夢を見た。
とても懐かしい人の夢……ここ一年ぐらい、彼女の夢は見てはいない。
大切な物を、本当に大事にするべきものを見つけたヒロトは、彼女の……イヴの夢を見る事は無くなっていた。
そんな彼女が、夢の中でヒロトに呼びかけてくる。
「イヴ……?」
(ヒロト……。)
「イヴ……どうして、そんな悲しそうな眼をしているんだ……?」
(ヒロト……皆を守って。)
「守る?イヴ、それはどういう……。」
(GBNに……また………。)
「イヴ?待ってくれ、イヴ!!」
~~
「イヴ!!」
「わっ!?び……びっくりしたぁ……。」
「え……あ、ひ、ヒナタ……?」
「おはよう、ヒロト。」
自室で目を覚ますと、ヒロトは体中汗まみれだった。
パジャマは着ておらず、私服のままで眠りについていたようで、幼馴染のヒナタがヒロトを起こしに来てくれていた。
妙に目覚めが悪く、ヒロトは頭を押さえながらフラッとベッドから起き上がった。
「嫌な夢、見たの?」
「嫌な夢………いや、違う。そうじゃないんだ……でも……、」
「イヴって、ヒロトの大事な人の名前だよね?またあの人の夢を見たの?」
「あぁ……でも、ここ一年ぐらいは見ていなかった……。夢の中でイヴは、俺に何かを伝えようとしていたんだ……でも、一体何を……。」
「んー……とりあえず、朝ご飯食べよっか!」
今日は日曜日。
休日と言う事もあり、昨日はGBNでの戦友でありライバルでもあるビルドダイバーズのリクと共に、ガンフェス用のリクの新しいダブルオーの最終調整を行っていたヒロト。
そのせいで昨日はだいぶ遅くなってしまい、晩御飯も食べずに寝てしまっていたのでかなり空腹だ。
「っていうか、今日日曜だろ?ヒナタ、ここで何してるんだよ。」
「あー!やっぱり忘れてる!ガンプラもいいけど、今日は大事な約束がある日でしょ!」
「約束……?あ、そうだった。ごめん、リクのダブルオーの事で頭がいっぱいだったよ。」
「もう!朝ご飯、フレンチトースト作ったから食べて。食べたらすぐに行くよ!」
「うん。ありがとう。」
自宅で仕事をしているヒロトの両親は、日曜になると追い込みで修羅場になる。
その為休日はこうして時々ヒナタが来てくれるのでありがたい。
ヒナタの作ってくれたフレンチトーストを二枚食べ終わると、彼女から黄色いチケットを手渡された。
「これ、今日のチケットね。」
「あぁ。虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会ユニットライブか……本当に歌うんだな、あの子たち。」
「信じてなかったの?」
「そういうわけじゃ無いけど、知り合いがアイドルっていうのが実感湧かなくて。」
「だよねぇ。ところで、どう?」
「え?あぁ、美味しいよ。フレンチトースト。」
「そうじゃなくて……。」
「? ごちそうさま。」
ライブに行くので、いつもよりも真剣に服を選んできたので、その感想が欲しかったのだが、ヒロトには伝わらなかったようだ。
ヒロトはいつも通りの服装に着替えると、二人は揃って家を出た。
この後は『アダムの林檎』に寄ってパトリック、メイ、マサキと合流した後に、現地でカザミと合流する事になっている。
カザミだけ現地集合の理由は、彼だけ利用する電車のダイヤの都合で、皆よりも早く着く便しか無いからだ。
自宅を出る前に、ヒロトとヒナタは自宅で在宅ワーク中の両親にあいさつをした。
「それじゃあ、行ってきます。」
「ユリコさん、オサムさん、ヒロトをお借りしまーす!」
~~
虹ヶ咲学園では、侑と栞子の二人が演劇部や放送部、服飾同好会に協力を仰ぎながら機材や衣装の最終チェックをしていた。
今回の会場は講堂ではなく、学園の中庭に特設ステージを用意して行う事になっている。
周りには料理研究会やたい焼き同好会、粉物部、流しそうめん同好会などが屋台を作り、ちょっとしたお祭りムードとなっていた。
このライブ自体はすでに何か月も前から計画されていたもので、スクールアイドルフェスティバルやスクールアイドル部との衝突など色々なトラブルに見舞われながらも、なんとか無事に開催する事が出来た。
「皆、今日は手伝いありがとう!」
「良いってことよ!それより、素敵なライブ期待してるからね!」
「もちろん!と言っても、歌うのは私じゃなくて皆なんだけどね……。」
「高咲さんもスクールアイドルやればいいのに。そんなに可愛いのにもったいないよ。」
「えー、そんな事ないよ。ねぇ、栞子ちゃん。」
「いえ。私は侑さんにも前々からはスクールアイドルの適正があると思っていました。ぜひあなたともステージに立ってみたいです。」
「ほらー!生徒会長もこう言ってるじゃん!」
「いやいやいやいや!栞子ちゃん変な事言わないでよ!あ、そ、それより!頼んでおいた衣装!どうなった!?」
「もちろんばっちり!いやぁ、それにしても、注文が来た時は驚いたよ~。まさか、ガンダムっぽい衣装作ってだなんて。」
この日のために、侑は服飾同好会に、『ガンダム作品っぽい衣装』を発注していた。
実は同好会皆の希望で、3つのユニットがそれぞれ3つずつ歌う曲のうち、それぞれ1つずつはガンダム作品の曲のカバーにしようと言う事になった。
元々9人曲を各ユニットでそれぞれ1曲ずつ歌うという所を、ガンダム曲に変更した。
ちなみにそれを知った時、ガンプラバトル同好会兼近江彼方姫親衛隊は嬉しさのあまりしばらく泣いてしまい、巻き込まれた彼方も困って泣いた。
「じゃあ、もう一つ頼んでた衣装は?」
「それも準備万端!三船さん、お仕事終わったら試着に来てね。」
「お手間を取らせてしまい、申し訳ありません……。」
「全然大丈夫だって!生徒会長って言ってもまだ一年生なんだから、先輩の事はどんどん頼ってよ!」
「ありがとうございます、服飾同好会の部長さん。では、私はそろそろステージのお手伝いに行ってきますね。」
「うん。またあとで。」
侑を残し、行ってしまった栞子。
侑も自分の仕事をするために、荷物を持って部室へと向かおうとする。
すると、少し離れたところから『お~い』という声が聞こえ、そちらへと振り返った。
「お~い!侑ちゃ~ん!」
「あ……モモちゃ……じゃなくて、モモカさん。」
「ちゃんで良いよー!同い年なんだし、今更だし。」
「でもビルドダイバーズの人を呼び捨てだなんて……。」
「私が良いって言ってるから良いの!ユッキーの事もユッキーって呼んでいいから!」
「モモち……。」
やって来たのは、モモカとユキオ、それにコウイチとツカサの4人。
ツカサは来る気は無かったらしいが、コウイチが無理やり引っ張ってきた。
「今日はお招きありがとう。楽しませてもらうね。」
「こちらこそ、来てくれてありがとうございます!コウイチさんとツカサさんが来たって伝えたら、彼方さんも喜ぶと思います!」
「俺は別に来る気なんて無かったんだがコウイチ。」
「どーせお前暇なんだろ。リクくんとアヤくんのためにもらったチケットが無駄になるよりマシだよ。」
本当はビルドダイバーズの全員を招待したかったのだが、メンバーの一人であるアヤメことフジサワ・アヤは大学の特別講義のためどうしても予定を開けられず、ミカミ・リクは新しいダブルオーの最終調整のため、今日はサラと共にチャンピオンであるクジョウ・キョウヤと会う約束になっている。
一応リクにチケットは渡しているが、来れる可能性は低いだろう。
「そういえばヒロトくんたちはまだ来てないんだね。」
「マサキさん以外は皆住んでるところ遠いらしいから。でも、果林さん宛にヒナタさんからメールが来てたから、たぶんもうすぐ来ると思うよ。それまでは出店を楽しんでよ!ガンプラバトル同好会の人達が貸出用のガンプラを使ってGPDの体験会もやってるよ。」
「なに……?おい、それはどこだ。案内しろ。」
「おいツカサ。」
「す、すいません……私そろそろ行かないといけないので案内パンプ見てください……。」
「よし、行くぞコウイチ。」
「行かねーよ、お前ここに何しに来てんだよ。」
~~
『アダムの林檎』でパトリック、メイ、マサキと合流を果たしたヒロトとヒナタは、特に迷う事無く虹ヶ咲学園への道を歩いていた。
実はマギーも招待されていたのだが、急用で行けなくなってしまった。
(アタシの分まで楽しんでね~ん♡)
と、言っていた。
「楽しみですね皆さん!僕、アイドルのライブなんて初めて見ます!」
『私もだ。テレビでママが見るのは演歌ばかりだからな。』
「宮下の足は治ったのか?」
「うん。なんとかライブには間に合ったみたい。果林ちゃんと一緒にGBNでずっとダンスの練習してたよ。」
「皆の頑張り、報われるといいな。」
虹ヶ咲学園ももう目前だ。
そろそろカザミと合流してもいい頃合いではあるが、何故か彼の姿は見当たらない。
奇妙に思ったヒロトがカザミに連絡をしようとしたその時、ヒロトのスマホに着信が。
相手はまさに今電話を掛けようとしていたカザミだ。
「もしもし?」
『ヒロトぉ!!すまねぇ、実は電車が信号事故で遅れちまっててよぉ……ちょっと遅れそうなんだ……。スマホも充電し忘れてて連絡も遅くなっちまった。』
「そうなのか?わかった、俺が駅まで迎えに行く。」
『え、でもそれじゃお前も遅れちまうだろ?』
「お前一人置いていくわけにもいかないよ。」
『あ、ありがてぇ!!持つべきものは仲間だよなぁ!!』
電話を切り、ヒロトはカザミの事情を皆に話した。
皆もちろん同意してくれたので、ヒロトはすぐに来た道を引き返し、カザミが来るであろう駅まで走った。
幸いヒロトは東京にはガンプラのコンテストなどで何度も来たことがあるため、この辺の地理にはそれなりには詳しい。
時間を気にしながらも、ヒロトはカザミと合流するために駅へ向かった。
~~
「あー、あー、あー。うん、声もばっちり!」
「いよいよですね歩夢さん!」
本番前のリハーサルを終えた同好会の9人は、楽屋で待機をしていた。
楽屋と言ってもいつもの部室であり、すでにそれぞれのユニットの衣装に袖を通した彼女たちは今か今かと本番を待ちわびている。
窓の外を歩夢が覗くと、大勢のお客さんが出店を回ったり、サイリウムを準備したりしている姿が見えた。
「皆、楽しそう!」
「久しぶりのライブですからね。特に今日は一般のお客さんも招いてのイベントですから!」
「だけど残念です……本当ならもっと多くの人に見てもらいたいのに、チケット制にせざるを得ないだなんて……。」
「このご時世ですからね。ライブが出来るだけでも良しとしないと。その代り、今回のライブは放送部とスクールアイドル部の方々が生配信してくださるそうですよ。」
「え?部の人達が?」
「あの方々とも色々ありましたが、スクールアイドルが大好きだという気持ちに変わりはありません。いずれ、同好会と部の垣根を越えたライブが実現できれば嬉しいんですけどね。」
「皆ー!」
「侑ちゃん!」
A・ZU・NAの3人が窓の外を見ていると、部室に侑と、服飾同好会の面々がやって来た。
手には大きな箱を抱えており、それを開けると、中には新しい衣装が。
それを見ながら全員歓喜の声を上げる。
「おぉー!かすみんにぴったりな可愛い衣装ですねぇ!」
「これ、鉄華団みたいでカッコいい!璃奈ちゃんボード『すげぇよ服飾同好会は』」
「んふふ~、彼方ちゃんの希望通りの衣装だよぉ。」
「良かったね皆!」
「見てください!私たちの衣装、ソレスタルビーイングのガンダムマイスターみたいじゃないですか!!感激です!」
「色は私たちに合わせてくれてるんだね。」
「私の希望したイノベイター風の衣装は無いですよねやっぱり……。でもすごくカッコいいです!」
「愛さん達のこれって、宇宙世紀系のやつ?」
「ジオンっていうのの制服らしいわよ。色はオレンジと紺色だけどね。」
事前に打ち合わせして、各ユニットで歌う作品の衣装を用意してもらった。
QU4RTZは『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の鉄華団風、A・ZU・NAは『機動戦士ガンダムOO』のソレスタルビーイング風、DiverDivaは宇宙世紀シリーズのネオ・ジオン軍風。
自分たちの衣装に皆が目を輝かせていると、侑が皆の前に立った。
「皆!今日のために、全員で頑張って来たんだ!応援してくれるファンの為に、手伝ってくれた学校のみんなのために、何より自分たちが目いっぱいときめくために、今日は最高のライブにしよう!」
「「「はい!!」」」
~~
ライブが始まるまで残り40分を切ったところで、ようやくヒロトは駅に到着した。
カザミの乗っているはずの電車が来るまでは約20分……タクシーを使えばなんとか間に合うかもしれない。
少し早く来過ぎたかなと思いながら、ヒロトは休憩をしようと自動販売機に飲み物を買いに行く。
自動販売機の前で小銭を持ったまま、何を買おうか悩んでいると、彼の後ろでガシャン!という音が聞こえ、後ろを振り返った。
「うっ……いててて……。」
「! 大丈夫ですか!?」
振り返った先には、ヒロトと同じ年ぐらいの女の子が、車椅子ごと倒れこんでいた。
ヒロトは慌てて駆け寄りその子を起こすと、女の子はヒロトにか細い声でお礼を言った。
「あ……ありがとうございます……。」
「段差に引っかかったのかな……大丈夫?」
「はい……助かりました……。」
その時、思わずヒロトの目は彼女の左足に向いてしまった。
ロングスカートを履いていて目立たなかったが、さっきこけた時に確かに見えた。
彼女の左足は、明らかに作り物だった。
「すいません、お見苦しい物を見せてしまいまして……。」
「そんな事無いよ。こっちこそ、見せたくないものを見てしまって、すまない…。」
「いいえ……少し前に、事故で……。」
「……あ、君、これも落ちてる。」
「あ……の、ノワール!!」
彼女がこけた拍子に落した鞄を拾い上げたヒロト。
だがそれを見た彼女は、先ほどとは明らかに態度が変わり、目の色を変えてヒロトが拾ってくれた鞄を奪い取った。
彼女は鞄の中身を取り出すと、それの無事を確認してホッと胸をなでおろす。
そんな様子をポカンと見ていたヒロトに気が付くと、彼女はハッとして顔を赤くしながら深々と頭を下げた。
「ご……ごめんなさい!!助けてくれたのに……こんなひどい事……。」
「ううん、大事なものなんだろ?そのガンプラ。」
「はい……とても……。」
彼女が鞄から出したのは、ガンプラ。
HG規格の物で、とてもよく作りこまれていた。
「私のお友達の、バンシィ・ノワールって言うんです。」
「リディのノルンの方じゃなくて、マリーダのバンシィをイメージしてるのか?」
「はい。私、UCのマリーダが大好きで……今日はこの子と一緒に、UC系のミッションをやろうかなって思って来たんです……。」
彼女の持つガンプラのベース機は、『機動戦士ガンダムUC』に登場する『バンシィ』と呼ばれるMS。
後継機のバンシィ・ノルンはもう一人の主人公が乗る機体であり人気も高いが、通常のバンシィは乗り込むパイロットがクシャトリヤのイメージが強い為か、RGなどでは一般販売されていなかったりする機体だ。
「あ、すいません……私、そろそろ時間みたいです……あの、あなたはどちらまで?」
「あぁ。俺は友達と合流してから、ライブを見に行く約束をしてるんだ。虹ヶ咲学園ってところの、スクールアイドルの。」
「虹ヶ咲学園……スクールアイドル同好会……。」
「知ってるのか?」
「えぇ、まぁ。そうですか……では、さようなら、BUILD DiVERSの、クガ・ヒロトさん。」
「え……どうして、俺の名を……君は……!」
「おーい!ヒロトー!!」
カザミの声が聞こえ、一瞬振り返ったヒロト。
その先では、カザミがヒロトへ手を振っていた。
次に目線を戻した時には、すでにヒロトの前からバンシィの少女の姿は消えており、ヒロトはまるで夢を見ていたかのような感覚に陥る。
「今の子は……いったい……!?」
「いやー、悪い悪い遅れちまってよー!あれ?どうしたヒロト?」
「カザミ……今、俺の前に女の子がいなかったか?」
「はぁ?いやぁ、そんなに注意深くは見てねーけどよ……なんかあったのか?」
「………いや、なんでもない。早く行こう。侑たちに席も用意してもらってるんだ。遅くなったら悪い。」
「だな!ヘイ!タクシー!!」
~~
GBNの特設ステージ。
そこは、ガンダムOOの最終回で、刹那・F・セイエイが乗るガンダムエクシアリペアIIが、リボンズ・アルマークの乗るOガンダムとの最終決戦を繰り広げた場所。
そんなステージで、ボロボロになりながらも戦う二体のガンプラがいた。
一体はチャンピオンであるクジョウ・キョウヤの操る『ガンダムTRYAGEマグナム』
トライエイジシステムを唯一搭載する、GBN最強のガンプラ。
そんなキョウヤのTRYAGEマグナムだが、今はほとんどの武装が破損し、腕も片方失っているような満身創痍の状態。
そして、彼の目線の先にいるのは、このステージで戦うふさわしいガンプラ……ベース機はもちろん、ダブルオーガンダム。
「素晴らしい……素晴らしいガンプラだよ、リクくん……!見事だ……。」
「ありがとうございますチャンピオン……!これが、俺とヒロトが作り上げた……最強のダブルオーです!!」
そのダブルオーは、背中に巨大な支援機を背負い、両腕にはGNソードIIIに似た剣を装備している。
設定上存在するダブルオーガンダムの最強形態であるダブルオーザンライザーによく似たそのガンプラは、緑色の光の翼を広げながらゆっくりと降りてきた。
チャンピオンと戦った事で、ダブルオーもかなりのダメージを受けており、着陸と同時に膝をつく。
「新たなるダブルオー……イオリ・セイと戦うに、相応しい機体だな!」
「絶対に勝ってみせます!そしていつか、あなたを超えて見せる。」
「その意気だ、リクくん!」
着陸した新ダブルオーから降りてきたダイバー……ミカミ・リク、ダイバーネーム『リク』は、チャンピオンであるクジョウ・キョウヤに一礼。
すると、ダブルオーの中からもう一人のダイバー……ELダイバー『サラ』も降りてきて、リクに声を掛けた。
「リク、お疲れ様。」
「うん!サラも、今日は付き合ってくれてありがとう!」
「ダブルオーも嬉しがってる。強くしてくれて、ありがとうって。ところでリク、時間は大丈夫?」
「あ、そうだった!急がないと!」
「用事かい?」
「はい。今日は久しぶりに、ユッキーやモモたちと会おうと思うんです。ライブに誘われてて……最近断ってばかりだったし、行こうかなって。今から行けば、1時間ぐらいで着くと思うんで。」
「ほう、それはいいね。そういえば、私の旧友も今日ライブに出演すると言っていたな。もしかすると、同じライブかもしれないね。」
「そうかもしれないですね。それじゃあ、今日はありがとうございました、キョウヤさん!」
「再来月のガンフェス、楽しみにしているよ、リクくん!」
そう言って別れ、リクとサラはログアウトして行った。
バグの件や蘇ったマスダイバーなど、まだまだ問題が山積みのGBN。
しかし、彼の様な未来ある若者がいれば、きっとGBNの未来は明るいものとなる。
キョウヤはボロボロになったTRYAGEマグナムに手を触れながら、GBNの未来に思いを馳せた。
~~
なんとか開会に間に合ったヒロトとカザミの二人は、すでに席についていたヒナタから声を掛けられ、急いで席に座った。
すでにステージの上では制服姿の侑がマイクを持って立っており、そのことにヒロトとカザミは頭をかしげる。
「侑だけ制服のままじゃないか。」
「最後の方に歌うからまだ着替えてないんじゃね?」
「知らなかったの二人とも?侑ちゃんは司会進行するだけで、スクールアイドルじゃないんだよ?」
「「「「『え、そうなの?』」」」」
「全員知らなかったのかー……。」
彼方や果林と仲の良いヒナタ以外、同好会の事情については一切知らない模様。
するとヒロト達の隣から、彼らに声を掛ける人物が。
「フッフッフ、括目して見るといいワ!」
「えっと……どちら様で?」
「あなた達、この鐘嵐珠(ショウ ランジュ)を知らないの?まぁ、いいワ。彼女たちのパフォーマンスはとても素晴らしいワよ!」
「はぁ……そうなんですか……。」
『なんなんだお前は?』
「あら、可愛らしいお人形さんもいるのね。無問題ラ!私の事を知らないなら、今度はスクールアイドル部のライブに招待してあげるワ!」
「なぁヒロト、この人……どえらい美人さんだよなぁ!」
「マイヤに言いつけるぞ。」
「そろそろ静かにしろお前たち。高咲が喋るぞ。」
マサキが少し圧を掛けて言うと、ヒロトとカザミとランジュは黙った。
時間になると、照明が侑を照らし始めた。
「みなさん、今日は虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のユニットライブへお越しいただき、本当にありがとうございます!いつもはソロで活動をしている私たちスクールアイドル同好会ですが、今日はそんな彼女たちが手を取り合い、皆さんからの投票で決定したユニットを組んで歌います!さらに!今日のステージはスペシャルバージョン!それぞれのユニットから一曲ずつ、ガンダムシリーズの曲を歌っちゃいます!最後にはもっと特別なスペシャルステージもあるので、どうぞ最後まで楽しんで、ときめいて行ってくださいね!!」
「「「おーーーーー!!」」」
「凄い声援だな……。」
「これだけの人達に応援されるなんてすごいですよね!モルジアーナもそう言ってます!」
大勢の歓声を聞きながら、驚くBUILD DiVERS達。
ステージの上から侑が引っ込むと、突如煙が噴き出した。
それに全員驚いたが、煙が止んだ瞬間、それを蹴り破って現れた二人のスクールアイドル。
DiverDivaだ。
「皆に質問します。今日一番セクシーで情熱的なパフォーマンスをするのはー?」
「「「「果林せんぱーーーい!!!」」」」
「私しか見えていないのはー?」
「「「「はーーーーい!!!」」」」
「今日の狙いは君に、き・め・た♪セクシー系スクールアイドルの朝香果林よ!皆、今日は皆を釘付けにしちゃうわよ!」
「愛友の皆ー!愛してるよーーー!!」
「「「俺もー!」」」
「「「私もーー!!」」」
『私もー。』
「メイさん!?」
「ってことで、ハイタッチしたらハイ!タッくさん友達できたね!なんつって!スマイル系スクールアイドルの、宮下愛だよー!!今日は果林と二人でブチ上げていくから、応援よろしくー!!」
いつもGBNで良く見る二人。
だが、ステージで見る彼女たちは、GBNとは違う、もっと特別な輝きが見えた。
まず二人が始めた曲は、『SUPER NOVA』
果林のセクシーさと、愛の元気さが見事にマッチした曲。
歌詞にある通り、まさしく『自由自在』な振り付けやテンポが魅力的な曲だった。
次に披露する曲は、『Love Triangle』
先曲とは違い、同じ人を好きなった三角関係を描いた恋愛ソング。
果林と愛からは想像できない様な曲調だったが、にもかかわらず二人の声やダンスとベストマッチしていて、聞いていて思わずヒナタは泣いた。
「何泣いてるんだよヒナタ……。」
「うぅ……ごめんね……なんだか感動しちゃって……。」
「わかるワ!あの二人のダンス、素晴らしいワよね!あなた話わかる人ね、今度一緒にビュッフェ行かない?」
「まだ一組目なのに、これじゃ先が思いやられるな……。」
『Love Triangle』を歌い終わると、二人はいったんステージの裏に引っ込み、侑が用意してくれた衣装へ着替える。
ジオン軍の隊服風の衣装に着替えた果林と愛がステージに出てくると、会場がさらにヒートアップ。
「さぁ、続いては今日の目玉よ!」
「愛さんと果林が歌うのは、『機動戦士Zガンダム』から、『水の星へ愛をこめて』!愛、だけに!!」
愛がそう言った瞬間、ガンダムファンには聞きなれたBGMが聞こえてきた。
ステージから噴水のように水が噴き上げ、一部歌詞では実際に炎が噴き上げる。
先ほどの『Love Triangle』よりも、さらにしっとりと歌う今歌だが、果林のセクシーさや、愛が時折見せる色気のある表情と見事にマッチしていた。
この機動戦士Zガンダムは、果林の使うキュベレイが初登場した作品でもあり、それゆえのチョイスであろう。
気づいた時には、マサキはサイリウムを手に持ち、一心不乱に振っていた。
「いえーい!!サンキュー!」
「次はA・ZU・NAの3人よ!皆ー!引き続き応援よろしくねー!」
歌が終わり、後ろに下がる愛と果林。
それと同時にステージの後ろの大画面モニターに遊園地の様な映像が映し出された。
『A・ZU・NAランド』と書かれており、続いて舞台袖から3人のスクールアイドルが姿を見せる。
A・ZU・NAの3人だ。
「地球の皆~!ただいま~!」
「「「おかえり~!!」」」
「宇宙に届くくらい大きい声を聞かせてください!せーの!」
「「「歩夢ー!!」」」
「あーーーゆーーーーむーーーーー!!!!」
「ちょっ、侑先輩声大きすぎですよ!下がってください!」
「ありがとうございます!宇宙一幸せです!まごころ系スクールアイドルの上原歩夢です。DiverDivaに負けないぐらい、一生懸命歌います!最後まで見て行ってください!」
「人生、下り坂、上り坂でもやっぱり~?」
「「「おうさかーー!!」」」
「演技もスクールアイドルも頑張ります!演技派系スクールアイドル、桜坂しずくです!今日は、皆さんの理想のスクールアイドルを演じさせていただきますね!」
「みなさん見てください!しずくさんですよ!」
「しずこーーーーー!!!師匠はここで見てるぞーーーーー!!!」
「? 今、タイガーウルフさんの声が聞こえたような……?」
「あれ!?みなさん!!邪悪なものに取り憑かれてますよ!?」
「「「助けてー!!」」」
「せつ菜☆スカーレットストーム!!!」
「「「うおおおおおおおおお!!!」」」
「ふぅ、今日もまた世界を救ってしまいました!!本気系スクールアイドルの優木せつ菜です!!私たちの大好きな気持ちを、皆さんに……いえ、世界中に届けて見せます!!行きますよ!!うぉおおおおおお!!!」
出てきたA・ZU・NAの3人。
歩夢としずくのコーレスの時に、聞き覚えのある大声が聞こえたが、気のせいだろう。
すぐ近くにシャフリヤールのリアルのリュックと、タイガーウルフのリアルのオオガミ・コタローらしき男がいるが、気のせいだろう。
A・ZU・NAの1曲目は『Dream Land! Dream World』
後ろのモニターにも映し出されている、『A・ZU・NAランド』という架空のテーマパークをイメージした楽曲。
軽めのテンポとステップが聞いていて心地よく、聞いてるだけで元気をもらえるような曲だった。
途中にセリフの様な物も入り、それがまた聞いていて楽しい。
続いて披露された曲は『Cheer for you!!』
雰囲気は先ほどの『Dream Land! Dream World』と似ている。
サビの部分は聞いていると思わず自分もリズムに乗ってしまうほど。
その為、さっきのコタローらしき男とリュックらしき男が小刻みに肩を揺らしている。
「おい、そのリズムに乗るをやめないか。うっとおしくてしょうがない。」
「あぁん?そういうお前も乗ってるじゃねぇか。」
「お前みたいに図体だけでかいヤツが小刻みに震えるなと言ったんだよ。」
「喧嘩売ってんのかてめぇ?」
「売るどころかただで配ってるんだよ。」
「あぁ……あれ、間違いなく兄さんとコタローさんだ……せっかくのしずくさん達のステージなのに喧嘩するだなんて……。」
「ほらほら見なさいよ坊や!あの3人めちゃくちゃ可愛いでしょ!!」
「あ、あのランジュさん……見にくいので、腕を放していただけると助かります……。」
「無問題ラ!」
「いえ……モーマンタイじゃないです……すいません……。」
2曲目が終わると、先ほどと同じように3人も衣装を変える為に引っ込んだ。
再び出てきた彼女たちの服装は、ガンダムOOに登場する主人公も所属していた組織『ソレスタルビーイング』の制服にそっくりだ。
「私たちが歌うのは、『機動戦士ガンダムOO』から、『儚くも永久のカナシ』です!」
「いつもとは一味違うA・ZU・NAのステージを見て行ってくださいね!」
「それじゃあ、皆さん一緒に行きますよ!!私が……いや、私たちが、ガンダムだあああああああ!!!!」
後ろのモニターの映像が淡い赤に変わり、まるで3人がトランザムしているかのような演出になった。
3人の動きに合わせてモニターの映像も動き、歩夢達がGN粒子を放出しているように見えるようになっている。
歩夢の使うガンプラはSeed系だが、せつ菜としずくが共にOO系のガンプラを使っている故の曲のチョイスなのだろうが、何故かこの曲は歩夢が歌うのが妙に様になっていた。
歩夢のソロパートになると、せつ菜が刹那・F・セイエイとガンダムエクシア、しずくがリボンズ・アルマークとOガンダムを演じながら歩夢の周りで戦う演技が入り、動作の細かさから同じくOO系を使うリュックが関心した。
「A・ZU・NA!未来を切り開きました!!」
「ありがとうございました!続いてはQU4RTZの4人の登場です!」
「今度演劇部でOOをやりますので、そちらもよければ是非!」
最後まで手を振りながら、A・ZU・NAは裏に引っ込み、次のユニットにバトンタッチ。
大型モニターに、今度はおしゃれな街の風景が映し出され、舞台袖から4人のスクールアイドルが顔を見せる。
QU4RTZだった。
「Zzz……。」
「「「彼方ちゃん起きて~!!」」」
「起きろ近江ーーーー!!!」
「お目覚めください彼方姫ーーーーー!!!」
「お姉ちゃーーーん!!」
「はっ!ここはどこ……?」
「「「虹ヶ咲学園~!!」」」
「今日もいい夢見ようね~。マイペース系スクールアイドルの~、近江彼方ちゃんで~す。今日はQU4RTZの4人で、皆に夢の世界を届けちゃうよ~!」
「エマージェンシー!お疲れの方はいませんかー?」
「「「はーい!」」」
「マイナスイオン放出~!癒し系スクールアイドルのエマ・ヴェルデです!今日は私のライブで癒されて、いっぱいエモエモになろうね!」
「みーんなのプリンセス!かすみんだよー!」
「「「かすかすー!」」」
「かすかすじゃなくて、かすみんですーー!!」
「「「可愛いよー!」」」
「えへっ、ありがとう♡小悪魔系スクールアイドルのかすみんこと、中須かすみでーす!皆ー!かすみんの為に来てくれてありがとー!」
「こ、こんにちわ……恥ずかしくて、何を言っていいのかわからない……。」
「「「天使!天才!天王寺ー!」」」
「そうかな……でも、璃奈ちゃんボード『てれてれ』。キュート系スクールアイドルの天王寺璃奈です。ユニットライブのトリ……頑張る!璃奈ちゃんボード『むんっ!』」
QU4RTZの登場に盛り上がる会場。
特に彼方の入場の時は、ガンプラバトル同好会兼近江彼方姫親衛隊が大騒ぎするので、それを見た彼方は若干顔が引きつった。
いつのまにか、ツカサとコウイチも紫色のペンライトを持って……いや違う、あれは紫色のガンダムマーカーだ。
QU4RTZの最初の曲は『Sing & Smile!!』
この4人らしいゆったりとした曲調で、かすみと璃奈の可愛らしい歌声に、彼方とエマの優しい声が混ざり合い美しい音を奏でている。
非常に美しい音色で、一度聞くだけで心が穏やかになれるような曲だった。
ユニット毎の専用曲としては最後になる2曲目は『Beautiful Moonlight』
先ほどの曲よりは少しテンポの速い曲だったが、同じように聞いていて気持ちの良い音色。
安らかな気持ちになり、心がとても優しくなるような曲。
「素晴らしい歌声だ……愛を感じるね。」
「彼方姫ーーーーー!!!素晴らしいーーーーー!!!」
「……なぁ、さっきから、あの彼方って子の出番の時に騒いでる連中なんなんだ……?」
「親衛隊だって。この間、バイト先にも来てたよ。ヒロトも見た事あるでしょ?」
「あぁ、あの子たちか。」
「ガンプラバトル同好会よ!この間、スクールアイドルのお話をしようと思ってランチに誘ったら彼方の事ばかり話してたワ!あれは相当惚れ込んでるワね!」
「彼方ちゃん、大分参ってるみたいだけどね……。」
2曲歌い終わると、彼女たちも先の二組と同じように裏に戻り、着替えてきた。
しかし、出てきた彼女たちの服装は、先ほどまでの清楚なワンピース姿とは打って変わり、かすみ以外は薄汚れたジャケットに鉄華団のマークが描かれており、かすみの服装はアトラ・ミクスタの服装をアイドル風にアレンジしたものだった。
「それじゃあ、最後の曲を歌うね!」
「私たちが歌うのは、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の第二期のオープニングテーマ。」
「『RAGE OF DUST』です!かわいいかすみん達が、見事カッコよく歌っちゃいますよー!」
「今からの彼方ちゃん達は、いつもとは一味違うよ~。じゃあ……行くよ、皆。」
彼方が静かにそういうと、大爆音のBGMと共に、軽音部によるギター演奏が始まった。
今までの穏やかな雰囲気から一遍、4人はマイクを手に取り激しく歌い始める。
特にセンターを務めた彼方は、本作の主役機であるガンダムバルバトスの戦闘スタイルのように激しく動き回り、いつもの彼女のスタイルを知る観客を唖然とさせる。
いつもとは全く違う、カッコいい彼女の姿を見て、当然ガンプラバトル同好会兼近江彼方姫親衛隊は、彼方に惚れ直した。
「ふぅ~……終わったよ、皆~!」
「って彼方先輩!歌い終わった途端いつもの気の抜けたスタイルに戻るのやめてくださいよ!」
「草だよー。」
「この後は、スペシャルステージ!皆で集合!」
最後に璃奈ちゃんボードを掲げて、QU4RTZは下がって行った。
~~
「お疲れ皆!すごくカッコよかったよ!」
「彼方ちゃん、当分あんな激しいステージは勘弁だよぉ……。」
後ろに下がったQU4RTZに、侑が次の衣装を持ってきた。
すでに他のメンバーは同じ衣装に着替えていて、彼方たちも急いでその衣装に着替える。
それを見ていた栞子にも侑が同じ衣装を持ってきて、彼女に渡した。
「はい!栞子ちゃんの衣装だよ!」
「私の……嬉しいです、侑さん!」
「それにしても驚いたよね。」
「何がですか歩夢さん?」
「この前のガンプラバトルで優勝した時だよ。栞子ちゃん言ったでしょ?」
(私、皆さんが9人で歌っている曲を一緒に歌いです!)
「って。あれ、嬉しかったなぁ。」
「す、すいません……わがままを言ってしまって……。」
「全然わがままなんかじゃないって!ほら、早く着替えて!ステージはすぐそこだよ!」
「はい!!」
~~
数分後、ステージの上に同好会メンバーが並んだ。
その中には今までいなかった栞子の姿もあり、彼女の衣装は他の9人と同じく、青と白のカラーリングの衣装となっている。
他の9人が見守る中、歩夢と共にこの曲のセンターを務める栞子に、マイクが手渡された。
彼女は恐る恐るそれを受け取ると、先ほどの皆と同じように、自分のコール&レスポンスを行った。
「あ……あなた達には、ある適正が備わっています!」
「「「なんですかー!?」」」
「! そ、それは……このライブを、全力で楽しむ適正です!!」
「「「いえーーーーい!!」」」
「虹ヶ咲学園生徒会長……いえ、まっすぐ系スクールアイドルの、三船栞子と申します!本来、参加予定の無かった私ですが、皆さんのおかげで、参加させていただけることとなりました!今日は、私の好きな同好会の方々と一緒に、私の好きなこの学園で、私の好きな皆さんに、大好きな歌を届けたいと思います!!」
スクールアイドルフェスティバル以来、栞子としては初めてとなる同好会としてのライブ。
マイクを握りしめながら、大声で会場へ向けて叫んだ。
「聞いてください!!同好会の10人で歌う……『虹色Passions!』」
歩夢と栞子の歌い出しから始まった、9人時代の代表曲『虹色Passions!』
9人で歌う為の曲だったが、実は歩夢のパートだけ他より少し長めであり、栞子と分担する事で10人曲としても歌えた。
いつもはバラバラな彼女たちだが、今この瞬間は、どんなスクールアイドルや、どんなフォースよりも、心は一つだった。
「ほらほら見なさいよあなた達!!あの子、私の幼馴染なのよ!可愛いでしょ!!」
「え!?ランジュさん、栞子ちゃんの幼馴染なの……?」
「はぁ~……今日は満足したわ!じゃあ、私は行くわね。拜拜(バイバイ)!」
栞子のライブを見れて満足したのか、ランジュはBUILD DiVERSの下から離れて行った。
途中、一人の少年がライブ会場に入り、ランジュとすれ違うと、そのまま彼はモモカやユキオのいる場所まで走る。
彼と、彼の肩に乗っていた小さな女の子の存在に気が付いたユキオは、彼に大きく手を振った。
そして、今回のユニットライブは、10人による『虹色Passions!』を持ってついに閉幕となった。
~~
「皆お疲れ~!!すっっごくときめいちゃったよ~!!」
「わっ!もう、侑ちゃんいきなり抱き着かないでよ~。」
「だって滅茶苦茶素敵なライブだったんだよ~!!」
最後の挨拶をして、解散となると、侑はすぐさま歩夢と抱き着いた。
全員やりきった顔をしており、初めて9人の曲を一緒に歌った栞子もとても楽しそうだった。
そんな彼女たちの下へ、ヒロト達やリュック、コタローがやって来た。
「皆すごく楽しかったよ!今日はありがとう!」
「ヒナタちゃん、来てくれていたのね。」
「果林ちゃん達のステージすごくカッコよかった!彼方ちゃんとエマちゃんの鉄血の曲もすっごく良い!私感動しちゃった!」
「ありがと~。」
「嬉しみが深いね。」
「しずこ!!いいライブだったぜ!!俺は感動で……涙が……くぅぅぅ!!」
「え?もしかして、タイガーウルフ師匠なんですか!?………人間だったんだ……。」
「おいこら、そりゃどういう意味だ。」
それぞれが感想を言いながら、同好会を褒め倒す。
途中、パトリックがランジュの話をしたら、栞子は嬉しそうに『よかった』と零した。
本当に素晴らしいライブが出来た……自分は歌ってはいないが、侑も満足そうにうなずく。
すると、そこへ今度はモモカ達がやってきて、侑の手を取った。
「侑ちゃん、今日は誘ってくれてありがとう!すごく可愛かった!めちゃめちゃカッコよかった!」
「モモちゃんも来てくれてありがとう!ビルドダイバーズの皆、来てくれたんだ!」
「僕たちだけじゃないよ!ねっ、リッくん!」
「え?」
ユキオがそういうと、彼の後ろから、マサキと同じぐらいの背格好の、侑達と同じ年の少年が出てきた。
彼の肩にはメイと同じくガンプラボディのELダイバーが座っていて、彼は笑顔で侑達の下へ。
「初めまして!ビルドダイバーズの、ミカミ・リクです!皆の事はモモやコウイチさんから話は聞いてるよ。今日はこんな凄いライブに呼んでくれてありがとう!」
『サラは、サラです。皆、とっても楽しそうだった。最後の方しか見れなくてごめんなさい……でも、本当に感動したよ。』
「ビルドダイバーズの……リクさん……!?」
「まさか間に合うとは思わなかったよリクくん。ダブルオーの調整はもういいのかい?」
「ばっちりだよコウイチさん!」
思わぬゲストの登場に、侑は一瞬思考が停止した。
今まで同好会のライブにときめいていたのに、そこへ憧れのビルドダイバーズのエースが登場したことに、彼女の脳は処理が追い付いていけない。
やがて彼女の脳が正常に戻ると、侑は食い気味にリクへ顔を近づけた。
「あ、あの!!私、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の高咲侑です!!リクさんに憧れて、ガンプラバトルを始めました!!いつか、あなたみたいに強くなりたいと思ってます!!そしたら、私ともバトルしてください!!」
「俺達と……?」
「は、はい!!」
侑のその姿を見て、リクは3年前の事を思い出す。
まだGBNで右も左もわからなかった頃……オーガにコテンパンにされ、トランザムを使いこなせなかった自分の前に現れたチャンピオンのクジョウ・キョウヤ。
やたらデカい頂点にそびえ立つ壁である彼に、リクはかつてこんな事を言っていた。
(俺も、GBNの世界が大好きです!いつかあなたと戦いたい!戦えるようになれますか!?)
その時、キョウヤはリクにとても勇気づけられる一言をもらった。
そのリクが今、あの時のキョウヤの立場として、侑から同じように問われる。
ならば、リクの答えは決まっている。
あの時のキョウヤと同じように、リクは侑へと答えた。
「待ってるよ!」
「は……はい!!やった……やったよ歩夢!!私、ビルドダイバーズのリクさんともバトルの約束しちゃったよー!!」
「良かったね侑ちゃん!」
「うん!!」
「おーっと、その前に……一つ忘れちゃいねぇかな?」
喜ぶ侑やそれを見て笑うリク達の間に入り、そう言ったのはカザミだった。
彼はヒロト達と共に並ぶと、持ってきていた愛機『ガンダムイージスナイト』を侑や同好会のメンバーへと見せつける。
「まずは、俺達とのフォース戦だ!言っておくが手加減は無しだぜぇ!」
「……もちろん!私たちだって、絶対に負けないから!」
「いよいよ……侑達とのフォース戦……。」
『望むところだな。』
「楽しみですね!」
「熊はいかなる相手でも全力で戦いに応じる……決して臆する事無く、何度でも立ち上がる。」
握手を交わす侑とカザミ。
次はいよいよ、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会初のフォース戦『VS BUILD DiVERS』だ。
~にじビル毎回劇場~
第18回:ガンダムで一番好きなキャラ
歩夢「せつ菜ちゃんはやっぱりOOが好きなんだね。」
せつ菜「もちろんです!歩夢さんはSEEDですか?」
歩夢「うん。私、ルナマリア・ホークさんが好きなの!」
せつ菜「なるほど。確かに彼女に、歩夢さんのドリームインパルスはカラーリングも合いますよね。」
歩夢「せつ菜ちゃんは誰が一番好きなの?やっぱり主人公の刹那さん?」
せつ菜「刹那もいいですが、私はグラハム・エーカーが好きです!すごくカッコいいキャラなんですよ!ちょっと気持ち悪いところもありますが……それも含めて大好きです!」
歩夢「阿修羅をも凌駕する存在だー!の人だよね。」
せつ菜「パトリック・コーラサワーも好きですね。幸せのコーラサワーです!」
歩夢「好きな人と結ばれたのは嬉しかったよね。」
せつ菜「あと、ラッセ・アイオンも大好きなんです!!」
歩夢「……せつ菜ちゃんは不死身な人が好きなのかな?」