ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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それはレインボーユニコーンと呼ばれた

「いやっほ~!!きもち~!!」

『ユウちゃん!あんまり急ぐと危ないよ!』

「へーきへーき!ゲームの中なんだし、それに見てよ!この綺麗な景色!これを堪能しないなんて嘘でしょ!」

 

 

バックパックのブースターを最大噴射させながら、空を飛びまわるレインボーユニコーンガンダム。

その後ろをついていくガンダムドリームインパルスとデスティニーフリーダム。

GBNはゲームだが、現実と区別がつかないほどリアルに作られていて、感覚まで再現されている。

レインボーユニコーンで縦横無尽に飛び回るユウは、コックピットのわずかな隙間から入り込んでくる風を肌で感じながら、広大なGBNの空を堪能していた。

 

『ウフフ、楽しいのはわかるけど、激突なんてするとHPが減っちゃうからほどほどにね。』

「はーい!マギーさん!あ、そろそろつくよ二人とも!」

 

通信でマギーのサポートを受けつつ、チュートリアルミッションエリアにたどり着いた3人。

チュートリアルエリアは大きく分けて三つ存在し、ビルドダイバーズのリクが初めてのミッションをクリアした森エリア、際限ない砂地の広がる砂漠エリア、そして彼女たちがやってきた崩れた街の市街エリアだ。

ここのエリアは特殊な作りになっており、一部を除いてFランク以上のプレイヤーは立ち入れないようになっている。

ここでのチュートリアルをクリアすれば、晴れて通常ミッションを受注できるようになり、その時に自動的にランクがEランクに上がるようになっている。

 

 

今回のチュートリアルミッションのクリア条件は、このエリアに出現する無人機グレイズを、合計5機撃破する事

 

 

グレイズとは、『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』に登場する『ギャラルホルン』の主戦力モビルスーツであり、メインヴィランとして様々なバリエーションが登場していた。

今回討伐するのは一般的な量産型グレイズであり、戦闘力も初心者が相手をするにはちょうどいい強さに設定されている。

 

 

「ドキドキするよ……ちょっと怖いなぁ……。」

『アユムさん、いざとなれば私が守ります!』

「ありがとうしおこちゃん。」

『じゃあしおこちゃん、どっちがアユムにかっこいいところ見せられるか勝負する?』

「え!?ユウちゃん!?」

『いいですね、やりましょうか。』

「もう!しおこちゃんまで!からかわないで!」

『はいはい、楽しいおしゃべりもそこまでよ!そろそろ始まるわ!』

 

 

マギーからの通信が終わると、彼女たちのコックピットの中にメッセージが表示された。

 

 

『Mission Start』

 

 

この表示を見て、3人とも一気に真剣な表情に変わる。

ユウはライフルを構えると、スカートの右後ろに取り付けられていたマガジンをライフルへと装填する。

アユムはビームサーベル、しおこは小型のビームガンを手に取った。

 

 

「いよいよだね!みんな、頑張ろう!」

『うん!』

『はい!』

 

 

3人が意気込むと、ついにミッションが開始。

目の前にまずは2機のグレイズが転送され、レインボーユニコーンに狙いを定めた。

まずは先制攻撃と、レインボーユニコーンがライフルの照準をグレイズに定め、狙い撃つ。

だが、ユウに射撃のセンスが無いのか、数発撃って全て外してしまった。

 

「え!?嘘、当たんないの!?」

『ユウちゃん!』

 

今度はグレイズがレインボーユニコーンへ射撃。

しかし、その弾丸は全てドリームインパルスがビームサーベルで撃ち落とした。

ドリームシルエットのブースターを加速させ、一気にグレイズとの距離を詰めると、ドリームインパルスは振りかざしたビームサーベルで、グレイズを一刀両断した。

 

 

 

ドカアアアアアアアアン!!!

 

 

 

爆発を起こし、消滅するグレイズ。

爆発の衝撃でしりもちをついてしまったレインボーユニコーンへ、ドリームインパルスが手を差し伸べる。

 

 

『大丈夫?ユウちゃん、立てる?』

「あ……アハハハ……アユムつっよぉ~!」

『すごい!すごいわアユムちゃん!!センスがビンッビンに光ってるわぁ!!』

『私、こういうの得意みたい!すっごく楽しい!』

「よーし、私だって負けてられないよ!!」

 

 

今度はライフルではなく、バズーカに持ち替えたレインボーユニコーン。

ちょうどやってきた2機目のグレイズの足元を狙い、迷う事無く引き金を引いた。

グレイズに命中こそしなかったものの、爆発に巻き込まれたグレイズは爆風で倒れこみ、一時的に動きを封じることが出来た。

 

 

『今よ!いっちゃってぇ!!』

「おりゃーーーーー!!!」

 

 

バズーカを捨て、ライフルをグレイズの頭に突き立てた。

グレイズが戦闘不能になるまで、レインボーユニコーンはグレイズの頭にライフルを撃ち続けた。

当然耐えれるはずも無く、グレイズはあえなく爆散。

思わずコックピットの中で、両手を挙げて初勝利を喜んだ。

 

 

「やったー!一体倒せた!」

『おめでとうユウちゃん!』

『二人ともやりますね。私たちも参りましょう、デスティニーフリーダム!』

 

 

いまだに姿の見えない3体の敵。

しおこはデスティニーフリーダムのコックピットの中で、感覚を研ぎ澄ませた。

次の瞬間、建物の陰から光る銃口に気が付いた彼女は、素早く左腕からビームシールドを発生させてそれを防御。

フリーダムガンダムのパーツで製作したスカート部分両サイドについている折りたたみ式の砲台『クスィフィアノス・ウイング』は、デスティニーフリーダムから分離すると、彼女の周りを浮遊する2つのファンネルとなった。

4つの翼を展開してグレイズへ接近すると、ハンドガンとファンネルを合わせた3つのビーム砲をグレイズへと浴びせ、これを撃破した。

 

 

「よし……!」

『デスティニーとフリーダムの因縁のガンプラ同士を合わせただけじゃなくてファンネルまで……素敵なガンプラねしおこちゃん!』

「ありがとうございますマギーさん。ウフフ、どうやら私にはこの子を操縦する適正があるみたいですね。」

 

 

デスティニーフリーダムを褒められてうれしかったのか、しおこの耳と尻尾がブンブン揺れている。

残りは2機、こちらの被ダメージはレインボーユニコーンを除きほとんど0。

初心者用ミッションとはいえ、かなり順調なペースだ。

 

 

「いやー!順調順調!私たち、ガンプラバトルの才能あるんじゃない?」

『唯一被弾した人がそれを言いますか。』

『ユウちゃん!調子に乗ってると痛い目みるんだからね!』

「ごめんごめん!さぁ、あと2機頑張ろう!さて、敵はどこかなー………あ、アユム後ろ!」

『え?きゃあっ!』

 

 

ユウが叫んだと同時に、ドリームインパルスの背後をグレイズがライフルで撃った。

さらに、そのグレイズの後ろから最後の一機のグレイズが顔を見せ、バトルアックスを構えてドリームインパルスへと襲い掛かる。

 

 

 

「ユウちゃん!!」

『OK!!』

 

 

 

突然、レインボーユニコーンが右足を掴み、そこからピンク色の装甲をはぎ取った。

その装甲をドリームインパルスへと投げ渡すと、彼女はそれを手に取りグレイズのバトルアックスを防ぐ。

そしてその装甲を自分の右腕に装着すると、そこから折りたたまれた大型の剣『レインボーエクスカリバー』が出現。

グレイズの持つバトルアックスは左手に握ったビームサーベルでグレイズの腕ごと切り落とし、右腕に装着したレインボーエクスカリバーでグレイズ本体を真っ二つに切り裂いた。

 

 

「凄い……。」

『しおこちゃん!これを!』

「え?」

 

 

今度はレインボーユニコーンは自分の左腕を引っ張り、肘から先をボディから分離させる。

分離した腕をデスティニーフリーダムへ渡すと、彼女の持つハンドガンと接続。

翡翠色の銃身が現れ、ハンドガンがビームキャノン『レインボーキャノン』へと合体変形した。

デスティニーガンダムの特徴でもあるパルマフィオキーナ 掌部ビーム砲のエネルギーを取り入れる事で、小回りが利きつつ高威力のビームを放つことが出来る。

しおこは銃身へエネルギーを注ぎ込み、グレイズめがけてとどめの一撃を放った。

 

 

「シュート!!」

 

 

ドカアアアアアアアアン!!!!

 

 

 

『Mission Clear』

 

 

 

最後のグレイズ撃破と同時に現れるゲームクリアの文字。

3人はガンプラから降りると、初のミッションクリアを抱き合いながら喜んだ。

 

 

「やったー!倒した!クリアした!すごーい!」

「ユウちゃんのおかげだよ!」

「はい、すごいギミックですね。まさか、私たち用の武器になるガンダムだなんて……。」

「えへへ。ガンプラバトルでも、やっぱり私はみんなの事を応援したくてさ。だから私のコンセプトは『みんなを支えるガンプラ』なんだ!」

 

 

昨日の夜、侑の父親からもらったガンプラは、SEED系が多かった。

歩夢も栞子も、使うガンプラはSEED系……そこで思いついたのがこのアイデア。

全身を仲間の武器になるように改造し、いざというときに力を貸すことの出来るガンプラ。

 

それがこの、レインボーユニコーンガンダムだ。

 

 

『仲間のためを思って作ったガンプラ……ん~!ユウちゃんの愛をビンッ!ビンッ!感じるわぁ♡』

「これって、あとはロビーに戻るだけでいいんですか?」

『えぇ。カウンターでクリア報告をすればOKよ。この報告を終えるまではいろいろと制限がかかってるから、ちゃちゃっと済ませちゃいなさい。』

「はーい。それじゃ行こうか二人とも。」

 

 

報告のために、一度ロビーに戻ろうとする3人。

コンソールパネルを開いている最中に、しおこの耳がピクピクと動いた。

違和感を覚えて振り返ると、次の瞬間に破裂音が聞こえ、しおこは咄嗟に叫んだ。

 

 

 

「ユウさん!アユムさん!!」

「「え?」」

 

 

 

しおこが叫ぶと、突然彼女たちの周りに無数の銃弾が撃ち込まれ始めた。

 

突然の事に驚きながらも、3人はなんとか自分たちのガンプラに乗り込む。

すると崩れたビルの奥から、新たなグレイズが姿を見せ、3人は目を丸くした。

 

 

『え……グレイズ?なんで?もうミッションは終わったんじゃ……?』

『乱入NPDでしょうか?』

『でも、これチュートリアルだよ?乱入なんてあるのかなぁ?』

「大丈夫!倒しちゃえば問題ない!いくよ!」

 

 

右腕のビームサーベルを展開し、レインボーユニコーンはグレイズへ向けて加速した。

ビームサーベルを大きく振りかぶり、グレイズを切り裂こうとするが、グレイズは今まで見せたことが無いほどの反射速度でそれをかわし、つっこんできたレインボーユニコーンの顔面を殴り飛ばした。

 

 

「うわっ……!?え?強い!?これ、チュートリアルの強さじゃないよ!?」

『みんな!!』

「マギーさん!どうなってるの?」

『今すぐそこを離れなさい!!そいつらは、ミッション用NPDなんかじゃないわ!!』

 

 

マギーがそう言うと、グレイズの後ろから、次々と新たなグレイズたちが姿を見せ始めた。

その数おおよそ8体で、襲い掛かってきたグレイズを合わせると9体。

さらにそこへ、リーダー機体と思われるシュヴァルベ・グレイズが現れ、ユウ達の前に立ちはだかった。

 

 

 

『な、なんなのですかあなた方は!?』

『へっへっへ、俺たちは初心者狩りさ。チュートリアルミッションをクリアした初心者共を倒して、経験値を稼ぎに来てんのよ。』

『でも、ここには初心者しか来れないって……、』

『そうそうその通り!だけど俺たちには出来ちまう!ハッキングだよハッキング!!』

「そ、そんなのズルじゃん!!」

 

 

 

GBNのチュートリアルエリアにEランク以上のダイバーが入れなくなったのは1年前のアップデートから。

その後、この方法を使って初心者狩りをするダイバーは少なからず存在したが、効率の悪さから徐々に行う人数も減り、対策するほどの脅威ではなくなった。

しかし、極稀にこのような悪さをするダイバーが存在する。

 

 

運が悪かった

 

 

そう言わざるを得ない。

 

 

『野郎ども!!やっちまえ!!』

『『『『おーーーー!!!』』』』

 

「こうなったら戦うしかない!やろう、アユム!しおこちゃん!」

『わ、わかった!』

『行きます!』

 

 

襲い掛かってくるグレイズの集団。

無人機と違い、ダイバーの意思が反映されているグレイズたちは、ミッションの敵とはくらべものにならないぐらい強い。

レインボーユニコーンの攻撃はことごとくかわされ、デスティニーフリーダムの攻撃の軌道も完全に読まれている。

唯一まともに食らいつけているのはドリームインパルスだが、それでも数の暴力で持久戦に持ち込まれると不利。

その上、リーダー機であるシュヴァルベ・グレイズが圧倒的に強い。

 

 

「きゃっ!」

『お前は結構やるじゃねぇか。ほーう、接近戦用のシルエットか?でもそんなもん、ソードインパルスでいいじゃねぇか。わざわざウイングの形までハート型にするなんて、女子の考えることはわかんねぇなぁ。』

「私のドリームインパルスは、みんなと夢をかなえるための……!」

『夢ぇ?まさかお前ら、チャンピオンとかビルドダイバーズみたいになりたいとか思ってんのか?ハハッ、無理無理!あんな化け物みたいな連中に追いつけるわけなんて無いんだから、こうして好き勝手遊んでる方が何倍も楽しいぜ!』

 

 

 

そう言いながら、シュヴァルベ・グレイズはドリームインパルスを圧倒し、彼女のドリームシルエットをもぎ取った。

機動力を失ったドリームインパルスはその場に倒れ、ライフルを頭部に突き付けられる。

 

「アユム!!」

『うぅ……ユウちゃん、ごめんなさい……私、もうダメ……。』

『私とデスティニーフリーダムも、もう限界です……。ユウさん、私、悔しいです……!』

 

 

「初めてのGBNなのに……さっきまで、あんなに楽しくて、あんなにときめいてたのに……くっそぉ!!」

 

 

悔しさのあまり、コックピットを殴りつけたユウ。

その時、レインボーユニコーンのモニターが赤く光りはじめ、ユウは何が起きているのかわからずに困惑した。

さらに、モニターに新しく、見覚えのない単語が出現した。

 

 

 

『NT-D』

 

 

 

「なに……これ……?NT……D……?」

 

 

ユウが目をつむると、レインボーユニコーンの装甲から虹色の光があふれ始めた。

足元から装甲が徐々に展開し始めると、レインボーユニコーンの機体内部のサイコフレームが露出しはじめる。

 

 

 

「君も怒ってるよね……一緒に戦おう、レインボーユニコーンガンダム!!」

 

 

 

 

『ユウちゃん……?』

『嘘、ありえないわ!』

『あれは……?』

 

 

 

全身の装甲が展開し、最後に頭部の角が開く。

虹色のサイコフレームを輝かせながら、レインボーユニコーンガンダムは、通常形態ユニコーンモードから戦闘形態デストロイモードへと『変身』を遂げた。

 

 

バックパックから二本のビームサーベルを引き抜き、さらに両腕に内蔵されているビームサーベルも展開し、合計4本のサーベルを構えたレインボーユニコーン。

その姿を見てグレイズたちが怖気づくが、シュヴァルベ・グレイズが仲間たちに発破をかける。

 

 

『お、おい!HGじゃなかったのかよあのユニコーン!?デストロイモードになるだなんて聞いてないぞ!?』

『あんな複雑な変形、RG以上じゃないと無理だろ!!』

『構う事はねぇ!どんな凝ったギミックだろうと相手は所詮素人だ!』

 

 

グレイズたちが5機まとめてレインボーユニコーンに襲い掛かった。

ライフルで彼女を狙い撃つが、そのすべてをサーベルではじき落とされ、動揺を隠せない。

ブースターを一気に噴出させてグレイズたちへ接近すると、全員の頭部を4本のサーベルで一斉に切り落とした。

 

 

『つ、強いです!』

「うん……だけど……、」

 

 

あまりにも強すぎるレインボーユニコーンガンダム。

その力に、アユムは少し恐怖を感じてしまった。

次々とグレイズたちを破壊していくその姿は、まるでユニコーンガンダムが主役を務めた『機動戦士ガンダムUC RE:0096』の第3話を彷彿とさせる。

爆発したグレイズたちによって発生した炎の中からゆっくりと現れるレインボーユニコーン、残る敵はシュヴァルベ・グレイズただ一機のみ。

 

 

『な、なんなんだよお前……!!初心者じゃなかったのかよ!!チート使ってんじゃねぇぞ!!』

「……………。」

『おい!!なんとか言ったらどうなんだよ!!』

 

 

無我夢中で、レインボーユニコーンへ向けて発砲した。

その弾丸はレインボーユニコーンの頭部に命中するが、もちろんダメージなんかほとんどない。

 

 

「………うっ……!」

『あ、ユウちゃん!!』

 

 

しかし、その攻撃を受けた直後に、レインボーユニコーンの沈黙した。

HP残量に余裕があるにもかかわらず、デストロイモードからユニコーンモードに戻り、瞳から光が消える。

倒れこみそうになる彼女をドリームインパルスが受け止め、二人を守るようにデスティニーフリーダムがグレイズが落としたバトルアックスを構えた。

 

「アユムさん!ユウさんの事をお任せします!」

『わかった!』

『てめぇら、人をここまでコケにしやがってぇぇ……!絶対に許さねぇからなぁ!!』

 

レインボーユニコーンが戦闘不能になったことで、シュヴァルベ・グレイズがアユムとしおこに襲い掛かってきた。

 

 

 

 

 

 

 

『ちょっと待ったぁああああ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

「はい?」

 

 

その時、デスティニーフリーダムとシュヴァルベ・グレイズの間に、一機の青いガンプラが飛んできた。

ベース機は『機動戦士ガンダムOO』に登場する量産型モビルスーツであるGN-X(ジンクス)。

ところどころが鬼の様な装いに変わっており、力強そうな印象を受ける。

 

 

『な、なんだてめぇ!?』

『初心者ダイバーを狙った卑怯な真似……お天道様が許しても、このドージ様と、『ドージ刃-X』が許さないぜ!!』

 

 

青いガンプラ……ドージ刃‐Xは鞭のような武器『ギラーガギラテイル』を構えると、シュヴァルベ・グレイズの攻撃を真正面から受け止める。

全く避けようともしないその姿に、シュヴァルベ・グレイズは不気味さを覚え、さらに攻撃速度を上げていく。

 

 

 

『お前の攻撃なんてなぁ!俺の兄ちゃんに比べたら、へっぽこぴーだぜ!!』

 

 

 

『兄ちゃん?ハッ!まさか、そのジンクス……ドージって、フォース『百鬼』の……!?』

『今更気づいても遅いんだよぉ!!』

 

 

次の瞬間、ギラーガギラテイルによって、シュヴァルベ・グレイズは真っ二つになった。

これが本物の上位ランカーの戦い……その姿に、アユムもしおこも目を輝かせた。

そしてユウは……、

 

 

 

 

 

 

~~

 

「……あれ……ここは……?」

 

ロビールームに戻ってきたユウは、アユムの膝の上で目を覚ました。

心配そうに彼女を見ていたアユムとしおこは安心して胸をなでおろし、マギーは大泣きしながらユウを抱きしめた。

 

 

「もーう!!無茶しちゃって!!心配させないでよもーう!!あなた達が無事で本当によかったわぁ!!」

「マギーさん、私……そうだ!あいつらは!?」

「何をおっしゃってるんですか?あなたがほとんどやっつけたではありませんか。」

「嘘っ!?全然覚えてないんだけど!?」

「本当に怖かったんだからね!なんだか、いつものユウちゃんじゃない様な気がして。」

「そっか……ごめんね心配かけちゃって。」

「ううん。最後に残ったボスっぽい人は、あの人がやっつけてくれたんだ!」

 

アユムに紹介されたのは、ユウより少し背の低い、太った子鬼の様なダイバールックの少年。

彼は女の子に免疫が無いのか、少し離れた位置から自己紹介しはじめた。

 

 

「俺はドージ!フォース『百鬼』のメンバーで、このGBNの初心者エリアの番人をしている男だ!」

「あなたが助けてくれたんだね!ありがとう!」

「べ、別にお礼を言われたくて助けたわけじゃないからな!」

「え?あ、はい。」

「ごめんなさいねぇ。あの子、女の子ちょっと苦手みたいで……。ああ見えても、ビルドダイバーズと同等の実力を持つSランクダイバーなのよ。初心者エリアで不正があった時に介入できるように、運営からエリア侵入の許可をもらってる凄腕なんだから。」

「え!?そんなすごい人が助けてくれたなんて、ちょっと感動~!」

「それにしても驚いたわぁ!まさかHGのユニコーンに、変形ギミックを仕込んであるだなんて!お姉さんびっくりしちゃったぁ!」

「はい!まさか自分を武器にする能力だけではなくて、あんなことまで出来るだなんて、やはりあなたは凄い人です!」

 

 

「いや、あの………私、あんなの仕込んだ覚えがないです……。」

 

 

「え?そうなの?」

「ねぇアユム。」

「はい。私、昨日はずっとユウちゃんとガンプラ作ってたけど、あんなギミックは作っていませんでした。」

 

 

動揺するマギーとドージ。

しおこは『きっと変形する適正があったんです』と笑っている。

ユニコーンモードからデストロイモードへの変身機能『NT-D』は、ユニコーンガンダムの基本設定ではあるが、それがGBNで可能なのはRG・MG・PGのユニコーンガンダム、もしくは変形ギミックを追加したガンプラのみ。

その機能が無いレインボーユニコーンが変身したとあれば、ただ事ではない。

 

 

「これは詳しく調べてみる必要がありそうね……。」

 

 

 

 

 

~~

 

 

「ふぅ!面白かったーーーー!!」

 

 

ログアウトした侑達は、ヘッドギアを外してダイバーギアとガンプラを手に取った。

そこへモモカがやってきた。

 

「おかえりなさい!どうだった?初GBN!」

「もう最高だよ!感覚がすっごくリアルっていうか!本当にガンダムに乗って戦ってるみたい!」

「私もすごくドキドキしたよ~……でも、すっごく面白かった!」

「それはよかった!あ、栞子ちゃん。私の作ったアバター気に入ってくれた?」

「なんなんですかあれ!!おかげで二人に揉みくちゃにされて大変だったんですから!!」

「アハハー、ごめんごめん!栞子ちゃんいい子だったからかわいいの作ってあげたくてさー!かわいかったでしょ?」

「それは……!かわい……かったですけども……。」

 

 

しばらくGBN談義でおしゃべりをしていたが、そろそろ日も暮れてくる時間になってきた。

続きはまた今度と言う事で、今日はいったん解散と言う事に。

 

 

「じゃあ栞子ちゃん、また学校でね!」

「はい、お二人ともお気をつけて。」

「今度はみんなも誘おうよ!私、同好会の皆で出来たらすごく嬉しい!」

「学校で誘ってみようよ。」

「ウフフ、私のデスティニーフリーダムの素晴らしさを、早くみなさんに見せてあげたいです。」

「ついでにかわいいしおこちゃんもね。」

「そ、それは……!」

 

最後まで笑いながら帰路につく3人。

逆方向に帰った栞子が見えなくなると、侑と歩夢も家路についた。

 

 

「それにしても本当に楽しかったなー!これからは練習終わったら毎日来よう!」

「毎日はさすがに疲れちゃうかなぁ……でも、侑ちゃん、本当に心配したんだからね!」

「はいはい、ごめんって。もう無茶しないから。」

「もう!あれ?侑ちゃん、おでこって怪我してたっけ?」

「え?いたっ……!あれー?いつ怪我したんだろ。心当たりあるのは……あ、頭撃たれた時とか!」

「それはGBNでの話でしょ!早く帰って手当しようね。」

「はーい。」

 

こうして2人は家へたどり着いた。

その日は一日中、ガンプラの話で盛り上がってしまい、結局翌日もお昼まで寝過ごすことになってしまった。

 

 

 

 

 

~~

 

話は少し遡り、栞子の帰宅途中。

興奮冷めやらぬ栞子は、デスティニーフリーダムを鞄の中ではなく、両手で大事そうに持って帰宅していた。

その様子を、少し遠くから見つめる者が一人。

 

 

「あれ?あれってしお子?」

「どうしたのかすみさん?」

「ねぇしず子、今あっちの横断歩道で、しお子がガンプラみたいなもの持って渡ってたんだけど。」

「まさか。栞子さんに限ってそれは無いよ。他人の空似じゃない?それより早く帰ろう?かすみさんのお家にお泊りするの久しぶりだから楽しみ!」

「りな子としお子も来ればよかったのに、二人とも用事だなんて。こうなったら二人の分までライブでのかすみんの可愛いシーン集めた動画、見ようね!」

「それはちょっと遠慮しておきます……。」

「ぬぁんでよ!!」

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第2回:番人ドージ!

歩夢「でも番人ってかっこいいなぁ。」

ドージ「ふふん!そうだろう!」

歩夢「すっごく強かったし、すごくカッコよかったです!」

ドージ「お、おう……あんま褒められると、むず痒くなるぜ……。」

歩夢「それにビルドダイバーズのみなさんとも戦った事あるんですよね?」

ドージ「まぁな!」

歩夢「やっぱり上位ランカーの人は凄いなぁ。きっと卑怯な真似なんてした事なくて、コツコツと頑張ってきたからここまで強くなれたんですよね!」

ドージ「うぐっ……!」

歩夢「ど、ドージさん?どうしたんですか、大丈夫ですか!?」

ドージ「くそぉ……!心の古傷が痛むぜ……!」

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