ダブルバトルトーナメント、決勝戦の土曜日当日。
栞子とせつ菜の二人は昼の12時から、3か月に一度開催される子供会のゴミ拾い大会に参加していた。
というのも、栞子は元々、趣味でボランティア活動に精を入れていて、今回のイベントも前々から予定していた物。
トーナメントの決勝戦は、今日は15時から開始の予定。
イベント終了が14時なので、終わって向かっても十分間に合う。
「栞子ちゃん、いつもありがとうね。スクールアイドルもやっているのに、大変でしょう?」
「いえ。好きでやっている事ですから。それに、今日は学校の先輩も一緒にお手伝いしてくれるので。」
「優木せつ菜と申します。お力になれるかはわかりませんが、どうかよろしくお願いします。」
「立派だねぇ。二人とも、よろしくね。」
「「はい!」」
今日の対戦相手は、世界大会でも活躍した手練れでもあるレナート兄弟。
普通なら決勝戦に向けて作戦を考えたりするはずだが、今回のボランティア活動はミッションエントリーよりもかなり前に予定されていたものであり、その為作戦会議は昨晩せつ菜の家に泊まり込みで行った。
休日はスクールアイドルの練習・ボランティア・GBNと多忙な栞子に興味を持ったせつ菜も、今日のボランティアを手伝いたいと言ってくれた。
子供たちを公園に集め、栞子は火ばさみとゴミ袋を手に、彼らへ言った。
「みなさん。今日はお姉さんたちと一緒に、頑張って街を綺麗にしましょうね。」
「「「はーい!」」」
素直に返事をしてくれる子供たち。
人の為に何かをしている時、栞子は嫌な事を忘れられた。
しかし、今日はその限りではない。
(実は今日、副会長からしおこさんの件で相談を受けたんです。)
昨日のせつ菜の言葉が気になり、昨日の夜はよく眠れなかった。
副会長が自分の事を快く思っていない事は知っている……そんな副会長の相談と言う事は、きっとよくない事なのだろう。
昨日、せつ菜の家に泊まった時に何度もせつ菜に副会長の事を尋ねようとしたが、勇気が出ずに結局聞けずじまいだった。
せつ菜の方も、栞子を不安にさせないためにその話題には触れないようにしていたが、逆効果だったようだ。
「……………。」
「お姉ちゃん、元気無いの?大丈夫?」
「ハッ!い、いえ……大丈夫ですよ。心配してくださってありがとうございます。」
「ぼく、お姉ちゃんたちのガンプラバトル、大好きでいつも見てるよ!今日もやるんでしょ!?ぼく、すごく楽しみ!」
「! はい!お姉さんたちのカッコいいところ、見ててくださいね!」
「うん!」
栞子を心配して顔を覗きこんできた低学年の男の子が、彼女の手を握ってきた。
男の子に引っ張られながら、栞子とせつ菜も街の美化に励み始めた。
~~
13時を過ぎたあたりで、虹ヶ咲学園に顔を出していた副会長。
昨日下校直前に、ガンプラバトル同好会兼近江彼方姫親衛隊(正式名称)から、ガンプラを使った彼方のソロイベントの申請を出されたため、その資料を簡単にまとめようと思って学校に来ていた。
さっと用事を済ませると、時計を気にする副会長。
今日はもうすぐ、せつ菜と栞子のダブルバトルトーナメントの決勝戦がある。
しかも相手はあのレナート兄弟だ。
(別に、あの子の事を応援したいわけじゃない……。でも、ちゃんと向き合わないのは、菜々に対して失礼よね……。)
そんな事を考えながら、生徒会室を後にする副会長は、ふらっとスクールアイドル同好会の部室の前を通った。
すると中から荷物を抱えた侑が飛び出して、副会長にぶつかりそうになった。
「うわっ!?」
「おっと……ごめんなさい、大丈夫ですか高咲さん?」
「あ、副会長。えへへ、こっちこそごめんね。ちゃんと前見て無くて。皆で衣装とか小道具の整理してたんだー。」
「そうなんですか……せつ菜ちゃんと三船さんは、来ていないんですね。」
「うん。二人とも今日は大事な用事があるんからお休みなんだ。」
「用事……ガンプラバトルですか?今日はいよいよ決勝戦ですからね。」
「それもそうなんだけど、今は二人ともボランティア活動に行ってるんだ。ほら、栞子ちゃんってよくボランティアに参加してるでしょ?せつ菜ちゃんもそれで一緒に。」
(そう言えば、前にそんな事聞いたような……あの子、そんな事もしてるんだ……。)
「ところで!!」
「はい?」
「副会長、もしかしてガンプラ好きなの!?今日の試合の事知ってたよね!?もー!それならそうと早く言ってくれればいいのに!!ねぇ、どのガンダムが好きなの!?私はユニコーンガンダムが好きなんだー!!」
「えっと……う、ウイングガンダムゼロ……。」
「ウイングガンダムかー!!そうそう!ウイングガンダムと言えばリカルド・フェリーニさんっていう人のバトルが凄くってね!!」
「ご、ごめんなさい!私、もう行かなくちゃ!」
以前もこうして侑に勢いで押された事のある副会長は、そそくさとその場を離脱。
下駄箱で靴を履きかえると、寄り道などせずにまっすぐに家路につく。
帰りながら空を見上げて、副会長はポツリとつぶやいた。
「……雲行きが怪しくなってきたわね……。」
~~
街の美化活動を始めてから1時間半が過ぎたあたりから、徐々に雲行きが怪しくなってきた。
今日の降水確率は20%ほどだったので、傘を持ってきている者などほとんどおらず、皆が不安げに空を見上げた。
場合によっては早めに切り上げなければならないだろう。
「嫌な天気ですね……。」
「そうですね。曇りでも、天気が持てばいいのですが……。」
せつ菜がそう言うと、やはりというか、少しずつ雨が降り始めた。
急いで全員美化活動を中断し、本部として設置されたテントへと急ぐ。
せつ菜が大人たちを、栞子が子供たちを誘導してテントへと入るが、本格的に大雨となり、テントだけではとても凌げそうに無かった。
その為、近くの公民館へと避難をした一同だが、その時の点呼の際、栞子がある事に気が付いた。
「……!? た、大変ですせつ菜さん!子供たちが一人足りません!」
「えぇ!?ど、どういう事ですか!?」
「さっき、私を心配してくれていた男の子……アスカ君がいないんです!!ど、どうしましょう!?」
「落ち着いてください栞子さん!誰か、アスカ君を知りませんか!?」
「そう言えば、さっきから姿が見えないなぁ?」
「大変!どうしましょう!?」
「急いで探せ探せ!アスカはまだ小さい!そう遠くへは行ってないはずだ!!」
先ほど元気のない栞子を心配してくれた、小学2年生の男の子の名前はアスカ。
名前がシン・アスカと似ているので、よく覚えている。
その子が、雨が降り始める数分前から姿を見せていない。
大人たちは大騒ぎになり、子供たちをその場で待機をさせると、急いで合羽を着て町中を探し始めた。
勿論栞子とせつ菜も探そうとするが、飛び出そうとするせつ菜の肩を、栞子が掴んだ。
「どうしたんですか栞子さん?急いで探さないと!」
「……せつ菜さん、アナタはGBNの方へ行ってください。」
「こ……こんな時に何を言ってるんですか!!」
「もうすぐ試合の時間です。このままでは失格になってしまいます。パートナーの途中参加は、重いペナルティがあるけど認められています……だから、あなたは行ってください。」
「で、ですが……!」
「私はあの子と約束をしたんです……カッコいいところを見せるって……。あの子は、私たちのガンプラバトルが大好きなんです。せつ菜さん、あの子の大好きを、守ってあげてください。」
「………わかりました。栞子さんが来るまで、絶対に持ち堪えて見せます。信じていますよ、栞子さん。」
「ありがとうございます。」
栞子がせつ菜に傘を渡すと、彼女は急いでガンダムベースへ走り出した。
雨で地面が滑りやすくなっているため、そこまで急げない……到着はギリギリになるだろう。
せつ菜を見送った栞子は、ボランティア団体の大人たちと共に、再び迷子になったアスカを探し始めた。
~~
まもなく試合開始の時間……それなのに姿を見せないセツナとしおこ。
リクとユッキーは、いち早く到着した同好会の9人と共に、彼女たちの到着を待っていた。
すでに闘技場にはレナート兄弟の操る二機のガンプラが待ち構えており、観客席で彼らはそれを心配そうに眺める。
「二人とも、どうしちゃったのかな……?」
「アユム達は何か聞いてる?」
「二人とも今日はボランティア活動に参加してから来るって言ってたけど……この雨だし、時間がかかってるのかな?」
「早くしないと失格になっちゃうよ~!!」
痺れを切らしたアイがそう言うと、セツナ達側のコーナーから、一機のガンプラが姿を見せた。
GN粒子を散布しながら入場してきた赤い機体……セツナのガンダムスカーレットエクシアだ。
「せ、セツナちゃんだけ?しおこちゃんは!?」
「あの二人は今日はずっと一緒なんじゃ無かったの?」
「そのはずなんだけど……どうしたんだろう、しおこちゃん……。」
アユムが心配する中、同じようにセツナ一人だけの登場に疑問をもったミスターMSが実況を続けた。
『おーっと!!これはどういう事や!?虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のしおことデスティニーフリーダムが来てへんでー!?セツナとガンダムスカーレットエクシア単騎での登場やーーーーー!!!』
「すいません、確認をよろしいでしょうか?」
『あぁ、はいはい。なんや?』
「パートナーの途中参戦は、ペナルティありで認められているんですよね?」
『そりゃ勿論!GBNは世界的なゲームやさかい人によって事情もあるやろうし、その辺は考慮されとるで!!ただし、途中参戦した場合は、その時点で二人のHPは最初からおった方のHPを半分にした状態でスタートや!ぶっちゃけ、的が増える分不利になるけど、それでええんか?』
「はい。それを聞いて安心しました。」
ミスターMSに確認を取ったセツナは機体のカメラをミスターMSからレナート兄弟へと向ける。
レナート兄弟の兄『マリオ・レナート』の操る機体はガンダムスローネアインの改造機『ガンダムレナートアイン』
弟『フリオ・レナート』はガンダムスローネツヴァイの改造機『ガンダムレナートツヴァイ』だ。
色は本来のスローネの赤ではなく、カーキ色に塗装されており、ところどころ傷だらけのウェザリング塗装を施していて、まさに『兵器』といった姿をしている。
『フリオ。』
『わかってるさ兄貴。たとえ相手が一人でも手は抜かない。』
『そうだ……それが、『戦争』だ。』
レナートアインとレナートツヴァイが構え、同時にスカーレットエクシアも臨戦態勢に。
『さぁ、泣いても笑ってもこれが最後の戦い!!GBNの戦争屋 レナート兄弟VS虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 セツナ!!ダブルバトルトーナメント決勝!!バトルスタートや!!!』
『マリオ・レナート、ガンダムレナートアイン。』
『フリオ・レナート!ガンダムレナートツヴァイ!出る!』
「セツナ!ガンダムスカーレットエクシア!目標を駆逐します!!」
先制攻撃を仕掛ける為、飛び出したスカーレットエクシア。
だが、彼女が一歩を踏み出した瞬間、突然足もとが爆発。
いきなりの事に驚いたセツナだったが、そこへ踏み込んできたレナートツヴァイがバスターソードで斬りかかった。
なんとか体勢を立て直して後ろへ避けるが、今度は背後から何者かに撃たれてしまった。
「うわぁぁぁ!?」
『さぁ、どうしたお嬢ちゃん!』
『調子に乗るなよフリオ。調子に乗るのは、勝利した時だけだ。』
よく見て見ると、スカーレットエクシアの背後にはガンダムスローネツヴァイに取り付けられているはずの、ファンネルに似た兵装である『GNファング』が浮遊していた。
だが、レナートツヴァイがそれを使用した形跡は無い。
となれば、考えられるのは一つだ。
「まさか……遠距離使用できる武器を、全て兄のマリオさんの機体に……!?だったら、まずはトランザムでマリオさんの方を……!」
レナートツヴァイをGNソードSSPで切払うと、セツナはトランザムを発動するためにいったん下がった。
モニターを操作し、いつものようにトランザムを発動。
『TRANS-AM』
「トランザム!!」
機体が赤く発光し、トランザムを発動したスカーレットエクシア。
そのままレナートアインを討とうとするが、突如スカーレットエクシアのエネルギーゲージが減少し始め、やがてトランザムが終了。
光を失い、スカーレットエクシアはその場に落ちた。
「な、何故!?トランザムが使えない!?」
『作戦通りだな、アニキ。』
『あぁ。このまま一気に仕留めるぞフリオ。』
幸い、トランザム切れとは違う現象のようで、スカーレットエクシアのGN粒子自体はまだ残っている。
機動力を失わずにレナートアインの狙撃を避けながら、レナートツヴァイと剣を交え始めた。
~~
『強すぎるレナート兄弟!!セツナ、手も足も出なーーーい!!いったいしおこはどうしたんやーーー!!』
自宅に戻り、部屋でダブルバトルトーナメント決勝戦をスマホで鑑賞していた副会長は唖然としていた。
何故か一人で戦うセツナが、レナート兄弟の操るガンダムレナートに手も足も出ていない。
レナート兄弟は試合開始と同時に小型のボムを辺りに散布して罠を張り、スカーレットエクシアの動きを完全に封じている。
「どうしてせつ菜ちゃんが一人で戦っているの!?三船さんは!?」
まさか逃げたのか……と、一瞬考えた。
だが、彼女の事を快く思っていない副会長でも、栞子が敵前逃亡するような子ではないという事はわかっている。
その時、先ほど学校で出会った侑の言葉を思い出した。
(栞子ちゃんってよくボランティアに参加してるでしょ?)
ボランティア活動……今日あるとすれば、街の美化活動ぐらいだろう。
だが、今外は大雨で、そんな事が出来る状態ではない。
「……まさか……何かトラブルに巻き込まれた……?」
そう思った時には、副会長は家を飛び出していた。
~~
それから数十分後……栞子はボランティア団体の大人たちと共に、迷子になったアスカを探して町中を走り回っていた。
すでに警察にも連絡は入れたが、大雨のせいで中々来れずにいるらしい。
子供が行きそうな場所は手当たり次第探したが、いまだ発見できずにいた。
「はぁ……はぁ……どこにいるんですか……!ハッ、そうだ!」
助けを呼ぼうと、栞子はポケットからスマホを取り出した。
恐らく今の時間帯、同好会メンバーは決勝戦の応援に行っている……だとすれば、電話には出ない。
ならばログインしていないGBNの仲間に助けを求める為、栞子は電話帳からモモカの名前を探し出した。
しかし、その時彼女の後ろから、前方不注意のバイクが走ってきて、彼女は咄嗟にそれを避けた。
「あ……!」
避けた拍子に、栞子はスマホを道路に落してしまった。
栞子のスマホはそのまま後続のバイクに踏まれ、粉々に。
「す、スマホが……!このままじゃ、助けが呼べません……どうすれば……誰か……誰か助けてください……!」
「三船さん。」
「お姉ちゃーーーーん!!」
「……え?ふ、副会長……?」
連絡手段を失い、途方に暮れていた栞子。
その時、誰かが栞子の肩を叩いた。
振り返ると、そこにいたのは虹ヶ咲学園生徒会の副会長と、同じく生徒会役員のメガネの双子『右月』と『左月』
何故この3人が?と、栞子が考えていると、副会長の傍らにいた少年に目が留まった。
行方不明になっていた少年……アスカだ。
「あ……アスカくん……?」
「お姉ちゃん……ご、ごめんなさ~い!!」
「無事だったんですね!良かった……!」
「お姉ちゃん、元気が無かったから……元気にしてあげようと思って、ぼく、うちからお気に入りのガンプラを持って来ようって思ったの……お姉ちゃんに使ってほしくて……そしたら迷子になって……うえ~~ん!!」
「いいんです……謝らなくていいんです……無事だったのなら、それでいいんですよ……!」
泣きながら栞子に、ガンプラのパーツを差し出し来たアスカ。
それは、600円ほどで販売しているデスティニーガンダムの簡易キットのアロンダイトだった。
栞子はそれを受け取ると、わんわん泣きじゃくるアスカをギュっと抱きしめた。
すると、副会長もアスカの頭を撫で、そのまま栞子をにらんだ。
「副会長……右月さん、左月さん……あなた達が、見つけてくれたんですか……?」
「えぇ。『たまたま』通りがかったら、この子、迷子だって言うじゃない。『栞子お姉ちゃんに会いたい』って言うから、連れて来てたの。」
「副会長、素直じゃないですね。」
「ホントホント。わざわざ私たちまで呼び出して必死に探してたのに……。」
「右月さん左月さん。」
「「すいません。」」
「……それより、」
そこまで言うと、副会長は再び栞子の肩を掴む。
今度はかなり力が入っていて、痛みで栞子の顔が少し歪んだ。
「何をしてるのアナタ!!今日は大事な決勝戦があるんでしょ!!」
「副会長、知っていたんですか……!?」
「あなた、前に菜々を生徒会長から降ろした時に言った事覚えてる!?好きなものを守るために、好きな事を諦めようとした菜々に、生徒会長の資格は無いって!!今のあなたはどうなの!!皆が正しく幸せになるために生徒会長になるとか言ってて、今のあなたは全然幸せそうじゃないじゃない!!」
「ッ……!だって、仕方がないじゃないですか!!人の命がかかっていたんですよ!!」
「わかってるわよそんなの!!今日の事だけじゃないわ!!」
栞子の肩を掴んで、激しく揺らす副会長。
その姿を、右月と左月は黙って見つめ、突然の事に栞子は困惑していた。
「私が言ってるのは、それ以前の話……人の為にとか言って自分の時間削ったり、反感を買うってわかってるのに意見を推し進めたり、幼馴染を一人にしたくないからって自分の好きな同好会を抜けようとしたり……この間だって、せつ菜ちゃんの為に自爆したでしょ!?あなたのやってる事は、ただの自己犠牲、自己満足なのよ!!」
「私はただ……皆に幸せになってほしくて……、」
「その『皆』に、自分を含めていないんでしょ?やっぱりあなたは変わっていない……菜々を生徒会長から降ろした癖に、自分が指摘した過ちと同じ過ちを繰り返そうとしてるあなたが、私は嫌い。」
「…………。」
『嫌い』という言葉は、少なからず言われた事がある。
だが、面と向かって、知り合いからそう言われた事は初めてで、胸が苦しくなった。
しかしその後、『でも……』と副会長は続けた。
「人の為に何かをしたいって思う気持ちは、嫌いじゃない。少なくとも私は、アナタのそういう所は評価してる。」
「副会長……。」
「菜々が言ってた、あなたを信じるって。私はまだ、アナタを信じようだなんて思う事は出来ないけど……菜々の言葉なら信じられる。もしあなたが、自分も含めて、ニジガクの皆を幸せにしたいって思うのなら……。」
「お、思うのなら?」
「来年度の生徒会長選挙に、もう一度出なさい。私も出ます。もし私が当選すれば、あなたは結局それまで……だけどそこであなたが、今度こそ皆の支持を集めてもう一度生徒会長になれたら、私はあなたを信じる。菜々が信じたあなたには、そうする義務がある。」
かつて、スクールアイドル活動を守るために生徒会長をやっていた菜々。
栞子との選挙戦に勝つため、菜々はスクールアイドル同好会を辞める決意をした。
そんな菜々を栞子は責め立て、生徒会長の座から降ろした。
それもこれも、ニジガクの生徒全員に、正しく幸せになってもらいたいからに他ならない。
しかし、今の栞子は、ニジガクの幸せを守るために、どんどん自分を追い詰めている。
それでも信じてくれた菜々に……せつ菜に報いる為、栞子は副会長の手を離し、強くうなずいた。
「……わかりました。私は、来年度も生徒会長選挙に出ます。今度こそ、正しくニジガクの皆の幸せを守ってみせます。」
「でも、その時は負けないから。」
「私も負けません。」
「……行きなさい、三船さん!せつ菜ちゃんが待ってるわ!」
「はい!!」
「頑張れ会長ー!」
「優勝したらサインくださいねー!」
「お姉ちゃん頑張ってーーー!!」
右月、左月、アスカが応援してくれる中、栞子は急いでガンダムベースを目指して走り出した。
~~
防戦一方のスカーレットエクシアは、辺りの罠に気を配りながら、レナート兄弟の攻撃を回避し続けていた。
恐らく、最初にセツナが踏んだ地雷の様なものは、米粒よりもさらに小さいサイズで作られた超小型の爆弾型のガンプラ。
それをレナートアインのGNドライブ内に収納し、GN粒子と共に散布しているのだろう。
だが、気になるのはトランザムが使用できなくなった今の状況……こんな事、今まで経験した事など無かった。
攻撃を回避しつつ、モニターでスカーレットエクシアの状態を調べ続ける。
「機体各部に異常無し……出力も正常……ならばなぜ……?あ、こ、これは!」
粒子貯蔵量のゲージが、不規則に点滅していた。
そこから調べていくと、セツナはついにスカーレットエクシアに発生している異常を突き止めた。
「エクシアの太陽炉が汚染されている……!これはまさか、疑似太陽炉の持つ、毒性のあるGN粒子!?」
レナートツヴァイが散布している赤いGN粒子は、疑似太陽炉と呼ばれるOOシリーズの敵機体に主に搭載された動力源。
エクシア達が持つオリジナルの太陽炉と異なり、量産化が容易なこの疑似太陽炉は、人体に害のあるGN粒子を散布する特性を持つ。
勿論、GBNでは人体に影響などでない……その代り、この毒性のあるGN粒子は、別の特性を与えられた。
トランザムが使用できない代りに、相手の機体を汚染し、トランザムを使用不可にする特性だ。
トランザムが使う為には、それなりのガンプラ技術が要求されるため、それに特攻しているこの疑似太陽炉を採用しているガンプラはほとんどいない。
しかし、レナート兄弟は戦争屋……この戦いで確実に勝つための、トランザム封じを講じてきた。
「このままでは……うわぁっ!?」
『捕まえたぜ、お嬢ちゃん。』
ついに、逃げ惑っていたスカーレットエクシアが、レナートツヴァイに捉えられた。
まずは視覚を封じる為、レナートツヴァイがスカーレットエクシアの頭部の右側を握りつぶした。
更に、右足の装甲をはぎ取り、スカーレットエクシアの左腕をももぎ取る。
その場に倒れたスカーレットエクシアのあまりにも痛々しい姿に、それを見ていた同好会メンバーたちは思わず目を伏せ、リクとユッキーは拳を握った。
「こ……こんなのガンプラバトルじゃない……!」
「セツナ……頑張れ……!」
『仲間に見捨てられて、可哀想だよなぁ。』
『フリオ、口が過ぎるぞ。』
『おっと、悪い悪い。』
「………ます……。」
『ん?』
「栞子さんは……絶対に来ます!!エクシアーーーー!!」
起き上がったスカーレットエクシアは、レナートツヴァイの右肩に、GNソードSSPを突き刺した。
なんとかGNソードをへし折り、脱出するレナートツヴァイだが、スカーレットエクシアが腹部に蹴りを喰らわせ、闘技場の端へと叩き込んだ。
今のHPが大きく削られたが、いまだにレナート兄弟は健在であり、レナートアインに至ってはいまだにノーダメージだ。
『右カメラの損傷、左腕の欠損、膝アーマーは剥がされて、自慢の武器は真っ二つ……まだ戦うつもりかい?お嬢ちゃん。』
「当たり前です!!栞子さんは、私と約束してくれたんです!!だから、絶対に来るんです!!」
『いいねぇ。諦めの悪い相手を圧倒し、蹂躙し、破壊する……戦争ってのは、こうあるべきだよなぁ。』
「戦争ではありません……!私のガンダムは、戦争のための兵器じゃない!!」
~~
昨晩、せつ菜の部屋で、せつ菜と栞子はレナート兄弟の過去の戦いを見て彼らを研究していたが、正直何の参考にもならなかった。
戦争屋を自称するだけあり、毎回違う戦法をとる彼らを前に、事前の作戦など今回のミッションに置いては無意味。
そうして別の話題になった時、せつ菜はふと栞子に尋ねた。
『栞子さんはデスティニーフリーダムに、『ガンダム』とはつけていないんですね。』
『えぇ。ガンダムって、正義の味方じゃないですか。ですが、せつ菜さん達の邪魔をしていた私が、ガンダムを名乗るのも、少しおこがましい気がしまして……。』
『そんな事ありませんよ。栞子さん、『OO』はご覧になりましたか?』
『いえ。私はまだSEEDの途中までしか……。』
『是非見てほしいんです!戦争根絶を目指すガンダムたちの熱いストーリー!皆の幸せを願う者であれば、ガンダムだろうと人だろうと、それこそ歌だって、ガンダムを名乗れるんですよ!』
『え……歌もガンダムなんですか?』
『はい!』
『す、すごい設定ですね……。でも、興味が湧いてきました。今度一緒に見てくれますか?』
『もちろんです!愛さんとも約束をしているので、3人で見ましょう!』
~~
ガンダムベースまでの道のりを走りながら、栞子は昨晩のことを思い出していた。
良く通る道は冠水により通行止め、スマホは壊れて、道路はぬかるんで思うように走れない。
すでに副会長たちに見送られてから30分以上経っているが、いまだにダイバーシティの建物すら見えてこない。
「はぁ……!はぁ……!は、早く……早く行かないと……!きゃあ!!」
疲労がたまり、少しの段差で躓いてしまった。
起き上がろうとしたが、足首を痛めてしまい、走ろうに走れない。
地面を張ってでも栞子は進むが、それでは絶対に辿り着けない。
「うっ……うぅ……!」
(私は栞子さんの事を嫌いになったりなんかしませんよ。)
(出場しましょうしおこさん!私たちのコンビネーションで、優勝を目指すんです!)
(いいのですか?相方が私で……。)
(しおこさんがいいんです!)
(信じていますよ、栞子さん。)
「うぅぅ~……!うわぁぁぁ!!ごめんなさい……ごめんなさい……!!副会長……右月さん、左月さん……!!ごめんなさい、せつ菜さん……!!皆さんに助けてもらったのに!信じてもらったのに!!私は、それすら守れません!!皆の幸せを守れない……私は、ガンダムにはなれませぇん!!!」
もはや、どうあがいても間に合わない。
常識で考えて、脚を怪我した栞子がここからガンダムベースに着いたとして、そんな長時間試合をやっているわけがない。
それでも何とか行こうとするが、体が言う事を聞いてくれない。
その場で泣き叫びながら、栞子は何度も顔をこすり付けて地面を殴った。
彼女に近づくバイク音が聞こえる。
だが、彼女の泣き声は、そのバイクのエンジン音より大きかった。
と、思うと、バイク音は栞子のすぐ傍で止まり、バイクのライダーが栞子へ話しかけてきた。
「何泣いてんのよ、栞子。らしくないワね。」
「………ランジュ?」
「ニーハオ!」
なんと、赤いバイクに乗ったライダーの正体は、鐘嵐珠。
彼女はヘルメットを栞子へ投げ渡すと、彼女を無理やりバイクの後ろへと乗せた。
驚きのあまり涙が引っ込んだ栞子は戸惑いながらもヘルメットをかぶる。
「ど、どうしてランジュがここに!?」
「言ったじゃない。バイクの免許取ったって。光栄に思いなさい!このアタシの同乗者第一号はあなたよ!」
「確かに言っていましたが……いえ、私が聞きたいのはそういう事では……!」
「無問題ラ!しっかりつかまりなさいよ!」
「え?ちょ、ちょっと……って、きゃーーーーーーー!!!」
栞子の返事を待たず、ランジュはエンジンを噴かせてバイクを急発進させた。
バイクであれば車の隙間を縫うように走れるため、ガンダムベースまで最短の時間で向かう事が出来る。
道中、栞子は改めてランジュに尋ねた。
「でも、何故あなたが!?」
「副カイチョー……?って子からさっき電話もらったのよ。栞子を送ってくれって。」
「副会長が?でも、何故ランジュと副会長が連絡を!?」
「あぁ、昨日ランジュがあの子をビュッフェに誘った時に、番号を交換したの!楽しかったワ!」
「……絶対無理やり聞き出しましたよね……?」
幼馴染のランジュは、昔から強引すぎる癖がある。
だが、今回はそのおかげで、栞子は救われた。
バイクを走らせる年上の幼馴染につかまる手に力を込め、栞子はランジュへ言った。
「バイクの運転は、校則違反です。反省文ですよ。」
「相変わらず固いワねぇ。」
「当然です。私は生徒会長なんですから!」
「いつもの調子に戻って来たなら、もっと飛ばすワよ!」
ランジュのおかげで、あっという間にガンダムベースへ到着した栞子。
すでに雨は上がっており、デスティニーフリーダムのガンプラに、アスカから受け取ったアロンダイトを取り付ける。
ヘルメットを脱ぎ、バイクから降りた栞子がガンダムベースの中へ急ぐと、それをランジュが呼び止めた。
「ねぇ、栞子!」
「はい?」
「楽しいの?ガンプラバトルって。」
「……はい!大好きです!!」
そう言って、栞子はランジュに深々と頭を下げ、ガンダムベースの中へ。
栞子を見届けると、ランジュは再びヘルメットをかぶり、その場を後にした。
~~
「いらっしゃいませー……って栞子ちゃん!?なんでそんなボロボロなの!?誰かに襲われたの!?」
「モモカさん、すいません……説明はあとでお願いします。」
「と、とりあえずタオルとか……、」
来店するや否や、雨や泥でボロボロになっている栞子を見て驚くモモカとコウイチ。
栞子はヨロヨロと筐体に腰かけると、ダイバーギアとデスティニーフリーダムをセット。
「一緒に戦いましょう、デスティニーフリーダム……せつ菜さん!!」
『ID data convert Please scan your Gunpla』
~~
地面に膝をついたスカーレットエクシア。
あまりに痛々しい姿に、同好会やリク達以外の観客全員が彼女から目を逸らしていた。
レナートツヴァイはあれから盛り返し、レナートアインの罠も駆使してスカーレットエクシアを徹底的に追い詰めた。
『悪く思うなよお嬢ちゃん。これが戦争ってやつだ。相手の兵力を根こそぎ潰して、完璧な勝利を国へ持ち帰る……これが俺達の、ガンプラバトルだ。』
バスターソードを振り上げたレナートツヴァイ。
もはやスカーレットエクシアにそれを躱すだけの力は残っていない。
勢いよく、レナートツヴァイがスカーレットエクシアへバスターソードを振り下ろす……その瞬間、セツナ側のコーナーから、翡翠色の光を放ちながら一体のガンプラが、空高く飛び上がり、巨大な剣『アロンダイト』を振り下ろしながらレナートツヴァイへと突っ込んできた。
「はあああああああああ!!!」
『なに!?ぐああああ!!!』
飛び込んできたのは、しおこの愛機 デスティニーフリーダム。
アスカから受け取ったアロンダイトでレナートツヴァイのバスターソードを切り裂き、彼を地面に斬り伏せた。
衝撃で闘技場に掛けられていたダブルバトルトーナメントの旗が地面に落ち、デスティニーフリーダムはそれを拾い上げると、スカーレットエクシアの失われた左腕を隠すようにそれを彼女に覆い被せた。
「せつ菜さん!!!」
「……来てくれると信じていましたよ、栞子さん……。」
「せつ菜さん……うっ!?」
その瞬間、デスティニーフリーダムのHPが突然急激に減少。
乱入ペナルティにより、スカーレットエクシアとのHPを共有されたためだ。
『なんと!!ここでしおこがようやく登場ーーーーー!!しかし、すでにセツナのHPは残りわずか!!こんな状況での乱入は、逆に不利になってしまうのでは!?これは目が離せへんでーーーーー!!!』
『へへっ……まさか、こんな所で乱入とは……想定外の事態、これこそが戦争だ……!』
「! まだ……まだ戦争がしたいのですか!!あなたたちは!!」
アロンダイトを構え、羽根を広げたデスティニーフリーダム。
そんなデスティニーフリーダムの肩を借りながら、スカーレットエクシアも再び立ち上がる。
二人のHPはすでに風前の灯であり、スカーレットエクシアに至ってはトランザムすら使えない。
絶体絶命でありながら、二体の瞳の光は消えていない。
絶対に勝つという思いが宿った光り……決意の光だ。
『ガンダムっていうのは、本来はジオン軍との戦争を目的として作られたMSだ。ガンダムは、戦争のための兵器なんだよ!!』
「いいえ、違います!!少なくとも、私のガンダムが戦う理由は、あなた達とは違う!!」
顔を見合わせ、走り出したスカーレットエクシアとデスティニーフリーダム。
迎え撃とうとするレナートツヴァイを、レナートアインが静止しようとするが、その静止を聞かずにレナートツヴァイは二機を相手に飛び出した。
毒性のあるGN粒子をまき散らしながら、光の翼を展開したデスティニーフリーダムとスカーレットエクシアと剣を交えた。
『ガンダムは……兵器だ!!』
「違う!!」
『なら、お前たちのガンダムは何のためにある!!』
「私たちは、皆に大好きを届ける為に!!幸せを届ける為に戦う!!」
アロンダイトで、レナートツヴァイのバスターソードを砕いた。
更に、腰のビームサーベルを手に取ると、デスティニーフリーダムはそれでレナートツヴァイの両腕を切り裂いた。
「私たちの歌で、ダンスで、そして、ガンプラバトルで……皆に幸せと、大好きを届ける、そんなスクールアイドルになるために!!」
今度はスカーレットエクシアがスカートに取り付けたGNブレイドロング&ショートの計二本をレナートツヴァイに突き刺し、更に残った右肩のGNビームダガーを手に取ったデスティニーフリーダムがそれをレナートツヴァイの顔面に。
「私たち、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会がそれを成す!!」
「ここから、私たちは変わる!!そうだ……!」
「私が!!」
「私たちが!!」
「「ガンダムだ!!!」」
最後に、折れたGNソードSSPをレナートツヴァイの胴体にねじ込み、そして、渾身の力を振り絞り、全部で7本の剣を使ってついにレナートツヴァイを真っ二つへと切裂いた。
『あ……アニキーーーーーー!!!』
爆発し、撃墜されたレナートツヴァイ。
その様子を見ていたレナートアインは、ツヴァイの残した武器を拾い上げる。
着地した二体は、折れたGNソードとひび割れたアロンダイトを構え、残った最後の敵……ガンダムレナートアインを見据えた。
「ガンダムスカーレットエクシアリペア……優木せつ菜!!未来を切り開く!!」
「ガンダム……!三船栞子……デスティニーフリーダムガンダム!!戦いを終わらせます!!」
『まさか、フリオを倒すとは……だが、お前たちの負けだよ。』
マリオがそう言うと、すでに彼は準備を完了していた。
彼の疑似太陽炉から放出されていた爆薬と、無数のGNファングが、すでにスカーレットエクシアリペアと、デスティニーフリーダムガンダムを包囲していた。
マリオの合図で、それらは一斉に二体を攻撃し始め、低威力ではあるものの、確実に二体の力を削り取っていく。
「くっ……!な、なんていう猛攻……!うわぁあああ!!!」
「せつ菜さん!!」
後ろへ飛ばされそうになるスカーレットエクシアを、デスティニーフリーダムが受け止めた。
彼女は光の翼を最大展開し、そのエネルギーを掌のパルマフィオキーナ砲を伝い、スカーレットエクシアのGNドライブへ送り届ける。
「あなたは私を支えてくれた……だから今度は私に、せつ菜さんを支えさせてください!!」
「はい!お願いします、栞子さん!!……エクシア……少しだけ、耐えてください……!トランザム!!!」
『TRANS-AM』
レナートツヴァイが撃墜された事で、毒性のあるGN粒子が薄くなり、セツナはトランザムを発動。
だが、それでもまだ本調子ではなく、出力が安定しない。
そんなスカーレットエクシアをデスティニーフリーダムが支え、二人の機体は、赤と翡翠色の光に包まれ始めた。
更に、折れたはずのGNソードSSPの刃から、赤いエネルギーの刃が出現し、それは会場よりもさらに巨大な光の剣に。
「あ……あの光は!!」
「どうしたのリクくん?」
「あれは……トランザム……インフィニティ……!?」
驚くリクの顔を、心配そうにのぞきこんだユウ。
『トランザム・インフィニティ』
それは、リクが考案した、ダブルオーのトランザムと、デスティニーの光の翼を融合させた、独自のトランザムシステム。
光の翼を使い、高濃度圧縮粒子の散布を加速させることで、通常のトランザム以上の力を発揮する事の出来る、ガンダムダブルオースカイの切り札。
確かに、セツナのスカーレットエクシアはダブルオーの前身のガンダムエクシアがベースであり、しおこのデスティニーフリーダムガンダムはデスティニーガンダムがベース。
発動条件自体は揃っているが、そう簡単に使えるような物ではない。
『FINISH MOVE 01』
「これが!!」
「私たちの!!」
ダブルオーライザーの必殺技である『ライザーソード』並みに巨大化した光の剣を、デスティニーフリーダムと共に振り下ろすスカーレットエクシア。
レナートアインはそれをGNファングで迎撃しようとするが、全て撃墜されてしまい、残った手段として、彼はそれをツヴァイのバスターソードで受け止めようとする。
『ぬぅぅ……!?こ、この威力は……!!』
「「決意の光だーーーーーーーー!!!」」
ついに、ガンダムスカーレットエクシアとデスティニーフリーダムガンダムの合体必殺技『デスティニースカーレットストーム』が、ガンダムレナートアインを切り裂いた。
巨大な光に包まれ、爆散するレナートアイン……それと同時に、試合終了のブザーが鳴り、ミスターMSの声が会場全体に鳴り響いた。
『決まったーーーーーー!!!セツナとしおこの友情パワーで、ついにあの強敵、レナート兄弟を打ち倒したーーーーー!!!ダブルバトルトーナメント……優勝は、フォース『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の、セツナとしおこに決定やーーーーーーーー!!!!』
会場全体から、二人へ盛大な拍手が贈られた。
満身創痍になりながらコックピットから出てきたセツナとしおこの前に、レナートアインとレナートツヴァイから降りてきたレナート兄弟がやって来た。
彼らは少し厳しい顔をしていたが、やがてその顔が緩むと、二人に拍手を贈った。
「負けたよ。お嬢ちゃん……良い友達を持ったじゃねぇか。」
「マリオさん……!はい!大好きです!!」
「せ、せつ菜さんやめてください……恥ずかしいです……。」
「お前さんも、こっちの嬢ちゃんに礼言っとけよ?お前さんが来るまでの間、ずーっと一人で俺達と戦ってたんだ。全く、大した根性だよな。」
「はい、私の尊敬する先輩です!」
「し、栞子さんも恥ずかしい事言わないでくださいよ……。」
~~
表彰式が始まり、優勝台へと上がるセツナとしおこ。
その姿をスマホ越しで右月、左月、アスカと共に見ていた副会長は、思わず口元が緩んだ。
「……おめでとう、二人とも。」
~~
翌々日の月曜日
菜々は副会長と共に、お昼ご飯を食べに学食に来ていた。
今日のおススメのメニューはオムライスであり、二人とも同じものを注文して席に着く。
「そう言えば三船さん、昨日風邪を引いたんですって?」
「えぇ。雨風に打たれたのが良くなかったようですが、今日は登校しているみたいですよ。」
「もう熱下がったの?」
「同好会の先輩でもある上原さんが献身的な看病をしてくださったそうです。しおぽむっていいですよね。」
「菜々って時々よくわからない事言うわね。」
「副会長!」
オムライスを食べていると、横から同じくオムライスを手に持った5人組が現れた。
栞子とかすみ、しずく、璃奈の1年生4人組と、スクールアイドル部のミア・テイラーだ。
「誰?」
「副会長さん。すごくいい人。」
「璃奈がそう言うならそうなんだろうね。」
ちなみに、ミアは璃奈と仲がいい。
オムライスのトレイを抱えたまま、栞子は深々と副会長へと頭を下げた。
「先日は、本当にありがとうございました!なんとお礼を言ったらいいのか……ありがとうという言葉では足りません……!私……私……!」
「……とりあえず、席に座ったら。」
「え?い、いいのですか……?」
「立ったままご飯食べるわけにもいかないでしょ?あなた達もどうぞ。」
「はーい!じゃあかすみん一番ー!」
「かすみさん!メッ!」
「えぇーん!しず子のいじわるー!」
同じテーブルに座る一同。
少し気まずい雰囲気になってはいるが、以前までの様なギスギスしたような空気は無かった。
やがて、ご飯を3分の一ほど食べ終わると、今度はそこへ更に、オムライスのトレイを持ったあの女が姿を見せた。
「ニーハオ!皆お待たせ!ランジュよ!!」
「誰も待って無いよ。」
「あら、ミアもいたのね?」
「げーっ!!なんでまた来るんですかヘンテコチャイナ!!」
「失礼な事言う子ね……。」
かすみ曰く『ヘンテコチャイナ』のランジュが出現。
彼女が狭い席に無理やり座ると、栞子は先ほどと同じようにランジュへ頭を下げた。
「ランジュも、ありがとうございました。」
「フフフ!これで同好会に貸しが一つね!」
「ブー!あなた貸しどころか邪魔してたじゃないですかー!!むしろまだそっちの返済終わってませんけどー!?」
「栞子、優勝おめでとうって言っておくワね。」
「聞いてくださいよかすみんの話を!!」
「そうだ!その件でランジュに渡したい物があるんです!」
「なになに?まさかプレゼント?」
笑顔で言う栞子が、鞄から一枚の紙を取り出した。
それをウキウキで受け取ったランジュだが、次の瞬間、彼女の顔は苦虫を噛み潰したような表情に早変わり。
「な、なによこれは!?」
「はい!『生徒は在学中に公道でバイク・自動車の運転をしてはならない。また、生徒の運転するそれらの物に同乗も禁ず』……と、言う事で、反省文です!明日の放課後までに提出してくださいね!」
「ちょ、ちょっと待ってよ栞子……ランジュはあなたを助けたのよ……?こ、この仕打ちはあんまりじゃないかしラ?」
「それについては心配いりません!」
そう言いながら、栞子は同じプリントをもう一枚取り出した。
すでにそこには『三船栞子』という名前が記入されており、栞子は笑顔でランジュへ言った。
「私も同罪なので、一緒に書きましょう!反省文!」
「嘘でしょー!?こんなのって無いワよ!!横暴よ!!」
「いえ。横暴ではありませんよ。どんな理由があろうとも、公道でのバイクの運転は校則で認められていませんから。いいではないですか、栞子さんも一緒に書くんですから、一人ではありませんよ。」
「モーマンタイです、ランジュ!」
「問題大ありよ!!!」
涙目になるランジュ、それを見ていい気味だと笑うかすみ。
そんな二人を見ながら全員笑い、副会長は栞子に尋ねた。
「三船さん。」
「は、はい!」
「今は、幸せ?」
副会長にそう尋ねられ、栞子はかすみ、しずく、璃奈、菜々を順番に見る。
そして、淀みのない、満面の笑顔で彼女は副会長へと答えた。
「はい!私、今すごく幸せです!!」
~にじビル毎回劇場~
第25回:もうすぐ……、
ヒロト「そう言えば、もうすぐ父さんと母さんの結婚記念日だ。」
彼方「へー、何かしてあげたりするの?」
ヒロト「毎年手伝いはしたりするけど、あまりそういうのを祝ってあげた事は無いな……。」
彼方「えー、ダメだよー。家族はちゃーんと大切にしないとね。」
ヒロト「彼方は家族の為に、そういう事をしてあげたりするのか?」
彼方「もちろんだよ~。うちはお父さんは単身赴任で、お母さんは夜勤だけど、お誕生日とか結婚記念日とかにはご馳走作ってあげちゃうの~♪」
ヒロト「なるほど……他には?」
彼方「あとはプレゼントとかー……あ、妹の遥ちゃんの為になら、彼方ちゃんは毎日だってご馳走作ってあげられちゃうよ!!あのね!!遥ちゃんって本当にめっっっっちゃ可愛いの!!もうマジ天使!!」
ヒロト「あ……あぁ……そ、そうなのか……。」
彼方「そうだ!!彼方ちゃん、可愛い可愛い遥ちゃんのライブの映像スマホに入れて持ち歩いてるから、今から見ようよ!!」
ヒロト「いや、俺はこれからカザミと約束が……、」
彼方「んー?」
ヒロト「……見ます。」