ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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フェニーチェVSドラァーゴ

 

「キララと直接話すって、おいおい本気か!?」

「えぇそうよ。あのままじゃ埒が明かないでしょ。それに、気づいたのが私だったから良かったけど、もし警察なんかに見つかってたら、あのまま逮捕されててもおかしくないわ。」

「そ、そんな事は……いや、確かに思い返してみれば危ない橋わたってたかも……?」

「かも、じゃなくて、そうなのよ。」

 

フェリーニと話をした果林は、彼をミホシと引き合わせることにした。

幸いまだミホシの出演する水星の魔女のステージには時間がある。

なんでも、出演するはずのスレッタ・マーキューリー役の声優が交通トラブルで遅れているようで、今はその間を別のガンプラファイターが埋めてくれているらしい。

誰かはわからないが、フェリーニとミホシの間を取り持つことのできる時間を作ってくれたことには感謝する。

 

 

「でもあんた、どうして俺にそこまで肩入れしてくれるんだ?キララと知り合いってだけじゃ、ここまでしてくれる理由無いだろ?」

「別に深い理由なんて無いわ。ただ、困ってる人を見捨てていったらエマに怒られるかもって思っただけよ。」

 

 

恐らくミホシはまだかすみと一緒にたこ焼きミュージアムで待っているだろう。

いくら方向音痴の果林と言えど、愛と何度も来た事のあるたこ焼きミュージアムへの道は間違えようがない。

 

 

「だが、キララが話を聞いてくれるだろうか……。」

「そんな弱腰でどうするの。あなた、あのリカルド・フェリーニなんでしょう?それに、私だってミホシさんからあなたへの誤解を解かないと、なんだか目覚め悪いし。乗り掛かった舟だもの。」

 

 

そう言いながら、スマホを弄る果林。

数分後、ようやくたこ焼きミュージアムへと戻ってきた果林は、テーブルで待つかすみとミホシに手を振った。

果林のいない間にずいぶん仲良くなったようで、果林が戻ってきてもすぐには気づかず、楽しそうに談笑をしていた2人。

やがて、かすみが果林に気が付くと、彼女の名前を呼んだ。

 

 

「も~!果林先輩遅いですよー!また迷子になってたんですかー!」

「私がいつも迷子になってるみたいに言うのやめてくれないかしらかすみちゃん……。」

「果林先輩が戻ってくるのあんまり遅いから、ミホシさんがジュース買ってくれました。」

「……そういえばジュース買ってくるって言ってたの、すっかり忘れたわ……。ごめんなさい。」

「果林ちゃん、そちらの人は?」

 

 

果林が買ってこなかったので自分でコーヒーを購入したミホシが、果林の後ろにいたフェリーニを見て彼女に尋ねた。

フェリーニは深々と帽子をかぶっていたので、ミホシは最初は彼に気づかなかった。

しかし、ミホシに声を掛けられた事で、フェリーニはゆっくりと帽子を外す。

 

 

 

「キララ……。」

「り……リカルド……!?」

 

 

フェリーニの顔を見て、一瞬ミホシは固まった。

同じようにフェリーニもバツが悪そうな表情で視線を一瞬果林へと移す。

数秒の間沈黙の時間が流れ、ミホシは果林へ問いかけた。

 

 

「果林ちゃん、どういう事?」

「見ての通りです。彼がミホシさんに話があるので連れてきました。」

「話って……私は何も話すことは……、」

 

 

 

「あーーーー!!」

 

 

 

「!? か、かすみちゃん!?」

 

 

ミホシとフェリーニを引き合わせた果林。

しかし次の瞬間、かすみが大声を出したため、驚いて彼女を呼ぶ声が裏返ってしまった。

フェリーニとミホシも同様に驚いたようで、かすみはフェリーニの方へビシッと指をさした。

 

 

「果林先輩!!この人がどういう人か知らないんですか!?」

「え?」

「女の敵ですよ!!女の敵!!浮気する男の人なんて最低です!!」

「な、なぁ果林……この子は?」

「私の同好会の後輩よ。はぁ……ミホシさんの話を先に聞いていたのね……なんて最悪なタイミングなのかしら……。」

 

 

全くの想定外の援護射撃に、果林は頭を抱えてしまった。

どうやらミホシは果林がいない間にかすみにフェリーニの話をしてしまったらしく、かすみはフェリーニに敵意を向けっぱなしだ。

今まで何度かあった事だが、かすみは普段は人懐っこいが、一度敵意を向けた相手にはとことん噛みつく、まさに子犬ちゃんと呼ぶに相応しい人物。

一旦果林はスマホを確認し、ため息をつくと、かすみに向かい合った。

 

 

「あのねかすみちゃん、コレには理由があるのよ。」

「浮気に理由!?果林先輩はそんな人の肩を持つんですか!」

「だから話を……うーん……この状態のかすみちゃんの説得は難しいわね……。」

「果林ちゃん、どうしてリカルドをここへ連れてきたの?」

 

 

話が通じないかすみとは対照的に、当事者であるミホシ自身は比較的冷静であった。

かすみがフェリーニの名前を出した時に怒り狂っていたとは思えないほど落ち着いた様子であったが、おそらくは自分以上に怒ってくれているかすみを見て自分は平静を保てたのだろう。

 

 

「フェリーニさん、あなたに話があるそうですよ。」

「……私は話すことなんて無いわ。その男は逃げたのよ。」

「……否定は出来ねぇ……。」

「ミホシさんの言い分はもっともです。じゃあ、どうすれば話を聞いてもらえますか?」

「そうねぇ。」

 

 

果林の問いに、ミホシはしばらく考えた。

かすみ、果林、フェリーニを順番に見た彼女は、とある提案を果林たちに持ち掛けてきた。

 

 

 

「私とガンプラバトルしましょう。私とかすみちゃん、果林ちゃんとリカルドのタッグバトル。それであなたたちが勝ったら話を聞いてあげる。どう?」

 

 

 

「バトルって……。」

「えぇ!?ほ、本気ですかぁ!?」

「えぇ、本気よ。かすみちゃん、もしかして私が負けると思ってるの?」

「だ、だって相手は世界大会でも活躍してる人に、エマ先輩と並んで同好会最強の果林先輩ですよぉ!?」

「フフフ、大丈夫大丈夫!なんにも心配いらないわ!」

 

 

自信満々にそう言って胸を張るミホシ。

彼女はカバンから自分のガンプラを取り出すと、それを全員に見せつけた。

そこから出てきたのはあまりにも意外な機体で、かすみも果林もミホシのガンプラを見て驚愕した。

何故ならそこから出てきたのは……、

 

 

 

「それは……ウイングガンダムフェニーチェ……!?どうしてミホシさんが!?」

「フェニーチェ……。」

 

 

ウイングガンダムフェニーチェ。

それは、リカルド・フェリーニの代名詞ともいえる、彼の愛機。

かつての世界大会で破戒された後、フェニーチェリナーシタとしてもよみがえったそのガンプラが何故かミホシの手元にある。

その姿はさらに変わっており、片翼のウイングガンダムゼロEWとなっている。

 

 

「ガンダムフェニーチェヴィットーリア。何年もあなたの下から離れていたんですもの。文句は無いわよね?」

「あぁ。」

「フェリーニさん、いいの?」

「男に二言はねぇよ。」

「逃げた男がよく言うわ。」

 

 

フェニーチェを手にしたミホシは、今度はカバンからダイバーギアを取り出した。

どうやら今回のバトルはGBNで行うようだ。

後ろを振り向き、GBNへと向かうミホシと、それを追うかすみ。

その場には、果林とフェリーニだけが取り残された。

 

 

「さぁ、行きましょうかすみちゃん。」

「ちょ、ちょっと待ってくださいよぉ!」

 

 

 

~~

 

 

 

ミホシとかすみに遅れる事数分、果林とフェリーニはガンダムベースからGBNへとログインし、バトルフィールドとなるニジガクのフォースネストまで来ていた。

昨日のライブの余韻で数名の観光客が訪れていたが、バトルフィールドはニジガクのフォースネスト内部からのみワープできる専用ステージで行われるため、万が一にも邪魔は入らない作りとなっている。

格納庫の中で、ミホシはダイバーネーム『ミホシ』に、かすみはかすみんとなり、それぞれの機体のセッティングを行っていた。

 

 

「よーし!ザクみんもヤミちゃんも準備万端!いつでも行けますよ~!」

「…………。」

「ミホシさん。」

「…………。」

「ミーホーシーさーん!」

「え?あ、ごめんごめん。どうしたの?」

「いえ……このガンプラ、カッコいいですね。」

「そうね。」

「フェリーニさんが作ったんですよね?」

「そうよ。リカルドと、私が作ったの。完成したのは世界大会の直前だったから、ほとんど実践で使ったことは無いんだけどね。」

「え、コレ、ミホシさんも作ったんですか?」

「まさか、フェニーチェの初陣がリカルドになるだなんて、思ってもみなかったけど。」

 

 

そう言いながらフェニーチェを見つめるミホシの表情は、少し憂いを帯びていた。

 

 

 

 

 

~~

 

 

「で、どうするんですか?」

「何がだ?」

「ガンプラに決まってるじゃないですか。フェニーチェ、ミホシさんが使うんでしょう?」

「あぁ、それなら心配いらねぇさ。」

 

格納庫でキュベレイ・ビューティーの最終点検をしているカリンの質問に、フェリーニは得意げに答えた。

そう言った彼の背後には、マゼンタと白という、ド派手な色のモビルスーツが立っていた。

カラーだけ見れば歩夢のドリームインパルスに似たカラーで、少々乙女チックな印象を受ける機体だが、非常に逞しい男性的なフレームをしており、背面には巨大な二枚の翼が取り付けられている。

この雄々しくも美しい姿……ベース機は間違いなく、『新機動戦記ガンダムW』に登場するゼクス・マーキスの愛機『ガンダムエピオン』だ。

 

 

「これは……!」

「ガンダムドラァーゴヴィットーリオ。今の俺の愛機さ。」

「長い名前ね。」

「うるせぇ。」

 

 

今までメインカラーがグリーンのフェニーチェを使っていたフェリーニらしからぬカラーのドラァーゴ。

マゼンタと白というカラーリングから、カリンはドラァーゴからフェリーニとは全く違う印象を受けた。

 

 

「このカラー……フェリーニさんというよりはまるで……。」

「なぁ、カリン。」

「なんですか?」

「悪いな。こんな事まで手伝わせちまって。お前には、まったく関係ない事だってのに。」

「フフ、言ったじゃないですか。困ってる人を放っておくと、エマに怒られる。それだけですよ。……勝つわよ、フェリーニさん。」

「あぁ。」

 

 

覚悟を決めて、それぞれのモビルスーツに乗り込む2人。

ハッチが開き、いよいよバトルが始まる。

 

今回のバトルはポイントバトル。

相手の機体を落とす毎に1pt手に入れ、制限時間内に多くのポイントを勝ち取ったチームの勝利となる。

 

 

 

「カリン!キュベレイ・ビューティー!行くわよ!」

『リカルド・フェリーニ!ガンダムドラァーゴヴィットーリオ!!行くぜ!!』

 

 

『かすみん!ザクみんとヤミちゃん!オンステージですぅ!』

『ガンダムフェニーチェヴィットーリア!ミホシ!踊るわよーーーー!!』

 

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第126回:璃奈ちゃんRunRuns

璃奈「せっかくだから皆にもやってほしい。璃奈ちゃんボード『ぺこりん』」

エマ「璃奈ちゃんが作ったの?すごーい!」

ランジュ「よっ!ほっ!け、結構難しいわぁ。」

彼方「あ~!ビーム撃たないで~!」

かすみ「落ちたーーーー!!」

果林「皆だいぶ苦戦してるみたいね。」

しずく「せつ菜さんとミアさんはランキングにも載るぐらいやりこんでいるらしいですよ。」

果林「へぇ。凄いわね。」

歩夢「~♪」

ランジュ「歩夢!とっても上手ね!」

歩夢「えへへ、そうかなぁ?あ、ゴール。」

エマ「もうクリアしたの!?」

彼方「彼方ちゃん全然ダメだよ~……。」

璃奈「歩夢さん凄い……これは、ランキングトップのSASUKEさんといい勝負ができるかも……!」

侑「アハハ……そ、そうだね……。」

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