ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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集え、龍虎祭

「「龍虎祭?」」

 

同好会の練習後、GBNへログインしたしずこは、かすみんを誘っていつも通り『虎武龍』のフォースネストへ修行に来ていた。

今まではA・ZU・NAのメンバーであるアユム、セツナと共に通っていたのだが、最近ではかすみんやりなこ、しおこ、アイ、カナタといった、初フォース戦非参加メンバーと一緒に来ることが多い。

皆初フォース戦に出れなかった事が相当悔しかったのか、今ではここでメキメキと腕を上げている。

修行がひと段落し、タイガーウルフの案内でテーブルに腰かけたしずことかすみんは、『龍虎祭』なる聞きなれない単語を聞いて首をかしげた。

 

「あぁ。俺達、虎武龍主催のバトルイベントだ。接近戦を得意とするガンプラ達が己の意地とプライドをかけて本気のバトルを繰り広げる……それが龍虎祭だ。」

「この男はいけ好かないが、このイベントに関しては私もとても素晴らしい物だと思っているよ。今ではGBNの目玉イベントのひとつさ。」

「ケッ!いけ好かないのはこっちだ!というか、なんでテメェが当たり前のようにウチにいやがるビルダー馬鹿が。今日の事は俺が一人で話つけるって言っただろうが!」

「きゃんきゃん喚く五月蠅い犬だな、バトル馬鹿が。」

「喧嘩売ってんのかぁ……?」

「見ればわかるだろう?」

 

 

いつも通り口喧嘩をするタイガーウルフとシャフリヤールを見て、かすみんもしずこも『この二人実はすごく仲がいいのでは?』と最近気が付いた。

喧嘩するほど仲がいいというのは、かすみんとしずこも経験済みなので良くわかる。

 

 

「オホンッ!んで、その龍虎祭なんだが、3年前にはリクだって出場したんだぜ。この俺様と戦ったんだ。」

「そうなんですか!?ど、どっちが勝ったんですか師匠!」

「決まってんだろ!もちろん俺様だ!」

「この男、初めての必殺技を使って動けなくなったリク君を一方的に叩きのめしたんだよ。」

「えー……最低じゃないですか、かすみん引きますよー……。」

「ひ、人聞きの悪い事言うんじゃねぇ!!あれはリクにGBNの厳しさをだなぁ!!」

 

 

ちなみにこの男、リクを倒した後で『俺が最強だ』とか叫んでいた。

当時それを見ていたビルドダイバーズのモモとアヤメはタイガーウルフに対してキレていた。

 

 

「それで、どうしてかすみん達にこんな話を?」

「あ!もしかして師匠、私たちをここに参加させてくださるんですか!?」

「あん?あぁ、いや違う違う!この龍虎祭に来る連中は、そこら辺のダイバーなんかよりも経験を積んだ実力者ばかりだ。お前らの今の実力だと、戦ってもすぐやられるのがオチだろうよ。」

「むぅ……じゃあなんでかすみん達を呼んだんですか!馬鹿にするためですか!?」

「話は最後まで聞け。実はな、お前らにこの龍虎祭のオープニングセレモニーで歌を披露してもらおうと思ってな。」

「えぇ!?それって、ライブってことですかぁ!?」

 

 

意外な話だった。

先ほどから話を聞く限り、龍虎祭は格闘系のガンプラ同士が鎬を削りあう硬派なイベント。

そこで歌を披露してほしいという言葉が、タイガーウルフから出た事もまた予想外。

驚きのあまり、しずこはともかくかすみんはアイドルとは思えない様な表情をしている。

この表情……仮にツイッターなどにあげれば瞬く間にコラ画像にされてしまうだろう。

 

 

「でも、どうして急にそんな話を?」

「君たちは自分のガンスタグラムをチェックしたりするかい?」

「「ガンスタグラム?」」

「なるほど、そこからか……。ガンスタグラムというのは、インスタグラムのGBN版みたいなものだよ。君たちが先日学園で行っていたライブと、BUILD DiVERSとのフォース戦、そのどちらも今、ガンスタグラムでとても話題になっていてね。」

「GBNでもライブが見たいという声が多く上がっていてな。直近のイベントって言えばうちの龍虎祭ぐらいだし、しずこはうちの門下生だからな。まぁ、お試しってやつだ。これが成功すれば、GBNの大きなイベントにお前らが呼ばれる事だってあるかもしれねぇ。悪い話じゃないと思うが?」

「す、すごく嬉しいですタイガーウルフ師匠!シャフリさん!」

「やったねしずこ!」

「うん!さっそくログアウトして皆に伝えなきゃ!」

「あぁ、それでもう一つ……実は、時間の都合上、披露できる曲は二つが精一杯だ。」

「と、言う事は……、」

 

 

二曲しか歌えない。

そう聞いて、目を丸くしたかすみんとしずこ。

タイガーウルフとシャフリヤールは顔を見合わせると、再び二人に視線を戻す。

 

 

「俺の推薦でしずこを。」

「私の推薦でかすみんくんを。君たち二人にお願いしたいんだが、どうかな?」

「私たち二人だけ……い、いいのかな……。」

「やろうよしずこ!GBNでもライブ出来るなんて最高じゃん!」

「でも皆になんて言えば……。」

「何言ってんの!かすみん達、仲間だけどライバルなんだよ!チャンスはどんどん掴んでいかなきゃ、一人前のスクールアイドルにはなれないよ!」

「そっか……うん!そうだね!師匠、このお話、喜んでお受けします!」

「かすみんも賛成です!」

「おぉ!引き受けてくれるか!そうこなくちゃなぁ!」

 

 

実は虎武龍の中でひそかに発生しつつある『桜坂しずくファンクラブ』から、毎日のようにしずこのライブを要求されていたタイガーウルフは、彼女たちが引き受けてくれたことに大いに安堵。

何より自分も先日の虹ヶ咲学園ユニットライブに感動した一人なので、龍虎祭が待ち遠しくなってきた。

 

 

 

「さて……これでオープニングセレモニーの話は終わったな。」

「後は、残り一名の参加者の枠をどうするか……か?」

「え?どういう事ですか?」

「龍虎祭の参加者の残り一名の枠が決まっていないんだよ。」

「うーむ……それが、今回の参加者の中に、一人ちょっと問題があるやつがいてな……ソイツが出場するから誰もエントリーしたがらねーんだ。」

「そんなに嫌なヤツなんですかぁ?」

「いや、そうじゃない。なんというか、そのー……強すぎるんだ、ソイツ。」

「強い相手と戦えるのは良い事なのでは?」

「強いなんてレベルじゃないよ。彼は、GBNでは数少ないSSS級ダイバー。実力で言えば、チャンピオンやリクくんとも肩を並べる程の男だよ。」

「誰なんですか?」

「あぁ……ソイツの名前は……、」

 

 

 

 

 

~~

 

 

「「「獄炎のオーガ?」」」

「はい。」

 

翌日、タイガーウルフとシャフリヤールから聞いた男の名を、同好会メンバーに尋ねたかすみとしずく。

『獄炎のオーガ』の名前を聞き、ほとんどのメンバーは首をかしげたが、エマとせつ菜と侑はその名前に喰い付いた。

 

 

「私知ってる!獄炎のオーガ……フォース『百鬼』のリーダーで、GBNでは数少ないSSSランクダイバー。ガンダムGP-羅刹天を操る凄腕だよ。」

「確かビルドダイバーズとアライアンスを結んでいるんですよね!リクさんと対等に戦えるほどの実力者です!」

「私も動画で見た事あるよ。」

「百鬼って、どこかで聞いた事あるような……。」

「ほら歩夢、覚えてない?私たちが初めてGBNをプレイした時に助けてくれた人!あの人、確か百鬼の所属って言ってたよね?」

「あ、そう言えば言ってたね。」

 

 

彼と知り合いでもあるエマが、その男の詳細について教えてくれた。

 

『獄炎のオーガ』

 

リアルでの素性は不明。

ビルドダイバーズの同盟(アライアンス)であるフォース『百鬼』のリーダー。

『機動戦士ガンダム0083』に登場するガンダム試作2号機サイサリスに、太陽炉を取り付けたガンプラ『ガンダムGP-羅刹天』を操るSSSランクダイバー。

戦った相手を『喰らう』事を信条としており、戦いの強さや質を味に例える事から『バトルグルメ』と呼ばれることもある。

その強さは圧倒的であり、今では数少ないリクと対等に戦う事の出来るほどの実力者。

彼の強さに惚れ込み、オーガと戦った相手がフォース入りを希望する事も多く、さらに彼自身も気に入った相手をフォースに勧誘している。

AVALON時代にエマも何度か戦った事あるが、当時の彼が操るジンクスの改造機『オーガ刃-X』に手も足も出なかった。

 

 

「ひえ~……なんですかその人~……。」

「オーガさん、凄く強い人だもん。確かにイベントで戦いたいって思う人は少ないかも。」

「ど、どうしようしず子……。」

「そうだね……ど、どうしよう……。」

「どうしようって、何がどうしようなの?」

「聞いてくださいよ侑先輩!実はかすみん達、シャフリさん達の紹介で今度龍虎祭ってイベントでライブをするんですよ!」

「それで、師匠から、龍虎祭の残り一人の参加枠を探してほしいって頼まれたんです。」

「へー、イベントでライブをね~。」

 

 

 

「「「「ライブ!!?」」」」

 

 

 

かすみとしずくが言うと、侑も含めた9人が一斉に喰い付いてきた。

全員で二人を取り囲み、質問攻めにしていく。

 

 

「ど、どういう事かすみちゃんしずくちゃん!?なんで二人だけ!?」

「そうよ!説明してほしいわ!」

「ここは間を取って私が出るよ!」

「エマちゃ~ん、何と何の間取ったの?」

「羨ましい……璃奈ちゃんボード『じとー』」

「凄いじゃん二人とも!愛さん絶対見に行くよ!」

「わ、私と歩夢さんもタイガさんの門下生なんですけど!?」

「かすみさんとしずくさんのステージ……楽しみです!」

「GBNでライブだなんてすっごいときめきー!頑張ってね二人とも!!」

 

 

応援する者や嫉妬の眼差しを向ける者、間を取ろうとするエマなど様々な意見が交差する中、かすみとしずくは龍虎祭に向けて練習をする事にした。

 

 

 

 

~~

 

GBNで踊るのなら、GBNで練習をした方がいいと言う事で、かすみとしずくはいつも通りダイバーシティのガンダムベースからログイン。

練習をする前の息抜きと思い、軽くガンプラバトルでもしようと思ってロビーでミッションを眺めていた。

最近はOO系のミッションかSEED系のミッションが多かったので、趣向を変えて違うミッションを受けてみようと思い、掲示板のページをめくる。

 

「うーん、何が良いかなしずこー。」

「あ、これなんてどうかな?UE殲滅ミッションだって。」

「UEって?」

「えっと……『機動戦士ガンダムAGE』の敵で、ガフランっていうMSを倒すんだって。ドラゴン型から人型に変形するMSかー……パルくんのヴァルキランダーみたいだね!」

「……しずこってパルくんと仲良いよね……。」

「え?うん、よく連絡取ったりもするよ?」

「そうなの!?」

「O-ドリーの改造の相談にも乗ってくれるから、凄く頼りになるんだ。今はトランザム・バーサーカーをちゃんと使えるように話し合ってるの。」

「ぐぬぬぬ……。」

「ん?あぁ、安心してかすみんさん。別にかすみんさんが想像してる様な事は絶対無いから。」

「別にそんな想像してませんけどぉ!!」

 

とりあえず、UE殲滅ミッションを受注したかすみんとしずこ。

UEとは、『機動戦士ガンダムAGE』第一部フリット編に登場する正体不明の謎の敵。

第二部アセム編以降からは『ヴェイガン』と呼ばれるようになるのだが、今回のミッションはフリット編がベースの為、UE呼びで統一されている。

なお、チャンピオンであるクジョウ・キョウヤはこのガンダムAGEの熱狂的なファン……特にアセム編の大ファンであり、一部のダイバーから『ガンダムAGE大好きお兄さん』と呼ばれていたりする。

 

 

「それじゃあ行こうか、かすみんさん!」

「よーし!今日もカッコかわいいザクみんワンダーランドを見せちゃいますよー!」

 

 

そうして、二人は意気揚々とカタパルトへ。

『戦艦ディーヴァ』をモチーフとしたカタパルトに輸送されると、そこへザクみんとヤミちゃん、O-ドリーガンダムがセットされる。

かすみんとしずこは自分のガンプラへ乗り込み、発進体勢に。

 

 

 

「しずこ!O-ドリーガンダム!登壇します!!」

「かすみん!ザクみんとヤミちゃん!オンステージです!!」

 

 

 

カタパルトから射出された二機は、UE殲滅ミッションのためのステージである宇宙エリアへと放出された。

しずこは何度かユニット特訓やトランザム修行で宇宙エリアを訪れたことがあるが、実はかすみんは初めて。

NASA協力の下リアルな宇宙空間をイメージして作られた空間に、かすみんは目を奪われた。

 

 

「おぉ~!すっごく綺麗~!!すごーい!!」

『ウフフ、かすみんさん、はしゃぎ過ぎだよ。』

「だってだって!宇宙なんて普通は来れないじゃん!見て見てしずこ!地球があんな遠くに!」

 

 

初めての宇宙エリアに大はしゃぎのかすみん。

とても微笑ましいが、これはあくまでバトルミッション。

ミッションエリア範囲に入ると、二人の周りに無数のUE……ガフランが出現し、O-ドリーとザクみんを取り囲んだ。

囲んできた敵は全員ドラゴン形態であり、これはガフランの基本形態でもある。

ガフラン達はO-ドリーとザクみんに対して一斉に襲い掛かり、彼女たちへ猛攻を仕掛けた。

 

 

『来るよかすみんさん!!』

「OKしずこ!いっけー!ヤミちゃん!」

 

 

ザクみんの指示で、彼女の乗っていた支援機であるヤミちゃんが、巨大な爪を広げてガフラン達へ襲い掛かる。

一撃で二体のガフランを挟み込み、そのまま真っ二つに。

操縦者であるザクみん自身は、SDガンダムゆえの小柄な体型を活かし、宇宙に漂うスペースデブリを足場にしながら次々と飛び移り、ガフラン達をザクみん刀で切り裂いていく。

無重力空間でのバトルが楽しいのか、ザクみんはそのまま踊るようにステップを踏みながら戦い始めた。

 

「んふふ~♪これ楽しい~♪」

『もう!真面目にやって!』

「やってるよ~♪あ、しずこ後ろ!」

『ちょっと!今かすみんさんと話してるんだから邪魔しないで!!』

 

そう言いながら、後ろを振り向かずにビームガンで背後を撃ち抜くO-ドリー。

見事に命中し、彼女へ襲い掛かろうとしたガフランは撃墜された。

しずこは暇を見つけては、タイガーウルフやパルと厳しい特訓を続けていた為、トランザムやバーサーカーモード無しでも十分に戦えるほどの戦闘センスを身に着けている。

今の彼女の実力なら、アユムのドリームインパルスやカナタのビヨンドバルバトスといったニジガクでも上位の強さを持つ機体とでも互角以上に戦えるだろう。

 

 

「案外楽勝だったね。」

『まぁ、これ一応Dランクミッションだからね。』

「早くCランクになりたいなー。果林先輩やせつ菜先輩みたいに必殺技使えるようになるんでしょ?」

『Cランクが全員必殺技を使えるわけじゃないみたいだけど……って、きゃあ!!』

「しずこ!?」

 

 

その時、突然O-ドリーの足が爆発。

何が起こっているのかわからない二人が辺りを見渡すと、下方向からO-ドリーとザクみんへライフルを構える数体のガンプラの姿があった。

 

 

『あれは……OOのフラッグと、AGEのジェノアス……!?』

 

 

 

そこにいたのは、ガンダムOOに登場する組織『ユニオン』の量産機である『ユニオンフラッグ』2機と、ガンダムAGEに登場する地球陣営側の量産機『ジェノアス』2機。

更にそれをまとめるのは、グラハム専用フラッグカスタムとウルフ専用ジェノアスカスタムをミキシングした改造機『グラハムウルフ』

今狙撃してきたのはグラハムウルフであり、彼らは4人でO-ドリーとザクみんを取り囲み、リーダーのグラハムウルフが彼女たちへ通信を繋げてきた。

 

 

『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会だな?』

『だ、誰ですかあなた達は!?』

『悪いが、お前たちのダイバーポイントを貰う。行くぞ、お前たち。』

 

『『『『了解。』』』』

 

「えぇぇ!?なんなんですかなんなんですかぁ!?」

 

 

グラハムウルフの掛け声で、全員が一斉にザクみんとO-ドリーに襲い掛かる。

フラッグが接近戦をしかけ、ジェノアスが狙撃、更にその指示をグラハムウルフがとる。

個々の力はザクみんとO-ドリーに及ばないが、グラハムウルフの的確な指示により二人の反撃を許さない。

 

 

「なんでかすみん達を狙うんですかぁ!?」

『お前たちに恨みは無いが、これも仕事なんだ。悪く思わないでくれ。』

『仕事……?誰かに依頼されたってこと……?』

「しずこ!よそ見してる場合じゃないよぉ!!」

『わかってる!O-ドリー、S・バーサーカーモード!!』

 

 

『BERSERKER MODE』

 

 

機体内部のGN粒子を髪の毛のように逆立てて、O-ドリーは近接格闘特化形態であるS・バーサーカーモードへ以降。

可変式ビームガンをソードモードに変形させ、接近してくるフラッグたちを迎え撃つ。

ジェノアスにはザクみんの支援機であるヤミちゃんが特攻をし、ザクみん本体はグラハムウルフとザクみん刀とプラズマブレードを交えた。

僅かではあるが、ザクみんの方が出力は上だ。

 

 

「いっけー!ザクみーーーん!!」

『SDでこの火力……なるほど、良く作り込まれている!!』

 

 

ザクみんを何とか押し返し、いったん後ろに下がったグラハムウルフ。

それを追うようにO-ドリーやヤミちゃんと交戦していたフラッグとジェノアスも下がり、4機ともグラハムウルフの後ろに。

 

 

『あのBUILD DiVERSと戦えるだけの事はあると言う事か……。』

『た、隊長!このままじゃ負けちゃいますよ!!』

『うろたえるな!!戦いはこれからだ!!』

『こんな子供に負けるなんて嫌です隊長!!』

『そうだそうだ!こんな連中に負けるなんて、俺達のプライドがゆるさねぇ!!』

 

 

『BREAK-BOOST』

 

 

『!? お前たち、何故それを!?』

 

 

グラハムウルフが言い終わる前に、フラッグとジェノアスはディスプレイを操作し、ある機能を発動させた。

すると、4機のカメラアイが赤く光り、全身にどす黒いオーラを纏った。

かすみんとしずこは以前、この現象を愛と果林から聞いたことがある。

 

 

「あれって確か、ブレイクデカール……?」

『たぶん……本当に復活してたんだ……。』

『くっ!このバカ者どもが!!』

 

 

先ほどまでザクみんと交戦していたグラハムウルフは、武器を構えるとその標的を自分のフォースメンバーへと変えた。

フラッグとジェノアスに対して斬りかかるが、簡単に避けられてしまい、逆に背後を取られてしまう。

先ほどまで『隊長』と呼び慕っていたグラハムウルフの両腕と両足をそれぞれ掴むと、4人で同時にひっぱり、彼の四肢を全てもぎ取った。

 

 

『ぐあああああ!!!』

 

 

四肢を失い、そのまま宇宙に漂う事になってしまったグラハムウルフ。

まるで理性を失ったかのように、フラッグとジェノアスはザクみんとO-ドリーに対しても暴力的に迫ってきた。

バーサーカーモードを解除し、機動力を取り戻したO-ドリーとヤミちゃんに搭乗したザクみんは4機から逃げようとするが、すぐに追いつかれてしまい、肩を掴まれた。

 

 

『きゃあああ!!』

「し、しずこぉ!!このぉ!!」

 

 

『MUTEKI MAZAKU-MIN』

 

 

「無敵合体!!魔殺駆罠!!」

 

 

人型に変形したヤミちゃんにザクみんが合体し、SDガンダムのザクみんから大型MSの無敵武者 魔殺駆罠へ合体。

捉えられたO-ドリーを助ける為にザクみん刀から妖刀黒刃に持ち替えた魔殺駆罠。

なんとかフラッグをO-ドリーから引きはがすが、今度は彼女がジェノアスに拘束された。

機体性能自体はO-ドリーと魔殺駆罠の方が上であるにも拘らず、この戦力差……ブレイクデカールの能力は、愛と果林から聞いていた以上だった。

 

 

 

 

 

 

『ちょっと待ったあああああああああああ!!!!』

 

 

 

 

「『え!?』」

 

 

 

その時、宇宙の彼方から、迫ってくる光が見えた。

青いGN粒子をまき散らしながら迫ってくる、青いガンプラ。

ジンクスをベースにしたそのガンプラ……ドージ刃-Xは、魔殺駆罠を拘束しているジェノアスの両腕を斬りおとすと、そのままジェノアスを蹴り飛ばした。

彼はO-ドリーと魔殺駆罠の前に立ち、ブレイクデカールを使ったフラッグとジェノアスに立ちはだかる。

 

 

 

『大丈夫か、お前ら!』

『は、はい!ありがとうございます!』

「今度は誰ですかぁ!?」

『俺はGBNの番人、百鬼のドージ!!マスダイバーは、この俺が許さねーーーー!!』

 

 

 

斬りおとしたジェノアスの腕からビームスプレーガンを奪うと、それを構えてドージ刃-Xはフラッグとジェノアスへ迫っていく。

斬りかかってきたフラッグに向かって奪ったビームスプレーガンを放つと、フラッグの動力源を的確に撃ち抜く。

それで動きが鈍くなったフラッグからプラズマソードを奪いとり、それでフラッグを真っ二つに切り裂いた。

 

 

「す……凄い……。」

『ブレイクデカールを使ったガンプラを、あんな一瞬で!?』

『お前ら!!こいつらの弱点は自分の武器だ!!倒したガンプラの武器で戦うんだ!!』

「よ、よーし!かすみんも行っちゃいますよー!」

「O-ドリー、S・トランザム!」

 

 

『TRANS-AM』

 

 

先ほどドージ刃-Xが倒したフラッグとジェノアスから武器を奪い取り、残り二機のフラッグとジェノアスへ向かう。

ブレイクデカールを使ったガンプラの装甲値は、GBNで設定できる数値の上限値を大幅に上回る事が出来る。

しかし、同じくブレイクデカールの能力が乗ったガンプラの武器ならばそれをたやすく破る事が出来、ドージはそれを知っていたため、自分の武器を使わずに相手の武器を奪って使用していた。

フラッグから奪ったプラズマソードを捨て、自分のもっとも愛用している武器である『ギラーガギラテイル』を構えると、それを鞭のように伸ばして残ったフラッグとジェノアスを拘束。

身動きが取れなくなったフラッグとジェノアスに対し、O-ドリーと魔殺駆罠が斬りかかって行った。

 

 

「『いっけーーーー!!!』」

 

 

二体に切り裂かれ、爆散するフラッグとジェノアス。

ブレイクデカールを使用した仲間に倒されてしまったグラハムウルフはドージ刃-Xに救助され、なんとか事なきを得た。

 

 

 

『……使えない連中……。』

 

 

 

そして、その様子を、スペースデブリの陰から見ていた一体のガンプラ。

黒いユニコーンガンダムにも見えるそのガンプラは、倒されたマスダイバー達を見兼ね、その場から姿を消した。

 

 

 

 

~~

 

 

ミッションを終え、地球エリアへと帰還したかすみんとしずこ、そしてドージ。

マスダイバー達とグラハムウルフのダイバーも連れて一緒に戻ってくると、グラハムウルフのダイバーは自分の仲間を一発ずつ殴り飛ばした。

 

 

「馬鹿野郎!!何故ブレイクデカールなんかに手を出した!!」

「すいません隊長……。」

「初心者の女の子に負けそうになるのがどうしても我慢ならなくて……。でも、ブレイクデカールを使った途端に機体の制御が出来なくなって……!」

「……すまなかった、虹ヶ咲のフォースメンバー。」

「あの……それはいいんですけど、どうして私たちを襲ったりしたんですか?」

「我々はクリエイトミッションに参加していたんだ。ミッション内容は『UEとして地球軍のMSを撃墜』……討伐対象は、『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』。」

 

 

クリエイトミッションとは、ダイバー個人が依頼、または作成したミッションの事。

有名なロータスチャレンジや、虎武龍の龍虎祭もコレに当たり、今回の場合は他のダイバーへ依頼する形式のミッションだったようだ。

グラハムウルフのダイバーはかすみんとしずこに深々と謝罪した。

 

 

「でも、どうしてそんな依頼が……?」

「かすみんたち、誰にも恨みを買う様な事してないんですけどぉ!」

「我々も疑問には思っていたが、GBNで話題になっている君たちと戦えるいい機会と思い、軽い気持ちで引き受けてしまった……本当に申し訳ない。匿名での依頼だったことに、もっと疑問を持つべきだった……。」

 

 

有名なビルドダイバーズやAVALONに対しては、こういった依頼も少なくなく、彼らもそれと同じような物だと思って引き受けていた。

今回のミッションの依頼は匿名で出されていた為、かすみんとしずこはモヤモヤした気持ちが晴れない。

 

 

「とりあえず、お前らは運営に引き渡すからな!」

「あぁ、そうして欲しい。仲間を止めてくれて感謝するよ、百鬼のドージ。」

 

 

ドージによって運営に通報された彼らは、間もなく駆け付けた運営側のMSであるガードフレームによって連行されて行った。

ようやくひと段落が付いたところで、かすみんとしずこは改めてドージに感謝の言葉を述べる。

侑達が初めてGBNに訪れた時に助けてくれたジンクスというのがこのドージなのだと確信し、それについても感謝した。

 

 

「助けてくれてありがとうございます、ドージさん。」

「へへへ!俺はこのGBNの番人だからな!」

「番人?」

「卑怯な真似をする連中からダイバー達を守ってんだ!カッコいいだろ!」

「へー、同好会復活前のかすみんと同じような事やってますねー。」

「ウフフ、その節はありがとうねかすみさん。」

 

 

先ほどのドージの強さやこの心構え……それを見て、二人は顔を見合わせた。

タイガーウルフの依頼にされていたあの件を、彼女たちはドージへと伝えた。

 

 

「あの、良かったら龍虎祭に参加しませんか!?」

「龍虎祭?」

「今ならかすみん達のスペシャルライブも見れちゃいますよー!」

「龍虎祭って……もしかして、獄炎のオーガも参加するやつか……?」

「はい!ドージさん、すっごく強かったからぜひとも参加していただきたいんです!どうでしょうか!?」

 

 

獄炎のオーガ

 

その名前を出して、ドージは少し顔を俯かせた。

さっきまでの威勢の良さがどこへやら、不思議そうにかすみんとしずこは首をかしげる。

やがてドージが口を開いた。

 

 

 

「……俺は、参加しない……。」

 

 

 

「えぇ!?なんでぇ!?そんな強いのに!?」

「別に理由なんていいだろ!!とにかく俺は参加しないの!!あっかんべー!!」

「むきー!なんですかその態度!!折角かすみん達がお願いしてるのにー!!」

「か、かすみさんどうどう!ごめんなさい、無理を言っちゃって。今日は助けてくれて本当にありがとうございます。」

 

 

そう言い残して、ドージはかすみん達の前から去って行った。

最後のドージの態度に怒り気味なかすみんを抑えながら、しずこは彼女と共にダンスの練習をするため、虎武龍のフォースネストへと向かった。

 

 

 

 

 

~~

 

 

GBNからログアウトして、愛機であるドージ刃-Xのガンプラを握りしめる少年。

これは、自分が兄から貰った機体を改造した物であり、彼自身のオリジナルではない。

先ほどのかすみんの言葉を思い出しながら、彼は唇をかみしめた。

 

 

「俺が出たって……兄ちゃんに勝てるわけねぇよ……!」

 

 

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第27回:キャプテン・ジオン

エマ「うーん!今日もカッコいいなぁ、キャプテン・ジオン!」

侑「エマさん、その動画好きだよね!」

エマ「キャプテン・ジオンって言って、とってもカッコいいんだよ!私、昔からファンなの!」

侑「そうなんだ!νガンダム……いや、サザビー……?変わったガンプラだね。」

エマ「でも最近、あんまり動画を上げて無くて……どうしちゃったのかなぁ。」


~~


ロンメル「……最近、ドージくんが中々の活躍を見せているようだね。」

キョウヤ「あぁ。彼のおかげで、GBNでの迷惑行為もだいぶ抑えられているよ。」

ロンメル「………そのおかげか、最近キャプテン・ジオンをあまり見かけないね。」

キョウヤ「良い事じゃないか。彼が現れるところに迷惑行為あり……正義のヒーローというものは、出番が少ないに越したことはない。」

ロンメル「そうだね。そうなんだけど。そうなんだけどな~……!」

キョウヤ「? どうしたんだいロンメル大佐?ちゅーるでも食べるかい?」

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