ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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ザクみんワンダーランド

『かすみんさん!敵、そっちに行きました!』

『私が援護します!』

『頑張って。りなこちゃんボード『ファイト、オー!』』

 

複数体のリーオーに囲まれながら、互いの背中を守るように立つ3機のガンプラ。

そこから少し離れたところにいた小さいガンプラは、武器を持つ手をわなわなと震わせながら、目いっぱい叫んだ。

 

 

 

「なんで、こんなことになってるのーーーー!?」

 

 

 

 

~~

 

その日、同好会の練習は8人で行われた。

栞子だけが生徒会の仕事をして、他の8人はそれぞれのソロ曲の歌唱練習をした。

ちなみに、エマだけはまだスイスから帰国していない。

そのせいなのか、果林はエマが帰国してから1週間の間に3回も寝坊で遅刻した。

水分補給をしながら、かすみは一昨日見たことを思い出し、となりで歌詞を読みこんでいるしずくに話しかける。

 

「ねぇねぇしず子~。」

「なぁに?私今忙しいんだけど……。」

「一昨日見たあれってさ、やっぱりしお子だと思うんだよね。」

「またその話?栞子さんがガンプラバトルなんてやるわけないでしょ。ファミレスすら行った事無かったんだし、ゲームセンターやガンダムベースなんて行くとは思えないよ。」

「何の話?」

「りな子!実は一昨日、しお子がガンプラ持って歩いてるところ見てさ~。」

「イメージ湧かない……璃奈ちゃんボード『グルグル~』」

 

一昨日の夕方、しずくと歩いているかすみが、偶然ガンプラを持って歩いている栞子を目撃した。

お堅い生徒会長で、世間知らずなお嬢様である彼女が、ガンプラバトルなんてやっているとは到底思えない。

そのことばかり考えていて、今日の練習にはあまり身が入らなかった。

 

 

「ふー、今日も疲れたぁ。」

「歩夢!今日も行くでしょ!?」

「ごめん侑ちゃん、私、今ドリームインパルス見直してるから今日は持ってきて無いんだ…。」

「えー!?そうなんだ残念……。」

「でもログインだけなら出来るし、やっぱり行こうかな。」

「ううん、無理しなくていいよ。じゃあ帰ったら一緒にやろ!私もレインボーユニコーン持っていくよ!」

「ありがとう、嬉しい!」

 

今日一日、歩夢と侑の会話にまったく入り込めなかった。

歩夢には絶対に負けたくないかすみは、グヌヌと拳を握りしめる。

もうすぐ校内ライブも近いというのに、このままじゃストレスが溜まるばかりだ。

 

 

「うぅ~……なんか今日一日ずっともやもやしっぱなしだったよぉ……。」

「よしよし、かすみさんは頑張ってるよ?」

「うえ~ん、しず子~!」

「そろそろ帰ろうか。璃奈さんも一緒に帰ろう。」

「うん、じゃあ、せっかくだし栞子ちゃんも誘おう。」

「そうだね。たまには1年生だけで親睦を深めるのも大事だよ。」

「! そうだしお子!」

 

 

 

~~

 

「ふぅ、思ったより量が多かったですね。もうこんな時間でしたか……さすがにこの時間からでは練習に参加できませんね……。」

 

はぁ、とため息をつきながら、栞子は鞄からデスティニーフリーダムのガンプラを取り出した。

テーブルにデスティニーを置き、頬杖をつきながらその頭を指でいじる。

 

「こんな調子で、立派なスクールアイドルになれるんでしょうか……。今思えばせつ菜さんは凄かったですね。生徒会の仕事をしながらも、スクールアイドルとしても十分な技量を発揮していました。私はあんな風にできるでしょうか……あなたはどう思いますか、デスティニーフリーダム。」

 

ガンプラが答えるわけ無いと思いつつも、ついつい話しかけてしまう。

今までガンダムなんて全く興味が無かったし、ガンプラバトルだってただのおもちゃ遊びだと思っていた。

でも、侑と歩夢とGBNを体験してみて感じた心の高鳴り、何より、デスティニーフリーダムを完成させられた時の喜びを思い出すと、あれがただの遊びじゃない事や、ガンプラがただのおもちゃじゃない事がよくわかる。

もはやこのデスティニーフリーダムは、自分の大事な一部だ。

 

「うふふ、今日も帰ったら綺麗にしてあげますからね。」

 

 

 

 

 

「しーお子!!」

 

 

 

 

「ひゃあっ!?」

 

突然生徒会室のドアが開けられ、栞子はとっさにデスティニーフリーダムを鞄へ戻した。

かすみを筆頭に同好会の1年生トリオが生徒会室に無断でぞろぞろと入ってきて、栞子はムッとする。

 

「かすみさん、いきなりドアを開けないでください!びっくりするでしょう?」

「あぁ、ごめん。それより、お仕事終わった?」

「えぇ、ちょうど今終わったところです。」

「私たちも練習終わったところなの。よかったら一緒に帰らない?」

「1年生だけで遊びに行こう。りなちゃんボード『キラキラ~☆』」

「ねぇねぇ?今鞄に何隠したのぉ~?」

「何でもいいではないですか。」

「えぇ~?教えてよ~!かすみんとしお子の仲じゃ~ん!」

「もう!かすみさん、めっ!」

「うぅ、どうしてしず子が怒るの~!?」

 

いつものかすみとしずくの漫才が始まると、栞子も帰り支度を済ませた。

1年生4人だけで遊びに行くのも久しぶりで、こういう時は全員とてもわくわくする。

 

 

「今日はどこ行く?璃奈ちゃんボード『はてな?』」

「かすみん、前にしず子が行ったチーズタピオカミルクティーっていうの飲みにいきたい!」

「あれは危険な飲み物です……下手をすれば、タピオカに呑まれます……!」

「え?なんでそんなガチなトーンで言うの?」

「私、ゲームセンター行きたい。」

「ゲーセンもいいねぇ!しお子どっか行きたいところある?」

「私ですか?」

「確かに、最近栞子さんとあんまり遊んでなかったしね。今日は栞子さんの行きたいところ行ってもいいよ。」

「私は……、」

 

 

かすみはチーズタピオカミルクティーが飲みたい、璃奈はゲームがしたい、しずくは栞子の行きたいところに行きたい。

3人の希望を全て叶えるように計算すると、とある場所を思いついた。

これに誘うには、かなりの勇気がいるが……侑と歩夢がそうやって誘ってくれた以上、自分もここで臆するわけにはいかない。

 

 

「では……!」

 

 

 

 

~~

 

 

 

「いらっしゃいませー!お、栞子ちゃん今日も来たね!侑ちゃんと歩夢ちゃんはいないの?」

「はい、今日は私の同級生のお友達を連れてきました。」

 

 

「「「……………マジか。」」」

 

 

ダイバーシティで購入したチーズタピオカを片手に、1年生3人は目の前にいる栞子に唖然とした。

彼女が行きたいと言い出したのは、なんとガンダムベース。

道中にGBNの素晴らしさを説かれ、到着するや否やこの店のバイトリーダーのモモカと、店長代理のコウイチと親しげにしゃべり始めた。

 

「ね、ねぇしお子……もしかして一昨日、ガンプラもって歩いてた……?」

「はい!見てください、私のデスティニーフリーダムです!綺麗でしょう?」

「うわっ、すごい作りこみ……!これ、栞子さん一人で?」

「いえ、ここにいるナナセさんにお手伝いしていただきました。」

「ハハハ、三船さんに元々センスがあったんだよ。僕はそれをちょっと後押ししただけ。」

 

正直しずくは、かすみがガンプラを持っている栞子を見たと言っていた時、絶対にありえないと思っていた。

しかし今回はかすみが正しかったようで、素直に頭を下げる。

 

「疑ってごめんねかすみさん。」

「ううん、かすみん……この目で見てもいまだに信じられないもん。」

「でも、栞子ちゃん楽しそう。」

「そうだね。スクールアイドルの練習をしているときと同じぐらいイキイキしてるよ。」

 

コウイチやモモカとガンプラの相談をしている栞子の顔は、みんなとスクールアイドルの練習をしている時と同じぐらい輝いていた。

嬉しそうにしている仲間の顔を見るのは、こちらとしても嬉しいものだ。

 

 

「じゃあ、そろそろ次のところ行こっか!かすみん、次はカラオケがいいなぁ!」

 

 

 

「あの!私もガンプラ作ってみたいです!」

「私もやってみたい。GBN、前から興味があった。」

 

 

「え?」

 

 

「本当ですか?しずくさん達と一緒に出来るだなんて嬉しいです!」

「よかったね三船さん。じゃあ、ガンプラ選びのお手伝いはモモちゃんにお願いしようかな?」

「はーい!モモカお姉さんにお任せー!」

 

 

「え?」

 

 

「かすみさん。さぁ、かすみさんも一緒に選びましょう!」

 

 

「えぇぇ!?」

 

 

 

 

しずくと璃奈がガンプラに興味を持ち、二人はモモカと一緒に自分のガンプラを選び始めた。

二人はすぐに自分のガンプラを決め、購入するとさっそく製作ブースへ。

 

しずくは真っ先に目に留まった『HG 1/144 Oガンダム(実戦配備型)』、璃奈は顔の形が気に入って『HGUC 1/144 ドム』を購入。

 

それを見ながら、かすみは唖然とした。

 

「二人とも、ホントにガンプラバトルやるの?」

「うん。動画見てて、すごく楽しそうだった。私もいつかやりたいって、ずっと思ってた。」

「歩夢さんや侑先輩も始めたらしいし。それに、こういう新しい事をやるのってすごくわくわくするじゃない?」

「うふふ、皆さんと一緒にGBNが出来るだなんて、本当に嬉しいです。誘って本当に良かった。」

「でも、ガンプラバトルなんて全然アイドルっぽくないし……。」

「あれ~?もしかして、かすみさんは私たちと一緒にガンプラバトルやらないの?本当は作るのが苦手なんじゃ~?」

 

 

 

「はぁ!?かすみんだって、ガンプラぐらい上手に作れますけどぉ!?」

 

 

 

そう言うと、ムキになったかすみはガンプラを探しに行った。

 

 

「しずくちゃん、かすみちゃんの操縦が上手。りなちゃんボード『尊敬の眼差し』」

「しずくさんにはかすみさんを手懐ける適正がありますね。」

「ぶいっ!」

 

 

しばらくすると、かすみはガンプラを一つ購入してドンっ!とテーブルに置いて箱を開けた。

パッケージを見ると、見覚えのない小さい機体が写っていて、3人のガンプラとは毛色が違うガンプラの様だ。

3人が作っているところを見て、コウイチがやってくる。

 

 

「わからないところがあったら、遠慮なく聞いてね。」

「ありがとうございます。すいません、私のガンプラって、いわゆる普通のガンダムにすごく似てるんですけど、名前が違うのは何でですか?」

「あー、それは『Oガンダム』って言って、見た目は似ているけど別物なんだ。スタンダードに見えるけど実は『機動戦士ガンダムOO』の……おっと、これはネタバレになっちゃうね。」

「かすみちゃんのガンプラ、普通のとはちょっと違うみたい。あれはなんですか?」

「あれはSDガンダムっていうデフォルメされたガンプラで……って、技術的な相談は何も無いのね……。」

 

 

初心者を見るとアドバイスをしたくなるのがビルダーの性というもの。

しずくと璃奈は和気藹々としながら組み立てていくが、かすみは真剣な表情でガンプラを組み上げていく。

その隣では栞子がデスティニーフリーダムの新装備を製作中。

 

 

「モモちゃん、あの3人のダイバーギア用意しておいて。」

「はいはーい!」

 

 

 

~~

 

 

 

そうして、完成したガンプラを使ってGBNにログインした4人。

一番先輩である栞子……しおこのデスティニーフリーダムを中心に、10体のリーオーを倒す殲滅ミッションに挑んだ。

 

 

しずくのアバターは、『ティファニーで朝食を』に出演していたオードリー・ヘプバーンの衣装をアレンジした装いで、ダイバーネームは『しずこ』

璃奈のアバターは、ドキピポエモーションの服装のままだが、りなちゃんボードと頭部が完全に一体化している姿で、ダイバーネームは『りなこ』

かすみのアバターは、まるで魔法少女の様なかわいらしい装いだが、見た目はかすみ自身で、ダイバーネームは『かすみん』

 

 

迫りくるリーオーたちは、何故かかすみんばかりを狙い、かすみんが製作したガンプラ『LEGEND BB 殺駆頭』を集中攻撃。

まともな武器が刀ぐらいしかないため、かすみんはもはや逃げるしかなかった。

 

 

「なんでこうなるのー!!どうしてかすみんばっかり狙うんですかー!!」

『かすみんさん落ち着いて!私が援護するから!!』

「えーん!!しずこ早くーーー!!」

 

 

ビームガンでリーオーを攻撃していくしずこのOガンダム。

しかし、敵の数が多すぎる為、対処が難しい。

機動力があり、殲滅戦向けのしおこのデスティニーフリーダムも、一番経験があると言っても二日しか変わらないので、大勢の敵にほとんど対処できていない。

まともに動けているのは、ゲーム慣れしているりなこのドムだけだ。

 

 

「わたしがやる!」

『り、りなこ!?』

「一人ジェットストリームアターック!」

 

 

バズーカを持って突進するドムが、次々とリーオーを蹴散らしていく。

見た目以上の機動力に、しずこもしおこも目を奪われた。

結局、リーオーのほとんどはりなこのドムが撃破してしまい、これといった活躍が出来なかった3人は落ち込んでしまう。

特にかすみんの落ち込み具合は激しく、ロビーに帰ってきてからもふてくされたままだった。

 

 

 

 

~~

 

ロビーに帰ってきたしずこ、りなこ、しおこの3人は、体操座りをしているかすみんを励ましていた。

大好きな侑と最近ろくに話せておらず、興味が無かったGBNを流れに任せてプレイして、いいところを全然見せられずに逃げてるだけでミッション終了。

もはや、ガンプラに対してちょっとしたトラウマを覚えるレベルだった。

 

「か、かすみんさん元気出して!今日はたまたま調子が悪かっただけだよ!」

「そうです!私なんて、一番先輩なのに一機も落せなかったんですから!」

「かすみんちゃん、動きは悪くなかった。次は絶対大丈夫。りなこちゃんボード『むんっ!』」

「慰めなんていいよ……。元々かすみん、ガンプラバトルなんてするつもり無かったもん……こんなのちっとも可愛くないし……。」

 

 

アイドルに対して強い憧れを抱くかすみんにとって、たとえガンプラとはいえ殴ったり蹴ったりするゲームはあまり好きではなかった。

せっかく一生懸命作った殺駆頭も、全然活躍できず、目に涙が浮かんできた。

 

「あぁ!?な、泣かないで!」

「ど、どうしよう……あわあわ~!」

 

 

 

 

 

「あら?しおこちゃんじゃな~い!そちら、お友達?」

 

 

 

 

「あ、マギーさん……。」

 

 

その時、4人の前に、GBNの案内人であるマギーが現れた。

しおこが前回、大変お世話になった人だ。

隣には狐の様な装いをした長身の男が立っていた。

 

「今日はユウちゃん達はいないの?」

「はい。今日は同級生のお友達と来たのですが……一人が、もうガンプラバトルをやめたいと申してまして……。」

「ほう。」

 

しおこがそう言うと、マギーと一緒にいた男はかすみんの傍まで行くと、彼女に目線を合わせた。

優しい口調で彼はかすみんに聞く。

 

 

「どうしてガンプラバトルをやめようと思ったんだい?」

「だって、かすみん全然活躍できなかったし……せっかく一生懸命作ったのに……。」

「よかったら、君のガンプラを私に見せてはくれないだろうか?」

「え……?」

 

 

男にそう言われ、かすみんはコンソールパネルから殺駆頭のデータを見せた。

それを見ながら、男はふむふむと頷き、かすみんに言う。

 

 

「荒削りだね。スミ入れのはみ出し汚れがわずかに残っているし、シールも少し歪んでる。あと、少し深くパーツを切り過ぎかな。」

「あ、あの!かすみさんは落ち込んでるのに、どうしてダメだしなんて……、」

 

 

思わず、しずこが声を上げた。

落ち込んでいる子に対してガンプラのダメだしをするだなんて、いくらなんでも酷いと思った。

しかしそれでも男は止まらず、『だが』と前置きをして話を続けた。

 

 

 

「だが、このガンプラには『愛』を感じる。」

 

 

 

「あい……?」

「かすみんくん……と言ったかな?君はこれが初めてのガンプラだね?」

「はい、そうですけど……。」

「技術はともかく、組まれ方がとても丁寧で繊細だ。ガンプラバトルをするつもりが無かったのなら、どうしてこんなに丁寧に作ったんだい?」

「だって……可哀想じゃないですか…。」

「可哀想?」

 

 

かすみんは立ち上がると、殺駆頭のデータを見た。

このガンプラを棚から手に取り、会計を済ませ、箱を開け、説明書を読み、組み立てた事を思い出しながら、彼女は男へと語る。

 

 

 

「せっかく狭い箱の中から外の世界に出られたのに、適当に作ってはいおしまいじゃ、このガンプラが可哀想だなって……。だからかすみん、戦うのはあんまり好きじゃないけど、この子を活躍させてあげたかったんです。でも、それはそんなに簡単な事じゃなくて……これから先も続けてこの子が傷つくだけなら、だったらいっそ……!」

「それでやめようと?」

「…………。」

「でもそれは、そのガンプラが本当に望んでいる事なのかい?」

「え?」

「君はとても優しい人だ。そんな君が愛をこめて作ってくれたこのガンプラが、私には、君ともっと一緒にいたがっているような気がしてならない。」

 

 

 

戦いはともかく、確かに作っている間はすごく楽しかった。

少しずつ組み上がって形になっていく殺駆頭の事が、愛おしかった。

このままGBNを辞めたとして、そうなればこの子はこれからどうなるのか……再び箱に入れられて棚にしまわれるのは、それこそ可哀想なのではなかろうか。

 

 

 

「ねぇかすみさん。私、かすみさんの諦めの悪いところすごいと思ってるよ。同好会が廃部になりそうだった時も、一人で頑張ってくれてたかすみさんの事、私は尊敬してたんだ。」

「諦めちゃうなんてらしくない。私は、かすみちゃんとスクールアイドルもGBNも頑張りたいって思う。りなこちゃんボード『むんっ!』」

「私もまだまだ下手くそです。ですが、デスティニーフリーダムを見てると、もっと頑張ろうって思えてきます。きっとかすみさんも同じはずです。」

「しおこ、りなこ……しずこぉ……!」

 

 

再び殺駆頭を見るかすみん。

彼女は男へ頭を下げ、お礼を言った。

 

 

「私、この子の事、ぜんぜんわかってあげられてませんでした。私も、この子をしおこのデスティニーみたいな凄いガンプラにしてあげたいです。もっと、活躍させてあげたいです!」

「素晴らしい!!私でよければ力になるよ。私の名はシャフリヤール。シャフリと呼んでくれたまえ。」

「ありがとうございますシャフリさん!」

「うふふ……一件落着かしら。」

 

 

さっそくシャフリヤールとフレンド登録をした4人。

どうやら彼はかなり遠方に住んでいる外国人らしく、リアルでマギーと会う為に今は日本に来ているらしい。

この後、ガンプラ製作を教えてもらえる事となり、4人はさっきまでと打って変わって笑顔でログアウトして行った。

彼女たちがいなくなると、シャフリヤールは真剣な表情になり、マギーに向かい合った。

 

 

「今日は、以前言っていたユニコーンのダイバーは来ていないようですね。」

「えぇ。シャフリちゃんなら、あのガンプラを見れば何かわかると思ったんだけど。」

「ガンプラに搭載していないギミックの発動……話だけ聞けば、以前のブレイクデカールと同じように思えるが……。」

「でもそんな感じじゃなかったのよぉ。それにあの子、ガンプラバトルに本当に夢中になってたから、不正ツールを利用するだなんてとても思えないわ。」

「だとすれば、考えられるとすればあの現象……。」

「やっぱり、そう思う?」

「えぇ。しかし、GPDでならともかくGBNで発動することなんてありえるのだろうか……やはり一度会ってみない事には。」

「そうね。まぁ、それはともかくとして、早く行ってあげなさい。あの子たち、待ってるわよ。」

 

 

 

 

~~

 

翌日

 

 

「おっはよー!しず子!りな子!しお子!」

「かすみさん、おはよう。ガンプラ完成した?」

「フッフッフーん!気になっちゃいますぅ?どうしよっかな~?見せよっかな~?やめとこうかな~?」

「むぅ……かすみさん!そんないじわるな事言うなら、もう教室行っちゃうよ!」

「うえ~ん!やだやだ~!かすみんのガンプラ見てよ~!!」

「早く見たい!璃奈ちゃんボード『わくわく!』」

「早く見せてくださいかすみさん!」

 

朝練を終えた4人は、教室へ行く前に全員のガンプラを見せ合う事にした。

栞子のデスティニーフリーダムはもう全員見ていたので、他の3人のガンプラを見る事に。

昨日、シャフリヤールのリアルであるリュック・アルジェにアドバイスをもらい、3人とも無事に自分だけのガンプラを作ることに成功した。

 

 

「私はノーベルガンダムと組み合わせて、スピードを重視してみたの!名前は『O-ドリーガンダム』!」

「顔を璃奈ちゃんボードにしてみた。体が大きいから、バックパックとして電池パックを取り付けて、全身を電動で動くように改良してる。その名も、『AEドム』。オートエモーションの略。」

「お二人とも素敵なガンダムです!」

「ドムはガンダムじゃない。ドム。」

「す、すいません……。」

「ふっふっふ!やはりかすみんのが一番みたいですねぇ!」

「もったいぶらずに早く見せて、かすみさん。」

「いいでしょう!さぁ、これがかすみんのガンプラです!」

 

 

そういいながら取り出したのは、二つのガンプラ。

一つは巨大なサソリの様な大型メカで、もう一つは昨日の殺駆頭をかわいらしく、少し豪華にした物。

カラーリングは両方ともイエローで、かすみのイメージカラーだ。

 

 

「これがかすみんのガンプラ!『ザクみん』です!!」

「ざ……ザコみん?」

「ザコみんじゃないですザクみんですぅ!!かすみんはこれから、このザクみんと一緒にガンプラアイドルの頂点を目指すんだから!」

「ガンプラアイドル……?」

「そう!女優のミホシさんは昔ガンプラアイドルとして成功してるし、モデルのカミキ・ミライさんだって何年も前にガンプラの全国大会で司会を務めてたじゃん!フフフ……これでかすみんだってトップスクールアイドル間違いなし……!」

「それは飛躍しすぎだと思うよ…?」

「水差すこと言わないで!!とにかく、かすみんはこれから、全国のファンにかすみんワンダーランド兼ザクみんワンダーランドを見せちゃいますよー!!」

 

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第3回:愛あるコッペパン

リュック「君は手先が器用だ。飲み込みも早いね。それにしても、殺駆頭にこんな改造を施すなんて、なかなか思いつかないアイデアだ。」

かすみ「えへん!当然ですよぉ!なんといっても、宇宙ナンバー1スクールアイドルなんですから!」

リュック「さて、そろそろ休憩にしようか。」

かすみ「でしたらかすみん、コッペパン持ってきてますよ!どうぞ!かすみんお手製のレモン塩カスタードコッペパンです!」

リュック「ありがとう。これは美味しそうだ。いただきます。こ、これは……!!」

かすみ「え?シャフリさん……?どうしたんですか?えぇ!?もしかして泣いてますぅ!?」

リュック「うっ……うぅ……僕は、こんなに愛のあるコッペパンを食べたのは初めてだ……!かすみくん、君は天才だ。ぜひ、僕の家で専属パン職人になってはいただけないだろうか!?」

かすみ「えぇ~、そこまで美味しかったですか~!でもぉ、かすみんスクールアイドルだからぁ、困っちゃいます~!」

しずく「口はいいから手を動かしたらどうですかシャフリさん。」


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