ヴィーナスフォートを後にしたリク達は、ひとまずユニコーンガンダム立像の前までやって来た。
ユニコーンガンダムの全身にグルグルに巻き付けられたチェーンや、周りに厳重に張り巡らさせたバリゲート、そしてガンフェス前から建てられていた看板には『この度、ユニコーンガンダムのイベントは中止とさせていただくことになりました。』の文字が書かれている。
以前にバンシィ・ノワールがユニコーンガンダムを動かし、虹ヶ咲学園を狙おうとした時の事を顧みて、一般客が近づかないようにしているようだ。
「仕方ないけど、やっぱりユニコーンのイベント中止になってるね。」
「……やっぱダメだ。コーイチさんにも連絡がつかない。やっぱりキョウヤさんと一緒にいるのかな……。」
『…………。』
「サラ、どうしたの?」
『わからない……わからないけど、妙な胸騒ぎがして落ち着かないの……。』
『姉さんもですか?』
「メイもそうなの?」
リクの肩に乗っていたサラと、ヒナタのポシェットから顔を出していたメイが顔を見合わせ、2人の視線は車椅子に乗ったマリナの膝の上に立っているバンシィ・ノワールへと向けられた。
彼も2人と一緒に首を縦に振り、ユニコーンガンダム立像を見上げる。
『サラとメイも感じているという事は、おそらくELダイバー全員がこの違和感を覚えているだろう。あんな事をした俺が言うのもおかしいが、このまま何もなければいいのだが……。』
「だ、大丈夫だよノワール。きっとただの気のせいだよ。」
「そうよ!もっと楽しい気分になりましょ!そろそろランジュお腹が空いたわ!皆で何か美味しい物でも食べに行きましょうよ!お肉とか!!」
「鐘、俺の知ってる限りだとお前は肉を食べているところしか見た事無いんだが……野菜もちゃんと食べろ。」
「食べたくないわ!!」
確かにそろそろ昼食時だ。
そう思っていると、侑のスマホに連絡があり、しばらくすると侑達の所へやってくる人影が見えた。
「せんぱーーーーーい!!」
「皆もう揃ってるのね。」
「かすみちゃん達と果林さん達だ!」
1年生組と3年生組も侑達に合流してきた。
3年生組と一緒にいた遥たち東雲のスクールアイドル達はペコリと挨拶をして、1年生組と一緒にいたミオはミアを見かけるとミアの下へと駆け寄っていった。
「かすみちゃん達は何してたの?」
「そうそう!聞いてくださいよ先輩!かすみん達、皆でGVBで遊んでたんですけど、急にエラーとかで動かなくなっちゃったんですよ!」
「スタッフの方々や璃奈さんにも見てもらったんですが原因がわからず、ひとまず戻って来たんです。」
「エラー……?」
「かすみちゃん達もなの?実は私たちもなんだよ。」
「エマ先輩たちもですか?」
「皆でね、GBNをやろうかなって思ってログインしてみたんだけど、接続障害で入れなかったんだよ。」
「えぇ!?」
直感で侑は嫌な予感がした。
彼女だけでなく、ELダイバーのサラ、メイ、バンシィ・ノワールも同じように感じている。
昨日のことと言い、GBNを中心に、ガンプラバトルの世界で何かが起きている。
胸に手を当てながら、彼女はその場にそり立つユニコーンガンダム立像を見上げた。
~~
一方その頃、GBNのユニコーンガンダム立像内のディメンションでは、アナザーノワールとエアリアル改修型、そして3機の最強アストレイを相手に、チャンピオン クジョウ・キョウヤはTRYAGEマグナムを駆り一人戦っていた。
一緒に戦っていたメイジン・カワグチのトランジェントも、コーイチとアンシュのロードアストレイもすでに戦える状態ではない。
味方だった最強アストレイもエアリアル改修型のオーバーライドにより敵側へと寝返ってしまった。
しかし、キョウヤは決して焦らず、慌てない。
戦場では決して焦りは禁物だ。
トライスラッシュブレイドを構えると、両肩のTRYファンネルも分離し、TRYAGEマグナムの周りへ浮かぶ。
それに対し、エアリアル改修型は自分の兵士と化したレッドドラゴン、ブルーフレームD、天ミナの3機をTRYAGEマグナムへと向かわせた。
それぞれ別々の方向から攻撃を繰り出し、更に上下からはエアリアル改修型のエスカッシャンによるビーム攻撃もTRYAGEマグナムを狙ってくる。
『この程度の攻撃など!!』
そう叫んだキョウヤは、TRYファンネルを上下に配置し、それでエアリアル改修型のエスカッシャンのビーム攻撃をすべて防ぐ。
更にトライスラッシュブレイドを大きく振り回し、別々の方向から襲ってきたアストレイ達を一撃で一刀両断してしまった。
その一撃により、レッドドラゴンは右半身、ブルーフレームDは下半身、天ミナは左腕を失い、全員同じ方向へと吹っ飛ばされた。
『TRYAGE SYSTEM』
TRYAGEマグナムのモニターにそう表示されると、キョウヤはTRYAGEマグナムの必殺技発動体制に入る。
彼が捉えた目線の先には、3機のアストレイと、アナザーノワールがいる。
全てに決着をつけるために、GBN最強の男は、最強の必殺技を彼らに向けて放った。
『見るがいい!!これが、GBNの頂点に立つ男の、本気の一撃だ!!ドロぉおおおおお!!!』
『TRYAGEGUNDAM』
キョウヤが発動したGBN最強システム『トライエイジシステム』は、ドローしたカードにより様々な効果を発動する。
そして彼が今ドローしたカードは、そのトライエイジシステムの中でも最強のカード『トライエイジガンダム』のカード。
トライスラッシュブレイドの刀身にトライエイジガンダムのカードが出現すると、TRYAGEガンダムの周りに4機のガンダムが現れた。
ガンダムAGE-1
ガンダムAGE-2
ガンダムAGE-3
ガンダムAGE-FX
『機動戦士ガンダムAGE』の歴代の主役機達だ。
それぞれのガンダム達が専用のドッズライフルを構え、それと同時にTRYAGEマグナムもトライスラッシュブレイドを振り上げる。
更にTRYAGEマグナムの姿に、トライエイジガンダムの姿が重なると、トライスラッシュブレイドの刀身が凄まじいエネルギーを帯びて全長50メートルほどまで伸びた。
『はああああああああ!!!』
キョウヤの叫びと共に、ガンダム達はドッズライフルの引き金を引き、TRYAGEマグナムはトライスラッシュブレイドを振り下ろし、最強の必殺技『TRYAGEマグナム・エタニティシューティング』を発動した。
振り下ろした時の衝撃だけで周りのスペースデブリは跡形も無く消滅し、攻撃の範囲外にいたはずのエアリアル改修型もあまりの衝撃に吹っ飛ばされてしまう。
当然のごとくこの一撃の直撃を受けたアストレイ達は塵一つ残さず粉々に砕け散る。
アストレイ達を葬り去ったTRYAGEマグナムの攻撃はそのままアナザーノワールへと直撃し、彼の機体をエネルギーの塊で飲み込んだ。
『や、やったか!?』
巨大な爆発を巻き起こすアストレイ達やアナザーノワールを見て、機能停止したトランジェントの中からカワグチが叫んだ。
徐々に爆炎が晴れてきて、そこにはアストレイ達の姿は無かった。
跡形も無く消し飛んだ為、それは当然。
しかし、次に目に飛び込んできた光景を見て、キョウヤとカワグチは言葉を失った。
『む……無傷……だと……!?』
そこにいたのは、GBN最強の必殺技を受けて、傷一つついていないアナザーノワールの姿だった。
今までこの攻撃を受けて耐えた者など皆無だった。
どんなガンプラであろうとも、TRYAGEマグナムの必殺技を受ければ一撃で戦闘不能になっていた……GBN最強とは、それほどの強さだ。
しかし、目の前にいるアナザーノワールは、耐えたどころか傷一つついていない。
『馬鹿な!!あ、ありえない!!キョウヤの攻撃を無傷で耐えきるなど……!!』
『……………。』
『クジョウ・キョウヤ……GBN最強の男も、この程度か……。』
『……君は……一体何がしたいんだ……?』
思わず、キョウヤはアナザーノワールに尋ねた。
アナザーノワールが手をかざすと、そこにはユニコーンガンダム立像の映像ともう一つ、虹ヶ咲学園の映像が映し出された。
この二つを見て、キョウヤは侑やカツラギから聞いていた、バンシィ・ノワールの当初の目的を思い出して顔から血の気が引いた。
『我々は、我々の世界を脅かす、お前たち人間を許さない。』
『世界を脅かす……?どういう事だ!!』
『そうか……。君も、バンシィ・ノワールと同じ、ELダイバー……いや、違うな……君は……!』
『そうだ。我々は、このGBNで命を落とした、全てのELダイバーの思念の集合体。我々はもはや、バンシィ・ノワールが生み出した奴の現身『アナザーノワール』にあらず。我々は、このGBNという世界を我々の世界にすべく生まれたGBNの神……『ガンダムELダイバー』』
アナザーノワール……ガンダムELダイバーはそう言って自分の胸に手を当てた。
このGBNには、多数のELダイバーが存在しており、現在確認されているELダイバーは全員、コーイチとアンシュの勤めている『ELバースセンター』で登録され、保護されている。
しかし、それはあくまで確認されているELダイバーだけであり、当然確認されていないELダイバーだって無数に存在する。
ある日突然、突発的に生まれるELダイバーは、誰にも知られずにこの世に生まれ、誰にも知られずに死んでいく存在となる者も少なくない。
そして、このガンダムELダイバーは、そんな死んでいったELダイバーの思念が集まり生まれた。
元はバンシィ・ノワールのデータから生まれたアナザーノワールが、ELダイバーたちの怨念を吸収して進化した、自分たちを見殺しにしてきた人間たちへの『大嫌い』がガンダムの姿へと生まれ変わった存在。
『我々は、我々を脅かす存在である人間を許さない。その第一歩として、我々は、我々を生み出したバンシィ・ノワールの『大嫌い』を実行する事を決めた。』
『ユニコーンガンダムで……虹ヶ咲学園を襲うというのか!?』
『ふざけるな!!そんな事は絶対にさせない!!』
再びTRYAGEマグナムがトライスラッシュブレイドを握り締め、ガンダムELダイバーへと斬りかかっていった。
ELダイバーを守るため、TRYAGEマグナムとELダイバーの間にエアリアル改修型が割って入り、エスカッシャンを合体させたシールドでキョウヤの攻撃を防ぐ。
そして、ELダイバーはヒートロッドを手に取ると、それをまっすぐ伸ばし、TRYAGEマグナムの胸部を貫いた。
『ぐあああああ!!!』
『きょ、キョウヤ!!』
TRYAGEマグナムに致命的なダメージを与えた者は、いまだかつて存在しない。
あのリクやメイジンでもできなかった事を、ELダイバーはいとも簡単にやり遂げてしまった。
そしてTRYAGEマグナムの胸ぐらをつかむと、まるで子供が昆虫の手足をむしるように、TRYAGEマグナムの四肢を無理やり引きちぎってしまった。
『GBN最強の戦士、これでお前はもう、戦えない。』
カワグチが叫んでも、TRYAGEマグナムからのキョウヤの返事はない。
世界トップレベルのファイター、キョウヤとカワグチが戦っても、このガンダムELダイバーには手も足も出なかった。
ELダイバーはキョウヤ達には全く興味を示さず、くるっと後ろを振り返る。
しかし、次に聞こえた音はさすがに無視できず、再び振り返った。
「『まだ、終わってなーーーーーーい!!!!』」
『!! あ、アークエンジェル!!』
彼らが見た先にあったのは、ELダイバーへ向けて突撃してくる、アークエンジェルの姿だった。
先ほどアストレイ達に倒されたコーイチとアンシュがアークエンジェルに乗り込み、そのまま突撃を仕掛けてきたのだ。
アークエンジェルには、GBNのデータをディメンションごと破壊するプログラムが仕込まれている。
これが、ELダイバーを倒す最後のチャンスとなる。
『コーイチ!!絶対に外すんじゃねぇぞ!!』
「わかってるよ!!あいつは……倒さなくちゃダメだ!!」
『愚かな……。』
これほど巨大な戦艦ともなると、エアリアル改修型ではオーバーライド出来ない。
ELダイバーは今度はエアリアル改修型に防御はさせず、自らの手を前に出し、真正面からアークエンジェルと対峙した。
アークエンジェルほどの質量を持つ戦艦の突撃ともなると、単純な破壊力だけならTRYAGEマグナムの必殺技をも上回る。
そのアークエンジェルの突撃に対し、なんとELダイバーは、真正面から受け止めた。
『なんだと!?』
「と、止められた!?」
『我々の世界を脅かす兵器……存在を許すわけにはいかない。』
そう呟くと、ELダイバーはヒートロッドをアークエンジェルの全長とほぼ同じ長さまで伸ばし、そのままアークエンジェルを真っ二つに切り裂いてしまった。
巨大な爆発を引き起こし、消滅したアークエンジェル……コーイチとアンシュの2人は、宇宙空間へと投げ出されてしまう。
「うわぁああ!?」
『コーイチ!!メイジンとチャンピオンのガンプラに掴まれ!!』
コーイチはTRYAGEマグナム、アンシュはトランジェントに掴まり、なんとか事なきを得たが、ついに最終手段のアークエンジェルまで失ってしまった。
ELダイバーは再び彼らへの興味を失い、彼らに背を向けると目的の最終段階の実行に取り掛かる。
そのELダイバーに対し、なんとか声を振り絞ったキョウヤが、ELダイバーへと言った。
『……まだだ……。』
『なに?』
『まだ……ボク達には希望が残されている……リクくん……ヒロト……それに、あの子たちが……必ずお前を止めてくれる……。』
『無理だ。』
『いいや無理じゃない……世代は移り変わるものさ……ボク達に出来なかった事を、あの子たちなら必ずやり遂げてくれる……。ボクは、そう信じている……!』
『くだらない。』
キョウヤを一瞥し、ELダイバーは自分とユニコーンガンダム立像のディメンションをつなげる。
バンシィ・ノワールが組み立て、レインボーユニコーンとの戦いの後に自ら破壊したプログラムを修復し、より最適な形へと組み替えていく。
そして、ユニコーンガンダム立像とのリンクが完全に完了すると、ELダイバーは両手を広げた。
その姿を見てコーイチは叫ぶが、ELダイバーは無情にも、リンクしたプログラムを実行に移した。
「や……やめろーーーーーー!!!」
『ユニコーンガンダム、起動。』
~~
『いやああああ!!!』
「!? さ、サラ!?どうしたの!?」
『こ……これは……。』
「メイ!?」
突然、サラとメイが頭を抱えて蹲った。
2人の中へと流れ込んでくる、とてつもない悪意の波動。
それはバンシィ・ノワールも同じようで、2人と同じように膝をついた。
「ノワール……だ、大丈夫!?」
『これほどの悪意……間違いない……奴だ……アナザー……ノワール……!!』
「アナザーノワールって、私が戦ってたあの大きいやつだよね?どうして……。」
「ゆ、侑ちゃん!!見て!!上!!」
「上……?」
歩夢に言われた侑が見上げると、そこにはいつも通り等身大のユニコーンガンダムがあった。
しかし、どこか様子がおかしい。
ユニコーンガンダムを縛り付けていた鎖がギチギチと音を立て、今にも壊れそうだ。
更に、ユニコーンの目が光ると、徐々に鎖から鈍い音が鳴りはじめ、やがて引きちぎられていく。
自由になった腕を振り上げ、拳を握ったユニコーンは、今度は両足を縛り付けている鎖を破壊する。
「うそ……な……なんで……。」
全身の自由を取り戻したユニコーンは、バリゲートを破壊しながら、長年の沈黙を破り、その大きな一歩を踏み出した。
「ユニコーンガンダムが……動いた……。」
~にじビル毎回劇場~
第146回:寒暖差で風邪ひく
かすみ「寒い!!!!」
しずく「当たり前だよ。もう11月も終わりだよ?」
璃奈「寒いのは当然。璃奈ちゃんボード『ガクブル』」
栞子「お味噌汁飲みますか?私、耐熱ボトルに入れて持ってきてるんです。」
かすみ「いや11月なんだから寒いのはわかるよ?でも2週間ぐらい前までは半袖でも大丈夫なぐらいあったかかったじゃん!急に寒くなりすぎだよ!!」
璃奈「確かにそれはそう。今年は特に寒くなるの遅かった。」
しずく「10月中旬ぐらいまではむしろ暑かったもんね。」
栞子「お味噌汁飲みますか?」
かすみ「秋は!?秋はどこ行ったの!?ちょっと肌寒いぐらいがちょうどよかったのに!!」
しずく「暑いか寒いかしかなかったから知らない間に秋終わっちゃってたよね。今年は紅葉狩りも焼き芋もしてないなぁ。」
栞子「そうですね。お味噌汁飲みますか?」
璃奈「じゃあ今からやろう。紅葉狩りとか焼き芋とか。同好会の皆も誘って。」
しずく「わぁ!璃奈さんそれすごくいいね!」
かすみ「じゃあさっそく皆に声かけようよ!あ、焚火するなら大人の人いた方がいいよね?せっかくならGBNの皆にも声かけちゃお~っと。」
璃奈「とっても楽しみ!璃奈ちゃんボード『にっこりん』」
栞子「お味噌汁……飲みませんか?」