「あなたたちも、ELダイバー……!?」
ルブリスウルの告白に、侑はガンダムELダイバーへ聞き返した。
ガンダムELダイバーはレインボーユニコーンとブレイブインパルスとの戦闘をいったん中断し、彼女の問いかけに答えた。
彼の返事はまるでそれが当たり前だと言わんばかりのようにあっけらかんとしていて、その声色が非常に不気味に感じた。
『そうだ。』
侑達とガンダムELダイバーのやり取りの声はすべてのディメンションに通信で接続されており、各ディメンションでそれぞれの敵と戦っているニジガクメンバーたちにも聞こえていた。
~~
ハシュマルからの攻撃を直撃を受け、ボロボロになったガンダムビヨンドバルバトスリベイクを支えるスーパーヴェルデブラストガンダム。
満身創痍な彼方が倒れないように肩を支えたエマにも、先ほどのガンダムELダイバーと侑の会話は聞こえていた。
その会話を聞いて、彼女は耳を疑ってしまった。
『じゃあ、あのハシュマルもELダイバー……!?それじゃあ、私はまた……。』
エマの脳裏にフラッシュバックする、第二次有志連合戦の記憶。
ELダイバーのサラの命を掛けた、有志連合とビルドダイバーズとの死闘。
あの時のヒロトの表情と、引き金を引き時の恐怖が思い出される。
今にも気を失いそうな彼方だったが、エマの手の震えが伝わったのか、ビヨンドバルバトスでヴェルデブラストの手を握り返した。
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『さぁ、始めようよ!!楽しい楽しい、ELダイバーと人間の戦争を!!』
ルブリスウルが狂気的な笑い声をあげると、そのままバンシィ・ノワールとクリムゾンフェネクスへ襲い掛かってきた。
先ほどまでとは比べ物にならないほど俊敏な動きを見せるルブリスウルのシェルユニットは青く発光しており、これはルブリスウルのパーメットスコアがスコア6に到達したことを意味している。
この状態のルブリスウルの戦闘能力はダブルオーとジュピターヴと戦っているエアリアル改修型と同等であり、性能面でいえばバンシィ・ノワールはともかくクリムゾンフェネクスをはるかに凌駕している。
まずルブリスウルはクリムゾンフェネクスを狙ってビームサーベルで突撃し、ランジュはウイングファンネルを前面に展開してその攻撃を防いだ。
隙を見てシランジュリペアライフルをルブリスウルへと向け、その銃口をルブリスウルの頭に突付ける。
引き金を引こうとしたランジュだが、その瞬間彼女の脳裏に過ったのは、サラやメイ、バンシィ・ノワールの顔。
今自分が戦っているのは、GBNの世界に生きる本物の命であるELダイバー。
もしこの攻撃でルブリスウルを撃墜したら、自分は自分の仲間たちと同じELダイバーを殺すことになる。
そう思うと、引き金が引けなかった。
しかしルブリスウルはそれがわかりきっていたかのように心の中でほくそ笑むと、クリムゾンフェネクスのシランジュリペアライフルを取り上げ、それで彼女の顔面を殴打した。
吹っ飛ばされたクリムゾンフェネクスに対し、ルブリスウルはビームガトリングガンを構え、それでクリムゾンフェネクスを撃つ。
『ランジュさん!!』
『くっ……!』
だが、駆け付けたバンシィ・ノワールがクリムゾンフェネクスを蹴飛ばしたおかげでクリムゾンフェネクスはビームガトリングガンの直撃を免れた。
代わりに攻撃の一部がバンシィ・ノワールをかすめ、バンシィ・ノワールは近くのスペースデブリにもたれかかった。
『ま、マリナ!ノワール!』
『戦う事を躊躇うな鐘嵐珠!!やつらを倒さなければ、傷つくのはお前たちのほうだ!お前たちの学園を失うことになるぞ!!』
『の、ノワール……エネルギーがどんどん減って……ダメージはまだほとんど受けていないのにどうして!?』
マリナがコクピットのメーターを見ながら、バンシィ・ノワールのエネルギー残量が急速に減っていることに気が付いた。
HPそのものはまだほとんど減ってはいない、しかし、バンシィ・ノワールは確実に疲弊している。
何が起きているのかわからない彼女たちのもとへ、ルブリスウルとルブリスソーンが再び近づいてきた。
『あれ~?どうして撃たないのぉ?って、撃てないか。優しい優しいスクールアイドル様には。』
バンシィ・ノワールとクリムゾンフェネクスの首をつかみ、投げ飛ばすルブリスウル。
ビームガトリングガンをクリムゾンフェネクスへ向け、高らかに笑う。
『けど私には撃てる!!ゲームだからって油断しない方がいいよぉ、仮想現実でも、死ぬほどのショックを受ければどうなっちゃうかわかんないからさぁ!!』
ビームガトリングガンの引き金を引き、ランジュ達を襲う。
ウイングファンネルを展開して攻撃を防ぐが、いくらベース機がフェネクスといえど何度もこれほどの高威力の技を受けていればクリムゾンフェネクスが持たない。
しかし、それ以上に危険なのはバンシィ・ノワール。
本体の傷は無いのにすでに満身創痍であり、マリナもランジュも何が起きているのかわからずに狼狽している。
そんなバンシィ・ノワールを見て、高笑いするルブリスウルとは対照的に、ルブリスソーンは彼の様子を詳しく観察。
口数の少ないルブリスソーンだったが、バンシィ・ノワールに対して口を開いた。
『まだ戦うんですか?もう、あなたにそんな力は残っていないでしょう?』
『え……それって……どういう……。』
ルブリスソーンの言葉にそう返したのはバンシィ・ノワールのパイロットのマリナ。
反論しようとするバンシィ・ノワールだが、それほどの力はもう彼には残っていない。
『彼のビルダーなのに、気づいていなかったんですか?彼はもう長くありません。』
『やめろ……それ以上……言うな……!』
声を絞り出すバンシィ・ノワール。
すると、彼のコクピットの中で危険を知らせるアラートが鳴り響き、モニターにとある文字が表示された。
そこに表示されていたのは、『DELETE SYSTEM』という単語。
『で、デリートシステム……なに、これ……?』
『デリートシステム』は、カツラギが開発したELダイバーを消去させるためのシステム。
バンシィ・ノワールを倒すためにカツラギが作り上げ、愛機であるデルタソニックに搭載し、戦いに挑んだ。
しかし緊急で作り上げたシステムだった為か実際に使用した際にはデリートシステムだけではバンシィ・ノワールを倒すことは出来ず、逆に返り討ちにされてしまった。
だが、その時に彼に打ち込んだデリートシステムのデータはバンシィ・ノワールの体内に残され、徐々に徐々に、彼の体を蝕んでいた。
その時にマリナはハッと思い出した。
時折、バンシィ・ノワールが苦しそうに胸を押さえていたことを。
その時はガンプラ本体にダメージが残っていたのかと思い、入念にメンテナンスをしてみたが、特に異常は見られなかった。
それもそのはず、デリートシステムとは、バンシィ・ノワールのガンプラではなく、彼の意識データを破壊するためのシステム。
その進行は、もはやだれにも止めることは出来ず、待ち受けるのは、
『意識データの完全消滅。いわゆる、ELダイバーの死。あなたに残された時間は、あともうわずか。』
残酷な現実を突きつけられ、マリナとランジュは絶句。
それを聞いていた侑や歩夢、リクとヒロトも信じられないといった目でバンシィ・ノワールを見つめた。
コクピットの中で操縦桿を握る手が震え、マリナは首を横にふるう。
そんな時、ルブリスソーンはバンシィ・ノワールの前にやってきて、彼に手を差し伸べた。
『あなたを救う方法があります。それは、我々のもとに戻ってくることです。』
『なんだと……?』
差し伸べてきた手をまじまじと見つめ、バンシィ・ノワールは視線をそのままルブリスソーンの顔へと移す。
『我々は、ただのELダイバーではありません。我々は、このGBNで一度命を落としたELダイバーなのです。』
『…………。』
『このGBNでは、今日もまたどこかで人知れずELダイバーが生まれ……そして同じように人知れず命を失うELダイバーがいる。あなたたち、人間と同じ理を生きている存在、それがELダイバー。』
ガンダムELダイバーが使役するモビルスーツ……ELダイバー達の正体は一度死んでしまったELダイバー。
ELダイバーはGBNの中で、サラやメイのように突発的に生まれてくる存在がほとんど。
彼ら彼女らは人間に保護され、ELバースセンターに登録されることで定期メンテナンスを受けることができる。
しかし突発的に生まれるゆえに、人間に発見されずにメンテナンスを受けられず、そのまま消滅してしまうELダイバーも数多くいる。
中には、イヴのように自らの死を望んだELダイバーも。
『しかし我々は蘇った。ガンダムELダイバーならば、命を失ったELダイバーに新たな命を与えることができる。GBNの全てを司る我らが神ならば、消滅したあなたを蘇らせることができるのです。あなたにはその資格がある。我々のもとに、戻ってくるのならば。』
『……………。』
ルブリスソーンの言葉を聞いて、バンシィ・ノワールは立ち上がった。
そしてゆっくりとルブリスソーンの顔を見つめ、言い放った。
『そんな命に、価値はあるのか?』
『なに……?』
予想だにしない言葉に、ルブリスソーンは思わず聞き返した。
彼は自分の胸……マリナの乗るコクピットに手を当て、そして周りを見渡す。
クリムゾンフェネクスやレインボーユニコーン、ブレイブインパルス、そしてダブルオーとジュピターヴ。
そこに乗るのは、マリナを仲間として受け入れてくれた、マリナと自分の友人たち。
そんな彼女たちに想いを馳せ、バンシィ・ノワールはルブリスソーンに言った。
『俺は彼女たちの『大好き』という気持ちに触れ、限られた時間の中で精いっぱい輝く素晴らしさを知った。マリナの憧れたスクールアイドルという輝きと、俺たちELダイバーの限られた命、そのどちらも、いずれ終わりが来るからこそ、今この瞬間を醜く、必死に、それでも美しくあがこうとするんだ。』
ノワールブラスターをルブリスソーンに突き付け、さらにバンシィ・ノワールは続ける。
『GBNは確かにゲームだが、ELダイバーという存在や、彼女たちの夢はゲームではない。簡単にやり直せるそんなものが、命や夢であってたまるものか!!』
そう言い放つと、バンシィ・ノワールはノワールブラスターをルブリスソーンへと放った。
ルブリスソーンはそれをシールドで防ごうとするが、あまりの威力に押し返されてしまった。
ルブリスウルと並ぶと、ルブリスソーンはバンシィ・ノワールを忌々しそうに睨みつけた。
『なんて愚かな!!あなたも、我々と同じELダイバー!!なのになぜ!!』
『同じじゃない!!!』
ハッとして振り返ると、そこにはすぐそこまで迫ってきていたクリムゾンフェネクスの姿が。
シランジュリペアライフルでルブリスウルとルブリスソーンを撃つと、左腕に仕込まれていたビームトンファーを出現させて二体のルブリスと斬り合う。
『あなたたちとノワールは違う!!彼には心があるもの!!彼はアタシたちのお友達で、マリナの最高のパートナーだわ!!』
二体のルブリスを退け、バンシィ・ノワールのところまで下がるクリムゾンフェネクス。
するとバンシィ・ノワールがクリムゾンフェネクスの肩をつかみ、二機のサイコフレームが共鳴を始めた。
するとクリムゾンフェネクスの体から赤い光が漏れ始め、機体全体にエネルギーが満ち溢れてくる。
『これは……!』
『俺とフェネクスのサイコフレームが共鳴している……今ならクリムゾンフェネクスも、俺や高咲侑のレインボーユニコーンと同じことができるはずだ。』
『ランジュさん、大丈夫……?』
『無問題ラ!だってランジュだもの!!アタシとせつ菜とマリナで作ったこのクリムゾンフェネクスの、本気の力を見せてあげるわ!!』
『NT-D』
クリムゾンフェネクスのモニターにそう表示され、クリムゾンフェネクスの装甲が足元から開き始めた。
黄金の装甲から真紅のフルサイコフレームが露出し、背中のウイングファンネルは翼のように展開。
そのシルエットは、フェネクスの名前が示す通り、まるで不死鳥のよう。
これが、ランジュの愛機『クリムゾンフェネクス デストロイモード』だ。
侑のアシムレイトとは違い、バンシィ・ノワールとのサイコフレームの共鳴により実現したクリムゾンフェネクスの最強形態。
ウイングファンネルの形状はウイングゼロEWを彷彿とさせるものへと変化し、翼を広げてクリムゾンフェネクスは舞い上がる。
シランジュリペアライフルを構え、全エネルギーをライフルへと注ぐ。
同じくバンシィ・ノワールもノワールブラスターとノワールクローにエネルギーを溜め、その照準をルブリスウルとルブリスソーンへと定めた。
ルブリス達は回避しようとするが、思うように体が動かない。
パーメットスコア6に到達したルブリスウルとルブリスソーンだが、この空間はそんな二人のパーメットスコアですら破れないほどの、強力なサイコフィールドと化している。
『FINISH MOVE 01』
『息を合わせろマリナ!鐘嵐珠!!』
『これが、私たちの!!』
『必殺技よ!!喰らいなさい!!!』
次の瞬間、クリムゾンフェネクスのシランジュリペアライフルと、バンシィ・ノワールのノワールクローとノワールブラスターによる、サイコフィールドのエネルギーを直接相手へ撃ち込む超威力の必殺技『サクリムゾンノワールデストロイヤー』が炸裂。
ルブリスウルとルブリスソーンは成す術無くその業火に包まれ、断末魔の叫びをあげる。
『もう一度……死………!』
『いやだぁあああああ!!!せっかく生き返ったのに、いやだよぉおおお!!!』
すさまじい爆発音とともに、爆散するルブリスウルとルブリスソーン。
力を使い果たしたバンシィ・ノワールはその場で膝をつき、ルブリス達の残骸を一つ手に取った。
『哀れな同胞たち……お前たちには、哀れみすら感じるよ……。ぐっ……!』
『ノワール……?ノワール!!』
そしてそのまま、バンシィ・ノワールはその場に倒れこんでしまった。
~~
エアリアルと交戦するダブルオーとジュピターヴ。
しかしエアリアルは執拗にジュピターヴを攻撃し続け、ヒロトはその猛攻に反撃する余裕が無く、リクはエアリアルの意識がダブルオーに一切向いていないせいで逆に攻撃を当てづらく、二人とも苦戦を強いられていた。
先ほどルブリスソーンが言っていた言葉を思い出し、ヒロトの額に嫌な汗が噴き出す。
ヒロトを見た途端、彼ばかりを攻撃するようになったエアリアル……そして、今戦っているのは、ガンダムELダイバーにより蘇った命を落としたELダイバー。
(そんなはずがない……そんなはずが……!!)
エスカッシャンによるビームの乱射がジュピターヴの身体を貫き、コアガンダムIIを覆うジュピターアーマーが壊れて剥がれ落ちる。
破損したジュピーターアーマーを脱ぎ捨てて囮にし、コアガンダムIIは何とかその場から脱出しダブルオーへと合流。
だが、エアリアルのシェルユニットの光がさらに強くなると、エアリアルは目にもとまらぬ速さでコアガンダムIIの背後をとり、彼をスペースデブリに叩きつけた。
『ぐあぁぁ……!』
『ヒロト、今助ける!!トランザム!!』
『TRANS-AM』
ダブルオーがトランザムを起動し、コアガンダムIIの救出を試みようとする。
その時、ダブルオーのトランザムによって散布されたGN粒子により、意図せずにヒロト、リク、エアリアルの3人の意識が一瞬だけ共有されてしまった。
そこで、ヒロトは見てしまった。
今戦っている、エアリアルの本当の姿を。
『君は……まさか……そんな!!』
意識を共有したことにより見えてしまった、エアリアルの真実。
その残酷な事実に、ヒロトは絶句し、なんとかその名前を絞り出した。
『……イヴ……!!』
~にじビル毎回劇場~
第152回:ありがとうSEED FREEDOM
せつ菜「ついに終わってしまいましたね……SEED FREEDOM……最高の映画でした……。」
歩夢「いつも声の大きいせつ菜ちゃんが小声になって白くなってる!?」
愛「多分燃え尽き症候群ってやつだねぇ。おーい、大丈夫かせっつー?」
せつ菜「市街地戦……NTRチャレンジ……知らない本当の分身……キラとラクスの新たなる剣……去り際のロマンティクス……。」
ランジュ「ね、ねぇ、せつ菜大丈夫かしら?病院とか連れて行った方がいいんじゃない?」
侑「多分大丈夫だと思うよ。大好きが溢れすぎて爆発しただけだと思うから。」
愛「せっつーとエマっちとしおってぃー、3回行ったって言ってたもんね。」
歩夢「でも本当に楽しい映画だったと思うよ。インパルス大活躍で嬉しかったな!」
ランジュ「そういえば栞子も今のせつ菜みたいになってたわ。」
歩夢「フフ、でもこれだけ楽しい映画だったなら、他の作品の映画化も期待できるよね!」
侑「そうだね。確定してるのはハサウェイの第2弾だけど、全然情報でないね。」
歩夢「早く続きの映画でないかなぁ、AGE」