ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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MONSTER GIRLS

栞子とランジュは幼い頃はいつも一緒にいた。

栞子は薫子の影響もあってか、周りとは一定の距離を置くような子供で、友達なんて誰もいなかった。

一方のランジュは友達を作る能力自体は高かったものの、彼女の能力に周りがついていけず、気が付けば周りの子供たちはランジュから離れて行っていた。

そんな時に2人は出会った。

周りと距離を置こうとする栞子に対し、ランジュは構わず友達になろうとした。

そしてそんなランジュの能力に、栞子は着いて行く事が出来た。

気付けば2人はいつも一緒にいて、それはランジュが父親の都合で香港に帰国するまで続いた。

 

 

三船栞子にとって、鐘嵐珠とは人生において欠けてはならない人物だった。

 

そしてそれは、彼女によって人生の大きな転換点に巡り合えたミア・テイラーにとっても同じことだった。

 

 

だからミアはランジュが目覚めない限り、スクールアイドル活動を続けていくつもりは無い。

そのミアの心の壁を壊すことが出来るのは、ミアの大親友の璃奈でも無く、同好会の中心人物である侑でも無く、同じくランジュによって人生が変わった栞子を置いて他に無い。

だからこそ、栞子はミアにガンプラバトルを持ちかけた。

ミアの運命に自由を与え、彼女の心を楽園に解き放つために。

 

 

「ガンダムレギルス……『機動戦士ガンダムAGE』の2人目の主人公アセム・アスノさんの永遠のライバルで、親友でもあるゼハート・ガレットさんの乗るガンダム……ですか……。」

「なんか、普通のガンダムっぽくない見た目だよね。エイリアンチックっていうか……。」

「調べたところによると、ゼハートさんの所属する『ヴェイガン』のモビルスーツのほとんどは異形の形をしているようで、ガンダムレギルスはガンダムAGE-3を解析して作り上げたガンダムの様です。」

 

 

ガンダムベースにて歩夢のサポートを受けながら、栞子はデスティニーフリーダムの強化に使うガンプラを選んでいた。

数あるガンプラの中から彼女が選んだのは、歩夢の使用するブレイブインパルスの元となった『ガンダムAGE-FX』と対を成すヴェイガン側のガンダム……その名も『ガンダムレギルス』

デスティニーガンダムとフリーダムガンダムを組み合わせたヒロイックな姿のデスティニーフリーダムの強化元にしては化け物じみた異様な姿をしているガンプラであり、いわゆる『ゲテモノガンダム』と呼ばれるカテゴリに入るこのガンプラ。

しかし、このガンダムレギルスのパイロットを務めたゼハート・ガレットとは非常に高貴な志を持つ人物であり、敵側のキャラクターであるにも拘らず、自分たちの故郷の人間すべてを救済し、楽園へと導くために戦ったという作品内でも屈指の人気キャラクター。

主人公たちの所属する地球連邦軍とは、お互いの正義をぶつけて戦ったガンダムであり、実質的なガンダムAGEの4機目の主役機となる。

 

 

「本当にコレでいいの栞子ちゃん?栞子ちゃんのガンプラだったら、AGE-3の方が合わせやすいと思うんだけど……。」

「えぇ、これでいい……いえ、これが良いんです歩夢さん。今のミアさんと戦うのに相応しいガンダムは、このガンダムレギルスだと思います。」

「フフフ。」

「な、なにがおかしいのですか?」

「ううん、前の栞子ちゃんだったら、『私の適性にはあいません!』って言って他のガンプラにしてそうだなーって。」

「か、からかわないで下さい!それに、適性が全てでは無いと教えてくれたのは、他らなぬ皆さんではありませんか。特に歩夢さん、私はあなたのライブを見て、初めてそう感じたんですよ。」

「懐かしいね。」

「はい。……私はこのガンダムレギルスと、そしてデスティニーフリーダムで、ミアさんに伝えます。きっとその思いは、ランジュにも届くと思いますから。」

 

 

ガンダムレギルスを組み立てながら、そう呟く栞子。

作業に集中している2人を邪魔しないように、コウイチとモモカがビルドゾーンに仕切りを作ってくれた。

そんなコウイチ達の気遣いに感謝しながら、栞子と歩夢は、今作ることの出来る最強のデスティニーフリーダムガンダムを作り上げた。

 

 

 

 

~~

 

 

決戦当日……登校前にミアはランジュの病室へとやってきた。

相変わらず彼女は目を覚まさず、ランジュの顔を一目見たミアは病室を後にする。

その手には新たな武装を携えたライトニングトールギスが握られていてた。

改めて学校へ向かおうとすると、見覚えのある高級車が目に留まった。

その車の傍には、さらに見覚えのある、年齢の割に若々しい女性と、背の高い金髪の男の姿が。

男は女性へ頭を下げ、女性は横に首を振っていた。

 

 

「この度は私達の力不足で……本当に申し訳ありません……。」

「いいえ、あの子が好きでやった事ですから。あなた方に責任はありませんわ。」

「しかし……!」

「むしろあなたには感謝しているんです、カワグチさん。ランジュも、きっとそう思っています。」

 

 

「理事長と……メイジン・カワグチ……?」

 

 

「! ミアさん……。」

「君は確か、ミア・テイラー。」

「珍しい組み合わせだね。それに、カワグチが頭を下げるだなんて。」

 

 

そこにいたのはランジュの母親でもある虹ヶ咲学園の理事長と、4代目メイジン・カワグチであるキジマ・ウィルフリッド。

どうやら理事長はランジュが入院して以降、毎朝学園に来る前に病院に立ち寄ってはランジュの様子を見に来ているらしい。

それはカワグチも同じようで、偶然理事長と出会ったカワグチは、今回の一件について理事長に謝罪をしていた。

 

 

「私があの時、バンシィ・ノワールを止めていれば、彼女が傷つくこともありませんでした。全ては私の無力さが招いた結果です。」

「頭を上げてください、カワグチさん。」

「鐘理事長……しかし私は……。」

「話は中川さんからも聞いています。あの子は昔から、自分がこうと決めた事は決して曲げない子でした……そのせいでまともに友達も出来なくて……そのあの子が、自分を犠牲にしてでも、友達を助けようとしたんです。母親として、これほど誇らしい事はありませんわ。」

「彼女は心の底から、カツラギ・マリナさんを助ける事を望んでいました。」

「えぇ。あの子はやりたい事は何でもやらないと気がすまない性格でして……今回も、そんなあの子の、やりたい事だったんでしょう。ミアさん。」

「な、何?」

 

 

突然話を振られて、ミアはドキッとしてしまった。

理事長は悲しそうな、しかし嬉しそうに笑うと、ミアに言った。

 

 

「あの子と仲良くしてくれてありがとう。部の事はごめんなさい。これからは、アナタの好きなように学園生活を送ってね。あなたにまで責任を負わせちゃうと、ランジュに怒られちゃうわ。」

「…………。」

「ミア・テイラー……。」

「……もう時間だから、ボクは行くよ。Bye。」

 

 

そっけなくそう言い残し、ミアはその場から立ち去った。

唇をかみしめながら、ライトニングトールギスを握る手に力が入ってしまっていた。

 

 

(ボクの好きなように言っても……)

 

 

 

~~

 

 

そして、ついに迎えた放課後……ニジガクのフォースネスト。

ニジガクのフォースネストは、屋上がライブステージ兼バトルステージとなっており、すでにミアとしおこはお互いにガンプラに乗り込んで両サイドでスタンバイしている。

今回のバトルは身内のみで行われ、観客席にいるのは同好会メンバーの10人。

全員ミアとしおこに注目し、かすみんは大声でしおこへ声援を送る。

 

 

「頑張れしおこーーー!!ぜーーーったいミア子に勝ってよね!!」

「アユムさん、しおこさんのあのガンプラは……。」

「うん。なんとか完成できたよ、セツナちゃん。」

 

 

全員がまず目をやるのは、しおこの乗る新たなガンプラ。

ベースがデスティニーガンダムである事には変わりはないが、フリーダムガンダムの要素は背中のウイングと腰部のクスィフィアス・レール砲にとどめ、一部のフレームをガンダムレギルスの物へと変更。

頭部はデスティニーとレギルスを合わせたようなヒロイックながらもどこかモンスター感強めのデザインとなっている。

シールドは右手にデスティニーの物を、左手にレギルスシールドを装備し、武装はもちろんしおこのもっとも得意とする二丁持ちのビームライフル。

目を引くのはやはり特徴的なバックパック。

今まではデスティニーガンダムのバックパックにフリーダムガンダムのウイングを装備した物だったが、バックパックのベースをガンダムレギルスの物へと変更した事によりウイングの形状も変化。

フリーダムのウイングはそのままではあるが、デスティニーとレギルスを混ぜ合わせたモンスターの様な翼を備えている。

 

 

『ずいぶんクレイジーなガンプラに仕上げて来たね、栞子。』

「そういうミアさんこそ。その武器、ランジュの物ですね?」

『あぁ。』

 

 

対するミアのライトニングトールギスの武装は、ランジュのシランジュの破壊されたシランジュバスターライフルを改造した物を使っている。

シランジュは修復が出来ないほどに壊れてしまっていた為、使えそうなパーツを寄せ集めて作られたその武器は、さながらシランジュが変形して出来たかのような形状をしている。

サブユニットのランページグリフォンに跨り、片手にテンペストランス、もう片手に新たに作り上げた『シランジュリペアライフル』を構え、ミアは目の前のしおこを見据えた。

 

 

『約束通り、ボクが勝ったら、ボクの選択に一切の口出しはしないでもらう。』

「私が勝てば、ミアさんの力を同好会に貸していただきます。」

『OK、それじゃあ始めようか。』

 

 

両者構えを取り、バトルフィールドの緊張の渦に包まれる。

そして、ついにその時が訪れた。

 

 

『BATTLE START』

 

 

『ミア・テイラー!ライトニングトールギス&ランページグリフォン!!Ready Go!!』

 

『三船栞子!デスティニーフリーダムガンダム・エデンロード!!参ります!!』

 

 

 

まず最初に動いたのは、しおこの新たな愛機……デスティニーフリーダムガンダム・エデンロード。

背面のバックパックから伸びた、尻尾の様なパーツが地面を叩き、4枚のウイングバインダーから放出したエネルギーで一気に加速。

一瞬でライトニングトールギスとの間合いを詰めると、その胸にビームライフルを突き付けた。

 

 

『!? 速い!』

 

 

だが、そこはニジガクどころかGBNでもトップクラスのスピードを誇るミアのライトニングトールギス。

ランページグリフォンのスピードは生まれ変わったデスティニーフリーダムをも上回り、しおこが引き金を引く前にその場から離脱。

空中に舞い上がったライトニングトールギスは、シランジュリペアライフルを構えてデスティニーフリーダムを狙撃した。

今までライトニングトールギスは接近戦に重きを置いた機体であり、シランジュリペアライフルは初の射撃兵装となるが、その腕は確かであり、不意を突かれたデスティニーフリーダムはその攻撃を受けてしまった。

 

 

「うっ……や、やっぱり速い……。」

『どうしたのさ栞子。せっかくガンプラをパワーアップさせたのに、前より弱くなってるんじゃない?上がったのはスピードだけかい?』

 

 

 

今度は腰部背面に下げていたコレクションアロンダイトを手に取るデスティニーフリーダム。

次は接近戦をしかけるのも、やはり軍配は騎士ガンダムとして接近戦用に作られているライトニングトールギスに上がる。

デスティニーフリーダムの攻撃をテンペストランスでいなし、シランジュリペアライフルで胸中を撃ち抜いた。

 

 

「きゃあ!」

『エデン・ロード……楽園の主だなんて、たいそうな名前の割にボクの攻撃に全く対応できてないじゃないか。舐められたもんだね。』

 

 

その後も、ライトニングトールギスとランページグリフォンの猛攻は続く。

スピードは上がっているが、回避と攻撃が上手くいかない。

一方的にやられるデスティニーフリーダムの姿を見ていた同好会メンバーは不安そうな表情を浮かべる。

 

 

「ね、ねぇエマ……あれ、まずいんじゃない……?」

「エデンロード自体は間違いなく高性能なガンプラのはずなのに、しおこちゃんの操作が全然追いついてないんだよ。このままじゃ負けちゃう……!」

「アユムさん、どうしてしおこさんはガンダムレギルスを選んだんですか?しおこさんなら、こうなる事を予測できたはずですよね?」

「今のしおこちゃんは、性能や適性より、レギルスに込められた想いを選んだんだよ、しずこちゃん。」

「レギルスの想い、とは?」

「きっと大丈夫!皆、栞子ちゃんを信じよう!」

 

 

 

アユムがそう言うと同時に、空中でデスティニーフリーダムはライトニングトールギスに落とされた。

バトルステージに叩き付けられたデスティニーフリーダムに、ライトニングトールギスはテンペストランスを突き付ける。

 

 

『あっけなかったね、栞子。』

「……………。」

『コレでボクの勝ちだ。GoodBy。』

 

 

そうして、ライトニングトールギスはテンペストランスをデスティニーフリーダムへと突き刺した。

だが、その時にミアに予想外の事が起きた。

なんと、デスティニーフリーダムはそのテンペストランスを、命中する寸前で右手で掴んできた。

ランスを掴んだまま立ち上がったデスティニーフリーダムは、そのままテンペストランスにパルマフィオキーナを放ち、へし折ってしまった。

 

 

『SEED』

 

 

「ようやく、慣れてきました。」

『慣れてきた……?』

「えぇ、これからの私は、一味違います。」

 

 

しおこのデスティニーフリーダムが改修前より弱かった理由は、改修前との操作性の違いにあった。

アユムと同じくSEEDとAGEを組み合わせたガンプラではあるが、シルエット機能を活かしているおかげでドリームインパルスとさほど操作性の変わらないブレイブインパルスに対し、エデンロードの場合はフレームをレギルスの物へ変更しているため操作性が大きく異なる。

練習時間もなかったせいでしおこはこのガンプラをうまく操れなかったが、今のバトルの中でようやくコツを掴んできた。

先ほどまで荒々しく佇んでいたデスティニーフリーダムは、日舞をしている栞子のような美しい姿勢で立ち上がると、両手に構えたビームライフルをライトニングトールギスへ向けた。

 

 

「行きますよ……ミアさん!!」

『ここからが本当の勝負ってわけだね!』

 

 

正確に狙いを定め、デスティニーフリーダムはライトニングトールギスを狙撃。

自慢のスピードでそれをかわしていくが、しおこは常にライトニングトールギスの行動を計算、予測をし、そこへ先回りするかのようにビーム攻撃を放つ。

見事に作戦は的中し、初めてライトニングトールギスへダメージを与える事に成功した。

負けじとライトニングトールギスもシランジュリペアライフルでデスティニーフリーダムを狙い撃つが、両腕に備え付けたシールドが彼女をその攻撃から守る。

ライトニングトールギスの攻撃を完全に防ぎ切ったデスティニーフリーダムは再びビームライフルを構えると、目にも止まらぬ早撃ちでライトニングトールギスを撃ち抜いた。

 

 

『くっ……!へぇ、やるじゃん……栞子。』

「ミアさん、本気で来て下さい。私と、このデスティニーフリーダムガンダム・エデンロードが、全て受け止めてみせます!」

『わかったよ。合体!ランページトールギス!!』

 

 

ミアが叫ぶと同時に、ランページグリフォンがバラバラに分解され、アーマーパーツとしてライトニングトールギスに装着された。

圧倒的なスピードに加え、攻防に優れた最強形態であるランページトールギスへと合体を遂げると、シランジュリペアライフルの持ち方を変えて、トンファーのように構えた。

それを見たしおこもビームライフルをコレクションアロンダイトへと持ち替え、両者接近戦に突入。

 

 

「『かませ!!』」

 

「デスティニーフリーダム!!」

『ランページトールギス!!』

 

 

 

どちらもスピードに優れるガンプラの為、両機の空中での格闘戦を肉眼で見切れる者は少ない。

その迫力に圧倒されつつも、全員が2人のバトルの行く末を見守る。

 

「す、凄い迫力……ミアちゃんもしおこちゃんも、どっちも本気だ……!」

「本当はしおってぃーを応援しなきゃだけど……こんなバトル見せられたら、ミアチの事だって応援したくなっちゃうよ!」

「2人ともーーーー!!頑張れーーーーー!!!」

 

 

 

10人からの応援を受けながら、お互いに一歩も譲らない攻防を繰り広げるデスティニーフリーダムとランページトールギス。

コレクションアロンダイトとシランジュリペアライフルをぶつけながら、ミアはしおこへと尋ねた。

 

 

『やるね栞子!!そんなにボクを同好会に入れたいのかい!?』

「私はただ……皆が幸せになれる選択をするだけです!!」

『その選択は、ボクやランジュが本当に幸せになれるのか!?』

「……ミアさん、あなたはエデンロードを楽園の主と言いましたけど、違います。このガンダムは『Eden Load』……楽園への道という意味を持つガンダムです。」

『道だって?』

「ガンダムレギルスは皆を楽園へ導くために生まれたガンダム……そのレギルスの力を受け継いだデスティニーフリーダムで、アナタもランジュも救って見せます!!」

 

 

 

~~

 

学園での仕事を早く切り上げた理事長は、その日の放課後もランジュのお見舞いに来ていた。

病室の中へ入ると、そこには今朝であった男の姿もあり、お互いに気が付くと会釈をした。

 

「カワグチさん、来て下さったんですね。」

「鐘理事長!勝手に申し訳ありません……。」

「いつもランジュの事を気にかけて下さってありがとうございます。あなたの様な先生を持って、ランジュは幸せ者ですね。」

 

未だに目を覚まさないランジュと、そのランジュを見守るカワグチを見て、理事長がそう言った。

彼女がカワグチの隣に座ると、彼は同好会メンバーから聞いていた話を理事長に話した。

 

「今日、ミア・テイラーの所属を掛けて同好会の子たちがバトルをするそうです。」

「そうなんですね。」

「ランジュ……いえ、娘さんなら、何と言うでしょうか。」

 

カワグチの質問に、理事長は少し考えた。

そしてランジュの手に自分の手を重ねると、彼に答えた。

 

 

「そうですね。この子は我儘で自分勝手な所があるけど、人の幸せをちゃんと喜んであげられる子。きっとどんな結果になっても、それがミアさんの幸せに繋がるなら、いつもの様にこういうはずです。『無問題ラ』って。」

 

 

「……そう、ですか……。」

「……あら?」

「どうされたのですか?」

「今、ランジュの指が動いたような……。」

「!! 先生を呼んできます!!」

 

 

 

 

 

~~

 

 

未だ空中での格闘戦を繰り広げる両機。

デスティニーフリーダムはランページトールギスを蹴り飛ばし、再びビームライフルを構える。

背面のウイングに収納されていたビーム砲と、腰部のクスィフィアス・レール砲、そしてビームライフルを正面に構えたデスティニーフリーダムは、さらに光の翼を展開。

ランページトールギスのありとあらゆる部位をロックオンし、最大火力の技を放つ。

 

 

「ハイマット・フルバースト!!」

『ま、まずい!』

 

 

デスティニーフリーダムの最大威力の技であるハイマット・フルバーストがランページトールギスを襲った。

この攻撃さえ回避すれば、あとはパワーダウンしたデスティニーフリーダムは自滅するはず。

そう考えたランページトールギスは全力でハイマット・フルバーストの攻撃から回避を続ける。

シランジュリペアライフルからビームを放出すると、その出力を絞り、ビームサーベルの様に展開。

デスティニーフリーダムの懐へと潜り込む。

しかし、SEEDの能力を持つしおこがそれを予測できないはずも無く、コレクションアロンダイトでその攻撃をガード。

 

 

『ハハハ!!最高だよ栞子!!手に汗握る、最高のバトルだ!』

「…………!」

『だけど……勝つのはボクだ!!』

 

 

いったん退避し、再び全速力でデスティニーフリーダムへと突撃していくランページトールギス。

先ほどと同じようにコレクションアロンダイトを構え、迎え撃つ体勢に入ろうとする。

しかし、ランページトールギスの攻撃があと少しで届く……その瞬間、しおこは信じられない行動に出た。

その行動は、誰も、ミアすらも予測できない物だった。

 

 

なんと彼女は、攻撃が命中する寸前に武器を捨て、そのままランページトールギスのビームサーベルに貫かれた。

 

 

 

 

~~

 

 

バトルを終え、現実へと帰還してきた同好会メンバーとミア。

ミアは戻ってくるのと同時にGBNのヘッドギアを乱暴に取り外すと、同じタイミングで戻って来た栞子に怒りの形相で詰め寄って来た。

声を荒げながら栞子の胸倉を掴み、彼女を壁に叩き付けた。

 

 

「どういうつもりだよ栞子!!」

「み、ミアちゃん落ち着いて!」

「うるさいな!!なんの真似だよ……わざと負けただろ!!」

「……………。」

 

 

侑の制止を振り払い、ミアは栞子に怒りを露わにする。

最後のランページトールギスの攻撃……SEEDを発動した栞子とデスティニーフリーダムが回避できないわけが無かった。

それどころか、迎え撃つ体勢に入っていたデスティニーフリーダムのカウンターが決まれば、間違いなく負けていたのはミアだった。

しかし栞子は途中で武器を捨て、そのままランページトールギスの刃に倒れた。

 

 

「ボクは本気でバトルしていたんだ!!なのに……どうしてあんな真似をしたんだよ!!」

「………私はただ、ミアさんの本心が知りたかったんです。」

「なんだって?」

「最初はあなたに勝って、同好会に入部してほしくて戦いました。でも、バトルを続ける中で、本当の楽しそうにバトルをするあなたを見て、ミアさんの本当の気持ちを確かめたかったんです。」

「ボクの、気持ち……?」

「私が勝てば、あなたは同好会に力を貸してくれる……けど、それだけでは、ミアさん自身を幸せにすることは出来ない。だから私は、全力でバトルをしたうえで、選択をあなたに委ねようと思ったんです。」

「ぼ、ボクは……!」

 

 

栞子の胸倉を放し、後退するミア。

今度は逆に栞子がミアの前までやって来た。

 

 

「私とバトルをしてる時、あなたは本当に楽しそうでした。きっとあれが、あなたの本心のはずです。」

「ッ………。」

「教えてくださいミアさん。あなたが今、本当は何をしたいのかを。そして選んでください、あなたが本当に幸せになれる道を。」

 

 

栞子の言葉にミアは頭を抱えようとする。

しかし栞子はすぐさまミアの手を取り、ギュっと握った。

まっすぐ自分の目を見つめる彼女の前に、ついにミアは折れて、胸の内を語ってくれた。

 

 

「……本当はボクだって、もっと君たちと一緒にいたいよ……。」

「ミアちゃん!」

「スクールアイドルだって続けたい……こんなに胸が熱くなる事、他に無いよ!ガンプラバトルだって、もっともっと強くなりたい!まだまだニジガクにいたい……まだ、璃奈と約束したゲームだってやってないし、侑と行くって言ったベースボールの試合だって見に行って無い!だけど、ランジュを置いてボクだけ同好会に入るのは……。」

「んっふっふ~!甘いよ~ミア子~!」

 

 

ミアの言葉を遮ったのは、かすみだった。

彼女はいたずらをする時に浮かべるような笑みを浮かべながら、人差し指を立てた。

 

 

「同好会はと~~っても心が広いのです!今更2人増えるぐらい、な~んにも問題ないのです!」

「2人……?」

「ミアちゃんと、ランジュさんだよ。」

「2人が入ってくれると、同好会はもっとパワーアップ出来ると思うんだ!ダメかな、ミアさん?」

「ボクと、ランジュも……?」

「当然じゃないですか!私達、同じスクールアイドルで、同じガンプラファイターで、同じニジガクの仲間なんですから。」

 

 

ミアは栞子の手を放し、その場にいる全員を見た。

誰もミアとランジュを同好会に入れる事に反対する者などいない。

それどころか、全員が2人の入部を望んでいる。

しばらく考えた後、ミアは決心をした。

そして、その答えを出そうとした次の瞬間……侑のスマホが鳴った。

 

 

 

「あ、ご、ごめん電話!……カワグチさん?はい、もしもし、高咲です……え!?」

 

 

電話の相手は4代目メイジン・カワグチ。

しばらく電話で話すと、侑は慌てて全員へ叫んだ。

 

 

「皆!!ランジュちゃんが!!」

 

 

 

 

 

~~

 

 

カワグチからの呼び出しを受け、急いで病院へと駆けつけた12人。

息を切らしながら病室へと駆けつけ、ミアが勢いよく病室のドアを開ける。

そして、目の前にいる少女へと向けて叫んだ。

 

 

「ら、ランジュ!!」

 

 

「………ニーハオ……フフ、元気そうね、皆……。」

 

 

そこには、ベッドに横たわり、いつも様な元気は無いが、確かに意識を取り戻したランジュの姿があった。

その隣では理事長が目を赤く腫らし、カワグチはサングラスを掛けていて目元は見えないが、口だけは笑っていた。

目覚めたランジュの姿を見て、思わずせつ菜はその場で膝から崩れ落ち、安堵の余り腰が抜けてしまっていた。

 

「……ランジュね、夢を見たのよ……見た事も無いガンダムが、ランジュを起こしに来てくれたの……。」

「見た事の無い、ガンダム……?」

「えぇ……きっとあれは栞子ね。ランジュにはわかるわ……だって、親友だもの……。」

「~~ランジュッ!!」

 

 

思わず涙を流しながら、栞子はランジュに抱き着いた。

すぐ傍にはミアも近づき、彼女の顔を見ると、ランジュはニコッと笑った。

 

 

「なによぉ……栞子もミアも、泣き虫ね……。」

「……誰のせいだと思ってるんだよ!!……全く、本当に君は……簡単にはくたばらない……MONSTERだよ!」

 

 

その後、まだランジュは絶対安静と言う事で、その場にいた医師から病室を追い出された12人。

病室の外に出ると、ミアは侑を呼びとめた。

彼女が何を言いたいのかは、もうその場にいる全員判っている。

それでも、ミアの口から直接聞きたい……そう思って、全員で足を止めた。

 

 

「決めたよ。ボクとランジュは、正式にスクールアイドル同好会への入部を希望する。」

「~~ミアちゃん!」

「止めたって無駄だよ。栞子と約束したんだからね。ボクが勝ったら、ボクの選択には一切口出ししないって。今度のガンフェスの前夜祭ライブでも、一番目立つのはこのボクさ。」

 

 

「むっ!新入りなのに生意気だよミア子!」

「ボクの方が先輩だよ、子犬ちゃん。」

「子犬じゃない!!それに同好会の中じゃかすみんの方が先輩だもんね!」

「ミアちゃんと一緒にライブが出来るなんて、私、嬉しい!璃奈ちゃんボード『にっこりん♪』!」

「ボクもだよ璃奈!一緒に頑張ろう!」

「相変わらず仲良しだね~、ミアちゃんと璃奈ちゃん~。」

「これで、役者は揃いました……あとは……!」

「うん、バンシィ・ノワールに私達の大好きを届けて、マリナちゃんを助け出す!その為に、私とレインボーユニコーンガンダムが、バンシィに皆のライブを届けるよ!」

 

 

ミアとランジュを加え、ついにリアルでも13人となったスクールアイドル同好会。

 

決戦のガンダムフェスまで、残すところあと数日となった。

 

 

 

 

~~

 

 

同じ頃、ヤジマ商事に軟禁されたカツラギ。

彼はここ数日の本社の動きに疑問を抱き、単独で真相を調べていた。

 

 

(私からゲームマスター権限を剥奪し、さらに徹底的な隠ぺい……間違いなくヤジマ商事は何かを隠している……このタイミングで、となると、おそらくバンシィ・ノワールに関係する事で間違いないだろう……しかし、何故……?)

 

 

GBNのゲームマスター権限を剥奪されたとはいえ、彼はすでにGBNのプログラムを隅々まで熟知している。

ゆえに、この不自然な事態に違和感と危機感を覚えた彼は、内部の人間にしか行うことの出来ないハッキングを行った。

失敗が許されない為に準備に手間取ってしまったが、これでようやく真相を知ることが出来る。

そして、ついにネットワークの最深部へと到達したカツラギは、そこに記されている内容を目にし、驚愕した。

 

 

「ま……まさか……!?マリナが……バンシィ・ノワール……!?」

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第97回:100話

かすみ「パンパカパーン!今回でついに、ニジガクビルドダイバーズが100話を突破しましたー!」

ミア「なっが……。」

しずく「長すぎると20話ぐらいからついてこれなくなるよ?」

璃奈「3部のところまるごと削れば30話ぐらいは短縮できそう。」

栞子「2部もそこそこ削れるところありますよ。」

かすみ「テンション低い!?なんでぇ!?100話だよ!?」

栞子「いえ、かすみさん。実は100話ではありません。」

かすみ「どゆこと?」

ミア「あー……確かに。」

璃奈「途中でシャッフルフェスティバル記念の回があったから。」

しずく「正確には99話+番外編だね。」

かすみ「いやいやどうでもいいじゃんそんなの!」

しずく「どうでもよくないよ!!!」

かすみ「ひぃ!?し、しず子……?」

しずく「本編と番外編は違うの!!番外編っていうのは、本編の息抜きや補完なんかに使う、普通とは少し違う特別な回なの……番外編でしか見れない人間模様軟化を楽しむ為の物で、それは絶対に本編と一緒にしちゃいけないの!!」

璃奈「しずくちゃん、こういう話題には敏感……璃奈ちゃんボード『地雷』」

ミア「とりあえずボクは100話までに同好会入りできたからよしとするよ。」

栞子「ミアさん、同好会加入おめでとうございます!」

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