ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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イタリアの駄目男

 

 

「俺がお前を作ったのは、棚に飾って愛でるためじゃねぇ……勝つためだ!!」

 

 

リカルド・フェリーニ。

第7回ガンプラバトル世界大会の予選最終戦にて、イオリ・セイとレイジのスタービルドストライクガンダムと激闘を広げた、ウイングガンダムフェニーチェのビルダーでもあり、今なおその名を世界に轟かせる伝説のガンプラファイター。

大人になってもなお少年心を忘れないその振る舞いやバトルスタイルに憧れる少年少女は数多く、実際に彼のようになりたくてガンプラバトルを始めた子供たちは数知れず。

 

一方で女性関係には少しだらしない気があり、ガンプラのテクやガンダムの知識を使ったナンパ術の成功率は驚異の8割越えという、とんでもない数字をたたき出しており、それゆえに付いた通り名が『イタリアの伊達男』

 

しかし、そんな伊達男にも、ついに14年前、心に決めた女性が現れた。

最初の出会いこそいつものナンパではあったが、彼女と共にセイやレイジの成長を見守っていく中で惹かれ合い、1年後にはついに結婚を前提に交際を始めた。

 

その相手こそが、今では世界で名前を知らない者はいない大スター……キララことミホシである。

 

 

 

 

~~

 

 

「……で、そんなあなたがどうしてこんなところにいるのかしら。それも、ミホシさんのストーカーだなんて。」

 

「だから俺はストーカーじゃない……。」

「本人にその自覚が無くても、あなたのやってたことは立派なストーカーよ。本当なら通報してもいいところなんだけど……。」

「ま、待ってくれ!!それはだけは待ってくれ!!」

「……まぁ、事情がありそうだし。通報は話を聞いてからでも遅くは無いかもね。」

 

 

陰からこっそりとミホシを見ていた男……リカルド・フェリーニ。

ガンプラファイターでその名を知らない者はいないほどの男がミホシのストーカーをしていたと知り、果林は驚き、それと同じぐらい呆れていた。

何故なら彼は、ミホシの婚約者だった。

ミホシと知り合いである果林は彼女が未婚で、いままで一度も結婚歴が無い事は知っていたので、てっきり別れたものだと思っていた。

だとしたら、なぜフェリーニはミホシの後をつけていたのか。

一緒にベンチに腰掛けると、フェリーニは果林の分のコーヒーを買ってくれて、それを彼女に手渡した。

 

 

「ありがとう……ございます。」

「……で、何で俺がキララの後をつけてたって話だが……。」

「あぁ、ミホシさんの事、キララって呼ぶんですね。ミホシさんとは別れたんですよね?」

「別れてない!!」

「……ムキになってるところがますます怪しいわ。」

「……いや、まぁ別れてなくも無いっつーか……実際に別れを切り出されたわけじゃ無いっつーか……。」

「私だってガンプラファイターの端くれなんだから、あなたの事は知っています。それにミホシさんの事も。あなたとミホシさんが婚約していたのって10年も前の話ですよね?でもミホシさんはまだ未婚……それっておかしいじゃない。何があったんですか?」

「……実はな……。」

 

 

 

~~

 

 

 

一方その頃、果林を待ちつつたこ焼きを食していたかすみとミホシ。

かすみは先ほどミホシの地雷に触れてしまったことで、果林の帰りを今か今かと待ち続けていた。

 

 

「果林ちゃん、遅いわね。」

「そ、そうですね……。」

 

 

リカルド・フェリーニの名前を出した途端、女優とは思えないほどの形相で怒りをあらわにしたミホシ。

今はすっかり元に戻っているが、いつまたああなるのか気が気でならないかすみは、極力ミホシに話しかけないようにして細々とジュースを飲む。

その様子に気づいたミホシは、持っていたコーヒーをテーブルに置いて、かすみに話しかけた。

 

 

「ごめんね、怖がらせちゃった?」

「へ?」

「いやぁ、アイツの名前聞くとついね~。」

「は……はぁ……。」

 

 

自分がかすみを怖がらせていたと気づいたミホシは、彼女を怖がらせないように笑顔でかすみに謝罪。

いきなり怒り出したり、謝ってきたりで、混乱していたかすみは、ゴクリとつばを飲み込みミホシに聞いてみた。

 

 

「あの……何があったんですか?その、リカルド・フェリーニさんと……。」

「え?聞いちゃう?」

「だ、だっていきなり怒り出すんですもん!かすみんすっごく怖かったんですよ!理由を聞かなきゃ納得できません!」

「そっか~……そうよね~……いいわ、教えてあげる。」

 

 

少しの間躊躇いを見せたが、ミホシは納得してかすみに理由を話すことを決めた。

何から話そうか考えたミホシは、しばらく考えた後にかすみに怒った理由を話し始めてくれた。

 

 

 

「あれは今から6年ぐらい前だったかな。私がちょうどハリウッドで主演の映画もらった頃ね。」

 

 

 

~~

 

 

今から約6年前……ミホシとフェリーニが出会ってからおよそ8年が経過した頃だった。

ガンプラアイドルから一転、世界的な大スターとなったミホシとフェリーニの交際は順調に進んでいた。

交際を始めてから数年の間は、ミホシが夢を叶える為に結婚の話は一切無かった。

しかしミホシは女優として、フェリーニはガンプラファイターとして成功を掴み、いよいよ結婚秒読みかと世間からは噂され、実際にフェリーニは当時、ミホシにこう言った。

 

 

 

「次のガンプラバトル世界大会……俺は必ず勝つ。そこで俺が優勝出来たら……、」

 

 

 

フェリーニのその言葉に、当然ミホシはOKを出した。

その大会にはセイや3代目メイジンは出なかったものの、かつての戦友だったヤサカ・マオや、現在の4代目メイジン・カワグチであるキジマ・ウィルフリッドも出場し、世界からも注目される大会だった。

仮にそこでフェリーニが優勝できなかったとしても、その時は彼に自分の方から……そう考えていた。

 

 

だが……、

 

 

 

~~

 

 

 

「……それで、どうなったんですか……?」

「……現れなかった……。」

「え?」

「現れなかったのよ、アイツは!世界大会の予選に!」

「じゃあ、大会に出なかったって言う事ですかぁ!?」

 

 

ミホシと大事な約束を交わした世界大会、その予選の会場に、エントリーしたはずのフェリーニは現れなかった。

今までどんな事があったとしても、ガンプラバトルからだけは決して逃げなかったはずのフェリーニが、世界大会という誰もが憧れるはずの大会に出場しなかったのだ。

海外にいながらも、その大会に注目していたミホシは、TVの中継でフェリーニの姿が無かったことに驚き、すぐに彼に連絡をした。

しかし、彼は一切連絡に応答しなかった。

 

 

「で、でも何か理由があったんじゃ……じゃないとそんなすごい人が大会にエントリーだけして出場しないって……。」

「私もそう思って、何度も電話したわ。けど、アイツから連絡があったのはその日の夜だった。」

「その時はなんて言ってたんですか?」

「…………。」

 

 

その日の夜、フェリーニからの連絡を受け取ったミホシ。

電話をとってすぐに、まずは彼の無事を確認した。

もし大怪我や病気なんかで出場できなくなっていたとしたら一大事だったから。

だが、電話に出た彼は、最初こそ非常に申し訳なさそうな声色だったが、すぐに電話越しに聞こえてはいけない声が聞こえてしまった。

 

 

全く知らない女の声だった。

 

 

すぐに彼に問い詰めると、フェリーニは困惑したように狼狽え、そしてこう言った。

 

 

 

「『子猫ちゃんが離してくれなくって』……だってさ。」

「……めちゃくちゃ最低じゃないですか!!」

 

 

話を聞き終えた頃には、すっかりかすみはリカルド・フェリーニという人物に対して興味を失っており、むしろ嫌悪感すら覚えるようになってしまっていた。

ミホシという婚約者がいるにもかかわらず、世界大会を棄権してまでの浮気、そんなことを聞かされたら老若男女問わず誰だって呆れてしまうだろう。

 

 

 

「なんですかその人!女の敵です!かすみん許せません!」

「そうでしょ!?本当に最低なのよあの男!!前々から尻軽な奴だとは思ってたけど、まさかここまでだとは思わなかったわ!!」

「ちなみにその後その人から連絡はあったんですか?」

「来る来る。もうすっごい来るわよ。あんまりしつこいからメッセとかブロックしたんだけど、最近じゃGBN経由で連絡よこすようになって本当にしつこい。」

「うわー……。」

「かすみちゃんもこういう男に引っかからないように気をつけなさい。」

「了解です!」

 

 

 

 

~~

 

 

「……ふーん……そんな事が……。」

「あぁ……。」

「それ、ミホシさんにはちゃんと話したんですか?」

「いや……俺が世界大会を棄権したのは事実だし、今更言っても言い訳がましくて情けねぇ。」

「あなた、イタリアの伊達男っていうより、イタリアの駄目男って感じね。」

「ぐッ……!」

 

 

一方、フェリーニの方も果林に自分がしてしまったことを話し終えた。

世界大会を棄権してしまった彼に対し、果林もかすみたち同様に呆れてはいるが、明らかにかすみとは反応が異なる。

フェリーニを『駄目男』と言った果林はその場で立ち上がり、彼から買ってもらったコーヒーを飲み干して空き缶をゴミ箱へ捨てる。

 

 

「私からしてみれば、今のあなたの方がよっぽど情けないわよ。」

「へへっ、違いねぇ……こんな話、セイやマオにもできなかったんだが、なんでかお前さんにはすんなり話せちまった。」

「これでも同好会じゃ相談役としてそれなりに信頼されてるんで。」

「……なんか、相談したら少しすっきりしたわ。これで、キララの事は諦めがつく。」

「何言ってるの。」

「え?」

 

 

諦めて立ち去ろうとするフェリーニ。

しかし、果林はそんな彼を引き留める。

胸の前で腕を組み、彼女はフェリーニへと振り返った。

 

 

「そうやって、またミホシさんから逃げるのかしら?」

「……あんた、まさか……。」

 

 

戸惑うフェリーニに、果林はフッと笑って答えた。

 

 

「私、逃げるのは勉強だけって決めてるの。」

 

 

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第125回:スペリオルストライクフリーダムドラゴン

璃奈「愛さん、見て見て。コレ、新しく発売されたガンプラ。」

愛「お!カッコいいじゃんりなりー!なになに?スペリオルストライクフリーダムドラゴンっていうんだぁ。カッコよさも超一流だね!りゅうだけに!」

璃奈「コレ、色味の違う金色で塗装するともっとかっこよくなる。」

愛「スペリオルって事は、コレって元ネタってスペリオルガンダムなの?」

璃奈「ううん。ストライクフリーダムだと思う。」

愛「でもヒーローズってもうストフリモチーフのいたよね?窮奇だっけ?」

璃奈「でもコレ、ナイトストライクのパワーアップだからたぶんストフリ。」

愛「でも名前にスペリオルってあるし……じゃあこのスペリオルって何?」

アヤ「スペリオルドラゴンよ。」

璃奈「あ、アヤさんだ。」

アヤ「スペリオルドラゴンというのはSDガンダムの中でも特別な存在なの。その始まりはナイトガンダムの始まりでもあるカードダス『SDガンダム外伝』の時代までさかのぼり、元々は『戦国伝シリーズ』の時代に活躍していた武者頑駄無真悪参が……、」

愛「スペリオルドラゴンの誕生秘話から話し始めた……。」

璃奈「こうなったアヤさんは話し終えるまで止まらない。ちょうどいいからお話聞きながら一緒に作ろうよ、愛さん。」

愛「じゃあせっかくだからこのガンダムマーカーのイエローゴールドとホワイトゴールド使って全塗装してみようよ!」

璃奈「うん、カッコよく作ってあげたいもんね。」
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