ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

16 / 158
銀河の果てまでレッツゴー

思わず体が動いた。

 

爆発音を聞き、駆けつけた先にいたのは、巨大なモビルスーツに襲われている、G-エルスと愛参頑駄無の姿。

グレイズ・アインにより、巨大なアックスを振り下ろされそうになった愛参頑駄無を見て、カリンは無意識にスピードを加速させた。

そして、そのアックスはカリンの思惑通り愛参頑駄無ではなくキュベレイ・ビューティーに命中し、彼女の右半身を削ぎ取っていった。

破損個所が爆発し、山の水晶に体をぶつけながら、真下へ落下していくキュベレイ・ビューティー……アイの叫び声が聞こえる。

 

 

(これで良かったのよ……これで……。)

 

 

地面に激突し、動かなくなったキュベレイ・ビューティー。

カリンもそこで、意識を失った。

 

 

 

 

~~

 

 

「か……カリン……。」

 

 

自分をかばい、落ちて行ったキュベレイ・ビューティーを見て、アイは絶句した。

いくらGBNが仮想空間と言っても、感覚は再現されている。

もし、あのダメージが現実にフィードバックされていれば、リアルの果林もただでは済まない。

放心状態になる愛参頑駄無を見て、彼女を守るようにG-エルスが立つ。

 

 

『アイちゃん!!』

「ゼ……ゼンゼン……。」

『早くカリンちゃんを助けに行くんだ、ここは俺が食い止める!』

「……うん、わかった!」

 

 

愛参命全開を上空に投げ、愛参頑駄無は変形を開始。

リデコ元である『天翔狩人 摩亜屈』にも付属していたパーツが愛参頑駄無に集まり、最後にスピア形態に変形した愛参命全開が先端に合体。

 

これが、鷲型高速移動形態『スーパー愛参イーグルモード』

 

SDガンダム特有のユニークな変形を見せると、アイはカリンを助ける為に山の下へと飛んでいく。

残ったG-エルスは一人、ブレイクブーストをしたグレイズ・アインに立ち向かう。

 

 

『一人で俺に挑むつもりか?』

「俺は一人じゃない。俺には、G-エルスがいる。」

『一人じゃねぇか!!馬鹿にするなよ!!』

 

 

再びアックスを振り上げ、G-エルスへと襲い掛かるグレイズ・アイン。

一旦グレイズ・アインから距離を取り、G-エルスはビームライフルを構えた。

ブレイクブーストをしたグレイズ・アインにこの程度の攻撃が通用しないことは重々承知。

だが、ゼンの狙いはグレイズ・アインを倒すことではない。

ただ、コイツの動きを少しでも封じることが出来れば、それでいいのだ。

 

『こんな攻撃に、なんの意味がある!!』

「あるさ。そうだよな……アーク君。」

『なに?』

 

 

 

 

『せやなぁ!ゼン君!!』

 

 

 

後方から声が聞こえ、振り返ったグレイズ・アイン。

すると、グレイズ・アインの顔面に、突如飛来した飛行機型のガンプラが直撃。

バランスを崩してその場に倒れると、そのガンプラ……シャイニングベルクートは変形し、人型へ。

 

アークのガンプラ、ガンダムシャイニングブレイクだ。

 

ゼンのG-エルスと並び立つシャイニングブレイク……ついに『ZA-∀Z』の二人が揃った。

 

 

『待たせて堪忍なゼン君!あれ?アイちゃんとカリンちゃんは?カリンちゃん、先に来とるはずなんやけど……。』

「カリンちゃんなら撃墜されて落ちたよ。アイちゃんが救助に向かってる。」

『なんやて!?あんの木偶の坊……お仕置きせなアカンなぁゼン君。』

「当然だ!」

 

 

その言葉を皮切りに、ZA-∀Zの二機は走り出す。

G-エルスが再びグローアップアームとグローアップレッグを繰り出し、グレイズ・アインを拘束しようとする。

当然のごとくグレイズ・アインはそれらを払いのけ、バルカンの照準をG-エルスへと合わせた。

しかし、G-エルスに気を取られ、すでに眼前に迫ってきていたシャイニングブレイクに対応できていない。

 

 

『なにっ!?いつの間に!?』

『遅い!!喰らえ、シャイニングフィンガー!!』

 

 

右手を光らせ、『シャイニングフィンガー』をグレイズ・アインの顔面に叩き込んだ。

ふらついたグレイズ・アインに、今度はG-エルスが仕掛けに行く。

なんと、分離させていたグローアップアームとグローアップレッグがG-エルスと同じ姿に変化し、それら全員が構えたライフルが、グレイズ・アインにビームの雨を降らせた。

 

 

『な、なんだこの強さ……!?お前、今まで実力を隠してやがったのか!?』

「そうじゃないさ。俺のバトルイマジネーションは、アーク君がいて初めて成立するんだ。」

『お前の悪行もここまでやでマスダイバー。カリンちゃんの仇、討たせてもらうで!!』

 

 

共に空へ浮かぶシャイニングブレイクとG-エルス。

二人が拳を合わせると、彼らの間にエネルギー波が生まれる。

それは徐々に大きくなっていくと、G-エルスの黒と、シャイニングブレイクの白、二つを混ぜた巨大なエネルギーへと変わった。

これが、ZA-AZの最強最大の必殺技。

 

 

『いくでぇ!ゼン君!!』

「あぁ!アーク君!!」

 

 

 

 

「『ハード・インプロヴィゼーション!!!』」

 

 

 

 

『なっ……こ、これは……!!』

 

 

巨大な黒と白のエネルギー波が、グレイズ・アインを飲み込む。

やがて巨大な爆発を起こし、あたり一面の水晶は粉々に砕け散った。

 

 

 

 

~~

 

 

仮想空間の中でも気を失う事があるんだなと、カリンは思った。

しばらくして目が覚めて、キュベレイ・ビューティーのステータス画面を見る。

HPはほとんど0に近く、少しの衝撃でゲームオーバーになってしまう。

だが、そんなカリンの事をお構いなしに、激しく揺さぶる者がいた。

 

 

「カリン!ねぇ、起きてよカリン!!」

「……アイ……?」

 

 

アイだった。

正確には揺らしているのは愛参頑駄無で、揺らされているのはキュベレイ・ビューティー。

カリンはなんとかコックピットをこじ開けると、アイもガンプラから降りてきてカリンに抱き着いた。

 

「よかった~!!カリン生きてた~!!」

「当たり前じゃない……これはゲームよ?本当に死んじゃうわけ無いでしょ……それに、ゲームオーバーにだってなって無いわ。」

「それでもよかった~!!」

 

GBNはとことんリアルを追及した仮想現実。

撃墜されたキュベレイ・ビューティーの姿は、どこからどう見てももう助からない様な状態だった。

その為アイは正常な思考が出来ず、死にもの狂いで倒されたカリンを探して、そして発見した。

ゲームでたとえ死ぬことは無いとは言え、大事な仲間が自分をかばってこんな目にあったのだから、無理はない。

 

 

「ごめんなさいアイ……私、先輩なのにカッコ悪いところばかり見せちゃって……。」

「カッコ悪い?」

「だってそうでしょう。私のせいであなたは怪我をするし、助けに来ても逆にやられちゃうし……ざまぁ無いわよ、ホント……。」

 

 

「違うよ。」

 

 

「アイ?」

「カリンは……カリンはカッコ悪くなんか無いよ!アタシ、いつもカッコいいカリンの事、めっちゃ凄いって思ってるよ!いつもカリンの事、頼りにしてる!アタシの知ってる朝香果林は、世界一カッコいいスクールアイドルだよ!!」

 

 

カリンの手を握って、アイはそう言ってくれた。

カリンがアイの手を握り返すと、アイはさらに続けて言う。

 

 

「それにアタシ、カリンの事を先輩だなんて思った事無い。カリンは同好会の仲間で、スクールアイドルのライバルで……そんで、DiverDivaの相棒だよ!!」

「相棒……。」

「アタシはこれからもカリンを頼るし、カリンにだってアタシを頼ってほしい!アタシがカリンを助けた事も、カリンがアタシを庇った事も、アタシたちが相棒だから出来た事じゃん!アタシはそんなカリンと一緒に、もっと上を目指していきたいよ!だから、約束して!」

「約束?」

 

 

 

「今日アイさん家で仕事手伝って!!」

 

 

 

「は……はぁ!?」

「だってアイさん、足怪我してるもん!さっき言ったじゃん、頼りにするって!あ、もんじゃ焼き焼いた事ある?」

「そりゃ一度か二度ぐらいはあるけど……プッ、アハハハ!」

「え?な、なに?」

「いえ、ごめんなさい……まさか、こんなにシリアスな展開なのにもんじゃ焼き焼いてなんて言われるなんて思ってなかったから、なんかおかしくなっちゃって!もちろんいいわよ。じゃあその前に、私をここから助け出してもらおうかしら、相棒?」

「りょーかい、相棒!」

 

 

カリンの手を引き、彼女を起こした。

再び二人はガンプラへ乗り込み、愛参頑駄無によってキュベレイ・ビューティーを起こす。

だがキュベレイ・ビューティーはもうほとんど動けない状態。

戦闘など以ての外だ。

上でアークとゼンが戦っている……先ほど見えて黒と白の光は、おそらく二人の必殺技なのだろう。

だが、いつまでたってもグレイズ・アインの残骸は落ちてこない。

そう思い二人が上を見上げたら、予想外の物が落ちてきた。

 

 

 

『ぐああああ!!!』

 

 

 

「あ、アーク君!?」

『嘘っ!?なんで!?』

 

 

なんと、先ほどまでグレイズ・アインと交戦していたガンダムシャイニングブレイクが、カリン達のところまで落ちてきたのだ。

さらにそこへ続けてG-エルスも落ちてきて、二人とも腕や脚を失っており、顔面も半分つぶれている。

そして、シャイニングブレイクとG-エルスを追い、グレイズ・アインも降りてきた。

先ほど二人の必殺技を受けた胸元はダメージを受けているが、まだまだ稼働には問題なさそうだ。

 

 

『クッソ……!グレイズ・フレームにブレイクブーストかけると、ここまで固くなるなんて予想外やな……!』

『それだけじゃないよ……ここは水晶の山だ。いくつかの水晶を貫通したせいで、その分俺たちの必殺技の威力が殺されてるんだ……!』

『フゥー……フゥー……手古摺らせやがって……!』

 

 

 

倒れたシャイニングブレイクとG-エルスへ追い打ちをかけるように、二体を踏みつけるグレイズ・アイン。

その時にキュベレイ・ビューティーと愛参頑駄無の存在に気が付き、そちらへと振り向いた。

 

 

『なんだお前ら、まだ生きてたのか?』

『か、カリンちゃんアイちゃん……早く逃げるんや!!』

『コイツはやばい!!』

 

 

必死にアークとゼンがアイとカリンに呼びかけてきた。

だが、二人とも逃げる気なんかサラサラ無い。

火花を散らしながら立ち上がったキュベレイ・ビューティーは、愛参頑駄無と共に並び立つと、グレイズ・アインに向けてファイティングポーズをとる。

もはやファンネルは肩部パーツがつぶれて射出することは出来ない。

 

 

 

「逃げるなんて、冗談でしょ?」

『気合入れて試合に勝つ!『アイ』だけに!』

 

 

 

アイがいつもの調子でダジャレをかますと、愛参頑駄無は再びスーパー愛参イーグルモードに変形した。

この状態の愛参頑駄無は、ランスの柄のパーツを他のガンプラが持つ事で、愛参頑駄無をまるで武器のように持つことが出来る。

キュベレイ・ビューティーは残った左腕でスーパー愛参イーグルを掴み、ライフルのようにグレイズ・アインへと向ける。

全てのエネルギーを愛参頑駄無へと集中し、構えた。

狙うべきは、ZA-∀Zの必殺技を受けてダメージを負っている、胸部パーツの亀裂だ。

 

 

 

『今更お前らが、何が出来るって言うんだ!!』

「出来るわよ。だって私たち、DiverDivaだもの。」

『アイさんとカリンに、不可能なんて無い!』

 

 

襲い掛かるグレイズ・アイン。

そして、グレイズ・アインを目掛け、ついにキュベレイ・ビューティーが愛参頑駄無のエネルギーを解き放った。

オレンジと紺色の光がグレイズ・アインの亀裂へと放たれるが、それでもグレイズ・アインは突き進むのを辞めない。

 

 

『なっ……!?こ、この程度の攻撃……!!』

『行け!!行ったれーーーー!!』

『マスダイバーにとどめを刺すんだ!!』

 

 

 

「『銀河の果てまで、レッツゴーーーーーーー!!!』」

 

 

 

『く……くそがあああああ!!!』

 

 

激しい猛攻に、ついにグレイズ・アインの腰関節が破損。

するとそのままキュベレイ・ビューティーの攻撃がグレイズ・アインの亀裂を貫いた。

断末魔の叫びを上げながら、グレイズ・アインはついに爆散。

巨大な爆発を起こし、跡形もなく消滅した。

 

 

「や……やったわね……。」

『か、カリン!それ!モニター見て!』

「モニター?あ……。」

 

 

『FINISH MOVE 01』

 

 

キュベレイ・ビューティーのモニターには、そう表示されていた。

これは、Cランク以上のダイバーが、必殺技を会得した時に表示される、必殺技名入力メッセージ。

先ほどルナクリスタルを採取した事で微量ながらポイントが加算され、その瞬間、カリンのランクはDからCへ昇格していた。

そして、愛参頑駄無と共に放った今の技こそ、キュベレイ・ビューティーの最初の必殺技となったのだ。

 

 

「まさか、同好会の中で私たちが最初に必殺技を使えるようになるなんて……。」

『カリン!』

「ん?」

『やったね!!』

「そうね。あなたのおかげだわ、アイ。」

 

 

再び動けなくなったキュベレイ・ビューティーを、介抱する愛参頑駄無。

同様にシャイニングブレイクとG-エルスもお互いを支えあいながらなんとか起き上がる。

アイとカリンの姿を見て、思わずゼンもアークも笑ってしまった。

 

 

『なんや……ええコンビやんけ、あの二人。』

『そうだね。』

『まぁ、俺らには劣るけどなぁゼン君!』

『素直に凄いって言いなよ、アーク君。』

 

 

アイテムを納品するために、ワープゲートへと向かう4人。

途中、キュベレイ・ビューティーを輸送している愛参頑駄無は、ふと上を見上げた。

ヴァルガの空は基本暗いのだが、その中でも一際暗い場所をジッと見つめる。

そこから、アイたちを見下ろしている一体のガンプラに気が付いた。

だが、その姿はどことなく、自分たちの仲間のガンプラに似ているような気がした。

 

 

 

「黒い、ユニコーンガンダム……?なんだろ、アレ?」

『どうしたのアイ?』

「ううん、なんでもないよ!先急ご!」

 

 

 

ヴァルガ危険地帯。

きっと戦いを求めて来たのだろうと、アイは特に気にすることもなくワープゲートを潜って行った。

その場に残された黒いユニコーンガンダムは、彼女たちがワープするのを確認すると、その場から姿を消していった。

 

 

 

 

 

~~

 

GBNからログアウトして、果林と愛は家路についた。

約束通り、果林は愛の家がある東京の下町へ、愛をおんぶしながら向かった。

ログアウト直後に愛が、

 

 

『足が痛くてうごけなーい!』

 

 

と言ったため、こうしておんぶしている。

 

 

「えへへ、誰かにおんぶされるのって、小学生の時以来だよ!果林の背中あったかくて気持ちいいね~。」

「全く……急におんぶしてだなんて。」

「アイさん、今日は果林を全面的に頼るって決めたんだもーん!あ、そこ右ね。」

「はいはい。」

「果林果林、右だって右。そっち左じゃん。」

「わ、わかってるわよ!」

 

 

果林が何度か道を間違えつつも、なんとか愛の家に到着した二人。

すぐに愛の部屋からお店で使うエプロンを持ってきて、それを果林に渡した。

簡単なメニューの説明だけして、あとは果林に任せる事に。

 

「なかなか似合ってるじゃん果林!」

「ウフフ、当たり前じゃない。私ぐらいになれば、こういうエプロンだって完璧に着こなして見せるのよ。」

「おっ、言うねぇ。じゃあその調子で接客もお願いね!」

 

 

カウンターに愛が座り、果林はさっそくもんじゃ焼き家の看板娘代理として接客を開始。

最初のうちは慣れない事で危なっかしい果林だったが、30分もすれば少し慣れて来たのか、動きがスムーズに。

基本的に愛の家のもんじゃ焼きはお客さんに焼いてもらうスタイルなので、オーダーの取り方と運ぶコツさえ覚えてしまえばあとは簡単だった。

夜も更けて、常連客以外のほとんどが帰ってしまった時間……おそらくこれで最後になるであろう客が、団体で来店してきた。

 

 

 

「あ~、腹減った~!!」

「カラオケにゲームセンター、ボーリングなんかも行きましたからね……。」

「意外だった。クガがあんなに情熱的に『翔べ!ガンダム』を歌い切るとは。」

「ヒロトは昔からあの歌が大好きだもんね。」

「それ以上言わないでくれヒナタ、マサキ……。」

『? 恥ずかしがることは無いと思うのだが?』

 

 

 

「あら?ヒナタちゃん?」

「え?か、果林ちゃん!?」

 

 

そこに来店してきたのは、なんとヒナタとヒロトをはじめとした、BUILD DiVERSの面々だった。

その中にはシドー・マサキの姿もあり、彼の顔を見るや否や、カウンターの奥から愛も顔を出してきた。

 

「マサくんじゃん!おひさー!」

「宮下か?何故君がここに?」

「だってここ、愛さん家だもん!」

「もしかして果林ちゃんが紹介したい子って……、」

「えぇ。そう、この子よ。」

「びっくりしたよー、まさか果林ちゃんがここでバイトしてるなんて。」

「私も驚いたわ。まさかこんな所でヒナタちゃん達に会えるだなんて。今日はごめんなさいね。」

 

深々と頭を下げ、果林と愛は今日あった事をヒナタ達に話した。

どうやらヒナタ達は、果林と愛が来れないとわかると、このメンバーでお台場に遊びに来ていたらしい。

丁度帰る際中に、メンバーの一人のパトリックが『しずくさんが美味しいもんじゃ焼きのお店を教えてくれました!』と言ったので、この店にやってきたそうだ。

 

 

「そっちの子たちがあなた達のフォースメンバー?」

「あぁ。紹介するよ、マサキの事は、そっちの子も知ってるみたいだけど。」

「うん。マサくん、愛さんとせっつーにガンプラ作り教えてくれたんだ。ゆうゆとアユムとしおってぃーも教わったんだって!」

「おいおい……お前、どんだけ女の子と関係持ってんだよ……ラノベアニメの主人公かよ!」

「言っている意味がよくわからないぞトリマチ。改めて、シドー・マサキだ。好きなガンダムはMk-III、好きな動物は熊だ。」

「朝香果林よ。好きな動物はパンダね。」

「パンダか……なるほど、出来る。」

「いやいや、お前らどんなとこでわかりあってんだよ。」

 

 

トリマチと呼ばれた少年は先ほどからマサキへのツッコミで忙しそうだった。

気を取り直し、残りのメンバーたちも自己紹介を始めた。

 

 

「で、俺がトリマチ・カザミ!BUILD DiVERSのリーダー、キャプテン・カザミだ!ジャスティスナイトと呼んでくれ!!」

「じゃあカザミんって呼ぶね。」

「僕はパトリック・アレクサンドル・レオナール・アルジェと申します。パルと呼んでください。」

「あなた事はしずくちゃんからも聞いてるわ。あの子にアドバイスしてくれて、ありがとうね。」

「い、いえ……むしろ、的確なアドバイスが出来ずに、申し訳なく思っています。」

「真面目な子ね。」

「私がヒナタで、こっちが幼馴染のヒロト。果林ちゃんからお話聞いてるよ。よろしくね、愛ちゃん。」

「君たちとのバトル、楽しみにしている。」

「アタシ、宮下愛!こっちも会えるの楽しみにしてたよー!これで全員?」

「いや、あともう一人……、」

 

 

『メイだ。』

 

 

 

「「え?」」

 

 

どこからともなく聞こえた声に、愛も果林もキョトンとした。

すると、突然ヒナタの頭の上から、HGのガンプラと同サイズのドレス姿の少女が姿を見せ、二人とも『メイ』と名乗るその少女を見て驚きを隠せなかった。

 

 

「え……えぇぇ!?が、ガンプラの女の子ぉ!?どーなってんのコレ!?すっごーい!!」

「これ……エマから聞いてた、ELダイバー……!?本当にガンプラのボディなのね……!」

『お前たちもELダイバーを見るのは初めてなのか?』

「りなりーのアランと全然違う!」

『アラン?』

 

 

ヒロト、ヒナタ、カザミ、パトリック、マサキ、そしてメイ。

これが、リアルでのBUILD DiVERSのフルメンバー。

全員態度には出さないが、強い絆で結ばれているのがよくわかる。

果林の案内で席に着くと、カザミがメニューを物色。

持ってきたおしぼりでマサキが顔を拭きながら、おススメを聞いてきた。

それからマサキとパルは愛のおススメのチーズもち明太子を注文。

カザミとヒロト、ヒナタはまた別のメニューを注文して、全員でシェアしながらもんじゃ焼きを楽しんだ。

当然メイはガンプラなので物は食べられないが、ダイバーギアに登録すればGBNで味わえるらしい。

ある程度まで食べ終わると、ヒロトは愛と果林の方を見て言った。

 

 

「それにしても、今日は二人に会えてよかった。」

「あら、どうして?」

「ヒナタが心配していたから。足は大丈夫なのか?」

「うん!安静にしてれば来週までには治るってさ!だけど、それまで練習出来ないのがちょっと残念だけど……。」

「練習?」

「前にも言ったよ。果林ちゃん達、スクールアイドルしてるんだって。」

「そうか……俺たちで何か力になれればいいんだけど……。」

「だよなぁ。折角初戦の相手に俺らを選んでくれたんなら、なんか手伝いてぇよなぁ。」

「アハハ!ありがと!でも、愛さんなら大丈夫だから!頼りになる相棒もいるしね!」

「もう、愛ったら。」

「何かあればいつでも言ってくれ。俺達で力になれる事なら、手伝わせてほしい。」

「えぇ、その時は頼りにさせてもらうわね、BUILD DiVERSのみなさん。」

「みなさんとのフォースバトル、楽しみにしてますね!」

 

 

パトリックがそう言って、もんじゃ焼きを食べ終えたBUILD DiVERS達は店から出て行った。

最後に代表してリーダーのカザミが果林と握手を交わし、彼らは帰って行った。

 

 

BUILD DiVERSが最後の客だったため、彼らが出て行ったあとは閉店準備。

果林は最後まで手伝うと、エプロンを愛に返却し、鞄を手に取った。

 

「それじゃあ愛、私はこれで帰るわね。」

「えぇ~!?泊まっていくんじゃないの!?」

「明日も学校でしょ。泊まるだなんてそんな……、」

「愛さん今日は果林頼るって決めたんだから、泊まって行ってよー!」

「それは『頼る』じゃなくて『甘える』なんじゃ……はぁ、わかったわ。寮長に言ってもらうようにエマにお願いするわね。」

 

一旦エマに電話を入れると、果林はその日、宮下家に泊まる事になった。

 

 

 

 

 

~~

 

夕飯を食べて、お風呂に入った後は、二人とも愛の部屋で横になった。

さすがに愛のパジャマだと果林には少し小さかったので、近所に住んでいる愛の幼馴染のお姉さんである川本美里から服を借りてきた。

二人とも愛機のガンプラを机に置くと、改めてお互いのガンプラを見て見ることに。

 

「果林のキュベレイってすごく作りこんでるよねぇ……これ、作るの大変だったんじゃない?」

「そうね。改造のアドバイスはヒナタちゃんがヒロトくんに聞いてくれたんだけど……ほら、私あんまり手先器用じゃないし、最初はだいぶ手古摺ったわ。最初なんて、ランナーからパーツを手でもぎ取ってたんだから。」

「えぇ!?いや、それはさすがに冗談でしょ!」

「……………。」

「え、マジなの?」

 

お互いの失敗談を話しながら、ガンプラの話から次はスクールアイドルの話に。

来週に控えた校内ライブに備えて、今、部内で問題になっている『栞子ユニットどうするか問題』の話題へ。

そこから更に愛の練習の話になり、少し空気が重くなった。

 

 

「もう愛のダンスは完璧だとは思うけど、練習が出来ないのはやっぱり痛いわよね……。」

「うん。足を使わなくて練習できればいいんだけど、そんなうまい話なんて無いよねー。」

「そうよね……ダンスの感覚が身について、なおかつ足に負担を掛けさせないようにするには……。」

 

 

その時、果林の目にガンプラが映った。

それを見た彼女はハッとして、思わず机を激しくたたいた。

 

 

「そうよ!その手があったわ!!」

「え、ど、どうしたのさ果林?」

「GBNを使えばいいのよ!感覚がある仮想空間なら、GBNで練習してもきっとリアルでも身に着くわ!」

「そっか……そうだね!うん、いいアイデアじゃん!!しかも終わったらガンプラバトルの練習も出来て一石二鳥だし!!」

 

 

 

GBNは1年前のアップデート以降、ゲーム内での感覚が再現されるようになっている。

愛ほどの体感の持ち主ならば、GBN内で練習してもリアルに反映されるはず。

なにより、一切の練習が出来ないよりは、何倍もマシだった。

さっそく明日からGBNで練習をする約束を交わし、二人はベッドに横になる。

すると愛が果林の手を握ってきた。

 

 

「どうしたの?」

「えへへ……今日の果林、なんだかお姉ちゃんみたいだなって。」

「美里さんみたいってこと?」

「じゃなくて。新しい練習スタイルを見つけてくれたり、お店手伝ってくれたり、おんぶしてくれたり……アタシの事、助けてくれたり。果林みたいなお姉ちゃん欲しかったなー。」

「美里さんがいるでしょ。」

「お姉ちゃんと果林は全然タイプ違うじゃん!カッコいいお姉ちゃんも欲しいんだよ!」

「フフフ、同好会じゃ1年生のお姉さんをやってる愛が、こんな甘えたがりだなんて、皆が知ったらどう思うかしらね。」

「いいんだよー!今日の愛さんは果林の妹になっちゃうもんね!」

「はいはい、じゃあそろそろ電気消すわよ、可愛い妹ちゃん。」

「はーい、お姉ちゃん!」

 

 

電気を消して、深い眠りにつく二人。

その日は二人とも同じ夢を見た。

広いドームで、二人で歌うDiverDivaの夢。

ラブライブ!で何万もの歓声を集める、スクールアイドルの頂点に立った夢を。

 

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第15回:馬に蹴られる

ヒナタ「今日もお疲れ様彼方ちゃん。いつも厨房まかせてごめんね。」

彼方「いいよいいよ~、彼方ちゃんお料理大好きだから。今日はヒロトくん来てないんだね?」

ヒナタ「うん。彼方ちゃん達とのバトルに備えてガンプラの調整してるんだって。今日も帰ったらお夜食作りに行ってあげるつもり。」

彼方「フッフッフ~、いやぁ、青春ですなぁ。」

ヒナタ「え?どういう事?」

彼方「え?どういう事ってどういう事?」

ヒナタ「私の青春は弓道だったけど、もう3年生は引退したし……あ、ガンプラが青春って事?」

彼方「ちょっと待ってねヒナタちゃん。私ちょっと頭の中整理するね。あー……はいはい、そういう事か~……自覚無しなのか~……そうかそうか~。」

ヒナタ「彼方ちゃん?」

彼方「ごめんねヒナタちゃん。彼方ちゃん、あんまり余計な事言わないようにするよ。」

ヒナタ「え!?なに!?何の事!?」

彼方「いや、ごめん。私の口からは恥ずかしくてちょっと言い辛い……。」



カザミ「た、大変な場面を目撃しちまった!これは目が離せないよなぁパル!」

パトリック「はい!モルジアーナもそう言ってます!」


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。