなや、ミオは崩れ落ちるように再び椅子に座った。目を細め、両手で頬杖をついたミオの姿は、日向ぼっこする猫を思わせる。

 

「眠いのは分かるけど、あと一回授業あるんだから起きなさいよー」

 

言いながらミオの向かいにしゃがみ込んだクミは、ミオと同じように頬杖をついて目線を合わせた。

 

「……」

 

反応がない。

 

「……ん?」

 

目の前で手を振ってみる。これでは反応しない。

 

「んん?」

 

続いて額を小突いてみる。まだまだ反応しない。

 

「むむっ」

 

更には右手をどけてみる。右側に体勢が崩れた。

 

「おおう」

 

自分の二の腕に倒れ込んだ拍子に、寝落ちしていたミオは再び覚醒した。

 

「昨日も眠そうだったけど、最近なんか始めた? 毎日こんなだと身体壊すわよー」

 

身体を起こしたミオの頬をプニプニと突きながら、クミは苦笑して見せる。しかし内心(ミオちゃんのほっぺ気持ちいい! 一生触ってたい!)とか考えていた。

 

「GBN」

 

相変わらず目を細めたまま、ミオは気怠そうにそれだけを答えた。

 

「GBN? あのガンプラとかでやる奴?」

 

「ん」

 

「へー、なんか意外ねー。そういうのあんまり興味なさそうだと思ってたけど」

 

されるがままにしながら小さく頷くミオの両頬を優しくつまみながら、クミは少し驚いた。クミとミオの付き合いは高校入学から始まったのであるが、彼女から見たミオは面倒が割と苦手な人間である。身の回りのことに関してもズボラになりがちであり、そんな彼女がプラモデルなど作っているというのは、クミにとってはとても意外なことであった

 

「それで、一人で始めたの?」

 

「んん」

 

その問いに対して、ミオは首を横に振った。

 

「じゃあ友達と?」

 

「ん。お隣さん」

 

「そのお隣さんって男の子?」

 

「ん」

 

「mjd!? じゃ、じゃあお二人はどーゆう……」

 

思わず身を乗り出したクミだが、再びチャイムが鳴り響いた。今度は終了を告げるチャイムではなく、授業の始まりを告げるチャイムである。ちなみに今、教室に残っているのはミオとクミの二人だけであった。

 

「「……やば」」

 

大慌てで準備を整え次の教室に駆け込んだ二人だったが、担当の教師には結局こっぴどく叱られる羽目になってしまった。

 

 

 

「おや?」

 

先日よりも頻繁に欠伸をかましながらクサカが帰宅してくると、予想通り先に家についたミオが待っていた。しかし、予想していなかった事もある。

 

「お、来た来た!」

 

待っていたのがミオ一人ではなく、目を閉じて背をもたれる彼女を後ろから抱きすくめるようにして支える、もう一人の女の子が一緒にいたという事である。

 

「おーいミオちゃーん! あの人で合ってるー?」

 

「ん。合ってる」

 

ほっぺをプニプニされて目を覚ましたミオが頷くと、少女は人懐っこい笑顔でクサカに近づいてきた。

 

「初めまして! ミオちゃんの彼氏さんですよね?」

 

「ええ!? いやぁ、別n」

 

「違う。適当言うな」

 

若干照れながら否定しようとしたクサカを遮る、問答無用の断言。別に悪気があるわけではなく彼女の物言いは常にそういう物だとよく理解しているクサカであるが、何故か心から沸き上がってくる涙を密かに堪えた。クミもまた、自分がいらないことを言ってしまったことを後悔しつつ、目の前で笑顔を凍り付かせる地味な外見の男子に同情した。

 

「あ、あははは、ごめんなさい……で! 私、ミオちゃんの友達のシロカネ・クミって言います! 今からGBNやりに行くんですよね?」

 

引きつった笑みで一応誤魔化し、自己紹介を搦めて即座に話題の転換を図る。

 

「あ、はい。そのつもりです。あ、ちなみに、自分、クサカ・ハクセンって言います。よろしく、お願いします」

 

彼女の意思を汲み、何でも無いように振る舞おうとするクサカであるが、動揺がバレバレである。

 

「?」

 

クサカが挙動不審な理由が今一分からないミオは、訝しげに首を捻った。

 

 

 

最近ミオが寝不足になるほど何かに熱中している。そしてそれは最近大流行のGBN名のだという。ガンプラに興味があるわけではないのだが、そんなに面白いなら自分も試しにやってみようと思った。

ガンダムベースまでの道中にクミが語った所によれば、理由は大凡こんな所である。同じ歳の男子と一緒にやっていると言う事実が気になり、冷やかしてみようと思ったと言うのもあるが、そちらは二人には伏せられた。

 

「クサカ君もGBNは始めたばっかりなの? ……です?」

 

「敬語苦手なら無理に使わなくても良いですよ。うん、こっちも始めたばっかり。ガンプラは少しだけ作ったことありましたけどね」

 

「お、ありがと。それならそっちも別に敬語いらないんじゃない? てことは、まだ今から私が始めてもあんまり差はないって事ね!」

 

「ん。てか、熱い。離して」

 

歩いている間も相変わらず背中から抱きついたままのクミを鬱陶しがるようにミオが身を捩ると、名残惜しそうにクミは腕を開いた。

そうこうしている内に三人はガンダムベースに到着し、いつものガンプラコーナーに辿り着いた。

 

「お、今日も来たね。いらっしゃい! そっちの君は初めてかな?」

 

「はい! よろしくお願いします! 私もGBN始めたいんで、色々教えて下さーい!」

 

「了解、それじゃ簡単な説明と登録手続きをしようか。二人は会議からだよね? 許可はやっとくから適当な机使ってて良いよ」

 

「あ、はい。ありがとうございます」

 

「thx」

 

ミオとクサカはここに通い始めたばかりの筈だが、クミからはまるで常連客のようにすら見える対応である。色々と気が合う要素が多かったのであろう。

 

 

クミと分かれたクサカ達は空いている製作スペースに移動し、持ってきたガンプラを取り出した。クサカが持ってきたのはFAZZだけでなく、他に以前から所有していた幾つかのガンプラも含まれている。

 

「え~っと、とりあえず全体の方針なんだけど、自分はある程度今の形を崩しても良いと思う」

 

最後にごちゃごちゃと走り書きがされたノートを取り出してから、クサカは話を切り出した。

 

「つまり?」

 

「手足の可動部なんかは全部新しいガンプラの関節に入れ替えちゃった方が良いんじゃないかなって。一から自作するのは流石に自分達じゃ無理だし……」

 

パーツのサイズも違うため、違和感をなくすためにはそれでも沢山の工作が必要となることは十分に予想されたが、それでも一から仕組みを自作するよりはマシであろう。と言う彼の発想である。

 

「ん。私も、大体同じ。後、固定されてる部分、少し動かせるようにしたい」

 

ウイングガンダムに腰の入った格好いい射撃ポーズを取らせながら、ミオも頷いた。彼女の言う固定されている部分とは、腰回りやスカートアーマー等である。この辺りも元の設定からして動かない部位だが、柔軟な操作を行うには稼働できた方が良いだろう。

 

「それじゃあ関節部品なんかは自分の持ってるガンプラを分解して抜き出すとして、後は軽くするために増加装甲で見えなくなる部分の本体は思い切って切り取っちゃおうかって思ってるんだけど、それはどう思う?」

 

言いながらクサカは腕や胸の装甲を取り外して見せた。胸部前面は完全に排除できそうな雰囲気であるし、前腕は増加装甲に直接間接を仕込んでも違和感がなさそうである。

 

「良いと思う。後、こことかも削れそう」

 

その後も二人で色々話し合い、方針が固まり始めた頃、クミ達も製作スペースに現れた。

 

「ヤッホー! 登録終わったわよー!」

 

「お、FAZZ以外にも持ってきたんだね。話は纏まったかな?」

 

「はい。とりあえず欲しいパーツと、追加で買わなきゃ行けない工具なんかも分かってきました」

 

更に書き込みの増えたノートを閉じながら、クサカは顔を上げた。

 

「お、良いね。色々あって説明忘れてたけど、GBNはゲーム内で入手したランナーデータをあそこの機械からリアルに出力できるから、折角だし三人で集めてきたら良いんじゃないかな?」

 

ダイバーギアを渡しながらトオノ店員が指し示す先には、彼の身長ほどもある赤い射出精製機が設置されていた。丁度客の一人が利用中であり、ダイバーギアをセットして何やら操作を行うと、数組のランナーが受け取り口に滑り出してきた。

 

「おおー」

 

「いいじゃない! やることも決まったんだし、早速行きましょ!」

 

感心するミオの手を取り、クミはシミュレーター室に行こうとする。が、トオノ店員がそれを引き留めた。

 

「いやいや、その前にガンプラ用意しないと。折角クサカ君が色々持ってきてくれたみたいだし、どれか借りてみたら良いんじゃない?」

 

「あ、そういえばそうですね! クサカ君は大丈夫?」

 

「うん。こっちの白い奴以外は好きなの使って良いよ。まぁ、全部素組みだけどね」

 

回れ右で作業机に向き直ると、クミは並んだガンプラ達に目を落とした。

FAZZ、昨日貸し出されたウイングガンダム、そしてガンダムSEED系列のガンプラが幾つか。

 

「ありがと! そっちの白いのは、ミオちゃん達が使うのよね。それなら……これ!」

 

クミの目に止まったのは、大きな翼を背負ったガンプラ。濃紺と白を基調に塗り分けられた機体はシックな雰囲気を持つが、関節部などの金色がヒロイックさを加えている。塗装された様子はないが、それでも殆どの部分がパーツ段階で色分けされているのだ。腰に下げた二丁の銃や後ろに回された展開式の大砲らしいパーツ、そして沢山の部品が組み合わさった計四枚の翼等からは、この機体が沢山の機能を有していることが分かる。

 

「HGCEのストライクフリーダムか。キットのデキも良いし、いろんな種類の武装が使えるからGBNに慣れるなら良い機体かもしれないね」

 

トオノ店員の説明を聞きながら、クミはストライクフリーダムと呼ばれたガンプラを手に取る。主人公機らしいスマートで精悍な顔つきは、一目で彼女のお気に召した。

 

「……うん、よさそう! それじゃあこれ、貸してもらうわね!」

 

その間に片付けを済ませたクサカとミオも、立ち上がって頷いた。

 

「わかったよ。ミオさん、自分達も行こうか」

 

「ん。それじゃ、行ってくる」

 

「うん、行ってらっしゃい」

 

トオノ店員に手を振られながら、三人は一路シミュレーター室の筐体に向かった。

 

 

 

ドーナツ状のエントランスホールは、今日も沢山のダイバーで賑わっている。

一緒にログインしてきたミオと合流し、クサカは辺りを見回した。

 

「さて、クミさんはちゃんとログインできてるかな?」

 

「んーと」

 

背の低いミオはクサカの背をよじ登って肩車の体勢になり、更に高い位置から周囲を確認する。

 

「いた。多分、あれ」

 

ミオが指差す先を見ると、気づいた相手も小走りに駆け寄ってきた。

 

「いたいたー! ミオちゃんとクサカ君よね? てかミオちゃんちっちゃ!? 私にも貸してー!」

 

欲望を垂れ流しながら駆け寄ってきたアバターの輪郭や体格は、間違いなくシロカネ・クミのものである。違うのは、元々着ていたのとは違うブレザータイプの学生服を纏っていること、そして小麦色に変更された髪色と同じ色の三角形の耳が側頭部から突き出していることである。よく見ると、その背にはモフモフした毛に覆われた尻尾もある。

 

「間違いないよ。それじゃ、早速フレンド登録しよう」

 

「ケモミミ、そういうのもあるのか」

 

肩車していたミオをクミに移動させながら、クサカは操作パネルを表示させた。二人もそれにならい、以前と同じように表示させた情報を互いに交換し合う。

 

「ぜろぜろさんぜろ? ああ、ミオちゃんってことね。で、クサカ君はそのまんまっと。もうちょっと捻っても良かったんじゃない?」

 

「思いつかなくてね……」

 

「クミは……キツネさん?」

 

「そそ、キツネさん! そういうわけだから、こっちではそう呼んでね!」

 

キツネさん、までが彼女のダイバーネームである。ある意味そっちの方がそのまんまではなかろうか、とクサカは密かに小さな理不尽を覚えた。

 

「了解キツネさん。それじゃ、ミッションカウンターに行こう。チュートリアルからやる?」

 

「んー…それも良いけど、そっちはもう経験者なんだから普通のミッションで良いんじゃない? ランナーデータって言うのかしら、早く集めたいんでしょ?」

 

「ん。わかった。助かる」

 

話の纏まった三人は早速目当てのパーツが入手できそうなミッションを探しに、ダイバー達でごった返すミッションカウンターに向かった。

 

 

 

コロニー落下後のオーストラリアを模したディメンジョン。草木一つ無い、赤い岩が点在する荒野の上空を、二機のガンプラが飛行している。

片方は白い増加装甲で全身を覆った大柄な機体。ミオとクサカの乗るFAZZである。下ろす事を検討していたハイパー・メガ・カノンだが、今回はまだ装備した状態での出撃となる。そしてもう片方は四枚の翼を広げた細身の機体。新人ダイバーのキツネさんが操るストライクフリーダムである。

 

「よっ! ほっ! うん、大体こんな感じかしらね」

 

翼を広げ、左右にロールを繰り返し、翼を振って機体を安定させる。

ストライクフリーダムの軽快な機動に、操縦桿を握るキツネさんは上機嫌に頷いた。

 

「……おかしい」

 

「漠然と作っただけの素組みの筈なんだけど、やっぱりキット自体の出来の差なのかな」

 

キツネさんが自分達の初陣と同じような目に遭うことを期待していたミオは若干不機嫌そうに顔を顰め、何となくその事を察したクサカはフォローしながら苦笑した。

 

「ねーねー、ミッション内容ってどんな感じだっけ?」

 

ミッションエリアが近づいてきた所で、真っ直ぐ飛行を続けるFAZZに機体を寄せながらキツネさんは二人に問いかけた。

 

「輸送列車の襲撃だね。護衛をかいくぐって列車を破壊することが達成条件。輸送中の物資を奪取すると追加報酬がもらえるって」

 

追加報酬の中身はランダムであるが、その候補の中にはクサカ達が欲している物が幾つか含まれている。現時点で挑戦可能なミッションの中では報酬額も高めで、中々に悪くない内容と言えた。

 

「なるほどねー。じゃ、初ミッション行ってみましょっか!」

 

 

 

ミッションエリアのドームを通過すると、いつも通りミッション開始のアナウンスが流れた。ミッションエリア内の地形もそれまでと概ね同じような景色だが、進行方向を横切るような形で幅の広い線路が走っている。その途上には各種整備用の設備や大型の倉庫が設けられた補給基地があり、護衛と思われるガンプラが周囲を警戒していた。

護衛に発見される前に、ミオ達は戦場に点在する大きな岩の影に自分達のガンプラを着地させた。

 

「この様子だと、列車は一応あの場所に駐まるみたいだね。遠距離から先制攻撃が出来そうだ」

 

ハイパー・メガ・カノンのセンサーを岩陰からはみ出させ、カメラをズームさせたクサカが言う。護衛の内容は脚部にミサイルランチャーを装備したザクⅡJ型が八機、ザクキャノンと呼ばれる肩部に180mmキャノンを装備した砂色の機体が四機、更に35mmガトリング砲装備のグフが四機。それぞれ半分ずつで二部隊を編成し、線路を挟み込むような形で警護に就いている。

 

「でも護衛の数が思ったより多いし、こいつで少しでも数を減らしたい所ではあるんだけど……」

 

「ん、先制攻撃には、使わない方が良い」

 

相手の数に唸るクサカだが、ミオはハイパー・メガ・カノンの威力を懸念した。追加報酬を得るためには積み荷を破壊せずに列車を行動不能にせねばならない。NPDリーオーなら数機を一撃で消滅させるハイパー・メガ・カノンの威力では、そういった器用な攻撃は出来ないだろう。勿論、護衛を倒すつもりで輸送列車を破壊してしまっても良くない。

 

「それじゃ、私のこれ使ってみよっか。二つ繋げればなんか遠くまで届きそうじゃない?」

 

言いながらキツネさんは腰のビームライフルを手に取り、前後に連結させて見せた。MA-M21KF高エネルギービームライフル。ストライクフリーダムの主力武装であり、分離状態と連結状態で速射性や貫通力、射程を変化させることができる性質を持つ。

操縦席のコンソールに表示された情報が正しければ、この位置からでも大した装甲の施されていない輸送列車程度なら破壊出来そうである。

 

「ん。お願い」

 

「それなら、積み荷の回収もやってもらっちゃっていいかな? 移動してた時に見た感じだと、自分達のガンプラより身軽そうだし。その間に自分達は護衛の機体を引きつけておくよ」

 

「おっけーおっけー。 お安いご用、余裕のよっちゃんってね!」

 

キツネさんが安請け合いする間に、線路特有のガタゴトという走行音がエリア内に響き渡った。続いて護衛のガンプラの腰ほどもあろうかという巨大な輸送列車が戦闘エリア内に進入する。

 

「大まかな流れは大体決まったかな。キツネさんの先制攻撃で先頭車両を攻撃。自分とミオさんは護衛が反応したらそっちを攻撃して相手を輸送列車から引き離す。その間にキツネさんは後部の動力車も破壊して動きを封じた後、積み荷のアイテムを探して取得。その後はありったけの火力で輸送列車を破壊して全力で離脱。こんな感じで行こう」

 

 

 

轟音と砂煙を巻き上げながらやってきた輸送列車は、甲高いブレーキ音と共に補給基地内に停止した。冷却装置から蒸気を吹き上げ完全に停止した輸送列車に、整備用のクレーンが殺到する。核融合技術によって半永久的にエネルギーを得られる宇宙世紀の大型車両といえど、補給や整備は必要なのである。そしてそれは、高速で移動する列車が最も狙われやすい瞬間でもある。

護衛のガンプラ達の間をすり抜け、緑色の光を放ちながら一条のビームが飛来する。それは狙い過たず先頭車両の操縦席付近を正確に撃ち抜き、機能を完全に破壊した。

ザクやグフが一斉に狙撃者の方を向き、ザクキャノンが180mmキャノンの仰角を取る。しかし射撃が開始されるより前に、岩陰から白い巨体が空中に飛び出した。黒光りする巨大な大砲を抱えた、増加装甲に覆われた大柄なガンプラ。宇宙世紀を知るものなら、それがFAZZというMSであると気づいただろう。

二機のザクキャノンはそのまま、更に輸送列車を挟んで反対側のザクキャノンも列車越しに照準を行い、同時に攻撃を開始する。それは直撃を待たず空中で炸裂し、無数の弾片を撒き散らす。俊敏とは言えないFAZZはその攻撃を受けるが、その増加装甲の前には致命傷には至らない。

その攻撃を追うように、手前側に配置された部隊のグフとザクⅡが距離を詰め、更にザクⅡは体勢を崩したFAZZに脚部の三連装ミサイルポッドを連射した。FAZZはあえて推進を切ることで機体を落下させ、その加速でミサイルの誘導を振り切りながら再加速し、ミサイルを潜るように回避しながら距離を詰める。

 

「攻撃が、激しい」

 

「射撃の暇が無い! このまま突っ込んで!」

 

コンソールでダメージがまだ許容範囲である事を確認したクサカは、あえて反撃を放棄する。ミオはその考えをたちどころに理解し、先頭で左手の三連装ガトリングをこちらに向けるグフの一機に、左手を盾にしながら突撃を仕掛けた。

NPDらしく直前まで射撃を続けるグフを、その体格を一回りは上回る白い巨体が挽き潰す。しかし、その背後に回された左腕が弾き飛ばされることを許さず、動きを止めたグフを抱き留めるような形で保持する。

たちまち残る機体の射撃が集中するが、文字通りグフの機体を肉盾とすることでマシンガンの集中砲火を耐え凌ぐ。

と、その時補給基地付近で爆炎が吹き上がった。一瞬、ザクⅡとグフの注意が逸れる。

 

「! 今だ!」

 

クサカの操作に従い、バックパックのミサイルランチャーが展開する。発射された多数のマイクロミサイルは一定高度まで上昇するとそこから誘導を開始、上空からのトップアタックで、マシンガンを撃ち続けるザクⅡの群に降り注いだ。

ザクⅡ達が対処に動く中、ボロ雑巾のようになって消滅したグフを一瞥することもなくFAZZは再び飛翔する。追うようにグフのヒート剣が振り下ろされるがこれを間一髪の上昇で回避し、空中で右腕をザクⅡ達に向けた。こちらを追撃するために彼らは基地を離れているため、今なら輸送列車を巻き込む心配も無い。ハイパー・メガ・カノンのジェネレーターが、唸りを上げる。

 

「よし」

 

「行け!!」

 

瞬間、光の渦が巨大な砲身より放たれ、眼下のザクⅡ達の内二機を飲み込む。瞬時に蒸発した地面とザクⅡの融合炉が大爆発を起こし、巨大な火柱がFAZZの白い装甲を茜色に染め上げた。

 

 

 

「うわぁ……大丈夫かしら」

 

一度目の攻撃を終えたキツネさんは、飛び出したミオ達のFAZZが集中攻撃を受けるのを心配そうに見つめていた。しかし、反対側の部隊もミオ達を追撃するために動き出した事を確認すると、自分に課せられた役目を思い出し、ストライクフリーダムを操作して岩陰から身を乗り出した。

輸送列車のアームは既に取り払われ、後部車両を使い離脱を図るのも時間の問題であろう。

 

「そうは問屋が卸さないってね!」

 

連結したビームライフルを両手で構え、照準用のサブモニターを睨み付けながら引き金を引く。

ビームライフル一丁を追加バレルとして放たれたビームは通常のビームライフルを上回る弾速で目標に到達し、先頭車両と同じくその操縦席に文字通りの風穴を穿った。動力部の爆発もなく、予定通りの戦果である。

 

「よっしゃ! こっちも行くわよ!」

 

翼を展開し、脚部と胴体の屈伸を利用して、ストライクフリーダムは一気に地上から飛び立った。高度は上げず、逆に地面近くを滑るような飛行で輸送列車に接近していく。その先には、まだミオ達に大砲を向けたザクキャノンの姿があった。一応照準はしているものの、ミオ達が接近戦に移行したため射撃の機会を失っているのだろうとキツネさんは考えた。つまり、不意打ちを仕掛けるなら今である。

接近するストライクフリーダムに気づいたザクキャノンだが、既にその距離は180mmキャノンを使う距離ではない。ビッグガンを構えつつ旋回しようようとするが、既にストライクフリーダムのビームライフルはその機体を捉えていた。正対すると同時に、右手のビームライフルから放たれたビームがその胴体を貫く。融合炉の燃料に引火したザクキャノンは、内側から大爆発を起こして消滅した。

 

「おわぁ!?」

 

爆風に煽られたストライクフリーダムは体勢を崩し、近くにいたもう一機は吹き飛ばされて地面を転がる。

キツネさんは頭部から落下しそうな機体を翼のアンバックで咄嗟に立て直し、奇跡的に足からの着地に成功した。右膝を立てた立て膝で地面を滑りながら、吹き飛ばされたもう一機のザクキャノンを探す。そちらも何とか立ち上がり、こちらを照準しようとしている。

そちらにビームライフルを向けながら、キツネさんは輸送列車を確認する。横転するまでは行かなかったものの爆風を受けた車両の外板は大きく抉れており、もう一度同じ爆発を起こせば今度こそ積み荷を破壊してしまいかねない。

 

「ええい! それなら!」

 

ストライクフリーダムは、両手のビームライフルを勢いよくザクキャノンに投げつけた。同時に、両脇に回ってきたレールガンに装備されたシュペールラケルタビームサーベルを右手で引き抜く。瞬時に発振口から桜色に輝くビームの刃が伸び、右手を返して左手を柄に添え、脇構えの体勢で腰を落とす。

 

「鋭ッ!!」

 

気合い一閃。

スラスターが一斉に咆吼し、弾かれたようにストライクフリーダムの機体は前方に向かって水平に跳躍した。ビームライフルによって視界を塞がれたザクキャノンの懐に瞬時に飛び込んだストライクフリーダムは、光の刃を振り抜いた。

 

「応ッ!!」

 

刃はその胸部の恐らくコックピットが存在する深さまでを、ビッグガンの砲身毎斜めに切り裂いた。同時にストライクフリーダムはその脇をすり抜け、ザクキャノンの背後に着地する。行動不能となったザクキャノンは、そのままデータの欠片を残して消滅した。

 

「や、やった……やっちゃった……!?」

 

初戦闘で、一気に二機を撃破。自分はほぼ無傷。感動が抑えられないキツネさんである。

 

「はっ!? そうそう、積み荷積み荷! 回収しなきゃね!」

 

感動に震える手とニヤケが収まらない表情筋を何とか宥め、抉れた貨物車両を覗き込む。まだ車両を挟んだ反対側にザクキャノンは二機残っており、戦闘に気づいた他の機体も戻ってくる可能性もある。グズグズしてはいられないのだ。

しゃがみ込んで射線を切りながら貨物車両内を漁っていると、散乱するコンテナに混じり、何やら銃器の様な形の部品が転がっていた。手に取ってみるとすぐにそれは消滅し、コンソールに追加報酬獲得の表示が現れた。

 

「お、アタリ! ミオちゃーん! クサカくーん! 見つけたわよー!」

 

通信を飛ばしながら、再び地面を蹴って跳躍する。すると、予想通り引き返してきたほぼ無傷の部隊が、一斉にこちらを攻撃してきた。大量の弾丸とミサイルが、まるで降り注ぐ雨を逆再生したかの如く下から襲いかかってくる。

 

「ちょ、ちょ、ちょ!? ヤバイ! ヤバイって!?」

 

慌てて機体を振り回しながらビームシールドを展開させるが、複数のミサイルが同時に着弾すると、あっという間にシールドゲージが低下していく。更に、ザクキャノンの180mmキャノンから放たれた対空散弾を受けてシールドは完全に消滅した。防御手段を失ったキツネさんに、止めと言わんばかりのミサイルが迫る。

 

「おおお落ち着け、まだあわ慌てあわわわ!?」

 

「落ち着け」

 

瞬間。ストライクフリーダムの眼前を、光の渦が埋め尽くした。ミサイル群はストライクフリーダムに到達することなく爆発し、立ちはだかった白い巨体が弾丸を受け止める。

 

「上出来」

 

「遅くなってごめん! こっちもやっと振り切れた!」

 

ミオ達のFAZZ。始まる前は綺麗に塗装されていた装甲だが、今は無傷の箇所を探す方が難しいほどに傷だらけである。その背中に、何となくキツネさんは勇気づけられる思いがした。

 

「こ、こっちこそありがと! それじゃ最後の仕上げ、行っちゃいましょ!」

 

途切れなく放たれていた弾丸の雨が、不意に止む。リロード時間を考えず一斉に攻撃を開始してしまった為に、全員が同時にリロード動作に入ってしまったのだ。NPD部隊特有のミスである。

 

「今だ!」

 

「了解!」

 

ストライクフリーダムの両腰のクスィフィアスレールガンが展開し、更に腹部のカリドゥス複相ビーム砲が光を放ち始める。更にFAZZのハイパー・メガ・カノンが三度唸りを上げ、半ば赤熱しかかった砲身からメガ粒子の輝きが漏れ出す。

 

「準備オッケーよ!」

 

「こっちも撃てるよ!」

 

「ん。それじゃ、せーの……」

 

 

「「いっけええええ!!」」

 

 

光の奔流が放たれる。灼熱の光条は、まるで天から降り注ぐ神の鉄槌が如く全てを飲み込み、輸送列車の貨物車両部分に殺到した。弾薬や燃料等様々な物資を積載した貨物車両が爆発を起こし、続いてMSの物より大型の車両用核融合炉の燃料が爆発。二度の大爆発は補給基地と護衛のガンプラを跡形もなく吹き飛ばし、巨大なクレーターを赤い荒野に穿った。

 

『Mission Complete』

 

爆発が収まった頃に、二機のコンソールに緑色の文字が表示される。

 

「えーっと、これって?」

 

少々放心状態気味に、キツネさんが画面を指差す。

 

「ミッション達成」

 

「お疲れ様!」

 

息を吐くミオと、満面の笑みで二人を祝福するクサカ。

ミッションエリアが消滅し、傷だらけのガンプラ達を、オーストラリアの強い日差しが照らした。

 

「ぃぃよっっしゃああぁぁぁ!!」

 

二人の言葉と、どこか誇らしげなガンプラの姿に、キツネさんは勝利の実感を込めた歓声を上げた。

 




関係ないですが、十数年ぶりにガンプラを買いました。HGCEストライクフリーダムなのですが、何これ自分が知ってるHGストライクフリーダムと違う。MG作ってんじゃないんだぞ……(震え声
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