ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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復活のマスダイバー

虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は基本的に10人がソロで活動をしている。

しかし、最近入部した栞子以外の9人には、それとは別にユニット活動も行っている。

 

 

歩夢、しずく、せつ菜の3人は『A・ZU・NA』

 

かすみ、璃奈、彼方、エマの4人は『QU4RTZ』

 

果林、愛の2人は『DiverDiva』

 

 

来週に控えた校内ライブを目前に、最近ではユニット活動に力を入れている。

歩夢達とかすみ達は、ユニットの練習の後にそのままGBNでガンプラバトルの練習も。

当然ながら、DiverDivaの2人も練習に明け暮れ、お昼休みの間も練習を欠かさない。

今日この日も、愛と果林は屋上で振り付けの練習をしていた。

 

 

「1、2、3、4!1、2、3、4!はい、そこまで!」

「フー……うへぇ、メッチャ疲れたぁ!」

「お疲れ様、愛。サビの振り付けはもう完璧ね。」

「果林のアドバイスのおかげだよ!愛さん、こういう大人っぽい振りとか全然やった事無かったから、今度のライブで披露するのメッチャ楽しみ!」

「私と愛の曲って、タイプが全然違うものね。」

「ゆうゆが『二人の振り付け混ぜちゃおう!』とか言い出した時はどうなるかと思ったけど、やってみるとメッチャ楽しいね!」

「ライブに浮かれるのもいいけど、その後にはフォース戦も控えてるってこと忘れちゃダメよ?」

「覚えてるよー!忘れるわけ無いじゃん!絶対スタメンで出るよ!」

「フフ、じゃあお昼休みの練習はこれぐらいにして、そろそろ教室へ戻りましょうか。」

 

 

後は放課後にもう一度練習をしたら、その後はガンダムベースへ行ってGBNの特訓。

最近果林はシーサイドベースのガンダムベースがお気に入りで、週に2回は行っている。

ヒナタともずいぶん仲良くなり、何度か一緒にGBNをプレイもした。

今日は愛も一緒に行く約束をしていて、彼方や果林からヒナタとヒロトの事を聞いていた愛は放課後を楽しみにしていた。

 

「新しい友達が出来るって考えるとワクワクするよね!」

「ヒナタちゃんもヒロトくんも凄くいい人よ。あ、でもヒロトくんにあんまりちょっかい出しちゃダメよ?馬に蹴られるから。」

「馬……?今度のフォース戦の相手って、そのヒロトって人たちのフォースにマサくんが入るんだよね?ヒナタちゃんって子はガンプラバトルやってないの?」

「そうみたい。あの子、ヒロトくんを応援するためにGBNをやってるんですって。健気よねぇ……応援したくなっちゃうわ!」

「今の果林、すごくおばさんっぽいけど大丈夫?」

「お黙り。」

 

愛の頬を抓りながら、ヒナタへメッセージを送る。

愛がとても楽しみにしている旨を伝えたら、ヒナタの方も楽しみにしてくれていると返ってきた。

今度の校内ライブにも来てくれる約束だ。

 

 

「ウフフ♪ヒナタちゃん、ライブも見に来てくれるんですって!GBNを通じてスクールアイドルのファンが増えるって、いいわよね。」

「そうだねー……って、果林前!!」

「え?」

 

 

 

 

 

 

~~

 

 

「愛ちゃん!!」

 

 

昼休みが終わり、午後の授業が始まった時間だというのに、侑をはじめとした同好会メンバー全員が保健室に乗り込んできた。

そこには、足に包帯をグルグル巻きにされた愛と、その隣で項垂れる果林。

何があったのか璃奈が聞くと、果林が事情を説明してくれた。

 

屋上での練習を終えて、教室に戻ろうとした二人。

ヒナタとのメールに夢中になっていた果林だったが、前方不注意で階段から足を踏み外してしまった。

それを助け、身代わりになった愛が代わりに階段から落ち、右足を強く捻ってしまった。

 

 

「ごめんなさい愛……私のせいで……。」

「いいよいいよ!アタシが勝手にやった事だから果林は気にしないで!」

「でも来週にはライブが……!」

「保健の先生も、安静にしてればライブには間に合うって言ってたじゃん!歩けないわけじゃ無いし、全然大丈夫だって!」

「愛さん、大怪我じゃなくてよかったけど……本当に大丈夫なの?」

「心配してくれてサンキューりなりー!ホントのホントに大丈夫!」

 

 

骨に異常は無い、ただの捻挫らしい。

ただ念のために、今日の同好会の練習はそのまま無しになった。

愛の事2年生組が情報処理学科の教室まで連れて行ってくれる事になり、1年生の事も教室へ帰すと、保健室には3年生だけが取り残された。

 

 

「果林ちゃん、教室戻ろうよ。」

「えぇ……すぐ戻るわ……。」

「愛ちゃんの事、あんまり気に病まないでね?」

「無理よ……だって、ホントはああなってたのは私のはずだったのに……。」

「そんな事言っちゃダメだよ~。愛ちゃんかなしんじゃうよ?」

「ほら、果林ちゃん立てる?教室まで私たちが付いて行ってあげるから。」

「ありがとうエマ、彼方……。」

 

 

エマと彼方の手を借り、果林は自分の教室へと戻っていった。

エマは国際交流学科のため、同じくライフデザイン学科の彼方が教室まで一緒に入り教師に事情説明をしてくれたが、その間も果林は愛の事が気になって、授業も全く頭に入らなかった。

 

 

 

 

~~

 

放課後になり、同好会は愛の怪我の事もありその日は解散になった。

本当なら今日は練習後にシーサイドベースまで愛と遊びに行く予定だったが、当然そんな事出来るわけない。

愛の事が心配になった果林は情報処理学科2年の教室まで彼女を迎えに行った。

果林はスクールアイドルだけでなく読者モデルもしているため、自然と生徒たちの視線を集めやすい。

自分に集まる生徒たちを払いのけると、果林は愛の席まで来た。

同好会2年生のメンバーも愛の席に集まっていた。

 

「おっ、果林!おっつー!」

「愛……足は大丈夫……じゃ、無いわよね……。」

「だから平気だって言ってんじゃん!それより今、せっつーに聞いたんだけど、練習無くなったの?ごめんね、アタシのせいで……、」

「愛のせいじゃないじゃない!」

「果林さん、落ち着いて。愛ちゃん、立てる?私たち、家まで送るよ。」

「あー、ごめんゆうゆ。今日果林と約束あるんだよね。ってなわけで、行こっか果林!」

「ば……バカな事言わないの!安静にって言われたでしょ!ヒナタちゃん達には私から連絡するから、今日はもう帰りなさい。」

「えー!楽しみにしてたのに……。」

「うっ……。」

 

愛の怪我は自分のせい。

出来る事なら、愛のお願いは叶えてあげたい。

しかし、シーサイドベースは怪我人を連れて行くには遠すぎる。

すると、愛が何かをひらめき、それを果林に提案した。

 

 

「じゃあ、ダイバーシティの方に行こうよ!あそこなら近いし、バスですぐっしょ!」

「だから遊びには……、」

「ダメぇ……?」

「そ、その目は卑怯でしょ……愛……。」

 

 

仕方なく、愛を連れてダイバーシティのガンダムベースへ行く事になった。

侑、歩夢、せつ菜も行くと言ったが、愛が気を使わないでほしいと言ったため、3人はそのまま帰宅した。

 

 

 

 

 

~~

 

その頃、3年生で大会も終わり、すでに部活を引退していたヒナタはヒロトと共にシーサイドベースに来ていた。

今日は果林がスクールアイドルの仲間を連れてくると言っていたのだが、諸事情により行けなくなってしまったというメールが届いていた。

ヒロトとヒナタは心配で顔を見合わせると、そこへ車椅子に乗ったパトリックと、彼らの仲間でありBUILD DiVERSのリーダーでもある小柄の少年が、パトリックの車椅子を押しながらやって来た。

 

 

「よーうお二人さん!お疲れー!」

「こんにちわ、ヒロトさん、ヒナタさん。」

「あぁ、カザミ、パル。」

「二人ともいらっしゃいませ。」

「? ヒナタ元気無くね?ヒロト、お前何かしたのか?」

「人聞きの悪い事言うな。」

 

 

カザミと呼ばれた少年に、ムスッとした表情で返したヒロト。

ヒナタが事情を説明すると、カザミとパトリックもうなずいた。

 

 

「友達が怪我して来れないって、それじゃ仕方ねーよな。」

「その果林さんという方と愛さんという方、しずくさんのお友達なんですよね?心配ですね……。」

「どうしようかヒロト。今日は二人に果林ちゃんを紹介したかったのに……。」

「こうして集まったんだ。メイも誘ってエルドラに行くっていう手もあるけど。」

「んー……それもいいんだけどよぉ、せっかくならたまにはリアルでしか出来ない事とかやりたくねぇ?」

「リアルでしか出来ない……ですか?」

「そうそう!カラオケとか、ゲーセンとか!」

「あ、それいいね!私は賛成!」

「僕もです!」

「皆がいいなら俺も。じゃあ、メイとマサキにも声を掛けてみよう。」

「おう!よろしく頼むぜヒロト!」

 

 

 

 

 

~~

 

 

愛と共にダイバーシティのガンダムベースにやってきた果林。

ここまで果林が愛に肩を貸してなんとか来れたが、足に包帯を巻いた彼女を見て、モモカが驚いた。

 

「いらっしゃいまー……って愛ちゃん!?どうしたのその足!?大丈夫!?」

「やっほーモモっち!いやー、愛さんちょっと転んじゃって。」

「ホントにガンプラバトルするの……?帰った方がいいと思うのだけれど……。」

「ここまで来てそういうの無しだよ果林!ほら、行こう!」

「しょうがないわね。」

 

モモカが手を貸してくれて、愛は無事にGBNの筐体まで辿り着くことが出来た。

隣に果林も座り、二人はダイバーギアとそれぞれの愛機をセット。

愛はSDガンダムの『愛参頑駄無』、果林は『キュベレイ・ビューティー』だ。

 

『ID data convert Please scan your Gunpla』

 

 

 

 

 

~~

 

 

ログインした二人……アイはロビーの中で走り回った。

このGBNでなら、怪我をしたアイも自由に動き回ることが出来る。

もしかしたらアイは、元気な姿を見せてカリンを安心させたかったのかもしれない。

 

「アイ……私……、」

「ねぇねぇカリン、どのミッションやる?」

「え?そ、そうね……アイはどれがいい?」

「迷うなー。この辺のミッションはりなりーとやったし、こっちはこの間アユム達と……アハハ、アイさん達のランクで出来るヤツはもう結構やってるね。カリンはどう?最近。」

「私はエマとカナタとやりこんでるわよ。」

「カリン達めちゃ強だもんね。どーれーにしよーかなー?」

 

アイがミッションを選ぶが、どれもやりたくて目移りしてしまう。

そんな時、彼女たちの隣から、ミッションを選んでいるであろうダイバー達の声が聞こえた。

短髪の関西弁のダイバーと、長髪で穏やかな口調のダイバーだった。

 

 

 

「えぇ!?このミッション、二人じゃ行けへんの!?」

「どうしようかアーク君。俺たち、今日はこのミッションやるって決めたのに。」

「嘘やろ~……しゃあない。あと二人呼ぶしかあらへんな~……オノコ辺りに声かけてみるか。ん?」

 

 

 

隣にいたダイバー達と、偶然目があったアイとカリン。

すると彼らは二人に近づき、短髪の関西弁のダイバーが声を掛けてきた。

 

 

「なぁアンタら、ミッション決められへんの?」

「それがなにか?」

「もしよかったら、俺たちと一緒にミッションやらないか?」

「実はやろう思うとったミッションが4人以上限定でなぁ。力貸してほしいんや。」

「だ、そうよ。どうするアイ?」

「いいじゃん!新しい友達出来るの嬉しいし、アイさん大賛成!『あいさん』だけに!アハハハ!」

「なんやおもろい子やなぁ!俺、アーク!こっちは相棒のゼン君や!」

「アタシはアイだよ。こっちは友達のカリン!」

「よろしく、アイちゃん、カリンちゃん。」

 

 

ゼン、アークと握手をしたアイとカリン。

二人が受付していたミッション内容を確認。

内容は、ハードコアディメンション『ヴァルガ』でのコレクトミッション

ヴァルガには、ルナチタニウムという水晶がいたるところに生えており、今回はその中でも特に希少とされる紺色とオレンジが混じったルナチタニウムの採集。

意気揚々と飛び出していったアイ、その後ろを、カリン、ゼン、アークは着いて行った。

 

 

 

 

 

~~

 

カタパルトから飛び出し、ヴァルガへのワープゲートへと向かう4人。

 

アークの機体は『機動武闘伝Gガンダム』の主役機シャイニングガンダムの改造機『ガンダムシャイニングブレイク』

ゼンの機体は『ガンダム Gのレコンギスタ』の主役機G-セルフの改造機『G-エルス』だ。

 

「アーくんとゼンゼンのガンプラかっこいいね!」

『アーくん……?』

『ゼンゼンってもしかして、俺の事?』

『ごめんなさい二人とも。この子、人にあだ名つけるの大好きなのよ。』

『あだ名かぁ!あんまあだ名で呼ばれた事無いけど、結構嬉しいもんやな!なぁゼン君!』

『そうだねアーク君。』

「ねぇねぇ。ところでコレ、コレクトミッションなんだよね?どうして4人も必要なの?」

『今から行く『ヴァルガ』っていうのは、ハードコアディメンションって言って、上級者用エリアなんだ。』

 

 

ハードコアディメンションとは、本来ルールによって決められたフリーバトルの制限が外れたディメンションの事。

不正ツールやハッキングによって通常ディメンションでも奇襲を行う者もいるが、このヴァルガでは、全てのダイバーがルールに縛られないバトルを公式の許可の下行うことができる。

その為、ただのコレクトミッションにもかかわらずに難易度はCランクが最低ラインであり、討伐ミッションや連戦ミッションになると最低Bランク以上となる。

 

 

『なるほど……4人必要な理由はわかったけれど、あなた達はどうしてわざわざこのミッションを受けたの?』

『まぁ、俺らにも色々あるんや。』

『私たちに教えられないの?』

『到着したら話すよ。ほら、そろそろワープゲートが見えてきたよ。』

 

 

ゼンがそう言って、正面を見たカリンとアイ。

ヴァルガへの直通ゲートをくぐると、4人はハードコアディメンションへと突入して行った。

 

 

 

 

~~

 

ハードコアディメンション『ヴァルガ』は、巨大な水晶の山が連なるエリア。

広さ自体はそうでも無いが、実際の移動となると目の前にそびえ立つ巨山を登らなければならない。

飛んで行こうにも、山から生えている巨大な水晶が障害となり、うまく飛べないのだ。

到着するや否や、ゼンとアークはガンプラから降り、二人で何か相談をしていた。

カリンとアイも一度ガンプラから降りると、ミッション内容を確認。

 

「目撃情報があったんはここから南の方やな。」

「でも、本当にいるのかな?」

「嘘なら嘘なのに越したこと無いやろ。それともゼン君は噂が本当であってほしいんか?」

「まさか。今日は連れもいるんだし、いない事を祈るよ。」

 

 

「あの二人……何の相談してるのかしら?」

「ここからじゃよく聞こえないね。」

「そうね。とにかく、早いところミッションを達成して帰りましょう。あなただって、早く家に帰らないといけないじゃない。」

「カリン、あんまりアタシに気使わないでよ。別に足の事はカリンのせいじゃ無くてアタシが勝手に……。」

「べ、別に気を使ってるわけじゃないわよ!それに、あなたの足はどう考えてもアイのせいじゃ無いし……。」

「でも!」

 

 

「話終わったで。」

「どうした?揉めているのか?」

 

 

アイとカリンが口論になりそうだった所に、相談を終えたゼンとアークが戻ってきた。

カリンとアイの様子を見て、ゼンとアークが顔を合わせると、頭を掻きながら二人に提案をした。

 

 

「なぁ、せっかくなら二手に分かれないか?その方が効率もいいだろ?」

「えぇ、それは構わないけれど……。」

「アイさんも、別にいいけど……。」

「決まりや!んじゃ、俺とカリンちゃん、ゼン君とアイちゃんで一チームな。ほな、行こうかカリンちゃん!」

「わ、わかったわ。」

 

 

シャイニングブレイクとキュベレイ・ビューティーに乗り込むと、アークとカリンは山を登り始めた。

残されたゼンは、顔を俯かせたアイと少し気まずそうにするが、思い切って聞いてみた。

 

 

「何かあったの?」

「え?ううん!何でもない何でもない!ほら、行こうよゼンゼン!」

「……………。」

「な、なに?あんま近くで顔見られると、アイさんでも恥ずかしいんだけど……。」

「嘘ついてるでしょ。」

「な、何のこと!?アイさんわかんないなー!」

「わかるよ。君のその顔、昔の俺に似てるよ。」

 

 

アークがしつこく質問をしてくるので、とうとうアイは折れた。

シャイニングブレイクとキュベレイ・ビューティーの姿が見えなくなると、ゼンとアイは近くの水晶に腰かける。

 

「実はさ……カリンとは同じ部活の友達なんだけど……アタシの不注意で、ちょっと今気まずくなってて……。」

「聞かせてくれる?」

「カリンが階段から落ちそうになってさ、アタシがカリンに手を貸したら、間違えてそのままアタシが階段から落ちちゃって……それでカリンがそのことを凄く気にしてんの。いつもだったら全然平気だったのに、今日は練習の疲れもあってか足を滑らせちゃって……。」

「カリンちゃんの事、怒ってるの?」

「そんなわけ無いじゃん!でも……カリンに気を使わせるの、嫌なんだよ……。気分転換に今日も誘ったけど全然乗り気じゃないし……。」

「ねぇ、アイちゃん、コレ見てくれる?」

 

ゼンはコンソールパネルを開いてデカールの様な物をアイテム欄から取り出すと、それをアイに見せた。

 

 

「?」

「アイちゃんは、『ブレイクデカール』って知ってる?」

「ううん、知らない。」

「簡単に言えば、ガンプラのステータスをGBNではありえないぐらい引き上げる不正ツールなんだ。努力なんかしなくても簡単に強くなれるし、GBNでの規定だって無視できる。」

「え、そんなのズルじゃん!そんなの使って勝っても楽しくないよ!」

「そう、ズルだよ。今渡したそれが壊れて使えなくなったブレイクデカール、そしてコイツを使って不正を働くのが『マスダイバー』だ。」

「ゼンゼンは、なんでそんな事知ってるの……?」

「俺が、マスダイバーだったから。」

 

 

そこから聞いたゼンの話は途方も無かった。

マスダイバーを狩るためにマスダイバーになったアークにあこがれ、自分もマスダイバーになった。

しかし、いち早くブレイクデカールの危険性に気が付いたアークはアインソフという男と出会い、マスダイバーから足を洗った。

それに納得がいかなかったゼンは、アークの説得にも応じず、ただただブレイクデカールの力に溺れて行った。

だがそれでも諦めずに自分を信じてくれたアークによって、ゼンはブレイクデカールから解放され、再び自分たちのフォース……『ZA-∀Z』を再結成した。

 

 

「へー、アーくんって、すごく頼りになる友達なんだねゼンゼン!」

「カリンちゃんだってそうじゃないか。」

「カリンも?」

「きっと、カリンちゃんは君に頼られたいんじゃないかな?変に気を使うより、そっちの方が相手のためにもなる。少なくとも俺は、ブレイクデカールの一件からはアーク君を全面的に頼りにしてるし、向こうだって俺を頼りにしてくれてるよ。俺たちは『ZA-∀Z』、AとZに上も下もない。あるのは絆……それが、『相棒』ってことだって、アーク君が言ってた。」

「そうか……えへへ、なんかすっきりした!アタシ、ライブの日まではカリンを頼る事にするよ!アタシたちも、『DiverDiva』の相棒同士だからね!」

 

 

 

ゼンに手を引かれ、アイは立ち上がった。

二人ともガンプラに乗り込み、カリン達が向かった方角とは別の方角へ目的の物を探しに行く。

移動している最中に、『そうだ』と、アイがゼンに尋ねた。

 

 

「ねぇ、ゼンゼンとアーくんは、どうしてこのミッションを受けたかったの?報酬?」

『ううん、説明するのを忘れていたね。実は、このエリアに……マスダイバーの生き残りがいるって噂を聞いたんだ。』

「え!?でも、ブレイクデカールってのはもう使えないって、さっき説明してたっしょ?」

『うん。だから、俺たちも信じているわけじゃ無い。けど、眉唾だったとしても、少しでも可能性があるなら止めなきゃって思ったんだ。』

「へー!なんかカッコいいじゃん!」

『て、照れるな……。』

 

 

 

少し嬉しそうに笑いながら、ゼンは言った。

やがて二人が山頂へと到達すると、目的である紺色とオレンジの混じったルナチタニウムを探す。

ヴァルガ自体はそこまで広いエリアではないが、それでもガンプラが数機暴れ回れる程度には広い。

しかも、何万本と生えている水晶の中から、超希少な混色のルナチタニウムを探し出すのは簡単な事では無かった。

 

 

「んー、みかん色の水晶、みっかんないね!『みかん』だけに!アハハ!」

『ねぇ、さっきから気になってたんだけど、アイちゃんってダジャレ好きなの?』

「うん!ダジャレを言ってるのは誰じゃ~ってね!」

『そうなんだ……。ハハハ、このディメンションでそれだけ余裕を持てるのは頼もしい限りだよ。』

「そうそう。思ったんだけどさ、ここがゲキむずなのって、ルール規制が無くて強い人がゴロゴロしてるからなんだよね?でもアイさん達、さっきから他の人と一切会ってないんだけど……。」

『言われてみれば確かに……妙だな。』

 

 

『ZA-AZ』はマスダイバー時代、よくこのディメンションに来ていた。

ここでは上級者たちが毎日毎日、派手なバトルを繰り広げていた。

しかし今日はそんな事は一切なく、静かすぎて不気味なぐらいだ。

いつもなら、すでに激しい戦闘音が鳴り響いているはずなのに……その時、ハッとしたゼンは、上を向いて叫んだ。

 

 

 

 

『上だアイちゃん!!』

 

 

 

 

突如、G-エルスが愛参頑駄無を突き飛ばした。

咄嗟にG-エルスもその場から離脱すると、彼らが今までいた足場が爆発。

上を見上げると、そこには巨大なモビルスーツの姿があり、ゼンはそのガンプラへ向けて叫んだ。

 

 

 

『誰だ!!』

『ほーん、今の攻撃を避けるのか。さすがは『ZA-AZ』のG-エルス……。』

『お前か。最近噂になっているマスダイバーというのは。それをどこで手に入れた!』

『その通り。ぶっ壊れたブレイクデカールが、近頃流行ってるバグとやらで復活したんだよ。コイツさえあれば、俺はこのGBNで無敵だ。』

『させるものか。お前のブレイクデカールは、俺たちが破壊する!!』

 

 

 

敵モビルスーツの正体は、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の第1期に登場したラスボスであるグレイズ・アイン。

どこにも改造を施していない、いわゆる『素組み』であり、その出来栄えにガンプラへの愛など微塵も感じられない。

しかし、その大きさは圧倒的であり、HGであるにもかかわらずMG並のサイズ感を誇る。

 

 

「でっっかぁ!?愛参頑駄無の何倍あるのアレ!?」

『アイちゃん、ここは俺に任せて逃げるんだ!!』

「ううん、一緒に戦うよ!さっき、ゼンゼンが言ったんじゃん!仲間は、頼るものなんでしょ!」

『……わかった、行くぞ!!』

 

 

ゼンの掛け声で、飛び出したG-エルスと愛参頑駄無。

愛参頑駄無はベース機の基本装備であった刀を取り払い、騎士ガンダムの電磁スピアを武器としている。

しかし、その電磁スピアは柄を引くことにより槍が傘の様に展開し、中からPGスケールの超巨大ライフルへと変形する。

武者頑駄無は近距離戦用の機体……そんな常識を覆すべく誕生したのが、全距離対応武器『愛参命全開(あいさんライフル)』を装備した『愛参頑駄無』である。

 

 

「いっけーーーーー!!!」

 

 

引き金を引く事で、超高密度のビームがグレイズ・アインへと照射された。

しかし、グレイズ・アインはなんとそれを右手で払いのけてしまい、巨大な腕を愛参頑駄無へ伸ばす。

愛参頑駄無は背中のブースターを全開にしてそれをかわし、後方のG-エルスと入れ替わった。

両手両足の『グローアップアーム』と『グローアップレッグ』を本体から切り離すと、ファンネルとしてそれらを遠隔操作しながらグレイズ・アインを撹乱する。

 

 

『それだけの巨体……このG-エルスからは逃れられないぞ!』

『避ける必要なんてねぇんだよ!!』

 

 

なんと、力任せにG-エルスの放ったグローアップアームとグローアップレッグを、振り払ってしまった。

 

これがブレイクデカールの力。

 

『ブレイクブースト』したガンプラの強さは、規定に沿ったガンプラ以上の力を発揮する。

これはゼン自身、経験のある事だからよくわかる。

 

 

 

「つ、強すぎ……あんなの、本当に倒せるの……?」

『………アーク君……!』

 

 

 

 

 

~~

 

 

「あったわ、これでミッションクリアね。」

『なんや、えらい簡単に見つかったな。カリンちゃん探し物の天才ちゃう?』

「偶々よ。……普段なら掃除すらしないからよく失くし物するのよ……。」

「そ、そうなんや……。」

 

一方その頃、別の山頂で採取をしていたカリンとアークは、混色のルナチタニウムを発見。

紺色とオレンジが混じりあった美しい色合いで、装飾品に加工したらきっと綺麗だろう。

 

「綺麗……。」

『そういえばそれ、カリンちゃんとアイちゃんのガンプラの色にそっくりやな!折角やし、クリア後に報酬としてもらったらええやん。専門の店に行けば、アクセサリーに加工してくれるで。』

「そうなの?だったらそうしようかしら。」

 

紺色はキュベレイ・ビューティーの、オレンジは愛参頑駄無のパーソナルカラーであり、確かにこの宝石だけでDiverDivaを現している。

これで作ったアクセサリーをプレゼントすれば、きっとアイも喜んでくれるだろう。

そしたら改めて怪我の事を謝ろうと、カリンは心に誓う。

 

 

「そろそろ聞かせてくれるかしらアーク君、あなたの目的。ずっと気になってるのだけれど。」

『んー……まぁ、ここまで一緒やったし、内緒にするほどのもんでも無いからええよ。実は俺ら、ここでマスダイバー探してん。』

「マスダイバー……あぁ、エマに聞いた事あるわね。」

『ここにソイツがおるっちゅー話聞いたんやけど、どこにもおらんし、噂は噂やったんやな。ほな、それ納品して帰ろか。ゼン君たちとも合流せなあかんし。』

「そうね。アイの事も心配だわ。」

 

 

驚くほどあっけなく終わった今回のハードコアディメンションでのミッション。

キュベレイ・ビューティーは回収したルナチタニウムをアイテム欄へ転送すると、シャイニングブレイクと共に下山を開始しようとする。

だが、そんな時……遠くの方で爆発音が聞こえた。

 

 

「!! 爆発音……?」

『どうしたんカリンちゃん?』

「ねぇ、今何か爆発したような音聞こえなかった?」

『え?なんも聞こえへんけど……きっとカリンちゃんのキュベレイ、察知能力が高いやろな。てか、ここじゃドンパチなんて日常茶飯事やで。』

「でも気になるわ。こっち!」

『ちょっ……!全く、我が強い女の子は嫌いやないで!』

 

 

音を頼りに、その方向へ全力でブースターをふかしたキュベレイ・ビューティー。

いくら方向音痴のカリンでも、音の鳴る方向へ真っ直ぐ進むぐらいはできる。

そんなキュベレイ・ビューティーの後ろを、シャイニングブレイクも追いかけて行った。

 

 

 

 

 

~~

 

 

ブレイクデカールを使用したグレイズ・アインの強さは圧倒的だった。

これまで幾度となくマスダイバーと戦ってきたゼンだったが、相手はアナザーガンダム最新作の1期のラスボス……素組みとはいえ強い。

その上ブレイクブーストがかかっているため、こちらの攻撃が一切通らない。

 

『くそっ……せめて、アーク君が来るまで持ちこたえるんだ……!』

「う、うん!」

『シャイニングブレイクの相方も来ているのか?だったら、ソイツが来る前にお前を片付けてやるよ!!』

 

 

肩部のコンテナユニットに隠された機関銃が、G-エルスと愛参頑駄無を襲う。

ブレイクブーストの影響で機関銃は通常より大型化され、実弾とビームを使い分ける事も可能。

さらに追尾式になっており、G-エルスも愛参頑駄無も、敵の攻撃を防ぐのに手いっぱいだった。

そんな二人を見ながらグレイズ・アインは笑い、右手に主武装である大型アックスを持った。

 

 

 

『ちょこまかと目障りなガンプラだな。SD(ザコ)はSD(ザコ)らしく、おとなしくしてろ!!』

「ちょ……や、やば……!」

『アイちゃん!!』

 

 

 

愛参頑駄無をとらえ、アックスを振りかぶったグレイズ・アイン。

それを、愛参頑駄無目掛けて思いっきり振る。

思わずアイは目を閉じた。

 

 

 

 

 

 

『アイーーーーーーーーーー!!!』

 

 

 

 

 

だが、そのアックスは愛参頑駄無に当たる事は無かった。

 

 

命中の直前、愛参頑駄無とグレイズ・アインの間に、駆けつけてきたキュベレイ・ビューティーが割り込んだ。

 

 

胴体の右半分が一刀両断され、キュベレイ・ビューティーはダメージに耐え切れずに爆散。

思わずキュベレイ・ビューティーへ手を伸ばした愛参頑駄無の前で、彼女は無情にも底が見えない山の麓まで落ちていく。

アイには、カリンを乗せたキュベレイ・ビューティーが落ちていく様がスローモーションの様に見えて、そのままカリンは、暗い闇の中へと落ちて行った。

 

 

「か……カリーーーーーン!!!」

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第14回:武闘派エマ

エマ「う~ん♡かすみちゃんのパンっていつ食べてもとってもボーノ♡」

かすみ「ジー………。」

エマ「どうしたのかすみちゃん?私の顔に何かついてる?」

かすみ「口元にパンクズはついてますけど、そうじゃなくて……エマ先輩って、GBNやってる時はずいぶん武闘派になるから、なんかこう……普段とのギャップというかなんというか……。」

エマ「えー、私、別にそんなに好戦的じゃないよ~?」

かすみ「でもでも!特訓とは普段のスクールアイドルの練習の時よりも厳しいじゃないですか!」

エマ「それはそうだよ~、戦場では少しの油断が命取りになるからね~。」

かすみ「いやその発言がすでに武闘派なんですけど!!」

エマ「私なんて全然。本当の武闘派っていうのはね?一番強いのにまだまだ強さを求めたり、自分が一番上手いって主張したかったり、『バトルグルメ』とかよくわかんない事言いながら常に戦いを求めたりする人の事だよ~。」

かすみ「えー……なんですかその人達……というか最後の人意味わかんないんですけど……。」

エマ「私はせいぜい、狙撃で敵軍の要を確実に仕留めるぐらいだね。」

かすみ「やっぱり武闘派じゃないですか!!普通の女子高生はそんな事言いませんけど!?」

エマ「草だよー。」

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