校内ライブを一週間後に控えた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会。
彼女たちは現在、とある問題を抱えていた。
というのも、今回の校内ライブのメインは、同好会を3つに分けたユニットライブ。
『A・ZU・NA』、『QU4RTZ』、『DiverDiva』の3つのユニットによる、三者三様のライブが見れるというのが売り文句だ。
だが、そうなると実は一人だけ、余る人物がいる。
高咲侑は全員のマネージャー兼サポーターであるため、ライブ自体には参加しないが、スクールアイドルであるにも拘らず、加入が遅かったためにユニットに参加できなかった者が一人。
「それでは、今日の生徒会活動を終わります。みなさん、お疲れ様でした。」
「「「お疲れ様でしたー!」」」
それが生徒会長である三船栞子だ。
彼女の場合、長らく同好会と敵対していた為、加入したのは夏の終わり頃。
その前に各ユニットは結成されていたので、栞子だけはまだどのユニットにも加入していない。
なので、今回の校内ライブも、侑と同じく裏方に回る事を自ら提案し、その手伝いのために日夜努力している。
今日も生徒会が終わり次第、侑と共にライブの演出の案を出すことになっていた。
「今日はいつもより30分も早く終わってしまいました。これなら、侑さんとライブの打ち合わせをした後、ダンスの練習も出来そうですね。帰りにログインする時間も作れそうです。」
多忙な彼女ではあるが、日々の練習に手を抜く事は絶対に無い。
ガンプラバトルに置いてもそれは同じで、暇を見つけてはGBNで特訓をしている。
この間しずくがついにDランクに昇格し、いよいよあとはフォース登録をするだけになった今日この頃、来るべき初フォース戦のスタメンに選ばれるため、デスティニーフリーダムの完成度と操縦技術を高めている。
「そうだ、後で歩夢さん達を誘って高難易度のミッションに挑戦してみましょう。なんといってももうすぐ……あら?」
部室の前まで来ると、なにやら大きな声が聞こえる。
これだけの大声でしゃべりそうなのは、おそらくせつ菜だろう。
だが、耳を澄ましてみると他にも大声を上げている者もいるようで、何やら揉めているらしい。
恐る恐る栞子がドアを開けると、そこには信じがたい光景が広がっていた。
「それでは始めましょう!!第10回!!栞子さん、一体どのユニットに入るの会議ーーーー!!!」
「「「いえーーーーい!!!」」」
「……なんですかコレ。」
何故か狭い部室の中でマイクを使い、ただでさえ大きな声をさらに大きく張るせつ菜。
いつも滅多な事で大声を出さない歩夢や彼方、璃奈まで彼女のそのテンションの高さに乗っていた。
そして、何故か侑は腕を組んでちょっとかっこいいポーズで壁にもたれかかっている。
「では、まずは私たち、『A・ZU・NA』の主張からです!では歩夢さん、どうぞ!」
「栞子ちゃんは絶対に私たちのユニットに入るべきだと思います!前から私たちの衣装、栞子ちゃんなら絶対に似合うと思ってたの!」
「それに栞子さんはかつて、私と熱いディベートを繰り広げた戦友ですからね!ライバルが仲間に加わるのは王道の展開です!」
「同じ一年生の私がいた方が、栞子さんも安心できると思いますしね。」
「はい!というわけで次は『QU4RTZ』のみなさん、どうぞ!」
「同じ一年生がいた方がいいって、だったら断然『QU4RTZ』でしょ!かすみんとりな子がいるんだし!」
「人数は多い方楽しい!璃奈ちゃんボード『キラキラ~☆』」
「彼方ちゃん、栞子ちゃんにも膝枕してほしいな~。」
「栞子ちゃんのハスキーボイスって、私たちの歌だと映えると思うの。」
「というわけで続けて『DiverDiva』のお二人!」
「人数と言う事なら、ますます『DiverDiva』に入るべきじゃない?あなた達、3人と4人だけど、こっちはたったの2人よ?」
「そうそう!それに、A・ZU・NAはメンバーの頭文字で、QU4RTZは名前に数字入ってんじゃん!だけどウチはそんな事無いもんねー!」
「だ、だったら『SI・A・ZU・NA』に改名するもん!」
「こっちだって『QU5RTZ』に名前変えられますけど!?」
いつも以上に白熱している9人。
入室した栞子本人に気が付かず、彼女たちだけでヒートアップしている。
特に栞子と仲の良い歩夢はいつも以上に主張が激しい。
その様子を静かに見守っていた侑に、栞子がソッと近づき、彼女に耳打ちをした。
「あ、あの……みなさん何をされてるのですか……?」
「お、来たね栞子ちゃん。見ての通り、栞子ちゃんをどのユニットに入れるかの相談だよ。」
「ですが、私は今回裏方のはずでは?」
「皆はそれに納得してないみたい。折角仲間になったんだから、栞子ちゃんもライブに出るべきだって。それで、数日置きにこうやって会議が繰り広げられてるんだ。」
「会議……?これ、会議……なんでしょうか……?」
ようやく栞子の存在に気が付いた9人が、一斉に彼女の方向を向いた。
全員栞子にどのユニットに入りたいかどうかを聞いてくるが、圧が凄いので答え辛い。
特にせつ菜、かすみ、愛の圧が凄い。
「だいたい、栞子さんが入りたいユニットを決めないからこうして話し合っているんですよ!」
「どのユニットに入りたいのしお子!」
「A・ZU・NAか、QU4RTZか、それともDiverDivaか!!」
「えっと……そ、そうですね……私の声質で言えばかすみさん達のQU4RTZだと思いますが、ステージ上でのパフォーマンスならDiverDivaな気もします。しかし、これまでの活動を振り返るとA・ZU・NAが向いているような……。」
「どうしてそんな優柔不断なんですか栞子さん!!私と戦った時の覇気はどうしたんですか!!」
「皆の者!!静粛に!!」
「「「議長!!」」」
「え?侑さん議長だったんですか?」
同好会の全員に、一喝を入れる侑。
彼女は椅子の上に立ち、全員を見下ろすと、その場で大声で叫ぶ。
「これまで私たちは幾度となく討論を交わしてきた!!しかし、そのたびに結果は先延ばしになり……気が付けば、校内ライブまでもう幾ばくも無い!!そこで私は、ついにこの戦いに決着をつけるにふさわしい方法を思いついた!!」
「それはなんなんですか議長!!」
「あ、もう侑さん完全に議長扱いなんですね。」
たぶん、この後に侑が言うらしき言葉を思いついたが、栞子は場の雰囲気を壊さないためにそれを言わなかった。
そして彼女の予想通り、侑は鞄からレインボーユニコーンガンダムを取り出し、それを全員に見せつけた。
「私たちにふさわしい決戦の舞台……それは、ガンプラバトルであーーる!!」
「「「が、ガンプラバトルだってー!?」」」
「清々しいまでの茶番で逆に驚きました。」
たぶんそう言うだろうなと思っていたが、本当にそう言われると逆に驚いた。
これが全部茶番だとすれば、全員しずく並の演技力と言う事になるが、しずく以外に演劇の適正は無いので多分全員素でやっているのだろう。
侑がそう宣言した途端、同好会のメンバー全員、それぞれのガンプラを手にして部室を出ていく。
当事者のはずなのにすさまじい疎外感に襲われた栞子だったが、ここで一人でいるわけにもいかないので彼女たちに着いていく事にした。
~~
ガンダムベースのダイバーシティ東京店は今日も平和だった。
今日は珍しく客入りが少なく、暇を持て余している事も多かった。
その為モモカは久しぶりに同級生のヒダカ・ユキオと共に、自分のガンプラをいじっていた。
「モモちのカプル、今のままでも十分強いけど、これ以上どうするの?」
「実は最近、メイにさぁ……、」
(モモカプル?モチーフはパンダでは無かったのか?)
「って言われてさぁ!!酷くない!?こーんな可愛いペンギンちゃんなのに!!」
「あ、アハハ……いや、実は僕も最初はパンダかと……、」
「なに!?」
「いえ何でもないですごめんなさい……。」
「というわけで、もっとペンギンらしさを全面に出したいのよね!!」
ユキオは同じフォースのメンバー。
フォース内での狙撃担当であり、相棒がダブルオー使いな事もあり、『GBNでのリアルロックオン』と呼ばれる事もある。
実力はかなりのもので、彼もまた、自分の愛機であるジェガンブラストマスターの改造に取り掛かっていた。
目の前には改造に使うであろう『HG 1/144 ガンダムデュナメス』があり、彼はそれを組み立てていく。
「というか今日もリッくん来ないんだね。あの子たちに紹介してあげたいのになー。」
「あの子たち?」
「うん、最近すっごく面白い人達が来てるんだけど、その子たち、ビルドダイバーズの大ファンなんだ!だからリッくんを紹介してあげると喜ぶと思うのよ!」
「へー、そうなんだ。でも、リッくんは今、ヒロトくんと一緒にガンフェス用の機体作りに忙しいから……。」
「それはわかるけどさー。せめてあの子たちのフォース戦には顔見せて欲しいなー。」
「モモちがそこまで気に入るなんて……どんな子たちなの?」
「スクールアイドル……?っていうのやってる子たちなんだけど、実は来週のライブに招待されちゃったんだよねー!ユッキーも行く?」
「うーん、どうしようかなー……。」
「モモちゃん!!」
「あ、いらっしゃいませー。お、今日も大人数だね!」
ユキオと話しているモモカの下へ、噂をすれば虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会が11人総出でやって来た。
さすがに数が多すぎてユキオは驚いたが、モモカはもう慣れているのでこの程度では驚かない。
だが、今日はいつも以上に圧が凄い。
「今日はどうしたの?」
「すいませんモモカさん!!GBNって、フォース戦以外でチームバトルってできますか!?」
「う、うん、フリーチームバトルっていうので出来るけど……せつ菜ちゃんちょっと声のトーン落してね。ここ、お店だから。」
「了解!みなさん!!出来るそうですよ!!」
「いやだから声小さくしろって言ってんの。了解トランザムじゃ無いのよ。刹那かよ。」
「すいません、すいません……。」
このノリに乗りきれていない栞子がひたすらモモカに平謝り。
残りの10人はそのまま筐体に腰かけ、自分たちの愛機をダイバーギアにセット。
一足遅れて栞子も筐体へ座り、11人全員でGBNの世界へ。
まるで嵐のように駆け抜けていった彼女たちを見て呆然としていたモモカとユキオ……少しして、モモカがペロッと舌を出した。
「ね、面白い子たちでしょ?」
「うん。別の意味でね。」
「なんか心配だなー……私たちも行くよユッキー!」
「えぇ!?僕、新しくデュナメスロックオンマスターの製作を……、」
「いいから行くの!!」
~~
GBNに到着するや否や、同好会の11人はそれぞれ4つのチームに分かれた。
アユム、しずこ、セツナの『A・ZU・NA』
かすみん、りなこ、エマ、カナタの『QU4RTZ』
カリン、アイの『DiverDiva』
そしてユウ、しおこの『議長&優勝賞品』
「いや、私の事を言うに事欠いて『優勝賞品』って……。」
「ユウだけに?」
「アッハッハッハッハ!!ちょ、ちょっとしおこちゃ~ん!!不意打ちでダジャレやめてよハハハハハ!!!ゲホッ!ゲホッ!アハハハハハ!!」
「そんなに笑うほどのダジャレでも無いでしょう……。」
「ユウちゃん、昔から笑いのレベルが赤ちゃんだから。」
今回彼女たちが借りたのは、森林と山で構成されたフォレストエリアサーバーの一角。
そこでは最大4つのカタパルトが存在するため、3チームで戦うには丁度いい。
広さも申し分無いので、9人で戦うには最適だろう。
さっそくジャンケンでそれぞれが使うカタパルトを決めて、全員配置に。
残されたユウとしおこも一応残った4つ目のカタパルトへ赴くと、それぞれのガンプラへと乗り込んだ。
今回のチームバトルのルールは、殲滅戦。
敵チームが全滅するまで戦い、残ったチームの優勝となる。
なお、チームメンバーの数で言えばDiverDivaが圧倒的に不利ではあるが、カリンとアイの希望で今回は一切のハンデ無しのガチンコバトルだ。
『アイさん!愛参頑駄無!レッツゴー!!』
「カリン、キュベレイ・ビューティー!チーム『DiverDiva』、行くわよ!!」
『しずこ!O-ドリーガンダム!登壇します!!』
『セツナ!ガンダムスカーレットエクシア!目標を駆逐する!!』
「アユム、ガンダムドリームインパルス!チーム『A・ZU・NA』、行きます!!」
『りなこ、AEドム、発進します!』
『かすみん!ザクみんとヤミちゃん!オンステージです!!』
『カナタちゃん、ガンダムビヨンドバルバトス、行っくよー!!』
「エマ!ヴェルデブラストガンダム!チーム『QU4RTZ』、出撃!!」
『BATTLE START』
ついに、射出された9機のガンプラ。
全機作戦通りの配置に着くと、ついに虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の初のチーム戦が開幕した。
~~
まず所定の位置に着いたのは、『A・ZU・NA』のしずこの乗るO-ドリーガンダム。
彼女の機体はトランザムとバーサーカーモードを使い分ける事の出来る万能機。
接近戦特化のアユムとセツナと違い、彼女の場合は後方支援もこなすことが出来る。
前方で身を潜めながら前進するドリームインパルスとスカーレットエクシアを援護するために、ビームガンとシールドを構えて殿を務める。
(この戦いに置いて、もっとも警戒すべきはやっぱりエマさんだよね……きっと、今もどこかで私たちを狙撃するチャンスを伺っているはず……。)
辺りを見渡しながら、ヴェルデブラストガンダムによる狙撃を警戒するO-ドリー。
この戦いで最も恐ろしい事……それは、エマの狙撃による全滅だ。
恐らく接近戦に持ち込むことが出来れば、A・ZU・NAは同好会の中では最強のメンバーだろう。
しかし、接近戦が得意と言う事は、逆に言えば遠距離攻撃にはめっぽう弱い。
その為、ある程度なら遠距離でも戦うことの出来るO-ドリーは、エマの攻撃に最大限の注意を払う。
だが、それは、『狙撃が出来るエマがいるならこうくるだろう』と考える真面目な3人が集まるA・ZU・NAへの罠だ。
カチッ!
『え?』
先頭を歩いていたスカーレットエクシアが、何かに躓いた。
その瞬間、地面から突然黒い煙が発生し、辺りを覆い尽くす。
レーダーをも狂わせる煙に、煙に巻き込まれたセツナとアユムはうろたえた。
『な、なんですかこれは!?』
『わ、罠!?』
「………あ、アユムさんセツナさん!!横です!!」
『『隙ありーーーーーー!!!』』
黒い煙を突き破り、ドリームインパルスにビヨンドバルバトスが、スカーレットエクシアにAEドムが襲い掛かってきた。
二人とも間一髪で攻撃を避けたが、ここまでがQU4RTZの作戦通り。
『今だよかすみんちゃん!!』
『りょーかい、りなこぉ!!』
「ハッ……!まさか、下!?」
O-ドリーの下の地面が盛り上がり、そこから、ヤミちゃんに跨ったザクみんが姿を現した。
ヤミちゃんの腕のハサミがO-ドリーを掴むと、そのまましずこを連れて地面に潜った。
唯一遠距離攻撃を得意とするメンバーと分断されたアユムとセツナ……今度はビヨンドバルバトスがドリームインパルスの腕をつかみ、彼女を引きずり始めた。
その間にスカーレットエクシアは、AEドムとの戦闘を開始。
「くっ……!まさか、私たちを分断させるために……!!」
『接近戦用の機体ばかり使ってるから、しずこちゃんを離せば一気に瓦解するはず。ドムちゃんボード『ニヤリ』』
「エマさんの作戦ですか……いいでしょう、相手になりますよりなこさん!!」
GNソードSSPをライフルモードからソードモードへ変形させ、AEドムへと斬りかかる。
だが、AEドムはそれを片手で受け止め、今度はスカーレットエクシアに殴り掛かってきた。
攻撃を受けたスカーレットエクシアはよろめく。
「これが電動フレーム搭載のりなこさんのAEドム……想像以上のパワーです……!」
『パワーだけじゃない!ドムちゃんメガランチャー、装着!』
りなこが高らかに叫ぶと、彼女はどこからともなく取り出した二つのロケットランチャーを、両肩に装着。
拳を握ると、そこへエネルギーを充填し始めた。
危機感を覚えたセツナは咄嗟にスカーレットエクシアに搭載された『あの機能』を発動。
『TRANS-AM』
「トランザム!!」
『メガランチャービーム、発射!!』
AEドムの両肩に搭載されたロケットランチャー『ドムちゃんメガランチャー』から放たれた極太ビームが、スカーレットエクシアを襲う。
間一髪、トランザムを発動してそれを躱すスカーレットエクシアだが、徐々に追い詰められていく。
「この威力……当たるとただでは済まない!!」
『当たれーーーーー!!』
「くっ、すいませんアユムさん!!」
このままではトランザム切れを起こし、負けてしまう。
そう判断したセツナは、ドリームインパルスとO-ドリーと離れるとわかってはいるが、退却を決意。
いくら電動フレームを搭載したAEドムと言えど、トランザム状態のスカーレットエクシアに追いつけはしない。
彼女はいったん周りの木々を踏み台にしながら森をかき分け、その場から離脱して行った。
「セツナちゃん……上手く逃げて!」
ビヨンドバルバトスに引きずられたドリームインパルスの中でアユムは、コックピットにある分離ボタンを押した。
元々彼女のベース機であるインパルスガンダムは、ガンダム作品の伝統でもある『コアブロックシステム』を採用している。
アユムのドリームインパルスもその機構を殺さずにそのままにしてあるため、ビヨンドバルバトスに掴まれている下半身部部分『レッグフライヤー』のみを残し、上半身『チェストフライヤー』とバックパック『ドリームシルエット』、そして腹部にあたるドリームインパルスの本体『コアスプレンダー』に分離。
『えぇ!?バラバラになっちゃったよぉ!?』
「カナタさん、行きますよ!」
再びチェストフライヤーとコアスプレンダーのみ合体し、ドリームインパルスの上半身が完成。
更に、ドリームシルエットがバックパックにではなく、下半身に合体した。
これは、以前ユウと一緒にガンダムについて調べた時に、ガンダムがGファイターと上半身のみ合体した時の姿を参考に、アユムが作り上げたドリームインパルスの高速移動形態。
ドリームインパルススカイだ。
レッグフライヤーを掴んだままのビヨンドバルバトスに向かって、一気にブースターを噴かす。
レッグフライヤーが無い分非常に軽くなったため、そのスピードは今までのドリームインパルスとは比較にならない。
アユムはそのままドリームインパルススカイでビヨンドバルバトスに体当たりを喰らわせた。
いくら頑丈なガンダム・フレームと言えど、これほどのスピードの体当たりを真正面から受けてはひとたまりもない。
メイスで防御して何とか威力を殺すが、防御に使用したメイスが砕け、ビヨンドバルバトスは後方に吹っ飛ばされた。
『うわ~!?』
『カナタさん!退却しよう!』
『り、りなこちゃ~ん!!』
「あ、待って!!」
AEドムがビヨンドバルバトスを担ぎ上げ、QU4RTZはその場から離脱。
セツナ、しずこと分断されてしまったアユムは、再びレッグフライヤーと合体して元のドリームインパルスに戻ると、まずはしずこを探しに行った。
~~
『BERSERKER MODE』
ヤミちゃんに地面の中に連れて行かれたしずことO-ドリーガンダムは、バーサーカーモードを発動して無理やり地上へと脱出した。
出てくると同時にバーサーカーモードを解除し、ビームガンとシールドを構える。
穴の中からヤミちゃんに乗ったザクみんが現れ、二人はお互いを見据える。
『さぁさぁ!ここからザクみんのカッコ可愛いところを見せちゃいますよぉ!』
「かすみんさん……ううん、かすみさん。私、こうなる事を望んでいたよ。かすみさんとは、一度一対一で戦ってみたかった!」
『うぇえ!?そ、そうなの……?』
「うん。だから、負けないよ!」
『かすみんだって、しずこには絶対負けないから!ザクみん、ヤミちゃん、合体!』
『MUTEKI MAZAKU-MIN』
人型に変形したヤミちゃんに、ザクみんが合体。
通常よりも大型のガンプラである『無敵武者 魔殺駆罠』に変形すると、専用の刀『妖刀黒刃』を手に取った。
『無敵合体!!魔殺駆罠!!』
「いくよ、O-ドリー!S・トランザム!!」
『TRANS-AM』
~~
背の高い木や岩が周りからの視線を遮断してくれる崖の上で、ヴェルデブラストガンダムはライフルを構え、敵を探しながら辺りを捜索している愛参頑駄無に狙いを定めていた。
A・ZU・NAの3人は他のメンバーが分断して各個撃破に当たる事で、エマは集中してDiverDivaを狙う事が出来る。
今回、エマがもっとも警戒するべきはDiverDivaの二人……この二人には、一発逆転の必殺技がある。
接近戦が不得手なエマはアユムやセツナも警戒すべき相手ではあるが、こちらにも接近戦のエキスパートであるカナタがいる為、今回はDiverDivaに集中。
「? アイちゃんの動きに規則性が見えない……ただウロウロしてるだけなのかな?」
まだ引き金は引かない。
狙撃の一番のリスクは、一撃で敵を仕留められない時。
弾道から自分の居場所をある程度把握されてしまうからだ。
だからエマは、愛参頑駄無を確実に一撃で倒せる時をひたすら待ち続けた。
『ずいぶんと慎重ねぇ、エマ。』
「!! か、カリンちゃん!!」
しかしその時、キュベレイ・ビューティーが、ヴェルデブラストガンダムの背後に現れた。
何故ここが特定できたのか……エマは質問をする前に、先ほどまでの愛参頑駄無の動きを思い出してハッとした。
愛参頑駄無があの一帯を動いていれば、もっともそこを狙いやすいのはこの場所だ。
つまり、あの愛参頑駄無は、エマをここから狙撃させるための囮。
「カリンちゃんが迷わずにここまで来れるなんて……。」
『私なら確実に迷子になってたわね。キュベレイ・ビューティーのおかげよ。』
キュベレイ・ビューティーは、以前アークが指摘した通り、察知性能が高い。
コックピットの中で首から下げた紺色とオレンジが混ざった色のネックレスを握りしめ、キュベレイ・ビューティーは右腕からビームサーベルを出現させた。
『ねぇ、エマ。私とガンプラバトルしない?』
「あの時は、喧嘩だったもんね。」
『あの時の決着、つけましょう。』
~~
崖の上から激しい戦闘音が鳴り始め、愛参頑駄無はカリンが無事エマと会えた事を確認。
どうしてもエマとは一対一で戦いたいと言っていたカリンの要望通りの展開となった。
「さてと……じゃあ、アイさんも勝たせてもらいに行きますか!」
『ちょーーーーーっと待ったーーーーー!!!』
「え……えぇ!?」
移動しようとした愛参頑駄無の目の前に、一体のガンプラが落ちてきた。
それは、意外な人物。
本来この戦いには参加する必要のないガンプラだった。
「ゆうゆ!?なんで!?」
『私も参加します!!』
「だからなんで!?」
『だってみんな楽しそうなんだもん!!私だってバトルしたいじゃん!!』
それは、ユウのレインボーユニコーンガンダム。
栞子のユニット争奪戦なのに、まさかの参戦だった。
彼女はスナイパーライフルとシールドを構え、愛参頑駄無へ発砲。
愛参命全開のスピアモードでそれを薙ぎ払い、レインボーユニコーンと対峙した。
「どんな相手でも、アイさん絶対試合に勝つ!『アイ』だけに!!」
~にじビル毎回劇場~
第16回:りなこちゃんボード
歩夢「璃奈ちゃんのアバターって、璃奈ちゃんボードがそのまま顔になってるんだね!」
璃奈「うん。表情も自由自在。どんな表情でもその場で瞬時に最適な物を選んで映してくれる優れもの!」
歩夢「へー、凄い!どんな表情があるの?」
璃奈「いつもの『むんっ!』や『にっこりん♪』『キラキラ~☆』以外にも色々ある。たとえばコレ。」
歩夢「? それはどういう表情?」
璃奈「りなこちゃんボード『やりましたよ…やったんですよ必死に!!その結果がこれなんです!!』」
歩夢「えぇ!?」
璃奈「他には、りなこちゃんボード『そんな非道は許されるはずがない!!』」
歩夢「どういう場面で使うの……!?」
璃奈「りなこちゃんボード『俺は!スペシャルで!2000回で!模擬戦なんだよぉ!!』」
歩夢「もう意味がわからないよぉ!!」
璃奈「りなこちゃんボード『せつ菜さんと侑さんが一緒にいるところをたまたま目撃した歩夢さん』」
歩夢「!?」