ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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ColorfulDreams!ColorfulSmiles!

 

「クリムゾンフェネクス……アタシに、力を貸してくれる……?」

 

 

クリムゾンフェネクスを手に取ったランジュは、ベッドから飛び出ると急いで私服へと着替えた。

病院の先生や看護師の目を盗みながら慎重に病院から抜け出すと、彼女はまっすぐガンダムベースダイバーシティ店を目指した。

バンシィ・ノワール戦で負った身体の傷はほとんど完治しているが、それでも久しぶりに全力で走ると横腹が痛くなり、呼吸も乱れる。

肺から血の味のする息を吐くが、ランジュは走り続けた。

 

 

「ったく……どうして俺が店番なんだ……こういうのはコウイチの仕事だろうが……。」

 

 

その頃、ガンダムべースではGBNのライブのための手伝いに行っているコウイチやモモカ、ナナミに代わり、ガンフェスのリアルサイドの運営を担当するツカサが店番をしていた。

さすがにお客さんが多いがアルバイトの店員を駆使すれば回らないほどではなく、タブレットでGBNにいるコウイチと連絡を取りながら業務に励んでいる。

そんなツカサのもとへ、息を切らしたランジュが店の中へと囲んできた。

 

 

「!? 鐘……? お前、入院してたはずじゃ……。」

「これ!!」

「あん?」

「これを使ってマリナのところへ行きたいの!!使い方を教えてちょうだい!!」

 

ランジュが出してきたのは、ミス・トーリがクリムゾンフェネクスとともにランジュに渡したUSBメモリ。

これには侑に渡したものと同じく、ユニコーンガンダム立像の制御用ディメンションへの直通ゲートのデータが内蔵されている。

それを見たミス・トーリとはELバースセンター繋がりで関係を持つツカサはそれを見てランジュのやろうとしていることを察し、眉を細めた。

 

 

「お前……本気か……?」

 

 

ツカサが訪ねたが、ランジュからの返答は無かった。

代わりに何かを決心したかのような強い眼差しを向けてきた彼女に、ツカサはそれ以上何も言わず、ランジュはGBNの筐体へと案内。

USBメモリを差し込み、パスワードを入力すると、ランジュにヘッドギアを渡した。

セットしたダイバーギアにクリムゾンフェネクスを置き、ヘッドギアを被ろうとするランジュ。

その瞬間、バンシィ・ノワールとの戦いがランジュの脳内にフラッシュバックし、強烈な恐怖心が彼女を襲う。

思わず目をつむったランジュだったが、うっすらと開けた目の先にある、せつ菜とマリナと一緒に作り上げたクリムゾンフェネクスを見て、覚悟を決めた。

 

 

「……無問題ラ。だって、ランジュだもの……。」

 

 

いつもの口癖を、覚悟を持って口にする。

意を決してヘッドギアを被ったランジュの意識はGBNへと転送され、同じくGBNで本物のガンダムとしての実態を得たクリムゾンフェネクスのコックピットへ。

操縦桿を握り、目の前に現れたワープゲートへとむけて、飛び立った。

 

 

「鐘嵐珠……クリムゾンフェネクス、行くわよ!!」

 

 

 

 

 

~~

 

 

そうして間一髪、レインボーユニコーンへとどめを刺そうとビームサーベルを振り上げたバンシィ・ノワールの攻撃を止めることに成功したクリムゾンフェネクス。

その声を聞いて驚いたユウは、思わずクリムゾンフェネクスへとむけて叫んだ。

 

 

「ランジュちゃん!!もう、大丈夫なの……?」

『無問題ラ!……って、言いたいところだけど、ホントはまだ少し……いいえ、凄く怖いわ。だけど……。』

 

 

クリムゾンフェネクスはバンシィ・ノワールの腕を掴んだまま、彼の胸部を見つめる。

そこにはバンシィ・ノワールのコックピットがあり、そこにはおそらく、マリナがいる。

 

 

『大事なお友達と仲直りできないほうが、もっと怖いもの。』

『何をぬけぬけと友達などと!!マリナは、お前の事が……!』

『大嫌いならそれでもかまわない!!だけど、アタシはマリナの事が大好き。どれだけ嫌われても、絶対にまた仲直りしてみせる。そのために、アタシはここに来たの!』

『!!』

 

 

ランジュに言われたバンシィ・ノワールはビームサーベルをその場に落とし、後ろに下がる。

その隙にレインボーユニコーンも立ち上がり、クリムゾンフェネクスの隣に並んだ。

胸部を押さえつけながら苦しそうにするバンシィ・ノワールに、クリムゾンフェネクスが駆け寄ろうとするが、それをレインボーユニコーンが制止。

正確には制止したのはメインパイロットのユウではなく、同乗していたサラだった。

 

 

「サラちゃん……?」

『ノワール、セツナの歌を聞いて。』

『なに……?』

「お願い。それがきっと、本当のあなたを思い出せてくれるはずだから。」

『本当の……俺……?』

 

 

そう言われ、先ほどまで暴れていたバンシィ・ノワールが急に大人しくなり、レインボーユニコーンのすぐそばにあるスクリーンを見た。

そこでは今、バンシィ・ノワールのダイバーであるマリナの友達になったセツナが歌を披露している。

 

 

本当の自分をさらけ出し、大好きという気持ちを隠さない、スクールアイドル同好会の始まりともなった曲……『CHASE!』

 

 

ディメンション全体に響き渡る彼女の曲が、バンシィ・ノワールのAIにも響く。

頭を押さえ、胸を押さえるバンシィ・ノワールに、ユウとランジュがさらに語り掛けた。

 

 

『マリナ!聞こえているでしょう!?セツナは今、あなたのために歌ってるわ!戻ってきなさいマリナ!本当のあなたは、皆が傷つくことなんて望んでいないはずよ!』

「思い出してノワール!本当のあなたを!あなたが生まれてきた、本当の理由を!」

 

 

『俺が……生まれた……理由……!?』

 

 

 

 

~~

 

 

「……大嫌い……高咲さんなんか……スクールアイドル同好会なんか……!」

 

 

あの日、マリナはそう呟いた。

しかし、マリナはそう言った直後に、偶然机に置いてあった鏡で自分の顔を見た。

恨み言を吐く自分の表情は、かつて自分があこがれていたスクールアイドルとは程遠いものであり、彼女は首を横に振った。

 

 

「……ううん、違う……高咲さんは悪くない……それどころか、スクールアイドルでもないのに、同好会の人たちの為にあんなに頑張ってて、とってもすごい人だよ……。」

 

 

自分はどう足掻いてもスクールアイドルになることは出来ない。

そうした現実から、たびたびマリナは一人で絶望する事が少なくなかった。

スクールアイドルではない高咲侑という支えがいることで、今まで以上の活躍を見せたスクールアイドル同好会に嫉妬して、ついこんな心にも無い言葉を口にしてしまった。

 

 

「大嫌い……こんな私なんて……。」

 

 

マリナが本当に嫌いだったもの。

それは、マリナ自身。

現実をなかなか受け入れられず、他人への八つ当たりを独り言として呟く自分に、心底嫌気がさした。

そんな時にマリナは、目の前にあった叔父と一緒に作った自分の愛機である『ノワール』に目を向けた。

ノワールを手に取り、彼女はその目を見つめた。

 

 

「ごめんねノワール……あなたのビルダーのに、私、こんなに情けなくて……。こんなだから私、友達も出来なくて、学校でも独りぼっちで……。」

 

 

ノワールの頭を優しく撫でながら、マリナは彼に笑いかけた。

 

 

「だけど、あなたと叔父さんがいてくれるから、私は一人じゃない……大好きだよ、ノワール。」

 

 

 

 

~~

 

 

夢はいつか、ほら輝きだすんだ!

 

 

 

『はぁ……はぁ……以上!!セツナでした!!』

 

 

 

 

『……そうか……俺は……。』

 

 

 

セツナの歌が終わると、バンシィ・ノワールはその場で膝をついた。

それと同時に彼の胸のハッチが開き、そこから黒い衣装に身を包んだ少女の姿が見えた。

その少女はゆっくりを目を開けると、バンシィ・ノワールのコックピットから立ち上がり、ハッチの外へと出てくる。

その姿を見てユウとランジュは顔を見合わせ、その少女へ向けて叫んだ。

 

 

「マリナちゃん!」

『マリナ!!』

 

 

 

「……高咲さん……ランジュさん……。」

「うぅ……マリナぁ!会いたかったわぁ!!」

「うわっ!?ら、ランジュさん、苦しいよ……。」

 

 

数日しか経っていないというのに、久しぶりに聞いた気がするマリナの声。

クリムゾンフェネクスがマリナのもとへと向かうと、コックピットから勢いよくランジュが飛び出し、マリナに抱き着いた。

同様にレインボーユニコーンもバンシィ・ノワールへと近づき、コックピットを開けてユウとサラが出てくる。

サラはバンシィ・ノワールの顔を見て、彼と対話しはじめた。

 

 

『……ようやく思い出した……俺が生まれた、本当の理由を……。』

「そう。ノワール、あなたはマリナの大嫌いって気持ちから生まれた存在じゃない。あなたは……。」

 

 

ユウとのバトルで、サラの言葉で、ランジュの行動で、そしてセツナ達同好会のみんなの歌を聞いて、バンシィ・ノワールは自分の生まれた本当の理由に気が付いた。

自分で口にすることに抵抗があるのか、その言葉の続きをサラが続けた。

 

 

 

「あなたは……あなた自身が、マリナの事を大好きだって思う気持ちから生まれたELダイバー。だけど、あなたの中に生まれた小さな悪意が、その気持ちを封じ込めて、あなたを大嫌いという気持ちだけを持った存在に変えてしまった……。」

『その通りだ。俺はマリナの事が好きだった。俺を作ってくれた、この世で最も愛しい存在……だから俺は、彼女を少しでも傷つけるものを、全て排除しようと心に決めた。マリナの望んだことではない。全ては、俺自身のエゴだ。』

 

 

 

バンシィ・ノワールとは、マリナの大嫌いという感情からではなく、彼自身がマリナを大好きだという感情から生まれた存在。

マリナの友達だったセツナとランジュに急に敵意を向けだしたのも、ユウを執拗に狙っていたのも、マリナの傷つく姿を見たくなかったから。

その為なのか、バンシィ・ノワールが活動する時はマリナの意識はバンシィ・ノワールに上書きされ、彼女の記憶に残らないようになっていた。

 

 

「ELダイバーはとても純粋な存在。その中でもあなたは、特に澄み切った心を持っている。だから、ほんの少しの悪意が、取り返しのつかないところまで膨らんでしまったのね。」

 

 

サラの言葉を聞きながら、バンシィ・ノワールは視線を下におろす。

彼のコックピットハッチでは、ランジュがマリナに抱き着きながら、彼女との再会を喜んでいた。

そこへレインボーユニコーンから降りてきたユウも駆けつけ、彼女の顔を見るとマリナはランジュから離れてユウの顔を見た。

 

 

「マリナちゃん、おかえり!」

「高咲さん……ごめんなさい……私のせいで、皆にも、GBNにも迷惑をかけちゃって……どう謝ったらいいのか……。」

「ううん。私は気にしてないよ。それより、今はマリナちゃんが無事に帰ってきてくれただけで嬉しい!」

「高咲さん……。」

「ねぇマリナちゃん。私、マリナちゃんとも友達になりたいな。だってこんなに強いガンプラを作れるんだもん!私、すっごくときめいちゃった!」

「………うん!私と、友達になってください……高さ……ゆ、侑さん!」

「太美了!これでみんなお友達ね!!」

 

 

手を取り合うユウとマリナ。

そしてそれを見て喜ぶランジュ。

その光景を目にしたバンシィ・ノワールは首を振り、呟いた。

 

 

 

『結局……マリナを一番傷つけていたのは、他ならない俺自身だったというわけか……。』

「!! それは違うよ、ノワール!」

『マリナ!?』

 

 

そこで初めて、マリナがノワールへ語り掛けた。

今までバンシィ・ノワールが活動している間、マリナの意識は失われていた。

だからマリナがELダイバーとしてのバンシィ・ノワールへと語り掛けるのは、これが初めてになる。

マリナはバンシィ・ノワールの操縦桿に再び手を触れ、彼に言った。

 

 

 

「確かに、あなたはたくさん許されない事をした……だけど、それは全部、私の為だったんだよね?私、少しだけ嬉しかったんだよ。私の事をそこまで想ってくれる人がいて、それが私が大好きなあなただったってこと。ノワール……ありがとう。」

 

 

 

マリナにそう言われ、バンシィ・ノワールは困惑した。

彼は首を横に振り、彼女の言葉を否定する。

 

 

『感謝なんてするなマリナ!!俺に、お前に感謝される資格など無い!!俺はいくつもの罪を犯した……そんな俺に……感謝などしないでくれ……!』

「あなたが罪を犯したなら、私も同罪だよ。ううん、むしろあなたをそこまで追い込んでしまった、私が負うべき責任だよ。」

『違う!!マリナは悪くない!!』

「だったら、これから一緒に償っていこうよ、ノワール。まずは皆にごめんなさいしなくちゃ!」

『……そうだな……。』

 

 

これからマリナとバンシィ・ノワールは、精一杯犯した罪を償っていく事になるだろう。

それは険しい道かもしれないが、彼女たちは一人じゃない。

バンシィ・ノワールは立ち上がると、ユウたちへ向けて言った。

 

 

『リアルのマリナは、今は亡くなった両親の研究所跡地に身を寄せている。ヤジマ・ニルスに伝えて、迎えを出してほしい。』

「うん、わかったよ!じゃあ、皆、行こうか!」

「行く?行くってどこへ?」

「決まってるじゃないマリナ!」

『……まさか……。』

 

 

「そう!そのまさか!急げば間に合うよ!行こう、同好会みんなのステージへ!!」

 

 

 

そうして、ユウがマリナとランジュへ手を差し伸べた。

彼女の言葉を聞いた途端ランジュとマリナの顔がパァーッと明るくなり、2人とも力強くうなずいた。

 

 

『……わかった。だが、その前にやることがある。』

「やること?」

 

 

そう言いながら、ノワールブラスターを構えたバンシィ・ノワール。

彼はその銃身を、自らが作り出したユニコーンガンダム立像を暴走させるプログラムである、アナザーノワールへとむけた。

彼のやろうとしていることを察知したユウとランジュもレインボーユニコーンとクリムゾンフェネクスへと乗り込み、アームドアーマーR3と、クリムゾンフェネクスの背面のシールド『ウイングファンネル』を構えた。

3機が同時にアナザーノワールへと攻撃を放つと、それは見事に命中し、アナザーノワールは粉々に粉砕され、消滅。

いよいよこのGBNを脅かす脅威はいなくなった。

 

 

 

『……去らばだ。俺の、『大嫌い』。』

 

 

 

 

~~

 

 

その頃、ユウが作ってくれた新曲の衣装に着替えた同好会一同。

本来この曲は今回は歌わないはずだったが、この曲へ込めたユウの想いを届けるために、今回最後の曲としてこの曲を選んだ。

今、ナミがMCで前夜祭ライブの最後の曲になることをみんなに伝えている最中だ。

衣装をまとった11人がステージ裏に集まり、最後の話し合いをしていた。

 

 

「いよいよ最後の曲ですよぉ!気合い入れていきましょう!」

「ユウさんが作ってくれた曲……大事に歌いたい!りなこちゃんボード『やったるでー』!」

「えぇ!!この曲で、世界中のみんなに、熱い大好きを届けます!!」

「あらセツナ、もうすっかり元気ね。」

「はい!!私、先ほどのステージを全力で歌い切りました!!この想いは、きっとマリナさんたちに届いているはず……あとは世界中のみんなに、私たちのすべてをぶつけます!!」

「そうだねセツナちゃん!さぁ、行こう!!」

 

 

アユムの掛け声とともに、壇上へと上がる同好会の11人。

今回のステージは上段と下段に分かれており、下段にはかすみん、カリン、アイ、アユム、エマ、しずこ、カナタ。

上段にはミア、りなこ、セツナ、しおこ。

りなことセツナの間が不自然に空いているが、ここには本来入るべき人間がいるから。

アユム、セツナ、アイが顔を見合わせると、アユムがうなずく。

そしてマイクを手に取ると、会場と世界中のファンへ向けて言葉を放った。

 

 

 

「皆さん!今日は本当にありがとうございました!こんな素敵な場所で、たくさんの人たちに私たちの歌を届けることができて、私たちは本当に幸せです!」

 

 

アユムがそういうと、今度はアイがマイクを手に取った。

 

 

「だけど、一つだけ心残りがあります。それはアタシ達の仲間が、今日は全員そろって無いって事……でも、それでもアタシ達の心は、一つに繋がってます!ここにいるのは11人だけど、心はいつでも13人!」

 

 

アイからマイクを受け取り、最後はセツナが言う。

 

 

 

「次が最後の歌になります!聞いてください!スクールアイドル同好会11人での……え?」

 

「? セツナちゃん?」

「どうしたのせっつー!マイク入ってるよ!」

「いや……あの……あ、あれ……。」

 

 

MCの最中に、セツナは目の前に光景に思わず言葉を失った。

マイクを手にしたままセツナが正面を指さすと、全員がそちらに顔を向ける。

 

すると、その瞬間会場の上空にワープホールが出現し、そこから3機のモビルスーツが姿を現した。

 

 

 

「!! ゆ、ユウちゃん!!」

 

 

 

「あ!アユムーーー!!みんなーーーー!!」

 

 

そこから姿を現したのは、ユニコーンモードへと戻ったフルユニット・レインボーユニコーンガンダム、クリムゾンフェネクス、そしてバンシィ・ノワールの3機。

その登場により同好会の11人以外にも、会場にいたライブの手伝いをしてくれたダイバーたちも驚き、同好会メンバーは思わず壇上から降りてレインボーユニコーンたちへと駆け寄った。

アユム達がやってくると、レインボーユニコーンからユウとサラも降りてきて、アユムはユウのもとへ。

 

 

「みんな!ただいま!!」

「ユウちゃん……きっと、戻ってきてくれるって信じてたよ!」

「みんなが託してくれたガンプラのおかげだよ!」

「うわーーーーん!!せんぱーーーーい!!!」

「うわっ!?か、かすみちゃん!?」

 

 

無事に戻ってきたユウに抱き着くかすみん。

それを真似してしずこやカナタもユウに抱き着き、思うように身動きが取れなくなってしまった。

 

 

 

「これはクリムゾンフェネクス……?ま、まさか……!?」

 

 

バンシィ・ノワールと共にいるクリムゾンフェネクスを見て、セツナが驚いた。

バンシィ・ノワール、クリムゾンフェネクス両方のコックピットが開くと、バンシィ・ノワールからはマリナ、そしてクリムゾンフェネクスからランジュが顔をのぞかせ、セツナの前にやってきた。

 

 

「我回来了!待たせたわね、皆!」

「せ……セツナさん……。」

 

 

「ランジュさん……マリナさぁぁん!!」

 

 

思わず涙を止めることができず、セツナは2人に抱き着いた。

号泣するセツナの頭をランジュが撫でながら、マリナがセツナに言った。

 

 

「セツナさん……ありがとう。セツナさんの歌のおかげだよ。」

「そうよセツナ!素晴らしい歌だったわ!さすがはアタシのライバルね!」

「うわぁぁぁん!!ありがとうございまずぅぅぅぅ!!」

 

 

クリムゾンフェネクスの前で、ようやく仲直り出来たセツナ、ランジュ、マリナ。

あの時、この3人でクリムゾンフェネクスを完成させていなければ、きっとこんな風に戻ることは出来なかっただろう。

心の底から喜ぶ3人を眺めながら、バンシィ・ノワールは静かに頷いた。

大嫌いという感情に囚われたままでは、決して見ることのできなかった光景だ。

自分の生まれた本当の理由に気づいた彼は、そんな3人の姿を目に焼き付けた。

 

 

 

「ランジュ。」

「! ミア!栞子!」

 

 

喜び合う3人のもとへ、ミアとしおこがやってきた。

彼女たちは手にランジュの衣装らしきものを持っており、それをランジュへと差し出す。

ランジュは嬉しそうにそれを受け取ると、さっそくその衣装データを自分のダイバーギアにインストールして、皆と同じ衣装へと着替えた。

 

 

「きゃは!とっても素敵な衣装だわ!」

「踊れますか?新曲ですよ。」

「無問題ラ!ここに来るまでの間にユウからどんな曲なのかは聞いているわ!」

「まったく……そんな短期間で覚えられるなんて、やっぱモンスターだよ、君は。」

 

 

 

 

 

~~

 

 

 

そうして、再び配置についた同好会。

りなことセツナの間にはランジュが入り、その隣にはユウもいる。

13人が同時にお辞儀をすると、まずはセツナがマイクをとった。

 

 

「えー……おほんっ!先ほどは失礼しました!ですが!ついに!!私たち虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が全員揃いました!!」

 

 

その次は、ランジュにマイクが渡る。

 

 

「遅くなっちゃってごめんなさい!だけど待たせた分、パーフェクトで刺激的な最高の時間を過ごさせてあげるわ!!」

 

 

そして、最後はそのマイクをユウが手に取った。

 

 

 

「明日から始まるガンフェスを、全ての人に、平等に楽しんでもらいたい……そんな思いで、私たちは今日ここにいます。これから披露するのが、前夜祭ライブの最後の曲です。世界中のみんなに、そしてあなたに!私たちの全力の大好きを届けます!!」

 

 

そう言うと、ユウはステージの後ろにあるピアノに腰かける。

最後の曲は、ユウ自身の手で演奏したい、それが彼女の希望だった。

ユウがピアノに手を置くと、ユウも含めた13人全員で、世界中のファンへ向けて言い放った。

 

 

 

「「「「聞いてください!!『ColorfulDreams!ColorfulSmiles!』」」」」

 

 

 

 夢を奏でよう、Rainbow World

 

 

 

そんな歌い出しから始まった、ガンフェス前夜祭最後の曲……『ColorfulDreams!ColorfulSmiles!』

 

アユムとランジュのWセンターであるこの曲は、これから始まる夢と大好きな気持ちを叫ぶ、同好会13人の気持ちを詰め合わせたような曲。

 

アユム、ランジュ、しおこ、ミア、かすみん、アイ、カリン、しずこ、カナタ、エマ、りなこ、セツナの順でソロパートが続き、そこから勢いよくサビへと入る。

 

 

 

 夢と夢、響くメロディ。

 どこまでも広がっていくよ。

 

 

 

アユムを中心とする下段のメンバーと、ランジュを中心とする上段のメンバー。

普段バラバラの彼女たちがそれぞれのパートで揃った振り付けを披露するのは非常に美しく、見る者全てを魅了する。

その歌詞一つ一つが、初めて同好会のライブを生で見るマリナに深く突き刺さる。

彼女だけではなく、彼女と一緒にライブを見るバンシィ・ノワールにも。

 

 

(そうか……これが、マリナの望んだ本当の願い……『大好き』、か……。)

 

 

 果てないNew Stories 

 描き続けよう

 

 

 

「ノワール!」

『どうした?マリナ。』

「楽しいね!」

『……あぁ……楽しいな。』

 

 

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会による、ガンダムフェスの前夜祭ライブ。

世界中のファンを魅了するとともに、カツラギ・マリナとバンシィ・ノワールという、新たなファンの獲得に成功し、彼女たちのライブは大成功で幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

~~

 

 

 

『………ノワール……大嫌い……学園……破壊……。』

 

 

バンシィ・ノワールという本体を失い、沈黙していたモビルアーマー アナザーノワール。

このモビルアーマー自体は、バンシィ・ノワールがライブ会場へ向かう際に、自らの手で消去した。

もはや彼にとって、こんなものは必要無かったからだ。

 

 

だが、バンシィ・ノワールは特殊なELダイバー。

 

 

そんなバンシィ・ノワールから生まれたアナザーノワールも、当然ながらただのモビルアーマーではない。

消去されたはずのデータの塵が少しずつ集まり、金色の眼が怪しげに光を帯びた。

 

 





~にじビル毎回劇場~

第104回:水星の魔女


右月「会長、焼き鳥の串の焼き鳥以外での活用法研究同好会の予算申請書です。」

栞子「この同好会は昨年全国大会で目覚ましい活躍を見せていますから、なんとか予算を上げてあげたいですね。それではこちらの書類をお願いします。左月さん。」

左月「はい!会長!」

栞子「!!」

右月「? か、会長?」

栞子「さ……左月さん……も、もう一回よろしいですか……?」

左月「え?は、はい、会長。」

栞子「~~~~!!」

左月「会長……?どうされたんですか?」

右月「左月がどうかしたんですか?」

栞子「い、いえ……すいません……。」


栞子(い、言えません!左月さんの声が、ガンダムシリーズ最新作『水星の魔女』の主人公のスレッタ・マーキュリーさんに似てて思わず舞い上がってしまっただなんて……!)


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