ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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ガンダムフェス、開幕

 

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会とバンシィ・ノワールの戦い、そしてニジガクのライブから一夜が明けた。

世間ではもうすぐラブライブ本線出場権をかけた予選が始まったり、クリスマスの準備に取り掛かったりする今日この頃。

しかし、世界中のガンダムファンにとってはそれ以上に大切な一大イベントが、いよいよ今日から執り行われる。

『機動戦士ガンダム』シリーズ発祥の国である日本……そしてその中心の東京の、ガンダムの聖地であるお台場。

そのお台場を中心とする世界各国で開催されるガンダムのお祭り。

 

 

その名も『ガンダムフェス』

 

 

1/1ユニコーンガンダム立像が見守るこの街で、ついに待ちに待ったイベントが開催された。

 

 

 

 

~~

 

 

その日、せつ菜とランジュは異様にそわそわしていた。

朝早くから虹ヶ咲学園の校門前で、今か今かと『ある人物』を待っていたからだ。

当然その人物の到着を待っているのはせつ菜とランジュだけではなく他の11人もなのだが、特にこの二人は気が気でならない。

そのせいなのか、ランジュは病み上がりだというのに午前4時から待機していた。

 

 

「いや早すぎるだろ。もうちょっと落ち着いて待つことは出来ないの?」

「だ、だって~!」

「まったく……フェスの開催は10時からなんだろ?それまでは来るんだからこんなに早くから待たなくてもいいじゃないか。付き合わされるこっちの身にもなってくれよ。」

「ミアのいじわる~……。」

「フフ、素直じゃないわねミア。別にランジュに付き合う必要なんて無かったのに、病み上がりのランジュの事が心配でついてきたんでしょ?」

「か、果林!!余計な事言うなよ!!」

 

 

「わ、私も緊張します……!あ、歩夢さん愛さん!私、寝ぐせとかついていませんか!?朝に7回は確認したんですがまだ不安で……!」

「大丈夫だよせつ菜ちゃん。いつも通りかわいいよ。」

「アハハ、心配性だなぁせっつーは。あ!あの車そうじゃない!?」

「うぇぇ!?き、来ちゃいましたか!?ど、どうしましょう……な、なんて挨拶すれば……!」

 

 

目の前に現れた高級車を見て、あたふたするせつ菜とランジュ。

彼女たちの前にその車が止まると、運転席からはまず、ヤジマ商業のGBN開発の最高責任者でもあるヤジマ・ニルスが姿を見せた。

彼が後部座席のドアを開けると、中から車椅子に乗った、左脚が義足の少女が姿を現す。

その姿を見るや否や、さきほどまでの不安が一気に吹っ飛び、せつ菜とランジュはその少女の名前を大声で呼んだ。

 

 

 

「「マリナ(さん)!!」」

 

 

 

「えへへ……久しぶり、せつ菜さん、ランジュさん。」

 

 

現れたのはカツラギ・マリナ。

バンシィ・ノワールに乗っ取られ、姿をくらましていた彼女だったが、そのバンシィ・ノワールから教えられた場所へニルスが迎えに行き、ようやくニジガクに戻ってくることができた。

恥ずかしそうに頬をかくマリナをランジュが抱きしめ、全員マリナの帰還を心から喜んだ。

 

 

「おかえりなさいマリナ!それと……あの時はごめんなさい……アタシ、無神経なことを言っちゃったわ……。」

「ううん、私のほうもごめんね。せつ菜さんも、心配かけてごめんなさい。」

「いえ!こうして戻ってきてくれたんです!それだけで、私たちはとっても嬉しいです!」

 

 

そう言って笑いあう3人。

ランジュの手には、皆で作ったクリムゾンフェネクスが握られていた。

 

 

「マリナちゃん。」

「侑さん。昨日はありがとう……助けに来てくれて。みんなの大好きを、届けに来てくれて。」

「楽しかったでしょ?私たちのライブ!」

「うん!すごく楽しかった!やっぱり私、スクールアイドルが大好き!みんなも、本当にありがとう!」

 

 

同好会13人に丁寧にお辞儀をするマリナ。

本当に心からライブを楽しんだことが伝わってくる。

大勢のファンからの声援も嬉しいが、こうして1人のファンから大好きな気持ちを伝えてくれることももちろん嬉しい。

 

 

「マリナちゃんも今日のフェス、一緒に楽しもうね~。」

「はい!近江先輩!」

「彼方ちゃんでいいよ~。侑ちゃんとせつ菜ちゃんとランジュちゃんだけ名前呼びはちょっと妬けちゃうぜ~。」

「え、えぇ!?」

「マリナせんぱ~い!かすみんの事は、かわいく『かすみん♡』って呼んでくれていいですからね~♪」

「えっと……あ、あの……その……。」

 

 

 

『調子に乗るなよ、中須かすみ。』

 

 

 

「え?なんですか今のいかつい声?マリナ先輩の声……じゃないですよね……?」

「あ、の、ノワール……。」

「ノワールって……。」

 

 

急にマリナの懐から、男の声がした。

マリナが名前を呼ぶと、彼女のカバンが勝手に開き、そこから黒い姿を持つガンプラが顔をのぞかせた。

そのガンプラはあろうことか彼女の肩に乗り、腕を組んでかすみをにらんだ。

 

 

 

『マリナを困らせるな、中須かすみ。』

 

 

 

「って……うえぇぇ!?ば、バンシィ・ノワールぅ!?」

 

 

そのガンプラとは当然、マリナの愛機であるバンシィ・ノワール。

しかし彼の口調は棘はあるが、今までのような悪意は感じられない。

リアルで活動する際は今まではマリナの義足に宿って彼女の身体を乗っ取っていた彼だが、今は彼自身の本来の身体であるガンプラのボディで活動していた。

かつての宿敵の意外な登場に全員驚きを隠せずにいる同好会のメンバーたちに、状況の説明をニルスからしてくれた。

 

 

「実はここに来る前、私たちの研究所でバンシィ・ノワールを通常のELダイバー同様にビルドデカールでガンプラの本体に転送したんです。」

『この身体で動くのは新鮮だ。』

「せっかくのお祭りだから、ノワールにも楽しんでもらいたくて……。」

『マリナ……。』

「我々はあくまで監視の為です。彼をGBNに野放しにしていると、何をしでかすかわかったものではありませんので。」

 

 

「ニルス先生、素直じゃありませんね。」

「マリナ先輩の為にやりましたーって、素直に言えばいいのに。」

「きっとそういうこと言える立場じゃないんだと思う。」

「大変ですね、責任者って。」

 

 

「……オホンッ。それと、君たちに会わせたい人物がいます。」

「会わせたい人?」

 

 

あくまで監視という名目でバンシィ・ノワールをリアルに転送したというニルスに対し、1年生4人で苦笑。

少し照れているニルスが話題をそらし、車の後部座席のドアに手をかけた。

彼がドアを開けると、今度はそこから金髪縦ロールという漫画でしか見たことのないような風貌の女性が姿を見せた。

彼女は侑達の前にやってくると、ペコリと頭を下げた。

 

 

「初めまして皆さん。わたくし、ヤジマ商業代表取締役の、ヤジマ・キャロラインと申します。」

「え?や、ヤジマ商業の社長さん!?」

 

 

そこから現れたのは、ヤジマ商業の代表取締役社長であるヤジマ・キャロライン。

ニルスの妻であり、今回のガンフェスの最高責任者でもある。

意外な人物の登場に全員驚いたが、そもそもガンフェスという物自体が、彼女の発案で生まれたお祭りであるため、そのお祭りの中心となるお台場にキャロラインが姿を現すのは、当然といえば当然でもある。

 

 

「この度は、GBNを救っていただき心より感謝いたしますわ。本当にありがとうございます。」

「え!?い、いや、私たちはただ、大好きな気持ちを伝えたかっただけで……ど、どうしよう歩夢、こういう時なんて返せばいいの?」

「アハハ……。」

 

 

ニジガクの面々……特に侑はバンシィ・ノワールと直接対決をして、彼を改心させてGBNを救った。

その偉業はかつて強大なバグからGBNを救ったビルドダイバーズや、異星人アルスの侵攻を食い止めたBUILD DiVERSと並ぶものであり、特に今回の事件の発端はマリナの両親の事故がそもそもの原因でもあった。

そのためキャロラインは責任を感じており、その事態を収めてくれた彼女たちには深く感謝している。

 

 

 

「そこで皆さんにお礼……というより、お願いになってしまうのですが……。」

「お願い?」

「えぇ。実は昨日のライブ配信が想像以上に好評でして、ぜひともガンフェスの最終日にもライブを披露していただけないかと。」

「最終日にもライブを!?いいんですか!?」

 

 

 

キャロラインから提案されたのは意外な話。

ガンフェスの最終日といえば、世界中のガンダムファンにとっても大事な一日である。

そんな日にライブをさせてもらえるだなんて、願ってもない話だ。

 

 

「ガンフェスの最終日にライブ……すごいお話だよ!だってガンフェスの最終日って、いつもはガンダムシリーズの主題歌を歌ってるアーティストさんを呼んでライブをしてるんだよ!その枠で私たちが歌えるだなんて、とってもエモいよ~!!」

「興奮しすぎよエマ。だけど、悪い話じゃない……むしろとても光栄はお話ね。」

「これは引き受けるっきゃないよ、ゆうゆ!みんなもそう思うよね!!」

 

 

愛がそういうと、全員当然のごとく頷いた。

それを侑も確認すると、キャロラインに向き合って、深々と頭を下げた。

 

 

 

「こちらこそ、よろしくお願いします!!」

「そう言っていただけると思っていましたわ。それでは、最終日はよろしくお願いします!それまでは、今日から始まるガンダムフェス、楽しんでくださいませ!」

「「「はい!」」」

 

 

 

同好会から快諾されて、キャロラインもご満悦。

実は彼女、バンシィ・ノワールの一件が気がかりで昨日のライブを満足に見れていなかった。

なので実際はキャロラインがライブを見たいという一心で、同好会のライブの話を無理やりガンフェスの実行委員会に通したのだが、そのことは彼女以外はニルスしか知りはしない。

キャロラインが同好会と話をしている間はニルスは誰かと電話をしており、彼女の話が終わると同時にニルスも電話を切った。

 

 

「キャロライン。チナさんから電話があったよ。」

「まぁ!チナさんですって!」

「セイくんと今、会場に到着したそうだ。」

「イオリ・セイには初日の目玉になってもらわないと困りますものね。さぁ、会場に行きますわよニルス!」

 

 

そう言いながら会場へと向かって言ったニルスとキャロライン。

その場には同好会とマリナの14人が取り残された。

侑がマリナに向かい合うと、彼女に笑いかけた。

 

 

「それじゃあ私たちも行こうか!マリナちゃん!今日は思いっきり楽しもうね!」

「! う、うん!私も、ガンフェスを楽しみにしてたの!ね、ノワール!」

『マリナが楽しいなら、俺も楽しい。』

「ノワール。」

『なんだ、高咲侑。』

 

 

今度は侑は、その視線をマリナから彼女の肩の上にいるバンシィ・ノワールへと移す。

相変わらずマリナ以外にはそっけない態度をとる彼に、侑は笑いながら言った。

 

 

「これからは大好きなマリナちゃんとずっと一緒に居られて、良かったね!」

『……これもお前たちが俺の生まれた意味を思い出させたおかげだ。』

「あら?あなた、ずいぶん素直になったわね!あなたもランジュのお友達にしてあげるわ!」

『だがお前たちがマリナを傷つけることがあれば俺は容赦なくお前たちを狙う。覚悟しろ。』

「もうノワール!怖いこと言っちゃダメだよ。」

「アハハ……よし!じゃあ行こう!」

 

 

ランジュがマリナの車椅子を押して、いよいよガンフェスの会場へと向かおうとした一同。

その時、バンシィ・ノワールの胸に、急激に痛みが走った。

 

 

『グゥっ……!』

「ノワール?どうしたの?」

『い……いや……何でもない……。』

「どこか痛いの?もしかして、プラのカスがパーツに入り込んじゃってるのかな?後でメンテナンスしてあげるね。」

『……あぁ、すまない、マリナ……。』

 

 

 

 

~~

 

 

『リク、そろそろ時間だ。』

「あぁ、最後まで付き合ってくれてありがとう。ヒロト。」

 

 

一方その頃……GBNのビルドダイバーズのフォースネストにて。

リクの駆るガンダムダブルオーインフィニティーセイバーと、ヒロトのヴィートルーガンダムが激しい戦いを繰り広げていた。

皆がフェスを楽しんでいる最中ではあるが、リクにはまだその中に参加できない理由がある。

それはこの後すぐに行われる、今フェス最大の目玉イベントがあるからだ。

 

 

「頑張ろうな……ダブルオー。絶対に勝とう!」

『リクならできるさ。みんなで、応援している。』

「うん!俺、頑張るよ!」

 

 

この後行われるスペシャルエキシビションマッチ。

その相手は、伝説のビルドファイター……イオリ・セイ。

そしてその愛機はセイのかつての相棒をイメージして作り上げたレイジングガンダムと、ビルドストライクを融合させた最強のガンダム『ビルドストライクレイジングスター』

 

 

最強のファイターと最強のダイバーの、夢の対決が始まる。

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第105回:姉と呼べ

サラ「ノワールと無事に和解出来てよかったね、メイ。」

メイ「そうですね、姉さん。」

ノワール『今まで迷惑をかけた罪滅ぼしだ。俺にできることがあれば言ってくれ。』

サラ「気にしないでノワール。これから時間をかけて償っていけばいいのだから。」

ノワール『そうか……そう言ってもらえると気が楽になる。感謝するぞ、サラ。』

メイ「待て。」

ノワール『なんだ?』

メイ「お前はELダイバーだ。全てのELダイバーはサラ姉さんの妹か弟ということになる。なのになぜお前は姉さんを呼び捨てにしている?お前もELダイバーである以上、姉さんの事は姉さんと呼ぶべきだ。」

ノワール『なに?そんな決まりがあるのか?』

サラ「特にそういう決まりは無いけど……。」

ノワール『郷に入っては郷に従え。マリナの叔父であるカツラギが前に言っていた。わかった。ならば俺もお前の事を『姉さん』と呼ぼう。』

メイ「それでいい。」

サラ「ウフフ、大きい弟が出来たね。」

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