ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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せつ菜のソロライブ

「皆ーーーーー!!!今日は私のステージに集まってくれてありがとーーーーー!!!心行くまで、皆の大好きを叫んでくださいねーーーーー!!!」

 

 

ここはGBNに設置された特別ステージ。

今日、この場所ではフォース『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』のメンバーの一人……優木せつ菜、ダイバーネーム『セツナ』の個人ライブが行われる。

 

そんなライブを見ながらガチガチに緊張しているのは、長い黒髪を三つ編みにしてメガネを掛けたダイバー。

彼女の隣では、同じくメガネを掛けた女性ダイバーがセツナのイメージカラーである赤いサイリウムを必死に振っている。

 

 

「きゃーーー!!ナナ!ナナ!見て見てセツナちゃんがこっちを見てくれた!きゃーーー!!手を振ってくれたーーー!!」

「そ……そう、ですね……。」

 

 

中川菜々のGBNでの姿……ダイバーネーム『ナナ』

そして、その隣にいるのは菜々の友人で虹ヶ咲学園の生徒会副会長。

涙目になりながら副会長から視線を逸らした先には、そんな彼女を見守る3人の同級生の姿が。

 

高咲侑、宮下愛、鐘嵐珠の3人だ。

 

3人とも何とも言えない表情で、ナナとセツナを交互に見る。

そして、ユウはグッとナナに向けて苦笑しながらサムズアップを向けると、小声で彼女へ向けて呟いた。

 

 

「頑張って……アユム!」

 

 

 

 

 

~~

 

 

話しは数日ほど前に遡る。

その日、侑、歩夢、愛、ランジュの4人は同好会の部室でスマホゲームをしながら遊んでいた。

他の学年のメンバーは全員用事、せつ菜はホームルームが少し長引いているようでまだ来ていない。

今日の練習はせつ菜を中心にする事は前々から決まっており、その為彼女が来なければ練習もままならない。

 

「せつ菜ちゃん早く来ないかなー。」

「それにしてもびっくりしたよね!今度のせつ菜ちゃんのライブ!」

「うんうん!まさか、せっつーのファンのフォースから直々にライブのオファーがあるなんて、愛さんも驚いちゃったよ!」

「う~~……どうしてランジュじゃないのよぉ!ランジュもミアもライブの依頼があればどこにでも駆けつけるのに~!!」

 

 

実は数日後、せつ菜はGBNでの単独ライブを控えている。

彼女のファンからの依頼で、歌を披露するライブパートと、せつ菜とガンプラバトルが出来るバトルパートに分かれた特別ライブだ。

元々せつ菜は同好会の中でも特にファンが多いスクールアイドルだったが、まさか単独ライブの機会を貰えるとは思っていなかったみたいで、この話を聞いた時は大好きが溢れすぎて叫んだ挙句、うるさいという事で生徒指導に呼び出されるまでになっていた。

 

 

「GBNのライブってなるとやっぱり怖いのはバンシィだよね。当日は私と歩夢が周囲を警戒するから、何かあれば愛ちゃんとランジュちゃんよろしくね!」

「任せてよ!」

「無問題ラ!」

「せつ菜ちゃん、そろそろかな?」

 

歩夢がポツリとつぶやくと、廊下から誰かが歩く音が聞こえた。

そして、その音が同好会の部室の前で止まると、部室の扉がゆっくりと開けられた。

 

 

「……す、すいません……遅く……なりました……。」

 

 

「あ、せつ菜ちゃん!待ってたよ!今ね、侑ちゃん達とせつ菜ちゃんのライブの話をしてて……せつ菜ちゃん?」

「…………歩夢さん……。」

「あれ?せっつー元気無いね?どうしたの?」

 

 

入って来たのは同好会のメンバーの優木せつ菜。

正確には、優木せつ菜の正体である普通科2年生の中川菜々。

いつもなら正体バレを防ぐためにせつ菜の格好に着替えてから部室に来る彼女だが、何故か今日は菜々のままで部室にやって来た。

しかも、普段なら大声で挨拶をしているのに、今日の菜々はか細い声を震わせながら挨拶をしている。

よく見ると、菜々は目に涙をためていて、思わず目の前にいた歩夢に抱き着いた。

 

 

「うぅ……うわああああああん!!!」

 

 

「せ、せつ菜ちゃんどうしたの!?」

「転んで怪我でもしたの!?た、大変だ!せつ菜ちゃんが死んじゃう!!」

「だったら今から最高の名医を手配するわ!」

「いやいや、落ち着けー、ゆうゆ、ランジュ。とりま、せっつーの話を聞こうよ。」

 

 

こういう時冷静さを保ってくれる愛が頼もしい。

歩夢が菜々を宥めると、いったん菜々を椅子に座らせて、温かい飲み物を飲ませて落ち着かせる。

菜々もそれで少し落ち着いたのか、メガネと三つ編みを解いて髪を結びなおすと、いつものせつ菜の姿となった。

 

 

「で、何があったのか教えてくれるかな、せっつー?」

「はい……皆さん、もうすぐ私のライブがあるのはご存じですよね?」

「うん。当日は2年生全員で手伝おうって話もしたじゃん。」

「ありがとうございます。それで、ライブ会場を提供して下さったフォースの方々の所有するフォースネストの広さを考えると、ライブチケットは抽選にした方がいいというアイデアが出ていましたよね?」

「凄い応募数だったよね!せつ菜ちゃん大人気だもんね!」

「ライブ会場の収容数がだいたい100人に対して、応募数は確か3000件とかだったわね!すごいじゃないせつ菜!」

 

 

ライブ会場としてフォースネストを提供してくれたフォース『魂太』は、フォースメンバー3人という少数精鋭。

その為そこまで大きいフォースネストは有しておらず、100人という人数もかなり無理をしている。

ライブの宣伝もそこまで大々的にしたわけでは無いが、元々ニジガクがスクールアイドルフェスティバルで人気を獲得していた事と、ニジガクと同盟を結んでいるビルドダイバーズのメンバーであるモモカがガンスタグラムで拡散した事でライブチケットの応募が殺到した。

 

 

「そのライブチケットの当選発表が今日だったんです……それで……うぅ……!」

「せっつー?」

 

「……私は……私は最低です!!うわあああん!!」

 

「だから落ち着いてせっつー!!あ、ほらほら、せっつーの大好きなお菓子もたくさんあるよ~!この大福食べたら、だいぶ福が来るかも?大福だけに!」

「あっはっはっは!!大福だけにだいぶ福って、面白すぎるでしょ!アハハハハ!!」

「ラっ!?この大福よく見たら賞味期限切れてるじゃない!こんなの食べたら福どころか腹痛くるわよ!」

「アハハハ!!福どころか腹痛……ランジュちゃん天才じゃん!!」

「うわああああん!!」

「あー、もう!滅茶苦茶だよ~!!!」

 

 

 

せつ菜は叫び、愛とランジュのダジャレで侑が大爆笑し始めたため収拾が付かなくなってしまった。

とりあえず歩夢がせつ菜を慰めると、大爆笑している侑を叱りつけた。

 

 

「で、結局せつ菜ちゃんは何があったの?」

「はい……実は……、」

 

 

 

~~

 

 

事は今日の昼休み時間。

菜々は友人である生徒会副会長と一緒に昼食をとる事になり、教室で同じ机でお弁当を広げていた。

2人とも母親お手製の弁当を一部交換しながら食べていると、食事中に副会長のスマホにメールが入った。

 

「あ、ちょっとごめんなさい。」

「構いませんよ。」

 

2人とも食事中はマナー良くスマホはいじらないのだが、今日の副会長は妙にスマホを気にしていた。

菜々もそれに気づいていた為副会長がスマホを使う事に注意はせず、菜々にお礼を言った副会長は早速メールを確認。

 

 

「あーーーーーーー!!!」

「むぐっ!?けほっ!けほっ!い、息が……!」

 

その間菜々は静かに弁当を食べていたが、突然副会長が大声で叫びだし、びっくりして食べていたゆで卵を喉に詰まらせてしまった。

お茶でそれを流し込んで副会長を見上げると、彼女は涙を流していた。

悲しそう……というよりは、嬉し泣きに見えた。

 

 

「ど、どうしたんですか副会長……?」

「これ!!これを見て!!」

「? えーっと……チケット当選のお知らせ……?何かの懸賞の当選通知ですか?それで今日1日スマホを気にしていたんですね。おめでとうございます。」

「あ~~本当に嬉しい!これでせつ菜ちゃんのGBNライブをこの目で見れるのね!」

「え。」

 

 

よく見て見ると、副会長に来ていたメールの内容は、『優木せつ菜のGBNライブチケットの当選通知』

 

 

副会長はせつ菜のファン。

元々スクールアイドルに興味の無かった副会長だったが、スクフェスをきっかけにスクールアイドルについて調べて以降徐々に沼にハマり、今ではすっかり大ファンに。

ライブも欠かさず参加しており、当然ながらファンクラブにも所属しているほどだ。

 

 

「ベアッガイフェスが中断されてからGBNでのライブはもうやらないんだと思ってたんだけど、こうやってまたステージに立ってくれるなんて嬉しいわ!あ~、早くライブの日にならないかしら!」

「そ、そうですね。」

 

 

(副会長、凄く喜んでいますね。ちょっと恥ずかしいですが、こうやって私の歌を待ってくれているファンの生の声は嬉しいものです!)

 

 

「菜々はGBNのアカウント持ってる?無いなら後で作りに行きましょう。」

「え?私ですか?ど、どうして?」

「? 決まってるじゃない。一緒に行く約束だったでしょ?」

「え………?」

 

 

一瞬、菜々の思考が停止した。

それはもう、覚醒したパイロットが相手の弾を避ける時ばりに時間が止まったような感覚だった。

キョトンとしながらジュースのストローを口にくわえて首をかしげる副会長の顔を少し見た後、菜々は搾り取ったような声で叫んだ。

 

 

 

「えぇえええええ!!?」

 

 

 

「驚くのも無理ないわ。何しろ今回のライブチケットはとても貴重だもの。まさか、私の分と菜々の分、y両方とも当選するなんて思ってもみなかったわ。」

「わ、私の分も応募してたんですか!?っていうか両方とも当たったんですか!?抽選で100名なのに応募数3000オーバーですよ!?」

「推しへの愛の力かしら。それに、応募する時に菜々にも言ったじゃない。一緒に申し込んでおくねって。」

「え……えぇぇ……。」

 

 

そう言えばなんかそんな事言っていたような気がする。

多分その時はライブの事で頭がいっぱいになっていて副会長の言葉をよく聞いていなかったかもしれない。

徐々に菜々の顔から血の気が引いて行き、頭の中がグチャグチャになった。

 

 

(いやいやいやいやまずいまずいまずいまずい……そんなどうしよう……菜々とせつ菜は同一人物……私が私のライブを見れるわけ無いじゃないですか!!どうすれば……そうだ!用事があるって言って断ろう!ライブに出演するっていう用事はあるわけだから嘘じゃないはず……うん、よし、そうしよう!)

 

 

 

「あ、あの副会長!実は……、」

 

 

菜々がそう言うおうとしたその時、彼女が深く後悔した。

菜々が後悔したのは、副会長の目を見てしまった事だ。

副会長の目はいつになく輝いており、その目にはせつ菜が世界中に広めたいといつも言っている『大好き』が溢れている。

そんな副会長の誘いをもし断ってしまったら……、

 

 

「? 菜々?どうしたの?」

「……い、いえ……ライブ、た、楽しみですね!」

「えぇ!!」

 

 

 

 

~~

 

 

「……というわけなんです……。」

「いやコレ悪いのせつ菜ちゃんじゃない?」

「わ、わかってますよぉ!でも、副会長のあんな嬉しそうな顔を見たら断りきれませぇん!!」

「けど、それじゃ後から余計傷つくだけだよ、せっつー。」

「うぅぅ……愛さ~ん……。」

 

 

愛に痛いところを突かれ、ショックで机に顎を乗せて項垂れるせつ菜。

そんな時、ランジュが立ち上がり、机をバンッ!と勢いよく叩く。

 

 

「しょうがないわね!だったらこのランジュが、せつ菜の為に副かいちょーの誘いを断って来てあげるわ!!」

「えぇ!?ランジュちゃん大丈夫!?」

「もちろんよ歩夢!だってランジュなんだもの!」

「それは根拠になって無い気が……。」

「心配だから私も一緒に着いて行くよ。」

「うわーん!侑さんランジュさん!ありがとうございますぅ!!」

 

 

 

そう言って侑とランジュは部室を飛び出し、副会長の下へと向かった。

この時間ならば副会長はおそらく生徒会室にいると思われるので、2人が行って、帰ってくるまでにはそう時間はかからなかった。

意気揚々と向かった2人が帰って来た時にはすっかり意気消沈しており、ものすごく気まずそうな表情でせつ菜を見た。

 

 

「ど……どうでしたか…お二人とも……?」

 

「……いや、あれはダメだよ……あんなの断れないよ……。」

「あんなに嬉しそうに話されたら『菜々は行けない』なんて言い出せるわけ無いじゃない……。」

「そんなぁ!」

 

 

即落ち2コマでももう少し粘れるところを全く粘れなかった侑とランジュ。

頭を抱えるせつ菜は、呪詛を唱えるかの如く『どうしよう』と連呼していてかなり怖い。

すると愛が何かを思いついたかのように、ポンッ!と手を叩くと、自分のスマホを取り出して先ほどまで歩夢達とやっていたアプリゲームを起動させた。

 

 

「そうだ!その手があったよ!」

「愛さん?」

「せっつー、何とかなるかもよ!」

「ほ、本当ですか!?」

「何か思いついたの愛ちゃん?」

「コレだよコレ!」

 

 

そう言いながら愛が歩夢とせつ菜にアプリゲームを見せつける。

2人とも『?』を頭の上に浮かべて首をかしげる。

 

 

「今度のライブって、リアルじゃなくてGBNでやるでしょ?それを利用すればせっつーはライブに出られるし、副会長との約束も守れるよ!」

「と、言いますと……?」

「あ、そっか!せつ菜ちゃんのアカウントとは別に、菜々ちゃん用のサブアカウントを作って、それを使って誰かが副会長さんと一緒にライブに行けばいいんだね!」

「そうそう!ほら、スマホのアプリゲームってサブアカ使ってる人も少なくないじゃん?そんな感じで、せっつーの2つ目のアカウントを作ればいいんだよ!」

「愛さん……あなた、神ですか!?」

 

 

 

一応、GBNのサブアカウントを作ること自体は規定違反では無い。

それを不正に利用する場合は違反となるが、強くなりすぎてしまったダイバーが初心者のレベルに合わせるために使い捨て用のサブアカウントを作るなど、個人的な楽しみでの範疇に収まるのであれば問題は無い。

 

 

「ってことは、誰かが菜々ちゃんのフリをする必要があるんだよね?誰に頼む?」

「そこはやっぱりしずくっきゃ無いっしょ!」

「そうだね。演じると言えばしずくちゃんだね。」

 

 

そうと決まれば善は急げ。

せつ菜は急いでしずくへと電話。

この時間、しずくはちょうど演劇部の練習中だったが、ちょうど休憩時間だったのか電話に出てくれた。

 

 

 

『はい、もしもし。どうしたんですかせつ菜さん?』

 

 

「しずくさん!!!助けてください!!!」

 

 

『~~~………!!うぅ……耳キーンってなったぁ……!』

「あぁ!?す、すいませんしずくさん!!」

『いえ、別にいいですけど……それで、どうされたんですか?』

「はい、実は……、」

 

 

しずくに謝罪をすると、せつ菜は事の経緯をしずくへ説明。

電話越しにしずくも少し呆れ気味だったが、せつ菜があまりにも必死に頼んでくるのでため息をつきながらも彼女の頼みを承諾してくれた。

 

 

『わかりました。お引き受けします。』

「ありがとうございますしずくさん!!!」

『でも!次はこういう事が無いようにしてくださいねせつ菜さん!』

「うっ……お説教が耳が痛いです……。」

『私は物理的に耳が痛いです。』

 

 

なんとかしずくに当日菜々のフリをしてもらえる事となったせつ菜。

その安堵感からその場に崩れ落ち、机の上にだらしなく項垂れた。

 

 

「しずくが来てくれるならもう安心だね!」

「しずくちゃんの演技力はニジガクどころか他校にまで知れ渡ってるからね。見た目が菜々ちゃんになるGBNだったらまずばれないよ!」

「本当に凄いよね、しずくちゃん!」

「やっぱりしずくを見込んだランジュの目に狂いは無かったわね!」

「しずくさんは今の私にとって神様です!!!」

 

 

まるで神に祈るかのごとくしずくの写真を奉り始めた5人。

しずくもまさか、今頃先輩たちが揃いも揃って自分を崇めているだなんて思いもしなかっただろう。

 

 

 

~~

 

 

「おはよう、高咲さん、上原さん、宮下さん、鐘さん。」

「おはよう副会長!それに、菜々ちゃんも!」

「副会長、今日はお誘いありがとうございます。」

「私も菜々とライブを見に行けるだなんて嬉しいわ。」

 

 

ついにライブ当日。

侑、歩夢、愛、ランジュの4人は菜々と副会長と落ち合うと、ガンダムベースへと向かった。

本当なら菜々はせつ菜として先にログインしておくべきなのだが、副会長に怪しまれないように前日のうちに準備を完璧に済ませてギリギリのタイミングでログインする事にした。

 

 

「せつ菜ちゃんは一緒じゃないの?」

「え!?あー……えっと……。」

「せっつーは先に会場に行ってるよ。」

 

 

歩夢が言葉に詰まったところで愛が助け船を出す。

その間に菜々、侑、ランジュの3人が集まり、副会長に聞こえないぐらいのボリュームで話し始める。

 

 

「しずくさんからの連絡はありましたか!?」

「ううん、それがまだ……。」

「ランジュも何も聞いてないわ。」

「先にガンダムベースに行ったのかな?」

「だといいのですが……。」

「私、しずくちゃんに電話してみるね。」

 

 

侑がしずくの事が気になって彼女へ電話を掛けてみた。

いつもならすぐ電話に出てくれるしずくが、10コール以上鳴らしても中々出てくれない。

不思議に思っていると、その後すぐにしずくから折り返しの電話がかかって来た。

慌てて電話に出ると、電話越しのしずくは声がしゃがれていた。

 

 

 

『ごほっ!ごほっ!ゆ……侑先輩……お、おはようございまず……。』

「しずくちゃん!?どうしたの、声凄いよ!?」

『うぅぅ……ず、ずいまぜん……実は、風邪をひいてじまいまじで……。』

「えぇ!?」

 

 

 

なんと、今日に限ってしずくが風邪をひいてしまったらしい。

 

なんでも昨晩、愛犬のオフィーリアと一緒にぬるま湯のお風呂に入って、そのまま寝てしまった事が原因のようだ。

熱が39度以上あるらしく、先ほどまでスマホを手に取る事も出来ないほどだったらしい。

 

 

『ご、ごめんなざい、せつ菜さぁぁぁん……!』

「いえ……こちらこそ、余計な心配をさせてしまい申し訳ありませんでした。ゆっくり休んでください、しずくさん。」

 

 

侑から電話を替わった菜々がしずくにそう言って、通話終了。

そして侑に電話を返すと、菜々はその場で膝をつき、地面に向けて叫んだ。

 

 

 

「神は死んだ!!!!」

 

 

 

「え?菜々どうしたの?」

「わーーーー!!何でもない!!何でもなーーーい!!」

「せ……菜々ちゃん何があったの!?」

 

 

歩夢と愛にも事情を説明し、とりあえずガンダムベースへと向かう一同。

ガンダムベースに到着すると、副会長はウキウキしながら筐体に腰かけ、自分のダイバーギアと彼女の愛機である『ウイングガンダムセブンバスター』をセット。

副会長がログインした事を確認すると、全員で集まりもう一度作戦会議を始める。

 

 

「うわーーーーん!!!どうしましょーーーー!!!」

「と、とりあえず!せっつーは早くログインしなくちゃヤバいって!」

「ですがーーー!!」

「こうなったらランジュが菜々をやるわ!せつ菜!ダイバーギアを貸してちょうだい!」

「いやいやランジュちゃんと菜々ちゃんじゃキャラ違いすぎるって!」

「じゃあどうすんのよ侑!」

「うーん……菜々ちゃんっぽい人……しずくちゃんがダメとなると……、」

 

 

普段の菜々はせつ菜とは正反対の人物。

おしとやかで、物静かで、知的でクールなイメージを持っている。

そんな人物、どこにでもいるわけが無い。

 

ただし、この場以外では、の話だが。

 

 

「そんな人、どこに……、」

 

 

「「「じー…………。」」」

 

 

「……え?皆、どうして私を見るの?」

「歩夢さん!!!」

「え?え、嘘だよね?え?えーーーーーー!!?」

 

 

 

 

~~

 

「皆ーーーーー!!!今日は私のステージに集まってくれてありがとーーーーー!!!心行くまで、皆の大好きを叫んでくださいねーーーーー!!!」

 

 

 

そして、ついに始まったセツナのソロライブ。

ユウ、アイ、ランジュの3人はバンシィ・ノワールの襲撃を警戒しつつ、副会長とナナの様子を見守る。

 

 

「きゃーーー!!ナナ!ナナ!見て見てセツナちゃんがこっちを見てくれた!きゃーーー!!手を振ってくれたーーー!!」

「そ……そう、ですね……。」

 

 

泣きそうになりながらナナがユウ達の方を見ると、ユウ達は何とも言えない表情でナナにサムズアップ。

そしてナナ……中川菜々の姿となった上原歩夢は、次にセツナとガンプラバトルをすることがあれば絶対に容赦をしない事を心に誓った。

 

 

 





~にじビル毎回劇場~

第72回:ハロウィン

愛「いやー、楽しかったねモンスターハロウィン!しおってぃー、初めてのハロウィンどうだった?」

栞子「はい!とっても楽しかったです!ハロウィンってこんなに素晴らしいイベントだったのですね!」

愛「でも意外だなー。しおってぃーってお姉さんが薫子センセで、幼馴染がランジュでしょ?ハロウィンとか好きそうだけどなぁ。」

栞子「そうですね……確かに姉さんもランジュも、ハロウィンは大好きです。」

愛「じゃあどうして?」

栞子「姉さんはハロウィンの日はどんないたずらをしてもいいと思っているらしく、当日になるといつも以上に突拍子もないいたずらを私にしてきます。」

愛「うわー……大変そう……。」

栞子「そしてランジュはお菓子の代わりにお肉を要求してきます。そのせいでランジュがハロウィンの日に日本にいる時は私はつねにベーコンを持ち歩く羽目になりました。」

愛「ベーコン……。」

栞子「なので、今回のハロウィンパーティーはとても有意義でした!是非またやりたいです!」

愛「しおってぃー、今日はお菓子沢山食べな。愛さんの奢りだよ。」

栞子「え?そんな、悪いですよ!」

愛「いいから……思う存分、食べな。今までの分、おもっきり、好きなだけ。」

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