『オーバーライド』
『機動戦士ガンダム 水星の魔女』の世界において、ありとあらゆるモビルスーツは『パーメット』と呼ばれる分子によって構成されている。
それはもちろんガンダムも例外ではなく、むしろガンダムに用いられている技術『GUND-ARM』はパーメットの能力を最大限に引き出せる技術である。
パーメットスコアを上げる事によりデバイスと操縦者を強くリンクさせることが可能で、それにより有機的な動きができる。
この技術の最大の強みとして、一般的にファンネルやビットと呼ばれる無線兵器『GUNDビット』があげられ、これらもガンダムと操縦者がパーメット接続により動かすことができる。
そして、このGUND-ARMのもう一つの強みが、『オーバーライド』と呼ばれる能力。
これはパーメットスコア4以上となったガンダムのみが発動できる能力であり、その時点では対GUND-ARM技術に対するアンチドートを無効にできる能力だが、本領発揮するのはパーメットスコア6を超えた時。
パーメットスコア6へと到達したガンダムは、パーメットリンクを使用するすべての電子機器を停止させることが可能となる。
さらに、パーメットの最大到達点であるパーメットスコア8へと到達する事により、ガンダムはありとあらゆるパーメット機器を制御・支配をすることが可能。
言い換えれば、全てのモビルスーツを自分のGUNDビットとして扱えるようになってしまう、ガンダムシリーズでも屈指の強力な能力である。
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そして、このオーバーライドの能力により、エアリアル改修型の制御下におかれてしまったリクのガンダムダブルオーセイバーと、ユッキーのデュナメスロックオンマスター。
目を青く輝かせながら、GNドライブから青い粒子をまき散らす二機が、ユウのレインボーユニコーンガンダムとアユムのガンダムブレイブインパルスを見下ろす。
ユウとアユムが何が起きているのかわからずに戸惑っている隙に、ダブルオーセイバーがGNOOセイバーを構え、レインボーユニコーンに斬りかかってきた。
「リクくん!?」
とっさにシールドを左腕に構えて、レインボーユニコーンはダブルオーセイバーの攻撃を受け止める。
スナイパーライフルを右手で握り、それでダブルオーセイバーを撃つのではなく、鈍器のように薙ぎ払おうとすると、ダブルオーセイバー自ら攻撃が当たらない位置まで下がる。
その後ろからデュナメスロックオンマスターがGNホルスタービットを展開し、それでレインボーユニコーンを攻撃。
だが、ブレイブインパルスがレインボーユニコーンを守るためにソードファンネルを放ち、彼女へ降りかかる弾幕をすべてガードした。
「あ……焦ったぁ……!ありがとうアユム!」
『リクくん、ユキオくん、一体どうしちゃったの!?どうして急にユウちゃんを……。』
『お、俺にもわかんないよ!ダブルオーの制御が効かないんだ!!』
『ボクもだよ!2人とも、早く逃げて!!』
リクとユッキーの言葉に逆行するように、ダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターは攻撃を中断することなくレインボーユニコーンとブレイブインパルスへと襲い掛かっていった。
ダブルオーセイバーのGNOOセイバーをシールドで受け止め、スナイパーライフルを捨ててビームサーベルを引き抜くレインボーユニコーン。
なんとかダブルオーセイバーを傷つけないように薙ぎ払おうとするが、相手は世界トップランカーであるリクのガンプラ……小細工をして勝てるような相手ではない。
その隣では、GNピストルを二丁構えてブレイブインパルスを乱れ撃っているデュナメスロックオンマスター。
凄まじい早撃ちを繰り出すデュナメスロックオンマスターに対し、アユムはスキル『SEED』を発動し、ブレイブインパルスを巧みに操りすべての攻撃をかわし続ける。
かわし切れない攻撃はソードファンネルで弾くが、激しい弾幕の前にブレイブインパルスはおろか、ソードファンネルすら近づくことができない。
『たぶん、あのエアリアルがボクたちのガンプラを操ってるんだ!』
『狙いはまさか……。』
ユッキーの言葉を聞いて、リクの視線はレインボーユニコーンへ向いた。
正確にはレインボーユニコーンの中にいるユウへ。
バンシィ・ノワールの時といい、今回の事と言い、なぜこうもユウばかりが狙われるのか。
疑問に思ったが、今はダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターを止める事が先決だ。
再び斬り合うダブルオーセイバーとレインボーユニコーン……その時に、リクはユウとアユムへ向けて叫んだ。
『2人とも!!手加減しちゃダメだ!!』
「え、で、でも……。」
『やるんなら、俺たちを倒すつもりできてくれ!!俺たちだって、君たちとこんな形で戦いたくはない……だけど……頼む!俺たちを、止めてくれ!!』
「……わかった!行こう、アユム!」
『うん!』
『NT-D』
「レインボーユニコーンガンダム!!変身!!」
全身の装甲の切れ目から虹色の光があふれ、内部のフルサイコフレームが露出。
頭部の角が割れると、周りにシールドファンネルが3基飛び上がり、レインボーユニコーンはユニコーンモードからデストロイモードへと変身を遂げた。
デストロイモードとなった事で、より格闘戦への適正が上がり、ビームサーベルとビームトンファーの四刀流となったレインボーユニコーン。
GNOOセイバーの猛攻を受け止め、更にダブルオーセイバーへ向けて強烈な膝蹴りを叩き込んだ。
『ぐあああ!!』
「あ……ご、ごめん!」
『大丈夫!遠慮せずに来てくれ!!』
戦う意思のないリクの言葉に反し、ダブルオーセイバーは体勢を立て直して再びレインボーユニコーンへと斬りかかろうとする。
だが、レインボーユニコーンは呼び寄せたシールドファンネルを自分の前に展開し、ダブルオーセイバーの攻撃を完全に防いだ。
ダブルオーセイバーは確かに強力なガンプラではあるが、圧倒的な能力を使うことができるのは支援機のインフィニティライザーと合体したダブルオーインフィニティセイバーになった時。
ダブルオーセイバー単体での武装はGNOOセイバー以外無く、ダブルオーダイバーエースやダブルオースカイメビウスの時に装備していたような射撃武装は持っていない。
それに対するレインボーユニコーンは、シールドファンネルという強力な武装がある。
(いくら相手がダブルオーでも……絶対にリク君たちを止めて見せる!!)
一方、ブレイブインパルスとデュナメスロックオンマスターのバトルは、ブレイブインパルスの分が悪かった。
元々ブレイブインパルスは、性能自体はニジガクでも最強レベルで、アユムのパイロットとしての技能もかなり高い。
しかし、そんな彼女でも相性が悪い相手が存在する。
それは、遠距離戦に特化したモビルスーツ。
ファンネルやビットを駆使してくる相手は、得意とするレンジにソードファンネルが届くため、そこから相手の体勢を崩して攻めていける。
しかし、ユッキーのデュナメスロックオンマスターやエマのヴェルデブラストガンダムといった、アユムのレンジ範囲外から一撃で勝負を決めてくる相手にはめっぽう弱い。
ソードファンネル自体かなり射程範囲の広い武器ではあるが、そこからさらに外れた遠距離ともなると、ブレイブインパルスの索敵範囲からも外れてしまう為、そこから捲られてしまうと非常に対処が難しくなる。
今回の場合はそんなに広い範囲でのバトルではないためにそこまで目立った弱点というわけでは無いが、相手の攻撃がすべて射撃武器であり、なおかつソードファンネルを上回る数の弾幕を張れるGNホルスタービットを装備している。
それらを至る範囲から乱れ撃つ為、ソードファンネルで対処不可能な包囲からの攻撃を受けきれない。
『そ、ソードファンネル!ユキオくんのビットを狩って!』
『駄目だアユムちゃん!ホルスタービットの方が、ソードファンネルよりも早い!』
ユッキーが警告をするが、間に合わずにブレイブインパルスはデュナメスロックオンマスターの攻撃を防ぎきれず、右肩の左脚を撃ち抜かれた。
撃ち抜かれた箇所を優先的に守るためにソードファンネルを操るが、その隙をデュナメスロックオンマスターは見逃さず、今度は左肩と右ひざを撃ち抜いた。
『きゃあ!』
「アユム!大丈夫!?」
『ユウちゃんはダブルオーの方に集中してて!私は、大丈夫だから!』
左手で操縦桿を握り締め、右手でコクピットのモニターをなでるアユム。
目をつむり、ブレイブインパルスに語り掛ける。
『ごめんねインパルス、こんなバトルやりたくないよね……私もだよ……でも、大事なお友達が困ってるの。もう少しだけ、頑張って!エクシードバーストモード!!』
『X-SEED BURST』
全身のソードファンネルを展開し、そこからエネルギーを放出させることで、ブレイブインパルスはエクシードバーストモードへと移行。
デュナメスロックオンマスターの攻撃を全身から放つエネルギーによって打ち消した。
このモードとなったブレイブインパルスはモビルスーツの形をしたビームサーベルと化す。
よって、この姿ならばいくらデュナメスロックオンマスターの弾幕が多くても、近づいて戦う事ができる。
エネルギーを纏いながら、デュナメスロックオンマスターのすべての攻撃を弾き飛ばし、突き進むブレイブインパルス。
ユッキーも、これならばブレイブインパルスにも勝機があると、小さくガッツポーズをした。
だが次の瞬間、デュナメスロックオンマスターのコクピットのモニターに、とある表示が現れた。
『TRANS-AM』
猛スピードで突進してきたブレイブインパルスだったが、その攻撃はデュナメスロックオンマスターには当たらなかった。
その場にいたはずのデュナメスロックオンマスターの姿は消えており、気づいた時には、ブレイブインパルスの後ろにいた。
その機体を、赤く輝かせながら。
『と……トランザム……!?』
『よけろ!!アユムちゃん!!』
ユッキーが叫んだ時には、すでにブレイブインパルスの全身はデュナメスロックオンマスターのGNホルスタービットとGNピストルによる乱射で撃ち抜かれていた。
ただでさ致命傷となるレベルのダメージを一瞬で浴びせられた上に、エクシードバーストによる膨大なエネルギー負荷に耐えきれるはずもなく、ブレイブインパルスはその場に倒れこんだ。
カメラアイの光が消え、沈黙したブレイブインパルスからは、アユムの応答すらなかった。
「あ……アユム!!」
ダブルオーセイバーを押しのけ、レインボーユニコーンがブレイブインパルスへと駆け付けようとする。
『TRANS-AM』
しかし、その時にダブルオーセイバーもトランザムを発動し、レインボーユニコーンに先回りをして、彼女に回し蹴りを喰らわせた。
よろけて倒れるレインボーユニコーンへ、更にダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターが追い打ちをかける。
なんとかシールドファンネルでそれを防ぐが、2人のトップランカーの同時攻撃を防ぎきれるわけもなく、次々とシールドファンネルが破壊される。
立ち上がっても、ダブルオーセイバーがトランザムのスピードにのせてGNOOセイバーで斬りかかってきて、それを受け止めたビームサーベルも破壊された。
『くそっ……!とまれ!!とまってくれダブルオー!!』
リクの願いもむなしく、ダブルオーセイバーは止まらず、デュナメスロックオンマスターと共にレインボーユニコーンを追い詰める。
そして、ダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターが同時にレインボーユニコーンへ殴り掛かると、レインボーユニコーンはそれを両腕で受け止めた。
「こ……このままじゃ……!」
このままではレインボーユニコーンが倒されてしまう。
目をつむり、強く願うユウ。
すると、徐々にレインボーユニコーンのサイコフレームが光始めた。
「リクくん……サラちゃん……ユッキー……アユム……私の友達を……、」
『NT-D/AC』
「返せーーーーー!!」
次の瞬間、レインボーユニコーンの装甲がさらに展開し、デストロイモードからデストロイ・アンチェインドへと大変身を遂げた。
それと同時にサイコフレームが今までにないほどの輝きを見せ、ダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターを押し返す。
更にグッと拳を握り、力をため込んだレインボーユニコーンは、バッと腕を広げる。
すると全身のフルサイコフレームから虹色の輝きがあふれ出し、その光はダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターを包み込んだ。
『こ……この光は……!?』
『リっくん!!モニターを見て!!』
ユッキーに言われ、ダブルオーセイバーのモニターを見るリク。
先ほどまでエアリアル改修型にオーバーライドされていたダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターの制御権が、それぞれのパイロットに戻っていた。
『サイコミュ・ジャック……。』
サラがつぶやき、レインボーユニコーンを見つめた。
フルサイコフレーム機にニュータイプが搭乗した時のみ使う事のできるサイコミュ兵器を無力化する能力……『サイコミュ・ジャック』
この能力は、敵のファンネルなどの兵器を自分の支配下に置き、制御する事ができる。
この能力を使って、レインボーユニコーンはエアリアルにオーバーライドされたダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターの制御権を奪い取り、それをさらに各パイロットに返上したのだ。
力を使い果たし、ユニコーンモードへと戻ったレインボーユニコーンがその場に倒れそうになるが、それをダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスターが受け止めた。
「はぁ……はぁ……リクくん……ユッキー……良かった、元に戻ったんだね……。」
『あぁ!君のおかげだよユウ!』
『アユムちゃん!しっかりして!』
『うぅ……ごめんねインパルス……。』
何とか無事だったブレイブインパルスも救出した二機。
すると、その戦いを上空で見ていたエアリアル改修型が、彼らの前に降りてきた。
降りてきたエアリアル改修型を睨みつけ、リクとユッキーはユウとアユムを安全な場所まで運び、再び立ち上がる。
『あとは任せて、2人とも。』
『あいつはボクたちが倒す!!』
武器を構え、エアリアル改修型を見据えるダブルオーセイバーとデュナメスロックオンマスター。
エアリアル改修型も、全身のエスカッシャンを宙に浮かせながら、リクとユッキーに向き合った。
~にじビル毎回劇場~
第139回:猛暑日
かすみ「あっついです~~……。」
しずく「関東は今日は猛暑日らしいよ。」
璃奈「死ぬ……。」
栞子「しっかりしてください璃奈さん。」
かすみ「せっかく夏休みでしお子ん家集まったのに、なんでこの部屋エアコン無いの!?」
栞子「すいません。こたつはあるのですが……。」
かすみ「いらないよ!!」
栞子「あ、ではかき氷をおつくりします。今姉さんがバイクで出かけているので、シロップを買って来てもらうようにお願いしますね。」
しずかすりな「「「わーい!かき氷ー!」」」
栞子「えーっと……『かき氷のシロップを買ってきてください』……っと。メッセージ送信完了です。あ、もう返事がきました。15分もすれば帰ってくるそうなので、それに合わせるように用意しますね。」
~間~
薫子「ただいまー!栞子ー、頼まれてたやつ買ってきたよー。」
栞子「ありがとうございます姉さん!姉さんの分もおつくりしますね。」
薫子「あー……あたしはいいや。ちょっとあたし友達んとこ行ってくるね。んじゃ。」
栞子「? はい、いってらっしゃい。」
璃奈「栞子ちゃん、薫子先生帰ってきた?」
栞子「はい!ではさっそくかき氷を作りますね!」
しずく「あれ?なんかそのシロップの色おかしくない?」
栞子「え?」
かすみ「えーっと……ハバネロ味ぃ!?なにこれぇ!?他にもある……焼きそば味にたこ焼き味、それと、水味!?変な味ばっかりなんだけど!!」
栞子「な、なんですかこれぇ!!もう!ねえさーーーーーん!!」
薫子「だって面白そうなシロップあったら買いたくなっちゃうじゃん。」