ランジュ、今までお前の事わかってやれてなくれごめんな……。
エマにネオジオング使って負ける話とか書いてごめんな……。
部と同好会に分けたまま進めてごめんな……。
ランジュに対する優しさが足りなかったので、これからしばらく食物繊維とランジュを一緒に摂取する生活をはじめるよ……。
でもさすがにこの作品で今から部と同好会を合体させるのもう無理だから次ニジガクで何かやる時にはもっと優しくするよ……。
あと毎回劇場書く時に本編の話数とずれてるせいで投稿の時に『今何回だっけ?』ってなるのめんどくさくてごめんな……。
月曜日の朝、登校中の栞子はとても不安げな表情を浮かべていた。
彼女のカバンにいれられているのは、昨日バイトの給料で購入したサザメスのヘアピン。
歩夢への日ごろの感謝をこめて購入したプレゼント。
これを買った時は歩夢に渡すのが楽しみでしょうがなかったが、今となっては不安の感情の方が勝る。
そもそも突然『日頃のお礼です』と言われながらこんな高価な物を受け取る側は、どんな気持ちになるのか。
感情のまま行動してしまい、肝心な渡す時の事を一切考慮していなかったつけが今になって回って来たのだと、ため息をつきながらトボトボと通学路を歩く。
「栞子さーん!」
「あ……しずくさん、おはようございます。」
「おはよう。プレゼント、ちゃんと持ってきた?」
「はい。カバンに入れて来ています。」
「どうかしたの?顔色悪いけど、風邪?」
「い、いえ……どんな風にお渡しすればいいかわからずに、ずっと悩んでいたらいつの間に朝になってしまっていました……。」
「え!?寝て無いの!?」
「はい……でも大丈夫です。練習や授業中に眠るなんて事は絶対にしません。」
「いや、むしろ寝た方がいいと思うんだけど……練習お休みした方がいいんじゃ……。」
「練習をお休みすると歩夢さんにこれをお渡しする機会が減ってしまいます。」
「それはそうだけど、体調管理は大事だよ?」
よく見ると目の下にクマがある。
メイクで隠そうとした痕跡があるが、完璧に隠せていない。
それだけ思いつめていたと言う事だろう。
「それで、どうやって渡すのか決めた?」
「いいえ……全然決まりません……。そう言えばしずくさんは以前、かすみさんに髪飾りを送った事があるそうですね。その時はどうやってお渡ししたんですか?」
「スクールアイドルフェスティバルの時だね。うーん……お話しするのはちょっと恥ずかしいかなぁー……。」
「そ、そうですか……。」
「でも歩夢さんならどんな形でも絶対に喜んでくれるよ!ここはストレートに『日頃のお礼です!』って渡せばいいんじゃないかな。」
「なるほど。シンプルイズベスト、というやつですね。」
「そうそう。」
なんとかどのように渡すのか決まり、足取りが気持ち軽くなった。
渡すのであれば午前中の朝練の時が好ましい。
それ以降になってしまうと、1年生と2年生であるため時間帯が揃わなかったり、栞子が生徒会の仕事をしたりで予定が合わなくなる可能性もある。
少しでも早く歩夢にこれを渡したいと思いながら歩く栞子の歩幅がだんだん広くなり、歩くスピードが速くなる。
「じゃあ、急ごうか栞子さん。」
「はい!」
~~
学校に到着し、同好会の部室へ向かった時には、珍しくしずくと栞子が最後だった。
他の9人はすでに部室に集まっていたようで、そのうち7人は歩夢を中心に集まっている。
他の二人……かすみと璃奈は何故か冷や汗をかいて部室の入り口付近で縮こまっていて、部室に入ろうとしたしずくと栞子を真っ先に発見した璃奈が、他のメンバーが気付かないうちに部室に入ろうとする二人の入室を阻止しようとした。
「おはようございm、」
「!! ダメ!見ちゃダメ!!」
「り、璃奈さん!?どうしたの!?」
「え、し、しお子来ちゃった!?ど、どうしようりな子ぉ~!」
「今はとにかく、栞子ちゃんを歩夢さんに会わせない事が最優先事項。璃奈ちゃんボード『胃が痛い』」
「あの……何かあったのですか?どうしてお二人ともそんなに慌てているのですか?」
「えっとー……それはそのー……。」
「あ!しずくちゃん、栞子ちゃん、おはよう!」
「おはようございます歩夢さん。あの、実は歩夢さんに………え?」
かすみと璃奈の妨害も虚しく、歩夢達に見つかってしまったしずくと栞子。
二人に挨拶をする歩夢を見て、一瞬栞子は固まってしまった。
プレゼントを渡すのに緊張した……と言う事ではない。
何故なら歩夢の髪型が、いつも通りの見慣れたお団子ヘアーになっていたから。
そしてその髪型を維持するための前髪に、おもちゃの様な安っぽい作りをしたウサギの形のヘアピンが身に着けられていた。
「あの……歩夢さん、そのヘアピンは……、」
「コレ?ウフフ、実は昨日、侑ちゃんにプレゼントしてもらったんだ!」
「ね?可愛いでしょコレ!初めて見た時から歩夢に似合うと思ったんだよね~!」
「そ……そう、なんですね……。」
「やっぱり、子供っぽいかなぁ……?」
「い、いえそんな事は!と、とてもよく……お似合いだと……思います……。」
「だよね!300円の安物だったけど、歩夢が気に入ってくれて良かったー!」
300円。
歩夢が身に着けているのは、侑から300円で贈られたおもちゃの様なヘアピン。
歩夢と話している栞子を見て、しずくは唖然とし、かすみと璃奈は顔を抑えている。
予想外の出来事に、栞子は呆然とする事しか出来ず、歩夢に渡そうと思ってずっと手に持っていたプレゼントの入った袋を思わず握りしめてしまった。
いつもと様子の違う彼女を見て、歩夢と侑が心配そうに顔を覗きこんできた。
「栞子ちゃん、どうしたの?顔色悪いよ?」
「へ!?す、すいません……。」
「アハハ、なんで謝ってんの!ん?その手に持ってるのって何?」
「これは……えっと、朝ご飯代わりに持ってきたクッキーです……気にしないでください……。」
「朝ご飯忘れちゃったの?確かに栞子ちゃん、あんまり寝て無さそうだね。あんまり無理しちゃダメだよ。」
「はい……ごめんなさい……。」
「集合ーーーー!!1年生集合ーーーー!!」
小声で叫びながら、そのまましずくが立ち尽くす栞子と顔をふさいだかすみと璃奈を連れて行ってしまった。
4人はそれから戻ってくる事無く、仕方なく朝練は2年生と3年生だけで始めた。
~~
部室棟から離れた場所で、腕を組んでいるしずく。
そしてその前で座らせられているかすみと璃奈。
プレゼントを持って、しずくの顔を見ながらアワアワしている栞子
ふぅーっと深いため息をついて、しずくはかすみと璃奈に言う。
「どういう事かなー、二人とも……?」
「か、かすみん達だって知らないよぉ!」
「私達は一昨日と昨日、ずっと歩夢さん達とジョイポリで遊んでた。昨日の帰り際までは歩夢さん、ツインテールだった。」
「帰った後に侑先輩がプレゼントしたって事?そんな最悪の偶然ある……?」
「あ……あの、しずくさん……もういいんです……。」
「良くないよ!!だって栞子さん、アルバイトあんなに頑張ってたのに……!」
「本当に……もういいんです……ほら、私達も練習へ行かないと。かすみさん、璃奈さん、私を気遣ってくれてありがとうございました。しずくさんも、ありがとうございます。」
「し、しお子……。」
プレゼントを乱暴に鞄に押し込み、栞子は再び部室へと戻る。
釈然としないしずく達は、3人で顔を見合わせる。
あんなに落ち込んでいる彼女は珍しく、ガンダムの映画が延期した時よりも更に落ち込んで見えた。
当然3人とも友人が落ち込んでいる姿は気分のいい物では無く、特にしずくは栞子が慣れないアルバイトで頑張っていた姿を近くで見ている。
「私、もう少し栞子さんと話してみる。」
~~
同じ頃、スクールアイドル部の部室で練習をしていたランジュとミア。
ランジュの新曲はシナンジュの様に力強く、ミアの新曲はトールギスの様に疾走感のある曲で、二人ともその練習中。
ちなみに当のランジュは『リボーンズの要素も欲しい!』と言っていた。
「やっぱりミアの曲は最高ね!踊っていて楽しいワ!」
「そりゃどうも。っていうかランジュ、最近練習時間少なくなってない?」
「マリナと遊ぶのが楽しくってつい。そうだ!今度ミアも来なさいよ!今日の放課後にマリナとマウンテンパンケーキ食べに行くの!」
「へー、いいじゃん。ただで食べれるなら着いて行こうかな。」
「なら決まりね!」
「ランジュさん!」
「噂をすれば。」
ランジュとミアで放課後の予定を話し合っていると、部室のドアを開けてマリナが車椅子で入って来た。
彼女は持っていたBDのケースをランジュへ渡す。
「これ、約束してたナラティブのBDだよ。」
「ありがとうマリナ!帰ったら急いで見るワ!」
「ゆっくりで大丈夫だよ。」
「このフェネクス?っていうのカッコいいわよね!」
「…………。」
「あら?どうしたのミア?」
「別に……。」
「もしかしてランジュをマリナに取られて寂しいの?可愛いんだからミアは!!」
「はぁ!?何言ってんの!?」
「ランジュさんとテイラーさん、凄く仲良いね。」
「どこが!?」
「そうなのよ!ランジュとミアは親友なの!!」
放課後の約束にミアも連れて行きたいと言う事で、マリナも快く了承。
その時にランジュの提案で、授業が始まるまでマリナにスクールアイドル部の練習を見てもらう事にした。
マリナも凄く喜んでくれて、一人のファンを前にランジュとミアはパフォーマンスを開始。
やはりプロの指導を受けているだけあって、二人とも練習とは思えないほど完璧なパフォーマンス。
それにマリナは目を奪われ、夢中で見ていた。
「はぁ……はぁ……どうだったかしら?」
「凄い!かっこいいよランジュさん!テイラーさん!」
「当たり前さ。なんといっても、ボクが作った曲だからね。」
「他に感想はある?」
「えっと……カッコよかったけど、さっきの曲ならもう少し声量抑えた方が、曲にマッチしてると思う。」
「え?」
「あ……ご、ごめんなさい!素人なのに変な口出しして……、」
「ううん……それはランジュの歌を聞いててボクも思った。」
「マリナあなた……歌詳しいのね!」
「そんな事ないよ。ただ、好きだったから昔勉強しただけで……。」
「勉強って、スクールアイドルの?」
「う、うん……私、昔から好きだったんだ……スクールアイドル……。」
「前にせつ菜と一緒にGBNやった時も言ってたわね。」
笑顔でそう言ったマリナは、『スクールアイドル』と口にするたびに作り物の左脚を抑えていた。
~~
「はぁ~~~~~~~………。」
「会長どうされたんですか!?」
「そんな深いため息をついたら幸せが逃げて行っちゃいますよ!!」
一日中憂鬱な気持ちで授業を受けて、生徒会の仕事をする栞子。
無意識に出てしまった深すぎるため息に、生徒会書記の右月・左月の双子が彼女を心配して両サイドを囲う。
生徒会長印を貰いに栞子の机まで来た副会長も、元気のない栞子の姿を見て少し驚いた。
「どうしたの?また何かあった?」
「副会長……。」
「ここ、会長印貰える?」
「あ、はい。」
机の中から会長印を取り出して書類に判を押していく。
その最中に、副会長は栞子に言った。
「前にも言ったと思うけど、自分の幸せの事もちゃんと考えてね。」
「!? ふ、副会長……私の心が読めるのですか?」
「顔見ればわかるよ。アナタ、結構わかりやすいもの。」
わかりやすい、と言われて少し動揺してしまった。
そこまで態度に出てしまっていたのかと反省。
生徒会の仕事が終わる丁度その時、生徒会室のドアが開かれて、そこから栞子を呼ぶ声がした。
「栞子さん。」
「しずくさん!どうされたのですか?練習なら今日は参加できないと事前に……、」
「ううん、そうじゃなくて。少しお話がしたいなって。時間、いいかな?」
「えぇ、ちょうど今終わったので。それでは副会長、右月さん、左月さん、お疲れ様でした。」
生徒会室の鍵を副会長に預けると、荷物を纏めて栞子はしずくの下へ。
しずくがどこへ行こうとしているのかわからないまま彼女の横に並び歩いていると、少ししてからしずくが口を開いた。
「ねぇ、プレゼントの事なんだけど。」
「また、その話ですか。あれはもういいと言ったではないですか。」
「本当にそう思ってる?」
「えぇ、思っていますよ。」
「……嘘ついてるでしょ。」
「いえ、そんな事は……、」
「目、少し赤くなってるよ。」
「え!?」
しずくに言われて、栞子は慌てて鞄から鏡を取り出して自分の目元を見る。
するとハッとして、少し目を細めてしずくを見た。
「……ひっかけましたね。」
「ウフフ♪栞子さんってわかりやすいなぁ。」
「しずくさんの演技力が高すぎるんです……。」
「けど、本当はこのままじゃ嫌なんでしょ?」
「……私ではきっと、あんな風に歩夢さんを喜ばせる事なんてできません。」
「どうして?」
「………。」
思い出すのは、朝の歩夢の笑顔。
歩夢があんな風に心から嬉しそうに笑う時には、必ず侑の存在がある。
その侑からのプレゼントと自分からのプレゼント、どちらの方が歩夢を喜ばせる適正があるのかは火を見るよりも明らか。
しかも、同じ物を、侑よりも後にプレゼントしたところで、歩夢が喜んでくれるわけが無い。
「値段ではないんです。一番大切なのは歩夢さんの気持ちなんです。たとえ侑さんの贈り物が私の贈り物よりも値の張らないものだとしても、重要なのは誰から贈られたか……私では、侑さんの足元にも……、」
「栞子さん。」
「はい?」
「今の話、もう一つ重要な事が抜けてるよ。」
「重要な事?」
「うん、栞子さん自身の気持ち。」
「私の、気持ち……。」
「本当の自分をさらけ出すのって、凄く難しいと思う。私もそうだったから。でも、そうしなきゃ始まらない事だってあると思う。栞子さんの、本当の気持ちを教えて?」
そう言いながら、しずくは目線を逸らした。
その方向に栞子も目を向けると、そこにいたのは歩夢と侑。
二人ともこれから帰るところらしく、しずくは栞子を二人が帰る前に会わせるためにここまで連れて来てくれた。
二人の顔を見て、思わずグッと胸の前で拳を握る。
「こういう時は、もっとわがままにならなきゃ!それでも難しいのなら、栞子さんなりのやり方があるでしょ!」
「私なりのやり方……はい!」
「行ってらっしゃい!!」
「はい!!見ていて下さいしずくさん、私、きっと成し遂げて見せます!!」
しずくに一礼し、栞子は意を決して歩夢達の下へ急ぐ。
二人がいるのは、しずく達のいる場所から少し離れた昇降口。
帰ろうとしている歩夢と侑の前にやって来た栞子は、緊張しながらも歩夢に詰めよった。
「あ、歩夢さん!!」
「あ、栞子ちゃんお疲れ様。」
「どうしたの?そんなに慌てて。」
「あの……歩夢さん!!少し、よろしいでしょうか!?」
「え?う、うん……何かな?」
「私と、ガンプラバトルしていただけませんか!?私が勝ったら、歩夢さんに聞いていただきたいお願いがあるんです!」
「お願い?」
「えー!?歩夢と栞子ちゃんのバトル!?見たい見たい!!私も一緒にいい?」
「侑先輩空気読んでーーーー!!」
思わず、駆けつけたしずくが大声でツッコミを入れてしまった。
当然、理由など全く知らない侑も歩夢もポカンとしている。
すると栞子は首を横に振り、侑としずくに言う。
「構いません。侑さんもしずくさんも、私と歩夢さんのバトルの行く末を見届けてください。」
~~
GBNへとログインし、それぞれの機体に乗り込んだアユムとしおこの二人。
一緒にログインしたユウとしずくも、レインボーユニコーンガンダムとO-ドリーガンダム・クアトロアトリーチェに乗り込んで安全圏かつ二人のバトルが良く見える場所へと移動。
しばらくして機体メンテナンスを終えたアユムとガンダムブレイブインパルスと、しおこのデスティニーフリーダムガンダムがバトルフィールドとなる市街地エリアへと降り立った。
「アユムさんのガンダム、改めてみるとやはり凄い……インパルスの後継機のデスティニーの方が、性能としては上のはずなのに……。」
いつも模擬戦で相手をするアユムのブレイブインパルス。
ドリームインパルスにガンダムAGE-FXの能力を加えた、性能としては虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会最強のガンダム。
加えてアユムには習得難易度最難関の『SEED』のスキルもある。
正攻法で挑むと、今のしおこでは間違いなく勝てない相手。
「でも、大事なのは……私の気持ち……!私の想いを、歩夢さんに伝える為に、力を貸してくださいデスティニーフリーダム!」
操縦桿を握ると、デスティニーフリーダムは二丁のビームライフルに手を掛ける。
同様にブレイブインパルスもソードファンネルを一つ手に取り、FXレイピアに変形させる。
そしていよいよ、バトルの火蓋が切って落とされた。
「しおこ!デスティニーフリーダムガンダム!!参ります!!」
『アユム、ガンダムブレイブインパルス!!行きます!!』
ヴォワチュール・リュミエールによる光の翼を展開し、一気に空へと飛び立つデスティニーフリーダム。
しおこの最も得意とするのは、フリーダムガンダム由来の射撃戦闘であり、ブレイブインパルスの前機であるドリームインパルスが不得手としていた戦法。
同好会の仲間であるエマのヴェルデブラストには無い利点として、デスティニーフリーダムはデスティニーとフリーダムの二機のスラスターを搭載しているため姿勢制御に優れ、飛び回りながらの正確射撃が可能。
本来接近戦用であったブレイブインパルスを翻弄しながら、飛び回るデスティニーフリーダムはビームライフルでブレイブインパルスへの照準を定める。
「捉えました!!」
『! ソードファンネル!!』
引き金を弾き、ブレイブインパルスへと射撃。
しかしブレイブインパルスは咄嗟にソードファンネルを前面に展開し、、デスティニーフリーダムの攻撃を全て受け止めた。
「対応が早すぎる……これが『SEED』の力……!」
『今度はこっちから行くよ、しおこちゃん!』
攻守が変わり、今度はブレイブインパルスが攻める。
デスティニーフリーダムの周りに9本のソードファンネルを展開、それで彼女を追い詰める。
当然しおこもそれを受けるわけには行かず、光の翼を最大展開し、逃げながら追ってくるソードファンネルをコレクションアロンダイトで叩き落とす。
だが、デスティニーフリーダムの使うコレクションアロンダイトは、ボランティアの時の子供から貰ったコレクションシリーズの無改造の物であり、完成度で言えば単純なHGの素組み以下の性能しか持ち合わせていない。
そんな武器でブレイブインパルスのソードファンネルを叩き落とすと、当然すぐにガタが来てしまう。
「これがブレイブインパルス……ドリームインパルスの時の様な接近戦特化では無く、遠距離戦闘の適正まで完璧です……。」
『えへへ、褒めてもらえると嬉しいな。』
やはり戦力差は圧倒的。
自由自在に動く10機のソードファンネルを持つオールレンジ対応のブレイブインパルスと、遠距離戦をメインとする射撃型のデスティニーフリーダム。
そしてアユムには超人的な反射神経を得る特殊スキル『SEED』があるが、しおこには何もない。
性能でもパイロットの技量においても、万が一にもしおこに勝ち目が無いのは明らか。
それでも、デスティニーフリーダムの瞳に宿る決意の光は本物だった。
「やっぱりアユムさんは強い……。」
「アユムから聞いたんだ。あのブレイブインパルスは、バンシィ・ノワールで荒れてた私と仲直りするために作ったんだって。」
「それなら強いのも当たり前ですね……だけどユウ先輩、しおこさんだって負けませんから。栞子さん、このために頑張って来たんです……絶対絶対負けませんから!」
ソードファンネルをやり過ごしても、次に相手をしなければならないのは肝心なブレイブインパルス本体。
そもそも、ソードファンネル自体、デスティニーフリーダムを仕留める為に放たれた物では無く、あくまでアレはしおこをアユムの最も得意とするレンジにおびき出すための作戦に過ぎない。
それにまんまとはまってしまったしおこは、ボロボロになったコレクションアロンダイトを抜き取り、FXレイピアで斬りかかって来たアユムのブレイブインパルスを相手取る。
『しおこちゃん、今私の作戦にわざと乗ったでしょ?』
「えぇ。私の気持ちを届ける為には、あなたの一番得意なレンジで戦わなければなりません!」
『しおこちゃんの気持ち……?だったら、私だって本気でいくよ!』
ブレイブインパルスが手をかざすと、ソードファンネルが一斉にデスティニーフリーダムへと襲い掛かった。
対するデスティニーフリーダムは、全ての銃口をそちらへと向け、エネルギーを充填。
「ハイマット……フルバースト!!」
『ソードファンネル!!』
デスティニーフリーダムのハイマットフルバーストと、ブレイブインパルスのソードファンネルがぶつかり、激しい風圧がその場にいる全員を襲う。
しおこの最大出力攻撃により、全てのソードファンネルが落とされたかのように見えたが、現実はそうはいかない。
それを逃れたたった一機のソードファンネルが爆風の中から姿を現し、デスティニーフリーダムへと襲い掛かった。
当然、これを受けてしまえばしおこは敗北してしまう。
コックピットの中で、迫りくるソードファンネルを見つめながら、しおこは操縦桿を握る手に力を込めた。
『SEED』
その瞬間、しおこの中で、何かが割れるような感覚がした。
更に、彼女の瞳のハイライトが消え、そのままデスティニーフリーダムは襲い掛かるソードファンネルに手を伸ばす。
掌からパルマフィオキーナを放ちながら、なんと彼女はソードファンネルをそのまま掴んでしまった。
「この感覚は……デスティニーフリーダム……あなたが……?」
無意識のその行動に、もっとも驚いたのはしおこ自身。
当然、ガンプラであるデスティニーフリーダムは彼女の問いには答えない。
掴んだソードファンネルを握ったまま、デスティニーフリーダムは光の翼を最大展開して爆煙を突き破り、ブレイブインパルスへと迫った。
煙幕でメインカメラを遮られているブレイブインパルスは急接近するデスティニーフリーダムに気づくことが出来ず、気が付いた時には自身のソードファンネルを首元に押し当てられていた。
『なっ……!?』
「アユムさん……私は……あなたに!!」
『エクシードバースト……いや……。』
ソードファンネルを突き立てられ、そのまま機体を切り裂かれたブレイブインパルス。
機体が機能停止する寸前、アユムはすでに操縦桿を握っていなかった。
「はぁ……はぁ……か……勝った……?」
「栞子さん!!」
「しずくさん……私は……。」
~~
バトルを終え、ログアウトした4人。
約束通り、栞子のお願いを聞く事になった歩夢は、侑と一緒に彼女の下へ。
「アハハ、負けちゃったぁ。強くなったね、栞子ちゃん!」
「歩夢さん……わざと負けましたよね……?」
「え?」
「最後のとどめの時、あの時にエクシードバーストを使っていれば勝てたはずです。実際、あなたは最初そうしようとしていました……何故、私を勝たせようと思ったんですか?」
あの最後の瞬間、歩夢はエクシードバーストモードの発動は間に合うはずだった。
だがあえて歩夢はそれをしなかった。
「うん……栞子ちゃんが、そこまでして私に聞いてほしいお願いってなんなのかなって。」
「だから、わざと……?」
「ううん、そうじゃないの。負けちゃったのは本当だよ。」
「どういう事ですか?」
「栞子さん、気付いてなかったの?」
「しずくさん?」
「栞子ちゃん、ダイバーギア、確認してみなよ。」
侑としずくにそう言われ、栞子はダイバーギアのデータを確認。
するとそこには、自分のステータスの今まで空白だったスキルの項目に、はっきりと『SEED』と刻まれていた。
歩夢も持つ、GBN習得最難関スキルの一つを、栞子は会得していた。
「確かに同じ『SEED』持ちだったら、あの状況なら基礎性能の高いデスティニーベースの栞子さんに軍配が上がりますね。」
「だから、私は勝つ事じゃなくて栞子ちゃんのお願いを聞く事の方を選んだんだよ。」
「そうだったんですね……。デスティニーフリーダムが、私に力をくれたんですね。」
頑張って戦ってくれた自分の相棒を手に取り、お礼を言う栞子。
心なしか侑には、デスティニーフリーダムが嬉しそうに見えた。
デスティニーフリーダムは応えてくれた……次は自分の番だと意気込み、栞子は歩夢の前に立つ。
彼女は鞄からグシャグシャになってしまったプレゼントの包みを取り出すと、恐る恐る歩夢の前に出した。
「歩夢さん、約束のお願いです。これを……受け取ってはいただけませんか……?」
「え?お願いって、コレの事?」
「はい……ダメ、でしょうか……?」
栞子から受け取った包みを開けると、中から出てきたのはリボン型の飾りが特徴的なヘアピン。
包みはボロボロになっていたが、中身は無事で、それは歩夢の手の中でとても美しい光を放っている。
その美しさに、歩夢は思わず目を奪われてしまった。
「綺麗……!でも、なんで私に?」
「歩夢さんは、私が同好会に入部する前から、私の事を気にかけてくれていて、生徒会長としての仕事が上手くいかずに他の部の方に迷惑をおかけした時も、初めての練習の時も、ライブの時も、部の騒動の時も……あなたはずっと、私の心を支えてくれていました……なので、そのお礼がしたくて……。」
「でもこれ、高かったんじゃない?」
「いえ、そんな事ありませんよ。ガンプラと同じぐらいの値段です。」
確かにガンプラと同じぐらいの値段なのは間違ってはいない。
ただし、MGEXという途轍もなく高価なガンプラとの比較ではあるが。
「ごめんなさい……侑さんのプレゼントと被ってしまいましたが、どうしても私はそれを歩夢さんに受け取ってほしかったんです……!こんなわがままを聞いていただくには、歩夢さんにガンプラバトルで勝つしかないと思って、それで……!」
「わがままなんかじゃないよ、栞子ちゃん。私、すっごく嬉しい!」
「! 歩夢さん……!」
しずくの言った通りだった。
歩夢なら、どんな形でも絶対に喜んでくれる。
この笑顔を見ると、侑に先を越された事で悩んでいた自分が馬鹿らしく思えてきた。
思わず振り返ると、しずくが笑顔で栞子にピースを送ってくれていた。
「えへへ、見て見て侑ちゃん!栞子ちゃんからのプレゼント~!」
「えー、いいなー。」
「さっそくつけちゃおう!」
「あ、私からのプレゼントのヘアピン外したー!」
「今日は栞子ちゃんの気分なの!どうかな?似合う?」
早速プレゼントのヘアピンを付けて、栞子に見せてくれた歩夢。
その姿を見て、栞子は本心から彼女に言った。
「とても……お似合いです、歩夢さん!」
「栞子ちゃん、この後時間あるかな?良かったらもう少し二人で遊んで行かない?」
「二人で、ですか?」
「私はー?」
「侑先輩、この先にものすごく辛~~い担担麺のお店があるんです。行きますよ。」
「え?強制?あ、ちょっとしずくちゃん待って制服ひっぱらないで~!」
しずくに引き摺られ、立ち去って行く侑としずく。
最後の最後まで栞子をフォローしてくれたしずくにも今度お礼をしなければ。
二人が去ってから、歩夢が栞子に手を差し伸べる。
「行こう、栞子ちゃん!」
「……はい!楽しみです!」
この人の後輩で、友人で、仲間で良かった。
栞子はそんな事を思いながら、歩夢と共に人ごみの中へと消えて行った。
~にじビル毎回劇場~
第55回:打倒、マウンテンパンケーキ
ランジュ「さぁ!食べるわよミア!マリナ!」
マリナ「す、凄い……。」
ミア「この大きさはさすがにクレイジーだね……。食べきれるかな……。」
ランジュ「大丈夫、かすみからコツを聞いてきたわ。」
マリナ「そうなの?」
ランジュ「えぇ!ひたすら食べるっていうのがコツらしいわ!」
ミア「コツとは。」
~間~
ランジュ「うっぷ……。」
ミア「無理……無理ぃぃぃ……!」
ランジュ「え?嘘でしょ?まだ半分も食べてないわよ?かすみ達は3人でもクリアできたのに!?」
ミア「あ。」
ランジュ「なに?」
ミア「今、倍増キャンペーン中だって。」
ランジュ「このボリュームでそんな事してこの店赤字にならないの?」
マリナ「う~ん♡美味しい!」
ランジュ「え……マリナ平気なの?入るの?」
マリナ「うん。美味しい物はいくらでも食べられちゃう!」
ミア「君のその体のどこにその量が入るんだ……!?かすみと体型ほとんど変わらないのに!?」
マリナ「だって美味しいんだもん!」
ランジュ「アタシ達も負けていられないワ……行くわよ、ミア!!今こそ限界を超える時よ!!」
ミア「もう二人だけで勝手にやってくれ……。」