ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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もっっのすごく久しぶりにSBLで賞取れた。

ありがとうフェス限しお子2……20連で来てくれたお前は良い子だ。










宿命のシランジュ

「こう……かしら?」

「違う。それだと力が入り過ぎて余計にパーツを削ってしまう。鉄ヤスリでは無く、こっちのスポンジヤスリで削るといい。」

「わかったわ。」

 

マサキの指導を受けながら、壊れたシナンジュを修復するランジュ。

破損した箇所は胸部と頭部、それと肩のパーツ。

プラ板や余ったパーツを削りだし、シナンジュの破損個所に適合するようにパーツを加工していく。

パーツが完成すると、それを接着剤でくっ付けて、はみ出して固まった接着剤を削る。

少し不格好だが無事にシナンジュの修復が終わり、自分で直したガンプラをランジュは眺めた。

 

「無事に直ったわね。さすがマサキくんね。的確な指示だったわ。」

「どう?結構楽しいっしょ?」

「…………。」

 

無言でシナンジュを見つめるランジュ。

とても大変だった。

何度も手を切ったし、接着剤が手についてべたべたになるし、塗装で服は汚れた。

先ほど作った素組みのリボーンズガンダムとは違い、素人のランジュがやるにはハードルが高かった。

直している間、彼女の頭に浮かんだのは、これを作ってくれたカワグチの顔。

カワグチはこれよりもっと大変な作業をして、シナンジュやネオ・ジオング、他のガンプラを作ってくれた。

 

「鐘。野生の熊は子供の頃に狩りのイロハを覚え、それを後世に伝えていく。」

「……は?熊?」

「今学んだことは、いずれ必ずお前の役に立つと言う事だ。宮下達に感謝しておいてくれ。」

 

そう言い残し、マサキはその場から離れて行った。

 

 

しばらく時間が経ち、ガンプラ体験会も解散の時間となった。

集まった子供たちやガンプラを学びたい人達は全員帰宅し、マサキとパルも含めた8人で片付けの準備に入る。

パルは足が不自由なので、しずく、ミアと一緒にガンプラの箱の片付け。

すると、ミアがランジュの下にやってきて、ごみ袋を差し出してきた。

 

「何やってんの。ほら、片付けるよ。」

「あ、アタシも……?」

「当たり前じゃん。これ終わったら、部室で作戦会議するよ。次こそ勝つんでしょ、同好会に。」

「……そうね。フフッ、このランジュの片付けスキルを見せてあげるワ!」

「いつもの調子に戻って来たんなら、口より手を動かしなよ。」

 

 

 

~~

 

ボランティア活動を終え、ミアと作戦会議をしたランジュは、カワグチの運転する車で自宅へと帰宅した。

車の中でランジュは鞄から今日作ったリボーンズガンダムと、自分で修復したシナンジュの二体を手に取る。

最初はガンダムなんてものは全く知らなかった。

ただ同好会がハマったロボットアニメ……そのプラモデル、その程度の認識だった。

しかし連日のバトルと今日の体験会、それでランジュのガンプラに対する意識も変わった。

自宅に到着すると、カワグチがランジュを車から降ろす。

カワグチはそのままその場を去ろうとしたが、ランジュが彼を引き留めた。

 

「ねぇ、カワグチ。仕事を依頼したいんだけど……。」

「私はすでに契約を終えた身のはずだが?」

「報酬なら用意するわよ!だから、ランジュのお願い聞いてほしいの!」

「……話だけでも聞こうか。」

 

まんざらでもない声で、カワグチも車から降りた。

二人はガンプラ製作の為の作業場まで移ると、カワグチでは無くランジュが作業机に座る。

机の上にシナンジュとリボーンズガンダムを置くと、その二つをカワグチへ見せる。

 

 

「カワグチ、ランジュにガンプラを強くするための方法を教えて。」

「ガンプラを、改造するというのか?君が?君自身の手で?」

「えぇ。今日、同好会の子たちやミアとやってみてわかったわ。アタシが同好会にバトルで勝てなかった理由。」

「その二体を使うのか?」

「こっちはアタシが初めて作ったガンプラで、こっちはカワグチがアタシの為に作ってくれたガンプラ。この二体で、アタシが作れる最高のガンプラを作りたいのよ!作業は全部自分でやるわ!だから、コツとか道具の使い方とか、そう言うのを教えてちょうだい!」

「なるほど……。」

 

 

数日前まで、ガンプラ作りには一切の興味を示さなかったランジュ。

あのボランティア活動が、彼女にとっていい刺激になったに違いない。

カワグチはシナンジュとリボーンズガンダムを見比べ、顎に手を当てた。

 

「だが、重武装のシナンジュに可変機能を持つリボーンズガンダムの組み合わせか……初心者にしては難題だ。」

「無理を言ってるのはわかってるわ。でもランジュはどうしてもこの子たちで作りたいのよ。他のガンプラじゃなくて、シナンジュとリボーンズで!ダメかしら、カワグチ……。」

「誰も、ダメとは言っていない。」

 

そう言いながら、カワグチはサングラスを取った。

長い金髪を後ろで結びなおすと、彼はスーツの懐からいくつもの専用の道具を手に取り言った。

 

 

「私の先代が残した偉大な言葉がある。」

「言葉?」

「『ガンプラは自由』……ガンプラは、どんな発想で作ってもいい。そこに掛ける想いや情熱も、そのガンプラを作り出す人それぞれだ。ランジュ、君はこのシナンジュとリボーンズに特別な想いを抱いた。ならば、君の役目はそれを形にし、私の役目はそんな君を導く事にある。」

 

 

ランジュに指示を出し、シナンジュとリボーンズを分解させ始めたカワグチ。

更に今までランジュが使って来たミーティアや超機動大将軍、クタン参型にデンドロビウムも取り出し、使えそうなパーツを取り外していく。

 

 

「ここからは君に雇われた4代目メイジン・カワグチとしてではなく、一人のガンプラ馬鹿、キジマ・ウィルフリッドを名乗らせてもらう。作るぞランジュ、君だけにしか作り出せないガンプラを!」

 

 

 

~~

 

そこから、ランジュとカワグチ……ウィルフリッドのガンプラ製作が始まった。

ベース機となるのは『機動戦士ガンダムUC』に登場する最強の敵 フル・フロンタルの乗るMS『シナンジュ』

そこへリボーンズガンダムのパーツを強化武装として装着。

繋ぎに他のガンプラのパーツを使用。

シナンジュ自体がリボーンズよりも少し大型の為、形状が中々合わずに苦戦した。

シナンジュ側のスラスターに、リボーンズガンダムのGNフィンファングを合わせ、シナンジュとしての原型を崩さずに取り付ける。

作業に没頭し、気が付いた時にはすでに夜も更けていた。

 

「そろそろ休憩にしたらどうだ?」

「アタシはもう少し続けるワ。あなたは休憩してらっしゃい。」

「のめり込むのはいいが、体を壊すぞ。スクールアイドルは体が資本だろう?」

「……それもそうね。あなた良い事言うじゃない!そうだ、前に言ってたあなたのライバルの話を聞きたいわ。」

「どうしたんだ、藪から棒に。」

「いいじゃない。興味があるのよ。」

「フッ、いいだろう。彼の名はカミキ・セカイ。私が今まで戦ったどんなファイターより、熱い心を持つ少年だった。」

 

 

ウィルフリッドの昔話を聞きながら、ティータイムとしゃれ込むランジュ。

7年前の実機バトル全国大会で、当時高校生だったウィルフリッドと戦った中学生の少年。

イオリ・セイが製作し、彼のチームメイトと共に改造した『トライバーニングガンダム』を操る『カミキ・セカイ』

当時のウィルフリッドが操っていた『トランジェントガンダム』と激闘を繰り広げた末、セカイのトライバーニングが勝利を収めた。

その後彼は、ウィルフリッドの妹であるキジマ・シアと共にガンプラ作りの修行をはじめ、初めての自作ガンプラ『カミキバーニングガンダム』を完成させた。

今でもウィルフリッドはセカイと定期的に連絡を取ってはいるが、3年前にセカイが高校を卒業して以降は直接は会っていないそうだ。

 

 

「彼は最高のライバルだった。私は、君があの子たちと、私とセカイの様な関係を築いてほしいと思っている。」

 

 

ウィルフリッドがそう言うと、彼とランジュは再びガンプラ作りを再開した。

数時間後、ようやく機体が完成し、後は塗装のみ。

当然カラーリングはランジュを象徴する赤・黒・金。

これはシナンジュの元々のカラーと同じであり、そこへ差し色としてリボーンズガンダムの白も少し足す。

 

 

「出来た……!」

「良く頑張った。これが、君の最初のガンプラだ。」

「ランジュのガンプラ……!」

「あとは操作を覚えよう。私の叔父に練習場を提供してもらおう。」

「無問題ラ。その必要は無いワ。」

「何?練習もせずに、あの子たちに挑むというのか?」

「違うわよ。アタシ、ガンプラバトルを教えてほしい子がいるの。」

 

 

そうしてランジュは、スマホを取り出して電話を掛ける。

電話の相手は、同じニジガクに通っている、スクールアイドル同好会のメンバー。

 

 

『もしもし?ランジュ?どうしたのよ、珍しいわね。』

「果林!ねぇ、あなた寮住んでるんでしょ?」

『えぇ。それがどうしたの?』

「お願いがあるのよ!エマと話がしたいの!」

 

 

 

 

~~

 

それから、さらに数日後

 

ベアッガイフェスを数日後に控えた虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の面々は、今日も紛争地エリアでダンスの練習をしていた。

等身がいつもと違うしおこも、そのダイバールックにふさわしい振り付けをカリンとかすみんで考案してくれて、ダンスはすでに完璧。

当日の順番はメンバーのナンバー順で10曲を歌い、最終的に『TOKIMEKI Runners』を披露してフィニッシュ。

当日はリク達やヒロト達も見に来てくれるそうなので、気合が入る。

 

「しずこちゃんの選曲は『やがてひとつの物語』、りなこちゃんは『ツナガルコネクト』で、かすみんちゃんは『ダイアモンド』、発表時期がバラバラの曲を歌うのって、なんか新鮮だね。」

「ジーッ………。」

「し、しおこちゃんの新曲も作らなきゃね。」

「楽しみにしていますねユウさん。」

 

フェスで歌う曲は、全員ランダムで決まった。

一貫性が無い方が面白いという、ユウの思いつきが理由だった。

 

結局フォースネストでの練習は出来なかったが、この紛争地エリアのステージも練習には中々悪くなかった。

色々あったが、ベアッガイフェスではいいライブが出来そうだ。

練習を終えて、ログアウトボタンを押そうとするユウとアユムの二人。

するとエマが二人に駆け寄ってきた。

 

「あ、待ってユウちゃん、アユムちゃん!ログアウトするのはもう少し後にしてくれないかな?」

「え?でももう練習終わりましたよ?」

「ライブの事でマギーさんに話聞こうと思ったんだけど、何かあるの?」

「もう少しだよ。ちょっと待っててね。」

「「?」」

 

エマに待機を言い渡された二人はよくわからずにそのばに留まる。

 

 

すると、しばらくして上空にディメンション間移動用のワープゲートが開き、そこから二体のMSが飛び出してきた。

 

 

 

「あ、あれは……!?」

 

 

 

『フッフッフッフ!ニーハオ!!スクールアイドル同好会!!』

『待たせたね。』

 

 

 

飛び出してきたうちの一体……赤いガンプラは腕組みをしたまま、地面へと降りてくる。

もう一体のSDガンダムのガンプラはグリフォンの様な銀色の支援機に乗ったまま地面に降り、スクールアイドル同好会の面々を唖然とさせた。

 

 

「その声……ランジュちゃん!?」

「じゃあそっちのSDの方に乗ってるのはミアちゃんかな?」

『その通りよ!!ウフフ!見なさいあなたたち!!このランジュの美しいガンプラを!!』

 

 

やって来たのは虹ヶ咲学園スクールアイドル部のランジュとミア。

二人の乗る機体はそれぞれ、ランジュは『機動戦士ガンダムUC』のシナンジュの改造機。

ミアは『SDガンダム三国伝』の呂布トールギスを『SDガンダムフォース』の騎士トールギス風に改造した機体。

どちらもかなりの完成度を誇っており、ミアのトールギスに至っては元が呂布だったとは思えないほどの改造が施されている。

二体はユウとアユムの前に立つと、パイロットがコックピットから降りてきた。

 

 

「まーた来たんですかー?しつこい人ですねぇ。」

「ミアさん、GBN始めたの?嬉しい!」

「璃奈!こっちでもキュートだね。どうかな僕のガンプラ。エマと一緒に作ったんだけど……。」

「凄くカッコいい!でも、ベース機がよくわからない……。」

「呂布トールギスだよ。騎士ガンダム風に改造してみたんだ。」

「……で、鐘嵐珠の方のガンプラは……あれ?前見たヤツに似てる……。」

「当たり前じゃない!あのシナンジュを改造したのよ!どうかしら、このフォルム!美しいでしょ!」

 

 

以前エマに破壊されたネオ・ジオングに使われていたシナンジュの改造機。

まさかランジュが同じガンプラで挑んでくるとは思ってなかったようで、かすみんとりなこは驚いた。

カナタとセツナも彼女のガンプラに近づいてマジマジと眺めたが、胸部が歪に歪んでいた為、GPDの傷を修復して使っている事は間違いなさそうだ。

 

 

「間違いありませんね。これはあの時のガンプラです。」

「ランジュちゃん、自分で直したの~?」

「愛たちが協力してくれたの!というわけで侑、歩夢!アタシとミアで、あなた達にバトルを挑むわ!!」

「「えぇ!?」」

 

 

確かに、同好会の中でランジュとバトルしていないのはあとはユウとアユムの二人だけ。

他のメンバーは全員彼女と戦い、いずれも圧勝している。

あの頃のランジュはガンプラをただの戦う為の道具としか見ておらず、戦う気が起きなかったが、今のランジュは何かが違う。

返答に困っている二人の肩を、エマが叩いた。

 

「二人とも、今のランジュちゃんは強いよ。」

「エマさん!」

「油断してると、足元掬われちゃうかも。」

「……わかりました!やろう、ユウちゃん!」

「その言葉を待っていたわ歩夢!さぁ、始めるわよ!」

 

再び自身のガンプラに乗り込んだランジュとミア。

ユウはレインボーユニコーンガンダム、アユムはガンダムドリームインパルスを呼び出し、二人ともそこへ乗り込む。

 

 

バトルのルールは殲滅戦。

個々に割り振られたHPを削りあい、先に相手を全滅させたら勝利のオーソドックスなルール。

 

 

紛争地エリアから少し離れた荒野に立った4機のガンプラは、相手チームを見据えて操縦桿を握る。

そして、ステージ変わりに使っていた場所からセツナがマイクを取ると、りなこのAEドムの掌の上に乗せてもらいマイク越しに叫んだ。

 

 

 

「いよいよ始まる、虹ヶ咲学園が誇るスクールアイドルの二大巨頭!!スクールアイドル同好会とスクールアイドル部の意地と意地を掛けた戦い!!前回、同好会に惨敗したランジュは、果たしてリベンジを果たせるのか!!そして期待の新星ミア・テイラーのトールギスはいったいどのような戦いを見せてくれるのか!!頑張れレインボーユニコーン!!負けるなドリームインパルス!!さぁ、いざ尋常に……ガンプラバトル、レディ・ゴー!!」

 

『……これは何?ドムちゃんボード『はてな?』』

 

「お約束です!!」

 

 

 

「ユウ!レインボーユニコーンガンダム!!行きます!!」

『アユム、ガンダムドリームインパルス!出ます!!』

 

 

『ランジュ……シランジュ、ショータイムよ!!』

『ミア。ライトニングトールギス&ランページグリフォン、Ready go!』

 

 

 

発進した同好会のレインボーユニコーンとドリームインパルス。

そして、対峙する部のシランジュとライトニングトールギス。

 

金色の装飾が稲妻を彷彿とさせることから、『ライトニング』の名を関したミアのトールギスが、支援機『ランページグリフォン』に跨り、まさに稲妻の様な速度でドリームインパルスに襲い掛かって来た。

咄嗟にドリームシルエットからレイピアを抜き取り、ライトニングトールギスの持つ『テンペストランス』にぶつける。

あまりの速度に、アユムはライトニングトールギスを目で追い切れない。

 

 

『は、速い!』

『フッフッフ……どうだい?ライトニングトールギスの得意技、『キラースピード』さ。』

 

 

トールギスには、人間が乗る事を考慮しない無茶苦茶な加速設定がされてある。

ゆえに、パイロットにかかる負担が大きすぎる事から、劇中で『殺人的な加速』と評された。

だが、ここはGBN……ネットの世界だ。

ライトニングトールギスの無茶苦茶な加速は弱点から利点に変わり、SDガンダムの為リアルタイプのガンプラよりも速度を出すことが出来る。

更に支援機ランページグリフォンが機体そのものへの負荷調整を行い、一切デメリットの無い仕様に仕上がった。

 

相手を必ず倒すスピード『キラースピード(殺人的な加速)』を備えた超高速機動機、それがミアの『ライトニングトールギス』だ。

 

 

『速すぎるけど、私だって一歩一歩成長してるんだよ!』

 

 

ドリームシルエットを最大加速させ、ライトニングトールギスに食らいつくドリームインパルス。

振り返ってシールドでドリームインパルスの攻撃を防ぐが、そのせいで一瞬動きが鈍くなり、その隙にドリームインパルスがライトニングトールギスの角飾りを掴んだ。

 

 

『Sit!!ボクのスピードについて来るだなんて!』

『ユウちゃん!ミアちゃんは私に任せて!!』

「わかった!ありがとうアユム!」

 

 

ドリームインパルスとライトニングトールギスが交戦する中、宿命の戦いを繰り広げたレインボーユニコーンとシランジュ。

この二体は同好会と部の中心人物という点だけではなく、使う機体も対となる。

 

かたや『機動戦士ガンダムUC』の主役機、ユニコーンガンダムがベースのレインボーユニコーンのユウ。

かたや『機動戦士ガンダムUC』の宿敵 シナンジュがベースのシランジュのランジュ。

 

以前は大技を放つだけだったランジュだが、今はシランジュのシールド裏に取り付けられていたGNビームアックスを使い、レインボーユニコーンのビームトンファーと近接格闘戦を繰り広げる。

一旦地面に着地し、一気に踏み込んでレインボーユニコーンに斬りかかる。

レインボーユニコーン側もいったん左腕のビームトンファーをしまい、シールドでシランジュの猛攻を防ぐ。

 

「攻撃に隙が無い……!」

『当然よ!だって、エマと猛特訓したんだから!!』

「え、エマさんと特訓!?」

「そうよ!何度もボコボコにされたわ!」

 

レインボーユニコーンを蹴り飛ばすと、今度は腰にマウントしていたライフル『シランジュバスターライフル』を手に取る。

銃身から伸びたケーブルを右肩のショルダーパーツに接続し、レインボーユニコーンを狙う。

当然レインボーユニコーンはそれを躱すため、ブースターの出力を上げてその場を離脱。

彼女を追撃するようにバスターライフルを放ち、負けじとレインボーユニコーンもスナイパーライフルでシランジュを狙撃。

どちらも『攻め』を譲らない。

 

 

「ランジュちゃんのガンプラはライフルを持ってるけど得意なのは接近戦……だったら、見えない位置から狙撃を……!」

『フフフ……見せてあげるわ、このシランジュの真骨頂を!』

 

 

『MODE-CHANGE』

 

 

ランジュが叫ぶと、シランジュの頭部が引っ込んだ。

さらに両腕が180℃回転し、更にシランジュの上半身も180℃回転。

シランジュのスラスターだったパーツが開き、まるでキャノン砲の様な形状へと変形し、バックパックがせり上がりガンダムフェイスが出現。

最後にシランジュバスターライフルを胸部に装着して両肩のパーツとケーブルで接続されると、シランジュは前面と背面が入れ替わった形態へと変形を遂げた。

 

 

「へ、変形した!?」

『見なさい侑!これがアタシのガンプラのもう一つの姿、『シランジュキャノン』よ!!』

 

 

シランジュキャノンへと変形したシランジュが、合計5つの砲台でレインボーユニコーンを狙い撃ってきた。

何発かは回避し、残りは全てシールドで受け切るものの、一発一発が非常に重い。

威力の割にエネルギー消費が少ないのか、ランジュは弾切れを心配する素振りを一切見せない。

 

 

「あの形態って、確か『00』の……! 」

『ユウちゃん!』

「アユム!」

 

 

ライトニングトールギスと交戦していたアユムと合流したユウ。

シランジュキャノン数発でボロボロになったレインボーユニコーンのシールドの代りに、ドリームインパルスが携えていた剣を数本犠牲にして彼女をまもってくれた。

二人と同じようにシランジュキャノンとライトニングトールギスも合流し、二チームともお互いを見据える。

 

 

(なんだか最近ドリームインパルスの調子がおかしいな……思うように動かない……。)

 

 

「アユム!連携攻撃で行くよ!」

「う、うん!」

 

脚部装甲をドリームインパルスに渡し、レインボーエクスカリバーを装着。

更にドリームインパルスはレッグフライヤーを分離させて下半身にドリームシルエットを装着し、ドリームインパルススカイへ。

ライトニングトールギスにも負けないスピードを発揮し、背中にレインボーユニコーンを乗せて特攻。

レインボーユニコーンのWビームトンファーとドリームインパルススカイのレインボーエクスカリバー……合計3本の剣でシランジュキャノンとライトニングトールギスを切り裂こうとした。

 

 

『MODE-CHANGE』

『TRANS-AM』

 

 

『フフフ……!』

 

 

しかし、ライトニングトールギスはその場から緊急離脱し、シランジュキャノンは一瞬で姿を消してしまった。

あの能力はまさしく、ダブルオーガンダムの強化形態であるトランザムライザーが持つ『量子化』

ハッとして振り返ると、そこには元のシナンジュ形態へと変形したシランジュがライトニングトールギスと共に浮かんでおり、その体から赤と金が混じったかのような光を放っていた。

 

 

「と……トランザム……!?」

「どうして!?あのガンプラ、シナンジュなんじゃ!?」

「フッフッフ……驚いたかしラ!」

 

 

良く見て見ると、シランジュのショルダーパーツが開いている。

そこ先ほどまで、バスターライフルが接続されていた場所。

シランジュのショルダーパーツの中には、小型化されたGNドライブが二つ設置されており、右からは赤の、左からは金の粒子を放出している。

 

これは、ダブルオーガンダム系列のみが持つ特殊機構『ツインドライブシステム』

太陽炉を並列に二つ接続する事で、粒子の生産量と放出量を二乗化させるシステムだ。

 

この機構は、シランジュの元となったもう一つのベース機『リボーンズガンダム』より齎されたもの。

正確には正式な太陽炉では無く、リボーンズガンダムに搭載されていた疑似太陽炉を使用しているが、その能力は他のガンプラを圧倒する。

サイコフレームを使用したシナンジュというポテンシャルの高い機体に、リボーンズガンダムの『リボーンズキャノン』への変形機能とツインドライブシステムを搭載した機体。

 

 

それが、ランジュ専用機『シランジュ』だ。

 

 

「あのリボーンズガンダム……もしかして、体験会の時の……!」

「そうだよしおこちゃん。あの後ね、ランジュちゃんが私のところに頼み込んできたの。ガンプラバトルを教えてくれって。この前までのランジュちゃんなら私は断ってたかもしれない。でも、今のランジュちゃんなら……。」

 

 

「シナンジュとリボーンズの合体なんて、そんな滅茶苦茶な……。」

『良い事を教えてあげるわ侑!これは、アタシがお世話になった人が言ってた言葉よ!』

「え?」

 

 

 

『ガンプラは、自由なのよ!!さぁ……支配してあげるわ!!』

 

 

トランザムを発動しながら迫ってくるシランジュと、キラースピードを使うライトニングトールギス。

並び立つレインボーユニコーンとドリームインパルスは互いに顔を見合わせると、拳を握った。

このバトルは楽しい。

今まで以上に強くなったランジュと、未知数なミア。

この二人を前にして、ユウもアユムも心が熱くなる。

 

 

『NT-D』

 

 

「勝とうアユム!一緒に、あの二人に!」

「そうだね!……もう少しお願いね、インパルス……。」

「変身!!」

 

 

ユウの心が熱くなると発動する専用システム『アシムレイトNT-D』

全身の装甲が展開をはじめ、レインボーユニコーンはその姿をユニコーンモードからデストロイモードへと変身させた。

 

バックパックから二本のビームサーベルを引き抜き、ビームトンファーと合わせて4本のサーベルを展開し、ドリームインパルスと共に、シランジュ&ライトニングトールギスに立ち向かう。

 

 

そこからは、誰の目にも止まらない高速戦闘が繰り広げられた。

 

 

キラースピードを持つライトニングトールギスと、同等の速度を持つドリームインパルスが互いにレイピアとランスをぶつけ合いながらシランジュとレインボーユニコーンを援護。

一撃が重いドリームインパルスの攻撃は、その一つ一つがライトニングトールギスにとっては致命傷となる。

シールドで防ぐも、程なくして砕かれてしまい、ドリームインパルスがライトニングトールギスの首を掴んだ。

首の付け根にレイピアを突き刺し、頭部をもぎ取ろうするが、同様にライトニングトールギスもドリームインパルスのアンテナを掴む。

空中から二体が墜ちてくると、地面を転がりながらもなんとかドリームインパルスがライトニングトールギスの首に刃を当てる事に成功し、そのまま勢いに任せてその首を打ち取った。

 

 

『くっ……!はぁ……ボクはここまでか……後は頼んだよ、ランジュ。』

『はぁ……!はぁ……!ダメージが大きいな……ユウちゃん!』

 

 

ライトニングトールギスを何とか撃破したドリームインパルスはその場で膝をつき、ドリームシルエットをレインボーユニコーンへと飛ばした。

シランジュのGNビームアックスとサーベルを交えるレインボーユニコーンへドリームシルエットがドッキングし、レインボーユニコーン(ドリームシルエット装備)へと合体。

手数のレインボーユニコーンと火力のシランジュ……この戦い、どちらが勝ってもおかしくは無かった。

 

 

 

『アタシは絶対に負けないわよ高咲侑!!このシランジュは、ランジュが皆と作ったガンプラなんだから!!』

「私だって負けないよ!!こんな楽しいバトル、負けて終わるなんて勿体無い!!」

 

 

 

振り下ろされたGNビームアックスを掴み、そのままへし折ったレインボーユニコーン。

だが、その時にシランジュ側もレインボーユニコーンのビームサーベルとビームトンファーを破壊し、二機とも残す装備はシールドとライフルのみ。

だがこんな近距離で銃身の長いレインボーユニコーンのスナイパーライフルとシランジュのシランジュバスターライフルは役に立たず、シールドを鈍器の様に使いながらお互いの顔面を殴りあう。

 

 

「ユウさん……ランジュ……。」

「大丈夫だよ。二人とも、楽しそうだから。」

「……はい!エマさん!」

 

 

レインボーユニコーンを地面にたたき落とし、シランジュが彼女に馬乗りになって来た。

その頭部にアイアンクローをするが、その手をレインボーユニコーンに掴まれて、お互いに身動きが取れない。

 

 

『勝つのはランジュよ……侑!!』

「ッ……ゆ、ユニコーン!!」

 

 

その時、レインボーユニコーンのサイコフレームが光を失った。

それと同時にデストロイモードが解除され、ユニコーンモードに戻る。

しかし、この力を使い果たした変形の瞬間こそが、ユウの狙い。

 

この時、アイアンクローをしていたシランジュの右手が、レインボーユニコーンの頭部の変形に巻き込まれ、バラバラに砕け散った。

 

 

『なっ……!?』

 

 

その事に怯んだシランジュに一瞬隙が生まれ、咄嗟にレインボーユニコーンはスナイパーライフルをシランジュの頭部に突き刺す。

よろけたシランジュへ、渾身のパンチを叩きこんだ。

 

 

 

『け……けっちゃーーーーーく!!長い戦いに終止符を打ったのは、我らがレインボーユニコーンガンダム!!ライトニングトールギスとシランジュのタッグを打ち破り、苦しくも勝利を掴んだのは、レインボーユニコーンとドリームインパルス!!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会だーーーーーー!!!』

 

「セツナさん、声大きい。」

 

「すいません!!ですがお約束なので!!」

 

 

 

 

~~

 

 

今の戦いを、彼女たちから見えない場所で眺めていた二体のガンプラ。

一体はチャンピオン、クジョウ・キョウヤのガンダムTRYAGEマグナム。

もう一体は、白いボディに様々な武装を携えた、00系のガンプラ……4代目メイジン・カワグチの愛機『トランジェントガンダムVer.IV』だ。

 

「ナイスバトルだった。やはり、ガンプラバトルはこうでなければ!」

「あぁ、そうだな。」

「? どこへ行くんだ?彼女に会って行かなくていいのかい?」

 

振り返り、その場から去ろうとするカワグチとトランジェントガンダム。

そんな彼をTRYAGEマグナムが引き留めるが、トランジェントガンダムは首を横に振った。

 

「私には、まだメイジンとしてやるべき事がある。世界中の人々にガンプラの素晴らしさを、楽しさを伝える。今のランジュに必要なのは、私の手伝いでは無く、彼女の心を熱く燃やせるライバルだ。」

「君の教えは、きっとあの子の中で生き続けるさ。」

 

最後に、トランジェントガンダムのコックピットを開き、カワグチが姿を見せた。

彼は大きく両腕を広げ、広大なGBNへ向けて叫ぶ。

 

 

「青春短し、戦え少年少女達!!ガンプラバトルの次の時代を作るのは、君たちだ!!」

 

 

 

 

~~

 

大破したシランジュとライトニングトールギスから、ランジュとミアが降りてきた。

ミアはともかく、ランジュはもう一歩も動けないのか、その場で大きく横になる。

心配して駆け寄ってきたしおこ達がランジュを覗き込むが、今までの様な悔しそうな表情ではなかった。

 

 

「あーあ……また負けちゃったワね、ランジュ。」

「あ、あの……気を落さないでくださいランジュ……。」

「無問題ラ!」

 

 

改めて、ランジュはシランジュを見上げた。

ボロボロになったシランジュ……だが、ログアウトすれば元通りになる。

しかし、ミアに起こしてもらいながら、ランジュはコンソールパネルを開き、格納庫へのワープ画面を開いた。

 

 

「これから早速メンテよミア!次は絶対に勝ちましょうね!」

「あぁ。次は璃奈ともバトルしてみたいな。まだボクのライトニングトールギスは、全部を出し切ってないからね。」

「それじゃあ同好会のみなさん、拜拜!あ、そうそう。ねぇ、栞子、エマ。」

「? どうしたのランジュちゃん?」

 

 

「ガンプラバトルって、面白いわね!」

 

 

 

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第35回:やっぴー

かすみ「しず子、りな子!やっぴー!」

しずりな「「やっぴー!」」

栞子「?」

かすみ「しお子もやっぴー!」

しずりな「「やっぴー!」」

栞子「??? あの、やっぴーとは……?」

璃奈「1年生同士の専用挨拶。」

しずく「栞子さん、用事で生放送来れなかったから教えておこうと思って。」

かすみ「ほらしお子!やっぴー!」

栞子「や、やっぴー!……こうですか?」


~間~


コウイチ「今日は再販のガンプラが沢山入荷してきたなぁ。」

モモカ「うへぇ、品出し大変そう……。あ、ニジガク1年組来た。いらっしゃーい。」

栞子「コウイチさん、モモカさん、やっぴーです!」

しずかすりな「「「やっぴー!」」」

コウモモ「「???」」


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