ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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※閃光のハサウェイの内容が一部含まれていますが、小説版の内容です。

※早く映画が見たいです。

※それよりF91がめちゃくちゃ面白かったです。

※クロスボーン・ガンダムのアニメ化はよ。

※あとRGのクロスボーンガンダムX1フルクロス発売お願いします





蘇るバンシィ・ノワール

せつ菜とランジュがマリナと出会い、皆が練習を続けているその頃、侑とミアの二人は音楽室で作詞作曲を続けていた。

自分の分とランジュの分の2曲のみ作曲すればいいミアとは違い、侑の担当は驚異の10人分。

アイデアを捻り出すだけでも一苦労で、今までの皆の曲を聞きながらああでもないこうでもないと唸っていた。

息抜きに時々レインボーユニコーンガンダムのガンプラでブンドドをしている様は、近くで一緒に作業をしているミアが見ていて心配になるほど。

 

「大丈夫かい、侑。」

「うーん……全然思いつかないなぁ……。」

「まだ時間はあるんだ。今思いつかなくても焦る必要は無いよ。」

「ミアちゃんは凄いね。もうそんなに思いついたんだ?」

 

テイラー家は一流の音楽一家。

1日に何十曲も作曲していたこともあるミアは、すでにいくつかの曲のイメージをノートに書きためていた。

しかし彼女は首を横に振り、『No』とつぶやく。

 

 

「ううん、どれもイメージとなんか違うんだよね。これじゃスクールアイドル部の良さは伝えられないよ。」

「なんだかんだで仲良いよね二人とも。」

「べ、別に仲良くなんて……、」

「照れてるところもかわいいYO!」

「照れてない!!」

 

ミアは高校3年生だが、実年齢で言えばまだ中学2年生。

侑の事が大好きなかすみとはまた違った妹像があって、話しているととても楽しい。

すでに二人とも作詞作曲の事など忘れて、ただじゃれ合っているだけとなってしまった。

少しからかいすぎたのか、ミアの表情に少しだけ怒りが見えてくると、さすがにまずいと思ったのか侑は言ったん黙る。

そこから少々気まずい空気が流れ始めたが、それを破る様に音楽室のドアが開かれた。

 

 

「侑ちゃん、どう?進んでる?」

「愛さん達は練習終わったよ!」

 

 

「歩夢、愛ちゃん。」

 

 

練習を終えた歩夢と愛が迎えに来てくれた。

愛が来てくれたので、璃奈も来ていないかと期待したミアだったが、残念ながら璃奈は彼方と共に果林に柔軟の稽古をしてもらっているので来ていない。

 

「他の皆は?」

「用事があったり、練習してたりで、愛さん達だけだよ。」

「せつ菜とランジュは一緒じゃないの?」

「ううん、私と愛ちゃんは見てないけど……。」

「今度のライブの為にGBNに行ってるんじゃない?愛さん達も行ってみる?」

「うん!行きたい!」

「ゆうゆ喰い付きいいね!」

「ボクも行っていいかな?ランク上げたいんだ。」

「もちろん!せつ菜ちゃん達にも会えるといいね。」

 

歩夢と愛と合流し、侑とミアもGBNへ行く事に。

現在、同好会メンバーのほとんどはBランクで、ランジュとミアはいまだDランク。

先にCランクへ上がって必殺技を習得し、ランジュを出し抜きたいと思っているミアは、内心ウキウキしつつもそれを顔に出さないように、年上の後輩と共にガンダムベースへと向かった。

 

 

 

~~

 

 

 

「バンシィ……ノワール……!?」

 

 

マリナの見せた愛機を見て、せつ菜とランジュは絶句していた。

彼女に手にあるものは、自分たちの仲間を自暴自棄に追い込んだ忌まわしきガンダム。

 

 

バンシィ・ノワール。

 

 

『機動戦士ガンダムUC』に登場するマリーダ・クルスの操るバンシィと、リディ・マーセナスが乗るバンシィ・ノルンを改造した最凶の機体。

当の本人であるマリナは、不思議そうな表情でせつ菜とランジュを見ている。

とぼけているのか……と一瞬考えたが、彼女のガンプラを見てせつ菜はハッとした。

いまだに言葉を失うランジュに、彼女だけに聞こえる程の小声で言う。

 

 

「ランジュさん、これはあのバンシィではありません。」

「で、でもこの姿はどう見ても……!」

「良く見てください。マリナさんのノワールはユニコーンモード。それに対してバンシィ・ノワールはデストロイモードでした。どちらもHG規格のガンプラです。」

 

 

マリナのノワールはユニコーンモード。

バンシィ・ノワールはデストロイモード。

GBNで両者の変形を実現する場合、そのガンプラ自身に変形ギミックを搭載する必要がある。

しかしHGのユニコーンシリーズには変形機能は実装されておらず、改造するかRG以上のガンプラを使わなければならない。

マリナのノワールは、確かにバンシィ・ノワールとそっくりではあるが、HGである以上ユニコーンモードとデストロイモードで分けられている両者は別物と考えていいだろう。

 

 

「もし、マリナさんのノワールがバンシィ・ノワールなのだとすれば、彼女は侑さんと同じくアシムレイトを使える事になります。ですが運営側でもGBNでアシムレイトが使えるのは侑さんだけだと明言していました。ですので彼女は違いますよ。」

「そ、そうよね……ランジュの親友があんな事するわけ無いもの!一瞬でも疑った自分が恥ずかしいワ。」

「ですね。私も反省しなければ。」

「あの……せつ菜さん?ランジュさん?何の話?」

「こっちの話よ!マリナは気にしないで!」

 

 

 

GBNでアシムレイトが使えるのは高咲侑ただ一人。

あのイオリ・セイやミカミ・リクでさえ、GBNでアシムレイトは使えないのに、侑以外の人間が使えるとは考えづらい。

杞憂だったとせつ菜、ランジュが顔を見合わせると、早くGBNがしたいのかマリナはすでに筐体へ。

義足で車椅子から降りて筐体に移動するのは相当大変そうで、ふらつきながらもなんとか立ち上がろうとするマリナをランジュが支えた。

 

「大丈夫?」

「うん、ありがとう……いつも筐体に座るまでが大変なの。」

「私たちを支えにしてくださいマリナさん。」

「お友達と一緒にGBNやるの初めてだから、少し焦っちゃった。ごめんなさい。」

 

 

苦笑いしながら謝るマリナを筐体に座らせると、せつ菜とランジュも自分のガンプラをセットしてヘッドギアを被った。

筐体が3人のガンプラのデータをスキャンし、3人は広大なGBNの世界へとダイブして行った。

 

 

 

 

~~

 

 

一足先にロビーに辿り着いたセツナとランジュの二人がミッションボードを見ながらプレイするミッションを物色中。

マリナがUCが好きと言っていたから折角なので宇宙世紀系のミッションをプレイしようと思い、『機動戦士ガンダム』から最新作の『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』までのリストを見る。

 

 

「見て見てセツナ!もうハサウェイのミッションあるワよ!」

「本当ですね!映画の公開も迫って来てますし、充実してます!」

「『クスィーガンダム防衛ミッション』って何かしラ?」

「クスィーガンダムが投下されてくるまでの間、地球連邦の攻撃に耐えるミッションですね。」

「え?主人公なのに地球連邦軍の敵なの?ハサウェイって地球連邦のブライトって人の息子よね?」

「……語っても?」

 

 

セツナが逆襲のシャアから閃光のハサウェイにおけるハサウェイ・ノアの経緯を語っていると、二人の背中を誰かが叩いた。

それでセツナは我に返り、振り返った先には先ほどまでリアルで一緒だった義足の少女が、生身の両足でしっかりと立ってその場にいた。

 

 

「お、お待たせ……セツナさん、ランジュさん。」

「マリナ!待ってたワよ!」

「ウフフ……♪」

「どうしたんですか?」

「あ、ごめんなさい。二人と同じ目線でお話出来て嬉しくて。私、一緒にGBNをやってくれる友達、いなかったから……。」

 

 

マリナはリアルだと義足で、普段は車椅子生活の為立つ事すらままならない。

それがGBNではしっかりと地面を踏みしめて、皆と同じように過ごす事が出来る。

立ち上がったマリナの身長はセツナより高くてランジュより小さい、ちょうど歩夢と同じぐらいの身長。

嬉しそうに笑うマリナを見て、ランジュはマリナの手を握る。

 

 

「これからもたくさん遊ぶわよ!」

「! うん!」

「マリナさん、どのミッションに挑戦しますか?ネェル・アーガマの護衛や袖付迎撃任務など、UCのミッションも充実していますよ!」

「閃光のハサウェイのミッションだ!この前来た時には無かったのに!」

「やっぱりそれが気になるのね!セツナ、これにしましょうよ!」

「では、私たちが挑戦するのは『クスィーガンダム防衛ミッション』です!さぁ、思いっきり楽しみますよ!!」

 

 

 

 

~~

 

 

小説版『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』では、主人公であるマフティー・ナビーユ・エリン(ハサウェイ・ノア)が愛機であるΞ(クスィー)ガンダムを受け取る為、回収ポイントに向かった際、その情報をキャッチした地球連邦軍の襲撃を受けてしまう。

なんとか無事にクスィーガンダムを起動したハサウェイは、迫りくる地球連邦のモビルスーツであるペーネロペーとグスタフ・カールをなんとか退けた。

今回セツナ達の挑戦するミッションでは、地球連邦がクスィー到着前に襲撃してきた設定で進み、回収ポイントにグスタフ・カールが侵入してくる前に地球連邦の部隊を迎撃する事が目的となる。

なお、このミッションは最高難易度ではペーネロペーが登場し、無事にクリアできた暁にはクスィーVSペーネロペーの対決を見る事も出来る。

 

無事にミッションエリアまでやって来たセツナ達は、改めてマリナの乗っているガンダム『ノワール』を眺めた。

ベース機がバンシィと言う事もあり、やはりバンシィ・ノワールに非常に良く似ている。

しかし、ノワールクローなどのアームドアーマーも装備していないし、バックパックがバンシィ・ノワールに比べて充実しており、更に変形しないHGと言う事もありやはりただ似ているだけの機体の様だ。

 

 

『ここに敵が来るのね!』

「はい!今回はグスタフ・カールだけですが、高難易度になればペーネロペーも来るみたいですよ!」

『緊張してきた……。』

「リラックスしてくださいマリナさん。大丈夫、いざとなれば私達がフォローします!」

『マリナのノワールの武装って、凄くシンプルね。ライフルとシールドだけなの?』

『うん。武器は初期型のバンシィのイメージで作ったから。』

『その割にバックパックは重そうね。』

『つけたいパーツが多くて、とりあえず全部つけようかなって……変かな?』

『ガンプラは自由なのよ!変な事なんて無いワ!』

「ランジュさん、マリナさん、そろそろ始まりますよ。」

 

 

セツナが言うと、回収ポイントの向こうから数機の機影が確認された。

それは、クスィーガンダムを破壊するために派遣された地球連邦軍のモビルスーツ『グスタフ・カール』

デザインは劇場版を基にした00型であり、一番オーソドックスなタイプのグスタフ・カールとなる。

この時代の機体に違わず、セツナ達のガンプラよりも巨大なそれらは、一斉に彼女たちへと銃口を向けた。

 

 

『ランジュ!シランジュ!ショータイムよ!!』

「セツナ!ガンダムスカーレットエクシア!目標を駆逐する!!」

『ま、マリナ!ノワール!行きます!』

 

 

ミッションスタートの合図と同時に、シランジュとスカーレットエクシアが飛び出した。

グスタフ・カールの放つビームをシールドで防ぎつつ、GNソードSSPとGNビームアックスで切り込んでいく。

想像以上に相手の装甲が固く、一撃で刃が立てられないが、傷の入った個所にGNブレイドショートを突き立てて無理やり傷口をこじ開け、そこを再びGNソードで切り裂く。

 

シランジュとノワールもグスタフ・カールと交戦を続けるが、3人の中でもやはりセツナがダントツに強い。

 

一体を撃破すると、その破壊したグスタフ・カールを足場にして飛び上がり、ブースターの出力を上げてシランジュの援護。

それが終わると今度はノワールの援護に回り、次々と敵を撃破していく。

敵を倒すセツナの目は、金色に輝いている。

 

 

『せ、セツナさん凄い!』

『合宿の時と全然違う……どういう事?』

 

 

凄まじい勢いで敵を制圧し続けるスカーレットエクシアに負けないよう、シランジュとノワールも体勢を立て直して迎撃を開始。

シランジュの元となったもう一体のガンプラ『リボーンズガンダム』は、エクシアの後継であるダブルオーガンダムの対の存在。

エクシアを扱うセツナに差を付けられていては、ランジュも黙ってはいない。

GNビームアックスをシールドにマウントし、シランジュバスターライフルでクスィー投下ポイントに向かうグスタフ・カールを撃ち抜く。

そこへノワールも駆けつけ、タックルで敵を弾き飛ばした。

 

 

『やるじゃないマリナ!さすがはランジュの親友ね!』

『これがチームバトル……いつもより、楽しい……!』

『セツナに負けてられないワ!アタシ達もやるワよ!』

 

 

ビームライフルで敵をけん制し、シランジュのサポートに徹するノワール。

ツインドライブシステムとサイコフレームをフル稼働させながら制圧を続けるシランジュ。

敵の動きをまるで手に取るかのように見切り、二本のGNブレイドで圧倒するセツナ。

 

やがてすべての敵を殲滅し終え、3人は達成感に包まれながら武器を降ろした。

 

 

 

「ふぅ……これで全滅でしょうか?」

『やったわねセツナ!』

『セツナさん凄い……。』

『どうしたのよ?急に強くなったじゃない。ガンプラ弄ったの?』

「いえ。セカイさんと戦った後からでしょうか……エクシアに乗っている間、相手の動きが見切れるようになったんです。」

『もしかしてセツナさん、『イノベイター』のスキルを習得したんじゃないかな?』

「え!?わ、私がイノベイターですか!?」

 

 

イノベイターとは、『機動戦士ガンダムOO』におけるイオリア・シュヘンベルグが予見した進化した人類。

脳量子波と呼ばれる特殊な電波で意思疎通を図り、これに覚醒した者は戦闘能力が急激に上昇し、イオリアの示した『来たるべき対話の時』に必要とされる存在。

 

身も蓋も無い事を言えば、『OO』におけるニュータイプの様な物だ。

 

 

『イノベイター』スキルの習得はGNドライブ搭載機を使い、トランザムを使い続ける必要があり、それでも覚醒できるかどうかはそのダイバーの素質次第となっている。

『SEED』、『イノベイター』、『Xラウンダー』がGBNにおける習得難易度S級のスキルとされており、あのビルドダイバーズのリクですらイノベイターのスキルは持っていない。

 

 

「わ、私があの刹那・F・セイエイと同じイノベイターに覚醒するだなんて……!う、嬉しいです!!興奮してきました!!まだまだ暴れますよぉおおおお!!!」

『ランジュもまだまだ暴れたりないワ!』

『フフ、二人とも本当にバトル好きなんだね。』

「はい!もちろん大好きです!!」

 

 

笑顔でそう答えたセツナ。

ノワールの中で、それを見たマリナは思わず歌を口ずさんだ。

敵が全ていなくなり、静寂に包まれていたフィールドで、彼女の歌だけが響き渡る。

この歌にはセツナは聞き覚えがあった。

 

 

『~~~♪』

 

 

「この歌は……『μ's』の『SUNNY DAY SONG』ですね!」

『アタシが最初に聞いたマリナの歌もコレだったワ。』

「この歌は今から10年ほど前、μ'sという伝説のスクールアイドルが、他のスクールアイドル達と一緒に歌う為に作った『スクールアイドルの為の歌』なんです!」

『私、この歌が大好きで、嬉しい時によく歌うの。今日は、凄く楽しかったから。』

「マリナさんはスクールアイドルもお好きなんですか?」

『……うん。ずっと、憧れてたから……小さい頃からずっと……。』

 

 

そう言いながら左脚に手を触れるマリナの悲しそうな表情は、セツナとランジュには見せなかった。

 

 

その時、ランジュがある事に気が付いた。

全てのグスタフ・カールを倒したはずなのに、いまだにクスィーガンダムが投下されず、ミッションクリアのアナウンスも出てこない。

奇妙に思った3人だったが、そこへ巨大なモビルスーツが、彼女たちの前に飛来してきた。

 

 

『ようやく来たわねクスィーガンダム!待たせすぎラ!』

『……ランジュさん違う!それ、クスィーじゃない!』

『え?』

 

 

マリナが叫ぶと、飛来してきたモビルスーツが巨大な手を振り上げ、そのままシランジュを殴り飛ばしてきた。

吹っ飛ばされたシランジュが崖に激突し、その衝撃でスラスターを兼ねている背面のGNフィンファングが破壊されてしまった。

 

 

 

『いたたた……なによコイツ!』

「これは……ペーネロペー!?地球連邦のモビルスーツです!何故この難易度のミッションに!?」

 

 

 

出現したモビルスーツの正体は、クスィーガンダムと似たシルエットを持つ地球連邦軍所属の『ペーネロペー』

オデュッセウスガンダムがフライトユニットを装着して強化された形態で、『閃光のハサウェイ』ではレーン・エイム中尉が乗りこなすガンダム。

本来であれば、ペーネロペーの出現条件は難易度A以上となり、Cランクミッションである今回は登場しない。

だが、心当たりはある。

最近すっかり鳴りを潜めていた、バグの影響の可能性が高い。

 

 

『ら……ランジュさんが……!?』

「下がってくださいマリナさん!!ランジュさん、まだ戦えますか!?」

『なんとかね……よくもやってくれたワね!!』

 

 

破壊されたGNフィンファングを分離し、身軽になったシランジュがスカーレットエクシアと並ぶ。

スカーレットエクシアと共にペーネロペーへバスターライフルを向け、エネルギーが許す限り銃撃を浴びせる。

しかし、もちろんペーネロペーにはほとんど通用していない。

逆に今度はペーネロペーがサイコミュで操るファンネルミサイルをシランジュへと放ち、無数の攻撃がシランジュを襲った。

 

 

『きゃあああ!!』

「ランジュさん!!くっ……!」

 

 

機能停止し、シランジュがその場に倒れる。

コックピットの中でランジュも気を失ってしまい、それを見たマリナは絶句。

怯えるマリナと倒れたランジュを守るために、セツナは一人で巨大モビルスーツであるペーネロペーへと立ち向かう。

だが、バグで出現しているペーネロペーの戦闘能力は、ミッションで出現する物よりも数段強い。

 

 

 

「しかし何故今になってバグが……まさか、バンシィ・ノワールが再び現れる兆候なのでは……!?」

『セツナさん危ない!』

「トランザム!!」

 

 

『TRANS-AM』

 

 

トランザムを発動したスカーレットエクシアは、イノベイターの能力でペーネロペーの攻撃を見切りつつ、少しずつ距離を詰めていく。

遠距離用の武器も無い事は無いが、元がエクシアであるためやはり近づかなければ意味が無い。

GNソードSSPでファンネルミサイルを斬りおとしつつ、ペーネロペーの懐へと入った。

まずは、フライトユニットとオデュッセウスガンダムを切り離すため、装甲の隙間に剣を突き立てようとするスカーレットエクシアだが、その時にペーネロペーが横からパンチを放ってきた。

 

 

「いったん離脱しますよエクシア!!」

 

 

一度は詰めた距離を再び離し、スカーレットエクシアが後退。

ペーネロペーがスカーレットエクシアへ攻撃しようとした時、彼の目にあるものが映った。

 

 

『ランジュさん、安全なところまで連れて行ってあげるからね……!』

「! ま、マリナさん!?」

 

 

なんとノワールがシランジュを背負い、安全圏まで離脱しようとしていた。

勿論そんな状態で素早く動けるはずも無く、シランジュをズルズル引きずりながら必死に逃げる姿勢を見せるノワール。

その彼女を、ペーネロペーは見逃さない。

背面のビームユニットを前面に展開し、ノワール目掛けてメガ粒子砲の体勢に入った。

メガ粒子砲は、ペーネロペーの持つ最大火力の必殺技であり、このサイズのモビルスーツが放つそれを受けてしまえば、いくらサイコフレーム持ちのノワールでも無事では済まない。

 

 

「逃げてください!!マリナさん!!」

『え……?』

「エクシアーーーーー!!」

 

 

ペーネロペーが放ったメガ粒子砲。

ノワール目掛けて放たれたソレは、彼女では無く、その間に割り込んだスカーレットエクシアに直撃した。

 

さすがにシランジュを背負ったままのノワールを回避させる事は、トランザムとイノベイターの力を使ったとしても不可能であり、セツナに出来る事は彼女の盾になる事だけ。

メガ粒子砲の直撃を受けたスカーレットエクシアの装甲がバラバラに砕け、受け止めたシールドを持っていた左腕を含めた左半身を失ったスカーレットエクシアは、その場にゴロゴロと転がり、やがて動かなくなった。

 

 

 

『せ……せつ……!?』

「に……逃げてくださいマリナさん……う、運営に……通報を……!」

 

 

 

そう言い残し、セツナは気を失う。

その場に残されたのはノワールとマリナのみ。

絶望的な状況に、ノワールはシランジュを落してしまい、シランジュはスカーレットエクシアの隣に転がった。

勿論、ペーネロペーは止まらない。

ゆっくりとノワールに近寄ってくる巨大モビルスーツをマリナは見つめる。

ノワールの眼前までやって来たペーネロペーが、両腕のシールドからビームサーベルを出現させる。

 

 

それでノワールを突き刺そうとしたその瞬間、マリナが目を瞑った。

 

 

『…………。』

 

 

 

『NT-D』

 

 

 

ビームサーベルをノワールへと突き立てるペーネロペー。

しかし、至近距離であったにもかかわらず、ノワールはそれをかわした。

いつの間にかノワールはペーネロペーの後ろに回り込んでおり、その装甲が次々と展開を始めていく。

 

 

『………。』

 

 

右半身が展開し、内部の漆黒のサイコフレームが露出。

 

左脚の装甲は完全に剥がれ落ち、代わりに背面のバックパックが分離、展開して左脚の装甲となり、多重関節を持つ重装甲の左脚となる。

 

更に残ったパーツは両腕に装着され、左腕はアームドアーマーVNを模した『ノワールクロー』に、右腕にはアームドアーマーBSを模した『ノワールブラスター』に。

 

最後に頭部の角が展開し、ノワールは真の姿をペーネロペーの前に晒した。

 

 

 

 

『私は……バンシィ・ノワール。私の一部が、この私に牙を剥くか。』

 

 

 

 

バンシィの改造機『ノワール』

そのノワールがNT-Dを発動し、デストロイモードへと変身を遂げた姿……それが、『バンシィ・ノワール』

侑を襲い、バグを発生させ、GBNを混乱に陥れているすべての元凶のガンプラだ。

 

 

バンシィ・ノワールの出現に、一瞬たじろぐペーネロペー。

だが、構わずにペーネロペーはバンシィ・ノワールにビームサーベルを突き刺し攻撃を仕掛ける。

それに対してバンシィ・ノワールはその場からほとんど動かずに、そのビームサーベルをノワールクローで掴みとった。

 

 

『やりたい事はそれだけか……?』

 

 

右腕のノワールブラスターをペーネロペーに向け、それで彼のシールドを撃ち抜く。

一瞬で二つのシールドを破壊したバンシィ・ノワールは、今度はライフルで攻撃してくるペーネロペーから離れ、銃撃を全て躱す。

その反射能力はイノベイターの能力を持つセツナや、SEEDを持つアユム以上で、普通の人間の反射速度を明らかに逸脱している。

やがてバンシィ・ノワールがペーネロペーの目の前に現れると、ペーネロペーのフライトユニットの首をノワールクローで掴み、その巨体を押し倒した。

フライトユニットの首をへし折ったバンシィ・ノワールは、更にフライトユニットをノワールクローで剥ぎ取り、中からオデュッセウスガンダムのみを抜き取る。

そして、その胸中にノワールブラスターを突き立て、オデュッセウスガンダムのボディを撃ち抜いた。

 

 

『コレで終わりだ。』

 

 

 

ボディに風穴が開き、その場に崩れ落ちたオデュッセウスガンダム。

崩れ落ちたその機体が光の粒子の様にバラバラに散ると、それはバンシィ・ノワールの体へと吸い込まれていった。

すると、バンシィ・ノワールの体に残っていたダブルオーとの戦いの傷が消え、それを確かめるように腕を動かす。

 

 

『これで、GBNにばらまいた私の分身の回収は終わった。ミッションを、再開する。』

 

 

そう言ったバンシィ・ノワールは、今度は倒れたシランジュとスカーレットエクシアに向かい合った。

ゆっくりとそちらへと近寄り、セツナ達へノワールブラスターを向ける。

今彼女たちを撃ち抜けば、確実にセツナ達のデータをデリートする事が出来る。

 

 

 

『………。』

 

 

だが、引き金を弾こうとしたその時、バンシィ・ノワールは銃口を彼女たちから逸らし、ノワールブラスターを降ろした。

気を失っているセツナとランジュを、バンシィ・ノワールは交互に見る。

 

 

 

(何言ってるの!アタシ達もう親友なのよ!親友は対等なものラ!)

 

 

『鐘嵐珠……。』

 

 

 

(逃げてください!!マリナさん!!)

 

 

『優木せつ菜……。』

 

 

 

気を失っているセツナとランジュを除き、バンシィ・ノワール以外に誰もいないその空間で、『彼』はポツリと呟いた。

 

 

『マリナの……友達……。』

 

 

 

 

 

 

~~

 

 

「ツカサさん!!ユニコーンなんで工事中なの!?まさか取り壊しちゃうの!?」

「うるせぇ向こうに行け。」

 

 

ガンダムベースへとやって来た侑が、他の通行人たちと同じようにユニコーンガンダム改装中のツカサに涙目で尋ね、彼はそれを一蹴。

その後モモカとコウイチからガンフェス用の工事だと聞いてホッとした侑達は、GBNよりもまずは販売ブースでガンプラを物色。

なんでも侑や歩夢に触発された愛も、愛参頑駄無のパワーアップ案を思いついたようで、SDガンダム系のコーナーをミアと一緒に眺め始めた。

 

「愛、ガンプラ新しくするの?」

「ううん、そうじゃなくて、愛参頑駄無をもう少し強くしてあげたいなーって。」

「そうなんだ。」

 

 

「あれ?」

「どうしたの侑ちゃん?」

「あそこにいるの、せつ菜ちゃんとランジュちゃんだよね?」

「ホントだ。あの車椅子の子は誰だろう?」

 

 

道具コーナーでデザインナイフを見ていた侑と歩夢が、GBNを終えたせつ菜とランジュの存在に気づき、愛とミアと一緒に彼女たちの下へと向かった。

丁度そのタイミングでせつ菜たちも出てきて、向こうも侑たちに気が付いて手を振りかえす。

 

 

「せつ菜ちゃーん!」

「侑さん!皆さんも!」

「その子は誰?」

「紹介するワ!アタシ達の新しい親友なのよ!」

「あ……あの……か、カツラギ・マリナです……。」

 

 

ミアが尋ね、ランジュがマリナを紹介してくれた。

侑達も、マリナの左脚が無い事に気づいて一瞬驚いたが、せつ菜やランジュと楽しそうに話す彼女を見て気を使うのはやめようと思った。

 

 

「それにしてもマリナさん凄いです!あのペーネロペーを倒してしまうなんて!」

「アタシなんてすぐに負けちゃったワ……。」

「わ、私もよくわかんなくて……気づいたら倒しちゃってたっていうか……。」

「せっつー、ランジュ、その子そんなにガンプラバトル強いの?」

「もちろんです!!私が保証します!!」

「へー、そんなに凄いんだ!アタシ、宮下愛!よろしくねマリっち!」

「ま、マリっち?」

 

 

さっそく妙なあだ名をつけてきた愛が、マリナに握手を求めて来た。

それに応じるマリナに、次々と他のメンバーも自己紹介を始めた。

 

 

「ボクはミア・テイラー。そこの赤いのと同じスクールアイドル部だよ。」

「うん、噂は聞いてるよ。飛び級だなんて凄いね。」

「ちょっと、赤いのって何よ。」

「私は上原歩夢です。せつ菜ちゃんのお友達なんだよね?私とも仲良くしてくれると嬉しいな!」

「……近くで見ると、より一層可愛い……。」

「え?」

「う、ううん、なんでもない!」

 

 

歩夢と握手する時、やたら嬉しそうなマリナ。

もしかしたらファンなのかもしれない。

最後に、侑もマリナに同様に握手を求めて来たが……、

 

 

「初めまして、高咲侑です!えっと……カツラギさん、だったよね?マリナちゃんって呼んでもいい?」

「え……あ、高咲さん……。」

「? どうしたの?」

「えっと……あの……、」

「マリナ、スマホ鳴ってるワよ。」

 

 

何故か侑の時だけマリナは少し握手を渋った。

その時マリナのスマホが鳴り、そこに表示されていたメッセージを見た彼女は、慌ててその場から離れようとした。

 

 

「ご、ごめんなさい!叔父さんが迎えに来てくれたみたい!」

「そうなの?じゃあまた学校で会いましょう!」

「うん、また明日!せつ菜さん、ランジュさん、今日はありがとう!」

「一人で大丈夫ですか?その叔父様のところまでお送りしますが……、」

「本当に大丈夫だから!今日は楽しかったよ!」

 

 

そう言いながらマリナは笑顔でその場から去っていき、出口の近くで彼女を待っていた男性の車に乗せられた。

その場に残された彼女たち……特に侑は、一人だけ握手を出来なかった事に軽くショックを受けてしまった。

 

 

「……もしかして私嫌われてる?」

「そんな事無いと思いますよ。マリナさんは優しい方です!」

「ホント?」

「侑ちゃんが嫌いな人なんて地球上には存在しないよ!!!!」

「歩夢の圧が凄い。」

 

 

 

~~

 

海外製の高級車に、車椅子から降りて乗るマリナ。

その手伝いをしてくれるのは、彼女の叔父。

叔父は運転席へと回ると、キーを回して車を発進させる。

自宅へと向かう際中、彼はマリナに今日の事を訪ねてきた。

 

 

「マリナ、GBNをやっていたのか?」

「うん。あのね叔父さん!私、学校でガンプラ友達が出来たんだよ!」

「そうか……楽しかったか?」

「凄く楽しかったよ!」

「叔父さんのお仕事は?どう?」

「GBNのバグの調査か。それはお前には教えられんな。」

「ゲームマスターなのにケチだなぁ。」

「ゲームマスターだからこそだ。」

「ところで、今日はチャンピオンさんのサインもらってきてくれた?」

「…………すまない。忙しくて忘れていた。」

「えぇ!?また!?何のためにゲームマスターやってるの叔父さん!!」

「キョウヤのサインをもらう為ではない事は確かだ。それに、そういうのは自分でもらってこそ価値があるものだろう?」

 

 

 

車の中で他愛もない会話を続けるマリナと彼女の叔父……カツラギ。

二人が笑い合う中、マリナのカバンの中で、彼女の愛機であるノワールは不敵に瞳を光らせていた。

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第52回:妹にするなら?

エミリア「あら?カザミくんとカルナじゃない。めずらしい組み合わせね。」

カザミ「ようエミリアさん!」

カルナ「そうだ、エミリアさんにも意見を聞きたいんだよ。」

エミリア「何かしら?」

カルナ「ニジガクの中で妹にするなら誰だと思う?」

エミリア「は?」

カザミ「俺的にはやっぱかすみんははずせねぇと思うんだよなぁ……後は璃奈か?」

カルナ「王道だな。1年生と言えばあとはしずくちゃんと栞子ちゃんもいるけど、俺はここであえて侑を推すね!」

カザミ「そ、そう来たか……!侑と言えば歩夢……いや、アイツにはむしろ姉になってほしい所があるな……。」

カルナ「歩夢、彼方、エマは絶対姉だろ。愛とせつ菜は時と場合による。」

エミリア「なんてくだらない話してるのあなた達……というか、姉キャラに果林さんが抜けてるわよ。」

カルナ「何言ってんスかエミリアさん!!果林は圧倒的妹キャラでしょうが!!」

カザミ「大人ぶってんのにいちいち抜けてるところとか実は甘えん坊なところとか屈託のない笑顔はどっからどう見ても妹キャラじゃねぇか!!」

エミリア「うわっ、気持ち悪い……。」

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