ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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進撃のユニコーンガンダム

 

ガンフェス二日目は、一日目に比べると客数も多く、ダイバーシティの周りには大勢の人だかりができていた。

遠方からガンフェスに参加する人もとても多く、そういった者は必ずと言っていいほど、ダイバーシティの象徴ともいえるユニコーンガンダム立像を一目見ようとやってくる。

 

最初にその違和感に気が付いたのは、小さな子供だった。

 

 

「パパー、あれなに?」

「あれはね、ユニコーンガンダムっていうガンダムだよ。パパが学生のころにアニメをやっててね。」

「変な音がするよ?」

「変な音?」

 

 

子供がユニコーンガンダムを指さし、父親がそれを見上げる。

最初の数秒は、父親は特に何の違和感も感じず、自分の子供に尋ねてみた。

 

 

「なんにも聞こえないよ?」

「聞こえるよ。ギギギーって。」

「ギギギー?」

 

小さい子供は、ほんの小さな音にも違和感を覚える。

大人には聞こえないような僅かな音でも聞き分け、それを必死に父親に伝えた。

父親がそれに気づいた時には、全長約19メートルの巨人は、大きな一歩を踏み出していた。

 

 

 

 

「う……うわぁあああ!!?」

「なんだ!?何が起きてるんだ!?」

 

「何かのイベントだろ……?」

「馬鹿!イベントで周りのバリゲード壊すわけ無いだろ!!」

 

 

「こ、こっちに来てるぞ!!」

「逃げろ!!逃げろーーーーー!!!」

 

 

 

 

 

「ユニコーンガンダムが……動いてる……。」

 

 

 

目の前の光景が信じられずに全員が絶句している中で、侑がなんとか言葉を絞り出した。

通路上に建てられた出店や車を全て踏みつぶしながら、ユニコーンガンダムはゆっくりと前進を続ける。

速度は非常に遅く、自転車よりも遅いが、ビル程の大きさを持つ物体が障害物を気にせずに歩き続けるというのはそれだけで脅威であり、ガンフェスの運営も参加者も大パニックに陥っていた。

 

 

「どうしてユニコーンが……。」

『……アナザーノワール……奴が、生きていた……!』

 

 

歩き続けるユニコーンガンダムを見ながら、バンシィ・ノワールばグッと拳を握った。

その言葉を聞いた侑は、バンシィ・ノワールの本来の目的を思い出し、ユニコーンガンダムがどこへ向かっているのかに気が付いてしまい、サーッと顔から血の気が引いてきた。

 

 

 

「じゃあまさか、虹ヶ咲学園に!?」

『今の奴の目的がわからない……だが、可能性は高い……!奴は、あの学園を踏み荒らす!』

「そ、そんなの駄目です!!」

「あ、か、かすみちゃん!行っちゃだめ!!」

 

 

あろうことか、かすみは虹ヶ咲学園へ向かおうとするユニコーンガンダムに対し、その身を挺して止めに入った。

全速力で走ってユニコーンガンダムの前へと飛び出た彼女は、ユニコーンガンダムに対してバッと両手を広げた。

しかし、ユニコーンガンダムはかすみの事など眼中にない。

平然とその巨大な足を振り上げ、そのままかすみに向かって踏み抜こうとした。

 

 

「あ………。」

「かすみさーーーーん!!」

 

 

 

今にも踏みつぶされそうなかすみに向かって、しずくが叫んだ。

ユニコーンガンダムがかすみを踏みつぶそうとしたその瞬間に、何者かが凄まじい速さでユニコーンガンダムの足元に潜り込み、そのままかすみを抱きかかえて、間一髪で彼女を救った。

かすみを抱きかかえたその男は同好会やビルドダイバーズたちの前まで彼女を連れてくると、いまだに放心状態のかすみの安否をしずくとせつ菜が確認した。

 

 

 

「かすみさん大丈夫!?怪我とかない!?」

「ど……どうやら大丈夫そうですね……ありがとうございます、セカイさん。」

「あぁ。ギリギリだったけどな。」

 

 

 

かすみを助けたのは、カミキ・セカイ。

ユニコーンガンダムが動き出したのを見て、駆け付けてくれたようだ。

同好会やセカイ達には見向きもせず、ユニコーンガンダムはそのまま進軍を続ける。

車や出店を踏みつぶしながら、ゆっくりと虹ヶ咲学園を目指すユニコーンガンダムの後ろ姿に、その場にいる全員は絶望するしかなかった。

 

 

「このままじゃ学校が……!」

「そ、そうだ!自衛隊とか呼べばいいじゃないか!そうすれば……!」

「ダメよミア。こんな街中であんな大きいやつに戦車なんかぶつけて見なさい。周りの建物に尋常じゃない被害が出るわ。」

「だったらどうするんだよ!アイツはこのまま学校に向かうんだろ!?あんなのが暴れたら、学校なんて簡単に壊れちゃうよ!!」

「セカイさん……どうすればいいんですか?何か策があるから、俺たちのところへ来てくれたんですよね?」

「そう、だな。皆、ガンダムベースへ来てくれ。」

 

 

ヒロトの問いかけに、セカイは頷く。

動き出したユニコーンガンダムに対処するために、ビルドダイバーズとBUILD DiVERS、そしてニジガクの面々は、セカイと共にガンダムベースへとむかった。

 

 

 

 

 

~~

 

 

「こ……コウイチさん……!?ツカサさん…!?」

「……隊長……。」

「カワグチ!しっかりしなさい!カワグチ!」

 

 

ガンダムベースへとやって来たリク達の目に飛び込んできたのは、GBNへとログインしたままログアウトできなくなってしまったコウイチ、ツカサ、キョウヤ、カワグチの4人の姿。

意識だけがGBNへと取り残されたままガンダムELダイバーに敗北した彼らは、現実世界に戻れずにいた。

以前に似たような経験があるマサキは、彼らの姿を見て眉を細める。

カワグチを必死に揺さぶるランジュの肩に手を置いて、彼女を制止した。

 

「無駄だ鐘。こうなってしまっては、簡単には目覚めない。」

「どうしてカワグチ達がこんなことに!?」

「コウイチとツカサと一緒に、GBNの異変を探ろうとしたんだ。そして、その先でキジマ達はやられちまった。」

「チャンピオンとメイジンが一緒にいても勝てないなんて、アナザーノワールっていうのはそんなに強いの?」

「確かに強かったけど、だけどチャンピオンとメイジンが負けるなんて……。」

 

 

実際にアナザーノワールと戦った侑が首を横に振る。

確かに強力なモビルアーマーではあったが、バンシィ・ノワールとの2対1でも侑のフルユニット・レインボーユニコーンガンダムで勝利できた。

そんな相手にチャンピオンとメイジンに加えて、コウイチとツカサが戦って負けるとは思えない。

だが、もし本当にキョウヤ達を正面から倒した相手だとするならば、相手は相当な強敵だ。

 

 

「キジマは自分に何かあった時の為に、俺にこいつを託した。」

 

 

そう言ってセカイが取り出したのは、見た事もない2枚のデカール。

それをリクとヒロトの前に差し出すと、2人はそれを受け取りマジマジと見つめる。

やがてリクはハッとして、その名前を口にした。

 

 

「これって……ブレイクデカール!?なんで、こんなものが!?」

「キジマが数年前にヤジマ商事から研究資料として預かってたもんだってよ。今、世界中のプレイヤーがGBNにログインできねぇ。だけどシステムの裏をかけるソイツを使えば、2人だけはGBNにログインする事が出来る。コイツを託すことの出来るのは、チャンピオンからの信頼が一番厚い、お前ら2人だ。」

 

 

 

ブレイクデカールを受け取り、リクとヒロトは唾を飲み込む。

ユニコーンガンダムを安全に止めるためには、ユニコーンガンダム内のディメンションにアクセスして、直接制御をする必要がある。

それができる可能性が最も高いのは、次期チャンピオン候補と言われるリクと、エルドラを滅亡の危機から救ったヒロトの2人。

2人は顔を見合わせると、セカイに向かって力強くうなずいた。

 

 

「わかりました。俺とヒロトで、ユニコーンを止めます!」

『リク、私も……。』

「今のGBNでは何が起こるかわからない。サラさんやメイは来ない方が良い。」

『そうか……ならば我々は、お前たちを信じる事にしよう。』

 

 

早速ブレイクデカールを自分のガンプラに取り付けるため、作業に入る2人。

2人の作業を不安そうに見ながら、栞子がセカイに言った。

 

 

「ですが、2人だけでは……相手はあのチャンピオンを下した相手なんですよ……?」

「そうなんだが……ブレイクデカールは二つしか無いからこればっかりはなぁ。」

 

 

 

『いや。方法ならばある。』

 

 

 

セカイが頭を搔いていると、バンシィ・ノワールがそう呟いた。

全員の視線が一斉にマリナのひざ元にいるバンシィ・ノワールへと集まると、彼は自らGBNの筐体へ向かい、その上に立った。

すると、ブレイクデカールを貼り付けていないにもかかわらず、筐体はバンシィ・ノワールに反応して彼のボディの読み取りを始めた。

 

 

「ノワール!これは!?」

『奴は元々俺が作ったシステムだ。俺が大嫌いだった……虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を倒すためのシステム。つまり、アナザーノワールを作った俺と一緒ならば、アナザーノワールの仮想敵となっている同好会の13人分のガンプラのデータは、ブレイクデカール無しでもログインが可能だ。』

「ほ、本当ですかノワールさん!」

 

 

それが本当であれば、リクとヒロトに加えて同好会の13人とマリナ、計16人での突入が可能となる。

それだけの人数がいれば、なんとかなるかもしれない。

しかしもしも負けてしまえば、キョウヤ達のようにログアウトできなくなってしまう可能性が非常に高い。

バンシィ・ノワールは侑達へと顔を向けると、ひとりひとりの意志を確認した。

だが、全員の心はもう決まっていた。

 

 

 

「当たり前じゃない!!皆が行かないと言ってもランジュは行くわよ!!」

 

「誰も行かないなんて言って無いだろ。」

 

「私たちの学校は、私たちで守りましょう!」

 

「同好会の皆と繋がれた大切な場所、絶対に壊させない!璃奈ちゃんボード『むんっ』!」

 

「ガンプラで学校を壊そうだなんて、そんなの絶対にダメなんだよ!」

 

「私が一度は壊してしまった同好会……もう二度と、壊させたりなんてしません。」

 

「学校以外にも、お台場には大事な思い出がたくさんあるからねぇ。」

 

「そうだよ!愛さん達の大切な思い出の場所、絶対に守らなきゃ!」

 

「皆、気合は十分みたいね。私も負けていられないわ。」

 

「私もです!学園もこの街も、必ず守り通して見せます!」

 

「強くなったかすみん達の実力、見せてやりますよ~~~!!」

 

「皆気持ちは同じだよ!そうだよね、侑ちゃん!」

 

「うん!私たちも行くよ、ノワール!行かせて!!」

 

 

 

『全員、意志は固いようだな。』

 

 

全員の同意を確認すると、バンシィ・ノワールは今度はマリナに向き合う。

 

 

『マリナ、俺は君を巻き込みたくはない。』

「ううん。私も行くよノワール。言ったでしょ?ずっと一緒だって。」

『……そう、だったな。』

「うん!」

 

 

リクとヒロトのブレイクデカールの準備も完了して、全員GBNの筐体に腰かける。

ダイバーギアとガンプラをセットし、目的地をユニコーンガンダムのディメンションに設定。

徐々に全員の意識がGBNへと移り、その最中にセカイが話しかけてきた。

 

 

 

「ログインしたらすぐに目的地へのワープゲートが開く。準備をしている余裕は無いが、頼んだぜ、皆!」

 

 

 

彼の言葉の通り、本来はGBNのセンターロビーへと転送されるはずのデータの行き先がユニコーンガンダムのディメンションとなっている。

もはや引き返すことは出来ない。

しかし、彼女たちに引き返すという選択肢は最初から無かった。

 

 

 

「ミア・テイラー!ライトニングトールギス&ランページグリフォン!!Ready Go!!」

 

 

「エマ・ヴェルデ!スーパーヴェルデブラストガンダム!出撃!!」

 

 

「近江彼方、ガンダムビヨンドバルバトスリベイク、いっくよ~!」

 

 

「朝香果林、キュベレイ・ビューティー!行くわよ!!」

 

 

 

「三船栞子!デスティニーフリーダムガンダム・エデンロード!参ります!!」

 

 

「天王寺璃奈、AEドム、発進します!」

 

 

「桜咲しずく!O-ドリーガンダム・クアトロアトリーチェ!登壇します!!」

 

 

「中須かすみ!ザクみんとヤミちゃん!オンステージです!!」

 

 

 

「鐘嵐珠!!クリムゾンフェネクス!!ショータイムよ!!」

 

 

「優木せつ菜!!ガンダムスカーレットクアンタ!!目標を駆逐する!!」

 

 

「宮下愛!愛参頑駄無大笑軍!!レッツゴー!!」

 

 

「上原歩夢!ガンダムブレイブインパルス!!頑張ります!!」

 

 

 

「クガ・ヒロト、ジュピターヴガンダム、出る!!」

 

 

「ミカミ・リク!!ガンダムダブルオーインフィニティセイバー!!行きます!!」

 

 

「『カツラギ・マリナ、バンシィ・ノワール……目標を、破壊する!!』」

 

 

「高咲侑!レインボーユニコーンガンダム!!フォース『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』……行きます!!」

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第147回:6thライブ!

侑「12月23日はついにニジガク6thライブ!盛り上がっていこーーーー!!」

歩夢「2週間前は異次元フェスだったのに、あっという間だね。」

しずく「そうですね、あれは夢のようなひと時でした……。」

愛「AqoursやLiella!、蓮ノ空の皆だけじゃなくて、アイドルマスターの皆とのコラボも最高だったよね!普段歌えない曲歌えて愛さんめちゃくちゃ楽しかった!」

果林「はいはい。楽しかったのはわかるけど、今は気持ちを6thライブへ切り替えましょ。」

栞子「今度のライブのテーマは恋愛との事ですが……今回の曲を作るにあたって、とても苦労しました……。」

ミア「ボクも珍しく苦戦したよ……。」

ランジュ「そう?ランジュはすぐに曲が頭に思い浮かんだわよ!おかげでその分をトレーニングに使えてランジュのパフォーマンスはパーフェクトだわ!」

かすみ「かすみんは今回大人っぽい曲にチャレンジしたので、これで果林先輩のファンをごっそり奪っちゃいますよ~!」

彼方「彼方ちゃんも今回の曲好き~。」

エマ「か、彼方ちゃんはもう少し自分の事考えた恋愛しようね?」

せつ菜「彼方さん、変な男の人にひっかからないか心配です……。」

璃奈「私は愛さんへのラブソングだから心配なし。」

愛「サンキュー!りなりー!」

歩夢「もう今から楽しみすぎて……私、列車になっちゃいそうだよ!!」

侑「それはちょっとよくわからないけど、皆もライブ、楽しんでね!!」


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