ニジガクのフォースネストに備え付けのバトルフィールドは、フォースネスト本体となる校舎を除く、虹ヶ咲学園の敷地内全域となる。
モビルスーツが戦闘を行う時のみエリアが拡大され、さながら簡易的な市街地戦を楽しむことができる。
そんな場所でぶつかり合う、二体のガンプラ。
『いっけーーー!!ザクみーーーーん!!』
「くっ……やるわね、かすみんちゃん!」
かすみんのザクみんと、カリンのキュベレイ・ビューティーである。
ザクみんは支援機のヤミちゃんと無敵合体をすることで無敵武者魔殺駆罠という強化形態になる事が出来るが、今はあえてSD状態で戦っている。
市街地戦となると、小回りの利くSDの方が圧倒的に立ち回りやすい。
対するカリンのキュベレイ・ビューティーは、細身とはいえ元はキュベレイ。
比較的大型のモビルスーツとなり、どうしても町中や障害物のある場所では戦い辛い。
特に両肩のバインダーは元のキュベレイと同サイズであるため、ザクみんの立ち回り次第では通れない場所も数か所出てくる。
『にっしっし……!カリンせんぱ~い、今回のバトルではかすみんが圧倒的に有利みたいですね~?』
「ウフフ……かすみんちゃん、油断してると、足元掬われるわよ。」
『そんな言葉に惑わされるかすみんじゃありませんよ~!』
ザクみん刀を手に、キュベレイ・ビューティーに斬りかかるザクみん。
対するキュベレイ・ビューティーは、手のひらから内蔵式のビームサーベルを出現させてザクみんの攻撃を防ぐ。
パワーではキュベレイ・ビューティーの方が高いが、立地的に校舎が邪魔になり、バインダーが引っかかってフルパワーで押し返せない。
このまま押し返す……そう意気込んだザクみんが刀を握る手に力を込めた。
だが、
「今よ。」
『え?』
次の瞬間、ザクみんの足元が突然爆発した。
振り返ると、そこにはキュベレイ・ビューティーから発射されたクリアファンネルが一機だけ浮かんでおり、それがザクみんの足元を狙ったのだろう。
『ふぁ、ファンネルぅ!?』
「言ったでしょ。足元掬われるって。」
油断したザクみんを逆に押し返し、なんとか広い場所へ出る事に成功。
自由を手に入れたキュベレイ・ビューティーは両腕からビームサーベルを出現させ、そのままザクみんを十字に切り裂いた。
『そんなーーーーー!!』
『KARIN +1p』
バトルフィールドの上空にカリンへポイントが加算されたメッセージが出現し、彼女の勝利を告げる。
数秒後、キュベレイ・ビューティーの後ろに再びザクみんが出現し、よろよろとバトルフィールドに戻ってきた。
『うぅ……まさかもうポイントとられるなんてぇ……。』
「でもなかなかいい作戦だったわよかすみんちゃん。私の弱点を的確についた見事な作戦だったわ。だけど、勝負を急ぎすぎて私の一番の武器を失念していたわね。」
『相変わらずいつ飛ばしたかわかりませんね、クリアファンネル……だけど、もう負けませんよ!
』
「えぇ、かかってらっしゃい!……でも、その前に……。」
復活したザクみんから目をそらし、カリンが上を見上げた。
そこには、緑色のモビルスーツとマゼンタのモビルスーツが向かい合っており、二体とも動こうとしない。
ミホシの乗るガンダムフェニーチェと、フェリーニのガンダムドラァーゴだ。
「あの2人、ちゃんと戦う気あるのかしら……?」
『余所見してたらダメですよー!』
「クリアファンネル。」
余所見をするカリンに斬りかかってきたザクみんを、キュベレイ・ビューティーのクリアファンネルで軽くあしらう。
かすみんは決して弱いわけでは無く、むしろGBN全体で見ればそこそこ強い方だが、カリンのキュベレイ・ビューティーとはかなり相性が悪い。
そもそもザクみん単体にはクリアファンネルを見切るような機能が備わっていないので、動きやすさを優先して合体していないうちは、地の利を生かさない限り勝機はかなり低い。
立ち上がったザクみんは、いまだにフェリーニ達を眺めるカリンを見て、構えていたザクみん刀を下す。
テクテクとキュベレイ・ビューティーのもとへ歩いてくると、彼女もまた上にいるフェリーニ達を見た。
『まだ話し合ってるんですかねぇ?』
「さぁ、どうかしらね。」
『っていうか、カリン先輩はどうしてあの人の肩を持つんですか?』
「あら?今度はちゃんと聞いてくれるの?」
『だってミホシさんまだ戦ってないし、カリン先輩がなんであんな浮気性な人を庇うのか気になるし……。』
「浮気性……そうね。確かに浮気だわ。」
『そうでしょう?』
「でも、かすみんちゃんやミホシさんが考えているような浮気とは、ちょっと違うかしら。」
『どういうことですか?』
「えぇ……実はあの2人……、」
カリンがかすみんへフェリーニの事情を話し始めたのと同時に、ついに2人が動き始めた。
先に動いたのはもちろんミホシの方で、両腰に下げていたビームライフル二丁を手に取り、ドラァーゴを狙い撃ち始めた。
『くっ……!キララ!俺はお前に勝って、話を聞いてもらうぞ!』
『そういう事は、勝ってから言ってちょうだい!』
フェニーチェヴィットーリアのベース機はウイングガンダムであり、射撃がメインの機体。
対するドラァーゴヴィットーリオのベース機はガンダムエピオンで、格闘戦主体の機体。
ガンプラバトルの腕を考えれば軍配は本来フェリーニにあがるはず。
ウイングガンダムとガンダムエピオンも、元々ライバル機であるのでGBNにおいては性能差はそこまで大きく開いてはいない。
だが、ミホシだってもともとはガンプラアイドルとして今の地位まで上り詰めた女であり、実力はかなりのもの。
その彼女が使うのは、最高峰ビルダーにも名を連ねるフェリーニの作ったフェニーチェだ。
その凄まじい気迫と弾幕に圧倒され、格闘戦主体のドラァーゴではなかなか彼女のもとまでたどり着けない。
しかし、それでもフェリーニには、どうしても彼女に勝たねばならない意地がある。
『うおおおおおおお!!!』
左腕にマウントしていたヒートロッドを鞭のようにしならせ、フェニーチェの放つ弾幕をすべて弾き飛ばすドラァーゴ。
一気に距離を詰め、ドラァーゴの得意とする接近戦へと持ち込む。
ビームソードを右手で掴み、フェニーチェへと斬りかかろうとするドラァーゴ。
だがその刀身は、フェニーチェに命中する寸前に止まった。
『……ッ……!』
「フェリーニさん!!」
カリンがフェリーニの名を呼ぶ。
しかし、フェニーチェを斬ろうとして躊躇った彼とは違い、フェニーチェの放つ無慈悲な弾丸がドラァーゴの胸中を貫いた。
『ぐああああああ!!!』
『MIHOSHI +1p』
今の攻撃でドラァーゴは戦闘不能となってしまい、バトルアウトしてしまうフェリーニ。
数秒後にバトルフィールドにドラァーゴが戻ってくると、フェニーチェはゆっくりと地面に降りてきた。
『私に勝つとか言っておきながら、あそこで手を止めるなんて情けないわよ、リカルド。』
『……へへ……違いねぇ……。』
「………ミホシさん。ごめんなさい。勝ってからっていう話だったけど、やっぱり今話をさせてほしいの。ダメかしら?」
『おい、カリン!』
「……それは私だけじゃ決められないわ。私の相棒にも聞かないと。どう?かすみちゃん?」
フェニーチェがザクみんへと顔を向ける。
ザクみんはキュベレイ・ビューティーとフェニーチェ、そしてドラァーゴを順番に見ながら、少し考えてから答えた。
『かすみんからもお願いします。お話を聞いてあげてください!』
『はぁ……かすみちゃんにお願いされたら仕方ないわね。』
「ありがとう、かすみちゃん。」
『借し1ですよ!カリン先輩!』
かすみんからの許可ももらい、さっそくカリンはダイバーギアから自分のスマホへとアクセスし、数年前の……フェリーニが世界大会へ参加できなかった年の情報を募った自分のSNSのデータをフェニーチェへと送信した。
そこに映し出されていたのは、世界大会と同時期に開催されたごく小規模な大会……チームバトルでの大会の記録だった。
『これは……。』
「世界大会と同じ日に開催された、イタリアのチームバトル専門のガンプラバトル大会の情報です。そこの優勝者を見てください。」
『……優勝はチーム『アモーレ』……チームメンバーには世界大会でも活躍した男『リカルド・フェリーニ』……。』
なんと、世界大会と同じ日の大会に、何故かフェリーニがエントリーしており、更に優勝までしていた。
なぜこんな事になっているのか……全員の視線が一斉にフェリーニへと向く。
そして彼は、ため息交じりに当時の事を振り返り始めた。
~~
~数年前~
「悪いなレオナルド、会場まで送ってもらって。」
「いいって事よリカルド!お前はこの街の誇りさ!それよりお前、フェニーチェはどうしたんだ?」
「あぁ。女に預けてある。俺は今年の世界大会……絶対に優勝しなくちゃならねぇんだ。だから勝利の女神に預かってもらって、幸運を込めてもらおうと思ってな。」
「なんだいその理屈は。おっと、信号か。ったく……俺だって急いでるのに、ついてねぇぜ。」
その日、フェリーニは友人の車で世界大会の予選会場まで送ってもらっていた。
彼には愛車のバイクがあったのだが、その時は運悪く故障しており、幼少期から友人のレオナルドに会場まで運んでもらうことに。
実はその日、レオナルドも別のガンプラバトルの大会にエントリーしており、信号待ちの際に愛機をフェリーニに見せてきた。
「へへっ!どうだ!カッコいいだろ!俺の愛機だぜ!」
「知ってるよ。ガンタンクだろ。子供のころから何度も見てるっての。」
「俺はこいつと一緒に今日の大会で優勝するんだ!お前の出る大会とは規模もくらべものにならねーが、チームの連中と一緒にこの街を盛り上げるんだぜ!」
「あぁ、立派な夢だよ。」
今日開催される大会は、フェリーニ達が育った町の町おこし企画のガンプラバトル大会。
裕福な街ではない為、出稼ぎに街を離れる人が多く、少しでも街を活気づける為に開催される大会だ。
3人で一つのチームを組み、実機バトルで優勝を競う大会。
自分の生まれ育った町が大好きだったレオナルドは、この大会で優勝するため、自分の妻とその妹と一緒に大会に参加する事になった。
「嫁にもいいとこ見せるぜ~!」
「嫁……か……。」
「ん?リカルド、なんだよそのガンプラ?」
「こいつか?さっき言ってた勝利の女神様が作ったガンプラだよ。フェニーチェを預かる代わりに、俺に持っておけだってさ。」
「へー、カッコいいな。」
「そろそろ信号、動くんじゃないか?」
「そうだな。………ッ!!」
次の瞬間。
凄まじい音と共に、レオナルドの運転していた車にとてつもない衝撃がくわわった。
反対車線にいた居眠り運転の信号無視のトラックが、運悪く信号待ちの先頭にいたレオナルドの車に突っ込んできたのだ。
幸い、後部座席に座っていたフェリーニは無事だったが、運転席はつぶれてしまい、そこには血まみれのレオナルドと、彼の愛機であったバラバラに壊れたガンタンクが散らばっていた。
「おい!!レオナルド!!おい!!しっかりしろ!!」
「うっ………り……リカルド……。」
「待ってろ!すぐに助けが来る!!大丈夫だ、傷は浅い……お前は助かる!死ぬな!!」
「俺の……ガンタンクは……。」
「…………。」
「……行けよ、リカルド……タクシーを拾えば間に合うはずだ……戦ってくれよ、俺の分まで……。」
「だけどお前は!!」
「俺に事は気にするな……お前を待ってる……勝利の女神がいるんだろ……?」
レオナルドの言葉に、ミホシの顔が頭をよぎる。
フェリーニは立ち上がり、ミホシから預かったガンプラ……ガンダムドラァーゴヴィットーリオを握り締めた。
「……わかった……。」
「それでいい……頑張れよ……リカルド……。」
病院へと運ばれる友人を見送ったフェリーニ。
そして、彼はその足で、世界大会予備予選の会場とは、真逆の方向へと走り始めた。
~~
『俺はケガをしたレオナルドの代わりに、アイツの奥さんと義妹さんと一緒に大会に出場した。俺が頼まなければ、アイツがあの日事故にあう事は無かった。全ては俺の責任だ。』
『じゃあ、ミホシさんが聞いた女の人の声って。』
「たぶん、そのレオナルドさんの奥さんの声でしょうね。連絡が取れなかったのは、別の大会に出場していたから。フェリーニさんの、事故にあった友達の代わりに。」
全てを話し終えて、かすみんは意気消沈していた。
浮気者と蔑んだ男の正体は、友情に熱いガンプラバトルを愛する男だった。
彼の友人の夢だったガンプラバトルによる町興し……それを実現させるために、戦っていたのだ。
『あの……ちなみに、そのお友達はどうなったんですか……?』
『心配すんな。無事に退院したよ。今じゃ後遺症も残ってない。あぁ、でも先月医者から太りすぎって怒られたらしいけどな。』
そう言いながら笑って見せたフェリーニ。
話が終わり、カリンはミホシの方を見た。
彼女の……フェニーチェのライフルを握る手に力が入る。
そして、なんと彼女はそのままライフルをドラァーゴへ向け、彼へ向けて発砲した。
『ミホシさん!?何やってるんですかぁ!?』
「話は聞いたでしょ!?もう、あなたとフェリーニさんが戦う理由はないはずよ!」
カリンが説得しようとしても、ミホシは発砲をやめない。
彼女の攻撃に対し、カリンはファンネルを、かすみんはヤミちゃんを展開し、フェリーニへの攻撃を防いだ。
『……知ってたわよ、それぐらい。』
「「え……?」」
ミホシの意外な言葉に、カリンとかすみんは思わず手を止めた。
フェニーチェは攻撃を中断し、ドラァーゴのもとへと飛ぶと、彼の胸ぐらをつかんだ。
『知ってたわよ!リカルド!あんたが、友達の為に戦ってたことぐらい!何年あんたと付き合ってると思ってるのよ!!』
『キララ……。』
『あんたが……あんたがお人よしなガンプラ馬鹿だってことは十分わかってんのよこっちは!!でも……あの大会だけは……あの大会だけは、あんただけじゃなくて、私にとっても特別な大会だったんだよ!!』
そう言いながらフェニーチェは思いっきりドラァーゴを殴り飛ばした。
抵抗する気は無いフェリーニは、ただただミホシに殴られ続ける。
『私はずっと、あんたが優勝してから私に言ってくれるはずだった言葉を待ってたんだよ!だけど、大会に出なかった事が後ろめたくて、あんたはそれから先の言葉を言ってきてくれることは無くなった……リカルド、あんたは、私から逃げたんだ!!』
『……そうだな……返す言葉もねぇ……。レオナルドの為だとか、そんなことは言い訳にすらならねぇ……でもな!!』
フェニーチェのパンチを、ドラァーゴを受け止める。
そしてフェニーチェの顔を引き寄せ、カメラアイ同士をギリギリまで近づけた。
『俺の心の中から、お前の存在が消えた事は片時もねぇ……これだけは、信じてくれ……俺には、お前が必要なんだ……!』
『どうして……今更……そんな事……!!』
フェニーチェとドラァーゴの戦いを見守るキュベレイ・ビューティーとザクみん。
敵チーム同士でありながらも、カリンはかすみんへと通信をつなげる。
「よく見ておきなさいかすみんちゃん。あれが大人の恋よ。」
『普通の大人は恋人と殴り合ったりしないと思います。』
「……それもそうね。」
『んー……それにしてもこれって、結局フェリーニさんが友達を優先しちゃった事ですよね?それで浮気者って……ミホシさんも結構重たい感じなんですかね?』
「それだけ愛が大きいって事よ。」
『どうするんですかコレ?まだバトル続けます?』
「そうね……ん?この反応……まさか……!」
その時、カリンが何かに気が付いた。
すぐさまクリアファンネルを射出し、それを自分たちの周りへと展開。
ビームを連結させて巨大なバリアを作ると同時に、凄まじいビーム攻撃がそのバリアへと浴びせられた。
『うわぁぁ!?な、なんですかコレぇ!?』
「どうやら、馬に蹴られたい子たちが来たようね。」
『どういう事ですか!?』
上を見上げると、そこには白いモビルスーツが一体と、紫色のモビルスーツが数体、カリン達めがけて攻撃を放っていた。
アナザーノワールにより生み出された、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』に登場するモビルスーツ……ミカエリスとベギルペンデだ。
突然の乱入に、ミホシとフェリーニ、かすみんは驚きを隠せなかったが、カリンだけは比較的冷静だった。
「なるほど……少し前にエマもエアリアルに乱入されたって言ってたし、これもそういう事かしらね……。」
自分の周りにクリアファンネルを展開し、ミカエリス達を迎え撃つキュベレイ・ビューティー。
両腕からもビームサーベルを発生させ、ミカエリスへと言い放った。
「人の恋路を邪魔する子は、馬に蹴られて立ち去りなさい!!」
~にじビル毎回劇場~
第127回:ひなあられの食べすぎ
歩夢「皆、お餅からひなあられを作ってみたの。よかったら食べて!」
栞子「ひなあられ……。」
歩夢「どうしたの栞子ちゃん?食べないの?」
栞子「実は少し昔の事を思い出しまして……実は昔、ひなあられの食べすぎでお腹を壊してしまいまして。姉さんにとても笑われました。」
歩夢「栞子ちゃんにもそんな時期があったんだね。ふふ、可愛いね!」
栞子「今は自制できます!いただきますね。ん~!とっても美味しいです歩夢さん!」
歩夢「良かった!たくさん食べてね!」
栞子「はい!」
かすみ「自制できるってしお子……。」
璃奈「栞子ちゃん、1年生で買い食いする時は一番食べてるよね。」
しずく「前から思ってたけど、栞子さんって結構食いしん坊だよね。」
かすみ「スクスタの毎日劇場なんて最初の頃のしお子って登場するたびに何か食べてたもんね。」