ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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倒せ!VS魔星大将軍

広大なGBNのディメンションの中には、当然ながらガンダムの世界観を再現している物が多い。

人気なディメンションはやはり『機動戦士ガンダム』などの宇宙世紀シリーズなどで、次点でアナザーガンダムのディメンションが好まれている。

一方で、SDガンダム系のディメンションは、低年齢層には人気があるが、難易度が低い為上位ランカーともなるとあまり足を運ぶ機会は少ない。

しかし、低年齢層を意識しつつも、幅広い年代に受け入れられるように作られたいわゆる初心者用ガンダムであるSDガンダムは、その見た目とは裏腹に深い設定を持っている。

 

そして、そんなSDガンダムが誇る一大コンテンツである『武者頑駄無』、その舞台となっているのがこのディメンション……『天宮(アーク)』である。

 

 

 

「へー!こんな場所もあるんだー!」

『ここは『天宮』ですね。アイさんの乗っている、武者頑駄無の活躍する舞台ですよ。』

 

 

城下町におりると、アイは直江兼続頑駄無の中から周囲を見渡した。

今はミッションエリア化しているため人はいないが、普段はNPD(ノンプレイヤーダイバー)の村人ジムが暮らす市場になっていて、実際にゲーム内通貨で買い物も出来るらしい。

その雰囲気は、まるでアイの実家がある東京の下町のようだ。

 

「でも、人がいないとちょっと不気味だね……うぅ、お化けとか出てきそうだよぉ……。」

『あー、そんな雰囲気あるねー……。これ、今度の文化祭の参考にしてみる?私お化け屋敷とかやってみたいんだよねー。』

「やめてよぉ!!」

『あ、お化けなら出るそうですよ。』

「嘘でしょ!?」

『嘘じゃありませんよ。ゲーム内時間が夜になると、稀に『落ち武者頑駄無』と呼ばれるNPDが襲い掛かってくるそうです。』

「いやだよ!私もう帰りたいよぉ!!」

『アユム、私たちの中じゃ最強なんだから頼りにしてるよ!』

 

実際、そんなものが襲い掛かってきてもそんなに強くないし、そもそも見た目がガンプラなので怖くもなんともないが、アユムはホラーが大の苦手だ。

以前、しずくが納涼のために怪談話をした時も、かすみと一緒に泣いていた。

 

「も、もうこの話はおしまい!夜になる前に終わらせるよ!!」

『怖がってるアユムも可愛いなぁ!』

「ユウちゃん、本当に怒るよ?」

『はい、すいません。』

 

さすがにそろそろまずいと思って、口を閉じるユウ。

そうだ、と思いだし、彼女はマサキへとメッセージを送る。

今日は彼も同行してくれる約束だったので、後から来るときに何のミッションを受注したかわからないと困るだろう。

 

 

今回のミッションの舞台となっている場所は、天宮の中心部である烈帝城。

ここは設定だと、新世大将軍の息子である飛駆鳥大将軍が治めている城で、今回の討伐対象である魔星大将軍によって乗っ取られてしまっている。

連戦ミッションでは城の入り口からスタートだが、今回は単騎討伐ミッションであるため、ガンプラで一気に天守閣へと登り、ボスである魔星大将軍と戦うことが出来る。

 

 

「よーし!アイさん燃えてきたーーーー!!」

『私もです!絶対に私が討伐します!』

「セッツーには負けないもんね!もちろん、ゆうゆとアユムにも!」

 

 

勢いよく天守閣へと登って行ったセツナとアイ。

彼女たちが到着すると、その場にはマントをはためかせながら後ろ向きに立っているSDガンダムがいた。

そのSDガンダム……魔星大将軍は彼女たちに振り替えると、目を見開く。

 

 

 

 

『よくぞここまでやって来た。だがもう遅い!すでに魔界の門は開かれた!お前たちには、どうすることもできん!!』

 

 

 

 

『MISSION START』

 

 

魔星が叫ぶのと同時に、ミッションが開始された。

さらに、上空にブラックホールの様なものが出現し、少しずつ烈帝城が崩壊をはじめ、ブラックホールへと吸い込まれそうになる。

 

「え?なにこれ?崩れてるの!?」

『おそらく、この城が崩れる前に、魔星を倒すというのがこのミッションなのでしょう。燃えてきました!セツナ、ガンダムエクシア!敵を殲滅します!!』

 

GNソードを構え、エクシアが魔星へ向かっていった。

だが、振り下ろしたソードは魔星に命中する前に、別のガンプラによって防がれてしまった。

 

 

ウォルターガンダムに似た姿を持つ、魔星に仕える三羅将の一体『羅将宇折堕(ウォルター)』だ。

 

 

いったんGNソードをひっこめ、直江兼続頑駄無のところまで引くエクシア。

そこへレインボーユニコーンとドリームインパルスも到着し、レインボーユニコーンは宇折堕を見て驚愕した。

 

「なんで!?これ、単騎討伐ミッションじゃないの!?」

『あの宇折堕は、魔星の一部です。魔星大将軍は、自分の一部を三羅将と呼ばれるガンプラに分離させて操れるんですよ!』

「3ってことは、じゃああんなのがまだ二体もいるってこと?」

 

 

いったん距離を取り、レインボーユニコーンは巨大なライフルを構えた。

このライフルは、数百キロ先の敵も逃さない超万能スコープを搭載したレインボーユニコーン専用のスナイパーライフル。

ライフルのマガジンをスナイパーライフルへと装填すると、照準を魔星へ合わせる。

 

 

 

「シュート!!」

 

 

 

『こざかしい!!』

 

 

だが、魔星はレインボーユニコーンの存在に気が付いていたのか、自分とレインボーユニコーンの間に、グランドガンダムに似た三羅将が一人『羅将愚嵐怒(グランド)』を召喚した。

すさまじく厚い装甲に身を包んだ愚嵐怒は、レインボーユニコーンの攻撃を通さず、魔星を守り抜く。

 

「えぇ……マジ……?」

『ゆうゆ!上!』

「上?」

 

顔を上げると、そこにいたのはガンダムヘブンズソードに似た3体目の三羅将『羅将天国途(ヘブンズ)』

天国途は足の爪を開いてレインボーユニコーンの肩を掴むと、彼女を空高く持ち上げた。

そして、レインボーユニコーンを何度も城壁に叩き付け、勢いよく地面へ落した。

 

 

「うあっ……!?」

『ユウちゃん大丈夫!?』

「いってって……大丈夫大丈夫……。」

『なんという攻撃でしょうか……強すぎます!』

「いや、本当に強すぎるよ……ねぇセツナちゃん、これ難易度設定どうなってるの?」

『え?それはもちろん……、』

『アイちゃん来てるよ!!』

『え!?』

 

 

アユムが叫び、間一髪で天国途の滑空攻撃をかわした直江兼続頑駄無。

ドリームインパルスが救援に駆けつけ、バックパックから新装備の二本のレイピアを取り外し、天国途に突き刺した。

 

 

『うぎゃあああああ!!!』

「えい!!」

 

 

それをそのまま愚嵐怒へ投げつけ、バランスを崩したすきに、直江兼続頑駄無が大型ライフル『大鷲突銃』で2体の羅将を撃ち抜いた。

 

 

 

ドカアアアアアアアアン!!!

 

 

 

「よし!」

『やったねアイちゃん!』

「アユムのおかげだよ~!サンキュ!」

『あとは宇折駄と魔星だけだね。セツナちゃんユウちゃん、援護お願い!』

『了解しました!』

『セツナちゃん、あとで話きかせてもらうよ!』

 

 

レインボーユニコーンが脚部装甲を取り外し、ドリームインパルスへと渡す。

それを右手に装備し『レインボーエクスカリバー』を構えると、ドリームインパルスは直江兼続頑駄無と共に魔星を目指す。

二人を援護するため、宇折堕の相手に回ったエクシアが、GNソードを構えて向かっていった。

だが、あの装甲が固すぎる為、なかなか刃が機体に入り込まない。

しかもセツナのエクシアはスミ入れしただけの素組みであり、機体性能自体は最低ランクに近い。

 

 

「え、エクシアが悲鳴をあげてます!!警報が鳴りやみません!!」

『セツナちゃん!!これを!!』

 

 

そう言うと、レインボーユニコーンが自分の右肩を外し、さらにスナイパーライフルの先端を取り外して右肩のパーツとドッキング。

細身のドリルのような形状になった武器『レインボーGNドリル』をエクシアに投げ渡した。

エクシアはそれを自分の左腕に装備すると、勢いよく回転させたドリルで、宇折堕を貫いた。

 

 

 

「セツナスカーレットストーーーーーーム!!!!」

 

 

ドカアアアアアアン!!!

 

 

決め台詞と共に、見事に宇折堕を撃破したエクシアだったが、今の戦闘でもう機体はボロボロだ。

そんなエクシアをレインボーユニコーンが介抱するなか、魔星と戦闘中のドリームインパルスと直江兼続頑駄無も魔星を押していた。

やはり、リーチのあるリアルタイプのドリームインパルがいる分、こちらの方が有利だった。

だが魔星はいったん二人から距離を取ると、彼女たちへ手を向ける。

 

 

 

『えぇい!!三羅将ともあろうものがなさけない!!ならば、このわしが直々に貴様たちを地獄へと送ってやろう!!三羅将よ、ふたたびわがもとへ!!』

 

 

魔星が叫ぶと、バラバラになった三羅将のパーツが宙を舞い、一つのガンプラへと再構築されていく。

さらに残ったパーツは魔星自身に装着されていき、魔星大将軍をこのエリアの真のボスへと変身させた。

 

 

『魔界呪術 闇獣装の陣!!合身羅将 風雲再起!!』

 

 

3体の羅将と融合し、巨大な姿となった魔星大将軍。

闇のペガサスに跨ったようなその姿は、今までユウやアユムが戦った事が無いほどの威圧を放っている。

 

魔星の放った巨大なビームに襲われ、4人は一気にHPを削られてしまった。

 

 

 

『いった~……!やっば!なにあれ!?』

『やっぱり難易度設定おかしいって!!セツナちゃん何選んだの!?』

「はい!それはもちろん、」

 

 

 

~~

 

遡ること数十分前

 

「今日はどれやる?」

「うーん、最近は殲滅ミッションばっかりだったし、単騎撃破ミッションなんてどうかな?」

「シンプルでいいね!面白そうなのは、『VSデビルガンダム』とか『VSデストロイガンダム』かな……二人は何がいい?」

「アイさんは楽しそうなのなら何でもいいよ!セッツー決めなよ!」

「いいんですか?じゃあ、これで!」

 

アイからの許可もあり、セツナが決めようとした『VS魔星大将軍』ミッション。

どのミッションにも難易度があり、受注する場合基本的にどの難易度でもいつでも受けられるようになっている。

このミッションも当然、難易度がA~Eまで存在し、今のセツナ達にあった難易度はE、やりごたえを得たいならばD、背伸びをするならCと言ったところだろう。

 

 

(いえ、でも待ってください……こちらにはすでにDランクのユウさんとアユムさんもいます……それにユウさんの話だと、アユムさんの成長はマギーさんも認めるほどだと言ってました……。だとすれば、私やアイさんに合わせた難易度では退屈してしまうのでは!?それに、スクールアイドルたるもの、常にチャレンジャーでなければいけません!ここは思いきりましょう!!)

 

 

~~

 

 

「はい、それはもちろん『A』!最高難易度です!!」

『『えぇー!?』』

『アハハ!!『A』だけに『えぇー!?』って!二人とも上手いよー!アハハハハ!!』

『わ、笑いごとじゃないよアイちゃん!!』

『無理無理無理無理!!難易度Aなんてやったこと無いよ!!』

「大丈夫です!大好きという気持ちがあれば、不可能なんてありません!!」

『気持ちだけじゃどうにもならない事だってあるんだよセツナちゃん!!』

 

珍しくアユムがセツナにマジギレしそうになったが、次の瞬間、再び魔星のビームが彼女たちへ襲い掛かった。

必死に逃げ回るユウとアイ、逃げ遅れ、ビームをまともに食らってしまったアユムとセツナ。

今の一撃で二人のガンプラは沈黙し、二人はゲームオーバーになってしまった。

 

 

「そ、そんな!?」

『当たり前だよぉ!ユウちゃんアイちゃん、逃げてー!』

 

 

この難易度をクリアするためには、圧倒的に火力が足りない。

難易度がEとDまでなら、三羅将を倒し、魔星本体を倒せば終わりのこのミッション……C以上は魔星がこの第2形態となってからが本番。

その強さは第1形態までとは比べものにならず、生半可な作りこみでは一撃で倒されてしまう事だってある。

この魔星を突破するためには、もっと強いパワーが必要だ。

 

 

「だったら!」

『ゆうゆ!?何すんの!?』

「NT-Dを発動してデストロイモードになれば、きっと勝てるよ!お願い、応えてレインボーユニコーン!!」

 

 

ビームを避けるのをやめて、迎え撃とうとするレインボーユニコーン。

以前、NT-Dを発動した時も、こうしてピンチに追い込まれていた。

だったら今回もきっと発動できるはず……そう思い、ユウは魔星の前に立ちはだかる。

 

 

 

「行くよ!!変身!!」

 

 

 

ドカアアアアアアン!!!

 

 

 

魔星のビームが直撃し、NT-Dを発動する前にレインボーユニコーンのHPは尽きてしまった。

膝をつき、コックピットから出てきたユウは目を回している。

 

「うえぇぇん……なんで出来ないのぉ……?」

 

 

「マジ……!?これ、アイさん大ピンチじゃん……。」

 

ユウ、アユム、セツナの3人が倒され、最後の一人になってしまったアイと直江兼続頑駄無。

リアルタイプに比べ、機動性では大幅に後れを取るSDガンダムでは、逃げ切ることすら難しい。

それでもアイは諦めず、二本の刀を構えて魔星に立ち向かった。

 

 

 

「無茶だよアイちゃん!」

「アイさん、こういうシチュめっちゃ燃えるんだよね!野球でいうところのツーアウト満塁みたいな感じ!負けるってわかっててもさ、最後まで楽しまなきゃ損じゃん!アタシ、楽しいことには後悔したくないんだ!!」

 

 

 

 

飛び上がり、魔星大将軍に攻撃する直江兼続頑駄無。

迎え撃つ魔星も刀を構え、直江兼続頑駄無の刀をへし折った。

『愛』の兜飾りを掴んで地面に叩き付け、HPが一気に減少する。

兜が割れ、鎧が砕けても、アイと直江兼続頑駄無はゲームオーバーになるその瞬間までは決してあきらめないだろう。

ボロボロになりながらも立ち上がる直江兼続頑駄無の中で、アイの闘志はまだ燃え尽きてはいない。

 

『まだ立ち上がるというか!!』

「あったりまえじゃん!こんな楽しい事、やめられないよね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『よく持ち堪えたな。あとは引き受けよう。』

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

「あ、あれは!」

 

 

ユウとアイが空を見上げ、つづけてアユムとセツナも同じ場所を見つめた。

そこにいたのは、黒いドラゴン型メカの上にそびえ立ち、巨大な槍とライフルを構えたガンダムMK-IIIをベースにした紫色のガンプラ。

そのガンプラを見てセツナはハッとし、その声を聞いてアユムとユウは歓声をあげた。

 

 

「「マサキさん!!」」

 

 

 

「行くぞ、魔星大将軍。ガンダムテルティウム、クアドルムブースター、出る!!」

 

 

 

黒いドラゴン型メカ『クアドルムブースター』に乗ったマサキのガンプラ『ガンダムテルティウム』の姿は、まさしく竜騎士。

アユムのドリームインパルスすら超えるスピードで魔星大将軍に接近していく。

全員が息を呑んだその瞬間に、すでにテルティウムは巨大な槍『ハイパーデストランス』で魔星の風雲再起を破壊しており、その眼にもとまらぬ速さに、魔星でさえも何が起きたのかわからなかった。

 

 

『すっご……めっちゃ強いじゃん……!』

「こんなものじゃない。クアドルムブースター!!」

 

 

上空でクアドルムブースターから飛び降りたテルティウム。

クアドルムブースターは彼を追従し、コックピットでマサキは二つのガンプラにコマンドを送る。

 

 

 

「ドッキング、ゴー!!」

 

 

 

マサキの掛け声と共に、首と手足がバラバラに分解されたクアドルムブースター。

胴体はそのままテルティウムのバックパックに合体し、首は折りたたまれたロングビームライフルに合体し、ドラゴン型のライフル『エルドラビームライフル』へ。

 

 

これがシドー・マサキの新たなガンプラ『クアドルムテルティウム』だ。

 

 

過剰パーツとなった手足は彼の周りを浮遊するファンネルとなり、テルティウムと共に魔星大将軍へ視認不可能なスピードでビームを浴びせていく。

ユウ達では手も足も出なかった魔星を、単騎で圧倒していくテルティウム。

するとテルティウムが直江兼続頑駄無の下に降りてくると、彼女の目の前にハイパーデストランスを突き刺した。

 

 

「!」

『最後はお前が決めろ。』

「……Ok!アイさんに任せて!!」

 

 

ハイパーデストランスを受け取り、再び立ち上がった直江兼続頑駄無。

HGのテルティウムですら巨大に感じるこの槍を、SDの彼女が持つには少々不格好だが、カッコ悪いのは承知の上。

最後の力を振り絞り、ブースターを噴射させて魔星へと突撃した。

 

 

 

「マックスパワーで、いきまーーーーーーーーっくす!!」

 

 

 

ズバッ!!

 

 

「マックスだけに……なんつって!」

 

 

 

ドカアアアアアアン!!!

 

 

 

上半身と下半身が真っ二つとなり、爆散する魔星。

全身の力が抜け、その場で膝をつきそうになる直江兼続頑駄無を、テルティウムが受け止めた。

アイがガンプラから降りると、ユウ達3人が駆け寄って彼女へ抱きついた。

 

「すごい!!かっこよかったよアイちゃん!!私、ときめいちゃった!!」

「うん、すごくカッコよかった!さすがだね、アイちゃん!」

「私も見習わなくてはいけませんね……アイさん、ナイスバトルです!」

「ううん、アタシだけだと全然……マサくんが助けに来てくれたからだし、なにより、みんなと一緒だったからここまで来れたんじゃん!」

『正直、この難易度では俺が来るまでにミッション失敗になると思っていた。だが君たちは耐えた。それは紛れもない、君たちの成果だ。』

「そうです、マサキさん!あなたのそのガンプラ……テルティウムではありませんか!?」

『あぁ、そうだな。』

「と言う事は、あなたはもしや……SSランクダイバーのシドさんなのでは!?」

「え!?シドさんって、まさかエルドラミッションでビルドダイバーズと一緒に戦ってた!?」

 

ここで言う『ビルドダイバーズ』とは、いつものBUILD DIVERSの事ではない。

もう一つのビルドダイバーズ……『BUILD DiVERS』の事だ。

GBNで実装されていなかったストーリーミッションを唯一クリアした、4人のフォースチーム。

そのメンバーたちと共に、5人目として戦った当時行方不明となっていた伝説のダイバー……それがシドだ。

 

 

『そうだ。俺はBUILD DiVERSの仲間ではない……だが、BUILD DiVERSは、俺の友達だ。』

「や、やはり!まさか、そんな有名人と一緒に初GBNを体験出来るだなんて……わ、私、感激です!!」

『気を抜くな。まだ終わっていないぞ。』

 

 

マサキ……シドがそう言って、全員が魔星を見た。

確かに、ミッションクリアのアナウンスが流れていない。

すると、上半身だけになった魔星が動きだし、その体が宙に浮かんだ。

さらにそこへ、巨大なガンダムの顔の様な形状をした巨大SDガンダム『機動武神 天鎧王』が出現し、魔星と合体。

その姿は、まるでデビルガンダムの様だった。

 

 

戦国伝シリーズ『超機動大将軍編』のラスボスである超巨大SDガンダム『覇道大将軍』だ。

 

 

 

『このわしを倒せると思ったか……?ここからが本当の戦いだ!!』

 

 

 

これが、難易度Aランクだけの特別ステージ。

完全体になった魔星大将軍を倒した時のみに出現する覇道大将軍を倒すことが出来れば、参加メンバー全員に多大なポイントが付与される。

テルティムと直江兼続頑駄無は再び気を引き締め、覇道大将軍へ向かい合った。

 

その時だった。

 

 

 

バンッ!!

 

 

 

『なっ………ん、だと………!?』

 

 

 

突然、覇道大将軍の胴体に、大きな風穴が開いた。

全員が驚いてその先を見ると、そこにいたのは二体のガンプラ。

 

 

一体目はヴェルデバスターガンダムの改造機『ヴェルデブラストガンダム』

もう一体はキュベレイの改造機『キュベレイ・ビューティー』

 

 

ヴェルデブラストの巨大なライフルで撃ち抜かれた覇道大将軍はそちらを振り返る。

だが、その時にはすでにキュベレイ・ビューティーが設置した無数のファンネルが、覇道大将軍を囲んでいた。

 

 

 

『これでチェックメイトよ。』

 

 

 

キュベレイ・ビューティーのダイバーがそうつぶやいた瞬間、全てのファンネルが覇道大将軍の体と、彼につながっている天鎧王を撃ち抜いた。

なすすべなく撃ち抜かれた覇道大将軍は完全に爆散し、体は跡形もなく消滅した。

 

 

『MISSION CLEAR』

 

 

「す、すごい……。」

「圧倒的すぎます!あの方たちは……?」

『ヴェルダー卿……!GBNに帰ってきていたのか!?』

『マサくん知ってるの?』

『あぁ。3年前から突如姿を消したAランクダイバーだ。だが、あの隣にいるガンプラはいったい……?』

 

 

その圧倒的に強さに驚きを隠せないユウやシド。

そんな彼女たちを見て、キュベレイ・ビューティーのダイバーがフフッと笑う。

 

 

 

『やっぱり私たち、最高のコンビね、ヴェルダー。』

『…………うん。』

『忘れないわ、あなたの事……楽しい時間をありがとう。』

 

 

 

ユウ達に何も言わず、その場を去っていくヴェルデブラストガンダムとキュベレイ・ビューティー。

ミッション終了の知らせが届き、烈帝城の崩壊が止まると、ミッションエリアが解除されて城下町にNPDが出現し始めた。

 

 

 

 

 

~~

 

 

ミッションが終了し、ログアウトした侑達とマサキ。

ダイバーギアを取り外すと、愛はいきなり大声ではしゃぎだし、それにせつ菜も同調する。

 

 

「やっば!!このゲームおもしろすぎでしょ!めっちゃテンあげ!」

「私もです!今日は撃墜されてしまいましたが、次はこうはいきません!愛さん、こうなればガンプラの強化ですよ!明日、かすみさんたちも誘って特訓しましょう!」

「いいねぇ!ゆうゆや歩夢には負けないよ!」

 

 

すぐさまガンプラの改良に取り掛かろうとする愛とせつ菜。

急ぐ二人を走ると危ないと静止しようとする歩夢と、それを追いかけようとする侑。

だが侑はすぐに足を止め、マサキに振り返った。

 

「マサキさん、今日はどうもありがとう!」

「君たちの助けになったのなら、俺も嬉しい。」

「でも、どうして助けてくれたの?今日だけじゃなくて、私たちが初めてガンプラを作ってた時も……。」

「別に、深い意味は無い。好きなんだ、人の役に立てることが。」

「そうなの?」

 

そう言うと、マサキはとても優しい、けれども悲しそうな顔をした。

 

 

「俺は昔、大勢の人を傷つけた。取り返しのつかない事をしてしまったんだ……。けれど、彼らはそんな俺を救い、励まし、許してくれた。俺はそんな彼らに報いることの出来る人間でありたい。もう一度、彼らの傍で胸を張れる自分でいたいんだ。」

 

 

それに、と最後にマサキは付け足し、侑の持つレインボーユニコーンを見る。

 

 

「下手くそに作ると、ガンプラがかわいそうだしな。」

「ハハッ、確かに!でも、マサキさん……私、マサキさんとはまだ二回しか会った事無いけど、わかるよ。マサキさんはもう十分、誰かの前で胸を張れる人だって。」

「そうか……そうだといいな。」

 

 

少し恥ずかしそうに笑うと、マサキはテルティウムとクアドルムブースターのガンプラをバッグにしまいこむ。

ガンダムベースの外までマサキを見送ると、マサキはバイクに跨り、エンジンをふかせた。

去ろうとするマサキだったが、侑はそんな彼を大声で呼ぶ。

 

 

「私たち、今度フォースを組むの!そしたら……私たちと、バトルしてくれますか……!?」

「……野生の熊は、挑まれた戦いを決して拒む事無く果敢に戦う。クガ達にも伝えておこう。バトル、いつでも待っているぞ、高咲。」

「! よ、よろしくお願いします!!」

 

 

SSランクダイバー シドとクアドルムテルティウム。

強大すぎるライバルの登場に、侑の心はいつも以上に高鳴っていた。

 

 

 

 

 

 

~~

 

その頃 スイス

 

 

「……ふぅ~、びっくりした~。」

 

 

帰国の時間が迫っていたエマ・ヴェルデは、自宅のパソコンでログインしていたGBNからログアウトした。

彼女はダイバーギアから何年も使ってきたガンプラ……ヴェルデブラストガンダムを取り外す。

 

 

「まさかせつ菜ちゃん達がいるだなんて思わなかったな~。それに、シドさんもGBN復帰してたんだ~!でも……あの子には、悪い事しちゃったかな……。」

 

 

「姉ちゃん!早くしないと車出ちゃうよ!」

「うん、すぐ行くよ~!」

 

弟にせかされて、ダイバーギアをそっと机に戻すエマ。

家族共用で使っているダイバーギアを日本へ持っていくわけにもいかず、ヴェルデブラストガンダムだけを持って家を出る。

 

 

「行ってらっしゃい姉ちゃん!帰ってきたらまた日本のお話、聞かせてね!」

「うん、行ってきます!」

 

 

実家を離れ、今後はヴェルダー卿としてログインできなくなったエマ。

彼女のその選択が、とあるダイバーの心に影を落とすとも知らずに。

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第5回:マサキのお友達

侑「ねぇねぇ、マサキさんの言ってたお友達ってどんな人なの?やっぱりガンプラが好き!?」

マサキ「アイツは別にガンプラが好きというわけではない。」

侑「そうなの?GBNで会ってるのに?」

マサキ「GBNでなければ会えない友人なんだ。」

侑「へー。あ、ELダイバーとか!」

マサキ「ドラゴン。」

侑「え?」

マサキ「ドラゴンだ。現地の人たちからは、聖獣として崇められている。」

侑(マサキさんって時々よくわからない事言うよなー……もしかしてせつ菜ちゃんと同じタイプなのかな……?)

マサキ「高咲、君は思っている事がよく顔に出るみたいだ。気を付けた方がいいぞ。」

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