来年もよろしくお願いします!
良いお年を!
ユニコーンガンダム立像内のディメンションにいる、かつてアナザーノワールと名付けられたモビルアーマーだった存在。
彼はそこから動かず、ただジッとモニターでニジガクメンバーたちの動向を観察していた。
そんな彼が、エマと栞子の次に目を付けたのは、現在カザミ達と共にヒロトとヒナタの後ろをつける2人組。
『桜坂しずく、近江彼方を確認。排除、開始。』
そう呟いたアナザーノワールの目の前に、とある機体のプログラムが構築されると、それは彼の下を離れて目的のディメンションへと転送されていった。
~~
「これならいいんじゃないか?」
「うん!私もこれがいいと思う!」
何店舗から回ったヒロトとヒナタは、ついに目的の物を見つけたのか、今日ようやく初めて会計をすることとなった。
この間に巡ったのは7店舗にもおよび、シドとメイとしずこ以外はかなり疲れている様子だった。
言い出しっぺだったカザミも、前回の追跡よりも長く歩いたせいでさすがに疲れたらしく、途中からはげんなりしていた。
道中ずっとしずこはヒロトとヒナタで妄想を垂れ流しており、ツッコミ疲れたカナタはもはやしずこに何も言わなくなっていた。
「よ……ようやくお買い物終わったよぉ~……!カナタちゃんもう疲れたよぉ~!」
「あの2人は何を買っているのだ?ずいぶんたくさん買っているように見えるが……ここからでは遠くて詳細が確認できない。」
「もう12月ですし、お互いのクリスマスプレゼントとかじゃ?」
「それにしちゃ選ぶのに時間かけすぎだろ。」
「そ、そうですよね。」
「フフフ……わかっていませんねぇカザミさんパルくん……そこが『良い』んです!!」
「わかるぞ桜坂。」
「私にはわからん。」
今日だけでしずことシドがずいぶん仲良くなった気がする。
シド……というかマサキは、普段はクールでバトルも強いが、マイペースすぎてヒロト達以外に仲の良い友人がGBN内に多くなかったので、気さくに話せる同年代の仲間という事もあり今日は一段とテンションが高いのだろう。
「つか、ここ何の店だ?今まで見た事ねぇぞこんな店。」
「ガンフェスの間の期間限定の出店だろう。GBNではリアルと違ってコマンド一つで開店できるからな。」
「見たところ雑貨屋さんみたいですが……ん?ヒロトさんたち、会計が終わってもお店の人と何かお話してますね。」
パルがそう言うので全員で再びヒロト達を双眼鏡で覗く。
確かに会計が終わった後も、店主と何か話をしている。
購入した商品を再び店主へと渡すと、どこか晴々とした表情になっていた。
まるで、何かの大仕事をやりとげたかのような表情だ。
「意味わかんねぇな。買ったもんそのまま店に返しちまうなんてよ。」
「しずこ、2人が何を言っているかわかるか?」
「えっと……す、すいません……。」
メイの質問に対し、謝罪するしずこ。
お互いのプレゼントを買っているのなら、そのまま妄想も捗るのだろうが、買ったものをそのままお店の人に渡しているのでどう妄想していいかわからないのだろう。
そもそも、ヒロト達が何を購入したのかも、ここからではよく見えない。
「全然見えねぇな……もっと近づいてみるか?」
「そうですね。気が付かれないギリギリを攻めてみるのもありかと。」
「あんまり無理しない方がいいと思うよ~。ねぇ、メイちゃん。……あれ?メイちゃん?」
カナタがメイに同意を得ようと、彼女の方を向いた。
しかし、その方向には先ほどまでいたはずのメイがおらず、カナタが首をかしげる。
メイがどこへ行ったのかとキョロキョロと見回すと、とんでもないところに彼女はいた。
「ヒロト、ヒナタ、一体ここで何をしているんだ?」
「あ、メイ。」
「「「「えーーーーーーー!!??」」」」
「なん……だと……!?」
なんと、メイは一人ヒロト達の下へとむかい、あろうことか話しかけてしまった。
これにはさすがに全員大声で驚いてしまい、シドは逆に絶句して言葉が出せないでいた。
驚きのあまり大声を出してしまったことで、少し離れた位置にいたカザミ達もヒロトとヒナタにばれてしまい、2人の視線が物陰に隠れていたカザミ達に向けられた。
「カザミにパル、マサキまで。」
「しずくちゃんと彼方ちゃんも……そこで何をしてるの?」
「えーっと……あ、あははは………はは……。」
ヒロトとヒナタに尋ねられ、全員でカナタの後ろへと隠れた。
カナタはなんとかヒロト達へ苦笑いをしながら誤魔化そうとするが、上手くいかない。
というか、こういう時こそ、しずこの演技力が必要だというのに、何故か彼女はカナタの後ろへと隠れてしまう。
実はしずこは普通に演技する分にはかなりの才能を発揮できるのだが、ごまかしとなると非常にわざとらしい演技になってしまう。
演技は出来るが嘘はつけないという事なのだろう。
困り果ててあわあわするカナタを見ながら、戸惑いの表情を浮かべたヒロトとヒナタ。
すると助け舟のつもりなのか、そんなつもりはないのかはわからないが、メイが2人へ尋ねた。
「それより、さっき何を買っていたんだ?」
「え?あぁ、それは……、」
「……ねぇ、何か聞こえない?」
「ヒナタ?」
ヒロトが言いかけた時、ヒナタがそれを遮るように言った。
確かに、言われてみれば耳をすませば何かが聞こえる。
キーン……という高い音……まるで何かの駆動音のような唸り音。
最初はヒナタにしか聞こえなかったが、徐々にその音は大きくなり、少しずつ自分たちに近づいてくるように感じる。
そして……、
「!! 皆、伏せろ!!」
シドがそう叫んだ瞬間、凄まじい炸裂音と共に、彼らのいた店のガラスが粉々に砕け散った。
「な、なんだぁ!?」
「……あれは……!!」
砕け散った窓の外に見える、巨大な3つの影。
間違いなくモビルスーツだ。
上空に出現したワープゲートから転送されてきた3機のモビルスーツは、セントラル街のど真ん中へと降り立ち、着地の際に発生した衝撃波が店のガラスを砕いたのだ。
ガンダムタイプとも、ザクタイプとも違う、あまり見慣れないタイプの頭部を持つ3機のモビルスーツは、リーダー機と思わしき赤い機体がヒロト達の方へ振り向くと、持っていた槍状の武器を構え、店へとむけて突き刺して来た。
「や、やべぇ……!逃げろぉ!!」
カザミが叫ぶと、全員その場から退避。
赤いモビルスーツは、逃げた彼らに標的を定めると、3機一斉に彼らを追い始めた。
「お、おい!!あいつら俺たちを狙ってやがるぞ!?」
「あのモビルスーツ……見慣れない機体ですが、確か……!」
「ダリルバルデだ。」
突然襲ってきた敵機を見ながら、ヒロトがつぶやいた。
赤いリーダーシップ機の名は、『ダリルバルデ』
最新作『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にて、ジェターク社が開発し、そこの御曹司であったグエル・ジェタークが駆る最新鋭モビルスーツの一体。
エアリアルなどのガンダムタイプとは異なり、GUNDフォーマットは使用されていないものの、ドローン技術を搭載している為、疑似的なオールレンジ攻撃を可能としている。
その両脇を固めている二機は、『ディランザ』
同じくジェターク社が開発した、量産型モビルスーツ。
ダリルバルデ搭乗前のグエルが使用していた専用機とは異なり、こちらは一般機であり、特別なカスタマイズも施されてはいない。
最新作という事もあり、まだまだ詳細を知らない彼らの前に突然襲い掛かってきた3機は、町中にもかかわらずに胸部のビームバルカンを放ってきた。
逃げ惑う彼らへ容赦なく発砲し、特にカナタとしずこを集中的に襲ってくる。
「か、カナタさん!あのモビルスーツ、私たちを狙っていませんか!?」
「な、なんでぇ!?カナタちゃんたちなんにも悪いことしてないよぉ!!」
「くッ……やはり、非戦闘区域で俺たちのガンプラは出せないか……どうすれば……!」
このセントラル街はGBNで戦闘が禁止されている非戦闘区域に指定されており、超上級ダイバーでなければガンプラを呼び出すことは出来ない。
Sランク級やAランク級でさえガンプラを呼び出すことは出来ず、ダリルバルデ達もそれをわかっているのか恐れることなくカナタ達へ攻撃をしかける。
そして、一体のディランザがついにしずこの目の前までやって来て、彼女の前で専用のビームソードである、ビームトーチを振り上げた。
もはや、逃げることは出来ない。
「あ……!?」
「しずくちゃん!」
しずこへ向けてカナタが叫んだが、しずこは動くことが出来ない。
目をつむったしずこだったが……その瞬間、しずこを襲っていたディランザの身体が、激しく後方へ吹っ飛んだ。
『無事か、桜坂!!』
「し……シドさん!!」
見上げると、そこにはシドが乗り込んだ彼のガンプラ……ガンダムテルティウムがおり、構えたハイパーバーストランスでディランザを突き飛ばしていた。
シドのランクはSSランク。
非戦闘区域でガンプラを呼び出すことができるのは、SSランクと最高ランクのSSSランクのみ。
この中で、シドだけが唯一自分のガンプラを呼び出し、ダリルバルデ達と戦うことができる。
ハイパーバーストランスを構え、ヒロト達やしずこ達を守るように立つテルティウム。
起き上がったディランザと、リーダー機のダリルバルデの3機がテルティウムの前に立ちはだかる。
『俺の友には、指一本触れさせはしない!!』
~~
「やりましたーーーー!!ガンフェス限定ミッション、1日目全制覇ですーーー!!」
「きゃは!この3人のチームワークは最高ね!」
「ランジュさん、違うよ。クアンタとフェネクスと、ノワールもちゃんと数にいれてあげないと。」
「アイヤー、そうよね。ごめんさいフェネクス。」
その頃、キョウヤやカツラギ達と別れたセツナ、ランジュ、マリナの3人は、再び限定ミッション巡りをしていた。
単純な力比べのミッションや、飛行禁止エリアでの迷路ミッションなど、様々なイベントが行われていたが、ガンフェス初日だけしか行われていない超期間限定ミッションは全部クリアすることができた。
途中、バンシィ・ノワールの動きが少しおかしなところがあったため、ミッション終了後にニジガクのフォースネストへと向かい、そこでマリナはバンシィ・ノワールを格納庫に座らせ、整備を始めた。
「うーん……どこが悪いのかわからないよ……昨日お手入れした時にプラのカスでも入り込んだのかな?」
『気にするなマリナ。俺は大丈夫だ。』
「だけど心配だよ。今日はもう帰って休もうか?」
『いや、俺は………ッ!』
「ノワール?」
整備中に、何かを感じ取ったノワールは、格納庫の中で立ち上がる。
辺りをキョロキョロと見回すと、バンシィ・ノワールはうつむいた。
『この気配……いや、まさか……そんな事はありえない……!!』
「ど、どうしたのノワール!?何かあったの!?」
『マリナ、俺に乗ってくれ。』
そう言うと、バンシィ・ノワールはマリナを自分のコクピットへと乗り込ませる。
そこへ、休憩がてら飲み物をとってきたセツナとランジュが戻ってきて、繋がれたケーブルを引きちぎるバンシィ・ノワールの姿を見て驚愕した。
「の、ノワールさん!?何してるんですか!?」
「マリナは乗ってるの!?どこへ行くの!?」
『ご、ごめんなさい2人とも!すぐ戻るから!』
バンシィ・ノワールの中でマリナが2人へ謝ると、カタパルトから飛び出し、バンシィ・ノワールはワープゲートの中へと消えていった。
~にじビル毎回劇場~
第122回:みんなで年越し
彼方「皆お待たせ~!年越しそばが出来たよ~!今年はたぬきときつね~!」
エマ「私と彼方ちゃんとかすみちゃんで作ったんだよ!」
かすみ「侑先輩には特別に大きいおあげ入れてあげましたよ!」
侑「わぁ!ありがとうかすみちゃん!」
せつ菜「私はたぬきが良いです!今、私の一押しがたぬきなんです!」
愛「じゃあ愛さんはきつねにしようかな。おあげを、おあがり~!なんつって!」
果林「それにしても部室で年越しだなんて、良く許可が下りたわね。」
栞子「はい。顧問の先生が付いていれば大丈夫という事でしたので、姉さんにお願いしました。」
薫子「ぷはーっ!いやぁ、可愛い教え子の顔を見ながら飲むビールは美味い!!」
ランジュ「飲むペース早く無いかしら?」
薫子「あぁ、大丈夫大丈夫。これノンアルだから。」
マリナ「私も一緒で良かったのかな……。」
ミア「大丈夫さ。誰も嫌な顔してないだろ。」
璃奈「マリナさんも仲間だから。はい、お蕎麦。」
マリナ「ありがとう、天王寺さん。」
しずく「それにしても、これだけの大人数で年越しだなんて楽しいですね!」
歩夢「そうだねしずくちゃん。これだけ楽しいと、来年はもっと楽しくなりそうだよ!」
ノワール『皆。』
侑「どうしたのノワール?」
ノワール『いや、その……来年も、マリナを頼む。』
侑「うん!もちろん!ノワールもね!」
マリナ「このお蕎麦美味しい!おかわり下さい!」
ノワール『マリナ。年越しそばとはそう何杯も食べるものではない。』