ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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ユニコーンガンダム(侑)とインパルスガンダム(歩夢)が凄く悪そうなバンシィっぽいやつと戦うので、SDガンダムワールドヒーローズは実質ニジガクビルドダイバーズ。

新OPの黒幕っぽいやつってバンシィだよね?




ヴェルダー襲来

マナーを守らないダイバーというのは、やはりどこに行っても存在する。

たとえば不正なパーツの売買を行う者や、初心者の浅知恵に付け込んで安価なパーツを高額で売りつける者、ブレイクデカールなどのチートツールに頼る者など。

そんな彼らを真っ当な道へ導くのが、正義の味方キャプテン・ジオンや、百鬼のドージの使命。

だが、もちろん彼らだって四六時中GBNを見張っているわけでは無く、その体は一つなので全てのチーターへの成敗が行き届いているわけでは無い。

 

 

「うわっ!?」

『おいおいお兄さんよぉ……これっぽちのビルドコインで、舐めてんのかい?』

「か、勘弁してくれよぉ!!だいたい、あのパーツは不良品で……!」

『あぁん!?俺らがおたく騙してるとでもいいたいのか、あぁ!?』

「ひぃぃ!!」

 

 

この様に、キャプテン・ジオンやドージの目を盗んで集団で初心者相手にせこい商売をする輩は多数いる。

せいぜい数千ビルドコインで購入できるパーツの不良品を、初心者に高額で売りつけ、搾れるだけ絞り取ろうとする悪質な詐欺フォースだ。

リーダーの使用しているガンプラは原型がわからなくなるまで改造したトールギスと、仲間はリーオー。

対する初心者ダイバーのガンプラはSDガンダムの黒龍頑駄無。

黒龍頑駄無は同じシリーズのガンプラや、リアルタイプへ変形できるガンプラと組み合わせた時に真価を発揮できるが、今の彼にはそんなものは無い。

 

 

『払えるもんが払えないってなると……どうなるかわかってるよなぁ?』

「そ、それは……、」

『初心者のお兄さんに、俺達がGBNのルールってやつを、教えてやるよぉ!!』

 

 

そうして、黒龍頑駄無へと武器を振り下ろすトールギス。

しかし、その攻撃は黒龍頑駄無へは当たらなかった。

突如として割り込んできた一体のMSが、その攻撃を手で掴んだからだ。

 

 

 

『なっ……!?なんだテメェは!?』

「初心者相手の卑劣な行為……一ダイバーとして、見過ごすわけには行かない。」

『チッ!お前ら!!やっちまうぞ!!』

 

 

トールギスがリーオーたちと共に、助けに入ったMSへと一斉に襲い掛かる。

しかし、その攻撃を全て、そのMSは紙一重で躱す。

そして手にしたハンドガンをリーオーたちの胸に押し当て、その胸を貫く。

あっという間に仲間を倒したそのガンプラ……ブルデュエルガンダムをベース機とした『ヴェルデュエルガンダム』は、最後に残ったトールギスにズンズンと迫る。

 

 

『つ……つえぇ……!?なんだよコイツ!?』

「私は、GBNをこよなく愛する、愛の戦士だ。」

『意味わかんねぇよ!!』

 

 

最後にそう言い残したトールギスの顔面に、ヴェルデュエルガンダムの渾身のパンチが炸裂した。

詐欺フォースを全滅させたヴェルデュエルガンダムは黒龍頑駄無へと手を差し伸べると、彼を起こし上げる。

双方コックピットから出てくると、ヴェルデュエルガンダムから降りてきた黒ずくめの男に、初心者のダイバーは深々と頭を下げてお礼をした。

 

 

「あ、ありがとうございました!」

「気を付けたまえ。GBNには彼らの様な非常識なダイバーが後を絶たない。君も、健全なガンプラバトルを行いたければそういう物を見分ける為の目を養いなさい。」

「は、はい!あの……何かお礼を……、」

「気にしなくていい。……いや、そうだな、ならば少年、彼女に見覚えはないか?」

「彼女?」

 

 

そう言いながら、男が見せてきたのは10代後半の少女の顔。

そばかすが特徴的な美少女であり、初心者ダイバーはその顔には見覚えがあった。

 

 

「あ、この子って虹ヶ咲のスクールアイドルの子ですよね!」

「ほう、知っていたか。」

「エマちゃんっていう子で、ボクも大ファンなんです!あなたもエマちゃんのファンなんですか?」

「う、うむ……。」

「この子のバトルを見て、ボクもガンプラバトルを始めたんです。本当に可愛いですよね、エマちゃん!」

「当たり前だ!!!」

 

 

 

何故か誇らしげな男。

当然、初心者ダイバーはエマの居場所などは知らないが、近々フォースバトルをやるという情報だけを男に教えて、別れる事となった。

男が愛機のヴェルデュエルガンダムに乗り込むと、初心者ダイバーは最後に彼に尋ねた。

 

 

「あの!お名前は、何というんですか!?」

『私の名前か。名乗るほどの者ではないが……ヴェルダー卿と名乗らせてもらおう。』

 

 

ヴェルダー卿と名乗るその男は、ヴェルデュエルガンダムで去る際、初心者ダイバーに言い残した。

 

 

 

『アリーヴェデルチ!!』

 

 

 

 

~~

 

 

鉱山エリアで、敵機の猛攻をその身で受けるニジガクのガンプラ……りなこのAEドム。

電動フレームをフル稼働させ、アブソーブシステムで相手フォースのZガンダムのビームライフルを凌ぎ、味方への活路を切り開く。

AEドムの後ろから、ザクみんが小柄の体格を生かした身軽な動きで崖の壁を駆け巡り、相手のZガンダムをザクみん刀で頭から切裂いた。

 

 

『よし!』

『やったねりなこ!』

『まだまだ次がくるよ~!』

 

 

この程度で、Zガンダムはまだ倒れなかった。

頭を破壊されても、何故か転がっていたザクIIの頭を拾い上げて、自分の頭に装着。

メインカメラを取り戻したZガンダムは、駆けつけた百式とメタスと共に、ザクみんとAEドムへと襲い掛かる。

3対2では分が悪いが、その時、崖の上からカナタのガンダムビヨンドバルバトスリベイクが降りてきて、ザクみんに襲い掛かるZガンダム(ザク頭)のビームサーベルをメイスで受け止めた。

 

 

『カナタ先輩!』

『あとはよろしく二人とも~!』

『ドムちゃんメガランチャー!!』

 

 

掲げたメガランチャーを構え、メタスへと放つAEドム。

それの直撃受けたメタスはその場に倒れ、やがて動かなくなってしまった。

百式の相手を引き受けたザクみんは、魔殺駆罠へと合体していない事もあり、さすがにパワーでは百式に劣ってしまう。

 

 

『ちょちょちょーっと待って下さい!!うえーん!助けてりなこーーー!!』

『カナタちゃんが助けるよ~!』

 

 

百式をメイスで殴り飛ばし、ビヨンドバルバトスがザクみんを救出。

その間にAEドムがザクみんを背負い、緊急離脱。

その後を、Zガンダムが追おうとするが、ビヨンドバルバトスがそれを食い止める。

 

 

『りなこ!りなこが『アレ』やりたいっていうからヤミちゃん置いてきたんだよ!?まだ出来ないの!?』

『うーん……もしかしたら、かすみんちゃんのザクみんとは構造が合わないのかもしれない……。アイさんの愛参頑駄無となら上手くいったんだけど……。』

『えー!?何それーー!!だったらヤミちゃん持って来れば良かったよ~!!』

 

 

逃げるAEドム達。

すると、彼女たちの下へ、吹っ飛ばされたビヨンドバルバトスが倒れ込んできた。

慌てて後ろを振り返ると、そこにはZガンダムと百式、そして相手フォースのリーダー機と思われる重装甲のMS……フルアーマーZZの姿が。

 

 

『ふ、フルアーマーZZ!!』

『ちょ、超強そうじゃん!!』

『いってって……カナタちゃん、ちょ~っと油断しちゃったな~……。』

 

 

カナタ達がやって来たのは、鉱山エリアの端も端……巨大な壁に道を阻まれた場所。

いわゆる、行き止まり。

正面には壁、後方にはZガンダム、百式、そしてフルアーマーZZ。

本来であれば、この状況は絶体絶命と言えるのだろう。

だが、コックピットの中で、カナタはにやっと笑う。

 

 

 

『んっふっふ~……実は、追い詰められたのはあなた達の方だったりして~。』

 

 

 

カナタがそう言うと、慌ててZガンダムが振り返った。

すると次の瞬間、上空から放たれたビーム砲がZガンダムのザク頭を貫き、Zガンダムがその場に倒れる。

それに驚いた百式が後ずさるが、そこへビヨンドバルバトスとAEドムのダブルパンチが炸裂し、百式はふっとばされた。

残されたフルアーマーZZの後ろに、上からエマの操るヴェルデブラストガンダムが現れた。

 

 

 

『え、エマせんぱぁい!!』

『作戦通りだね、エマちゃん。』

「うん。自分たちが追い詰めたと油断させておいて、逆に相手を追い詰める。戦場での油断は命取りなんだよ。」

 

 

 

抵抗するフルアーマーZZが、周りが山に囲まれているにもかかわらず、16連ミサイルポッドを放ってきた。

至近距離の攻撃が、全てヴェルデブラストを襲う。

だが、その時にカナタのビヨンドバルバトスが『阿頼耶識システム』を発動し、そのミサイル全てをメイスで薙ぎ払い、自分たちのいる場所とは別の場所で爆発させた。

 

 

「ありがとう、カナタちゃん!」

『いえいえ~。』

 

 

ミサイルがダメならと、フルアーマーZZは腹部のハイメガキャノンをヴェルデブラストへと向けた。

しかし、ヴェルデブラストとフルアーマーZZの間に現れたザクみんがザクみん刀をフルアーマーZZのハイメガキャノンへと突き立て、発射を食い止める。

驚いたフルアーマーZZを、AEドムが羽交い絞めにして身動きを封じる。

 

 

『エマさん!お願い!』

「うん!行くよ、ヴェルデブラストガンダム!!」

 

 

ロングライフルをフルアーマーZZへと向けたヴェルデブラスト。

脚は拘束されていない為、ヴェルデブラストを蹴りあげようとするが、ヴェルデブラストはそんなフルアーマーZZの脚を自分の脚で踏みつけ、完全に動きを封じてしまった。

 

 

『チャオ。』

 

 

バンッ!!という乾いた音と共に、頭部に風穴が開き、崩れ落ちるフルアーマーZZ。

ニジガクの勝利を告げるアナウンスが流れ、今回のフォース戦は、エマ率いる虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の圧勝で幕を閉じた。

 

 

 

~~

 

 

「お疲れ様皆!エマっちやっぱ強いね~!」

「アイ先輩聞いてくださいよ!!りなこってば折角かすみんがヤミちゃん置いてきて準備してたのに、アレ出来ないって言うんですよ!!」

「あれ?りなりー、アイさんとは出来たよね?」

「レジェンドBBベースのかすみんちゃんのザクみんとは構造が複雑で出来なかったみたい……電動フレームとの両立、難しい。次やる時までには見直してくるね。」

「お願いね!!」

 

 

りなこのAEドムの新機能に対してかすみんが文句を言う中、試合を終えたエマとカナタも自分のガンプラから降りて戻って来た。

それを同好会メンバーが出迎える。

 

 

「さすがねエマ、カナタ。」

「えへへ~♪また勝っちゃったよ~♪」

「カリンちゃん褒めて~。」

「はいはい、偉い偉い。」

「あの作戦を考えたのはエマさんですか?」

「ううん、あれはかすみんちゃんの作戦だよ。」

「なるほど……相手を油断させておいて罠にはめる……実にかすみんさんらしい姑息な手ですね。」

「ちょっとしずこぉ!!」

 

 

いつものかすみんとしずこのやり取りに皆で笑っている間に、ユウとりなこが報酬を受け取る。

フォース戦で勝利すれば通常ミッションよりも多目のダイバーポイントとビルドコインが手に入る為、そのポイントを確認しながらユウは『おぉ!』と声を上げた。

 

 

「いい感じに貯まって来たね!」

「でも、フォースネストを買うにはこれっぽっちじゃ全然足りない……。りなこちゃんボード『世の中金』」

「けど、フォースネストはどうしても欲しいよね。GBNで自由にライブするための場所が絶対に必要だもん!」

「ステージ付き、楽屋付き、観客席付きのフォースネストとなると、かなり高そうだよね……私達の全財産かき集めても全然足りないもん。」

「もっと効率的にビルドコインを手に入れるため、ロータスチャレンジに挑んでみるのはどうでしょうか?」

「面白そうだけど、ハードルはめっちゃ高そうだよね。あれクリアしたフォースってまだ5チームもいないんでしょ?」

 

 

現在、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の目的は、フォースネストの入手。

毎回彼女たちはGBNでライブをする際、どこかのイベントに呼んでもらう必要がある。

それではライブを出来る時間や回数も限られているので、自由にライブを行える場所が必要だった。

年明けに予定している部との合同ライブも、フォースネストがあればそこで自由にパフォーマンスが出来る。

ゆえにさまざまなミッションやフォースバトルでビルドコインを稼いでいるが、女子高生が家を買うようなものなので、中々目標金額までは集まらない。

 

 

「お金を稼ぐのはとても大変な事なんです、甘く見てはいけませんよ。」

「自分がちょーっとバイトした事あるからって……。」

「まぁまぁかすみんちゃん、しおこちゃんの言う通りだよ。地道にコツコツと、頑張ろう!」

「それじゃあライブまでに間に合わないですよ!」

 

 

 

「やぁ、君たち。」

 

 

 

「「「?」」」

 

 

揉めていると、彼女たちを呼ぶ声がした。

声のした方を見て見ても、誰もいない。

だが目線が誰よりも下にあるしおこは、その声の存在にいち早く気が付いた。

 

 

「あ……ロンメル大佐!」

「久しぶりだね。先ほどの試合、見させてもらったよ。」

 

 

そこにいたのは、フェレットの様な姿をしたベテランダイバー、フォース『第七機甲師団』のリーダーを務める智将ロンメル。

彼は定期的にこうして他のフォースのバトルを偵察に来ては、その能力を研究している、

ニジガクのフォースバトルに来たのも1度や2度では無いが、直接会うのはヒロト達とのフォース戦以来となる。

 

 

「順調に腕を磨いているようだね。その調子で励みたまえ。」

「ありがとうございます。あの……撫でてもいいですか?」

「ちょ、りなこ……。」

「ハハハ、構わんよ。撫でられるのには慣れている。」

「やった!」

 

 

りなこに揉みくちゃにされるも、まんざらでは無いロンメル。

それを見て、うずうずしたアイとカリンも参加。

ダンディな声のフェレットが女子高生に撫でられているというシーンは、いつみても滑稽だ。

 

 

「時にエマくん。」

「は、はい!なんですか?」

「君が腕利きだと言う事は重々承知ではあるが、あのような行為はやはり関心しないな。」

「あのような行為……?」

「とぼけなくてもいい。君とはAVALON時代からの付き合いだからね。正直に話してもらって構わんのだが。」

「ごめんなさい大佐、私何の事だかわからないんだけど……。」

「あくまで白を着るつもりかね?君がチートダイバー達の前に現れて、不正行為を罰しているのはもうわかっているんだよ。」

「えぇ!?私、そんな事してないよぉ!?」

 

 

 

ロンメルが何を言い出すかと思えば、エマにとっては全く身に覚えのない行為だった。

そもそもニジガクはバンシィ・ノワールに狙われているため、そんな事をやっていたら藪蛇だろう。

エマ以外の10人も何も知らないが、それ以上に身に覚えのない事を言われるエマはとても困り果てた。

 

 

「まぁ……隠し通すつもりならばそれでも構わないが、危険な行為には変わりない。ここは運営やキャプテン・ジオンに任せていた方が賢明な判断だと思うよ。だいたい、そのせいで最近キャプテン・ジオンの活躍が……(ブツブツ」

「ロンメルさんどうしたの?りなこちゃんボード『はてな?』」

「何でもない。」

 

 

ロンメルがそう言いながら見せてきたのは、確かに不正ダイバーと戦うエマの姿が映った写真。

しかしダイバールックは今のエマでは無く、少し前まで使用していたアバター『ヴェルダー卿』の姿だった。

それを見たエマは息を呑み、首を横に振る。

 

 

「これ、ヴェルダー……?確かにエマの前の姿だけど……。」

「! これ……もしかして……!」

「エマちゃん?」

「ごめん皆!私、行ってくる!」

 

 

そう言うと、慌ててエマはヴェルデブラストガンダムに乗り込み、その場から離れる。

その後を追う為、空中機動に優れたアユムのガンダムブレイブインパルスとアイの愛参頑駄無に残りの10人全員が乗り込み、ヴェルデブラストを追いかけた。

 

 

当然だが、コックピットはものすごく狭かった。

 

 

 

 

 

~~

 

 

ヴェルデブラストガンダムに乗り、エマは周りを見渡す。

しかし、目的の人物は発見できず、少し落ち込み気味に。

それでも諦めずに探していると、エマが何かを発見し、その方向へと向かって走っていく。

 

 

「え、エマっちどこ行くんだろ!?」

「ひゃあっ!?し、しずこさん!尻尾を掴まないでください!!」

「私じゃないよ!かすみんさんでしょ!」

「かすみんでもないよ!りなこじゃないの!?」

「しおこちゃん、自分で自分の尻尾掴んでるよ。」

「え。」

「皆狭いんだから静かにしろーい!!」

 

 

賑やかな4人を引き受けてしまい、フラフラと飛ぶ愛参頑駄無に対し、比較的落ち着きのあるメンツが乗り込んでいるブレイブインパルスがヴェルデブラストへと追いついた。

ヴェルデブラストが駆けつけた先にいたのは、初心者ダイバーと思わしきガンプラを、大勢で囲むトールギスとリーオーたち。

ヴェルデブラストは初心者ダイバーとトールギス達の間に割って入り、初心者ダイバーを守るように手を広げた。

 

 

「あなた達!何をしてるの!?」

『チッ……んだよまた邪魔が入ったよ……別にー?お姉さんには関係ないんですけどー?』

「関係あるよ!皆が楽しむGBNで、大勢で一人をいじめるなんてしちゃダメだよ!」

『あー、もういちいちうるせぇなぁー……商売の邪魔だからとっとと失せろよ!!』

 

 

 

 

『いや、失せるのはお前たちの方だ。』

 

 

 

 

『! あ、あれは……!』

 

 

ヴェルデブラストへと襲い掛かろうとしたトールギス。

しかし、そのトールギスの拳を、何者かが掴んだ。

それにいち早く気が付いたカリンが、ブレイブインパルスの中からその人物を見る。

 

ベース機はブルデュエルガンダムだが、装甲の所々がエマのヴェルデブラストガンダムによく似たMS。

 

そのガンプラ……ヴェルデュエルガンダムがトールギスの腕をつかみ、彼を背負い投げた。

地面に背面から倒れたトールギスの胸倉を掴み、今度は顔面を殴り飛ばす。

 

 

『どうやら、先日あれほど注意したにもかかわらず、まだ懲りてないようだな。』

『ゲッ!?おっさん……まさかこの前の……!?』

『エマ、何をしている。武器を構えろ。』

「あなたは……、」

 

 

『エマさん!この人は私が安全なところまで連れて行きます!』

 

 

見上げると、すでにブレイブインパルスが初心者ダイバーを救助しており、その場に残ったのはトールギスとリーオー、そしてヴェルデブラストガンダムとヴェルデュエルガンダムのみ。

ヴェルデュエルガンダムが拳を構える。

近接格闘戦に優れたブルデュエルを、さらに発展させ、拳一つで戦う為に改造された超近接特化型MSヴェルデュエルガンダム。

ヴェルデュエルがトールギス達へと突っ込み、それを後方からヴェルデブラストが援護。

ヴェルデブラストへ近寄って来た敵も、仕込みのビームサーベルで切り刻み、二体は初めて出会ったとは思えない連携で詐欺フォースの集団を圧倒。

 

 

ものの数分もしないうちに敵は全滅し、戦闘が終わると同時にヴェルデュエルとヴェルデブラストからエマたちが降りて、続いて着陸したブレイブインパルスと愛参頑駄無からもようやく同好会メンバーが解放された。

 

 

「あの人……ヴぇ、ヴェルダー……!?」

 

 

ヴェルデュエルから降りてきたダイバーを見て、カリンが驚く。

体格のいい、黒ずくめの男性の姿をしたダイバーであり、その姿が紛れも無くエマが以前使用していたAランクダイバー『ヴェルダー』のもの。

懐かしい姿に嬉しさと不気味さを同時に覚えるが、彼は降りてきたエマをジッと見据えたまま同好会のメンバーに視線を移さない。

しばらくの間、エマとヴェルダーが互いを見つめ合うと、エマの顔がパァッと明るくなり、ヴェルダーに抱き着いた。

 

 

「エマ!!」

「わー!まさかこんな所で会えるなんて思わなかった!!嬉しいよ~!!」

 

 

「「「「!!?」」」」

 

 

「え、えええエマ先輩!?ななな何してるんですかぁ!!」

「エマさんコレは生徒会長として見過ごせません!!」

「まさかエマさん、年上趣味だったなんて……でも確かに面倒見のいい人ほど、包容力のある年上に惹かれるってことも……いや、でも相手の素性はわからないんだから、リアルでは若いって可能性もありますね……。」

「りなこちゃんボード『スキャンダル』」

「いや、どう見てもそういうんじゃ無さそうだから。落ち着け、一年。」

 

 

アイが呆れた顔で1年生4人を落ち着かせていると、エマがヴェルダーを連れて彼女たちの下へとやって来た。

やはりどう見てもカリンのよく知るヴェルダーのダイバールックそのままで、違うと言えば乗っている機体がヴェルデブラストでは無くヴェルデュエルという点のみ。

そして、エマは嬉しそうに皆にヴェルダーを紹介した。

 

 

 

「皆にも紹介するね!この人、私のお父さんなんだよ!」

「え……お父さん……?」

 

 

 

そう言えば聞いた事がある。

ヴェルダーのアバターは、元々エマの父親が使っていたアカウントだったと。

彼女の父がダイバーギアを新規で登録しなおす時、使わなくなったアカウントをそのままエマが使っていた。

つまり、目の前にいる男こそ正真正銘、『本物のヴェルダー卿』というわけだ。

 

 

「初めまして、エマの父です。娘がいつも、お世話になっています。」

「い、いえ、こちらこそ……。」

「カリンちゃんの場合はお世話されてるんだもんね~。」

「カナタ!!」

「君がカリンちゃん、そして君がカナタちゃん……娘の手紙でいつもお話しは聞いています。」

「ど、どうも……。」

 

 

 

恐る恐る握手するカリンとカナタ。

続いて同好会を代表してユウも握手。

セツナとアユムがヴェルデュエルガンダムを見上げるが、完成度は途轍もない。

 

 

「凄い……強そう……。」

「エマさんはお父様の影響でガンプラバトルを始められたそうですね。」

「うん!昔、お父さんがお友達と会う為に私を日本に連れて来てくれた事があってね!その時に夏祭りで買ってもらったバスターガンダムが、今のヴェルデブラストなんだよ!」

「ヴェルデブラストはヴェルデバスターガンダムでは無く、バスターガンダムの改造機だったんですね!確かに、ヴェルデバスターにしては武装が少な目だとは思っていましたが……。」

「お父さんのガンプラも、その時に作り直したやつなの。同じ部品で改造したから、外装が似てるんだ!」

「お父さんと仲が良いんですね、エマさん!」

「うん!あ、ところでお父さん、どうしてここに?なんでわざわざ前のダイバールックで来たの?」

 

 

改めて、父 ヴェルダー卿へ聞いたエマ。

ヴェルダーは『うむ』と顎に手を当てると、ヴェルデブラストを見上げる。

 

 

「このダイバーギアにはヴェルデブラストが登録されている。お前を探すのには好都合だと思ったんだ。」

「そうなの?だけどどうして?急いでるならメールでも良かったのに。」

「いや、こういうのは直接会って話そうと思ったんだ。エマ。」

 

 

エマに再び向かい合うヴェルダー。

そして、彼の口から次に出た言葉は、エマにも、同好会の他のメンバーにも、予想もつかない言葉だった。

 

 

 

「エマ、スイスへ帰るぞ。」

「…………え……?」

 

 

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第56回:メガネ装着の儀

栞子「…………。」

左月「右月、そっちの書類貸して。」

右月「はい。会長!ここにハンコお願いします!」

栞子「わかりました。…………。」

副会長「どうしたの栞子?また悩み事?」

栞子「いえ……その、私以外、メガネだなー……と。」

左月「言われてみれば確かに……!」

右月「全然気が付きませんでした!」

副会長「菜々もメガネだったものね。」

栞子「あの……私もかけた方がいいでしょうか、メガネ……。」

副会長「いや、そこまでする必要はn、」

左月「いえ!!かけるべきですよ会長!!私の貸して差し上げます!!」

右月「ちなみにメガネを初めて掛ける場合はそれにふさわしい服装が必要なんですよ!!まず、このメイド服を着て、猫ちゃんカチューシャを付けて、語尾に『にゃん♡』とつけてください!!」

栞子「えぇ!?そ、そんな事をしなければならないのですか!?で、ですが必要な事なのですね……わかりました、皆さんも通って来た道のはず……不肖三船栞子、メガネにふさわしくなれるように頑張ります!」

副会長「……アナタ、将来詐欺とかに引っかかっちゃダメよ……?あと、猫耳つけるなら尻尾と手袋もつけなくちゃダメよ?」

左右「「さすが副会長!!」」

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