リクとセイのエキシビションマッチを終え、ついにガンダムフェスティバル……通称『ガンフェス』が本格的に開催された。
リアルとGBNのどちらでも3日間盛大に行われるガンダムシリーズ最大のお祭り。
ついにその本番という事で、エキシビションマッチを観戦し終えたニジガクの13人とマリナはリアルのユニコーンガンダム立像の前に集合し、これからの予定を決める事に。
何しろお台場丸ごとがガンダム一色となっているため、リアルとGBNのどちらも堪能するとなるととてもではないが3日では足りない。
そのうえ彼女たちは最終日にはライブもあるため、予定の調整は重要だ。
「さて、それじゃあ今後のスケジュールだけど……みんなは何かやりたい事とかある?」
「はいはーーーい!かすみん、ダイバーシティの洋服屋さんでやってるコスプレイベントに参加したいです!」
「!! え、エマさん!見てください、『水星の魔女』のディメンションをいち早く体験できるイベントがあるみたいです!」
「行くしかないよ栞子ちゃん!!」
「ランジュはバトルがやりたいわ!さっきのエキシビションを見てからウズウズしてるの!」
「皆やりたい事バラバラだね……。」
さすがは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会かといわんばかりに、全員やりたい事がバラバラ。
リアルでイベントを楽しみたい組、GBNでのイベントをやりたい組、他のもいろいろとやりたい組と、14人もいると意見が全くまとまらない。
すると、果林が一つ提案してくれた。
「3日間もあるんだから、今日のところは全員自由行動って事にしましょう。というか、さすがにこの大人数で固まってると動きづらいだろうし……皆各々やりたい事があるなら、悔いの残らないように思いっきりやるって事でどうかしら。」
「それだよ果林ちゃん!」
真っ先にエマが賛成してくれた。
この提案に反対する者は誰もおらず、全員それぞれ自由行動をするという事で意見が纏まった。
自由行動が決まったとたん、ランジュがマリナと腕を組んだ。
「じゃあマリナはランジュと一緒ね!たくさん楽しみましょう!」
「う、うん!嬉しい!あの……せつ菜さんも一緒にどうかな……?」
「私もいいんですか?」
「当たり前じゃない!一緒に回りましょうせつ菜!マリナ!」
「了解しました!」
「水星の魔女楽しみ~!どんなミッションがあるのか気になるよ~!」
「さっそく行ってみましょうエマさん!」
「ほらほら果林先輩!早く行きますよ!」
「え?私も?」
「だっていろんなお洋服が無料で楽しめるんですよ!行くしかないじゃないですか!」
「はいはい、わかったから引っ張らないでかすみちゃん。」
それぞれ好きな場所へと向かい、ガンフェスを満喫することに。
先に行ってしまったメンバーを見送ると、残ったメンバーたちも何をしようかパンフレットを眺めながらのんびりと考える。
「うーん……行きたいところが多すぎてエラベナイヨー!」
「ホントだね。どこもかしこもガンダムだらけで、迷っちゃうね。」
「でも、こうやってのんびりしてるのってなんだか久しぶりかも~。」
侑と歩夢がそう話していると、彼方が途中から割り込んできた。
言われてみれば、昨日まではバンシィ・ノワールの事件を追っていて、さっきまではリクとセイのエキシビションマッチで手に汗握っていた。
こんなに気を抜いている時間は、ずいぶん久しぶりのように感じる。
「……そう言えば、マリナちゃん大丈夫かな?」
「大丈夫だよ。せつ菜ちゃんとランジュちゃんもついてるんだし。あの二人がついてれば安心だよ。」
「あ、そうじゃなくて……明後日のライブの話。やっぱり迷惑だったかな……いきなり歌ってみないだなんて誘って……。」
「確かに勇気がいる事だけど、マリナちゃんを信じようよ。大丈夫だよ侑ちゃん!今のマリナちゃんは、一人じゃないんだから!」
~~
「それにしてもお腹がすいたわー。」
「そう言えば、お昼ごはんがまだでしたね。どこかお店に入りましょうか?」
「お肉!ランジュはお肉が食べたいわ!2人は何が食べたい?」
「私は……あ、あのお店……。」
せつ菜に車椅子を押してもらいながらあたりを見渡していると、マリナがとあるお店を見つけた。
それは昨日までのお台場には無かったもので、このガンフェスの為に作られた屋台なのだと一目でわかるが……その外見がお台場に似つかわしくないものすぎて、ものすごく人目に付く。
「え……何このお店……。」
「こ、これは!!」
「せつ菜知ってるの?」
「えぇ、もちろんです!!『機動戦士ガンダム』第19話にて、アムロ・レイが脱走した先で駆け込んだレストランです!」
「凄いね。こんなものまで用意されてるんだ。」
「へぇ、いいじゃない!じゃあここに入りましょうよ!」
せつ菜とマリナが感動していたので、ランジュも快くこのお店に入ることに決めた。
入店してすぐ、メニュー表を見ようとしたランジュだが、肝心のメニュー表がどこにもない。
頭の上に『?』を浮かべていると、マリナの懐から出てきたバンシィ・ノワールがランジュに注意を促した。
『キョロキョロするな、みっともないぞ。』
「だってメニュー表無いんだもの。これじゃ注文するものを選べないわ。」
『メニューが無いのは当たり前だ。』
「どういうこと?」
ランジュが首をかしげていると、店員が3人の前にそれぞれパンが一つだけ乗った皿と、コップ一杯の水を持ってきた。
「え?頼んでないけど……。」
「おぉぉ!!来ました!!来ましたよマリナさん!!」
「こ、これが……!」
「え?え?何?どういうこと?」
『パンとうまい水だ。』
「は?」
早速せつ菜とマリナがそのパンにかぶりつく。
せつ菜が幸せそうにパンを食べているので、そんなに美味いのかとランジュもパンを口に運ぶが、普段からかすみのパンを食べ慣れているランジュからしてみればそんなにおいしいものでもない。
むしろバサバサでボソボソで、水が無くては食べられたものではない。
このパンと一緒に食べるのなら、確かにこれは『うまい水』だ。
「ね、ねぇ……もしかしてこれで終わり?」
「はい!もちろんです!」
「劇中でもアムロはこのお店でパンしか食べてないからね。」
「……そう。」
せっかくのお祭りなのに、お昼ごはんがパンと水。
すっかり肩を落としたランジュ……その時、数名の男女が店に来店してきた。
「親父!まずはうまい水をくれ!!」
どこかで見たことのある顔の中年の男と、ブロンド髪の女性。
それとジオン軍のコスプレをした男たちが数名。
彼らはテーブルに腰かけると、どこかで見たことのある顔の男は豪快に笑い始めた。
「ハハハハ!!皆、座れ座れ!何を食ってもいいぞ!!ガンフェスでの最初の食事だ!!」
「「「ハッ!!」」」
何を食ってもいいと言っても、この店はパンしか出てこない。
お腹も膨れないままお会計を済ませると、3人は砂漠のレストランを後にした。
「あんなのじゃ全然お腹が膨れないわ……。」
「でしたらあそこで果物が売ってますよ。」
「果物?」
「えっと……『黒の騎兵が烈丸に気づかれないように切り落とした果物(リンゴ)』だって。」
「細かすぎて伝わる人少なくない?」
しかしせっかくなので購入。
ちなみに売店の店員は黒の騎兵のコスプレをしていた。
3人でベンチに座って果物をかじっていると、突然マリナが笑い始めた。
「どうしたんですかマリナさん?」
「ううん……ごめんなさい突然……なんか、楽しいなぁって。」
マリナがそう言うと、バンシィ・ノワールがバツの悪そうな素振りで顔をそらす。
そんな彼を膝の上に抱えると、バンシィ・ノワールがマリナの顔を見上げた。
「私、両親を亡くして、夢もなくして、それなのに今はお友達とこうやって遊んで、すごく楽しい……ノワールも一緒だしね。」
『俺は……。』
「叔父さんも、来れれば良かったんだけどな……。」
マリナが言うと、せつ菜とランジュは顔を見合わせてハッとした。
マリナの叔父……ゲームマスターのカツラギ。
彼はバンシィ・ノワールとの決戦で精神的に大ダメージを負ってしまい、今は意識不明で入院している。
本当はガンフェスに来ずにカツラギのお見舞いに行くつもりだったマリナだったが、ニルスやミス・トーリにガンフェスに参加してほしいと言われてここに来た。
両親を亡くしたマリナにとって、カツラギは実の父親のような存在だ。
出来る事ならば、カツラギも一緒にこのガンフェスに参加してほしかった。
『俺のせいだ……。』
「ノワールさん、過ぎた事を悔やんでしても仕方ありません。」
『しかし……。』
「マリナ!せつ菜!」
話を聞いている最中にランジュがリンゴの最後のひとかけらを頬張り、立ち上がった。
彼女はカバンから愛機のクリムゾンフェネクスを取り出し、それを2人に突き付けた。
「こういう時はバトルで発散するのが一番よ!!GBNのイベントに参加しましょう!!ノワールだって、久しぶりに暴れまわりたいでしょ?」
『しかし俺は……。』
「名案です!ノワールさん、マリナさんとコミュニケーションをとれるようになってからは一度も一緒にバトルしてませんよね?いい機会です、一緒に楽しみましょう!」
『優木せつ菜……鐘嵐珠……。』
「ノワール。」
マリナがバンシィ・ノワールの名前を呼び、バンシィ・ノワールは再び顔を上げた。
マリナはニコリと笑い、バンシィ・ノワールの頭を人差し指で撫でた。
「私はあなたと一緒にバトルがやりたいな。一緒にやろうよ、ノワール。」
『……わかった。マリナがそういうのならば。』
~~
ガンフェスが盛り上がりを見せている中、カツラギの病室では足を組んだミス・トーリが本を読んでいた。
ちなみに読んでいる本は『機動戦士ガンダム ハイ・ストリーマー』。
GBNの開発責任者の一人であるにもかかわらず、彼女はカツラギが入院してからはガンフェスに参加せずにずっと病室で彼に寄り添ってくれている。
しばらく本を読んでいると、病室の扉が開かれ、そこから見知った顔が現れた。
「! キョウヤ。」
「やぁ、ミス・トーリ。」
やってきたのはクスギ・キョウヤ。
彼もまた、ガンフェスを途中で抜け出してカツラギのお見舞いに来てくれた。
持ってきたお土産のフルーツをカツラギのベッドの隣に置くと、彼も椅子に腰かけた。
「チャンピオンのあなたがここにいていいの?」
「それを言ったらあなたとカツラギさんこそ。カツラギさんの様子は?」
「経過は問題ありません。」
ふと目を向けると、カツラギのベッドの隣には彼の愛機である『デルタソニック+』があった。
懐かしくなったキョウヤはそれを手に取ると、まじまじと眺める。
「ハハッ!懐かしいなぁ!」
「あなたとカツラギは確か……、」
「カツラギさんはボクにガンプラバトルを教えてくれた先生みたいなものなんです。ゲームマスターになってからはSDガンダムばかり使っていたから、もう持っていないものだと思ってたけど……ん?」
その時、デルタソニックを持つキョウヤの手を、何者かが掴んだ。
~にじビル毎回劇場~
第114回:アストレイレッドドラゴン
モモカ「コウイチさんそれ何?」
コウイチ「ガンダムベース限定で発売されるHGのレッドドラゴンだよ。」
モモカ「……って何?」
コウイチ「アハハ……知らないのね……。アストレイレッドフレームをパワーアップさせたガンダムだよ。昔は雑誌の付録で作ってたんだけど、リメイクされてベース限定で販売されることになったんだ。」
モモカ「へー、昔は雑誌の付録でガンプラついてたんだ。」
コウイチ「そうそう。リクくんの使ってるインフィニティセイバーも、雑誌付録のザンユニットで作ってるんだよ。」
モモカ「調べてみると結構いろいろあるんだね雑誌付録って。これだけあるなら私の探してるパーツもあるかも!」
コウイチ「へー、どんなの?」
モモカ「モモカプルを完全なペンギン型にするためのパーツ!ユッキーとかヒロトに相談してもいい返事もらえなくて困ってたんだよね~。」
コウイチ「……いやそれはない。」