ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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宇宙の攻防

 

「ミカミ・リク!!ガンダムダブルオーインフィニティセイバー!!行きます!!!」

 

『イオリ・セイ!!ビルドストライクレイジングスター!!出ます!!!』

 

 

世界最大のガンダムの祭典であるガンダムフェスティバル……通称ガンフェス。

毎年そのガンフェスの開幕の合図となるエキシビションマッチ。

例年ではチャンピオンのクジョウ・キョウヤと、第七機甲師団のロンメル大佐によるバトルで盛り上げられていたその舞台は、今年はキョウヤとニルスの2人の推薦により特別なカードとなった。

 

GBNの期待の新生……ビルドダイバーズのミカミ・リク。

 

3代目メイジン・カワグチと肩を並べる伝説のビルドファイターのイオリ・セイ。

 

 

全世界が注目するこのバトルは、キョウヤの掛け声と二体のモビルスーツが斬り合う炸裂音により幕を開けた。

 

 

 

「『うおおおおおおおおお!!!』」

 

 

 

ダブルオーインフィニティセイバーが背面にマウントしている巨大な実体剣『インフィニティバスターソード』を抜き取り、ビルドストライクレイジングスターのビームサーベルとぶつける。

ただ剣をぶつけただけなのに、その激しい余波が開会式の会場を襲い、建物全体を激しく振動させた。

そのあまりの衝撃は見ているものを圧倒するが、リクとセイはそんな事眼中にないかのようにさらに激しく斬り合い始めた。

 

 

「や、やっば!?何この衝撃!?」

「ど、どこかに掴まってないと吹き飛ばされちゃいそうだよ~!」

「見てくださいアユムさん!アイさん!2人が!」

 

 

ダブルオーとビルドストライクの攻撃の激しさに驚いているアユムとアイに対し、しおこが二機を指さした。

見ると、ダブルオーとビルドストライクはバスターソードとビームサーベルで鍔迫り合いをしながら空へと飛びあがり、会場の外へと飛び去って行った。

ぽかんと口を開けていると、すかさず会場の超巨大スクリーンにビルドストライク視点の映像と、ダブルオー視点の映像が映し出され、会場にいた全員がスクリーンへ注目した。

 

 

「始まった……リクとイオリ・セイのバトル……。」

「サラちゃん、不安?」

「ううん。見ててわかるの。リクとダブルオー、今すごく喜んでる!」

 

 

 

~~

 

 

会場の上空に開いたワープゲートをくぐり、リクとセイが現れたのは広大な宇宙空間。

無重力に突入すると同時に重力圏での操作方法から無重力空間での操作方法に切り替え、ダブルオーはスペースデブリの間近で急停止。

さらにそのスペースデブリを足場にして一気に加速し、ビルドストライクへ強烈な斬撃を繰り出した。

だが、当然ながらセイはその攻撃を見切り、両腕に備え付けたスタービルドストライクのあぶそーぶシールドの発展型である『シールドライフル』で受け止めた。

 

 

『キレのあるいい攻撃だね!さすがだよ、だけど、僕に通用しないよ、リクくん!』

「このぐらいで、あなたを倒せるなんて思ってませんよ!セイさん!」

 

 

一度インフィニティバスターソードを引っ込め、腰に下げたビームライフルを手に取ったダブルオー。

ビームライフルではあるが、アブソーブシステムを搭載したビルドストライクに通用しない事はリクも重々承知。

リクはそれでビルドストライクを狙うのではなく、セイを狙うと見せかけて彼の頭上にある極小のスペースデブリを狙い撃った。

極小といえどそのサイズはモビルスーツと同等ぐらいはあり、砕け散ったスペースデブリの無数の破片がビルドストライクへと襲い掛かる。

 

 

『これは……目くらましか!』

 

 

リクの狙いに気が付いたセイはシールドライフルにため込んでいるエネルギーの一部を背面のストライカーパック『ギャラクシーブースターII』へと送り込み、光のマントを展開。

その光のマントを翻して飛んできたスペースデブリの破片を払いのける。

しかし、次の瞬間彼の目の前には二本のインフィニティバスターソードを構えたダブルオーがおり、ダブルオーは両肩のGNドライブ『セイバードライブユニット』からエネルギーを放出しながらビルドストライクへと切りかかってきた。

思わず仰け反って攻撃をかわそうとするが、想像以上に素早いダブルオーの一撃を受けてしまい、このバトルにおける初撃を受けてしまったビルドストライク。

斬り飛ばされた先のスペースデブリに着地し、そこからダブルオーを見据える。

 

 

(読みは当たっていたけど、想像以上にあのダブルオーのスピードが速かった……トランザムも使わずにあの動き……本当に凄い……。)

 

 

確かにダブルオーインフィニティセイバーは、ダブルオーガンダムでいうところのダブルオーライザーにあたるリクのガンプラの強化形態ではある。

しかしOOシリーズのガンプラ……特に太陽路搭載のガンダムタイプのガンプラは、トランザムありきの性能をしている場合が多い。

実際ダブルオーライザーにも、トランザムを発動した形態として『トランザムライザー』というものが存在する。

このトランザムライザーは非常に強力な機体であるが、GBNでの性質上トランザムライザーになる前のダブルオーライザーの性能はそこまで飛び出て高いものではない。

 

 

だが、リクのダブルオーインフィニティセイバーは違う。

 

 

トランザムを発動せずとも驚異的な運動性の機動性、そして攻撃力を併せ持っている。

それこそ、セイの計算を狂わせるほどの。

セイが今までに見てきたガンプラの中でも、トランザム搭載機として最も高性能だった機体は3代目メイジン・カワグチの操るガンダムアメイジングエクシアだったが、このダブルオーはそれ以上。

軽量化されているにも関わらずに非常に強度のある装甲は、ヒロトのフルスクラッチ。

ヒロトだけではなく、ビルドダイバーズの中でも技術に覚えのあるコーイチやユッキー、BUILD DiVERSのカザミによる技術提供。

アヤメやメイ、マサキとの度重なるバトルによりリクに最もなじむように施された機体調整。

ニジガクの面々やマギー、タイガーウルフ、シャフリ達による激励。

そして何より、絶対に勝つという強い意志が、ガンプラの力を最大限まで高めている。

 

 

これが、ビルドダイバーズのエース機……ミカミ・リクの『ガンダムダブルオーインフィニティセイバー』だ。

 

 

『ここはガンプラへの思いが現実になるGBN。なるほど、君たちが強いのもわかる。だけど……!』

 

 

しかし、セイも負ける気など無い。

彼の操るガンプラは、セイ一人だけのものではない。

かつての相棒への思いを馳せて作り上げた、今のセイに作り出せる究極のビルドストライク。

 

 

それが、イオリ・セイとレイジのガンプラ……『ビルドストライクレイジングスター』

 

 

操縦桿を握り締め、セイは深呼吸をする。

それと同時にビルドストライクのシールドライフルの銃口から光と炎のビームサーベルが出現した。

立ち上がったビルドストライクは、ギャラクシーブースターIIを一気に加速させ、ダブルオーとの距離を詰める。

ダブルオーの二本のインフィニティバスターソードと斬り合いながら、二体のガンプラはスペースデブリを足場にしては壊し、次のスペースデブリへ移動して、を繰り返し始めた。

ダブルオーとビルドストライクの鍔迫り合いの衝撃に、GBNで設定されているスペースデブリの強度が耐えられるはずもない。

 

 

 

~~

 

 

 

会場にてリクとセイのバトルを見ていたビルドダイバーズや同好会メンバーたち。

鍔迫り合いだけでも異次元レベルの戦いを見せる二機に、同好会メンバーはエマとカリンを除いて呆然としていた。

もちろんマリナもダブルオーとビルドストライクの目にもとまらぬ戦いに口をパクパクさせており、彼女の愛機であるバンシィ・ノワールがマリナを心配そうに見ている。

 

「す、すごい戦い……りなこちゃんボード……『唖然』……。」

「カナタちゃん、2人が何やってるのか全然わかんないよ~……。」

「かろうじて、鍔迫り合いをしているというのはわかるんですが……なんというか……目で追えないというか……。」

 

 

りなこ、カナタ、しおこは呆然とスクリーンを見つめる。

トランザムやエクシードバーストなどといった特殊形態に慣れているアユムやセツナ、しずこなどはなんとか目で追えてはいるが、いかんせん高レベルの戦いなのでどちらが勝ちそうなのか全くわからない。

 

 

「小隕石を次々飛び回って戦ってるけど、どっちが優勢なんだろう?ユウちゃんはどう思う?」

「うーん……さっきリクくんのダブルオーが最初に攻撃を当ててたし、たぶん優勢なのはリク君の方だと思うんだけど……。」

「ううん、違うよ。」

 

 

ユウの推測を、隣にいたエマが即否定した。

どちらも互角そうに見える上に、いまだにダブルオーはノーダメージなのだが、なぜエマがそんなことを言っているのかわからないユウとアユムは頭の上に『?』を浮かべる。

2人の疑問に、カリンが腕を組んだまま答える。

 

 

「一見リクくんが優勢に見えるけど、リクくんのダブルオーが全力で切り込んでいるのに対して、あのイオリ・セイって人は余裕をもって攻撃を受けているわ。あのままだと、先にリクくんの集中が途切れてしまうわ。」

「それにリクくんは奥の手のトランザムがあるけど、相手のビルドストライクはアブソーブシステムがあるから……下手に勝負を決めようとトランザムを使うと、逆にそのエネルギーを利用されてリクくんが負けちゃう可能性だってあるんだよ。」

「え、エマさんとカリンさん、あのバトル見ただけでそこまでわかるの……?」

「だけど、っていう事はリクくんは勝てないんですか!?」

「そうは言って無いわ。だけど、攻めてばかりでは勝機は薄いかもしれないわね。」

 

 

 

 

~~

 

 

「もっとだ!もっとスピードを上げるぞ!!ダブルオー!!」

 

 

次から次へとスペースデブリを移動しながら、ビルドストライクと斬り合うダブルオー。

攻めに徹するリクに対し、セイの方は光のシールドライフルサーベルを防御に、炎の方を攻撃に使用。

攻防に優れたこのシールドライフルは、アブソーブシステム最大の欠点であったアブソーブシールドを真っ先に狙われるといった弱点を逆に利用した万能武器。

狙われるのであれば、それを使って攻撃をすればいいという以前のセイでは考えつかなかったような性質を持っている。

これは、セイがビルドストライクレイジングスターを作り上げる際、レイジならばどうするかを意識しながら作り上げたため。

まさに攻防一体ともいえるこの武装を前に、リクは攻撃を繰り返すが、ビルドストライクへの決定的なダメージを与えられずにいる。

 

 

『攻撃の一撃一撃かかなり重たい……だけど、ビルドストライクなら受けきれる!ここからはボクたちのターンだ!!』

「なっ……!?」

 

 

ダブルオーの繰り出した攻撃を両方のシールドライフルで受け止めたビルドストライク。

そのまま盾で押し返す、いわゆる『パリィ』を行い、ダブルオーの態勢を崩した。

そして右手にエネルギーを込めると、そのままダブルオーの顔面を掴み、地面へとたたきつけた。

 

 

 

『ビルド……フィンガーーーー!!!』

「うわあああああ!!!」

 

 

『機動武闘伝Gガンダム』に主役機であるシャイニングガンダムの必殺技『シャイニングフィンガー』を模した技、『ビルドフィンガー』をダブルオーへ叩き込んだビルドストライク。

これはビルドナックルよりも威力は低いが、敵を一定時間拘束できる強力な技であり、この攻撃を受けたダブルオーの機体が急激にダウンし、その場に倒れこんでしまった。

そこへ、さらに追い打ちをかけるようにビームサーベルを抜き取り、ダブルオーへと斬りかかる。

 

 

「……いや、まだだ!!」

『!!』

 

 

しかし、ダブルオーもこのぐらいで負けてはいられない。

背面に装着したインフィニティライザーは、元はザンライザーを意識して作られたダブルオーセイバー専用の支援機。

ザンライザーがベースという事は、ザンライザーにも備わっていた武器を扱うためのアームユニットが存在する。

リクは素早く操縦桿を動かしてインフィニティライザーのアームユニットを展開すると、それで膝裏に隠していたビームサーベルを抜き取ると、巧みにビルドストライクの攻撃に合わせてビームサーベルを振るう。

二機のビームサーベルは宇宙空間であるにもかかわらず特大の火花を散らすと、それに耐えきれなくなった地面のスペースデブリが爆発。

その爆発に巻き込まれる前になんとか動けるようになったダブルオーは素早くその場から離脱し、続けてビルドストライクもダブルオーを追って舞い上がる。

 

 

 

「重力圏で戦うぞダブルオー!!インフィニティライザー、最大出力だ!!」

『惑星に降り立つつもりか!面白い……受けて立つよ、リクくん!』

 

 

 

ワープゲートをくぐらず、足元にある青い惑星を目指すダブルオーとビルドストライクの二機。

この2人の目指す次の戦いの舞台は、宇宙空間に続きGBN最大の規模を誇るディメンション……地球だ。

 

 

 

 

~~

 

 

『意識データ、復元完了。ボディデータの再構築プログラム、起動。』

 

 

その頃、とあるディメンション内で謎の機体がそんな声を上げた。

異形な姿を持つそれは、失われたボディを少しずつ復元しながら、目覚めの時をひたすらに待ち続ける。

白と黒の光を帯びた瞳で天を見上げながら、そのモビルアーマー……アナザーノワールは来るべき戦いに向けて再び眠りについた。

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第109回:夏休み終了のお知らせ


かすみ「かすみん……死にました……もうダメです……。」

しずく「だから宿題はちゃんとやろうってあれだけ言ったじゃない!!なのに勉強会のたびにかすみさんが話を脱線させちゃうんだから!!」

かすみ「だって~!!」

璃奈「だけど雑談は楽しかった。」

栞子「お泊りもしましたね。」

かすみ「このメンバーで集まると絶対そうなるじゃん!!仕方ないよ!!かすみん悪くない!!」

しずく「そんなこという子はこうするよ!!」

かすみ「うぇ~ん!ほっぺたひっぱらないで~!」

璃奈「栞子ちゃん自由研究何やった?」

栞子「私はモビルスーツが実現可能かどうかの論文をまとめました。」

璃奈「私はニュータイプ論をまとめたよ。」


果林「フフフ、かすみちゃんは大変そうね。」

彼方「お!そういう果林ちゃんは余裕そうだねぇ。もしかして宿題ちゃんとやったの?」

果林「えぇ、もちろん。」

ミア「騙されちゃダメだよ彼方。果林のやつ、一昨日にエマに泣きついて二日がかりで必死こいてやってたんだから。」

果林「ちょ、み、ミア!」

エマ「でも果林ちゃんが自主的に宿題やってくれて嬉しいよ~!」
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