ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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多分、この作品で一番暗い内容なので、閲覧注意




レインボーユニコーンVSドリームインパルス

ベアッガイフェスから数日が経過した。

侑は翌日には退院したが、大事を取って2日ほど学校を休んだ。

その間はもちろん同好会は練習を続けていたが、GBNには行っていない。

退院後3日目の朝、歩夢は侑の自宅へあがり、彼女の部屋の前に。

 

「侑ちゃん……今日は学校、行けそう……?」

 

体の方はもう完全に回復しているはずの侑。

今日は学校に行けるのかどうか、歩夢はずっとそれが心配だった。

不安げに部屋をノックすると、ガチャッとドアが開けられ、中から制服姿の侑が飛び出してきた。

 

 

「おはよう歩夢!」

「ゆ、侑ちゃん!?」

「ほら、ぼーっとしてないで早く行こ!遅刻しちゃうよ!」

「う……うん、あの、ゆ……、」

「それじゃあ、行ってきまーす!」

 

 

いつもより元気な姿で部屋から出てきた侑。

彼女は歩夢の手を引っ張り、居間の両親に適当に挨拶をすると、歩夢を連れて勢いよく家を出る。

いつも以上にテンションの高い侑を見て、歩夢は侑へ問いかけた。

 

「侑ちゃん、もう大丈夫なの……?」

「うん!心配かけてごめんね!」

「皆も凄く心配してたよ。今日は朝練は無いから、放課後にでも皆に顔を見せてあげて。」

「そうだね。うん、そうするよ。」

 

笑顔で侑はそう言って頷いた。

いつも通りの登校風景、傍から見ればいつもの歩夢と侑だ。

しかし歩夢は見逃さなかった。

 

 

「……………。」

「侑ちゃん?」

 

 

道中、お台場にあるユニコーンガンダムの立像の前で、侑が寂しげな表情でそれを見つめていた事を。

 

 

 

 

~~

 

「ゆうゆーーー!!心配したよーーー!!」

「うわっ!愛ちゃんおはよー!」

「元気そうで良かったです!」

「せつ菜ちゃんも、心配かけてごめん。」

 

登校するなり、愛が思いっきり抱き着いてきた。

一緒に登校してきたせつ菜(菜々モード)も侑の顔を見て安心したのか、菜々の格好にもかかわらず思わずせつ菜のテンションで話しかけてきた。

朝練は無いが、自然と同好会メンバーは集まってしまうようで、教室へ向かう際中に、エマ、果林、彼方の3人も、侑の登校を聞きつけて彼女の下へ。

 

「元気になってよかったぁ。侑ちゃん、もう痛いところは無い?」

「うん。ありがとうエマさん。」

「今日侑ちゃんが来るって聞いてたなら、彼方ちゃん、お菓子でも作って来れば良かったよ~。」

「彼方、侑は今ダイエット中……って、もうとっくに元の体型に戻ってたわね。でも、本当によかったわ……あのまま塞ぎ込んじゃうじゃ無いかって、心配してたのよ。」

「うん……大丈夫、だよ……。」

「…………。」

「歩夢?どしたん?」

 

 

侑が話すたびに、歩夢がなぜか不安げな表情を浮かべる。

愛は歩夢を心配して彼女の顔を覗きこむが、歩夢は首を横に振り『なんでもない』と言った。

 

 

「そう言えば、1年生のみなさんがいませんね。」

「かすみんとか、ゆうゆが来たら一番に自分が会うって息巻いてたのにね。」

「愛さんとかすみさん、どちらが先に侑さんに話しかけられるかって勝負していましたもんね。」

「そんな勝負してたの?アハハ、二人とも物好きだなぁ~。」

「えぇー、だってずっと心配してたんだもーん!ゆうゆへの挨拶勝負は愛さんの優勝だね!愛と侑だけに!」

「アハハ、相変わらず面白いなぁ。」

「…………。」

「歩夢、どうかしたの?私の顔に何かついてる?」

「侑ちゃん、本当に大丈夫?」

「どうしたのさ改まって。ほら、教室行こうよ。って、私もう歩夢と違う教室だった。慣れないなぁ。」

「歩夢さん、私たちは普通科なのでここまでですよ。行きましょう。」

「……うん。」

 

 

やはり、歩夢は今日の侑への違和感を隠せない。

笑いのレベルが赤ちゃんの侑が、先ほどのダジャレをあの程度の反応で済ませるはずがない。

音楽家の教室へ向かって行く侑の背中を見て、歩夢は自分の胸を抑えた。

 

 

 

 

~~

 

その頃、侑の登校を知った1年生4人組は、スクールアイドル部の部室にいた。

ランジュとミアが朝練を終えて紅茶を淹れると、それを彼女たちに差し出すがかすみが付き返す。

いつになく真剣な表情のかすみに、ランジュもミアも少し戸惑う。

 

「何の用かしラ。あなた達、今日は朝練無いんじゃ無かったの?」

「……侑先輩が登校したそうです。」

「そう。良かったじゃない。」

「それで……その……ありがとう、ございました……。」

 

 

いつもランジュを敵視しているかすみが、彼女にお礼を言って来た。

紅茶を飲む手を止め、カップをテーブルに置く。

 

「シャフリさん達から聞きました。あの時、侑先輩を助けに行ってくれたんですよね。」

「私たちはライブに出てから、侑さんの事、追いかけられなかった……。」

 

かすみと璃奈が言うと、後ろにいたしずくと栞子も顔を俯かせた。

あの時、もっと早く事態に気づけていれば、もしかしたら何とかなったかもしれない。

特にかすみとしずくは、以前にもマスダイバーによる妨害を受けている。

それを聞いて、ランジュとミアは顔を見合わせる。

 

 

「あの時、君たちは出て行かなくて正解だった。あのガンプラは普通じゃない。ボクもランジュも、手も足も出なかった。」

「運営に問い合わせてもアイツの正体は判らずじまい。記録データが全部壊されちゃってるらしいわ。」

「そ、そんな事できるんですか!?」

「知らないわよ。GBNの事はアタシたちよりあなた達の方が詳しいんじゃないの?」

「GBNをハッキング出来る程の人物は限られてきます。それでもわからないんでしょうか……。」

「バンシィ・ノワール。あのガンプラ、そう名乗ってたわ。」

 

 

バンシィ・ノワールという名前は、GBNにはいくつか該当があった。

バンシィに『黒』を意味するノワールを組み合わせたありがちな名前なので、その名前で登録しているガンプラは多い。

それでもそのガンプラ達を調査したところ、そのいずれもブレイクデカールを使用したような痕跡は見当たらないし、あの時のバンシィ・ノワールとは姿かたちが一致しない。

侑が倒れた後、スクールアイドル部の方で運営に問い合わせしたが、何もわからなかった。

 

 

「もう行きなよ。侑も、きっと早く璃奈たちに会いたがってると思うよ。」

「うん。ありがとうミアちゃん。」

 

 

かすみ、璃奈、しずくが部室を出ていき、最後に栞子がランジュにもう一度お礼。

残ったランジュとミアも制服に着替え、部室に鍵を掛けた。

 

「でも、意外だったな。」

「何がよ。」

「あの時、よく侑を助けに行こうだなんて思ったね。」

「アタシは同好会の最高のステージが見たかっただけ。同好会が最高のパフォーマンスをするには、あの子じゃなきゃダメなのよ。ランジュじゃなくて、あの子じゃなきゃ……。」

「ふーん。まぁ、でもボクは部の環境の方がやりやすいかな。」

「あら、ミアはランジュの事大好きなのね~!」

「は?環境がって言ってるじゃん、バカなの?」

「ランジュもミアの事大好きよ!そうだ!あとで美味しいステーキ食べに行きましょう!奢ってあげるワ!」

 

 

 

~~

 

その後、放課後になって1年生が侑に会いに来た。

かすみは泣きながら侑に抱き着いてきて、侑もまんざらでもない様子。

練習が始まっても侑は特別変わった様子は見せておらず、傍から見れば完全に復帰したように見える。

しかし歩夢はどうしても侑にあるかすかな違和感が引っかかっていて、内心穏やかでは無かった。

 

 

「侑も来た事だし、本腰を入れて練習を再開しましょう。」

「彼方ちゃん、またライブをやりたいな~。前にやった色んな場所でのオンラインライブ、あれ本格的にやったら面白くなりそうじゃない?」

「それなら、他校と合同で、というのもアリじゃないですか?東雲や藤黄と言った他の学校と合同でのオンラインライブ!盛り上がる事間違いなしです!」

「プチスクフェスだね。オンラインなら、スイスの家族にも見てもらえるよ~!」

「素晴らしいアイデアです!そうは思いませんか侑先輩!……先輩?」

「ごめん皆、私今日は用事があるからもう帰るね。また明日!」

 

 

しずくが声を掛けると、侑がそう答えた。

彼女は席を立ちあがると、そそくさと荷物を纏めて部室を出て行こうとした。

歩夢が侑を追いかけようとしたが、よほど急いでいたのか侑は走って部室を出ていき、すぐに見えなくなってしまった。

 

 

「ゆ、侑ちゃん……。」

「……さてと、じゃあ本題だけど……やっぱりあの子、まだ本調子じゃないみたいね。」

「はい、そうみたいです。」

「え、皆も気づいてたの?あんまり普通にしてるから、気付いてないと思ってた……。」

「歩夢~、それはさすがに愛さん達をなめすぎだぞ~!」

 

 

侑がいなくなり、全員今日の侑に違和感を感じていた事を告白。

愛もせつ菜も、あまりにも普段通りに接していたので、自分だけが侑の異変に気づいていたと思っていたが、全員侑に余計な心配を掛けさせないようにわざと普通通りに振る舞っていただけのようだった。

 

 

「ゆうゆが愛さんのダジャレを軽く笑って流すなんてありえないっしょ。んで、今日せっつーと一緒にゆうゆの事見てたけど、やっぱり変だよ。」

「侑さんがスクールアイドルの事もガンプラの事も一切話題に出さないなんて事、今までありませんでしたからね。」

「すいません歩夢さん……私たちもせつ菜さん達から侑さんの事を聞いていて、わざと歩夢さんには話しませんでした。歩夢さんはずっと侑さんと一緒にいるので、教えると逆に不信がられるのではないかと……。」

「それで今日一日は、歩夢ちゃんには内緒にしとうこうと思ってね~。」

「そうなんだ。」

「でも、さっきの態度はさすがに変だった。璃奈ちゃんボード『しゅん』……」

「何か、侑先輩の元気が出るような事が出来たらいいんですが……。」

 

 

侑の事を考えながら、全員頭を抱えた。

今の侑に本当の意味で元気を出してもらうにはどうすればいいのか、何をしたら喜んでもらえるのか。

顔を俯かせて悩む歩夢の頭に、隣にいたエマが手を乗せて彼女の頭を撫でた。

 

「え、エマさん?」

「歩夢ちゃん、ここは私たちに任せて、歩夢ちゃんは侑ちゃんの傍にいてあげて?今の侑ちゃんを一人にするのは、良くないと思うの。」

「でも……、」

「侑ちゃんに聞いた事があるの。前に私がGBNを辞めて果林ちゃんと喧嘩しちゃった時に、歩夢ちゃんが侑ちゃんに言ってくれたんでしょ?私の傍にいてあげてって。今度は私が、二人の背中を押したいよ。」

「……わかりました。ありがとうございます、エマさん!」

 

 

エマに頭を下げて、その後全員に頭を下げると、歩夢は侑の跡を追う為に部室を飛び出した。

その後ろ姿を見ていたせつ菜と愛に、果林も発破をかけた。

 

 

「あなた達も行ってあげたら?同級生同士、私たち以上に思う所があるでしょ?」

「いいんですか?」

「もちろ~ん、侑ちゃんの喜びそうな事は彼方ちゃん達で相談するから、後で連絡するね~。」

「サンキュー、カナちゃん、果林!行くよせっつー!」

「はい!!愛さん!!うぉおおおおおおお!!!」

 

 

廊下を全速力で走って歩夢を追いかけたせつ菜と愛。

いつもなら廊下を走ると叱りつける栞子も、この時ばかりは黙認した。

 

 

 

 

 

~~

 

 

ベアッガイフェスでのライブが中断となり、侑の安否を心配していたリクとヒロトの二人は、GBNにログインしていた。

理由はもちろん、バンシィについてだ。

バンシィ・ノワールの事はまだ公には公表されておらず、運営でも調査に難攻している。

そこでバンシィについての独自調査をキョウヤから依頼された二人は、ロビーでそれらしき痕跡が無いか探していた。

 

「ダメだ、こっちには何の手掛かりもない。」

「俺もだよヒロト。」

「リク、前にブレイクデカールの犯人を見つけた時はどうしていたんだ?」

「あの時はロンメル隊が倒された痕跡を辿って見つけたんだ。でも、今回の直接の被害はニジガクの皆しか受けていないから……。」

「そうか……。バンシィ、か……。」

「ヒロト?」

「リク、実は、以前バンシィを持った不思議な女の子に会った事が……あっ……。」

「どうしたの?」

「ユウ……。」

「ユウ?」

 

ヒロトが何かを発見すると、リクもそちらを振り返る。

そこには、ユウらしき人影がいたが、すぐに人ごみに紛れてしまい本人かどうかは確認できなかった。

 

 

 

 

~~

 

 

ハードコアディメンション『ヴァルガ』

 

ルール無用のこの危険地帯は、3年前はマスダイバー達の聖地とも言われていた。

ブレイクデカールによるチート行為が復活してしまった現在でも、マスダイバーが最も多く徘徊している場所として、現在はランクによる入場制限が敷かれている。

そこで、いつも通りブレイクデカールを使用して自身のガンプラを強化していたマスダイバーの一人が、このディメンションに入ってくる一体のガンプラの姿に気づいた。

そのガンプラ……レインボーユニコーンガンダムは、まっすぐ彼らの下へ降りてくると、通信を繋げてきた。

 

 

「ねぇ、あなた達、マスダイバーなんだよね?」

『あぁ?なんだお前?』

「そのブレイクデカール、どこで手に入れたの?」

『コイツが欲しいのか?へへっ、そう簡単には教えられねぇな。』

「………どうしても答える気は無いんだね。」

『だったらなんだよ。』

 

 

 

「なら、力づくで聞き出すよ。」

 

 

『NT-D』

 

 

 

突如、レインボーユニコーンがNT-Dを発動し、デストロイモードへと変身を遂げた。

ビームトンファーを構えて男たちへ襲い掛かるレインボーユニコーン……彼らは自信のガンプラであるグリムゲルデとガンダムキマリスへと乗り込むと、レインボーユニコーンの攻撃を間一髪で躱した。

しかし、躱した先へレインボーユニコーンが一瞬で回り込むと、ビームサーベルを抜き取り、キマリスへと突き刺した。

 

『こ、コイツ!?ブレイクブーストを掛けてる俺のキマリスより速いだと!?』

「教えて。そのブレイクデカールの出所を。」

『や、やべぇ……おい、お前ら!!やっちまうぞ!!』

 

 

グリムゲルデのダイバーが叫ぶと、周りから次々と彼らの仲間のグレイズやマンロディが出現した。

全員とは言わないが、半数以上がブレイクデカールを使用しており、一斉にブレイクブーストを発動してレインボーユニコーンへと襲い掛かる。

アシムレイトによりレインボーユニコーンと一体化したユウは、ビームトンファーとビームサーベルを計4本構えると、襲い掛かって来たガンプラ達を迎え撃った。

 

 

 

 

 

~~

 

「侑ちゃーん、いるのー?」

「返事が無いですね……。」

「帰って来てないのかなぁ?電話も出ないんだよね?」

「うん……どうしよう、侑ちゃんのお父さんもお母さんも、今日は夜勤って言ってたし……。」

 

侑の家の前まで来た2年生3人組は、侑からの返事が無いため立ち往生していた。

今日は侑の両親は帰りが遅い為、勝手にドアを開けるわけにもいかない。

ベランダなら侑はいつも開けっ放しにしているが、そんなところから入るわけにもいかないだろう。

困って立ち尽くす3人……そんな時、歩夢のスマホに着信が。

GBNにいる、ヒロトからだった。

 

 

「ヒロトくん?どうしたの?」

『歩夢、侑は一緒にいるのか?』

「ううん……いないけど……侑ちゃんに何かあったの!?」

『いや、わからないんだ。さっき、ロビーに侑らしき人影を見つけたけど、本当に彼女だったかどうかわからない。』

「………なんだか、凄く嫌な予感がする……。」

『俺とリクも侑を探してみる。何かわかれば連絡する。』

「うん。ありがとうヒロトくん。」

 

 

電話を切った歩夢は、嫌な汗が止まらなかった。

思い返せば、侑はライブが中止になった時、ずっと恨めし気に呟いていた。

 

『バンシィ・ノワール』という言葉を。

 

今日の空元気に、家にいない侑、そしてヒロトが見たというGBNでの侑らしき人影。

気付いた時には、歩夢は愛とせつ菜と共に、ガンダムベースへ走っていた。

 

 

 

 

~~

 

レインボーユニコーンガンダムの強さは、今までとは比べものにならなかった。

アシムレイトはダイバーの気持ちが昂るほどガンプラとのシンクロ率が上がり、スペックが上昇する。

今のユウは今までに感じた事に無いほど気持ちが高ぶり、マスダイバー達のガンプラを圧倒した。

最後に残ったグリムゲルデにビームサーベルを突き立て、レインボーユニコーンはマスダイバーを見下す。

 

「さぁ、早く答えて。」

『な、なんだよお前ぇ!なんなんだよぉ!!』

「答える気が無いんなら……!」

 

 

 

『侑ちゃん!!!』

 

 

 

「!」

 

レインボーユニコーンがまさに今、マスダイバーへとどめを刺そうとした時、突如目の前に開いたワープデートからあらわれたガンダムドリームインパルスが、レインボーユニコーンをその場から突き飛ばした。

空中で体勢を立て直したレインボーユニコーンは、ドリームインパルスと、その後ろに現れたスカーレットエクシアと愛参頑駄無を前にして驚く。

 

『ほ、本当にゆうゆがいた……。』

『歩夢さん、どうしてすぐわかったんですか!?』

 

 

「歩夢、せつ菜ちゃん、愛ちゃん……なんでここに……?」

『それはこっちのセリフだよ!!何してるの侑ちゃん!!その人に何をしようとしてたの!!』

「……アハハ……見られちゃったか……。歩夢には隠し事出来ないなぁ……昔から私が嘘つくと、すぐにばれてたっけ。」

『話を逸らさないでよ……!』

 

 

対峙するドリームインパルスとレインボーユニコーン。

ドリームインパルスの後にいた愛参頑駄無が、倒れたグリムゲルデ達を見て、彼らのガンプラが不正改造されている事に気が付いた。

 

 

『この人達、皆マスダイバーだよ!』

『えぇ!?じゃあ、侑さん一人で、これだけのマスダイバーを相手にしていたんですか……!?でも、何故そんな事を……。』

『もしかして、ライブの妨害をされたから?だから、マスダイバーが許せないの?侑ちゃん!』

 

 

「放っておいてよ……。」

 

 

『え?』

「放っておいてよ!!これは、私がやらなきゃいけない事なんだから!!」

 

 

次の瞬間、レインボーユニコーンは、まっすぐドリームインパルスに突撃してきた。

アユムはそれに反応できたが、相変わらず彼女の反応にドリームインパルスの動きがついていけない。

しかし、ドリームインパルスとレインボーユニコーンの間にスカーレットエクシアが割り込み、GNソードSSPのシールドでレインボーユニコーンの攻撃を防いだ。

 

 

『何をしているんですか侑さん!!歩夢さんを攻撃するだなんて!!』

「だったら、邪魔しないでよ!!」

『そうはいかないよ!歩夢、ここはアタシとせっつーで引き受けるから、ヒロトくん達呼んできて!!』

 

 

スカーレットエクシアと共に、愛参頑駄無もレインボーユニコーンと戦闘開始。

しかし、ユウ相手に本気で戦えない二人に対し、ユウは頭に血が上っているのか、それとも別の理由なのか、攻撃に一切のためらいが無い。

しかも、NT-Dを発動しているため、その力は他のガンプラを遥かに上回る。

セツナもアイもCランクの手練れダイバーと言えど、デストロイモードのレインボーユニコーンに成す統べがない。

そこには、かつてユウが『皆を支える為のガンプラ』として作り上げたレインボーユニコーンガンダムの面影は無かった。

 

 

『せつ菜ちゃん!!愛ちゃん!!……侑ちゃん……なんで!!』

「歩夢……。」

 

 

居ても立ってもいられなくなり、ついにドリームインパルスも剣を抜いた。

レイピアを二刀流で構えたドリームインパルスの中で、アユムの瞳のハイライトが消えると、彼女の中で何かがはじけるような感覚が。

 

 

『SEED』

 

 

ディスプレイにそう表示され、アユムはドリームインパルスで、ユウのレインボーユニコーンと剣を交えた。

お互いに一歩も譲らない攻防を繰り返し、アユムもユウも、今までにないぐらいの気迫でお互いを攻撃しあう。

レインボーユニコーンのビームサーベルを弾き飛ばし、レイピアで彼女の目を狙うが、レインボーユニコーンは自由になった手でそのレイピアを掴んだ。

 

『歩夢、ゆうゆの動きについていってる……。』

『もしかして、あれは……『SEED』?』

『シード?』

『はい。通称『種割れ』、ガンダムSEEDにおける特殊能力で、パイロットの潜在能力を覚醒させるスキルなんです。そうか……それで……。』

 

 

『SEED』は、『機動戦士ガンダムSEED』シリーズに登場する特殊能力。

GBNでは習得難易度の高いダイバースキルとして設定されており、インパルスベースのガンプラを乗りこなすアユムはその能力の片鱗を見せていた。

この能力により、アユムはユウの存在を感じ取ったり、恐るべき反射神経を会得していた。

今のアユムなら、NT-Dを発動したレインボーユニコーンとも、互角以上に戦える。

 

 

「どうして私たちに何も言わずに、マスダイバー狩りなんて!!」

『言えるわけない……こんな、こんな事……!』

「ライブを邪魔した人が許せないから!?だから侑ちゃんはマスダイバーと……。」

『……違う……。』

「違うって……どういう事?」

『もちろん、マスダイバーは許せないよ……だけど、私はただ、知りたかったんだ……ブレイクデカールの出所を。』

「ブレイクデカールの出所って……まさか、嘘だよね……?」

『そのまさかだし、嘘でも無いよ。』

 

 

組み合うドリームインパルスを突き飛ばし、ビームライフルを構えたレインボーユニコーン。

彼女の放つ銃弾をシールドで咄嗟に防いだが、威力が強すぎてシールドは爆散。

何発かはレイピアで切伏せたが、そのたびに刃こぼれして、ボロボロになっていく。

 

 

「侑ちゃん、ブレイクデカールを手に入れるつもりなの……!?」

『……退院してから、ずっと探してたんだ。そして、やっとここの事を突き止めたんだよ。マスダイバーが沢山いるこのヴァルガに来れば、私も、ブレイクデカールを……!』

「ダメ!!」

 

 

ドリームシルエットの出力を上げ、レインボーユニコーンへ体当たりするドリームインパルス。

レインボーユニコーンを水晶の山脈にぶつけ、残ったレイピアをレインボーユニコーンの右肩突き立てた。

身動きが取れなくなったレインボーユニコーンの胸倉を掴み、壁に何度もたたきつける。

 

「そんな事しちゃダメ!!侑ちゃんはそんな事するような子じゃないでしょ!?いつもの侑ちゃんに戻ってよ……。」

『いつもの私って何!!幼馴染だからって、全部わかった様な事言わないで!!ブレイクデカールを手に入れなきゃ……私は、あのバンシィには勝てないんだよ!!』

 

右肩に刺さったレイピアを抜き、そのまま右腕でドリームインパルスの首を掴んだ。

攻守が逆転し、今度は逆にドリームインパルスが地面に伏せられた。

しかし、ドリームインパルスはレインボーユニコーンを押しのけ、再び二人は一定距離を取って向かい合う。

 

『歩夢は凄いよね……どんどん素敵なスクールアイドルになるし、ガンプラバトルでもどんどん強くなって……今だって、インパルスの調子が悪いのに、NT-Dを使ってる私と互角に戦ってるし……。』

「わ、私は……!」

『やったよ、やったんだよ必死に!その結果がこれなの!!あのバンシィは、きっとまた私たちを邪魔してくるよ……そうなったら、もうこの先ずっと、GBNでライブが出来なくなるかもしれない……そうなる前に、私があのバンシィを倒すしか無いじゃん!!」

 

かすみがランジュから聞いた、運営でもあのバンシィの正体がわからないという話。

ユウはその事をとっくにわかっていた。

だからこそ、自分がブレイクデカールとNT-Dとアシムレイトを使い、バンシィを止めようとしていた。

しかし、ブレイクデカールの使用はこのGBNを壊してしまうほどの危険な行為。

それをアシムレイトでガンプラと一体化するユウが使えば、何が起こるかわからない。

 

「でも……だからって、そんなやり方間違ってるよ!!」

『わかってるよ!!だけど、やるしか無いんだ……だって……!』

 

操縦桿を握る手に力が入る。

今までため込んでいた感情を、ユウは口に出した。

 

 

 

『だって……歩夢が歌えなかったんだよ……放っておけるはず無い……!!』

 

 

 

「ゆ、侑ちゃん……。」

 

アユムはずっと、初めてステージに立てなかった事が悔しかったんだと思っていた。

だが、ユウの真意は違った。

ユウはずっと、アユムがベアッガイフェスという大きな舞台で一人だけ歌えなかった事を悔いていた。

その責任は全て、バンシィ・ノワールを止められなかった自分にあると。

 

ビームトンファーを構えたレインボーユニコーンは、ドリームインパルスに再び斬りかかる。

凄まじい速さではあるが、SEEDを発動したアユムは当然、その攻撃を見切っていた。

ドリームインパルスを操作し、その攻撃を防ごうとする。

しかし、今のドリームインパルスでは、アユムの操作に追いつけない。

 

 

「きゃーーーー!!」

『あ、歩夢さん!!』

『ッ……!』

 

 

レインボーユニコーンにより、上半身を切り裂かれたドリームインパルスは、そのまま地面へと墜落した。

コックピットが大破し、アユムが中から転がり落ちると、スカーレットエクシアが間一髪で彼女を受け止める。

なんとか立ち上がった愛参頑駄無が、スカーレットエクシア達とレインボーユニコーンの間に立ち、彼女たちを守る。

今のユウは、冷静では無い。

今度は愛参頑駄無を追い払おうと、ビームトンファーを構える。

 

 

「やめるんだ!!侑!!!」

 

 

すると、その時、上空にワープゲートが開き、そこから巨大な剣を構えた青いMSが出現し、レインボーユニコーンへと斬りかかって来た。

レインボーユニコーンはそれを躱し、現れたガンプラと剣を交える。

 

そのガンプラは、かつてビルドダイバーズのリクが乗っていた愛機『ガンダムダブルオースカイ』とよく似た姿をしており、両肩の『セイバードライブユニット』からGN粒子を放出しながら、右腕に装着した巨大な剣『GNOOセイバー』を振い、レインボーユニコーンを退ける。

 

 

『り、リクくん……!?』

「侑を止める!!行くぞ、ガンダムダブルオーセイバー!!!」

 

 

出現したガンプラの名は、『ガンダムダブルオーセイバー』

 

その名の通り、ザンダブルオーガンダムをモチーフとし、そこにダブルオースカイメビウス同様にデスティニーガンダムとフリーダムガンダムの特徴に加え、頭部にはセイバーガンダムの様なセンサーを追加したガンプラであり、ビルドダイバーズのリクの新たなる愛機。

 

遅れてワープゲートから、ヒロトの操るアースリィガンダムも出現し、二つのビルドダイバーズの最強戦力を目の当たりにして、レインボーユニコーンはビームトンファーを下げた。

 

 

「侑……ブレイクデカールはこのGBNを傷つけてしまう……ブレイクデカールを手に入れようとするなんて、間違ってるよ!!」

『その力に手を出せば、君は必ず後悔する。その力は、君が本当に望んだ物なのか!?』

『………もう、皆放っておいてよ……!』

 

 

そう言い残すと、レインボーユニコーンはそのままログアウト。

 

彼女がその場から姿を消すと、ダブルオーセイバーとアースリィガンダムは地面に降りて、アユムへと駆け寄った。

セツナに抱きかかえられながら、アユムは、もう自分についていけなくなったドリームインパルスに向かって手を伸ばした。

 

 

「侑ちゃん……私は、どうしたらいいの……?」

 

 

 

 

~~

 

自宅用のGBNヘッドギアを取り外し、侑はリアルに戻って来た。

NT-Dをずっと使用して戦っていた為、体には多少痛みが残る。

レインボーユニコーンガンダムのガンプラを手に取った侑は、部屋の壁に手を当てた。

その壁の向こうには、歩夢の自室がある。

壁に頭をつけ、泣きそうな声でつぶやいた。

 

 

「歩夢……私、どうしたらいいと思う……?」

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第38回:空気を緩和せよ

彼方「侑ちゃん達が大変な事になってるから、中和するために彼方ちゃん達で何か面白い事をしよ~!」

エマ「はい!1番エマ・ヴェルデ!パンの大食いやります!」

彼方「文章だと伝わり辛いから却下~。」

果林「はぁ~い、2番の朝香果林よ。果林先輩のセクシーな魅力を、皆にお伝えするわね♡」

彼方「年齢制限かかっちゃうからダメ~。」

璃奈「3番の天王寺璃奈。」

栞子「4番の三船栞子です。」

璃奈「今から栞子ちゃんに特製ドリンクを飲んでもらって、その状態で一発芸をしてもらいます。」

彼方「ダメダメダメダメ!!却下却下却下却下ーーーー!!!璃奈ちゃんそのドリンク封印して!!!」

かすみ「みなさんダメダメですねぇ。ここは5番のかすみんが、めっちゃかわいいポーズをやってみなさんをキュンキュンさせるっていうのはどうですか!」

彼方「普通に却下~。」

かすみ「なんでですかぁ!!」

彼方「文章だと伝わらないからダメってさっき言ったじゃん。」

しずく「では真打、6番、桜坂しずく、演技で皆さんを湧かせてみせます。」

彼方「おぉ~、いいじゃん。そういうの待ってたよ~。」

しずく「では、私のとっておき……『夏祭りをエンジョイしていたら突然ゲリラ豪雨に襲われてアントニオ○木になったせつ菜さん』を演じます!」

彼方「色々とアウトだから却下。元ネタわかんない人はユニット~ク見てね。」



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