ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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O-ドリーの声

翌日、朝練を終えたしずくは一人、O-ドリーガンダムを手に持ったままタイガーウルフの言葉を思い出していた。

 

 

『敵を知り、己を知れば、百戦危うからず』

 

 

辞書に載っている言葉『彼を知り己を知れば百戦危うからず』とほぼ同じ、タイガーウルフの言葉。

本来の意味は、相手と自分の実力を正しく把握する事で、事をスムーズに進める事できるという意味であるが、しずくは自分の実力は正しく把握しているつもりだった。

A・ZU・NAのユニット合同特訓ではセツナのようにトランザムを使えなかった。

1年生で集まって特訓した時も、自分だけまだ撃墜数を稼げていない。

このままでは自分だけがEランクのままで、同好会の皆でフォースを組めない。

 

(だから足を引っ張らないようにって、頑張っていたのに……。)

 

 

『足を引っ張りたくないなんて、そんなのは強くなりたい理由にはならねぇ。俺は本気で強くなりたい奴しか相手にしねぇ。』

 

 

「私は本気なのに……はぁ……。」

 

 

大きなため息をつき、空を見上げるしずく。

とりあえず、今はスクールアイドルの練習に集中しようと、水を取りに立ち上がろうとした。

そんなしずくの頬に、冷たい感触が。

 

 

「つめたっ!?え、な、なに!?」

「えへへ~、どっきり大成功~♪」

「しずくちゃん。はい、お水だよ。」

 

 

振り返ると、そこにはペットボトルを持った彼方とエマがいて、彼女たちから水を受け取った。

いくら肌寒くなってきても、練習で火照った体に冷たい水はとても気持ちがいい。

 

「ありがとうございます、二人とも。」

「しずくちゃん、何か悩み事?」

「え、ど、どうしてですか……?」

「んふふ~、彼方ちゃん達、しずくちゃんの事ならなんでもわかっちゃうんだよ~!」

「こうやって3人だけで集まるのも久しぶりだね。」

 

しずく、彼方、エマの3人は、同好会を立ち上げた初期の頃、3人だけでスクールアイドルを題材にしたアプリゲームの紹介の手伝いをやっていた事がある。

しずくは他の2人とは学科も学年もユニットも異なるが、この2人への信頼は誰よりも厚い。

 

「あの、エマさん……。」

「なぁに?」

「エマさんは、元々Aランクダイバーだったんですよね?どうしてそこまで強くなれたんですか?」

「えぇ!?む、難しい質問だよぉ……。」

「しずくちゃんの悩みって、GBN関係?」

「はい……実は……、」

 

 

 

~~

 

昨日のタイガーウルフに言われた事を、そのままエマと彼方へ話したしずく。

彼方はそれを聞いて、うーんと唸る。

一方エマは、元AVALON所属のため、有志連合としてタイガーウルフとは面識があり、彼の人となりをよく知っているため、うんうんと頷いた。

 

「そんな事があったんだね~。でもそのタイガーウルフって人も意地悪だよねぇ。ちゃんと教えてくれればいいのに~。」

「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず……本来の意味で言っているのなら、私は自分の実力をきちんと把握しているつもりです。一体、何がいけないのでしょうか……?」

「ねぇ、しずくちゃん。」

「はい。なんでしょうエマさん。」

「しずくちゃんは、どうして強くなりたいの?」

「え?いや、今さっき言ったじゃないですか。私は皆の足を……、」

「本当に?」

「それは、どういう……?」

「私、しずくちゃんってすごいと思うんだぁ。演劇もスクールアイドルも頑張ってて、その上、ガンプラバトルも。しずくちゃんはどうして演劇を頑張ってるの?」

「それは……演じている時が、一番堂々としていられるからです。だから私、将来はオードリーのような、世界一の大女優になりたいんです。舞台で、一番輝ける自分でありたいと、そう思って演じています。。」

「じゃあスクールアイドルは?」

「自分の表現力を磨きたいと思ってます。私の周りには、本当に凄い人たちばかりで……特に、かすみさんには絶対に負けたくありません。あ……。」

「ウフフ♪」

 

エマと話していると、自分の気持ちが見えてきた気がする。

彼女はO-ドリーガンダムを手に取り見つめると、ゆっくりと立ち上がった。

 

 

「そうか……!私、皆の足を引っ張りたくなかったんじゃない……どんどん強くなる皆を見て、負けたくなかったんだ……。自分が、その場所で……GBNっていう舞台で、一番輝ける存在でいたかったんだ……!」

 

 

「しずくちゃんならなれるよ。元AVALONの私が言うんだから、間違いないよ!」

「エマちゃん本当に強いからね~。彼方ちゃん、全然勝てないよ~。」

「ありがとうございますエマさん、彼方さん。敵を知り、己を知れば、百戦危うからず……周りを見て、自分が本当はどうありたいか……本当の自分の気持ちを見つめなおせって言う意味だったんですね。」

 

 

言葉の意味を理解したしずくは、エマと彼方に頭を下げると、すぐに教室へ向かった。

 

 

 

 

 

~~

 

放課後になり、練習を終えると、しずくは一人でトボトボと歩いていた。

自分の強くなりたい、本気の気持ちはわかった。

だが、大前提としてまだもう一つ、大きな問題が残っている。

 

「結局、どうしてトランザムが使えないのか……その理由はまだわからない……こういう時、頼りになりそうなのは、やっぱりシャフリさんしかいない!」

 

以前、かすみ達とガンプラ作りをした時、シャフリヤールが普段リアルでよく利用している店を教えてもらった。

せつ菜のスカーレットエクシアと違い、そもそもの発動すら出来ないO-ドリーには、何か秘密があるに違いない。

そのヒントを得る為に、彼女はバー『アダムの林檎』へとやって来た。

 

 

「こ、こういうお店入った事無いけど……大丈夫……!こういう時こそ、お店の雰囲気に会う大人の女性を演じるの……!そうよ、私は大女優……!」

 

 

そう決意したしずくは、古い映画によくある、酒場に入っていく貴族の女性らしい立ち振る舞いで店のドアを開けた。

しかし、そんなしずくの決意をぶち壊すように、中に入った瞬間、店の外観からは想像もできないほど陽気な声が聞こえてきた。

 

 

 

「ウェルカムようこいらっしゃ~い♡ 『アダムの林檎』へようこそ~♡」

 

 

 

「……え?」

「あら?あなた、どこかで見た顔ね?」

 

 

そこにいたのは、この店の店主らしき長身の男性。

だがその風貌は、どう見ても、あの人にしか見えない。

ゴクリと息を呑んだしずくは、思わずつぶやいてしまった。

 

 

「……ま、マギーさん……?」

「えぇ、アタシはマギーだけど……もしかして、しずこちゃん!?うっそ~やだ~!リアルでもめちゃくちゃ可愛いじゃな~い♡♡」

「や、やっぱりマギーさんですよね!?」

 

 

この男こそ、リアルのマギー。

彼に少しメイクを施せば、ダイバールックのマギーになるだろう。

あまりにもそのまんま過ぎて、しずくは思わず少し笑ってしまった。

仲へと案内されると、お客さんは車椅子に乗った少年が一人だけで、それ以外は誰もいなかった。

 

 

「それで、今日はどうしてここに?」

「シャフリさんに会いたくて……あの、今日はシャフリさんはいらしてないんですか?」

「残念ながら、今日は来てないわ。どうしてシャフリちゃんに会いたいの?」

「O-ドリーを見つめなおしたいんです。本当に私がやりたい事が、はっきりとわかったので。」

「あら!それならうってつけの子がいるわ!」

「誰ですか?」

「その子よ。」

 

 

そういうと、マギーは隣にいる車椅子の少年を指差した。

彼は何故かカウンターにあるドールハウスに話しかけており、手には白いドラゴンの様なガンプラを持っていた。

 

 

「パルる~ん!ちょっといいかしら~!」

「は、はい!なんでしょう、マギーさん!」

「ちょ~っとだけ、この子とデ・-・ト♡してこな~い?」

「えぇ!?な、何を言ってるんですか!?でででデートだなんてそんな!?」

「そうですよマギーさん!!私、真剣なんですよ!!」

「あらやだ~、最近の子って怒りやすいって聞いたけどホントなのね~……ちょっとからかっただけなのに……。」

 

 

パルるんと呼ばれたその少年は、車椅子でしずくの下までやって来た。

車椅子に乗っているので背格好はよくわからないが、しずくより少し年下ぐらいの少年だった。

彼女に頭を下げると、自分の胸に手を当てて自己紹介を始めた。

 

 

 

「初めまして。僕はパトリック・アレクサンドル・レオナール・アルジェ。GBNではパルヴィーズ……パルと呼ばれています。」

「は、初めまして……桜坂しずくです。」

「存じ上げています。あなたの公演、何度か見させていただいた事がありますから。僕、日本のお芝居とか大好きで……とても素晴らしい演技をされる桜坂さんの事は以前から注目していました。」

「そ、そうだったんですか?ありがとうございます!そう言って戴けると励みになります!」

「敬語じゃなくても大丈夫です。僕の方が年下ですから。」

「あ……はい、じゃなくて……うん。」

「今日は兄の代理が務まるかわかりませんが、桜坂さんの力になれるよう頑張ります!」

「兄?アルジェって……あ、もしかしてシャフリさんの?」

「はい、リュック・アルジェは僕の兄です。ここではなんですし、よければ、続きはGBNの方で。」

 

 

 

シャフリヤールの弟……パトリックの提案で、マギーからGBNのヘッドギアをレンタルする事になった。

パトリックはいったんまたドールハウスに話しかけに行くと、しずくと共に『アダムの林檎』でGBNへとダイブした。

 

 

 

 

 

~~

 

「うわぁ~!この耳、うちのオフィーリアの手触りにそっくり~!癒される~♡」

「あ……あの……そろそろ……放してください……は、恥ずかしいです……///」

「あ……ごめんなさい……。」

 

GBNへログインしたしずこは、パトリックのダイバーの姿である、パルヴィーズの耳を撫でていた。

パルヴィーズのダイバールックはしおこにそっくりだが、彼女よりは少し背が高い。

リアルの姿よりもさらに子供っぽく……いや、犬っぽくなっている彼を撫でたい衝動を抑えながら、しずこはパルヴィーズと共に外へ出た。

 

 

「それじゃあ、まずは桜坂さん……あ、すいません、こちらではなんとお呼びすれば……?」

「しずこだよ。リアルでもしずくでいいよパルくん。」

「わかりました。ではしずこさん、まずは僕と模擬戦をしてみましょう。ダメージレベルは最低にしますね。」

「うん。お願いします!」

 

 

そうしてしずこはO-ドリーガンダムに乗り込む。

対するパルヴィーズの乗るガンプラは、白いドラゴンの様な姿であり、一見するとガンダムに見えない。

 

 

「ど、ドラゴン!?」

「行くよ、モルジアーナ。パルヴィーズ、エクスヴァルキランダー、行きます!」

「し、しずこ!O-ドリーガンダム!登壇します!」

 

 

ドラゴン型のガンプラ……エクスヴァルキランダーが、いきなり火球を放ってきた。

O-ドリーはそれをシールドで防ぎ、ライフルでエクスヴァルキランダーを狙い撃つ。

だがエクスヴァルキランダーは空高く舞い上がり、O-ドリーの攻撃をかわした。

シールドを手放し、左手でビームガンも手に取ると、O-ドリーはエクスヴァルキランダーを二つの銃で狙う。

しかし、当たらない。

 

 

「速い!?」

「行きます!ドラゴンフュージョン!!」

 

 

『ドラゴンフュージョン』の掛け声で、エクスヴァルキランダーがバラバラになった。

胴体部分が起き上がると、分離したパーツが今度は武器や羽根に変形し、全身に装着される。

最後に瞳が光ると、エクスヴァルキランダーはその姿をガンドランダーがベースのSDガンダムへと変えた。

 

 

これが、エクスヴァルキランダーの聖神竜合士(セイントゴッドクロスファイター)モードだ。

 

 

さらに、パルヴィーズはコックピットの中である機能を発動しようとする。

 

 

『TRANS-AM』

 

 

「モルジアーナ!!ガンドランザム!!」

「ガン……トランザム!?」

 

 

エクスヴァルキランダーの胸部にある『ダゴンズ・ジョー』が輝き、エクスヴァルキランダーが赤く光り出した。

全出力が3倍になると、エクスヴァルキランダーは両翼のGNツインガンブレードを手に取り、O-ドリーへと迫る。

急いでシールドでガードするが、一撃で破壊されてしまった。

 

 

「つ……強い……!なんて威力……!」

「しずこさん、もう一回行きます!!」

「パルくんがトランザムなら……私も……、」

 

 

O-ドリーの画面に表示される『TRANS-AM』の文字。

負けたくない……勝ちたい……そう思うしずこは、迷わずにそのボタンを押す。

それと同時にO-ドリーの全身が赤く輝き始め、太陽炉からGN粒子が放出されはじめた。

 

『TRANS-AM』

 

「トランザム!!」

 

『DANGER』

 

 

「ま、また……!?どうして!?きゃあ!!」

「し、しずこさん!!」

 

太陽炉が爆発し、沈黙したO-ドリーガンダム。

エクスヴァルキランダーが駆け寄り、コックピットから出てきたしずこを、同じく出てきたパルヴィーズが支えた。

 

「大丈夫ですか?」

「なんで……どうしてなの!?私は、負けたくない……!舞台では一番輝ける存在でいたいのに……!」

「……しずこさん、ガンプラの声を聞いたことはありますか?」

「声……?ガンプラの?」

「はい。」

 

 

しずこを近くのベンチに座らせると、エクスヴァルキランダーは再びドラゴンモードへと変形。

パルヴィーズは傷ついたO-ドリーを修復しながら、しずこへ話した。

 

 

「僕の仲間が言ってたんです。ガンプラは、僕たちを見てる。僕たちの想いが伝われば、ガンプラはそれに応えてくれるって。だから僕は、モルジアーナにいっぱい話しかけたんです。そしたら聞こえた。応えてくれた。そのおかげで僕たちは、大事な戦いに勝つことが出来た。しずこさんも、O-ドリーの声に耳を傾けてみてください。彼女がなんと言っているのか、何を思っているのか、きっと教えてくれるはずです。」

「O-ドリーの……声……。」

 

 

修復中のO-ドリーガンダムの脚部に手を当てるしずこ。

そのパーツは、ノーベルガンダムからもらったものだ。

そこに耳を押し当て、ガンプラの声を聞く。

もちろん、ガンプラは喋らない。

そんなことはしずこだってわかっている。

しかし、パルヴィーズの言葉を信じてみよう……何故かそう思えた。

 

 

 

「……! そうか……!」

 

 

 

「聞こえましたか?」

「うん。聞こえたよ。この子の本当の気持ち……あなたは私が作ったO-ドリーガンダム……だけどその前に、あなたはOガンダム……そして、ノーベルガンダムだってこと!あなたが、本当にやりたい事、私に伝わった!」

「しずこさん!」

「私、ログアウトするね!O-ドリーの事をちゃんと見てあげたいの!」

「僕にもお手伝いさせてください!」

「ありがとうパルくん!」

 

 

 

 

~~

 

ログアウトしたしずくは、さっそくパトリックと共に、O-ドリーの見直しにかかった。

しずくは元々台本を読むのが大好きで、O-ドリーを作る際、もっともヒロインらしいガンプラを捜し、様々なガンダム作品のWIKIを見漁った。

そこで見つけたのがノーベルガンダムであり、ノーベルの外装をOガンダムに組み合わせる事に決めた。

 

だが、ノーベルガンダムにはトランザムの様に機体を急激にパワーアップさせるシステム『バーサーカーシステム』が組み込まれている。

 

このバーサーカーシステム自体は外部からのコントロールで発動するシステムであるが、GBNではパイロット自身で発動できるシステムに変えられている。

しかし、機体とパイロットに急激に負荷をかけるバーサーカーシステムと、体内のエネルギーを放出しつづけるトランザムシステムは、相性が悪い。

だからしずくはトランザムのみを使うようにO-ドリーガンダムを作っていた。

それでもしずくの技術力ではバーサーカーシステムを完全に取り除くことはできず、トランザムを発動した時に自動的にバーサーカーシステムも同時に発動してしまっていた。

バーサーカーとトランザム……二つのシステムに、O-ドリーは耐えられない。

その為、トランザム発動と同時に機能停止していた。

そして、タイガーウルフはそのことを見抜いていた。

 

 

「O-ドリーはOガンダムのガンプラ……ノーベルガンダムを演じたOガンダムのつもりで作ってたの。」

「ノーベルを演じる……?」

「だけど、それじゃダメ。本当のこの子は、Oガンダムでノーベルガンダムだもの。O-ドリーが教えてくれたよ。本当の自分が、なんなのか……。」

「まさか……トランザムとバーサーカーモードを、両方搭載するつもりですか!?」

「うん。だってそれが、O-ドリーの願いだもの。ダメ……かな?」

「いえ!いいと思います!出力を最小まで絞れば……あるいは!」

 

 

 

 

 

~~

 

 

再びしずこは、A・ZU・NAの三人で虎武龍のフォースネストまでやってきた。

今度はパルヴィーズとシャフリヤールも一緒だ。

アユム達が見守る中、しずこは生まれ変わったO-ドリーガンダムに乗り込み、戦場に立つ。

 

 

「しずこちゃんのガンプラ……見た目はどこも変わったようには見えないけど……。」

「……ほう。あれは君が?パトリック。」

「いえ兄さん。しずこさんの頑張のたまものです。」

 

 

ついに、再びタイガーウルフとガンダムジーエンアルトロンが姿を現した。

彼はしずことO-ドリーの前に立ちはだかると、胸の前で腕を組む。

 

 

 

『あの言葉の意味は理解できたか?』

「タイガーウルフさん……私、本気で強くなりたいんです。」

『それは、何のためだ?仲間の足を引っ張らないためか?それとも……、』

「負けないためです。私は、いついかなる時でも、そのステージでもっとも輝く人でありたい。演劇では大女優でいたい、スクールアイドルではトップでありたい、そしてガンプラバトルでは……チャンピオンでありたい!」

『いいねぇ。お前の本気、見せてもらおうか!!』

 

 

 

「さぁ、ついにこの時がやって参りました!!前回、タイガーウルフに煮え湯を飲まされたしずこは、果たしてどのような戦いを見せてくれるのか!?そして、タイガーウルフに勝つことは出来るのか!?これは宿命の対決!!いざ、ガンプラバトル………レディ、ゴーーーーー!!!」

 

 

 

『タイガーウルフ!ガンダムジーエンアルトロン!!行くぜぇ!!』

「しずこ!O-ドリーガンダム!!登壇します!!」

 

 

セツナの掛け声と、門番ジムの銅鑼が鳴り、再び始まるジーエンアルトロンとO-ドリーの戦い。

前回同様、O-ドリーはジーエンアルトロンから距離を取り、手に持ったビームガンで狙い撃つ。

当然タイガーウルフはそれを見抜いており、ビームを弾き返した。

 

『どうしたどうした!勢いがあるのは口だけか!?』

「………ッ!」

『今度はこっちから行くぞ!!』

 

タイガー拳を構え、O-ドリーへ殴り掛かるジーエンアルトロン。

攻撃が命中する寸前、O-ドリーはビームガンを構えた。

ただし撃つのは、ジーエンアルトロンではない。

 

地面だ。

 

 

 

『砂隠れか……!そんな小細工が通用するとでも………なにっ!?』

 

 

砂埃をそのまま殴るジーエンアルトロンだったが、その先にはすでにO-ドリーはいない。

いくら機動性に優れたノーベルガンダムを使った機体でも、こんな一瞬で姿を消せるわけがない。

やがて背後の気配に気が付くと、タイガーウルフはウルフ拳でその場所を殴った。

だが、すでにそこにいた気配の主……O-ドリーは、再びジーエンアルトロンの目の前に移動していた。

 

その機体を、赤く輝かせて。

 

 

 

『TRANS-AM』

 

 

 

『バカな……トランザムだと……!?』

「これが私のオリジナルのトランザム。トランザムの3倍出力を1.5倍に抑えて、必要最低限までエネルギーを抑え込む……『S・トランザム』です!」

『なるほど。元々の機動力に優れたノーベルベースだからこそ、本来の半分程度のトランザムでも驚異的なスピードを発揮するってわけか……おもしれぇ。だが、速いだけじゃこのジーエンアルトロンは止められんぞ!!』

 

 

両腕のジーエンハングを突き出し、O-ドリーを狙うタイガーウルフ。

そこから強烈な火炎放射『双龍虎狼炎』を繰り出すと、逃げ惑うO-ドリーを追い詰めていく。

出力を最低に抑えているおかげで、トランザムの発動時間が異常に長く、ジーエンアルトロンのエネルギーの方が削られていっている。

 

 

『逃げるだけじゃ、この俺を倒せんぞ!!しずこ!!』

「わかっています!!O-ドリー、今度はこっちから行くよ……。」

 

 

『BERSERKER MODE』

 

 

「O-ドリー……S・バーサーカーモード!!」

 

 

 

しずこが叫ぶと、O-ドリーの頭部から、エネルギーが髪の毛状になって出現し、逆立った。

ビームガンを変形させ、長剣モードにすると、そのままジーエンアルトロンの正面に立つ。

 

 

『今度はバーサーカーモードだと……!?だが、機動性が落ちているようだな!!それでは避けられんぞ!!』

「避けません!」

 

 

ジーエンアルトロンの双龍虎狼炎がO-ドリーを襲う。

だが、O-ドリーはその炎を、なんとビームソードで切り裂いた。

想定外の事態に、タイガーウルフは面を喰らった。

 

 

『まさか……バーサーカーモードの機動性に振られるエネルギー出力を、全て攻撃力に変えているのか……!?痺れるねぇ!!』

 

 

ビームソードを受け止めるジーエンアルトロン。

ここまでの攻撃力が出せる機体はそうはいない。

なんとかO-ドリーを払いのけると、タイガーウルフは彼女と一定の距離を取った。

 

 

『遠距離ではスタンダードなOガンダムのトランザム……近距離では火力特化のノーベルガンダムのバーサーカーシステム……出力を抑え、小分けにする事で二つのシステムを両立させやがったな。』

「O-ドリーの声を聞いたんです。彼女が、私に語りかけてくれた……本当の自分がなんなのか。私だって、まだ本当の自分がなんなのかなんてわかりはしない……だけど彼女は、本当の自分をちゃんと持っている。だったら、それを実現させてあげるのは、ビルダーである私の務めなんです!」

『いいじゃねぇか……!こんなにワクワクする新人は、アイツの時以来だぜ!!』

 

 

ジーエンアルトロンの機体が金色に輝き始めた。

両腕に装備したタイガー拳とウルフ拳から金と青のビームを放ち、それを龍の形へと変えていく。

それを見て思わず、シャフリヤールは席を立った。

 

 

「あ……あの技は!!あのバトル馬鹿め……正気か!?」

 

 

 

 

 

『よく見てろしずこ!!これが、トライファングの異名を持つ、このタイガーウルフ様の必殺技!!奥義……『龍虎狼道(りゅうこロード)』ぉおおおおお!!!!』

 

 

 

 

 

「なっ、なに!?O-ドリー、S・トランザム!!」

 

『TRANS-AM』

 

 

金色の龍へと姿を変えたビームが、O-ドリーを襲う。

S・トランザムを発動して避けようとするが、相手の攻撃速度があまりにも早すぎる。

ついに追いつかれてしまったO-ドリーは、今度はS・バーサーカーモードで対抗しようとしたが、力及ばず。

やがて彼女の機体は龍虎狼道に完全に飲み込まれ、爆散した。

 

 

 

 

~~

 

あまりの威力に、しずこは気を失っていた。

目を覚ますと、彼女の顔を心配そうにのぞきこんでいたアユムと頭をぶつけてしまった。

 

「あぅ……!」

「ご、ごめんなさいアユムさん!」

「しずこさん、体の方はどうですか?」

「セツナさん……はい、大丈夫です。でも、私……また負けてしまったんですね。」

 

 

「いや、お前は負けてねぇ。」

 

 

「! タイガーウルフさん!」

 

目を覚ました彼女の下へ、タイガーウルフ、シャフリヤール、パルヴィーズがやって来た。

なお、何故かタイガーウルフとシャフリヤールの顔に、ひっかき傷やらたんこぶやらがあり、さっきまで殴りあっていたかのような風貌だ。

 

 

「しずこ、お前は自分の未熟さに勝った。お前はもう、立派なガンプラファイターだ。」

「あ……ありがとうございます!」

「やりましたね!しずこさん!」

「うん!パルくんのおかげだよ!本当にありがとう!」

「そ、そんな……僕はただ……これから戦う相手に、全力を出してほしかっただけなので///」

「え?どういう事?」

「あれ?しずこさん知らないんですか?」

 

 

モジモジしながらよくわかない事を言っているパルヴィーズの下へ、セツナが駆け寄った。

彼女はパルヴィーズをしずこの前に出すと、彼の素性についての秘密を明かした。

 

 

 

「彼は私たちの最初のフォース戦の相手『BUILD DiVERS』のメンバーなんですよ!」

 

 

「え……えーーー!?」

「ごめんなさい……黙っているつもりは無くて……言うタイミングが無くて……す、すいませぇん!!」

「え、じゃ、じゃああの時マギーさんのお店にいたのは……?」

「えっと……実はあそこに僕たちの仲間の、メイさんという方が住んでまして……作戦会議してました……。」

 

 

知らず知らずのうちに、対戦相手にガンプラの作り直しを手伝ってもらっていた。

あまりにもドジすぎる……そう思ったが、パルヴィーズの手の内も見させてもらったのでお相子だ。

そう考えると思わずおかしくなって、しずこは声を上げて笑ってしまった。

 

 

「アハハハ!そっかぁ……じゃあ私たち、お互いにどんな戦い方するか、もう知っちゃってるんだね!」

「うぅ……ほ、本当にすいません……。」

「まぁまぁ、パトリックも悪気は無かったんだ。」

「ううん、違うの。私、なんだかおかしくなってきちゃって……アハハハ!」

「こんなに爆笑してるしずくさん、初めて見ました……。」

「そうだね……かすみちゃんのいたずらでもこんなに笑わないよね……。」

「パルくん、今度会う時はライバル!私、絶対に負けないから!」

「ぼ……僕も!モルジアーナやヒロトさん達と一緒に、絶対に勝ちます!」

 

 

握手を交わすしずことパルヴィーズ。

そこへ、オホンッ!とタイガーウルフが咳払いをして、しずこに聞いてきた。

 

 

「それで、トランザムは使えるようになったが……これからどうする?」

「私、もっともっと強くなりたいです!アユムさんにも、セツナさんにも、エマさんたちにも……それに、かすみさんやパルくんにも負けないぐらい!タイガーウルフさん、私を鍛えてください!!」

「根性があるやつは大好きだぜ。よぉーし!じゃあまずはバケツを咥えてうさぎ跳びで山登りの特訓だ!行くぞ!!」

「わかりました師匠!!」

「えぇ!?それはもう特訓じゃなくて拷問だよぉ!しずくちゃ~ん!!」

「私たちも負けてられませんね!!アユムさん、私たちもやりましょう!!うぉおおおおおおお!!!」

「絶対に嫌だからね!?」

 

 

こうして、タイガーウルフに弟子入りをしたA(不本意)・ZU・NAの3人。

修行をしている時のしずこの顔は、とても輝いていた。

 

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第11回:その頃の侑


侑「ぐぬぬぬ……ぐああああああ!!!」

愛「お、ゆうゆ、何してんの?ゲーム?」

侑「スクスタだよスクスタ!!ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル オールスターズ!!」

愛「あー、スクスタね。今やってるイベント面白いよねー!」

侑「そんなのどうでもいいよ!!!」

愛「よくないよ!?どうしたのさゆうゆ、なんかおかしいよ?」

侑「歩夢のフェス限が出ないんだよおおおお!!!もう100連回してるのにURすら出ないんだけどぉ!?」

愛「100連!?メッチャ石貯めたね~……。」

侑「課金。」

愛「え?」

侑「これ全部課金。だってデート歩夢と初UR栞子ちゃんだよ?」

愛「ちょちょちょーっと落ち着こうゆうゆ?え?マジで課金?」

侑「愛ちゃん邪魔しないで。私、今から歩夢に会いに行くから。もう私は、あと150連回すだけの覚悟はできているから。その後栞子ちゃんに会いに行く覚悟も出来てる
。」

愛「本物の歩夢----!!ゆうゆを止めてーーーーー!!!」


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