エマ・ヴェルデがガンプラと出会ったのは今から11年前。
当時、エマは父親と共に日本へ訪れていた。
父親の旧友が日本にいて、彼と会う為に長女のエマを連れてきたのだ。
「お久しぶりですラル大尉!」
「こちらこそヴェルダー卿!」
「『青き巨星』はお変わりないようで。」
「ヴェルダー卿の方こそ。そちら、娘さんかね?」
「えぇ。エマ、あいさつをしなさい。」
「うぅ……!」
「エマ……すいません、普段は人懐っこいんですが、慣れない土地で緊張しているようでして……。」
「いやいや。可愛い御嬢さんだ。」
何故か父親は相手を『大尉』、相手は父親をあだ名に『卿』を付けて呼んでいた。
二人とも日本のアニメの『がんだむ』というものが好きだそうで、アイドルなどの女の子っぽい物が好きなエマはいまいち退屈だった。
そんな彼女がスイスへ帰る前日、父親が夏祭りに連れて行ってくれた。
浴衣に身を包んだエマは、日本に来て初めて楽しい時間を過ごした。
日本語が喋れない彼女は、父親に通訳を楽しみながら夏祭りを目いっぱい楽しんだ。
わたあめを口に運びながら、彼女は父親がよく見ていた『がんだむ』のおもちゃが沢山並んでいる屋台を発見。
そこで、一人の少年が、彼の父に『がんだむ』をおねだりしているのが見えた。
「なー親父ー!ガンプラ買ってくれよー!」
「あん?この前買ってやった車のプラモみたいに、どうせ最後まで作れなくてまた俺にやらせるだろ?」
「そんな事ねーよー!クラスでガンプラ持って無いの俺だけなんだよー!なぁ、頼むよ親父!」
「仕方ねぇ奴だなカザミ……。安いのにしろよ。」
「やったー!!」
少年は父親に、赤い『がんだむ』のおもちゃを買ってもらっていた。
笑顔でその場を立ち去るその少年は、エマの姿を見かけると、彼女の下へ走ってきた。
「なぁお前、この辺じゃ見ない顔だな。」
「ッ……!あ……うぅ……。」
「? もしかして、お前もガンダム好きなのか?」
「がん……だむ……?」
「かっこいいよなガンダム!俺も大好きなんだ!」
「おら、帰るぞカザミー!!」
「おっといけねぇ。じゃ、またな!待ってくれよ親父ー!」
カザミと呼ばれた少年は、そのまま父親と共に帰って行った。
ポカンとするエマのところに、彼女の父親がやってきた。
エマの目線の先の屋台を見ると、エマに尋ねる。
「欲しいのか?ガンプラ。」
「が……んぷら……?」
「せっかく日本に来たんだ。思い出に一つ買って行こう!エマ、選んでおいで。」
そう言われ、エマは目の前にあった『がんだむ』のおもちゃ……ガンプラを手に取った。
「パードレ!」
「それにするのかい?」
「スィ!」
「よし!これで今日からエマもビルダーの仲間入りだな!」
それがエマと、彼女の愛機であるヴェルデブラストガンダムの原型となった、バスターガンダムとの出会いだった。
~~
その日、果林の様子はいつもと違っていた。
何故か彼女はエマを避けていて、今日も珍しくエマが起こしに行く前にはすでに学校へ行っていた。
もちろんエマには果林に避けられるような事をした覚えは無く、休み時間の間に同好会3年生メンバーでもう一人の親友である彼方と、彼方と曲の相談をしていた侑に相談してみる事にした。
「「果林ちゃん(さん)に避けられてる?」」
「うん……そうなの……。なんでかなぁ……。」
「エマちゃん、果林ちゃんに何かしたの?」
「何もしてないよぉ!」
「果林さんの様子って、いつからおかしかったの?」
「昨日の夜から。昨日、私がお風呂から帰ってきたら、お部屋に果林ちゃんがいたの。たぶん、その後からだと思うけど……。」
「うーむ……謎だ……。」
「私たちには普通だったけど、どうしてエマさんだけなんだろう?」
「わかんないよぉ!」
エマには思い当たる節など無い。
部屋に置いてあったもので、果林に見つかってまずいものなど一つもない。
一体何があったのか、それを確かめるために、彼方と侑も一緒にライフデザイン学科の果林の教室へと赴くことにした。
果林はしょっちゅう校内で迷子になるため、基本的に休み時間もエマと一緒でなければ教室の外に出ることは無い。
教室に行ってみると案の定果林がおり、彼女は友達とスクールアイドルの話をしていた。
果林を見つけるや否や、エマは早足で彼女の下へ。
「果林ちゃん!」
「ッ……エマ……。」
「今日どうしちゃったの?どうして私を避けてるの?」
「…………。」
「あ、朝香さん、ヴェルデさん呼んでるよ……?」
「そろそろ休み時間終わるわね。席に戻りましょう。」
「か……果林ちゃん……!?」
「ねぇ果林ちゃん、エマちゃんのお話、少し聞いてあげようよ。」
「そうだよ果林さん。何があったの?」
「あなた達ももう教室へ戻りなさい。早く戻らないと、授業に間に合わないわよ。」
そっけない態度で、エマたちを帰そうとする果林。
エマは授業が始まる寸前まで果林と話そうとしたが、さすがに侑と彼方に引っ張られて教室へと戻っていった。
思い返せば朝練の時も、果林は彼方たちにはいつも通りの態度を崩さなかったが、エマが来る前には練習を切り上げて行ってしまった。
単に急いでるだけだと思っていたが、いつもの果林とエマを知っている彼方からしてみれば、先ほどの果林の態度は明らかにおかしい。
~~
放課後を迎え、スクールアイドル同好会の練習を始めた10人のメンバーと、それを支える侑。
ストレッチをするため、いつもは背格好の似ている者同士で組む。
果林とエマはいつも一緒に組んでおり、今日も当然組むのだろうと侑や彼方は思っていた。
だが、
「果林ちゃん、一緒に柔軟……、」
「ねぇ愛、今日は私と一緒にやらない?」
「え、アタシと?エマっちは?」
「今日は愛とやりたい気分なの。ダメかしら?」
「ダメじゃないけど……。」
エマが声をかけたのに、果林はその言葉を遮り愛を誘った。
取り残されたエマは彼方と柔軟する事に。
その後もいつもエマと組んでいるしている事を、今日はずっと愛と一緒にやっていた。
その態度に同好会の全員違和感を覚え、恐る恐るしずくが口を出した。
「果林さん……今日はどうされたんですか?エマさんを避けているように見えるんですが……。」
「………。」
「果林ちゃん……私、何かしちゃった……?」
「………愛、行きましょう。」
「え、でもエマっちが……。」
「~~……ッ! 教えてよ果林ちゃん!!私、果林ちゃんに何をしちゃったの!?言ってくれないとわかんないよ!!」
「……そうね、言わないとわからないわよね……。」
ようやく果林が事情を話してくれる。
エマはそう思った。
だが、次に彼女から出た言葉は、予想だにしない言葉だった。
「言わないとわからない。けれど、相棒に隠し事をしていたあなたに、話すことは何もないわ。」
「え………。」
「……今日はもう帰るわ。空気を悪くしてごめんなさい。」
そう言い残し、果林は帰って行った。
呆然とするエマ、それを無言で見つめる同好会。
エマはその場で膝をつき、持っていたタオルを握りしめた。
「え、エマちゃん……。」
「どうして……果林ちゃん……!」
「…………。ごめんね皆、彼方ちゃんも今日バイトあるの忘れてた~。彼方ちゃんも帰るね~。」
「彼方さん!?」
突然彼方が帰り支度をし、普段の彼女からは考えられない位の速さで帰って行った。
~~
「おーい、果林ちゃ~ん!」
「…………。」
帰ろうとする果林を校門前で見つけると、彼女へ駆け寄っていった彼方。
果林は彼方をムッとした表情で見ると、そのまま彼方を無視して帰路につく。
「おやおや~?まだご機嫌斜めなのかな~?」
「何の用?エマに言われて来たのなら、私に構わないで。」
「ううん。彼方ちゃん、これからバイトなんだよ~。ほら、前に言ってたでしょ?ガンダムベースでバイトしてるって。」
「言ってたわね。」
「それでね、果林ちゃんにごちそうしてあげようかな~って思って。」
「は?」
「ほらほら、行くよ~!レッツゴー!」
「あ、ちょっと!彼方!?」
無理やり腕を引っ張られ、彼方に連れて行かれてしまう果林。
電車に無理やり乗せられ、1時間ほどかけて目的地まで急ぐ。
電車に乗っている間、彼方はエマの事は話題に出さず、もっぱら妹の可愛さについて熱弁された。
妹の遥の事を話す時の彼方は、大好きな話をするせつ菜や、幼馴染トークをする侑と歩夢に負けず劣らず饒舌になる。
その勢いに負け、果林は何の抵抗も出来ずに目的の駅まで遥トークを聞かされた。
~~
目的地についた果林は、その場所に見覚えがあった。
1/1のエールストライクガンダムの立像がある、カフェスペース付きのガンダムベース……シーサイドベースだ。
カフェのテラスに座らせられると、彼方は厨房の方へと行ってしまった。
しばらくすると彼方がコーヒーを持ってきてくれて、果林に差し出した。
「あ……ありがとう……。」
「さぁ、ここなら逃げられないよ~。何があったか聞かせてもらお~!」
「やっぱりそれが目的なのね……。別に、話す事なんてないわ。」
「ジーッ………。」
「な、なによ……。」
「彼方ちゃん、話してくれるまでここから動きません。」
「はぁ!?」
彼方は普段はマイペースでおっとりしているが、こうと決めたら絶対に折れない頑固なところがある。
こうなってしまった彼方は、意地でも動かないだろう。
「あれ?もしかして、果林ちゃん?」
その時、果林と彼方の目の前に、見覚えのある少女がカフェのエプロン姿で現れた。
その傍らには、学生服を着た果林よりも背の高い男子高校生の姿も。
「ヒナタちゃん?」
「やっぱり果林ちゃんだ!また来てくれて嬉しいよ!」
「あれ~?ヒナタちゃん、果林ちゃんと知り合いなの?」
「うん。あ、そう言えば彼方ちゃんもニジガクって言ってたよね。二人とも友達だったんだね。」
「ヒナタ、その人は?」
「前に話した新しい友達だよ。あ、そうだ。果林ちゃんにも紹介するね。」
現れたのは、以前ここで話したムカイ・ヒナタ。
彼女は一緒にいた男子高校生を果林と彼方の前に連れてくると、果林に向かって彼を紹介した。
「この人が、前に話した私の幼馴染の、凄腕ガンプラビルダー!」
「凄腕って程じゃないけど……。」
「ほらほら、ちゃんと自己紹介して!」
「初めまして、クガ・ヒロトです。よろしく。」
~~
練習どころじゃなくなり、その日は解散になった虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。
寮へ向けてトボトボ歩くエマと、その隣に連れ添う侑。
『今のエマさん、すごく落ち込んでると思う。今のエマさんを支えてあげられるのは、あなたしかいないと思う……お願い侑ちゃん、エマさんの力になってあげて!』
歩夢にそう言われ、一緒に寮までついてきたものの、空気が重く、侑が何を話しかけてもエマは『うん』とか『そうだね』と曖昧な返事しかしない。
しばらく無言が続くと、エマは『ごめんね』と小さく呟いた。
「どうして、エマさんが謝るの?」
「私のせいで果林ちゃん怒っちゃって……練習も出来なくて……。」
「エマさん、果林さんに何かしたわけじゃないんでしょ?だったら、他に理由があるはずだよ!そうだ、今から果林さんに会いに行こう!」
「い、今から!?でも……私、怖い……。」
「大丈夫、私もいるから。エマさん、私が必要だって言って!」
「侑ちゃん……。」
侑がエマの手を優しく握ってくれた。
いつも自分たちを支えてくれた侑がいれば大丈夫……そう思ったエマは、意を決して果林の部屋へと向かった。
自分たちよりもかなり早く帰った果林なら、きっと今は部屋にいるはず……そう思い、エマはドアノブを握った。
果林はいつも鍵を掛けておらず、その時も普通に開いた。
だが中に果林の姿は無く、いつものように雑誌や服が散乱していただけだった。
「あ………。」
「いないね、果林さん。どこか寄ってるのかな?」
「もう、いいよ……侑ちゃん……。一緒に来てくれて、本当にありがとう。」
「き、きっとこの中にヒントがあるはずだよ!!探そう、エマさん!!」
「だ、ダメだよ!勝手に見たら果林ちゃん、もっと怒って……あれ?これ……。」
部屋の中に入ると、エマが何かを見つけた
ゴミ箱の中に入っていたそれは、果林の数学のノート。
しかし、果林の物とは思えない位付箋が貼られており、中身を少しだけ見てしまう。
侑もそれを覗きこみ、そこに書かれていた物を口にした。
「これ、ガンプラの設計図だ!へー、果林さんもガンプラバトルやってたんだね……これって、キュベレイ……?なんか、どこかで見たことあるような……。」
「え、え?嘘……どうしてこの機体の設計図が……!?まさか、そんな……そんな事って……!!」
そこに書かれていたものは、果林の愛機である『キュベレイ・ビューティー』の設計図。
ところどころに斜線が引かれ、ヴェルダーからもらったアドバイス通りに改造していくためのメモ書きもされている。
ノートを読み進めていくと、最後の文字に、エマの目が留まった。
『私はあなたとの約束を守れなかった。ごめんなさい ヴェルダー 』
「やっぱり……私のせいだったんだ……。」
「エマさん?」
「私が……サニーを……果林ちゃんを傷つけたから……!」
きっと果林は昨日、エマの持っていたヴェルデブラストガンダムを見てしまったのだろう。
それでヴェルダーの正体がエマと知り、半ば一方的な別れだったことに憤慨してしまった。
「やっぱり、私のせいで果林ちゃんはガンプラが嫌いになったんだ……全部、全部私の……!!」
「エマさん、どうしたの……!?しっかりして、エマさん!!」
~~
彼方の勢いに負け、果林は全てを彼方とヒナタ、そしてヒロトへ話した。
ヴェルダーとの出会いと別れ、そのヴェルダーの正体がエマだった事、そしてエマがその事を果林に話さなかった事。
ヴェルダー……エマが第二次有志連合戦の時、サラもGBNも見殺しにしようとしてしまった後悔も。
3人は黙ってそれを聞いていた。
出されたコーヒーはすっかり冷めきっていて、誰も手を付けようとしなかった。
「これが、私がエマを遠ざけていた理由よ。これでわかったでしょ……もう、私に構わないで。」
「そんな事が……。」
「で、でもそれっておかしいよ!だって、エマちゃんは果林ちゃんがその『サニー』だって知らないんでしょ!?それじゃ、エマちゃんがかわいそうだよ!」
「そうよ。」
「え……果林ちゃん?」
彼方にそんな事言われなくてもわかっていた。
果林は両手で顔を抑え、うつむいた。
絞り出す声は擦れていて、聞き取るのもやっとだった。
「エマは何も知らないのよ……勝手に落ち込んで、勝手に怒って、勝手にあの子を避けてるのは全部私なの……!こんな気持ちになる自分が嫌なのよ……!本当は、ヴェルダーの正体がエマだってわかって、ちょっと嬉しかったの!当然でしょ?大事な相棒と、大事な親友が、実は同じだったなんて……それなのに、GBNを辞めたのをあの子のせいにして……こんな自分が、本当に、嫌で嫌でしょうがないの!!あの子と、最後にした約束も忘れて……。」
徐々に声が大きくなり、涙交じりに話す果林。
そんな果林に、彼方もヒナタも何も言えなかった。
しばらく続く沈黙、もう日も傾きかけている。
その沈黙を破ったのは、ヒロトだった。
「自分が嫌でしょうがない……自分を許せない……その気持ち、痛いほどわかる。」
「……ヒロトくん……?」
「大事な人の、最後の願いも忘れて、真っ黒な感情だけが残ってしまう……俺だって、同じ経験をした。どうしても自分を許せなくて、どうしてもその存在を忘れられなくて、楽しむ気持ちも、何もかも失くしてしまった。でも、それでも俺はまた立ち上がれた。もう一度、楽しむ気持ちを思い出せた。」
「……私は、どうすればいいの……?」
「やり直せばいい。ヴェルダー……いや、エマと。自分の気持ちを、想いを、伝え合ってもう一度……君たちならきっとできる。だって君たちは、また出会えたんだから。」
そう言うヒロトの顔は、とても優しかった。
ヒロトに言われ、自分の気持ちを確かめるように、果林は鞄の中のキュベレイ・ビューティーを取り出して眺める。
ガンプラを眺める果林を見て、彼方は果林に聞く。
「ねぇ、果林ちゃんはどうしたい?」
「私は……。」
「彼方ちゃんね、いつも仲の良い果林ちゃんとエマちゃんが大好きなんだけど、ちょっぴり不安なんだ。喧嘩するほど仲がいいっていうけど、二人ともぜーんぜん喧嘩しないんだもん。」
「喧嘩……?」
「もう一回聞くね。果林ちゃん、エマちゃんと、どうしたい?」
~~
「うん……うん!わかった!ありがとう!」
その頃、侑は誰かと電話をしていた。
電話を切ると、果林のノートを抱きしめて泣くエマの手を引っ張り、寮の外へと引っ張っていく。
「ゆ、侑ちゃん!?ど、どうしたの……!?」
「エマさん、行こう!!」
「どこに……?」
「決まってるでしょ!!GBNだよ!!」
「え、えぇ!?」
侑の手を振りほどこうとするエマ。
しかし、決心を固めた時の侑は意地でもエマの手を離そうとしない。
侑は走りながらモモカへと電話をし、急いでガンダムベースへ。
ガンダムベースに到着すると、そこにはモモカが待ち構えており、彼女からエマの新しいアカウントが入ったダイバーギアを受け取ると、エマを無理やりGBNの席に座らせた。
「侑ちゃん、私、GBNは……!」
「大丈夫だよエマさん、私を信じて!それと、この子の事もね!」
「ヴェルデ……ブラストガンダム……?」
エマのカバンからヴェルデブラストガンダムを取り出すと、それをダイバーギアにセット。
同じように侑もレインボーユニコーンガンダムをダイバーギアに置き、二人はGBNへとログインしていった。
~~
GBNに、ヴェルダー卿以外のアカウントでログインしたのは初めてだった。
元はエマの父親が使っていたアカウントで、彼が別のアカウントを使い始めた時にそれを引き継いで使っていたからだ。
アルプスの少女風のダイバールックの『エマ』として、ユウが指定した場所へとヴェルデブラストガンダムで向かう。
その場所は、エマにとっては思い出の場所だった。
「ヤナギランの群生地……?どうしてユウちゃんがここを知ってるの?」
ログインした直後に、ユウは姿を消した。
ただ言われた場所に来たエマは、そこである物を発見した。
「あれは……キュベレイ・ビューティー……果林ちゃん……!?」
そこにいたのは、キュベレイ・ビューティーの前に立つ、見慣れた少女の姿。
サニーとは似ても似つかない、リアルの姿をそのまま反映した朝香果林の新しいアバター『カリン』だった。
ヴェルデブラストガンダムがそこに降り立つと、エマはヴェルデブラストから降り、カリンの前に。
「か……果林ちゃん……!」
「エマ。」
「……ご、ごめんね果林ちゃん!!私、果林ちゃんの気持ちを考えずに、あんなこと……私、私……!!
」
「ねぇ、エマ。私とガンプラバトルしない?」
「え……バトル……!?で、でも……私は……。」
「そうよね。じゃあ、言い方を変えるわ。」
いつものカリンの様子で、彼女は話していた。
カリンはキュベレイ・ビューティーに乗り込むと、その拳を振り上げる。
「エマ。私と……喧嘩しましょう!!」
「えぇ!?」
突然、キュベレイ・ビューティーの拳がエマを襲った。
当然当てるつもりは無いが、エマは無意識にそれをよけ、ヴェルデブラストガンダムに乗り込む。
「あ、危ないよ果林ちゃん!!なんで喧嘩なんて……!?」
『そんなの、喧嘩したいからに決まってるじゃない!!』
今度こそ、キュベレイ・ビューティーの拳はヴェルデブラストに命中した。
よろけたヴェルデブラストを挑発するように、キュベレイ・ビューティーは人差し指で彼女を煽る。
『どうしたの?やり返さないの?』
「い、嫌だよ!私は、果林ちゃんを傷つけたくないよ!」
『ふーん……なら、私はこのままやらせてもらうわよ!!』
やられる。
そう思った時、自然と体が動いてしまった。
エマはヴェルデブラストを慣れた操作で動かし、キュベレイ・ビューティーの顔面を殴り飛ばしていた。
勢いよくその場に倒れるキュベレイ・ビューティーとカリン。
だが彼女たちは立ち上がり、再びエマを煽る。
『やるわね、エマ。さすがだわ……。』
「ご、ごm、」
『謝らないで!!私は、謝罪してほしいわけじゃない……私は、今のあなたと全力でぶつかり合いたいだけ。本音と本気で……エマ・ヴェルデ、あなたと!!』
そう言うと、再びキュベレイ・ビューティーはヴェルデブラストを殴ってきた。
今度は彼女を殴らないように防御に専念するが、そこにカリンの言葉の追い討ちが。
『っていうか、あなたウジウジし過ぎじゃない!?サラって子の事もGBNの事も、普通一人でそこまで重たく考えないでしょ!?このバカ!!』
拳を受け止めたヴェルデブラスト。
自分が今まで抱え込んでいた悩みを『バカ』と言われ、エマもさすがに頭に来たのか、キュベレイ・ビューティーを殴り返す。
「ば、バカって言わないで!!私だって、私なりに考えて……!!」
『で、あなたがGBNを辞めて何か変わったの!?何も変わってないでしょ!?あなたの悩みなんて、その程度の事なのよ!!っていうか何よ『ヴェルダー卿』って……しずくちゃんでもないのに、キャラ作るなんてガラでもないでしょあなた!!』
「あ、あれは元々お父さんのアカウントだったから……それを言うなら果林ちゃんだって、『サニー』って全然果林ちゃんっぽくない!!」
『残念でしたー!あれは事務所の貸出アカウントですー!私が作ったんじゃありませーん!』
「かすみちゃんみたいな喋り方しないで!!」
徐々にエスカレートしていく二体の殴り合い。
ヴェルデブラストもキュベレイ・ビューティーも、接近戦など想定しない遠距離タイプのガンプラのはず。
それが武器を捨て、拳と拳でお互いを傷つけあっていく。
『だいたいあなた、いつも食べ過ぎよ!!なにが癒し系スクールアイドルよ!!ぽっちゃり系スクールアイドルに改名したら!?』
「私太ってないもん!!果林ちゃんも、セクシー系スクールアイドルって言うけど、いつも寝坊したり、赤点とったり、道に迷ったり……ネットでポンコツ系スクールアイドルって呼ばれてるんだよ!!」
『は!?誰よそんな事言ってるの!!』
「みんなだよ!!」
『みんなって誰よ!!』
少しずつ、装甲が壊れ始めた二体。
しかし二人はそんな事気にせず、普段言えない事をズケズケと言いながら、お互いのガンプラを壊しあう。
その様は、もはや小学生男子がやるような低レベルの喧嘩だった。
~~
その戦いを見つめている、5体の影があった。
このヤナギランの群生地は、コレクトミッションを好んで行う戦闘が不得手なダイバーが集まりやすい。
そういうダイバーを狙って襲い、ポイントを稼ごうとする姑息なフォース……フォース『ヒエノドン』。
全員飛行ユニットを装備した射撃特化のジムを使用し、ヤナギランの群生地で殴りあうヴェルデブラストとキュベレイ・ビューティーを狙い撃とうとする。
「へっへっへ……ポイント、いただきぃ……!」
「「させない!!」」
「!? な、なんだ!?」
放たれたビームの先に、二機のガンプラが現れた。
一体はそのビームをシールドで防ぐユウの愛機であるレインボーユニコーンガンダム。
そしてもう一体は、一見SDガンダムと見間違えるほどの大きさのガンプラで、青い飛行ユニットに乗っている。
ヒロトの愛機……コアガンダムIIと、アースアーマーだ。
「な、なんだお前たちは!!」
「エマさんとカリンさんの邪魔だけは……絶対に許さない!!」
5体のジムを相手に、突撃していくレインボーユニコーン。
ライフルで狙い撃ちされるが、シールドでそれを防ぎ、ビームサーベルを展開。
ヒエノドンのジムへ次々斬りかかっていく。
だが、大振りなユウの攻撃はかわしやすく、ジムたちは小さいコアガンダムIIへ狙いを定める。
しかしコアガンダムIIの乗るアースアーマーの加速度はジムのビームよりも早く、空中を飛びまわりながら、ヒロトはその攻撃を全てよけて見せた。
「二人の想いを……絆を……甦らせる為に……!!」
『PLANETS SYSTEM:EARTHREE』
「コアチェンジ……ドッキング・ゴー!!」
ヒロトが叫ぶと同時に、プラネッツシステム飛行ユニットから、アースアーマーが分離。
飛び上がったコアガンダムIIに、アースアーマーが次々に装着されていく。
全てのアーマーを装着し、頭部にアンテナパーツを装着する事で、ヒロトのガンプラは真の力を発揮する。
これが、彼の作ったガンプラ……『アースリィガンダム』だ。
アースリィのライフルは、コアガンダム時の小型ビームガンに、アースアーマーに付随する武装と合体する事で、ビームライフルとして使用できる。
高出力のビームを放ち、ジムたちのビームを相殺するどころか上回り、一瞬で一体を撃破。
続いて襲い掛かってきたジムには、背中のビームサーベルで応戦。
「ユニコーン、来るぞ!!」
「わかってる!!」
残り3体のジムが、アースリィには敵わないと踏んでレインボーユニコーンに狙いを定めてきた。
エマの想いとカリンの本音……その二つを守るために、ユウはレインボーユニコーンの操縦桿を握りしめる。
やがてレインボーユニコーンは装甲の割れ目から虹色の光を放ち、ユウの髪を縛っていたヘアゴムが千切れる。
『NT-D』
「二人の想いを支える為に、力を貸してレインボーユニコーン!行くよ……変身!!」
ユウの掛け声で、レインボーユニコーンの装甲が展開を開始。
内部のサイコフレームを露出させながら、頭部はガンダムタイプへと変形。
最後にシールドが展開し、4本のビームサーベルを手に取ると、レインボーユニコーンは超戦闘形態『デストロイモード』へと変身を遂げた。
初めての変身から、2回目の変身……今度は、ちゃんとユウの意識もある。
「おりゃーーーーーーー!!!」
4本のビームサーベルを振り回し、ジムたちのライフルを真っ二つに切断。
驚く彼らに、間髪入れずにパンチを食らわせ、最後に胴体をビームサーベルで一刀両断。
アースリィの方も交戦していたジムを難なく撃破し、ヒエノドンは残すところ後一機のみとなった。
『こ、こんな連中に勝てるか!!もっと安全な場所で……!!』
アースリィガンダムとレインボーユニコーンガンダム デストロイモードという強敵二人を目の当たりにし、逃げ出そうとする最後のジム。
だがしかし、この状況で見逃すほど彼女たちは優しくは無い。
「おっと~、カナタちゃん的には、そういうのよくないと思うな~。」
『え?』
気が付いて上を向いた時にはすでに遅かった。
いつの間にかアースアーマーが分離したプラネッツシステムに乗っていた、近江彼方のアバター『カナタ』の操るガンダムビヨンドバルバトスが、ジムの上に落下してきて彼の顔面をメイスで粉々に砕いた。
大爆発を起こし、全滅したヒエノドン。
戦いが終わると、NT-Dの代償としてユウは気絶し、ヒロトに背負われるとエマとカリンの下へ向かった。
~~
すでに、両者のガンプラはボロボロだった。
頭部パーツはもはや原型がわからない位まで歪みまくり、手の甲のパーツも破損している。
それでも、二人は殴り合いをやめなかった。
「ま、まだ続けるの……果林ちゃん……?」
『当たり前よ……まだ、私もあなたも、言いたい事を言えてないじゃない……!』
「私、もう果林ちゃんの悪口は言いたくないよぉ……。」
『そうじゃない……そうじゃないのよエマ……私が伝えたい事は……私の、本音は……!!』
拳を握りしめたキュベレイ・ビューティー。
ヴェルデブラストの胸部パーツを掴み、その顔面を殴り飛ばす。
『私は、あなたの事が好き。あなただけじゃなくて、同好会の皆や、応援してくれるファンの皆の事が大好き。そして、あなたとやったガンプラバトルが、大大大好きなの!!』
踏みとどまったヴェルデブラスト。
こちらもキュベレイ・ビューティーの肩を掴み、強烈な頭突きを喰らわせた。
「私も果林ちゃんの事大好き!!彼方ちゃんも侑ちゃんも歩夢ちゃんも愛ちゃんもせつ菜ちゃんも、かすみちゃんも璃奈ちゃんもしずくちゃんも栞子ちゃんも、皆の事が大好きだよ!!!私だって、本当は皆とガンプラバトルやってみたい!!だけど、サラちゃんの事もGBNの事も見殺しにしようとした私に、そんな資格なんて無いじゃない!!」
『資格って何よ!!あなたも知ってるでしょ、私の頭の悪さ!!難しい話なんて知らないわよ!!だってこれはゲームじゃない!!ゲームって、楽しむためにあるものでしょ!?私は、あなたと一緒にコンビを組めて楽しかった!!それでいいじゃない!!』
「違う……違うんだよ、果林ちゃん……!」
『この……!』
最後の力を振り絞り、構えた両者。
ボロボロになった腕を振り上げ、キュベレイ・ビューティーとヴェルデブラストガンダム、カリンとエマは、最後のパンチを放つ。
『エマの、頑固ものーーーー!!!』
「果林ちゃんの、わからずやーーーー!!!」
キュベレイ・ビューティーとヴェルデブラストガンダム、両者のクロスカウンターが決まった。
両者とも顔面が完全に破壊され、そのまま地面へと倒れこむ。
HPが無くなり、機能停止した二体のガンプラから、カリンとエマが飛び出し、地面を転がった。
二人とも向かい合うように倒れこみ、体が動かない。
起き上がろうとはするが、手にも足にも力が入らなかった。
「うぅ……。」
「アハハ……動けないね、果林ちゃん……。」
「そうね……もう一歩も……、」
「しょ~がないなぁ~。」
倒れた二人の手を、誰かが握った。
顔を上げると、そこには笑顔のカナタがいて、二人の手を優しく握る。
「彼方ちゃん……?」
「ごめんねエマ。私が頼んだの。彼方に、エマをここに呼んでもらうように……。」
「そっか……それで侑ちゃんに……。」
「ありがとうね彼方。私のわがままを聞いてくれて。」
「ううん、いいんだよ~。彼方ちゃん、いつもの二人の事が大好きなんだもん。二人のためなら、彼方ちゃん、ひと肌でもふた肌でも脱ぐよ~。」
「実は、彼方が提案してくれたのよ。エマと、喧嘩してみたらって。」
「彼方ちゃんが?」
「だって、エマちゃんも果林ちゃんも、いつもは同好会のお姉さんとして皆のお手本になるようにしてくれてるでしょ?彼方ちゃん、そんな二人にいつも感謝してるよ。……でも、本当はエマちゃんも果林ちゃんも、すごく子供っぽい一面もあるって事も知ってる。だから、たまに子供っぽく喧嘩してみたら~って、思っただけだよ。」
微笑むカナタの表情は、とても優しかった。
上半身だけでもようやく起き上がれるようになった二人。
ボロボロになったお互いのガンプラを見て、カリンはエマに問いかけた。
「で、どうだったかしら?」
「……すごく、楽しかった……。普段言えない事を言って、私の全力を果林ちゃんにぶつけて……すごく楽しかったよ……。でも、それでも私は……!」
「ヴェルダー。」
突然聞こえた声に、エマはハッとした。
振り返った先にいたのは、かつて同じフォースで切磋琢磨した仲間のガンプラ。
気を失ったユウを背負ったまま、アースリィガンダムから降りてきた彼は、エマの下に歩いてきた。
「ひ……ヒロトくん……!?」
「ヴェルダー……いや、エマ。話は全部カリンから聞いた。ごめん。あの時の俺の選択が、君をそんなにも追いつめていたなんて……。」
「ち、違うよ!!ヒロトくんは悪くないよ!!全部、私が勝手に……!」
「あぁ、もう!!」
動かない腕を無理やり動かし、カリンがエマの両頬をつねった。
キョトンとする彼女に向かって、カリンが叫ぶ。
「だからあなたは頑固だって言ってるの!!言ったでしょ!!楽しかったらそれでいいじゃないって!!」
「い、いひゃいよ~……かりんひゃん……。」
「あなたも前に私に言ったでしょ!?やりたい事ならやろうって!!あなたがそう言って私を引っ張ってくれたから私はスクールアイドルになれた!!だったら今度は私の番!!あなたは、どうしたいのエマ!!」
カリンが手を放し、自分の頬を擦るエマ。
カリンとカナタ、ユウを順番に見ると、最後にヒロトを見る。
「エマ、俺も同じだった。自分の行いを後悔しない日は無かった。ガンプラバトルを、楽しもうなんて思えなかった。だけど、そんな俺を変えてくれた人たちがいたんだ。」
「それは……?」
「カザミ、パル、メイ、フレディやエルドラの皆、リク達や隊長、それにヒナタ……BUILD DiVERSの仲間たちと出会えたから、俺は変われた。新しい自分に生まれ変われたんだ。今の俺には、俺を支えてくれた仲間がいる。君にもいるんだろ?君を支えて、応援してくれる仲間が。」
そう言って、ヒロトの目線の先を見た。
カリンやカナタ、そしてユウ……同好会の皆の顔が浮かぶ。
皆の事を想うと、思わず涙が溢れ出た。
流れる涙を止める事無く、エマはカリンとカナタに抱き着く。
「本当にいいのかな……?私、サラちゃんやGBNを守ろうとしなかったのに……本当に、いいのかな……!?」
「当たり前じゃない。私たちだって、それを望んでいるのよ。」
「彼方ちゃん、二人と一緒にバトルしたいな~!やりたいミッション多すぎて困っちゃうよ~!」
「という事らしいわよ。私たちがしっかり彼方の事守ってあげないとね!」
「え~!?彼方ちゃんめちゃめちゃ強いから大丈夫だよ~!」
「うん……やろう!私も、皆と一緒に楽しみたい!フォースバトルもやりたいし、連戦ミッションや、フリーバトルや……ロータスチャレンジだって挑戦してみたい!皆で、一緒にやりたいよぉぉ!!」
~~
「……んん……ハッ!!エマさんとカリンさんは!?」
ロビーに戻ってきて、ユウは目を覚ました。
あたりを見渡すと、そこにはエマ、カリン、カナタの3人が一緒にミッションカウンターを見ていて、それを離れた場所でヒロトが見守ってる。
ヒロトはユウに気が付くと、彼女の下へ。
「起きたか。大丈夫か?」
「あ……は、はい!」
「それはよかった。あの二人ならもう大丈夫だ。二人の絆を取り戻せて、本当によかった。」
「うん……よかったよ、本当に……!」
「そう言えばまだ名乗ってなかった。俺はヒロト。」
「BUILD DiVERSのヒロトさんですよね!?私、ユウって言います!!エルドラミッション見てました!!皆熱くて、真剣で、私すっごくときめいちゃいました!!」
「ユウ?そうか、君がマサキの言っていた……。」
「マサキさんから?」
ユウの名前を聞くと、ヒロトはユウへ手を差し出した。
そして、次の言葉にユウは衝撃を受けた。
「これから君たちがフォースを組んだなら、初めての対戦相手に俺たちを選んでほしい。マサキが言っていた。君たちとなら絶対に楽しいバトルが出来るって。俺も、今日の君たちを見てそう思った。」
「え、あ、え……い、いいんですか!?」
「もちろん。君たちさえ、よければだけど。」
「こ、こちらこそお願いします!!うわぁ!すごい!私、BUILD DiVERSとバトルの約束しちゃった!!どうしよ~すっごいときめき~!!」
握手を交わしたユウとヒロト。
喜びのあまり周りを駆け回りながら、ユウは3人の下へと駆け寄っていった。
4人で楽しそうにミッションを選んでいる彼女たちを見て、ヒロトは少し微笑むと、何も告げずにログアウトして行った。
~~
「ふぅ……。」
「お疲れ様、ヒロト。」
「あぁ、ただいまヒナタ。」
ダイバーギアとコアガンダムIIをGBNから取り外したヒロトは、リアルに戻ってきた。
隣を見ると、果林と彼方がまだログインしたままで、当分二人とも帰ってきそうにない。
ヒロトの満足げな顔を見てヒナタは何があったのか察したのか、彼の肩をポンと叩く。
「よかったね!」
「うん。あの二人ならきっともう大丈夫だと思う。絆を取り戻せてよかった。」
「うふふ!」
「どうしたんだよ?」
「やっぱりヒロトはヒーローだなぁって思ってさ!」
「なんだよそれ。それより、そろそろ時間だろ?行こう、皆待ってる。」
「うん!私もやっと『オフラインミーティング』ってやつに参加できる~!」
「ヒナタはリアルで会うの初めてだったよな。メイとカザミの変わりっぷりは驚くぞ。」
「大丈夫だよ!二人とも今じゃすっごく仲良いんだから!」
ガンダムベースを後にするヒロトとヒナタ。
彼らがいなくなった後も、そこでログインしたままの果林と彼方は、ダイバーシティでログインしているエマと侑と共に、楽しい時間を過ごした。
~~
数日後
『ほらほら!!どうしたのよあなた達!!逃げてばかりじゃ特訓にならないわよー!!』
『ウフフ♪逃げなくてもいいんだよ~。大丈夫、私たちがしっかり鍛えてあげるからね~。』
「「「「いやーーーーーー!!!」」」」
初めて11人全員でGBNへログインした虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の面々。
『特訓』と表し、カリンのキュベレイ・ビューティーの無数ファンネルと、エマのヴェルデブラストガンダムの超火力ビーム砲から逃げ惑うのは1年生4人。
防御力の高いりなこのAEドムがタンクを引き受けようとしたが、あまりの気迫に全員で逃げ出す。
「ちょっとしおこ!!ほらあれやってあれ!!なんかビームたくさん出すやつでかすみん達を守ってーーーー!!」
「無理に決まってるじゃないですか!!あんなのに向かって行ったらデスティニーフリーダムが壊れますよ!!」
「ドムちゃんボード『無理、死ぬ』」
「りなこさんしっかりして!!まだあきらめないで!!」
しずこの叫びも虚しく、撃墜されてしまう1年生たち。
それを見ていた2年生4人も、この間まで最強の座に君臨していたアユムのドリームインパルスを盾にしつつ後ろで縮こまる。
「皆!!私を盾にしないで!!」
「いやぁ……アイさんもさすがにアレは相手にしたくないかな~……カリンとエマっち怖すぎ……。」
「大丈夫ですアユムさん!!誠意を見せればきっと許しくれてますよ!!」
「あの二人別に怒ってるわけじゃないと思うよ!?」
「アユム、今日も可愛いよ。私、アユムの戦ってる姿を見てときめきたいな。」
「私は今のユウちゃんを見て幻滅したよ……。」
『じゃあ~、皆はカナタちゃんが相手してあげるよ~!』
「「「「ひぃ!?」」」」
後ろから聞こえた悪魔のささやきに、全員が悲鳴をあげた。
背後から顔を出したビヨンドバルバトスのメイスが2年生たちへ襲い掛かる。
近接の火力だけならば、ドリームインパルスやレインボーユニコーンなど比べものにならない。
『だらしないわよ後輩!!』
『ヒロトくんたちとのフォースバトルに備えて、私たちがみっちり特訓してあげるからね♪』
『覚悟せ~い!』
「「「「先輩たちの鬼ーーーーーー!!!!」」」」
~にじビル毎回劇場~
第9回:AVALONのフォースネストにて
キョウヤ「そうか!ヒロトに続いて、ヴェルダーもGBNに本格復帰したか!」
カルナ「そうらしいっすよ~。なんでも、ヒロトのやつが一枚噛んでるみたいっスね。」
エミリア「ヒロトくん、変わったわね。いい意味で。」
カルナ「そうだよなぁ。最初は結構無愛想なやつって思ってたけど、話してみると面白いやつだったんだよなぁアイツ。」
キョウヤ「ヒロトはカルナのお気に入りだったな。それにしても……本当によかった……。」
エミリア「ヴェルダー……現在のダイバーネームは『エマ』ですが、新しく立ち上げる予定のフォースに所属するみたいですね。」
キョウヤ「え?AVALONに復帰するのではないのか?」
エミリア「そのようです。」
キョウヤ「そ……そうか……そう、なのか……。」
カルナ「どうしたんスか隊長?」
キョウヤ「二人とも、正直に答えてほしい。僕って……そんなに隊長として魅力無いかなぁ……!?」
カルナ「えー……何そのめんどくさい質問……。」
エミリア「隊長。とりあえず、ちびっ子に混ざってトライエイジに興じるのはやめてください。そうすればもう少し魅力的に見えますよ。」