ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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片足の少女

「「合同ライブ?」」

 

キャンプから帰って来たスクールアイドル同好会とスクールアイドル部の一同は、次の日せつ菜とランジュに同好会の部室へと呼び出された。

二人の背中にはホワイトボードがあり、そこには『スクールアイドル×ガンプラ!』とでかでかと書かれている。

どうにもキャンプの後から少し様子のおかしかった二人の手には、それぞれの愛機であるガンダムスカーレットエクシアとシランジュが握られていた。

そんな二人の口から出た、『合同ライブ』という言葉に、全員首をかしげた。

 

 

「えぇ。私達同好会と、ランジュさん達部による、合同のライブイベントを企画したいと思います!」

「同好会と部の垣根を越えた、大規模なライブよ!盛大にやりたいわ!」

 

 

意気揚々と話すせつ菜とランジュ。

ポカンとした顔で全員がそれを聞いていると、ソロリとミアが手を上げた。

 

 

「ねぇ、同好会と部が合同でライブするのはいいんだけど、ガンプラってどういうこと?」

「もしかして、ベアッガイフェスみたいなGBNでのライブをするの?璃奈ちゃんボード『ぐるぐる~』」

「私たちはスクールアイドルであると同時に、ガンプラファイターでもあります。ここにいる全員を繋ぐスクールアイドルとガンプラ、その両方を活かしたライブにしたいんです!」

「とても素晴らしいアイデアだと思いますせつ菜さん!それで、一体のどのようなライブにするのでしょうか?」

 

 

ガンダム大好き勢の栞子がせつ菜のアイデアに賛成すると、せつ菜とランジュが二人とも黙ってしまった。

何事かと思い全員黙っていると、申し訳なさそうに頬を掻く二人。

やがて、ランジュが口を開くと、思いがけない事を話し始めた。

 

 

「実はね、何するかまだ全然何にも決まってないのよ。」

「え?じゃあ思いつきで言ったって事ですかぁ!?」

「なので!皆さんで色んなアイデアを出し合ってもらいたいんです!同好会の良さ、部の凄さ、スクールアイドルの楽しさ、ガンプラバトルの熱さ、どんな意見でも構いません!」

「ねぇねぇせつ菜ちゃん、彼方ちゃんは遥ちゃん達ともライブやりたいな~。」

「あら、いいわね。だったら姫乃ちゃん達も誘いましょうよ。あの子たちはガンプラバトルやってないけど。」

「なるほど!他校とも協力する、面白そうですね!」

 

 

テーマだけははっきりとした、何も決まっていないライブ。

かつてのスクールアイドルフェスティバルを思い出し、それを聞いていた侑の心は躍っていた。

心なしかレインボーユニコーンガンダムのガンプラも喜んでいるような気がして、司会を進めるせつ菜とランジュの前に侑が勢いよく立ち上がった。

 

 

「皆でアイデアを出し合って作る、スクールアイドルとガンプラバトルが一つになったステージ……凄く良い!!私、皆の事を全力でサポートするよ!!」

「頼りにしていますよ、侑さん!」

「アイデア出して、準備やってってやってたら、開催するのは多分ガンフェスの後だと思うけど。」

「ガンプラに関するライブのアイデア……だったら、やっぱりガンプラバトルの経験が豊富な人に相談するのもアリだと思うな。ヒロトくんとかリクくんとか、相談に乗ってくれるかも!」

 

 

やはりこういう時に頼れるのはベテランガンプラファイターたち。

特にビルドダイバーズとBUILD DiVERSは年齢が近い事や、侑達の友達のモモカ、果林達の友達のヒナタがいる事もあり、相談しやすい。

だが、ヒロトの名前が出た途端、果林と彼方が首をかしげた。

何かあったのかと歩夢が尋ねると、果林が答えてくれた。

 

 

「それが、最近ヒロトくん達忙しそうなのよねぇ。」

「うんうん、ヒナタちゃんもバイト休みがちなんだよ。今までそんな事無かったのに。」

「そうなの?何かあったのかな?心配だなぁ……。」

「うーん、心配ってほどじゃないんだよね。たまに会う時は凄く楽しそうだから。」

「でも何をしてるのかは教えてくれないのよね。BUILD DiVERS全員が絡んでるみたいだから、間違いなくガンプラ関係だとは思うけど。」

「BUILD DiVERS全員でやる、私達に教えられない楽しい事?うーん、全然想像つかないなぁ……。」

 

 

思えば最近GBNでも姿を見ないし、何かのミッションに参加した形跡も無い。

彼方と果林が言うので心配は無いのだろうが、それでも気にはなる。

うーんと唸っていると、『ともかく!』とせつ菜が手を叩き、全員の注意を自分へと向けた。

 

 

「ライブイベントはまだまだ先の話です。皆さん、何かいいアイデアが思いつき次第どんどん意見を出し合って行きましょう!」

 

 

 

 

~~

 

一旦の話し合いを終え、皆はそれぞれの練習へと向かう。

ミアと侑は曲の話し合いをするために今日の練習には参加しない。

せつ菜とランジュは二人で廊下を歩きながら、先ほどの会議の反省点を述べていた。

 

「やはりもう少し案を練ってから提案すべきでしたね。これじゃ皆さんに丸投げ同然です……。」

「でも皆賛成してくれたワ!フフフ、これでランジュのやりたかったことリストがまた一つ埋まるワね!」

「全員でのライブ、私もとても楽しみです。」

 

ランジュは同好会と部が対立していた頃から、皆でやりたい事をノートにまとめていた。

皆でもんじゃ焼き、皆でカラオケ、皆でゲーム、そして皆で練習など、実現する度に嬉しそうにノートに印をつけていた。

そして今回は皆でのライブ。

いち早く練習をしようと急ぐランジュを、せつ菜が廊下を走らないように注意を促していると、二人の耳に何かが聞こえてきた。

 

 

 ………~~~~♪

 

 

「……? 歌……?」

「! この歌は……!」

「ランジュさん?」

「こっちよせつ菜!!早く早く!!」

「あ、ちょ、待って下さい!!だから廊下を走らないでくださいってば!!」

 

 

聞こえてきたのは、誰かの歌声。

以前ランジュが音楽室の近くで聞いた歌声だ。

だが今、音楽室は侑とミアが作曲に使っている……だがこの声は侑とミアのどちらでも無い。

走ろうとするランジュを注意しながら、せつ菜もその後を追う。

 

 

「どうしたんですか、そんなに慌てて。」

「アタシ、この歌を歌ってる子をずっと探してたのよ!前に音楽室の近くで聞いてから、感動しちゃったの!だからスクールアイドル部にスカウトしたくて!」

「確かにすごく綺麗な声ですが、いきなりスカウトというのは飛躍しすぎでは……。」

「無問題ラ!あ、ついたわ!ここの部屋ね!」

「ここは……情報処理学科の教室ですね。」

「入るわよ!」

 

 

到着した先は、情報処理学科の教室。

愛の所属するクラスとは別クラスの教室だった。

歌が終わらないうちに、ランジュはその教室のドアを勢いよく開けた。

 

 

 

「~~~♪ ………ッ!?だ、誰……!?」

「ようやく見つけたわ!!」

「す、すいません……。」

 

 

 

歌っていたのは、長い髪に、ロングスカートの制服を着た少女。

彼女は自分の机の上に『HG スタークジェガン』のガンプラの箱を置いており、先ほどまで歌いながら作っていたのだとわかる。

突然現れたランジュとせつ菜に戸惑い、あわあわしながら作りかけのジェガンを箱に戻そうとしていた。

 

 

「あ、あの……私に何か……?」

「あなたの歌声、とても素晴らしいワ!アタシ、あなたの歌で感動しちゃったのよ!それであなたを……、」

「ランジュさん。」

「何よせつ菜!あ、もしかしてあなたもスカウトするつもり?ランジュが先に目を付けたんだからね!」

「そうではありません。あれを……。」

「あれ?あ……、」

 

 

せつ菜に言われ、ランジュが目を向けた先にあったのは、彼女の座る椅子。

ただの椅子では無く、車椅子。

さらに、スカートから少しだけ見えた彼女の左足は明らかに金属やプラスチックなどで出来ていて、どう見ても義足にしか見えない。

元生徒会長であるせつ菜は、当然彼女の正体についても知っている。

 

 

「あなたは、情報処理学科2年のカツラギ・マリナさんですね。」

「は、はい……どうしてスクールアイドルの優木さんと鐘さんがここに……?」

「すいません、あまりに綺麗な歌声だったもので。」

「あなた……その足……。」

「これですか?数年前、事故で。」

 

 

綺麗な歌声の少女……カツラギ・マリナをスクールアイドル部にスカウトするために今まで張り込んでいたランジュだったが、彼女の足を見て言葉を失った。

彼女の左足は義足で、足が少し動くたびに無機物が擦れ合う音が鳴り、生々しい。

せつ菜が生徒会長時代に全生徒の名前を覚えた時、同じ学年に義足の生徒がいるという話を聞いていたので最初は驚いた。

マリナがスカートをめくると、左脚の膝から下が全て作り物に変わっている。

 

気まずい空気が流れている教室で、せつ菜が話題を逸らすためにマリナの手元に注目した。

 

 

「あ、それはスタークジェガンですね!カツラギさんはガンプラお好きなんですか?」

「う、うん。私、ガンダムが大好きで、放課後によく作ってるの。」

「そのガンプラ知ってるわ!確か、UCに出てくるやつよね?」

「……鐘さん、UC好きなの?」

「当たり前じゃない!だってランジュの愛機のシランジュは元々UCに出てくるシナンジュなのよ!そう言えばアナタがさっき歌ってたのって、確かUCのOPよね?あなたも好きなの?」

「うん、私、マリーダ・クルスさんが大好き!嬉しいな、こうやってガンダムのお話が出来る人、中々いなかったから……。」

 

 

確かに……と、せつ菜とランジュは顔を見合わせた。

ガンプラバトルは人口が多いが、それでもやはり男性比率の方が多く、女子高生ともなるとガンプラバトルよりはファッションやスクールアイドルなどに興味を示す方が多い。

同好会の活躍で虹ヶ咲学園でもガンプラが流行してきてはいるが、ガンダムそのものに興味を持つ生徒はやはり少ない。

その点、本格的にGBNをプレイしているせつ菜やランジュとはガンダムの話が出来るとわかり、マリナは嬉しそうに作りかけのスタークジェガンを見せてくれた。

 

 

「素組みですが、とても丁寧に組まれていますね。完璧なゲート処理です!」

「ありがとう!私、ガンプラは友達だと思ってるから、綺麗に作ってあげたいの。」

「でもそんなにガンプラが好きなら、ガンプラバトル同好会に入部すればいいんじゃ無い?あそこなら皆とガンダムの話も出来るし、ガンプラ作り放題よ。」

「えっと……あの人達、前まであんまりGBNにいい印象持って無かったから、ちょっと怖くって……。」

「ありましたねそんな事……。」

 

 

ガンプラバトル同好会兼近江彼方姫親衛隊(正式名称)は以前までGPD過激派だったせいか、改心した今でも苦手意識を持つ生徒は多い。

マリナもその一人のようで、入部する気はなさそうだ。

 

 

「ってことは、マリナもやってるのよね?GBN!」

「う、うん。叔父さんがGBNの会社に勤めていて、よくやってるんだ。」

「アタシ、あなたともガンプラバトルやってみたいワ!」

「ら、ランジュさん!?そんないきなり……、」

「私と!?で、でも……この学園のスターのスクールアイドルの人と一緒にバトルだなんて……、」

「何言ってるの!アタシ達もう親友なのよ!親友は対等なものラ!」

「いつ親友になったの……?」

「一度お話すればもう親友じゃない?」

「その感性はおそらくランジュさんだけだと思います……。」

 

 

ランジュの相変わらずの食い気味の姿勢に、ため息をついたせつ菜だったが、いい機会かもとは思った。

生徒の数が1000人を超えるこの虹ヶ咲学園と言えど、身体障碍者はこのカツラギ・マリナのみ。

同じ学年だがクラスも学科も違う彼女とは、生徒会長時代の時にもあまり気にかける事は無かった。

もしかしたらこれを機に仲良くなれるかもしれない。

何より、素組みでこれだけ丁寧にガンプラを作れるビルダーなのだから、一緒にGBNをプレイしたら絶対楽しいに決まっているだろう。

 

 

「ねぇ!用事が無いなら今から一緒にGBNやりましょうよマリナ!」

「でも鐘さん達、練習とかいいの?」

「私達、次回のライブの打ち合わせをしていたんです。次のライブはスクールアイドルとガンプラバトルを融合させた合同ライブを企画していたので、むしろ色んな人とのガンプラバトルは次回のライブの為の参考になります!」

「それと、名字だと他人行儀じゃない!アタシの事はランジュで良いわよ!」

「私の事はせつ菜と呼んでください、マリナさん。」

「せつ菜さん、ランジュさん……?」

「さぁ、行くわよ!ランジュが車椅子押してあげる!」

「あ、ちょ、ちょっと待って!もうちょっとでスタークジェガン完成するから!」

 

 

 

 

~~

 

「カツラギさん。」

「キョウヤか。」

 

GBNに蔓延していたバグの調査を続けていたゲームマスターであるカツラギの下へ訪れた、チャンピオンのクジョウ・キョウヤ。

彼も突然消えたバグやマスダイバー、ミラーミッション騒動の後から消息を絶ったバンシィ・ノワールの事はずっと気にかけており、独自の調査は続けていた。

AVALONでの調査の途中、SDガンダムディメンション『ネオ・ワールド』でゲームマスターのカツラギの姿を発見したキョウヤは、TRYAGEマグナムで彼の下まで降りてきた。

コックピットから降りて、カツラギの隣へ。

 

「何か進展は?」

「すまない。やはり痕跡が一切残っていない。」

「痕跡の残らないバグか……。」

「……本当に、バグなんだろうか……。」

「どういう事だ?」

「復活したマスダイバー、異常な数値設定のミッションターゲット、特定の相手を狙うバンシィ、そしてそれらすべてが一瞬で消えてしまった事……ただのバグにして不自然だ。」

「バンシィの能力、と言う事か?」

「それはわからない。だが、バンシィの件はともかく、頻発する異常なターゲットNPDは、過去にも似たような事例があったじゃないか。」

「3年前の、第二次有志連合戦か。」

「……全て僕のただの憶測に過ぎない。しかし、あの時と同じ目線で調査してみる価値はあると思う。」

 

3年前、ブレイクデカールの事件の後に起きたもう一つの事件。

ペリシアの暴走や超巨大デストロイガンダムの出現は、当時に発生したバグの事例に似ている。

ふむ、と顎に手を当てるカツラギだったが、ふと頭をよぎった疑問をキョウヤに投げかけた。

しかし、その質問は今回の件と関係のない、意外な物だった。

 

 

「………キョウヤ。」

「はい。」

「あの子たちは、あれからどうしている?」

「大活躍しているよ。少しずつ、上位プレイヤーたちへの挑戦を重ねて、着実に強くなっている。」

「そうか……ベアッガイフェスやミラーミッションの件、運営の対処が少しでも早ければ、あの子たちに辛い思いをさせなくて済んだのだが……力及ばず、申し訳なく思っている。」

「けど、あの経験が彼女たちをまた強くした。アナタが全て気負う事は無い。」

「……そう言ってもらえると、私も少し気が楽になれる。」

 

 

顔を伏せ、カツラギはその場から立ち去って行った。

全ての元凶である黒いガンプラ、バンシィ・ノワール。

その正体を探るべく、キョウヤも再びガンダムTRYAGEマグナムへと乗り込み、探索へと向かった。

 

 

 

 

~~

 

「な、なんですかこれは!?」

 

マリナの車椅子を押しながら、せつ菜とランジュはガンダムベースへとやって来た。

しかし、いつもと様子が違う。

普段ダイバーシティの前にそびえ立っているはずのユニコーンガンダムの立像の周りに鉄骨の足場が組まれており、その周りをシートで覆っている。

周りにはクレーン車が数台、何かの部品の様な巨大なパーツも置かれている。

スクールアイドルフェスティバルの時もいつも自分たちを見守ってくれていたユニコーンガンダムの変わり果てた姿に、せつ菜もランジュも、ユニコーンガンダムが好きなマリナも空いた口がふさがらない。

 

 

「ゆ、ユニコーンガンダムが……侑さんが見たらショックを受けてしまうかも……。」

「何事かしら……。」

「あ。」

「どうしたのマリナ?」

「あの人……。」

 

 

マリナが指差した方向にいたのは、ヘルメットを被り、指示を出している目つきの悪い男。

彼の姿にはせつ菜は見覚えがあり、そちらへと駆け寄っていく。

 

 

「ツカサさん!!」

「あん?お前確か、近江の後輩の……、」

「コレはどういう事なんですか!?何故ユニコーンガンダムが……!!」

「…………。」

「そ、その表情はもしや……何か良くない事が!?もしかして、解体してしまうんですか!?そんなの嫌です!!」

「いや、コレは朝から同じ様な質問を通行人から何回もされていい加減うんざりしてる顔だ。別に解体なんてしちゃいねーよ。」

 

 

呆れたような表情でツカサがそう言うと、せつ菜はホッと胸を撫で下ろす。

ツカサはせつ菜の顔を見ると、一瞬何か考えた。

それから、『まぁいいか』と彼女に何が起きているのかの説明を始めた。

 

 

「お前らだったら、どうせコウイチ達から話聞くだろうし、隠す必要もねーか。」

「何よ、もったいぶらずに教えて頂戴!」

「俺達は、今こいつに可動部を仕込んでんだよ。」

「可動部?何故ですか?」

「ガンフェスで、コイツを動かすためだ。」

「はい?」

 

 

ツカサが何を言っているのかよくわからず、その話を聞いたせつ菜とランジュが一瞬フリーズ。

続けてツカサが説明を始める。

 

 

「お前らはELダイバーって知ってんだろ。」

「サラさんやメイさんみたいな、電子生命体の方々ですよね?」

「璃奈のアランにも入ってるワ!」

「そうだ。ELダイバーは憑代にしたガンプラを動かす力がある。ビルドデカールを使ってな。そこで、ガンフェス当日はコイツをELダイバーに動かさせるっていうパフォーマンスをやる。」

「こんな大きい物、動かせるんですか!?」

「そのために俺が現場指揮やってんだ。ほら、わかったなら邪魔だからさっさと行け。」

 

 

しっしとツカサが乱暴にせつ菜たちを追い払い、作業に戻った。

無関係ながら今の話を聞いていたマリナは、今のツカサの言葉に目を輝かせており、車椅子の上で生身の足と義足をパタパタと動かしてはしゃいでいた。

 

 

「す、凄い!実物大のユニコーンガンダムが本当に動くんだね!」

「マリナさん、今のお話はどうか内緒にしておいてあげて下さいね。あと、ランジュさんもうっかり喋らないように。」

「無問題ラ!」

「……私も気を付けないと……。」

「それより、早くGBNへ行きましょう!アタシのシランジュがうずうずしてるワ!」

 

 

等身大のユニコーンガンダムが、本物のガンダムとして本当に動く。

ランジュ達に内緒にするように伝えたが、実は当のせつ菜が一番誰かにこの話をしたくてウズウズしていた。

エマ、栞子、侑辺りに話せばきっといつまでもこの話題で話していられるかもしれない。

せつ菜が一人で色々とつぶやきながら感情をなんとか押さえつけているうちに、3人はガンダムベースに到着。

いつも通りGBNの筐体へ行く前に、鞄から自分たちの愛機を取り出した。

勿論、せつ菜はスカーレットエクシア、ランジュはシランジュだ。

 

 

「見てくださいマリナさん!これが私の愛機、ガンダムスカーレットエクシアです!」

「どうかしラ!アタシのシランジュ!」

「わぁ……二人とも凄くカッコいい……。」

「わかってくれますか!?見てください、ここのGNドライブの形状は拘ったんです!炎の形するためにプラを溶かして削ってを繰り返したんですよ!」

「うん、せつ菜さんが頑張って作ったんだなってすごく伝わってくるよ。」

「あなたはどのガンプラで行くの?さっき作ってたスタークジェガンかしラ?」

「ううん、私の一番のお友達を使うよ。」

 

 

そう言いながら、マリナは車椅子に取り付けたポシェットから、自分の愛機を取り出す。

 

 

 

しかし、そのガンプラを見た瞬間、せつ菜とランジュは驚きで声を出せなかった。

何故ならそれは……、

 

 

 

「見て、私の一番のお友達!」

「そ……そのガンプラは……!?」

「嘘でしょ……?」

 

 

 

全ての光を吸収してしまうほどの深い黒のカラーリングのガンプラ。

その姿はユニコーンモードではあるが、あまりにもあのガンプラに似すぎていた。

マリナは笑顔でそのガンプラをせつ菜たちに見せつけ、今までにない楽しそうな声で彼女たちに言った。

 

 

「私が作った、ノワールです!」

 

 

 

マリナの手に握られた『ノワール』と呼ばれる、黒く、ユニコーンガンダムとよく似た機体。

バグをまき散らし、ライブを潰し、侑を傷つけた忌まわしきガンダム。

 

あのバンシィ・ノワールがその手にあった。

 

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第51回:セカイの修行

ウィルフリッド「セカイ、今までどこで何をしていたんだ?」

セカイ「あぁ、日本中を巡って修行をな。」

ウィルフリッド「修行だと?」

セカイ「おかげで一段と強くなれたぜ!」

ウィルフリッド「具体的には何をしていたんだ?」

セカイ「まずは滝行だな。」

ウィルフリッド「滝行……。」

セカイ「後はイノシシと戦ったり、毒蛇を捕まえたり、スズメバチの巣を素手で駆除したり、」

ウィルフリッド「………。」

セカイ「人里に下りてくる大熊と戦った時は、さすがにもうダメかと思ったぜ~!」

ウィルフリッド「セカイ。」

セカイ「どうした?」

ウィルフリッド「お前は、害獣駆除業者にでもなったのか……?」

セカイ「え?」

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