最近お仕事忙しすぎてお休みが欲しいです。
ミス・トーリからもたらされた黄金のガンプラ……クリムゾンフェネクス。
『機動戦士ガンダムNT』のヒロインであるリタの精神を宿したモビルスーツであるユニコーンガンダム3号機『フェネクス』をベースに、せつ菜、ランジュ、マリナの3人が作り上げた思い出のガンプラ。
真紅のサイコフレームはせつ菜のイメージカラーであるスカーレットをイメージしているが、黄金の装甲の光が反射して、一部はランジュのイメージカラーのピンクゴールドにも見える、マリナが調色した特殊な塗料を使用して作られている。
完成したその日にマリナと喧嘩別れしてしまい、そのままマリナの家に保管されていたこのクリムゾンフェネクス。
ちょうどこのクリムゾンフェネクスの制作を始めた時に、せつ菜とランジュはカツラギと出会っている。
その際にカツラギはこのクリムゾンフェネクスの存在を知り、いざという時にせつ菜かランジュのどちらかにこのガンプラが渡るようにしてくれていた。
全てはマリナをバンシィ・ノワールから救い出すために。
「クリムゾンフェネクス……アタシ達で作ったガンプラ……。」
ランジュはバンシィ・ノワールとの戦いで愛機であるシランジュを失っている。
せつ菜のスカーレットエクシアのように、直せば使えるというレベルではなく、一部のパーツをかき集めて作れたシランジュリペアライフルを除けば完全に大破してしまっている。
クリムゾンフェネクスを使えば、ランジュはまたGBNで戦うことはできる。
「これがあれば、アタシもマリナのところへ……!」
そう思い、ランジュはダイバーギアを手に取る。
しかし、ダイバーギアを手に取った瞬間、バンシィ・ノワールと戦った時の光景がランジュの脳裏によみがえった。
シランジュを通してランジュの身体へ伝わる激痛。
目の前で傷つくせつ菜のスカーレットエクシア。
マリナの顔で狂気に満ち溢れた表情を浮かべるバンシィ・ノワール。
そして砕け散る愛機、シランジュ。
他の人よりも感受性豊かなランジュだからこそ、その時の恐怖が忘れられない。
死に直面した人間だけが感じるであろう恐怖を、生きながらにして味わった。
身体はどこも傷ついていないのに、それ以上に心を壊される精神的激痛を、何度も思い出してしまう。
「こ、怖い……震えが止まらないわ……。」
普段気丈にふるまっているランジュでも、元は普通の女子高生。
あんな体験をして、まだガンプラバトルを出来るほど強くはない。
しかし、クリムゾンフェネクスを見ていると、あの日の事を思い出した。
(生まれ変われたらとか、そんな事言わずに!今!ランジュ達と一緒にスクールアイドルをやりましょうよ!)
(なんで、そんな酷い事言うの……?私がスクールアイドル出来ないって、わかってる癖に!!)
(ランジュさんは良いよね……思いつきで始めたスクールアイドルですぐに人気者になって、たくさんのファンに囲まれて……。私だって……私だって、あんな事故が無かったらスクールアイドルになりたかったよ!!スクールアイドルになって、大好きな歌を、パパやママに聞いてもらいたかったんだよ!!だけど……だけどぉぉ……!!)
「……あの時のマリナも、きっと怖かったのよね……。」
クリムゾンフェネクスを作り上げたその日、ランジュはマリナをスクールアイドル部に勧誘してしまった。
何年間も表に出すことのなかった気持ちに土足で踏み入られた時のマリナの恐怖は、きっとバンシィ・ノワールに負けた時のランジュの比では無いはず。
諦めた夢を口に出すことに、恐怖を覚えない人間などいるはずがない。
「大好きな夢を諦めて……あれ?でも、それっておかしくないかしら……?」
その時、ふとランジュは疑問を持った。
あの日、確かにマリナはスクールアイドルの事が大好きだと言っていた。
しかしマリナの愛機がバンシィ・ノワールだったと判明した時、バンシィ・ノワールはマリナがスクールアイドルを大嫌いになったと言っていた。
その心からバンシィ・ノワールが生まれたのだとしたら、マリナがスクールアイドルを嫌いになったことは間違いない。
「マリナの大嫌いからノワールが生まれたんだったら、あの時のマリナの言葉は嘘……?いいえ、そんなはず無いわ。確かにマリナはスクールアイドルが大好きだった。それは、あの子の歌を聞いたアタシが一番よく知ってる。けど、ノワールも嘘をついているようには思えない。」
改めて、もう一度クリムゾンフェネクスを見る。
まもなく同好会のライブが始まろうとしている。
今頃、侑はバンシィ・ノワールと激しい戦いを繰り広げているだろう。
「……クリムゾンフェネクス……アタシに、力を貸してくれる……?」
~~
バンシィ・ノワールに押さえつけられ、地面を引きずられたフルユニット・レインボーユニコーンガンダム。
すさまじい速度でHPが減っていくが、ユウは全く諦めていない。
なんとかレバーを操作し、両肩のアームドアーマーQ4を展開してそこからミサイルを発射。
ミサイルはそのまま地面で爆発し、その爆風に巻き込まれてバンシィ・ノワールとレインボーユニコーンが両者とも吹っ飛ばされた。
バンシィ・ノワールはアナザーノワールによる急速回復、レインボーユニコーンはシールドファンネルによるサイコフィールドで身を守り、爆発によるダメージはお互い受けてはいない。
「はぁ……はぁ……!」
「ユウ、大丈夫?」
「うん……それよりサラちゃん、時間は?」
「もうすぐ。あともう何分も無いわ。」
「そっか……ノワール!!」
シールドファンネルを両腕と背面に装着し、ユウはバンシィ・ノワールへと叫んだ。
その声を聴いたバンシィ・ノワールは構えていたノワールブラスターをおろし、レインボーユニコーンをにらみつけた。
バンシィ・ノワールが自分を見たことを確認すると、ユウはコンソールパネルを操作し、頭上に巨大なスクリーンを展開した。
『なんだ、それは。』
「見て、ノワール。」
『見ろだと……?』
レインボーユニコーンの頭上に現れた巨大なスクリーン。
しばらくすると、真っ黒だったスクリーンに光りがともり、映像が映し出された。
そこに映し出されていたのは、ユウの仲間である、11人のスクールアイドル達の姿。
『皆さん、こんにちわ!私たち……、』
『『『『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会です!!』』』』
『!? これは……!』
スクリーンに現れたのは、それぞれのライブ衣装を身にまとった、ランジュを除いたニジガクが誇る11人のスクールアイドル同好会。
アユムを中心にずらっと並んだ彼女たちへ対するファンからのコメントもスクリーンに表示され、突然の出来事にバンシィ・ノワールは困惑した。
『なんのつもりだ!!』
「言ったじゃん。あなたに、私たちの大好きを見せるって!でも、きっとあなたはライブ会場には来てくれないから……。」
『ふざけるな!!』
突然のライブ中継に激昂したバンシィ・ノワールが、全身のサイコフレームから黒い輝きを見せながらレインボーユニコーンに襲い掛かってきた。
それをレインボーユニコーンは真正面から受け止めるが、決してバンシィ・ノワールへ向けて攻撃をせず、相手の攻撃を受け止めることと受け流すことに集中する。
レインボーユニコーンとバンシィ・ノワールが組み合っていると、まず最初にライブを披露するメンバーが壇上へと上がってきた。
『Hi,I'm MIA TAYLOR.Sing系スクールアイドル。今日はボクにとっての記念日なんだ。同好会の一員として初めてのステージ……ボクの歌を、世界中のスクールアイドルファン、ガンダムファン、そして、ボクの大好きな家族に捧げるよ。それじゃあ聞いてくれ。ミア・テイラーで、『Toy Doll』!!』
最初に壇上上がったのは、今回初めて同好会のメンバーとしてライブを披露するミアだった。
彼女の新曲『Toy Doll』は、全ての歌詞が英語のアップテンポな曲。
大胆な振り付けと激しいロックが、会場や、見ているファンたちを大いに沸かす。
その歌声を聞いたバンシィ・ノワールは、自分の頭をつかんだ。
『大好きな家族だと……!?』
「あなたはミアちゃんが、自分にプレッシャーをかけてくる家族の事を嫌いだって言ってたよね。だけど、そうじゃない。ミアちゃんがプレッシャーを感じていたのは、家族の事が大好きだったから。今のミアちゃんの歌には、家族への大好きが詰まってるんだ!!」
バンシィ・ノワールを押し返し、『Toy Doll』のリズムに合わせてユウも体を揺らす。
バンシィ・ノワールの攻撃を受け止めるため、レインボーユニコーンはビームサーベルを一本抜き取り構えるが、その切っ先はいつものピンク色のビームではなく、ライブ会場で振るメンバーカラーのサイリウムのようにプラチナゴールドに輝いていた。
やがて、ミアの曲が終わりを告げると、次のメンバーが間髪入れずに登場した。
次に登場したのは、ミアの身長の半分もない、マスコットのような体格のアバターを持つメンバー。
『お初にお目にかかります。まっすぐ系スクールアイドルの、しおこと申します!今日は皆さんに、明日からのフェスをめいいっぱい楽しんでいただけるように、お手伝いをさせていただけるようなステージにしたいと考えております!それでは聞いてください!『コンセントレイト!』!ニジガク最高です!イエーイ!!』
現れたのは三船栞子ことしおこ。
始まった曲は、これまでの彼女とは真逆のイメージを持つ曲『コンセントレイト!』
生徒会長でありながらも等身大の女子高生らしさを持った曲で、こんな明るい曲をしおこが歌っていることに、バンシィ・ノワールは動揺を見せた。
それと同時に、レインボーユニコーンのビームサーベルも翡翠色に染まる。
「この曲を作る時はね、薫子先生にアドバイスをもらったんだ。」
『三船薫子……三船栞子の大嫌いな……!』
「それは違うよ!栞子ちゃんは本当は薫子先生の事が大好きなんだ!大好きだからこそ、時にはぶつかることもあるけど、2人がお互いを思いあっていることは変わらない!!」
思わず乗ってしまうような楽しいリズムに合わせ、レインボーユニコーンはバンシィ・ノワールの攻撃を回避。
バンシィ・ノワールはその動きに翻弄され、一撃も攻撃を当てることができない。
そうこうしているうちにしおこの出番が終わり、丁寧にお辞儀をしながら舞台裏へと去っていく。
そして、次に出てきたのは、顔にボードを付けたあの子だった。
『りなこちゃんボード『むんっ』!私、りなこ。キュート系スクールアイドル。今日は、すっごく特別な日。世界中のみんなと繋がれる、とっても大切な日。応援してくれるファンや、ガンダムが好きな人たち全員に、私たちの思いを届けたい!聞いてほしい、『ツナガルコネクト』!』
次に現れたメンバーは、天王寺璃奈ことりなこ。
歌う楽曲は彼女にとって一番大切な歌である『ツナガルコネクト』
先の二曲に負けず劣らずのアップテンポな曲で、会場を沸かせ、バンシィ・ノワールを苛立たせる。
レインボーユニコーンのビームサーベルの色は、もちろんペーパーホワイトだ。
「璃奈は、今日のライブに両親を呼んだんだよ、ノワール。」
『何……?』
「璃奈の両親は忙しい中、今回のライブは一緒にGBNで見てくれるの。璃奈の両親も、璃奈の事がとても大切だから。」
『そんなこと、あるはずが……!』
サラから言われ、さらに動揺するバンシィ・ノワール。
その言葉を聞いて狂ったようにノワールクローを振り回すが、当然すべてレインボーユニコーンのシールドファンネルに防がれてしまう。
りなこのボードが画面いっぱいに表示され、彼女の歌が終わりを迎える中、次に出てきたメンバーはいつもと違い、和風の装いをしていた。
『チャオ!癒し系スクールアイドルの、エマです!今日のライブは、私たちにとっても特別……本当に特別なライブなの!そんな特別な日だから、私も特別で、大事な曲をみんなに送りたい!そして届けたい、あの子たちにも……聞いてください、私がスクールアイドルを目指すきっかけになった、『哀温ノ詩』を。』
登場したのはエマ・ヴェルデ……エマ。
和服に身を包み、彼女が歌う曲は『哀温ノ詩』
この曲はエマが日本に来るきっかけにもなった曲で、彼女の友人である夏川マイからエマが受け継いだ名曲。
先ほどまでの曲とは違いどこか愁いを帯びたこの曲は、バンシィ・ノワールの頭をかき乱す。
『この曲は……。』
「エマさんがスクールアイドルを目指すきっかけになった曲だよ。これはエマさんが、どんな時でもスクールアイドルでいることを諦めなかったから歌えた曲なんだ!」
『なんだと?』
「確かに前は、同好会と部でもめたこともあったよ。だけど、みんながスクールアイドルであることを諦めなかったから、私たちは一つになれたんだ!!」
『戯言をぬかすな!!』
ノワールブラスターから巨大なビームサーベルを出現させるが、レインボーユニコーンはそれをライトグリーンのビームサーベルで受け止める。
バンシィ・ノワールのビームサーベルを弾き飛ばし、レインボーユニコーンは彼を地面に押し倒す。
そこへ間髪入れず、エマの次のスクールアイドルがライブを披露する。
『やっほ~、マイペース系スクールアイドルの~、カナタちゃんで~す!カナタちゃんね~、世界中のみんなにライブを見てもらえるのはもちろん嬉しいんだけど、やっぱり一番はこんな大きなステージでライブできるお姉ちゃんを大っっっっ好きな遥ちゃんに見てもらえることなんだ~!遥ちゃーーーーん!!見ててねーーーー!!おっと、歌う曲を発表しなくちゃ。『Butterfly』だよ。』
非常にマイペースな登場の仕方をしたのは、近江彼方ことカナタ。
今回彼女は披露する曲は、以前に遥のために歌った曲『Butterfly』
振り付けの少ない彼女の曲の中ではもっとも大きい動きのある曲であり、その歌声とダンスは見るものを引き付けた。
『…………。』
「私、この歌知ってる。前に彼方と遥が喧嘩しちゃった時に歌った曲だって。」
「喧嘩っていうのは少し違うけど、彼方さんも遥ちゃんも、お互いが大事すぎて少しすれ違っちゃったんだ。」
『…………。』
「そんな彼方さんが遥ちゃんの事を疎ましく思うだなんて、そんなことは絶対に無いよ!」
レインボーユニコーンを押しのけたバンシィ・ノワールの攻撃を、すみれ色のビームサーベルで防ぐ。
先ほどまでの勢いはないが、それでもバンシィ・ノワールは已然として攻撃的であり、ノワールブラスターを折りたたんだバンシィ・ノワールは背面から自分もビームサーベルを抜き取ると、レインボーユニコーンとつばぜり合いを始めた。
カナタがお辞儀をしながら舞台裏へと戻ると同時に、レインボーユニコーンのビームサーベルが超オレンジ色へと変化。
それは、次のライブメンバーの色を表していた。
『チーーっス!アタシはアイ!スマイル系スクールアイドル!世界中のみんなの前でライブができるだなんて、すっごくテン上げだよ~!テンションMAXで、いきマックス!マックスだけに!アハハハ!今日はみんなとアイ友になれたら嬉しいな!そんじゃあ行くよーーー!!『サイコーハート』!!』
次のメンバーは宮下愛ことアイ。
歌う曲は、彼女の元気と大好きな気持ちを詰め込んだ『サイコーハート』
今まで披露された曲の中ではもっともはげしいダンスが特徴で、その一挙手一投足は見ているものの目を掴んで離さない。
『ッ……!こんな歌がなんだというのだ!!宮下愛にも、他人を憎む心はある……現に……!』
「美里さんを馬鹿にしていた人たちの事?」
『そうだ!!』
「確かにそういう時もあったかもしれない。でも、その人たちも今じゃみんな愛ちゃんのファンになってる。今日だって、アイ友のみんなと美里さんで愛ちゃんを応援してくれてるんだよ!」
『そんな……そんなはずが……!人がそんな簡単に憎しみを捨てられるはずが無い!!』
さらに激しさを増すレインボーユニコーンとバンシィ・ノワールの斬り合いだが、戦況は圧倒的にレインボーユニコーンが優勢。
冷静にバンシィ・ノワールの攻撃を見切り、ビームサーベルでその攻撃をすべて受け止める。
しかし、決してバンシィ・ノワール自身を攻撃したりはしない。
今、アイの歌で盛り上がっているファンとは対照的に、バンシィ・ノワールの表情は少しずつ曇りを見せていく。
それでも、ユウたちは自分たちの大好きを貫くのをやめたりはしない。
アイの出番が終わると、ステージには椅子がひとつおかれており、次のメンバーはステージ裏へと引っ込んでいくアイとハイタッチをすると、その椅子にセクシーに腰かけた。
『はぁい♡セクシー系スクールアイドルのカリンよ♪ここまでのステージ、みんな楽しんでくれているかしら?きっと楽しんでくれているわよね。この同好会のみんなは、本当に素晴らしい仲間たち……今日はそんな同好会の前でしか見せない、秘密の私を見せて……あ・げ・る♡聞いてちょうだい、『Wish』。』
レインボーユニコーンのビームサーベルがロイヤルブルーに変化し、朝香果林ことカリンが壇上で曲を披露しはじめた。
今回披露してくれる曲は『Wish』
カリンの曲は毎回どれもジャンルが異なるが、この曲はそんな中でもひと際異彩を放つバラード曲となっている。
この曲の内容に、バンシィ・ノワールは驚愕した。
『これが朝香果林の歌……?ありえない……。』
「ありえなくなんかない。かっこいいところもカッコ悪いところも、強いところも弱いところも、全部まとめて果林さんなんだよ!私たちは、そんな果林さんが大好きなんだ!!」
『カッコ悪いところが……弱いところが……好き……?』
頭を押さえながらビームサーベルを振り回すバンシィ・ノワールの攻撃はレインボーユニコーンには当たらない。
しかし次にバンシィ・ノワールはビームサーベルを捨ててビームマグナムを構えると、それをレインボーユニコーンへと放った。
だが、その放たれたエネルギーはとっさに召喚したアームドアーマーR3でいともたやすくぶった切る。
カリンの曲が終わると、ライブはいよいよラストスパート。
残るメンバーは4人……次に出てきたのは、大きいリボンがトレードマークの少女だった。
『お待たせしました!演技派系スクールアイドル、しずこです!スクールアイドルが好きな方、ガンダムが好きな方、大勢のファンの方々に満足していただけるような、そんなライブにしたいと思い、今日この場に立たせていただきました。私は皆さんの、理想のヒロインでいられるよう、頑張って演じたいと思います!それでは聞いてください、桜坂しずくで、『あなたの理想のヒロイン』。』
桜坂しずくことしずこの曲は、彼女の代表曲『あなたの理想のヒロイン』。
演技の世界とスクールアイドルの世界、両方の世界に身を置くしずこにしか歌えない曲。
その歌の音色は聞くものを虜にし、その曲に聞きほれるユウもレインボーユニコーンのビームサーベルをライトブルーへと変えた。
バンシィ・ノワールのビームマグナムの攻撃を切り裂きながら彼へ突進し、ビームマグナムを一刀両断。
レインボーユニコーンのコックピットでは、サラがしずこの歌声に歓喜の声を上げた。
「しずく……自信満々に歌ってて楽しそう!」
「そうだねサラちゃん!演じることにもスクールアイドルとして歌うことにも迷いがない、最高のライブだよ!」
「これが、しずくの言っていた本当の自分なのね……どうノワール?素晴らしい歌でしょう?」
『こんなものを俺に聞かせて……何のつもりだぁ!!』
もはや武装はノワールクローと多重関節仕込みの左脚しか残っていない。
ノワールクローを展開し、レインボーユニコーンへとつかみかかるが、クローの隙間にレインボーユニコーンが放ったアームドアーマーAZNのソードファンネルが突き刺さり、クローを閉じれなくなってしまった。
しずこのステージが終幕を迎え、次なるスクールアイドルを迎える。
『やっほ~!小悪魔系スクールアイドル!みーんなのかすみんですよ~!今日はみんな、かすみんのために集まってくれてありがとうございまーす♡まだまだライブは続きますけど、かすみんが一番かわいかったって言ってもらえるようなパフォーマンスを見せちゃいますよー!聞いてください!『☆ワンダーランド☆』♪』
中須かすみことかすみんの歌う曲は、『☆ワンダーランド☆』
彼女の『かわいい』へ対するこだわりを感じる一曲となっている。
笑顔で楽しそうにパフォーマンスを披露するかすみんの姿は非常にかわいらしく、バンシィ・ノワールも一瞬手を止めてしまった。
パステルイエローのビームサーベルを手に持ったまま、レインボーユニコーンもスクリーンを見る。
「かわいいでしょ!うちのかすみちゃん!」
『どうして奴はあんなに笑顔でいられる……?同好会廃部の原因となった中川奈々達にもっとも憎しみを抱いているのは中須かすみのはずだ……なぜそんな奴らの前で笑顔を見せられる!?』
「そんなの当たり前じゃん。だって、今の同好会はみんな、お互いがお互いを大好きな仲間なんだから!」
『大嫌いなものが……大好きに……!?理解できない……俺には、理解できるはずもない!!』
かすみんの歌を聴きながら、バンシィ・ノワールが吠える。
ノワールクローからソードファンネルを抜き取り、無理やりクローを使えるようにすると、レインボーユニコーンのビームサーベルにぶつけてきた。
今まで以上に気迫で迫るバンシィ・ノワールの攻撃をいなし、レインボーユニコーンが数歩後ろに下がる。
それと同時にビームサーベルの色がライトピンクへと変わり、いよいよ彼女の出番がやってきた。
『こんにちわ!まごころ系スクールアイドルの、アユムです!私たちは今日のために、たくさん練習を重ねてきました。でも、残念だけど、今日ここにいない仲間もいます……だけど、私たちの気持ちはどんなに離れていても、ずっと繋がってます!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会13人の気持ちを込めて、ライブを見てくれているファンのみんなに、私たちの気持ちと勇気を届けられたらいいな!それでは聞いてください!『Break The System』!』
スクールアイドル同好会のスクールアイドルとして、中心人物でもある上原歩夢ことアユム。
歌う曲は彼女の持ち曲としては珍しいクールな楽曲『Break The System』。
この曲に決まったのは、アユムのたっての希望でもあった。
この曲で、バンシィ・ノワールとマリナを、『大嫌い』という呪縛から解き放つための勇気を与えるために。
ノワールクローをビームサーベルで切り裂き、ついに左脚以外のすべての武装を失ったバンシィ・ノワール。
彼はレインボーユニコーンを殴り飛ばし、馬乗りになろうとするが、レインボーユニコーンはそんなバンシィ・ノワールをはねのける。
二体のモビルスーツは互いの手を掴み合い、額を合わせて互いを押しのけようとする。
『こんな歌が、俺の響くとでも思っているのかぁ!!』
「きっと響く!!だってアユムは……虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は、最高のスクールアイドルなんだから!!だから!!」
~~
「はぁ……はぁ……!ふぅ……。以上!アユムでした!みんな、ありがとーーー!!」
会場やライブビューイングのモニターへ向けてお辞儀をすると、アユムは舞台裏へと引っ込んだ。
いよいよ次がソロ曲最後のステージ……優木せつ菜こと、セツナによるステージだ。
すでに舞台袖にはセツナがスタンバイしており、彼女は衣装のスカートをギュっと掴んでいた。
裏へ戻ったアユムがそんなセツナの姿を見つけ、彼女へ駆け寄った。
「セツナちゃん!次、よろしくね!」
「は、はい!」
「……もしかして、緊張してる?」
「……実は、先ほどまで、少し。」
今更みんなにこんなことを隠していても仕方がないと、セツナは正直に白状した。
「これで本当に、マリナさんを救えるのかどうか……信じていないわけでは無いですが、ずっと不安でした。」
「セツナちゃん……。」
「でも、そんな不安はすでに吹っ飛びました!」
顔を上げたセツナの表情は、いつも通りペカー!としてて、その表情を見たアユムは少し気が抜けてしまった。
セツナはアユムに向かって腕を突き出し、自信満々に告げた。
「皆さんの歌を聞いて、そんな心配は無用なんだと改めて思いました!ひたすたらに、がむしゃらに、大好きを貫く……それが本気系スクールアイドル、優木せつ菜なんです!!私は、今私にできるやり方でマリナさんたちへ思いを伝える。始まったのなら!」
「貫くのみ!だよね!」
「はい!!行ってきます!!」
アユムと拳を合わせ、セツナはついに檀上へと上がった。
スカーレットの色の衣装をはためかせながらステージへ上がったセツナは、そのままマイクをとる。
そして、言い放った。
~~
『マリナさん。ノワールさん。聞いてください……私の、大好きな気持ちを。』
スクリーン越しに始まるのは、最後のソロ曲……優木せつ菜……セツナの歌。
歌うのは彼女の代表曲にして、全ての始まりとなった曲『CHASE!』
力強く歌う彼女の歌は、本来であればこのライブを見ているすべてのファンに届けられる。
しかし、今日は違う。
セツナの歌は、今はたった2人に向けて歌われている。
カツラギ・マリナとバンシィ・ノワールの2人のために。
走り出した思いは強くするよ。
悩んだら、君の手を握ろう。
今まさに、セツナは歌を通じてマリナとノワールに手を伸ばそうとしていた。
『や……やめろ……!こんな曲を……俺に聞かせるなぁぁぁああ!!』
「ちゃんと聞いてノワール!!今セツナちゃんは、あなたたちの為に歌ってるんだよ!!」
「バンシィ・ノワール……やっぱりあなたは……。」
『CHASE!』の歌詞が、バンシィ・ノワールの心をかき乱す。
この曲は、せつ菜が自分の大好きを貫くために歌った曲。
大切な自分の気持ちを裏切り、後悔しないように、前に突き進むための曲。
その歌詞のすべてにバンシィ・ノワールは心をかき乱し、頭を押さえつけた。
「ノワール!!」
『……お前のせいだ……高咲侑……お前さえいなければぁああああ!!!』
「!!」
咆哮を上げ、バンシィ・ノワールはレインボーユニコーンを殴り飛ばした。
その際にレインボーユニコーンはビームサーベルを手放してしまい、バンシィ・ノワールがそれを掴む。
スカーレット色のビーム刃を形成し、バンシィ・ノワールはレインボーユニコーンに馬乗りになり、それをレインボーユニコーンの胸部……コックピット付近に突き付けた。
「ノワール!!セツナちゃんの歌を!!」
『だぁぁまぁぁれぇぇ!!!』
ビームサーベルを振り上げたバンシィ・ノワール。
彼を傷つけたくないレインボーユニコーンは、この攻撃を防ぐ手段がない。
思わず目をつむるユウとサラ……しかし、その攻撃が彼女を貫くことはなかった。
恐る恐る目を開けると、見慣れない姿のモビルスーツがバンシィ・ノワールの腕をつかみ、レインボーユニコーンへの攻撃を防いでいた。
「……え?あ、あれ……?ゆ、ユニコーン……?」
バンシィ・ノワールの腕を掴んでいたのは、レインボーユニコーンやバンシィ・ノワールのユニコーンモードにそっくりな姿をした金色のガンダム。
黄金の装甲と真紅のフレームが美しい、ユニコーンガンダム3号機『フェネクス』をベースとした、あまりにも美しすぎるガンプラだった。
『お……お前は……!!』
『スクールアイドルのステージは、歌に集中するのがマナーよ、マリナ。』
「そ、その声……まさか!!」
黄金のガンダムの中から聞こえてきたのは、あまりにも待ち遠しかった声。
その声の主は、いつも通り自身満々な口調で、ユウへ答えた。
『我让你等了!待たせたわね、ユウ!』
黄金のガンダム……クリムゾンフェネクスのダイバーである鐘嵐珠は、ユウへ向けてそう答えた。
~にじビル毎回劇場~
第103回:七夕のお願い
タイガーウルフ「そういやもう七夕の時期か。早いもんだな。」
せつ菜「本当ですね!お願い事をしないと!」
しずく「師匠はお願いとかあるんですか?」
タイガーウルフ「おう!俺の願いはただ一つ、GBNのチャンピオンになることだ!まぁ、これはいずれ叶うから俺は願ったりしないけどな!ガハハハ!!」
歩夢「自信たっぷりですごいなぁ、タイガさんは……私は何をお願いしようかな?」
しずく「侑先輩の事を書くんですか?」
歩夢「えぇ!?ち、違うよぉ!そういうしずくちゃんは何を書くの?」
しずく「はい!これです!」
せつ菜「何々?えーっと……『侑先輩と歩夢さんとせつ菜さんの禁断の三角関係を描いたラブロマンスが見たいです』……はい?」
歩夢「えっと……なにこれ?」
しずく「よくぞ聞いてくれました歩夢さん!私、前々からお三方の関係性ってドラマにしたら面白くなりそうだなぁって思っていたんです!それで脚本をいくつか書いたのですが、どれも我ながら傑作で!それでぜひこの脚本をGBNでドラマにして映像として残したいなと!!」
あゆせつ「「えぇ……。」」
タイガーウルフ「俺の出番はないのか?」
しずく「もちろんありますよ!師匠は『百合の間に挟まろうとしてそれをよく思わない女性によってある日忽然と姿を消してしまう男性』の役になってもらおうかと!!」
タイガーウルフ「えぇ……。」
しずく「さぁ!!早速撮影をはじめませんか!?」
あゆせつウルフ「「「はじめません。」」」