ニジガクとソレスタルファイターズのバトルは、周りが思っている場に拮抗していた。
璃奈もミアも元々ゲームが得意であり、ガンプラも高性能。
ソレスタルファイターズのセカイとカワグチは、ガンプラの性能こそ無改造のSDガンダムで攻撃力も防御力も最低ラインではあるが、実力は世界レベル。
ガンプラの性能とファイターの実力でいい具合のバランスがとれており、どちらが勝つかわからないバトルに観客全員が夢中になっていた。
なんとか隙を見てライトニングビルドガンドムへの合体を試みる璃奈とミアだが、セカイとカワグチの猛攻の前になかなか合体する隙を見つけられず、AEドムとライトニングトールギスの状態で交戦せざるを得ない。
一方でセカイとカワグチの方も、AEドムとライトニングトールギスの大技が一撃でも当たれば即KOとなってしまう為、常に気を張り詰めている。
自分たちの思うような試合運びを出来ないが、それでも全力を出して戦えるバトルは最高に心躍るもので、両チームとも実に楽しそうにバトルを続けていた。
その時、観客席にいた侑が突然、璃奈とミアに向かって大声で叫んだ。
「璃奈ちゃん!ミアちゃん!気を付けて!!」
「侑さん?」
「何かが……来る……。」
「ベイビーちゃん、何を言ってるんだ?ボクたちは今バトルに集中してるんだ。水を差さないでくれ。」
レインボーユニコーンガンダムを握り締め、2人に叫ぶ侑。
しかし、侑が何を言っているのか理解できないミアと璃奈は、顔を見合わせて首をかしげる。
すると、カワグチが何かに気づいたようで、急いでライトニングトールギスとの交戦を中断した。
「この反応は……!」
「どうしたキジマ。」
「バトルへの……乱入プログラムか!!」
カワグチがそう言うと、突如、バトルフィールド上空に、GBNでのディメンション移動に使われるようなゲートが浮かび上がった。
GVBにはディメンションという概念は実装されておらず、本来であれば出現する事のないこのゲート。
そこから徐々に姿を現すのは、黒い姿を持ったモビルスーツ。
「なんだあれは?」
「……ミアちゃん、危ない!」
璃奈が叫ぶと、AEドムは急いでライトニングトールギスをその場から突き飛ばした。
ゲートの中から現れたモビルスーツは、ゲートから出てくる前にライトニングトールギスに向けて発砲した。
間一髪で攻撃は命中しなかったが、かなり強力な一撃であり、その攻撃が命中した岩は跡形もなく消し飛んでいる。
もし当たっていたらと想像したミアはゾッとし、ソレスタルファイターズの2人も含めて全員で現れたモビルスーツに視線を向けた。
「黒いガンダム?なんだあいつ、見た事ねぇぞ?」
「ガンダム……ファラクト……。」
出現したモビルスーツの名を呟いたのはカワグチ。
そのモビルスーツの名前は『ガンダム・ファラクト』
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』にて、『エラン・ケラス』が搭乗するGUNDフォーマット搭載型モビルスーツ『GUND-ARM』の一体であり、ペイル社によって開発された劇中二体目のガンダム。
超遠距離戦用の機体で、劇中では接近戦を得意とするグエルの操るディランザをいとも簡単に倒してしまった、かなり強力な機体。
何故そんなガンダムがこの場に現れたのかわからないまま、立ち尽くす璃奈とミア。
彼女たちの事情などお構いなしといったかのように、ファラクトは専用ビームライフル『ビームアルケビュース』を構え、AEドムとライトニングトールギスへ発砲してきた。
急いで2人とも操縦桿を操作し、ジャンプしてビームをかわす。
そして、AEドムはドムちゃんメガランチャーを、ライトニングトールギスはテンペストランスをファラクトへ向けて構えた。
「なんなんだよお前!せっかくの決勝戦なんだ!邪魔をするなよ!!」
「ドムちゃんメガランチャー、発射!」
ドムちゃんメガランチャーを発射し、ファラクトを撃墜しようとしたAEドム。
しかしファラクトはビームサーベルを取り出すと、AEドムの発射した弾丸を真っ二つに切り裂いた。
ならば接近戦をと、ライトニングトールギスがファラクトへ飛び掛かっていく。
『殺人的な加速』で一瞬でファラクトとの距離を詰めると、テンペストランスをファラクトへと突き立てる。
その瞬間、ファラクトの両肩のブースターが展開し、ランスが届かないギリギリの位置まで後方へ移動。
そしてライトニングトールギスへビームアルケビュースを突き付け、彼女の胸の中心部分へ向けて発砲した。
「!! トールギス!!」
本来であればコクピットの位置を貫かれたライトニングトールギスが、まっすぐ地面へ落ちていく。
そこへ彼女の支援機であるランページグリフォンが駆け付け、地面に激突する前にライトニングトールギスを救出してくれた。
バトルアウトにはなってはいないが、戦闘続行はかなり厳しい状態になり、ミアは思わず筐体を叩いた。
「クソっ!!ボクはまた負けるのか……!?しかも、あんなわけのわからないやつに!!」
「ミアちゃん、合体しよう!合体すれば、HPを私と共有できる!」
「駄目だよ璃奈!そうなったら璃奈が危険じゃないか!」
乱入してきたファラクトの強さは、バグレベルだった。
ライトニングトールギスのスピードに対して、あんな正確に対応できるわけがない。
混乱している璃奈とミアの2人を守るため、セカイの號斗丸と、カワグチのナイトストライクガンダムがファラクトの前に立ちふさがった。
「君たちは下がっていろ!」
「こいつは俺とキジマが引き受ける!」
號斗丸とナイトストライクガンダムは、HGのAEドムや装甲を盛っているライトニングトールギスよりもサイズが小さく、ファラクトの的になりにくい。
璃奈とミアを下げさせると、まずは號斗丸が先陣を切り、ファラクトへと殴り掛かっていく。
ファラクトは両肩のブースターを噴出させながら後退し、號斗丸の攻撃をかわし、彼に向かってビームアルケビュースを向ける。
そこからビームを発射するが、その瞬間にナイトストライクガンダムが持っていたシールドを投げ、號斗丸とファラクトの間に投げ入れる。
ビームはシールドによって防がれ、號斗丸とナイトストライクガンダムが同時にファラクトへととびかかっていった。
「ごめん璃奈……ボク、準決勝でも最後まで戦えなかったのに、決勝でも君の足を引っ張ってる……。」
「こんな事態は想定外。大丈夫、セカイさんたちが戦ってくれてる。」
ミアを落ち着かせて、璃奈がセカイとカワグチを見た。
この2人はガンプラファイターの中でもトップレベルの腕前を持つ。
たとえ無改造のSDガンダムであっても、チート性能のファラクトと互角に戦うことができる。
號斗丸とナイトストライクガンダムの猛攻の前に、さすがのファラクトも防戦を強いられている。
しかし、號斗丸が腕を振り上げた瞬間に、ファラクトは両肩に内蔵してあったビット兵器らしきものを號斗丸へと飛ばした。
両肩に二基ずつ搭載されていあったそのビット兵器『コラキ』は、飛びながら二つに分離。
號斗丸の四肢を挟み込むように飛び交い、それに命中した號斗丸の動きがその場で停止した。
「なんだこれ!?う、動かねぇ……!」
「セカイ!!逃げろ!!」
「なにっ!?」
號斗丸に照準を定めたファラクトの一撃が、號斗丸の頭部を貫いた。
それにより號斗丸はバトルアウトしてしまい、バトルフィールドから姿を消した。
それと同時に現実の號斗丸のガンプラに亀裂が走った。
「GBVでやられたのに、実際のガンプラが壊れた……?」
「このままではまずい!セカイ、カミキバーニングでもう一度戦うぞ!」
「わかったぜキジマ!!」
號斗丸が倒されてしまった為、セカイは今度は自分の本来の愛機である覇王カミキバーニングガンダムでバトルに乱入しようとした。
だが、乱入時にエラーが発生し、カミキバーニングの参戦が出来ない。
「乱入出来ない!?どうなってんだ!」
「ファラクトだ……奴がこのGVBのデータを改竄しているせいで乱入が出来ないんだ。くッ……つまり私も、トランジェントで参戦出来ないという事か……。天王寺璃奈、ミア・テイラー、君たちはログアウトするんだ!この筐体のデータを、ファラクトごと破壊する!!」
「さっきからログアウトしようとはしてるんだけど、出来ないみたい。」
「馬鹿なッ……ログアウト出来ないほどのデータ改竄など……これではまるで、かつてのバンシィ・ノワールのようだ……。」
號斗丸がバトルアウトし、カミキバーニングが参戦できないとなると、AEドムとライトニングトールギスを守ることができるのはナイトストライクガンダムしかいない。
だが、やっかいなのはファラクトの特殊兵装であるコラキ。
コラキは、モビルスーツの触れた部位に特殊な電磁ビームを浴びせることでその部位を一時的にスタンさせてしまう無線式ビット兵器。
四対八基に分離することで、いかなるモビルスーツの動きでも封じることができ、その隙に主兵装のビームアルケビュースで相手を確実に仕留める。
それが、『ガンダム・ファラクト』だ。
「たとえどんな状況であったとしても、4代目メイジン・カワグチとして、ガンダム・ファラクト……貴様をここで倒す!!」
覚悟を決め、ナイトストライクガンダムはファラクトへ斬りかかっていった。
ファラクトはコラキを操り、ナイトストライクガンダムの動きを封じようとするが、カワグチはそれを完璧に見切り、見事な剣捌きでコラキをはじいていく。
至近距離まで距離を詰めると、ファラクトのビームサーベルと鍔迫り合いをし、わずかだがナイトストライクガンダムが押している。
慣れない機体でここまでの戦いができるとは、さすがはメイジン……誰もがそう思った。
しかし、その瞬間、ファラクトは意外な行動に出た。
「!! 貴様!!」
なんと、ファラクトは突然ビームアルケビュースを、ナイトストライクガンダムではなくAEドムとライトニングトールギスへと向けた。
それを見たカワグチは、一瞬動揺し、ファラクトを斬りつける手が止まった。
その隙にファラクトはコラキをナイトストライクガンダムへと差し向け、彼の四肢の自由を奪い取る。
「し、しまった!」
「「メイジン(さん)!!」」
コラキにより自由を奪われたナイトストライクガンダム。
再びビームアルケビュースをナイトストライクガンダムへと向けたファラクトは、ゆっくりと彼のもとへと近づいてくる。
そして、ビームアルケビュースの銃口をナイトストライクガンダムの額に押し付け、じわじわと引き金を引いた。
激しい炸裂音と共にナイトストライクガンダムの頭部が貫かれ、彼はその場に倒れこむ。
倒れた機体を足蹴にし、必要以上に痛めつけると、ナイトストライクガンダムの姿はそこから消滅した。
それと同時にリアルのガンプラも頭部パーツとファラクトに踏みにじられた胸部に亀裂が入り、二度とガンプラバトルが出来ないレベルまで損傷してしまった。
「め、メイジンもセカイもやられた………。」
「……今度は私が戦う。」
「無茶だ璃奈!勝てっこない!!」
「でも戦う!戦わないと、進めない……!」
そう言いながら、璃奈はゆっくりとAEドムを立ち上がらせた。
コラキの包囲網を潜り抜けながら、ファラクトに立ち向かっていくAEドム。
本体のパワーならばこちらに分がある。
たとえビームサーベルを持っていても、一撃で相手を倒せば問題はない。
そう考えた璃奈は、電動フレームで加速し、ファラクトへ接近していく。
拳を握り締め、ファラクトへと殴り掛かろうとするAEドムだったが、ファラクトはその軌道を読んでおり、自分の顔面の目の前にコラキを飛ばしてきた。
勢いを殺せず、そのままコラキを殴ってしまったAEドムは、電磁ビームの直撃を浴びてしまい、スタンしてその場から動けなくなってしまった。
「ど、ドム!」
「まずい!逃げて、璃奈!!」
「う、動いて!お願いドム!ドムー!」
ナイトストライクガンダムにとどめを刺した時と同じように、ゆっくりとAEドムへと近寄るファラクト。
「だ、ダメ!見てられないよ!」
「………。」
「ゆ、侑ちゃん?」
「……ごめん歩夢、私行ってくる!」
「えぇ!?」
「愛さんも!!」
「ちょ、ちょっと~!」
その戦いを見ていた侑と愛は、いてもたってもいられず、観客席から飛び出し、セカイとカワグチのところまで駆け寄っていった。
そして自分のガンプラを取り出すと、先ほどまで號斗丸とナイトストライクガンダムが置かれていた場所に、レインボーユニコーンガンダムと愛参頑駄無大笑軍をセット。
「お、おい侑!愛!お前ら何を!?」
「無駄だ。このフィールドはファラクトに支配されている。乱入は出来ない。」
「わかってます!……でも……それでも!!」
侑の言葉と共に、一瞬レインボーユニコーンの目が光った。
~にじビル毎回劇場~
第134回:日々の鍛錬
セイ「それにしても、リクくんは本当に強かったね。」
リク「ありがとうございます!」
セイ「ダブルオーの完成度が高いのももちろんだけど、パイロットのリクくん自身の能力も高い。とっさの判断力もあるし動体視力もいい。何かスポーツか何かやってたの?」
リク「あ、はい。俺、中学でも高校でもガンプラバトルやってない時はサッカーやってます。やっぱ体動かすのって気持ちいいんで!」
セイ「サッカーか……。」
リク「どうかしたんですか?」
セイ「いや……僕、運動は苦手だから学生のころからずっとガンプラばっかり弄ってたから……。」
リク「それでセイさんのガンプラってあんなに完成度高いんですね!俺はサッカーでガンプラバトルの鍛錬やってるけど、セイさんはガンプラバトルの時以外はどうしてるんですか?」
セイ「ボクの場合はイメトレだね。」
リク「イメトレ?」
セイ「うん!オフの日なんかは一日中奥さんと一緒にガンダムシリーズの円盤を見ながらビルドストライクならここでこうして、こうやって攻撃!みたいなイメトレをやってるんだ!これがなかなか楽しいんだよ!」
リク「……奥さんそれ嫌がりません?」
セイ「最近は奥さんの方からこれが見たいって言ってBD持ってきたりするよ?」
リク「おぉ……愛だ……。」