ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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ランジュごめんね……。
もう少しだけ頑張ってね……。

ニジガクファン(特にしずくと栞子推し)は24日発売のドラマCD買ってそれ聞きながらガンプラを作ろう!
面白いから終わった時点で腕ぐらいしか作れてないぞ!
座長はさぁ……



嵐珠VS同好会

この世界には、ガンプラにまつわる最大級の称号が二つ存在する。

 

一つは『チャンピオン』

 

これはGBNをはじめとしたの最強のファイターの称号であり、現在ではキスギ・キョウヤこと、クジョウ・キョウヤが、その座を何年間も守り続けている。

GBNの創設以来代変わりが発生しておらず、現在はビルドダイバーズのリクがその座に最も近い男とされており、キョウヤと何度も激闘を繰り広げている。

 

そしてもう一つの称号は『メイジン・カワグチ』

 

ガンプラの製作技術、操縦、心、そのすべてを兼ね備えた者のみが名乗る事を許される、由緒正しき称号。

3代目メイジン・カワグチことユウキ・タツヤが14年間その名を受け継いでいたが、このたび、ついに彼の跡を継ぎメイジンを名乗る事を許された男が現れた。

 

 

4代目メイジン・カワグチ……またの名を、キジマ・ウィルフリッド

 

 

 

 

~~

 

鐘嵐珠は虹ヶ咲学園の理事長の娘。

日本で最大規模を誇る女子校の虹ヶ咲学園の最高責任者と言う事もあり、当然のごとくその住まいは豪邸だ。

いつものように送迎用の車で帰宅したランジュの手には、巨大なガンプラの箱が握られており、彼女は急いで客間へと向かった。

何故なら今日は、以前から雇っていた『ある人物』が来る日だったからだ。

 

 

「良く来たワね!待っていたワよ!」

「君が依頼人か。」

「鐘嵐珠よ!あなたは、えーっと……、」

「カワグチだ。」

 

 

長い金髪の男……カワグチは、サングラスをクイっとあげて名乗った。

すでに彼の目の前にはガンプラの箱がいくつも積まれており、ランジュはウキウキしながら彼の目の前に座り、持っていた巨大な箱『ネオ・ジオング』をテーブルの上に置いた。

 

 

「依頼の内容は聞いているワよね?」

「ここにあるガンプラを作れというんだろう?」

「ただ作るだけじゃないワ!誰にも負けないぐらい、強いガンプラにして頂戴!」

「ふむ……。」

 

 

カワグチはランジュの顔と、目の前に積まれた数多くのガンプラを交互に見つめた。

どれも今では入手しづらいレア物ばかりだ。

彼はまず、目の前にあったストライクフリーダムガンダムとミーティアのガンプラを手に取ると、席から立ち上がった。

 

 

「いいだろう。ではまず、作業場に案内してもらいたい。」

「えぇ、もちろん!アタシ、絶対に負けたく無い人達がいるの!」

「それで私を雇ったのか。」

「プロが作る物に勝る物は無いじゃない。」

「…………。」

「さぁ、こっちよ!」

 

 

ランジュに案内され、カワグチが向かった先は、このために特別に用意させた作業場。

道具や塗料などが一通りそろっており、そのどれも一級品の物を用意してあった。

一般のビルダーではまずお目にかかれない様な、夢の様な作業場だった。

だが、カワグチはそこを一通り見渡しても表情を変えず、無言で用意された作業椅子に腰かけた。

 

「じゃあ、後はよろしくお願いね!」

「一つ聞いてもいいか?」

「なに?必要なものがあるならなんでも言って頂戴!」

「君は、ガンプラを作ろうと思わないのか?」

「え?思うわけ無いじゃない。アタシは、同好会の子たちに勝ちたいの!だからプロのモデラーのあなたを雇ったってわけ!じゃあ、お願いするわね!」

 

 

そう言い残し、ランジュは笑顔で出て行ってしまった。

残されたカワグチはしばらく無言でガンプラを見つめた後、ようやくガンプラ作りを開始した。

 

 

 

 

 

 

~~

 

 

翌日……同好会メンバー11人は、久しぶりに全員でGBNにログイン中。

ベアッガイフェスでライブを披露できると言う事になり、GBNでのライブ経験があるかすみんとしずこ、怪我をしていた時にGBNで練習を続けていたアイを筆頭に、GBN内で練習をしようと言う事になった。

アイの時は適当な広場で、かすみんとしずこの時は虎武龍のフォースネストで練習をしていたが、ユウを除く10人で練習をするとなるとそうはいかない。

ある程度の広さがあり、なおかつ自由に使えるスペースが必要。

そうなると、彼女たちに今最も必要なのは……、

 

 

「フォースネストが欲しいよね、やっぱり。」

「かすみんお城みたいなフォースネストがいいです!」

「かすみんちゃん、お城はやめておいた方がいいよ。広くて掃除は大変だし、カリンちゃんは絶対迷子になるから。」

「くっ……悔しいけど否定できないわ……!」

 

 

元AVALONのエマが、現実的な観点からかすみんの案を却下。

現在、同好会にはフォースネストが存在しない。

正確に言えば、フォース結成時に支給される初期型の物はあるが、広さが学校の部室よりも狭いので、11人では使い物にならない。

全員のポイントをかき集めても、相応の広さの物を用意する事は難しいだろう。

 

「やはり学校で練習した方がいいかもしれませんね。」

「しずこの言う通りかも。アイさんもGBNで練習やったけど、リアルでやるのとあんまり変わらなかったし。」

「そっか~。カナタちゃん、ここでみんなで練習出来ると思って楽しみにしてたんだけどな~。」

「とりあえず、今日のところはみなさんの邪魔にならないところで練習をしましょう。」

 

セツナの提案により、全員で紛争地エリアへと移動し、そこで練習をすることとなった。

ここなら崩れた建物をそのままステージとして利用できる。

今度のライブでは全員ソロ曲を一曲ずつ披露し、最後に全員曲をやって締めとなる。

せっかくGBNでの本格ライブなのだから、全員曲にはニジガクの代表曲である『TOKIMEKI Runners』を歌うつもりだ。

 

「ではまず、センターのアユムさんとしおこさんで並んで……あ。」

「どうしたのセツナちゃん?」

「どうしましょうユウさん……しおこさん、等身があってないです。」

「あ。」

 

そこで、今までに無い問題が発覚。

しおこのアバターは他の皆と違い、モモカが勝手に作った物の為、大きさが皆の約3分の一程度というマスコットキャラクター風。

当然、このままで全員曲をやったり、それこそ彼女のソロ曲『決意の光』の振り付けには似合わない。

 

「す、すいません!ライブ用のアカウント作ってきた方がいいでしょうか?」

「可愛いのに勿体無いなぁ~……。」

「え、あ、アユムさんがそうおっしゃるのなら……、」

「この等身を活かしたパフォーマンスをするのも面白いかもしれません。GBNならではのライブに出来るかもしれませんよ!」

 

そう言いながら、セツナがしおこを肩車。

10人がステージへ移動すると、カリンがユウへ手招きをしてきた。

 

 

「ほら、ユウもいらっしゃい。」

「えぇ……私はいいよぉ。これ、ライブの練習なんだから、私がいたら邪魔でしょ。」

「そんな事無いわよ。10人でやっても11人でやってもこの曲ならそんなに変わんないわよ。日頃の練習の成果、見て見たくない?」

「い、いやぁ……。」

 

 

ダイエットの一環で、最近は毎日同好会の練習に混じっているユウ。

1番は全員振り付けが全く同じのニジガク代表曲『TOKIMEKI Runners』ならカリンとアイの指導の下、ぎこちないながらもすでに踊れるようにはなってきた。

今は『Love U my friends』も練習中。

 

「では、私はセツナさんの隣に移動するので、ユウさんはアユムさんの隣に。」

「ゆうゆとアユムでセンターなんて豪華だよね!」

「だ、だから私は……、」

 

 

 

 

ドォォォォォン!!!

 

 

 

「「「!?」」」

 

 

ステージの前で話していたら、突然空から白いガンプラがステージの上に落ちてきた。

なお、現在は戦闘中では無い為ステージは壊れていない。

 

 

「す、ストライクフリーダム!?」

 

 

落ちてきたガンプラは、『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』の主役機の一つ『ストライクフリーダムガンダム』

劇中、一度も被弾しなかった事で有名な、最強のMSだ。

突如現れたストライクフリーダムに全員戸惑っていると、そこから聞きなれた声が彼女たちへ話しかけてきた。

 

 

『ニーハオ!!』

 

 

「その声……ら、ランジュ!?」

 

 

しゃがんだストライクフリーダムのコックピットが開くと、そこからチャイナ服の様なドレスを纏ったダイバーが姿を現した。

 

鐘嵐珠のGBNでの姿、ダイバーネーム『ランジュ』だった。

 

「な、なぜランジュがここに!?」

「アタシも始めたのよ、GBN!あら?あなた……もしかして栞子?こんなに小っちゃくなっちゃって……。」

「放っておいてください。」

 

セツナからしおこを取り上げ、ぬいぐるみ代わりに抱きかかえたランジュ。

同好会メンバー全員、ランジュのストライクフリーダムを見上げ、その完成度に圧倒された。

 

ゲート痕処理、合わせ目処理、塗装、つや消し、どれをとっても一級品の出来栄え。

 

その完成度は、無改造ながらここにいるどのメンバーのガンプラよりも高い。

なんなら、ビルドダイバーズのコーイチの作るガンプラより、ずっと高い完成度を誇っていた。

 

「す、凄い……こんなに良く出来たガンプラ、初めて見た……。」

「エマさんですら驚くなんて。これ、ランジュちゃんが作ったの?」

「プロのモデラーを雇ったのよ!あなた達、スクールアイドル同好会に勝つためにね!」

「勝つため?」

「ランジュとガンプラバトルしましょうよ!相手は……そうねぇ……栞子とせつ菜!かかってらっしゃい!」

「え?二人掛かりでですか?」

「無問題ラ!さぁ、始めるわよ!!」

 

初心者のランジュ相手に、Cランク二人で戦うのは気が引けるセツナとしおこ。

だが、そんな考えはすぐに吹っ飛んだ。

ストライクフリーダムに乗り込んだランジュが勢いよく飛び上がると、彼女の下へ、さらに空から一機の巨大支援メカが飛来してきた。

 

 

 

「あ、あれは……!」

「ミーティア!?」

 

 

それは、ガンダムSEEDシリーズに登場する巨大補助兵装『M.E.T.E.O.R.(ミーティア)』

核エンジン搭載型のMS用の支援メカであり、ザフト軍が開発した最強のストライカーパック。

ストライクフリーダムの背面に合体すると、ランジュは超巨大化したその機体に搭載された120cm高エネルギー収束火線砲をブンブン振り回す。

 

 

 

『さぁ、かかってきなさい!!』

 

 

 

「うわっ、でっか……。」

「何もフリーバトルであんな物使わなくても……。」

「せっつーとしおってぃー、大丈夫?」

「相手にとって不足はありません!行きますよ、しおこさん!」

「は、はい!」

 

 

そう言いながら、セツナはスカーレットエクシアに、しおこはデスティーフリーダムに乗り込む。

デスティニーフリーダムのベースとなったデスティニーガンダムは、劇中でストライクフリーダムに一度も勝利した事は無い。

しかもランジュの機体の完成度を考えると、圧倒的に同好会側が不利だ。

 

 

「セツナ!ガンダムスカーレットエクシア!目標を駆逐する!!」

『しおこ!デスティニーフリーダムガンダム!!参ります!!』

 

 

『ランジュ!ミーティア!行くわよ!!』

 

 

 

GNソードSSPとコレクションシリーズのアロンダイトを構え、飛び出したスカーレットエクシアとデスティニーフリーダム。

ランジュはそんな二機を圧倒的な火力で叩き潰すため、ミーティア搭載の120cm高エネルギー収束火線砲を二人に向ける。

躊躇せずにそれを発射したが、二人は自分の機体のスペックをフルに活かしつつ、それを全て躱した。

 

 

『はぁ!?なんで当たらないのよ!!』

『そんな攻撃では、私たちは捉えられませんよ。』

『調子に乗るんじゃないわよ栞子!!』

 

 

今度は巨大なビームサーベルを伸ばし、デスティニーフリーダムを狙うミーティア。

コレクションアロンダイトでそれをいなしつつ、デスティニーフリーダムはスカーレットエクシアと合流。

 

 

『TRANS-AM』

 

 

すでにスカーレットエクシアはトランザムを発動しており、その機体は更に赤く発光している。

彼女のGNドライブへ両手を置き、パルマフィオキーナを発動。

二機は赤と翡翠色の耀きを放ち、スカーレットエクシアのGNソードSSPからミーティア以上の超巨大なビームサーベル『ライザーソード』を伸ばした。

 

 

 

「行きますよ!!」

「はい!!必殺!!」

 

 

『な、なによこの攻撃!?こんなの知らないわよ!!』

 

 

スカーレットエクシアとデスティニーフリーダムの合体必殺技『デスティニースカーレットストーム』が、ランジュのミーティアを一刀両断。

劇中、一度も撃破された事の無いストライクフリーダムごと機体はバラバラになり、地面にたたき落とされた。

最低限の動きだけでミーティアごと破壊され、ランジュは破壊されたコックピットから出てきた。

 

「ゲホッ!ゲホッ!な、なによ今の技!!」

「必殺技だよ。今のはセツナちゃんとしおこちゃんだけが使える技なんだ。」

「ランジュ!大丈夫ですか!?」

「加減を見誤ってしまいました。これは要見直しですね。」

 

デスティニーフリーダムから降りてきたしおこがランジュへ駆け寄ってきた。

だがランジュはしおこが駆けつける前に立ち上がると、コンソールパネルのログアウトの画面を開いた。

 

「あの……、」

「今日はガンプラの調子が悪かっただけよ!!明日は絶対に勝つワ!!」

「明日って……あ、待って下さいランジュ!」

 

しおこの静止も聞かず、ランジュはそのままログアウトしてしまった。

同時にミーティアとストライクフリーダムの残骸もその場から消え、ステージには同好会メンバーたちのみが取り残された。

崩れたミーティアがあった場所を見つめながら、アユムがポツリとつぶやいた。

 

「ランジュちゃん……壊れたガンプラ、そのままだったね。」

「うん……。」

「ログアウトすれば元通りだけど、頑張ってくれたんだからメンテナンスぐらいしてあげてもよかったのに。」

 

 

 

 

~~

 

翌日

 

「今日も来たわよスクールアイドル同好会!!」

「うわっ、出ましたよ……。」

「かすみんさん、メッ。そんな事言っちゃダメだよ。」

 

次の日の練習の時も、本当にランジュはGBNに現れた。

前持ってアイから練習終わりの時間を聞いていたので、ちゃんと終わってから来てくれた。

今度はかすみんとしずこを相手に、新たなガンプラで勝負を挑んできた。

 

 

「あれ?ランジュさん、昨日のストライクフリーダムはどうしたんですか?」

「あぁ。あれはもういらないわ。今度ミアにでもあげようかしら。」

「ムムッ!なんですかそれ!もっとガンプラを大事にしてあげて下さいよ!!」

「いいから掛かってきなさいよ。」

 

 

ランジュの新たなガンプラは、SDガンダムの中でも大型のキットである『超機動大将軍(輝羅鋼)』

リアルタイプの武者頑駄無で、その大きさはMGサイズに匹敵する。

開戦後すぐに魔殺駆罠へと合体したザクみんと取っ組み合いながら、かすみんを圧倒しようとする。

だが、かけつけたO-ドリーガンダムのS・バーサーカーモードで頭部を斬りおとされ、バランスを崩した。

 

 

『あ、ちょっ……!』

「にやり……!隙ありーーーーー!!!」

『ちょっと待って!ちょっと待ちなさいよーーーー!!!』

 

 

O-ドリーと魔殺駆罠のダブルパンチが同時に超機動大将軍を貫き、圧倒言う間に決着がついてしまった。

倒れた超機動大将軍から降りてきたランジュは、捨て台詞を吐くとこの日もそのままログアウトして行った。

 

 

 

~~

 

更に翌日

 

 

「今度こそ負けないわ!!彼方!!璃奈!!勝負しなさい!!」

「懲りないねぇ……。」

「もしかして、また新しいガンプラ?」

「当たり前よ!!見なさい!!」

 

今度のランジュの機体は、『鉄血のオルフェンズ』の主役機であるガンダムバルバトスとその強化支援機『クタン参型』

ミーティアよりも小型で扱いやすい為、地上戦特化のカナタのビヨンドバルバトスとりなこのAEドムでは中々攻撃を当てられない。

さらに、この機体に搭載されている武装のほとんどが実弾兵器であるため、AEドムのディスチャージシステムは使えない。

だが……、

 

 

「ドムちゃんメガランチャー!ロックオン!」

『そんな小さいバズーカで何をしようというのよ!』

『いっけ~、りなこちゃ~ん!』

 

 

ランジュのクタン参型の攻撃を電動フレームの機動力でかわしながら、りなこのAEドムはドムちゃんメガランチャーでクタン参型を狙撃。

見事にクタン参型のブースターの内部への攻撃が決まり、そのままクタン参型が落ちてきた。

落ちてきたクタン参型を、野球のバッティングの要領でビヨンドバルバトスがメイスでぶん殴り、今回もほぼノーダメージで勝利を収めた。

 

「どうしてこうなるのよ!!」

 

 

 

 

~~

 

またまた翌日

 

 

「愛!果林!!今度はあなた達よ!!」

「ねぇランジュ、またガンプラ新しくしてるけど……今までのはどうしてるの?」

「家に置いてきたわよ。ほら、いいからやるわよ!!」

「仕方ないわ、やりましょうアイ。」

 

次にランジュが用意したのは『機動戦士ガンダム0083』のモビルスーツの汎用性とモビルアーマーの火力を兼ね備えた大型ガンプラ『デンドロビウム』

ミーティア以上の大型ガンプラであり、内部に鉄板を仕込んでいるためちょっとした鈍器にもなる代物。

開戦直後、大型ビームサーベルで襲い掛かるデンドロビウムの攻撃を、愛参頑駄無が変形したスーパー愛参イーグルを武器代わりにしているキュベレイ・ビューティーが防ぐ。

何度もビームサーベルを振うデンドロビウムだが、キュベレイ・ビューティーはそれを何度も難なく流した。

 

 

『この!このぉ!!』

「頭に血が上り過ぎよランジュ。そんなんじゃ私とアイには勝てないわよ。」

『カリン、次の攻撃くるよ!』

「えぇ。」

 

ビームサーベルでの攻撃を中止し、体当たりをしてきたデンドロビウム。

だが、キュベレイ・ビューティーに命中する瞬間、全身の至る場所が爆発し、デンドロビウムはバランス感覚を失った。

 

 

『な、なに!?何が起きたの!?』

「クリアファンネル。あなたには見えないわよ。」

『見えない攻撃って……そんなのインチキじゃないの!?』

『違う違う!カリンのアイデアの賜物だよ!』

「私も、アイラ・ユルキアイネンさんのガンプラを参考にしただけだけどね。」

 

 

最後の力を振り絞り、デンドロビウムはメガビーム砲をキュベレイ・ビューティーへ向けた。

当たればひとたまりもない攻撃ではあるが、キュベレイ・ビューティーと愛参頑駄無は退かない。

スーパー愛参イーグルを構え、キュベレイ・ビューティーはクリアファンネルと共に力を溜める。

 

 

『喰らいなさい愛、果林!!』

「喰らうのはあなたの方よ、ランジュ。」

 

 

引き金を弾くとともに、スーパー愛参イーグルから放たれたキュベレイ・ビューティーと愛参頑駄無の合体必殺ビームキャノン『サイレンス・ダイバー・ディーバ』

デンドロビウムが放ったメガビーム砲を完全にかき消し、デンドロビウム内のガンダムステイメンを貫いた。

音を立てて崩れ落ちるデンドロビウム。

どれだけ強いガンプラでも、内部の本体を倒されては動けない。

ステイメンから降りてきたランジュに、カリンとアイが近寄ってきた。

 

 

「また負けた……どうして……?」

「ランジュ、あんな戦い方じゃダメよ。ただ闇雲に振り回してるだけじゃ、どんなガンプラを使っても結果は一緒よ。」

「ねぇランジュ、アイさん達の知り合いに、凄くガンプラバトルが強い人達がいるんだ!今度アイさんと一緒にその人達のところで練習してみない?絶対楽しいよ!」

「ッ……!」

 

 

アイの提案を無視し、ランジュはそのままログアウトしてしまった。

近頃は仲良く出来て来たかと思っていたが、無視されてしまいアイは落ち込み、カリンはそんなアイを慰める。

二人とも一時的にスクールアイドル部に所属していた経験があるため、今のランジュを放っておきたくない。

 

「心配だなぁ……。ランジュ、大丈夫かな……?」

「そうね……きっとあの子、まだまだ同好会に勝ちたいのよ。」

「勝つためだけにガンプラバトルをやってるって事?だとしたら、ちょっと悲しいな……。」

 

アイには、ランジュの気持ちがよくわかる。

同好会と部のトーナメントの時や、この前のナデシコアスロンの時も、アイは勝ちにこだわった。

だが今のランジュは、その時のアイと違い、ムキになっているようにも見える。

 

 

「大丈夫だよアイちゃん。」

「エマっち。」

 

 

心配するアイの肩を、エマが叩く。

エマは何か決心を固めたようで、先ほどまでデンドロビウムが落ちていた場所を見つめながら言った。

 

 

「次は、私が一人で戦うよ。」

 

 

 

 

 

~~

 

 

「カワグチ!!」

「帰って来たか。」

 

ランジュが怒りながら帰宅すると、カワグチは客間で優雅にコーヒーを嗜んでいた。

彼女は手に持っていたデンドロビウムをテーブルへ置くと、カワグチに顔を近づける。

 

「どうなってるのよ!!今回も手も足も出なかったワ!!」

「……やはりな。」

「やっぱりって……どういう事?アナタまさか、わざと手を抜いて作ったんじゃ無いでしょうね!?」

「何……?」

 

ランジュの今の言葉に、カワグチはコーヒーを飲む手を止めた。

サングラスを掛けたままだが、彼の目には怒りの炎が灯っているのが、頭に血が上っているランジュにもわかった。

 

 

「この私が、ガンプラに手を抜く事など絶対にありえない!!そのような行いは、先代への裏切りに他ならない!!」

 

 

 

カワグチに凄みに圧倒されたのか、ランジュは何も言えなくなってその場に座り込んだ。

サングラスをクイっとあげると、彼はランジュを作業場へと案内し、先ほど完成したばかりのガンプラを彼女へ見せる。

最初に使っていたミーティアや、今日のデンドロビウムすら超える超巨体を誇る、HGどころかガンプラ界最大の大きさを持つ超巨大ガンプラ。

 

 

『HG ネオ・ジオング』だ。

 

 

その圧倒的大きさゆえに、ガンプラバトル同好会の部室で見た時から使用を決めていた。

手に取ってみようとしたが、あまりの重さに腰が抜けてしまいそうになった。

 

 

「これは?」

「ネオ・ジオングだ。『機動戦士ガンダムUC』最後の敵。ユニコーンガンダムと死闘を繰り広げた、最強のMAだ。」

「ユニコーンガンダムと?」

 

 

ユニコーンガンダムと言えば、高咲侑の愛機。

ランジュは同好会……というより、侑に勝ちたいがためにガンプラバトルを始めた。

その為の機体となれば、ネオ・ジオング以上にふさわしいガンプラは無いだろう。

ミーティアでは勝てなかったが、ネオ・ジオングならばきっと勝てる。

そう確信したランジュは、カワグチの手を取った。

 

「やってやるわカワグチ!これで、同好会よりもこのランジュの方が強いって証明してみせる!」

「ランジュ。」

「何?」

「私は確かに持てる技術のすべてを注いでそのネオ・ジオングを作った。だが断言しよう。今の君では彼女たちに勝つ事は不可能だ。」

「な……そ、そんなわけないでしょ!だって、あなたメイジン……?とかいう奴なんでしょ?一流のガンプラを使って負けるわけがないじゃない!」

「君は、何のためにガンプラバトルをやっている?」

「何度も言わせないで!同好会に勝つためよ!それ以外に、アタシがガンプラバトルをやる理由なんて無いワ。」

 

 

ネオ・ジオングを台車ごと、明日の送迎用の車まで運ぶランジュ。

その場に残されたカワグチはふぅとため息をつき、作業椅子に腰かけた。

 

 

「ガンプラは、自分の力を誇示するための道具では無い。」

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第33回:ランジュとミア

ランジュ「いらっしゃいミア!ようこそアタシの家へ!」

ミア「どうして僕がランジュの家になんて来なくちゃいけないんだ……はぁ、璃奈の家に行きたい。」

ランジュ「たまには部の二人だけでお泊り会とかやってみたいじゃない!ディナーは期待してなさい!」

ミア「ハンバーガーでいいんだけど。」

ランジュ「栄養が偏るわよ。肉を食べなさい肉を!」

ミア「それも栄養偏るじゃん。」

ランジュ「とりあえず、何かして遊びましょうよ。あ、アニメでも見る?」

ミア(たぶん何かのガンダム作品だろうな……ありきたりだよね。この毎回劇場もワンパターンな事しか……、)

ランジュ「とりあえずドラ○もんでいいかしら?」

ミア「ドラ○もん!?Why!?ドラ○もん!?」

ランジュ「あ、サザ○さんの方がいい?」

ミア「待ってくれランジュ……何故、その二つなんだ……?」

ランジュ「面白いのよ?」

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