ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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偉大な男 オーガ

オーガは偉大な男だった。

 

フォース『百鬼』が頭角を現してきたのは、今から約4年前。

突如GBNに現れた一人の男……その名を獄炎のオーガ。

彼はたった一人でフォース『百鬼』を結成し、その圧倒的な戦闘センスで難敵を次々と撃破していった。

倒した敵を明日の友としてフォースへ勧誘し、また彼の強さに惚れ込んだ相手もまた、彼の仲間となる事を望んだ。

そうしてたった一人から始まった百鬼は、瞬く間にAVALONをも超える程の大所帯へと成長し、華々しい戦果を挙げてきた。

 

 

「そんな兄ちゃんと同じ大会に出るだなんて……俺にはできねぇよ……。」

 

 

そんなオーガには、歳の離れた実の弟が一人いる。

彼の名はドージ……GBNの番人を務めるSランク級ダイバー。

実の兄であるオーガの強さに憧れ、周囲の反対を押し切りフォース入りを果たした。

3年前までは勝てれば何でもいいというスタンスで、卑怯な事も平気でやるような男だったが、ビルドダイバーズとの出会いにより彼の精神もまた成長。

兄から愛機であった『オーガ刃-X』を託され、かつての罪を贖う為、GBNに蔓延る迷惑プレイヤーたちへの介入をしてきた。

おかげで彼のランクは上がり、今ではSランク級の仲間入りを果たしているが、それでも彼は自信が持てない。

偉大過ぎる兄と戦うほどの覚悟が、まだ持てずにいた。

 

 

 

 

 

~~

 

翌日、同好会の部室でお昼ご飯を食べていた1年生4人組……のうち3人は、熱いお弁当バトルを繰り広げていた。

かすみ、しずく、栞子の3人がにらみ合い、かすみとしずくの弁当箱から移されそうになっているピーマンを、栞子が必死に止めている。

3人ともお互いを親の仇の様に睨み、ピーマンを掴む箸に力を込める。

 

 

「し、しお子~?お弁当それだけじゃ足りないんじゃな~い?かすみんママの特製ピーマン炒めわけてあげる~♡」

「ざ、残念ながら私には他人のピーマンを食べる適正はありませんので……!」

「でも栞子さんのイメージカラーって緑だから、ピーマンってピッタリですよね。ささ、遠慮せずに私のも~!」

「私のカラーは翡翠色……って、やめなさい……!二人とも……本当に怒りますよ!!」

「「はい、あ~ん♡」」

「や……やめっ!た、助けてください歩夢さん!歩夢さーーーーん!!むぐっ!?」

 

 

「哀れ。」

 

かすみとしずくの二人掛かりで栞子へ苦手なピーマンを押し付けようとしている。

璃奈は前回のピーマンバトルの時に二人の分を食べてあげたため今回は未参戦。

栞子は苦手な物でも出されたら文句を言わずに完食するが、人のお弁当に入っている苦手な物まで積極的には食べたくない。

二人分のピーマンを口に詰められ、しばらくの間机に顔を伏せた。

 

「やったー!今日もかすみん達の勝利ー!」

「ごちそうさまでした♪」

「ご……ごちそうさまです……。」

「お水飲む?」

「ありがとうございます璃奈さん……。」

「あとコレ。頼まれてたオーガさんの動画、見つけて来たよ。」

「ナイスりな子!」

 

璃奈がご飯を食べながら見つけてくれたのは、獄炎のオーガのバトル動画。

百鬼はアーカイブを残すことが少ないフォースであるため、今でも気軽に見れる動画は第二次有志連合戦ぐらいであり、その時の相手はチャンピオンのガンダムAGEIIマグナムSVで、リクのガンダムダブルオースカイとのタッグ戦。

その為、オーガの単独の活躍を見れる動画は貴重であり、璃奈は様々なサイトのアーカイブを捜してようやく発見できた。

この依頼をしてきたのはしずくで、龍虎祭の最後の参加者を探すためにはまずオーガというのがどういう人物なのかを知る事必要があると考えた。

エマに聞いてもよかったが、やはり一番いいのはバトルを見る事。

璃奈がPCで動画を再生すると、他の3人が食い入るように動画に噛り付いた。

 

 

「あ、この白いガンプラって!」

「ヒロト先輩のコアガンダム!」

「うん。これは宇宙装備用のジュピターヴガンダム。これはロータスチャレンジVerエルドラの時の動画。有志連合やビルドダイバーズの他にも、百鬼やZA-AZ、色んなフォースが参加してBUILD DiVERSと戦ってるんだ。」

「みなさん!ヒロトさんがオーガさんと戦い始めましたよ!」

「お、しお子復活した。」

 

 

動画内で始まった、ヒロトのジュピータヴガンダムとオーガのガンダムGP-羅刹天のバトル。

高機動かつ高火力のジュピターヴガンダムを圧倒するオーガの戦い方に、4人とも戦慄を覚える。

荒々しく豪快に、それでいて相手の実力を余すことなくその身に受ける戦い方……例えるならば一流の美食家が一流の料理を味わう様な戦い方だ。

リクやチャンピオンと並ぶほどの実力者と聞いて、正直4人ともそんな強いヤツがそう何人もいてたまるかと思っていたが、動画を見終わったころには間違いなくオーガが彼ら並の強さを持っているのだと確信。

 

 

「これだけ強いなら、ドージくんが戦いたがらないのも無理ないかも……。」

「んー、でもあの人もめちゃ強だったじゃん?あれだけ強いのに、強い人と戦いたくないとか思うのかなぁ~?」

「確かに……。GBNの番人を名乗るぐらいだし、凄く正々堂々としてた人だったけど……。」

「お二人とも、ドージさんに会ったのですか?」

「うん。マスダイバーから助けてもらったんだ。」

「そうだったんですね。私たちもあの方に初心者狩りから守ってもらいました。ドージさん、確か百鬼の所属ですよね。」

「そう言えばそんな事言ってたようなー……ん?ってことはオーガって人の知り合いってこと?」

「同じフォースだし、面識はあると思う。」

「かすみさん。私、やっぱり龍虎祭の最後の一人はドージくんにお願いしたいと思うんだけど、どう思うかな?」

「んー………。」

 

 

正直、かすみはあまりドージを誘うのに乗り気ではなかった。

ドージは頑なに龍虎祭に出場するのを拒否していたからだ。

前に同好会が廃部となった時に自分がせつ菜にされた事、同好会が復活した時に自分が歩夢にしようとしたことを思い出す。

その時に、彼女は侑にこんな事を語っていた。

 

 

(やりたい事はやりたいんです。でも、それを人に押し付けるのは嫌なんですよ。)

 

 

 

「そりゃ、断れた時はムキーッ!ってなっちゃったけど、あんまり押し付けるのは良くないかなって。かすみんだってそりゃ出てもらいたいけど、私達の意見ばっかり言うのも違うと思う。」

「そっか……そうだよね。私たち、ドージくんの事を何も知らないし。」

「だったら知ればいいと思う。」

「璃奈さん?」

「どうしてドージさんが龍虎祭に出場したくないのか。その理由がわかれば、きっと龍虎祭やドージさんの役に立てる。」

 

 

 

ドージを知る。

璃奈にそう言われたかすみとしずくは顔を見合わせた。

二人とも今日の練習には参加しない事を璃奈と栞子に伝えると、そのまま教室へと帰って行った。

 

 

 

 

 

~~

 

 

学校を終えて、GBNへログインしたかすみんとしずこは、ロビーでドージを探した。

想像していたよりも驚くほど早く見つかり、二人は彼に駆け寄る。

ドージの隣にはビルドダイバーズのユッキーの姿もあり、二人は今日挑戦するミッションを選んでいた。

 

「ドージくん!」

「あれ?ユッキー先輩もいるじゃん。」

「やぁ、二人とも。こんにちわ。」

「お……お前ら……!」

「ドージ?どうしたの?」

 

かすみんとしずこの顔を見て、ドージはばつの悪そうな顔をしていた。

何があったのか知らないユッキーが首をかしげると、かすみんがユッキーへ尋ねた。

 

 

「どうしてユッキー先輩がドージさんと一緒にいるんですか?」

「僕ら、フォース間で同盟を結んでるんだ。それでドージとは、ちょくちょく一緒に遊んでてね。」

「お前ら、俺に何の用だよ。」

「私たち、知りたいんです。ドージさんがどうして龍虎祭に出たくないのか……あんなに強いのに、どうしてかなって。」

「別に俺の勝手だろ!構うなよ!」

「まぁまぁ落ち着いてドージ。そうだ、良かったら二人とも一緒にバトルやらない?」

「バトル……ミッションですか?」

「ううん。フリーバトルのタッグマッチだよ。ちょうど今やりたいミッション来てないし、どうかな?」

「えー……ドージさんとユッキー先輩相手にですかー……?」

「お前、怖いのかぁ?」

「はぁぁ!?怖くなんかありませんけどぉぉ!?」

「ハハハ、安心してよ。僕たち二人と君たち二人、ペアを交換してのタッグマッチだから。」

「と言う事は、S級ダイバーの方と一緒にバトルが出来るんですね!面白そう!やろうよ、かすみんさん!」

 

 

フリーバトルの申請を受諾し、4人はバトルフィールドへと転送。

システムがペアをランダムで選択し、彼らは戦場へと赴いた。

 

 

 

 

 

~~

 

 

今回のバトルフィールドは、『機動戦士ガンダムAGE』のアセム編の序盤の舞台にもなっていたコロニー『トルディア』

遮蔽物が少なく、暴れ回るには丁度いい場所だ。

今回のペアはしずこ&ユッキーのコンビと、かすみん&ドージのコンビ。

それぞれの配置に着くと、ドージがかすみんへ通信を入れた。

 

『おい!足は引っ張るなよ!』

「ムカッ!そっちこそ!」

 

 

『あの二人、喧嘩してるんですか……?』

『まぁ、ドージも中々癖のあるやつだから……。』

『かすみんさんもです。フフ、いいコンビかもしれませんね。』

『かもね。』

 

 

配置に着いた4人に、バトルスタートの合図が鳴る。

 

 

 

「しずこ!O-ドリーガンダム!登壇します!!」

「ユッキー!デュナメスロックオンマスター!!狙い撃つ!!」

 

 

「かすみん!ザクみんとヤミちゃん!オンステージです!」

「ドージ!煌・ギラーガ!行くぜぇええ!!」

 

 

今回、ドージの乗る機体はいつものオーガ刃-Xではなく、彼自身が作った愛機であるギラーガをベースに改造した煌・ギラーガ。

どちらも接近戦用の機体ではあるが、ドージはこの二つを使い分けている。

共通して装備しているのはギラーガギラテイルという鞭型の武器で、これはドージが一番信頼を置いている武器だ。

さっそくザクみんに対し、O-ドリーが仕掛けてきた。

まずはザクみんの支援機であるヤミちゃんを潰そうと、いきなりS・バーサーカーモードでヤミちゃんへ斬りかかるO-ドリー。

なんとしてでもユッキーのデュナメスを抑えたいかすみんは、必死にO-ドリーから逃げる。

 

 

『ユニット対抗戦の時は私が負けたけど、今日は負けないよかすみんさん!!』

「かすみんだって、しずこにだけはぜーーーーったい負けてあげないんだから!!」

 

 

逃げ惑うザクみん、追うO-ドリー。

O-ドリーは確かに機動力に優れているが、バーサーカーモード発動中の為普段よりスピードを活かせていない。

それに加えてヤミちゃんは合体後の巨体を動かすための高出力エンジンが積まれており、ザクみんとO-ドリーの差は開くばかりだ。

しかし、そんなザクみんを、ユッキー……デュナメスロックオンマスターは逃さない。

 

 

『GNホルスタービット、乱れ撃て!!』

 

 

「えぇ!?なんですかこれ!?」

 

いつの間にか、ザクみんの周りを、無数のファンネルの様な武器が包囲していた。

これは、デュナメスロックオンマスターに取り付けられた、デュナメスの後継機でもある『ガンダムサバーニャ』の特徴でもあるGNホルスタービット。

ユッキーの新機体は、ベース機であるジェガンブラストマスターの素体に、ガンダムデュナメスの装甲と、その後継機でもあるケルディムガンダムとガンダムサバーニャの武装を積んだ、超砲撃型のガンプラ。

 

 

それが、『デュナメスロックオンマスター』だ。

 

 

どこにいようとも敵を絶対に逃さないユッキーのホルスタービットが、一斉にザクみんを撃ち抜く。

間一髪、ザクみんはヤミちゃんから飛び降りて撃墜を免れたものの、支援機であるヤミちゃんが無残にも砕け散った。

 

 

「や、ヤミちゃーーーん!!酷いですよぉユッキー先輩!!」

『よそ見はダメだよかすみんさん!!』

「ひっ!?しずこ!!」

『くそっ!!』

 

 

ザクみんへ斬りかかるO-ドリー。

だが、ザクみんの体にギラーガギラテイルが撒かれ、O-ドリーの攻撃が命中する前にザクみんは煌・ギラーガによって救出された。

今度は煌・ギラーガがザクみんと入れ替わり、O-ドリーと戦闘を開始。

 

 

『相手はドージくん……!だったら、トランザムで!!』

 

 

『TRANS-AM』

 

S・トランザムを発動し、デュナメスロックオンマスターと共に煌・ギラーガを乱れ撃つ。

一旦動きを止めた煌・ギラーガを見て、ザクみんは慌てて彼に声を掛けた。

 

 

「ちょっと!!早く逃げないと負けちゃうじゃん!!」

『いや、まだだ……!!』

 

 

『X-ROUNDER』

 

 

一瞬、ドージの機体が緑色の光を放った。

デュナメスのホルスタービットとO-ドリーのビームが、一斉に彼を襲う。

しかし、ダイバーとは逆に細身の体を持つ煌・ギラーガは、その一斉射撃を全て交わし、その隙間を縫ってギラーガギラテイルでO-ドリーの首を絞めた。

 

 

『よ、よけた!?』

「嘘ぉ!?どうなってるんですかアレー!?」

『ドージ……まさか、X-ラウンダーのスキルを習得してたのか!』

 

 

全ての攻撃をかわした煌・ギラーガは、掴んだO-ドリーをそのままデュナメスへと叩き付けた。

デュナメスは飛ばしたホルスタービットを集約し、シールドビットとして展開しなおすと、煌・ギラーガの攻撃を防御。

 

 

『今度はこっちの番だ!狙い撃て、デュナメスロックオンマスター!!』

 

 

再びシールドビットをホルスタービットとして展開し、煌・ギラーガを取り囲む。

当然、煌・ギラーガはビットから逃れようとするが、どこまでも追いかけてくるホルスタービットの包囲は解けない。

ならばと、ギラーガギラテイルでホルスタービットを払いのけようとするが、X-ラウンダースキルの発動限界時間が近づき、常に動き続けるホルスタービットの動きを先読みできない。

 

 

 

『シュート!!!』

『くっ……くっそおおおおお!!!』

 

 

 

 

手に構えた小型のビームガン『GNハンドガン』に二機のホルスタービットがドッキングし、『GNスナイパーライフルBD』へ変形させたデュナメス。

ホルスタービットで拘束した煌・ギラーガを撃ち抜き、ついに彼を撃墜。

残されたのはザクみんたった一機であり、相方のO-ドリーが彼女と戦闘を再開した。

 

 

 

 

~~

 

 

結局、かすみんが一人でしずことユッキーに勝てるはずも無く、かすみんドージコンビは惨敗。

しずこはユニット対抗戦の時のリベンジが出来て満足していたが、今日の本題はバトルではない。

負けて落ち込んでいるドージを心配そうに見つめるかすみんとしずこのもとに、デュナメスのコックピットから降りてきたユッキーが寄って来た。

 

 

「お疲れ様二人とも!前のユニット戦の時よりずいぶん動きが良くなってたよ!」

「ありがとうございますユッキーさん。ユッキーさんも凄く強かったです。」

「ううん、僕なんてまだまださ!それよりドージには驚いたよ。まさかX-ラウンダーのスキルを習得してるなんて。」

「X……なんですかそれ?」

「『機動戦士ガンダムAGE』に登場する能力だよ。AGEの設定では、人間の脳の使っていない部分……『X領域』を使って、敵の攻撃を先読みしたり、X-ラウンダー同志の存在を感じ合ったり、そう言う事ができる能力なんだ。」

「ニュータイプみたいなものですか?」

「身も蓋もない事言うとね。」

「それってかすみん達も使えるようになるんですか!?」

「うーん……どうだろう。GBNのスキルシステムは、必殺技システムと同じように今までどんなガンプラどんな風に戦って来たかによって決まるから……もちろん、可能性は0じゃないけど。でも、このスキルを習得するには、並々ならない努力が必要だよ。」

 

 

X-ラウンダーのスキルの習得には、AGE系のガンプラを使いこなす必要がある。

ドージも恐らく、このスキルを最大限発揮させるために、今回はドージ刃-Xではなく煌・ギラーガを選んできたのだろう。

一人、撃墜された煌・ギラーガの手入れをしているドージを見ながら、かすみんはユッキーへ尋ねた。

 

 

「ユッキー先輩、ドージさんって……、」

「ドージは、オーガさんの弟なんだ。」

「弟!?そ、そうなんだ……。」

「龍虎祭に出たくないって言うのも、僕はわかる気がする。ドージとの付き合いも長いからね。」

「ユッキーさんは、どうしたらいいと思いますか?」

「僕だって、オーガさんとドージのバトルは見て見たいよ。たぶん、ドージはまだ勇気が出ないだけなんだ。」

「………よし!」

「あ、かすみさん!」

 

 

拳を握り、かすみんはドージの下へ。

煌・ギラーガがなんとか動ける状態になった事を確認し、機体から降りてきたドージはかすみんの存在に気が付いて、彼もかすみんのところまでやって来た。

 

 

「悪かったな。」

「え、なにが?」

「俺の方が先に墜ちゃってさ。それに、せっかくの誘いも断ったりして……。」

「うぇ……か、かすみん達も、ドージさんの気持ち考えないで昨日はムキになっちゃったから……。」

「龍虎祭の最後の一人、見つかるといいな。」

「……そのことなんだけど……私たち、やっぱりドージさんに出てほしい!」

 

 

今まで見せた事無いほどの真剣な表情で言って来たかすみんに、ドージは少し驚いた。

 

 

「……俺が龍虎祭に出たくない理由、知りたいって言ってたよな。俺の兄ちゃん、獄炎のオーガなんだ。」

「うん。それはユッキー先輩に聞いた。」

「兄ちゃん、美味いバトルを喰らう為に龍虎祭にエントリーしたんだ。俺だって、最初は兄ちゃんと戦いたいと思って、エントリーしようと思った。けど……どうしても勇気が出ないんだ。」

 

 

 

獄炎のオーガは偉大な男。

実の兄弟ならば、当然ドージはオーガと比較もされる。

それが原因で、彼は3年前にブレイクデカールにすら手を出してしまい、そのせいで百鬼は活動自粛となってしまった。

ユッキーとの出会いや第二次有志連合戦を乗り越え、ドージは精神的に成長する事が出来た。

それでも、拭えない兄へのコンプレックス。

戦いたいのに、戦う為の勇気が出ない。

 

「GBNの番人とかやってるのも、自信を付ける為なんだ。情けねーよな。だから、参加者は別の奴に……、」

 

 

「情けなくなんかないじゃん。」

 

 

「かすみん?」

「情けなくなんか無いじゃん!だって、自信をつける為に努力してるんでしょ!だからあんなに強いんでしょ!私としずこは、ドージさんが助けてくれた時に思ったんだよ!この人しかいないって!私としずこのGBNでの初ライブで戦う人は、ドージさんしかいないんだって!」

「俺を、応援してくれるのか……?」

「当たり前じゃん!だってかすみん、スクールアイドルだもん!スクールアイドルは、頑張ってる人を応援するためのものだから!だから!」

 

 

かすみんはドージの胸倉を掴む。

突然の事でドージは驚いたが、そんな事は構わずにかすみんはドージへ言った。

 

 

 

「出ろ、ドージ!!自信を持て!!アンタは強い!!かすみん達が保証する!!」

 

 

 

少し乱暴な言い方になってしまったかと、言った数秒後にかすみんはハッとした。

ドージの胸倉を放すと、小さい声で『ごめん』と謝ったが、ドージは何も言わずにかすみんに背を向けた。

そこへしずことユッキーも駆け寄るが、すでにドージは煌・ギラーガに乗り込んでしまった。

 

 

「ドージ、彼女は……!」

『悪いなユッキー。用事が出来ちまった。』

「ドージ?」

 

 

コックピットの中でニヤリと笑い、ドージは煌・ギラーガと共に宙へ浮く。

かすみん達の方を向き、煌・ギラーガは拳を握った。

 

 

『もうあんまり時間が無いんだろ?見てろよお前ら!龍虎祭までに、俺の人生で最強で最高のガンプラを作って来てやる!!』

「じゃ、じゃあ!」

『い、言っとくけど、お前に言われたからじゃないからな!!俺は強いから、だから出場するだけなんだからな!!』

「なっ!?折角励ましてあげたのになんなのその言い方ー!ムキー!!降りて来いドージ!!」

 

 

 

最後に軽い口喧嘩をし、煌・ギラーガは姿を消した。

ついに龍虎祭の出場者が出揃い、かすみんとしずこのライブの準備も本格的に進んでいく事になる。

ユッキーに一礼すると、練習の為、二人は今日も虎武龍のフォースネストを訪れるのだった。

 

 

 

 

 

~~

 

戦国時代の屋敷の様な建物……それが百鬼のフォースネスト。

当然電気などは通っておらず、暗い建物の中で光源となる物は囲炉裏の炎のみ。

そんな場所で胡坐をかいて酒を飲む、鬼の様な姿のダイバー。

 

彼こそがドージの兄にして、SSSランクダイバーである、獄炎のオーガ。

 

彼の背後で、囲炉裏越し正座をするドージは、今日の事を彼に報告に来ていた。

 

 

「兄ちゃん。俺も龍虎祭に参加するよ。」

「………お前が?」

「うん。」

「……何故だ。」

「俺の強さを、証明したい奴らがいるんだ。だから俺は、龍虎祭で兄ちゃんと戦う……!」

「……そうか。」

 

 

器に盛った酒を一気に飲み干し、舌なめずりをするオーガ。

彼は立ち上がると、ドージを横切り部屋を出て行こうとする。

その際、彼はドージへ一言だけ言った。

 

 

「……味気ねぇバトルだけはすんじゃねぇぞ。」

 

 

そう言い残し、彼は部屋から姿を消した。

あまりの威圧に、ドージはそれに反応できなかった。

だが、それでも彼はオーガと戦わなければならない。

オーガと戦う時の為に、ずっと温存していたガンプラ……いよいよそれを完成させるときが来た。

 

 

「俺は負けないよ……兄ちゃん。」

 

 

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第28回:鬼を滅ぼす刃

かすみ「今日は節分ですねぇ。あんまり可愛い行事じゃないので正直あんまり興味ありませんけど。」

彼方「んー。」

かすみ「彼方先輩、なんで着物着て恵方巻き咥えてるんですか……っていうかなんで恵方巻きの真ん中の部分咥えてるんですか絶対食べにくいでしょそれ!」

彼方「んー♪」

エマ「まぁまぁかすみちゃん。」

かすみ「あ、エマ先輩……ってなんでビスケットの格好!?それ、鉄血のビスケットの格好ですよねぇ!?」

エマ「うぅ……恥ずかしいよぉ……。でも、私は長女だから我慢できるけど、次女だったら我慢できなかったよ。」

かすみ「長女も次女も関係ないと思いますけど。」

璃奈「かすみちゃん。そんな事よりコレを見てほしい。今日の為に作ったガンプラ。」

かすみ「りな子?え、今日の為にって……SDガンダム?」

璃奈「うん。三国伝の陸遜ゼータプラス。」

かすみ「なんで!?」

ドージ「イノシシの被り物つけて来いって言われたんだけど、これどういう意味があるんだ?」

かすみ「ドージまで来た!?」

彼方「んー♡」

エマ「今日は節分だからね。」

かすみ「いやいやいや……節分って鬼に豆ぶつけるイベントですよね!?ここにいるの恵方巻き咥えた彼方先輩とビスケットの格好したエマ先輩とイノシシの被り物したドージとりな子が作った陸遜ゼータプラスだけですよねぇ!?」

侑「今流行ってるからね。」

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