インフィニティバーストとRGスターシステム。
お互いの象徴ともいえるシステムを手放し、最後の最後は己の必殺技で勝負を決めようとするリクとセイ……ガンダムダブルオーセイバーとビルドストライクレイジングスター。
『レイジング、ビルド……ナックル!!!』
「ハイパー!!スカイザンバーーーーーーー!!!」
ビルドストライクの『レイジングビルドナックル』とダブルオーセイバーの『ハイパースカイザンバー』の激しい打ち合いは、それだけでGBNのディメンションを歪ませかねないほどの衝撃を放っていた。
凄まじい威力の鍔迫り合いは、お互いのモビルスーツの耐久値など振り切ってしまうほどの衝撃で、実際ビルドストライクもダブルオーも、攻撃を耐えている間常に機体へダメージが蓄積されていた。
装甲が剥がれ、フレームが割れ、ポリキャップが破裂し、他のガンプラであればとっくにバトルアウトしてしまうようなダメージを受け続けながらも、ビルドストライクもダブルオーもその場に立っていた。
「『うおおおおおおおおおお!!!』」
レイジングビルドナックルを放つビルドストライクの右半身、ハイパースカイザンバーを放つダブルオーの左半身が崩壊をはじめるが、それでも攻撃の手を止めない両者。
やがて二人の必殺技のエネルギーが両機の間で暴走をはじめ、それはディメンション内に漂う粒子に小さな爆発を引き起こす。
その小さな爆発は、やがて他の粒子を誘爆し、それらは一瞬で連なると、ディメンション全体を巻き込むだけの超巨大な爆発となった。
『くっ……耐えろ……!耐えてくれ、ビルドストライク……!!』
凄まじい爆風に、何とか耐えようとするビルドストライク。
それに対し、ダブルオーは……、
「…………。」
なんと、操縦桿から手を放した。
爆風に身を任せ、吹き飛ぶダブルオー。
その体は崩れる建物に激突し、崩壊しかけていた左半身が完全に破壊された。
踏ん張っていたビルドストライクだったが、爆風の威力に崩れかけていた脚部が耐えきれず、ついに両足が破損。
そのまま吹き飛ばされて地面に倒れこんだ。
スクラップ同然の姿となってしまった両者……だが、そんな状態でも、彼だけは立ち上がった。
ミカミ・リクと、ガンダムダブルオーセイバーだ。
彼は、残り数ミリしか残っていないHPをなんとか振り絞りながら、ビルドストライクの前でフラフラと立ち上がる。
そして、残された、手首の無い右腕を突き上げる。
その右腕の先には、このバトルの結末を告げるメッセージが表示された。
BATTLE ENDED!WINNER RIKU (OO INFINITY SABER)!』
~~
「……か……勝った……?」
「勝った!勝ったよユウちゃん!リクくんが勝ったんだよ!」
スクリーン越しに移る映像を見て、会場が一瞬沈黙に包まれた。
ダブルオーが立ち上がっても、なおも続く沈黙……その沈黙を破るために、VIP席から一人の男が立ち上がった。
クジョウ・キョウヤだ。
彼の手にはマイクが握られており、スクリーンを見ると、そこに映されたボロボロのダブルオーセイバーと、満身創痍なリクの顔を見てフッと笑う。
そして、会場中を包み込む静寂を、彼の言葉がついに破った。
「この長くも短い、エキシビションマッチの激闘を制し、最後に立ち上がった者こそが、今回のバトルの勝者。……紹介しよう……彼の名は、リク!フォース『ビルドダイバーズ』の、ミカミ・リクだ!!!」
キョウヤがリクの名を叫ぶと同時に、会場が沸き上がった。
激しいバトルの末の決着……この結末に文句を言う者など、この会場には誰一人としていなかった。
スクリーン上に映し出された、ビルドストライクとダブルオーの姿は、どんなにボロボロでも、今この時は全世界のどんなガンプラよりもカッコよく見えて、それでいて輝いて見えた。
なんとか立ち上がっていたダブルオーは、キョウヤの勝利宣言の直後にその力を失い、力なくその場に倒れこむ。
その姿を見ながら、サラは両手を合わせて涙していた。
「おめでとう……やったね、リク……ダブルオー……!」
~~
「……はぁ……負けちゃったか……。」
ビルドストライクの中で、セイはそう言葉を漏らした。
勝つ自信はあった。
ビルドストライクレイジングスターは、セイのビルドストライクとレイジのレイジングガンダムを組み合わせた、セイが作れる中でも最強のガンプラ。
そのビルドストライクレイジングスターで全力で戦い、その結果セイはリクに負けてしまった。
お互いの力は拮抗していた……いや、ガンプラの性能自体は、間違いなくビルドストライクの方が上であった。
おそらく、勝敗を決定づけたのは、最後の爆風に巻き込まれた時。
あの時セイは、ビルドストライクをその場にとどまらせた。
その結果ビルドストライクの両足が耐えきれず、爆風に巻き込まれてしまいバトルアウトしてしまった。
一方リクのダブルオーは、すぐそばにあったまだ倒壊していない建物をクッション替わりにするため、あえて爆風に身を任せた。
よって受けるダメージを最小限に抑えこみ、なんとか最後の最後で踏ん張ることができた。
一瞬の判断が、2人の勝敗を分けたのだ。
「ごめん、レイジ……負けちゃって……。だけど……、」
ビルドストライクのコクピットの中で、セイは空を見上げる。
崩壊していくディメンションの空を見ながら、セイは満足げに言った。
「だけど……楽しかったなぁ……。」
~~
エキシビションマッチの表彰式は、速やかに執り行われた。
ディメンションから戻ってきたリクとセイは、壇上へとあがり、会場へ向かってお礼のあいさつ。
勝者であるリクはその後、キョウヤからエキシビションマッチの勝者にのみ与えられる特別な称号をもらった。
『ガンダムフェスティバルエキシビションマッチWINNAR』
この称号を持つ者は、リクを除けば今まですべてのエキシビションに出場していたクジョウ・キョウヤのみ。
チャンピオンという称号と肩を並べる、GBN最強の証。
その称号を受け取ったリクは、感動のあまり泣きそうになると、セイが彼に握手を求めてきた。
「リクくん。」
「! は、はい!」
「……おめでとう。最高のバトルを、ありがとう!」
「こ、こちらこそ!本当に……ありがとうございましたぁ!!」
固い握手を交わすリクとセイ。
2人の握手に、再び会場が沸き上がった。
先ほどまで激闘を繰り広げていた伝説のビルドファイターと最強のビルドダイバー、この2人の戦い後の握手に盛り上がらない者はこの場にはいなかった。
この後は、キョウヤによるガンフェスの開会宣言と、キャロラインによる演説があり、それから本格的にガンフェスが始まる。
GBNでもリアルでも、ガンダムファンなら盛り上がること間違いないこのイベントに、会場中が今か今かと待ちわびている中、リクとセイはそれぞれの控室の方へと戻っていった。
~~
「「「リク(くん)!おめでとーーーーー!!」」」
控室に戻ると、リクは突然のクラッカーの音に驚いて、その場で腰を抜かしてしまった。
控室にはビルドダイバーズやBUILD DiVERS、ニジガク同好会メンバーたちにマギー、タイガーウルフ、シャフリヤールと、たくさんの仲間たちがリクの勝利をいち早く祝おうと、開会式の途中にもかかわらず待ってくれていた。
さっそくモモ、カザミ、タイガーウルフ、かすみんとユウがリクへ駆け寄り色々と聞いてくるが、アヤメ、ヒロト、シャフリ、アユムが彼らを制止ししてくれた。
「もうユウちゃんかすみんちゃん!リクくんは疲れてるんだから休ませてあげないと!」
「うぅ……すいません……。」
「アハハ、大丈夫大丈夫!皆、ありがとう!」
いつも通り、リクの笑顔は無邪気なものだった。
しかし、激戦を勝ち抜いた彼の表情は、3年前までのあどけない少年のそれではなく、逞しく成長した男の表情だった。
そんな彼の表情を見て、少し感慨深くなったマギー、タイガーウルフ、シャフリヤールの3人。
この3人は、リクが初心者のころからずっと見守ってくれていただけに、リクの勝利が自分の事のように嬉しく思う。
「ずいぶんと、逞しくなったわね、彼。」
「そうだね……こんなにも早く我々を追い抜いてしまうだなんて……。」
「あん?そう思ってんのはテメェだけだガンプラ馬鹿。俺様はまだ追い抜かれたなんて思っちゃいねぇ。次にあいつとバトルする時は、絶対に俺様が勝って見せるぜ。」
「フッ、どうだか。今のところお前はリク君に勝ち越しているようだが、私の見立てではもうお前じゃリク君に勝つのは無理だと思うが?」
「なんだとテメェ!!やってみなくちゃわかんねぇだろうが!!」
「私は論理的に考えて考察しているんだよこのバトル馬鹿!!」
「師匠!リクさんのお祝いの席ではしたないです!!」
「兄さんもですよ!!」
「「しゅん……。」」
弟子のしずこと、弟のパルに怒られて、意気消沈してしまったシャフリとタイガーウルフ。
「ホント仲いいわねぇあんたたち……。」
そんな落ち込む二人を見て、ポツリとつぶやくマギー。
いつもの光景だ。
いつもと変わらぬ日常を目の当たりにして、リクはようやく気が抜けたのか、椅子に座りこんだ。
その時、彼はふと、バトル中に起こったある事を思い出した。
「そういえば、バトルの時、皆の声が聞こえたんだ。」
「どういうことですか?アドバイスができないように、エキシビションの時は観客席からの通信は遮断されていたはずですが……?」
セツナが首をかしげると、リクは取り出したダイバーギアから、現在メンテナンス中のダブルオーのデータを見る。
「……きっと……ダブルオーが皆の声を俺に届けてくれたんだ。諦めかけてた俺に、戦うパワーをくれるために。」
トランザムは対話の為の力。
その力の極致ともいえるインフィニティバーストにより放出されたGN粒子が、リクへ皆の気持ちを届けてくれた。
ダイバーギアを持つリクの手に、サラが自分の手を添えてきた。
「頑張ったね、リクも、ダブルオーも。」
「うん。だから今日の勝利は、俺だけの物じゃない。俺と、ダブルオーと、応援してくれたみんなの物なんだ。だから、みんな!」
サラの手を握ったまま、再びリクが立ち上がった。
彼は満面の笑みで、皆に言った。
「これからも、よろしく!!」
「……あぁ。もちろん。」
それに最初に答えたのは、BUILD DiVERSのヒロト。
ヒロトに続き、その場にいた全員がリクの言葉に頷いた。
感動したユッキーはリクに抱き着いたり、感極まったランジュがマリナと一緒に一曲歌おうとしたり、とても楽しい時間を過ごした。
そんな中、そわそわしていたりなこの存在に、ミアが気が付いた。
「璃奈、どうしたんだい?」
「あ……ミアちゃん……ううん……なんでも……。」
「……行きたいんだろ?イオリ・セイのところ。」
「え?」
「わかるよ、璃奈の事なら。ボクも一緒に行くから、早く行こう。」
「! う、うん!」
~~
その頃、自分の控室へと向かっていたセイ。
リクよりも控室に向かう時間が遅くなったのは、しばらく格納庫にいたから。
修繕されるビルドストライクを、しばらくの間眺めていた。
そして控室の前までやってくると、彼を3人の男女が迎えてくれた。
「! チナ……マオくん、ニルスくん……。」
「お疲れ様、セイくん。」
そこにいたのは彼の妻のチナと、友人のマオとニルス。
3人ともセイと同じで、リアルでの姿とGBNでの姿は変わらない。
「ずっと待っとったんのに、来るのがおそいんちゃいますかセイはん。」
「ごめんごめん、ちょっと格納庫にね。」
「格納庫?」
「ビルドストライクを見ていたんですか?」
「うん。」
頷くと、セイは今来た道を振り返った。
「レイジがいた頃は、戦った後に傷ついたガンプラは、ボクたちが直していたのに……今はこうやって、傷ついたガンプラはシステムが自動で修理してくれる。」
「時代は少しずつ進んでいます。」
「うん……そのことに、少し寂しくも思うけど、それと同時に、うれしくもあるんだ。時代が進んだから、彼のようなファイターとバトルできた。」
「ミカミ・リク。すっごいファイターやったなぁ。それに、えぇ目ぇしてはりましたわ。」
「うん。なんだか少し、レイジ君の事思い出しちゃった。」
「そうだね……ん?」
その時、セイが駆け寄ってくる人影に気が付いた。
その小さな足音を聞いて、彼は誰が来たのかすぐに理解し、彼女の名前を呼んだ。
「りなこちゃん!」
「せ、セイさん!」
「はぁ……はぁ……は、早いよ璃奈……。」
やってきたのは、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のりなことミアの2人。
ずいぶん急いでやってきたのか、2人とも息を切らしており、セイはりなこ達に駆け寄った。
「2人ともどうして……?」
「あ、あの……私、セイさんにどうしても言いたい事があって……。」
「言いたい事?」
そう言うと、りなこはりなこちゃんボードの表示をオフにして、素顔を晒す。
彼女はセイの顔を見上げて、彼に言った。
「セイさんも、凄く強かった!とってもカッコよかった!勝ったのはリクさんだったけど……私が一番かっこいいって思ったのはセイさんだった!それを、どうしても伝えたくて……だから、落ち込まないでほしい……。」
「りなこちゃん……。」
セイを励まそうと、りなことミアは急いで彼のもとへとやって来てくれた。
きっと今頃彼女の仲間たちは、リクの勝利をお祝いしているだろうに、2人はそんな状況の中でセイのもとへ来てくれたのだ。
セイは一度チナ、マオ、ニルスの方を振り返ると、すぐにりなこに向き合った。
「ありがとう……でも、ボクは落ち込んでなんかいないよ。」
「え……。」
「確かに負けたのは悔しい。絶対に勝ちたいって思って戦ってたし、負けた後もクソっ!て思ったりもしたよ。だけど、それ以上に楽しかった。」
目をつむり、セイはさきほどのリクとのバトルを思い出す。
どちらも一歩も引かぬ攻防、決して諦めないリクの姿、RGスターシステムとインフィニティバーストのぶつかり合い。
そして、最後の最後の必殺技の応酬。
どの場面を思い出しても、楽しかった思い出しかない。
目を開けると、セイは飛び切りの笑顔で、りなことミアに言った。
「やっぱり、ガンプラバトルは最高だ!!」
(そうだよな……レイジ。)
~~
その頃、とある城の窓辺で、一人の男が夜空を見上げていた。
赤い髪のその男の手には、『HG ビギニングガンダム』が握られていて、彼は星空を見上げながらビギニングガンダムを弄っていた。
そんな事をしていると、彼の名前を大声で呼びながら、ドレス姿の銀髪の美しい女性がやって来て、彼に詰め寄った。
そんな彼女の後ろには、彼女の付き人と思わしき兵士が数人、彼女を引き留めようと必死だ。
「レイジーーーー!!ちょっとレイジ!!早く来ないとご飯冷めちゃうでしょ!!いつまで待たせるのよ!!」
「あぁ……アイラか。」
「あぁ……アイラか、じゃないわよ!いつまで待たせるの!あんた王様なんだから時間ぐらい守りなさいよね!あの子にも示しがつかないでしょ!!」
「はいはい、そりゃどーもすんませんすんません。」
「適当な返事ねぇ……で?ガンプラなんて持って、何してたの?」
レイジと呼ばれた男は、アイラと呼んだ女性の方を振り返ると、再びビギニングガンダムを見た。
次にまた星空を見上げ、彼はつぶやいた。
「セイの声が聞こえた。。」
「はぁ?セイ?アリアンにセイの声が聞こえるわけ……。」
「確かに聞こえたんだ。あいつ……まだガンプラバトル続けてんだな……へへっ、嬉しいぜ!それでこそセイだ!」
「レイジ……?あんた何言って……?」
「こうしちゃいられねぇな!」
そう言うと、レイジは走り出した。
アイラが彼を呼び止めると、彼は叫んだ。
「ちょ、ちょっと!どこ行くのよレイジ!」
「決まってんだろ!特訓だよ特訓!いつか、セイのやつと思いっきりバトルするためのな!その前に腹ごしらえだ!行くぞアイラ!」
「あ、ちょっ……呼びに来たのは私!!あんたはもう、昔から変わんないんだから!!」
「待ってろよセイ!!いつか、また一緒にバトルしようぜ!!」
~にじビル毎回劇場~
第113回:水星の魔女
歩夢「水星の魔女第1話放送おめでとう!」
侑「私まだ見てないんだよね。」
歩夢「あ、じゃあ一緒に見ようよ侑ちゃん。私もまだ見てないから、すっごく楽しみ!」
侑「いいね!見よう見よう!」
~視聴中~
ミオリネ『私の婚約者の証。』
スレッタ『わ、私……女ですけど……!?』
ミオリネ『……水星ってお堅いのね。こっちじゃ全然『アリ』よ?』
~視聴終了~
侑「……まじか。」
歩夢「侑ちゃん。」
侑「は、はい……。」
歩夢「こっちじゃ全然、『アリ』らしいよ。」
侑「…………(汗)」