リクとセイのバトルが終わり、ガンフェスが始まってからおよそ2時間が経過。
カミキ・セカイはとある男に呼び出され、海浜公園付近まで来ていた。
ガンフェスという事もあり海浜公園まで様々な出店が出ており、彼がやってきたのはガンフェス用に建てられたSDガンダム専門店の前。
そこで自分を呼び出した男を待っていると、少ししてその人物が現れ、彼はセカイの名を呼んだ。
「セカイ。」
「キジマ。なんだよ、話って。」
彼を呼んだのは4代目メイジン・カワグチことキジマ・ウィルフリッド。
ガンフェスでは基本的にキョウヤと行動をしている彼だが、キョウヤはカツラギと一緒にマリナ達に会いに行ってしまった。
ガンプラバトル界において相当な権力を持つ彼が緊急で話があるという事は、ただ事ではないという事だ。
「突然呼び出してすまなかった。」
「そんな事より、お前が至急で話したい事があるってことは、よっぽどな事なんだろ?」
「あぁ……アドウもシアもいない中、こんな事を頼めるのはお前しかいない。」
そう言いながらセカイの顔を見るカワグチ……ウィルフリッドの表情は、今までに無く真剣だった。
その眼差しに思わず息をのむセカイ。
数秒間の沈黙の後、彼はセカイへと告げた。
「私に力を貸してくれ、セカイ。」
~~
「めっっっちゃ楽しい~!!」
「愛って何やってても楽しそうだよね。見ててうらやましいよ。」
「ミアちゃんは楽しくなかった?」
「……いや、ボクも凄く楽しかったけど……。」
「よ~しよし~!素直に言えた良い子なミアちには、ご褒美に愛さんの烈帝城クレープを一口わけてあげよう!」
「Thanks……って、どこから食べるんだよこのクレープ!?ステイツのハンバーガーぐらいのサイズあるぞ!?」
「ガンフェス限定メニューだって。」
「アハハ、限定メニューって聞いたら絶対食べなくちゃ!って思ったんだけど、さすがにこの量を一人で食べるのは愛さんでも難しいな~。」
「最初からボクたちとシェアするつもりだったんだろ?……うん、美味しい。」
自由行動で一緒にガンフェスを回っていた愛、璃奈、ミアの3人は、とにかく片っ端からイベントに参加し続けた。
周辺で行われているリアルイベントには大方参加してきたが、少々飛ばしすぎた為に今は売店で購入してきた超巨大なクレープを食べながら休憩中。
今、愛たちがいる場所は海浜公園の近くで、ダイバーシティ付近では水星の魔女関連のイベントや宇宙世紀系のイベントが多く、この海浜公園付近では主にSDガンダムのイベントが多い。
戦国伝シリーズや騎士ガンダム、三国伝やヒーローズと言ったメジャーなSDガンダムだけではなく、ガチャポン関連や漫画関連のイベントも多数。
しかもガチャポンには初期に発売されたガン消しまでわざわざ再販されている為、比較的高い年齢層の参加者が多い。
「あれは!」
「どうしたの璃奈?」
「SDガンダムフルカラー!しかもステージ46 ジャブローの風!」
「それがどうしたの?」
「リック・ドムが収録されてる!実物初めて見た!私、回してくるね!」
「りなりー、ホントにドム好きだね!」
表情は変わらないが、いつも以上にウキウキしながら公園に設置されているガチャポンを回しに行った璃奈。
早速財布を開けるが、お札ばかりであいにく小銭が無い。
周りを見ても両替機は無く、お店の人に両替を頼むのも申し訳ない。
なけなしの小銭を握り締め、ガチャポンに入れてレバーを回す。
あのどこか懐かしいガコンッ!という音と共に出てきたカプセルを手に取って、おそるおそる開けてみる。
そこから出てきたのは……、
「……クロスボーンだ……。」
出てきたのはクロスボーンガンダムX1。
カッコよくてとても人気のあるモビルスーツだが、璃奈が欲しかったのはこれじゃない。
ぽかんと口を開けてクロスボーンガンダムを見ていると、璃奈の肩を誰かがポンッと叩いた。
愛かミアかと思って振り返ると、そこにいたのは彼女たちでは無かった。
「璃奈ちゃーん!何してるの?」
「あ……モモカさん、アヤさん……。」
「フルカラーのガチャガチャ?へぇ、懐かしいわね。」
やってきたのはビルドダイバーズのヤシロ・モモカとフジサワ・アヤ。
アヤは璃奈が手に持っていたクロスボーンを見て、次に璃奈の顔を見る。
すると、彼女の心中を察したのか、財布を取り出して璃奈が回したものと同じ筐体にお金を入れて、一回回してみた。
「アヤさんも回すの?」
「えぇ。欲しい物があるの。一回で出るといいんだけど。」
出てきたカプセルを手に取り、中を見るアヤ。
アヤは一瞬笑うと、すぐにわざとらしく困ったような表情になり、がくっと肩を落とした。
「残念。一回じゃ出なかったわ。」
「アヤさんは何が欲しかったの?」
「クロスボーンガンダム。私、小さい頃からコレ集めてたんだけど、このシリーズはクロスボーンだけ持ってなかったの。そうだ!璃奈ちゃん、良かったら私のと交換してくれない?」
「え?うん、いいよ。」
「ありがとう!じゃあ、はい、コレ。」
「! コレ……!」
そう言ってアヤが渡してくれたカプセルの中に入ってたものは、璃奈が一番欲しかったリック・ドム。
両手でギュっと大事そうに握りしめると、璃奈はアヤに何度もお礼を言った。
そこへ愛とミアもやって来て、何度もアヤにお礼を言っている璃奈を見て首を傾げた。
「どうしたのりなりー?お、アヤにモモちじゃん!やっほー!」
「璃奈、ドムは当たったの?」
「アヤさんにもらった!ありがとう、アヤさん!」
「どういたしまして。」
「アヤさん、よく璃奈ちゃんがドム欲しいってわかったね。しかも一回で出すなんて。」
「そんなの、璃奈ちゃんの顔を見たらすぐわかるわよ。一回で出たのは運が良かっただけ。」
普段無表情の璃奈の感情を表情から読み取るとは、さすがは忍者なだけあると感心するモモカ。
璃奈がリック・ドムをもらってうれしそうなので、愛が改めてアヤへお礼を言うと、彼女は軽く手を振った。
「ありがとねアヤ!りなりー、すっごく嬉しそう!」
「ううん、クロスボーンが欲しかったのは本当だから、こちらこそ璃奈ちゃんにお礼を言いたいわ。」
「でも二人ともどうしてここに?モモカって今は忙しいんじゃないの?ガンダムベースの店員なんだし。」
「今は休憩時間中だよ。さすがにガンフェスの間ずっと働きづめは嫌だし。」
「あら?あなたたちも参加しに来たんじゃないの?」
「参加?あたしらは適当にブラブラしてただけだよ。」
「そうなのね。だったらちょうどいいわ。あなたたちも一緒にエントリーしてみない?」
「「「エントリー?」」」
そう言うと、アヤはダイバーギアを取り出して海浜公園で開催されるイベントの概要を愛たちへ見せた。
同時に、なぜアヤとモモカがわざわざここに来たのかも納得した。
「SDガンダムバトルトーナメント……こんな大会があるんだ。」
「SDガンダムを含んだ二人以上のチームでのタッグバトルイベントよ。私とモモちゃんはこれに参加するために来たの。」
「含む……ってことは、SDじゃなくても参加できるの?」
「えぇ。HGサイズのガンプラなら各チーム1体まで参加できるわ。」
「へー、面白そうじゃん。」
「バトル形式はGBN?それともGPD?」
「新型バトルシステムの、GVBっていうのを使うみたい。水星の魔女のステージでもお披露目してるんだけど、こっちでは先行体験ができるってわけ。」
「コウイチさんがガンダムベースの店員として一度ぐらい体験しとけーってさ。」
「どうする?璃奈、愛。」
アヤとモモカからの説明を聞いて愛と璃奈に尋ねるミア。
2人は顔を見合わせると、笑顔で頷いた。
「もちろん。」
「参加するに決まってんじゃん!タッグバトル、めっちゃ楽しそう!」
「決まりね!」
「それじゃあ、受付にレッツゴー!!」
~~
「「合体!ライトニングビルドガンドム!!」」
大会にエントリーして、さっそく始まったSDガンダムバトルトーナメントの第一回戦。
愛、璃奈、ミアの3人チームでエントリーをした愛たちは、まずは璃奈とミアがタッグを組み一回戦に参戦。
開幕早々にAEドムとライトニングトールギスを合体させたライトニングビルドガンドムへと変形し、相手チームのキャプテンガンダムとザッパーザクを相手取る。
相手のキャプテンガンダムの銃撃をもろともせずに猛突し、強烈なショルダータックルを喰らわせて相手を吹っ飛ばした。
「この体格差なら、一気に押し切れるよ璃奈!」
「油断しちゃ駄目。後ろから来る!」
「OK!だったら!」
キャプテンガンダムを吹っ飛ばしたライトニングビルドガンドムの後方から、ヒートアックスを構えたザッパーザクが斬りかかってきた。
すぐさまミアはライトニングビルドガンドムのバックパックから、ライトニングトールギスの支援機であるランページグリフォンを切り離し、ザッパーザクへ突撃させた。
ランページグリフォンそのものの攻撃力は低いが、ザッパーザクの攻撃を止めるには十分だ。
そしてライトニングビルドガンドムが合体を解除すると、ライトニングトールギスとAEドムに分離。
自慢のスピードを活かしてザッパーザクの懐へ入ると、テンペストランスでザッパーザクを貫いた。
『BATTLE ENDED!WINNER NIJIGASAKI HIGHSCHOOL IDOLCLUB!』
「やったーーー!!りなりー!ミアち、さいっこーーーー!!」
バトル終了のアラームが鳴ると同時に、大はしゃぎで勝利を喜ぶ愛。
バトルが終わり自分のガンプラを回収する璃奈とミアに抱き着いた。
「あ、愛さん苦しい……。」
「暑苦しいよ愛。ボクと璃奈ならあれぐらい余裕さ。」
「愛さん、ミアちゃん!早くアヤさんたちの試合見に行かなきゃ!」
「おっと。そうだったそうだった。さっそく見に行こう!」
自分たちの試合より少し遅れて始まったアヤとモモカの試合を見るために、彼女たちの試合が行われている筐体まで急ぐ3人。
試合会場の筐体までたどり着くと、そこではアヤの操るRX-零丸が一人空中でたたずんでおり、その周りを曹操ガンダムと孫権ガンダムが挟み撃ちにしている。
二体とも巨大な剣を持っており、今か今かと零丸を攻撃する隙を伺っている。
ジワリジワリと零丸へと近づく孫権ガンダム……そして、ついに零丸へその巨大な剣が振り下ろされた。
「アヤメ流忍法!!身代わりの術!!」
「なに!?身代わりだと!?」
しかし、攻撃が命中した瞬間、零丸の姿が丸太へと変わった。
すっかり零丸の姿を見失い、辺りを見回す曹操ガンダムと孫権ガンダム。
その油断している彼らを……水中から見ている者がいた。
「隙あり!!お腹ビーーーーーム!!」
今まで水中に隠れていたモモカプルが飛び出し、得意技の『お腹ビーム』を放った。
その攻撃は孫権ガンダムに命中し、見事孫権ガンダムを撃破。
相方を倒されて狼狽えていた曹操ガンダム……その背後に出現した零丸が、曹操ガンダムの首元へ手刀をぶつけた。
『BATTLE ENDED!WINNER BILD DIVERS!』
「まっ!こんなもんよ!」
「対戦、ありがとうございました。」
連係プレーで見事に一回戦を突破したモモカとアヤはハイタッチ。
試合を終えた彼女たちに愛たちが駆け寄ると、全員で勝利を喜んだ。
「おめでとうモモち!アヤ!」
「ありがとう愛ちゃん。このまま順当にいけば、準決勝であなたたちと当たるわね。」
「その時はボクらが勝つさ。」
「ふっふっふ!そう簡単には勝たせてあげないよ~!」
「負けない!璃奈ちゃんボード『むんっ!』」
気合十分な5人。
飲み物でも買いに行こうかと話していると、何やら会場がざわついている。
何事かと思って見に行ってみると、そこでは一回戦最終戦が行われている真っ最中だった。
正確には最終戦がもう終わる頃……より具体的には、1分前に始まった試合が、すでに終わりかけている頃。
周りのギャラリーは口をそろえて言っている。
「なんて強さなんだ……!」
「ビルドダイバーズや虹ヶ咲の子たちも出場してるけど、優勝はこりゃ決まったも同然だろ。」
「圧倒的すぎる。」
「噓でしょ?さっき始まったばかりなのに、もう決着がついたの?」
「見に行ってみよう!」
ギャラリーの言っている事が信じられず、急いで試合を見る5人。
するとそこには、倒れている2体のガンプラと、無傷のまま立っている2体のSDガンダムの姿があった。
1機は武者號斗丸。
もう1機はナイトストライクガンダム。
ナイトストライクガンダムは剣を背中にしまうと、倒れたガンプラ達に背を向ける。
その後ろを號斗丸が付いていき、二体はログアウト。
その圧倒的な強さを見せつけ、アヤたちは息をのんだ。
「どうやらこの大会……一筋縄じゃいかないかもね……。」
~にじビル毎回劇場~
第129回:ガンプラ以外のプラモ
ランジュ「きゃは!強そうなガンプラが売ってたから買ってきちゃった!」
エマ「へー、見せて見せて!」
ランジュ「見て頂戴エマ!これよ!」
エマ「……えっと……。」
ランジュ「ランジュこのガンダム見た事無いんだけど、こんなにカッコいいんだから強いに決まってるわよね!どの作品に出たモビルスーツなのかしら?」
エマ「あ、あのねランジュちゃん……。」
ランジュ「早く使ってみたいわ~!クリムゾンフェネクスともバトルさせてみたいし!」
エマ「ランジュちゃん、これ……ガンダムじゃないよ?」
ランジュ「え?でもこのパッケージ、RGでしょ?ガンダムのブランドよね?」
エマ「えっとね……コレ、『勇者王ガオガイガー』っていう作品の、ガオガイガーっていうロボットなの。」
ランジュ「ガンダムじゃないの?」
エマ「うん……。」
ランジュ「ガンプラバトルは?」
エマ「出来ないね……。」
ランジュ「……。」
エマ「……。」
ランジュ「……でもカッコいいから一緒に作りましょうエマ!」
エマ「そうだね!」