ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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ガンプラバトル同好会からの挑戦状

虹ヶ咲学園のとある部室。

部室の部屋の八割を占めるほどの巨大な筐体を囲む、数人の女生徒。

彼女たちの持っているスマホの画面には、数日前に侑達が参加した『VS魔星大将軍』ミッションと、一年生組と愛、せつ菜が参加した連戦ミッションの動画が写っている。

 

 

「これは由々しき事態だわ。」

「この学園のスターである優木せつ菜と、生徒会長である三船栞子がGBNへ参加して注目を集めている。」

「聞いた話だと、朝香果林の所属している事務所には、以前はカミキ・ミライ様も在籍していたらしい。」

「部長、ご決断を!!」

 

 

四人の部員が一斉に、一人の女生徒を見た。

彼女の手には青いガンプラが握られており、彼女はそれを筐体へ置くと、高らかに宣言した。

 

 

 

「我々、『ガンプラバトル同好会』は、スクールアイドル同好会へ、宣戦布告をする!!」

 

 

 

 

 

~~

 

月曜日、朝練のために部室へ集合する同好会のメンバーたち。

侑と歩夢が来た時には、すでにエマと果林を除くメンバーが全員集合しており、朝練前の一眠りをしている彼方以外は愛とせつ菜の周りに集まっていた。

 

「おっはよー!なにしてるの?」

「あ、愛ちゃんとせつ菜ちゃん、ガンプラ新しくしたんだね!」

「そうなんです!!見てくださいお二人とも!私の新しいエクシアの姿を!!」

 

興奮気味で歩夢の目の前にガンプラを突き付けたせつ菜。

彼女の持つエクシアはカラーリングが真っ赤に変えられており、炎の様な模様と、トランザム発動用の太陽炉の形状が変わっていた。

右腕にはライフルへ変形可能なGNソードSSP(セツナスペシャル)が取り付けられている。

 

 

「これが『ガンダムスカーレットエクシア』です!!私の大好きな気持ちを詰め込みました!!」

「ぐぬぬぬ……か、かっこいい……!でもでも、かわいさなら、かすみんのザクみんの方が上ですもんね!!」

「とても綺麗なガンダムですねせつ菜さん。ですが、綺麗さなら私のデスティニーフリーダムの方が……、」

「力強さなら私のAEドムの方が……、」

「みなさん、せつ菜さんに張り合いすぎですよ!……でも、私のO-ドリーの方が……、」

「はいはーい!せっつータイム終わりー!次は愛さんタイムだよー!」

 

 

一年生が全員せつ菜へと対抗心を燃やしているが、そこへ割り込んで愛が新しい直江兼続頑駄無を見せてきた。

兜飾りの『愛』はそのままに、カラーリングをオレンジに変えてところどころにデコシールが貼られている。

武器は、以前ハイパーデストランスが使いやすかったのか、『騎士ガンダム』の電磁スピアを装備している。

 

 

「騎士ガンダムって、マサ君と同じでMK-IIIがベースなんだって!だから愛さんの直江兼続頑駄無と組み合わせて、『愛参頑駄無』!『あいさん』だけに!」

「色が違うだけ……?璃奈ちゃんボード『はてな?』」

「本体はね。でもこの槍、ここを引っ張ると長いライフルに変形するんだー!」

「面白いギミックですね愛さん!ですが、私のスカーレッドエクシアも負けませんよ!」

 

 

スカーレットエクシアと愛参頑駄無という仲間が加わり、ますます賑やかになるスクールアイドル同好会のGBN活動。

そこへ、ようやくエマと果林が登校し、これで11人全員がそろった。

 

 

 

「おはよ~みんな!ひさしぶり~!」

「エマさんおかえり!!元気だった!?」

「うん、元気だったよ。侑ちゃんも元気そうでよかったよ~。」

 

 

 

エマの3週間ぶりの登校に喜ぶメンバーたち。

父親の容態も回復し、ようやく帰国してこられた。

エマの声を聞いた瞬間、彼方の目が覚め、エマに寄り添ってきた。

 

「エマちゃ~ん、待ってたよ~!彼方ちゃん、エマちゃんがスイスに帰っちゃってから、エマちゃんの膝枕がず~~っと恋しかったんだよ~!」

「よしよし、ごめんね彼方ちゃん。あとでたくさん膝枕してあげるからね。」

「えへへ~、エマちゃん好き~。」

「…………。」

「あれ?果林、どうしたの?」

「へ?ううん、何でもないわ。」

 

本来ならエマの帰国を一番喜びそうなのは、エマと同じ寮生であり大親友の果林のはず。

だが果林は明らかに元気が無く、心ここに非ずと言った顔に見える。

心配して果林の顔を覗きこむ愛から目をそらすと、果林の目に、せつ菜のガンプラが映った。

 

 

「せつ菜、あなたそれ……。」

「ガンプラです!興味ありますか?」

「……ううん。私、そういうのガラじゃないでしょ?ね、エマ。」

「え!?あー……そ、そうかなぁ……?えへへ、ごめんね果林ちゃん、うまく答えられなくて……。」

「エマ?」

 

 

「おやおや~?それはガンダムエクシアではないかな?」

 

 

「彼方さん知ってるんですか!?」

「もちろんだよ~。昔は遥ちゃんとアニメも見てたし。それに彼方ちゃん、ガンダムベースでバイトもしてるしね~。」

「そうなの!?」

「うぇぇ!?エマちゃんどうしたの……?」

 

 

彼方の発言に、何故かエマが喰い付いてきた。

しばらくの沈黙の後、エマはハッとして恥ずかしそうにその場に縮こまった。

 

「彼方さん、ガンダムベースでバイトしてたの?でも私たち、最近ほとんど毎日行ってるけど、彼方さんの事見たこと無いよ?」

「彼方ちゃんがバイトしてるのはダイバーシティの方じゃなくてシーサイドベースの方だよ。カフェがあるから、そこで週一でお料理してるのです。」

「シーサイドベースって、横浜ですよね?遠いんじゃ無いですか?」

「前に別のバイト先でお料理を出したら、そこの店長さんにスカウトされちゃったんだよ~。交通費も出るし、週一ならいいかなって。」

 

 

彼方の料理の腕は、プロも認めるほどのもの。

スカウトされても何ら不思議ではない。

時給が良くて交通費も出るのならば、そちらへ行かない手は無いだろう。

 

 

「ガンダムが好きなら今度おいでよ~。彼方ちゃん、腕によりをかけちゃうから!」

「もちろん!来週の予定は決まりだね歩夢!」

「そうだね。楽しみにしてますね彼方さん。」

 

 

「みんな、ガンプラが好きなのね……。」

 

 

「果林さん、今日はどうしたんですか?このお休みの間に、何かあったんですか?」

「別に何もないわ……ごめんなさいねしずくちゃん、心配かけちゃって。」

 

 

一人だけ、ガンプラに興味が無さそうにしている果林。

いや、興味が無さそうというより、意図的にガンプラを遠ざけようとしているようにも見える。

以前は同好会でしずく達がガンプラを見せ合っても『かっこいいわね』と、感想を言ってくれたりしていたのに、明らかに様子がおかしい。

もう一度果林に話しかけようとすると、その時、同好会の部室が勢いよく開かれた。

 

 

 

 

 

「たのもーーーー!!!」

 

 

 

 

 

「だ、誰!?」

 

 

いきなり部室のドアを開けて入ってきたのは、5人の女生徒。

そのうちの一番背の高い生徒はあたりを見渡すと、せつ菜と栞子の姿を見つけ、彼女たちを指差した。

 

 

「な、なんですか!?いきなり人を指差すのは失礼でしょう!?」

「あなたは確か……情報処理学科3年生のサクモト・ヤマトさんではありませんか?」

「いかにも!そして私が、この虹ヶ咲学園ガンプラバトル同好会の部長である。」

「が、ガンプラバトル同好会……?」

「えー!そんな同好会あったんだー!行ってみたーい!!」

「ゆ、侑ちゃん……。」

 

元生徒会長として、全員の顔と名前を把握しているせつ菜は、当然このガンプラバトル同好会の部長の事も知っている。

そして、ガンプラバトル同好会という部活があることも。

 

 

「あなた達が最近、GBNで目覚ましい活躍をあげているのは知っている。」

「え?そうなの?」

「えへへー!実は最近、かすみんが動画あげたんです!シャフリさんにお願いして、先輩たちのも録画してもらって、それをりな子が編集したんですよ!同好会の宣伝になると思って!」

「そうなんだ。ありがとうかすみちゃん!璃奈ちゃん!」

「もっと褒めてくれていいんですよ!この可愛いかすみんを!」

 

 

「戦場では私語をつつしめぇ!!」

 

 

「ひぃぃ~……!?な、なんなんですかこの人……怖すぎますよぉ……!!戦場とか意味わかんない事言ってますしぃ!」

 

 

かすみを一喝し、再びせつ菜と栞子に向かい合うヤマト。

栞子は生徒会長だがまだ一年生。

果林よりも背の高い3年生の先輩の圧に若干怖気づくが、そんな彼女を守るようにせつ菜が立つ。

 

 

 

「何のご用でしょう、サクモト先輩。ここはスクールアイドル同好会の部室ですが?」

「君たちはどうして、我々ガンプラバトル同好会があるにもかかわらず、スクールアイドル同好会でガンプラバトルをしている?」

「好きだからに決まっているでしょう。私たちのせいで、あなた方ガンプラバトル同好会の活動に支障をきたしているのならば謝罪します。ですが、私たちとあなた方のガンプラバトルは、根本から違います。ならば、私たちがGBNをプレイするうえであなた方の承認は必要ないはずでしょう?」

「根本から違う?」

 

 

 

ガンプラバトルに違いなんてあるのだろうかと首をかしげる侑達。

否、とヤマトはせつ菜を一蹴し、自分のガンプラを見せつけた。

ストライクガンダムがベースのそのガンプラは、何故かところどころ傷だらけであり、手直しした痕がいくつも見受けられる。

 

 

 

「私が言いたいのはそんな事ではない!!君たちはなぜ、本物のガンプラバトルを体験しようとしない!?こんな近くに、その体験ができる我が部があるというのに!!」

「わ、私たちのガンプラバトルが偽物だと言うのですか!?」

「君たちの配信した動画を見て、ニジガクの生徒たちが次々と偽物に惹かれ始めている……!我が校のスターである優木せつ菜と、生徒会長の三船栞子……我が校で知らぬ者などいない二人があんなに楽しそうにガンプラバトルをしていると……!我々はそれが納得できない!!GBNでのバトルなど、ガンプラに対する冒涜に他ならない!!」

「それは違うよ!!」

 

 

思わず、侑が叫んでしまった。

歩夢は慌てて侑を止めようとするが、侑は止まらない。

 

 

「GBNはゲームだけど……データだけど……私がGBNで出会った人や、ビルドダイバーズの人たちの、ガンプラに対する想いは本物だった!みんな真剣にガンプラと向き合ってた!それを偽物だって言うなんて……いくらなんでも許せない!!」

「ならば、我々とバトルをしてみろ。」

「バトル……!?」

「そうだ。一対一の真剣勝負。勝利条件は、相手のガンプラの完全破壊。どうだ?」

「う、受けて立つよ!もちろん!私のレインボーユニコーンなら……!」

「待ってください侑さん!!」

 

 

挑戦を受けようとした侑をせつ菜が止める。

あれだけの事を言われたのに、なぜ止めようとするのか侑には理解できなかった。

だが、せつ菜の次の言葉を聞いて、彼女の決意は揺らいだ。

 

 

「私たちのGBNと、ガンプラバトル同好会の方々のバトルが根本から違うと言いましたよね……?この方たちの行うガンプラバトルは、GBN上のデータで行うバトルではありません。実際のガンプラを、専用の筐体の上で操作して戦う……実機バトル『GPD』なんです。」

「じ、GPD……?それ、何度か聞いたことあるけど、実際はなんなの?」

「元々はプラフスキー粒子と呼ばれる特殊な粒子を利用していたガンプラバトルを、システムのみで制御して発展させた第三世代ガンプラバトルでした。ガンプラに加えた設定を余すこと無く再現できる夢のシステムとして、数年前までは大いに盛り上がっていましたが、GBNの台頭によって世界中からその姿を消しました。」

 

 

ガンプラのみに作用するプラフスキー粒子と呼ばれる粒子を利用した第一世代ガンプラバトル。

その技術を新たに作り直し、ヤジマ商事が普及させた第二世代ガンプラバトル。

粒子を使用せず、プラネットコーティングと呼ばれる特殊コーティングを使用する第三世代ガンプラバトル『GPD』

そして、完全にデータの世界で思いのままにガンプラを操れる第四世代ガンプラバトル『GBN』

 

 

 

「GPDで戦うのは、あくまでも本物のガンプラです。攻撃されれば傷つくし、大破すれば二度と直せないぐらいバラバラに壊れてしまう……もしも負ければ、レインボーユニコーンを失う事になるんですよ!!」

「そ、そんな……!?」

 

 

レインボーユニコーンが壊れてしまう。

歩夢と連日試行錯誤を繰り返し、みんなと実際にGBNで戦って、一緒に戦ってきた相棒が壊れてしまうのだ。

ガンプラが壊れてしまっても、新しく作ればいい。

だが、自分と今まで戦ってきたレインボーユニコーンは、二度と戻らない。

 

 

「どうした?バトルをやらないのか?無理にとは言わない。しかし、偽物のガンプラバトルを配信して、スクールアイドルとしての人気を上げようとした……そのケジメだけはつけてもらう。」

「ケジメ……?」

「そうだ。優木せつ菜と三船栞子、君たち二人にはGBNをやめてもらう。」

「な、何故ですか!!」

「先ほども言った通り、この学園で君たち二人を知らないものはいない。君たちさえGBNをプレイしなければ、神聖な本物のガンプラバトルを汚す者が増えるのを阻止することが出来る。もちろん、勝てば我々は君たちを認めよう。さぁ、どうする!?」

 

 

当然、こんな条件で戦いたいものなどいるわけがない。

この中では最強である歩夢も、ドリームインパルスが壊れると想像したら動けなかった。

当事者である栞子は戦う事を名乗り出ようとしたが、せつ菜に止められた。

せつ菜は、彼女がいつもデスティニーフリーダムを、まるで自分の弟妹や、自分の子供の様に大事にしている事を知っていたから。

全員が沈黙する中、エマが拳を握りしめた。

 

「…なら私が……!」

 

 

 

 

「あの~………、」

 

 

 

 

その時、意外な人物が手を挙げた。

全員でその方向を振り向くと、いつもの気だるげな表情で、彼方が座っている。

彼女は立ち上がると、侑、せつ菜と、ヤマトの間に立った。

 

 

「だったら彼方ちゃんがやるよ~、ガンプラバトル。」

「えぇ!?彼方さんが!?」

「近江さん、君は関係ないだろう。君はガンプラバトルをやっていない。」

「うん、そうだよ~。だからやるんだよ~。だって、皆本当に自分のガンプラを大事にしてるんだもん。そんな子たちに、ガンプラが壊れるかもしれないゲームを無理やりさせたくないじゃん?」

「だが……、」

「っていうかさ~。」

 

 

いつもの調子で喋っていた彼方の声色が、急に低くなった。

普段と全く違う彼女の様子に、ガンプラバトル同好会の面々だけではなく、スクールアイドル同好会のメンバーもつばを飲み込んだ。

 

 

 

「頑張ってる皆の事、偽物偽物って言われて、私もけっこう怒ってるんだよね。」

 

 

 

「………わかった。日時は金曜日の放課後。場所は我がガンプラバトル同好会。覚悟するといい。我が愛機『スカービルドストライクガンダム』が相手になろう!」

「そっちこそ覚悟しといたほうがいいよ。怒った彼方ちゃん、結構怖いからさ。」

 

 

普段の彼方からは想像もできない声色で、ヤマトにそう言った彼方。

ガンプラバトル同好会を引き連れて部室を出ていくと、さっきまでの張りつめていた空気が無くなり、彼方も肩の力を抜いた。

 

 

「彼方、あなた……本当にやるの?」

「うん、やるよ。」

「あんなに怒った彼方ちゃん初めて見たよ……。」

「そうだよ~、彼方ちゃんぷんぷんだよ~!」

「すいません彼方さん、私たちのために……。」

「ううん。せつ菜ちゃん達は気にしなくていいんだよ。彼方ちゃんは勝手に怒って、勝手にやろうとしてるだけなんだから。今日のバイトはさすがに断れないから、明日から練習してみるよ。」

「彼方ちゃん……。」

「あ、もうこんな時間だね~。結局朝練できなかったね。そろそろ教室行かないと遅刻になっちゃうよ~。」

 

 

いつもの調子でみんなを撒き、教室へと行ってしまった彼方。

その姿を見て、かすみはある人物へと電話を掛けた。

 

 

 

 

 

~~

 

放課後になり、いつも通りの練習とバイトを終えると、彼方は帰宅した。

妹の遥と一緒に夕飯を作り、お風呂に入ると、いつものように机で勉強を始めた。

だが、モヤモヤしていつもより捗らない。

 

「お姉ちゃん……。」

「遥ちゃん!もう寝るの?お姉ちゃん、もう少し勉強してから寝るから、ちょっと明るいけど、ごめんね。」

「お姉ちゃん、コレ、もらってくれないかな。」

「なぁに?」

 

そう言いながら遥が手渡してきたのは、なんとガンプラ。

数年前まで放送していた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』の主役機『HG 1/144 ガンダムバルバトスルプスレクス』だった。

 

 

「え!?これ、どうしたの!?」

「実はね、学校のガンプラ部に友達がいて、部活で使ってないガンプラ貰ってきたんだ。」

「でもなんで……。」

「今朝、かすみちゃんから電話をもらったんだ。」

 

 

 

~~

 

数時間前、彼方が教室へ行くと、一年生たちは同学年で彼方の妹である遥へ電話を掛けた。

彼女はすぐに電話に応じ、かすみやしずく達が今起きたことをありのままに遥へ伝えた。

 

『かすみんが動画をあげたせいで、彼方先輩が大変な事になっちゃった……。』

『だから、もしお家で彼方さんが悩んでたら、支えてあげてほしいんです。』

『お願い。遥ちゃんにしか頼めないの。璃奈ちゃんボード『うるうる』』

『本当は私が戦うべきだったんです……私たちも、出来る限り彼方さんを支えます!』

 

 

~~

 

 

 

「かすみちゃん達め、余計な事を……。」

「私、お姉ちゃんの事、かっこいいって思う!私に出来る事はこれぐらいだけど……お姉ちゃんの事、全力で応援してるよ!!」

「うぅ~……!遥ちゃん……マジ、天使……!!」

 

 

 

遥からガンプラを受け取り、遥を抱きしめた彼方。

同好会の仲間を守るため、彼方のガンプラ道がついに幕を開けた。

 

 

 

 

 

~~

 

翌日、学校でみんなのアドバイスを受けながらバルバトスルプスレクスを組み上げた彼方。

初めて作ったのでバリなどが多少は残っているが、GBNでなら十分に使えるぐらいには仕上がった。

だが、それはあくまでGBNでの話だ。

 

「GBNとGPDでは操作性がまるで違うって聞くし、このままで大丈夫なのかな……?」

「実際にコックピットに乗るGBNをレーシングゲーム、ガンプラそのものを動かすGPDをラジコンカー、と言えばわかりやすいと聞きますが……。」

「こういう時、相談できる人っていないかな……。」

 

歩夢がそう言うと、栞子がハッとした。

彼女が初めてGBNを始めた時に、デスティニーフリーダムを作るアドバイスをしてくれたガンプラ四天王のひとりの事を思い出したからだ。

 

 

「私に心当たりがあります。」

「え?誰なのしお子?」

「ナナセさんです。あの方、GBNが始まる前からガンプラバトルをしていたと言ってました。きっとGPDの事です。」

「栞子ちゃん、なんでそんな事知ってるの?」

「はい、歩夢さん達が遅刻したので、その時にいろいろお話してました。」

「その節は大変ご迷惑をおかけしました……。」

 

 

ナナセ・コウイチはガンダムベースの店長代理。

彼を頼り、同好会のメンバーは全員でガンダムベースを目指そうとする。

しかし、果林だけはそれを拒否した。

 

 

「ごめんなさい、私は行けないわ……今日、撮影があるのよ……。」

「ううん。こんな時間まで付き合わせちゃってごめんね。彼方ちゃんなら大丈夫だから~。」

「本当に……ごめんなさい……。」

 

 

深々と頭を下げ、同好会から去っていく果林。

その姿を見て、しずくはポツリとこぼした。

 

「やっぱり果林さん、少しおかしくないですか……?」

「そう?前から果林先輩って、ちょっとドライなところあったじゃん。」

「だけど、なんだか果林さん……ガンプラを自分から避けてるように見えるの。エマさんは何か心あたりありますか?」

「……………。」

「エマさん?」

「え?あ、ごめんねしずくちゃん……。なに?」

「果林さんの事なんですけど、何か知りませんか?」

「ううん、何も聞いては無いけど……。」

 

果林とは別に、エマも少し様子がおかしい。

思えば二人とも、皆がガンプラバトルの話をしている時は上の空になっていた。

 

「大丈夫かな……二人とも……。」

 

 

 

 

~~

 

学校を出て、ダイバーシティのガンダムベースへとやってきた果林以外の同好会メンバー。

入り口ではさっそくいつものようにモモカがお出迎えしてくれた。

 

「いらっしゃー……うわっ!?今日はずいぶんと大人数だね。」

「モモちゃんこんにちわ!店長代理さんいる!?」

「コウイチさん?うん、もちろんいるけど……あ、ほら。あそこでお友達と話してるよ。」

 

ちなみに、侑や歩夢たちニジガク二年生は、モモカに対して敬語を使わなくなった。

聞けば彼女も現在17歳で、高校二年生らしい。

モモカの指差した先ではコウイチが友人らしき赤い髪の男と話をしており、全員で急いでそちらへ向かった。

 

「それ、HGのペーネロペーか?」

「あぁ。クスィーガンダムの発売も決まったし、宣伝のために入荷したんだ。ツカサもたまには買ってけよ。」

「今日はいらねーよ。」

「たまには売り上げに貢献してくれ。俺だって忙しいのに、お前の相手してやってんだぞ。」

「人をさみしがりみたいに言うんじゃねーよ。」

 

 

 

「ナナセさん!!」

 

 

 

「ん?あれ、栞子ちゃん?いらっしゃ……って人多い!!」

「助けてください!!」

 

 

 

~~

 

彼方を中心に、コウイチに事情を話したスクールアイドル同好会。

コウイチは静かに話を聞いてくれて、彼方へコーヒーを出してくれた。

彼の後ろでは、さっきまで彼と一緒にいた赤髪の男も話を聞いていた。

 

「なるほど……それで、GPDでのガンプラバトルをすることになってしまったと……。それは大変だね。」

「私、絶対勝ちたいんです……でも、GBNもやった事無いから……。」

「そ、それでよく戦おうと思ったね……。」

「みんなが困ってたし、あの人にもムカツいたのでつい。」

「店長代理さんお願い!私たちに力を貸して!」

「うん、もちろんだよ。僕で良ければ!」

 

笑顔でそう答えてくれたコウイチ。

すると、彼の後ろにいた男がハンッ!と声を上げた。

 

 

 

「甘いんだよお前ら。そのガンプラバトル同好会とかいう連中の言い分は正しい。本当のガンプラバトルってのは、創って、壊して、また創る……実機バトルのGPDこそが、ガンプラバトルの本来あるべき姿だ。」

 

 

 

「お、おいツカサやめろよ!」

「GBNはガンプラは壊れねーし、負けてもちょっとしたペナルティで済むお遊びだ。」

「いい加減にしないと怒るぞ!!」

 

 

ツカサと呼ばれたその男は、コウイチの静止も聞かずにガンプラバトル同好会を全肯定し、スクールアイドル同好会を否定した。

その態度に思わずせつ菜や侑が口を出しそうになるが、その前にコウイチがツカサの胸倉を掴む。

 

 

「だいたい壊れるからやりたくないだの、壊さないように初心者にやらそうだの……本気でガンプラバトルする気があるのかよお前ら。そんな中途半端な覚悟なら、ガンプラバトルなんてやめちまえ。」

「ツカサ!!」

「………だけどよ。」

 

 

コウイチの手を話し、ツカサは彼方のバルバトスルプスレクスを見た。

初心者丸出しの組み立てだが、真剣に作ったことが伝わる。

長年コウイチと共にガンプラバトルをしてきたツカサにはそれがよくわかる。

 

 

 

「そんなGBNでしか得られないもんもある。GPDが本物のガンプラバトルだって考えは変わらねーが、GBNが『偽物』だとはもう思わねぇ。お前に譲れないもんがあるんなら、お前のガンプラ、俺が鍛えてやる。」

「あなたが……?」

「シバ・ツカサだ。言っておくが俺はコウイチやシドー・マサキみたいに甘くはねぇ。やるからには、お前のガンプラをGPDで絶対に負けないぐらい強くしてやる。」

「……うん!彼方ちゃん、頑張ります!」

 

 

こうして、彼方はツカサと特訓することとなった。

ツカサは同好会メンバー全員を追い払うと、コウイチと共に、彼方を特訓するため、ある場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第6回:コウイチとツカサ

璃奈「コウイチさんって、表情豊かでうらやましい。」

コウイチ「ハハハ、周りが個性的な子ばかりだったからね。僕も自然とこうなっちゃったんだ。」

璃奈「『僕』?さっき赤い髪の人と話す時は『俺』って言ってた。」

コウイチ「あー……ツカサとは腐れ縁っていうか……。アイツの前だと、いつも以上に自然でいられるんだ……なんでかはよくわかんないけど。」

璃奈「大事な人なんだね。璃奈ちゃんボード『生涯の友』」

コウイチ「色々あったけどね。本業でも同じところで働いてるし、なんだかんだでアイツとは死ぬまで一緒にいるような気がするよ。」

璃奈「相棒?なんだか、ミカとオルガみたい。」

コウイチ「璃奈ちゃん鉄血見てるの!?いやぁ、やっぱりあれは名作だと思うんだよ!三日月とオルガの態度には出さない信頼関係もいいけど、僕的にはやっぱり昭弘が一番の推しで……、」

璃奈「あ、これ長くなる奴だ。璃奈ちゃんボード『不覚』」

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