ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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白い死神

ナナ(歩夢)に押されて、バトルステージへとやってきた副会長。

すでに彼女の愛機である『新機動戦記ガンダムW EndlessWaltz』に登場するウイングガンダムゼロEWの改造機『ウイングガンダムセブンバスター』はスタンバイされており、対戦相手であるセツナもガンダムスカーレットエクシアに乗り込んでいる。

今回のセツナのスペシャルソロライブの目玉イベントである、セツナとの一対一のガンプラバトル……その対戦相手に選ばれた副会長は、まさか自分がセツナと戦えるとは思っていなかったようで感動と困惑で良くわからない表情をしている。

 

 

「ま、まさか私がセツナちゃんとガンプラバトル出来るだなんて……ど、どうしようナナ……!」

「あ、え、えーっと……。」

 

 

副会長に尋ねられて、こちらも困惑する歩夢。

副会長はあくまで友人であるナナ……中川菜々に聞いてきているのであって、上原歩夢に意見を求めているわけでは無い。

一瞬、どう答えるべきか悩んでしまったが、先ほどの副会長の様子から、下手にナナの真似をするとおそらく怪しまれてしまう。

少し考えてから、歩夢は副会長へ、自分の意見を言う事にした。

 

 

「大丈夫、落ち着いて。応援しているから、精一杯楽しんできて!……く、下さい……。」

 

 

最後の最後でやっぱり少し誤魔化した。

 

 

「……わかった。行ってきます!」

 

 

そう言うと、副会長はセブンバスターの胸のハッチからコックピットへと乗りこむ。

セブンバスターのコックピット内部は従来の操縦桿の他に、ガンダムデュナメスなどのロックオン系統のガンダムの様なスナイパーライフル型の操縦桿もあり、左手で操縦桿を、右手でライフルのグリップに手を置く。

立ち上がったセブンバスターはゆっくりと、スカーレットエクシアの待つバトルステージへ。

 

 

「バトルの申し出を受け入れて下さり、ありがとうございます!」

『せ、セツナちゃん……!』

「あなたは、私達の学校の副会長さんでしたね。今日は、お互いの大好きをぶつけ合って、全力で楽しみましょう!!」

『……はい!!』

 

 

『BATTLE START』

 

 

バトル開始の合図が鳴ると、観客席とライブ会場の周りに防御シールドが張られた。

両者腰を落とし、セツナはスカーレットエクシアのGNソードSSPを、副会長はセブンバスターの腰に下げたライフル二丁を構える。

 

 

 

「ガンダムスカーレットエクシア!!目標を駆逐する!!」

『ウイングガンダムセブンバスター!ミッション、スタート!』

 

 

 

「? セブンバスター……?」

「どしたんゼン君?」

「いや、なんか聞いた事ある名前だなーって……。」

 

舞台袖で副会長のセブンバスターを見ながら、首をかしげるゼン。

そんな彼の疑問など知る由も無く、ついに始まるセツナと副会長のガンプラバトル。

 

背面のGNドライブからGN粒子をまき散らしながら、スカーレットエクシアが一気にセブンバスターへ詰め寄る。

GNソードSSPとスカーレットエクシアの加速による突進攻撃だ。

並のガンプラならばこの攻撃を躱すのは至難の業だが、セブンバスターはセツナがその動作に入った瞬間からその攻撃を読んでいたのか、攻撃の命中する寸前に軽く胴体を逸らしてその攻撃を回避。

さらにスカーレットエクシアを背後から射撃し、彼女に思わぬダメージを与える。

 

「くっ……!今の攻撃を躱すだなんて、やりますね!!」

『よし……今度はこっちから攻めよう、セブンバスター!』

 

 

ショルダーパーツに取り付けていたパーツを外し、ライフルに装着。

これによりセブンバスターのビームライフルをバスターライフルへと変形させ、一気に攻め込む。

二丁のバスターライフルの大火力がスカーレットエクシアを襲い、セツナは地面を走りながらその攻撃をなんとか回避し続ける。

あんなのが命中したらひとたまりもない。

だが、副会長はまるでセツナがどう回避するのか読んでいたかのようにバスターライフルの向きを変え、彼女を自分の眼前まで来るように仕向けていた。

セツナがそれに気づいたのは目の前までセブンバスターが迫っていた時で、セブンバスターがビームサーベルの代わりにシールドに仕込んでいたビームショットガンで胸中を撃ち抜かれてしまった。

 

 

「うわあああ!!」

『あ、あぁ!?ご、ごめんなさい!でも、コレはガンプラバトルだから……いくらセツナちゃんでも、ううん、セツナちゃんだからこそ、手加減はしません!!』

 

 

 

「思い出したぁ!!」

「うわぁっ!?び、びっくりさせんなやゼン君!!」

「ごめんごめんアーク君。思い出したんだよ、あのガンプラの事。」

 

 

スカーレットエクシアを圧倒するセブンバスターを見て、何かを思い出したかのようにゼンが声を上げた。

接近格闘戦においてGBNの中でも屈指の実力者でもあるセツナを圧倒する副会長のウイングガンダムセブンバスター……その名前は、ゼンは少し前に聞いた事がある。

 

 

「七つのバスターライフルを使い分ける、Aランク級ダイバー……フォースにも所属せずに、たった一人で数多の強豪を打倒した伝説のガンプラ……付いた異名は『白い死神』。」

「し、死神ぃ!?なんやそのけったいなあだ名……っていうか、それがあの子やっちゅーんか?」

「うん。ウイングガンダムゼロカスタムをモチーフにして、名前も同じセブンバスター。間違いない、セツナちゃんの対戦相手は、かなりの強敵だ!」

 

 

 

~~

 

 

その頃、セツナVS副会長のバトルを少し離れた空中から見下ろしていたのは、バンシィ・ノワール。

セツナのスカーレットエクシアと、副会長のセブンバスターの動きを目で追いながら、彼女達の試合を淡々と見ている。

すると、バンシィ・ノワールの聴覚センサーに『キーン……!』という高い音が聞こえ、それが徐々に大きくなってくると、その音の鳴る方向へとノワールクローを突き出した。

 

 

ガンッ!!という大きな音と強烈な衝撃がノワールクロー越しにバンシィ・ノワールに伝わり、顔を上げた先にはバンシィ・ノワールの宿敵とも言える機体の姿があった。

 

 

『高咲侑……!!』

「やっぱり来たね!!バンシィ・ノワール!!」

 

 

バンシィ・ノワールの眼前にいたのは、虹色のサイコフレームを輝かせてアシムレイトNT-Dを発動したニジガクのガンプラ、レインボーユニコーンガンダム デストロイモード。

更に彼女の後ろにはユウと一緒にパトロールをしていたアイの乗る愛参頑駄無の姿もあった。

 

 

「私達がライブをすると、あなたは必ず現れる!だから今日は、事前に見回りをさせてもらってたよ!!」

『魂太の人からライブ会場の外に変な反応があるって聞いてきたけど、正解だったねゆうゆ!せっつーの邪魔はさせないぞーーーー!!』

 

 

愛参命全開をスピアモードにして、バンシィ・ノワールへ突撃する愛参頑駄無。

勿論バンシィ・ノワールはそれをかわすが、躱した先にはレインボーユニコーンの設置したシールドファンネルがあり、それらがバンシィ・ノワールを攻撃。

左手のノワールクローと右手のノワールブラスターで二つのシールドファンネルを落したバンシィ・ノワールは、一気に回り込んでレインボーユニコーンの首を掴んだ。

 

 

「ぐっ……!」

『! ゆうゆ!この!!』

『邪魔をするな、宮下愛!!』

 

 

 

レインボーユニコーンを助ける為に愛参頑駄無がバンシィ・ノワールへ接近。

スピアを振り上げた瞬間に、右手のノワールブラスターをパージして通常の拳が出てくると、そのまま愛参頑駄無の首も掴む。背面のブースターを加速して二機を地面にたたきつけ、レインボーユニコーンと愛参頑駄無に大ダメージを与えた。

 

 

「『うわぁっ!!』」

『このままひねりつぶしてやる……!』

 

 

二体のとどめを刺そうとバンシィ・ノワールがクローを振り上げる。

だが次の瞬間に、バンシィ・ノワールの身体が何者かに吹っ飛ばされた。

地面を転がり、起き上がった彼が見たのは、レインボーユニコーンのシールドファンネルを装備して自分に突撃してきた赤いモビルスーツの姿。

 

 

『油断したわね!!このランジュもいるって事を忘れないでちょうだい!』

『鐘……嵐珠……。』

 

 

 

 

~~

 

 

白い死神の通り名を持つウイングガンダムセブンバスターを駆る副会長の猛攻を、ギリギリで回避し続けながらバトルステージ中を駆け回るスカーレットエクシア。

全力で躱し続けているが、それでも被弾は免れずに、徐々に機体にダメージが蓄積されていっている。

 

「ま、まさか副会長がGBNでも指折りのダイバーだったなんて……それに、この正確な射撃の腕と無駄の無い動き……もしや、ゼロシステム……?」

 

 

『ゼロシステム』とは、ウイングガンダム系統に搭載された状況分析結果を脳内に直接伝えるための戦力インターフェース。

しかしその精度は並外れた物で、簡単に言えば未来を見せてくれるようなシステムである。

だが、非常に強力で便利なこのゼロシステムではあるが、鉄血シリーズの阿頼耶識システムと同じように当然デメリットは存在する。

 

このゼロシステムは、相手を倒す事を最優先事項として処理される為、機体ひいてはパイロット自身の安全に一切考慮されていない。

更に非常に大量の情報を人間の脳内に流し込む為、精神力の弱い者は精神崩壊を起こしてしまい、最悪生き残れたとしても廃人となってしまう危険な代物。

 

これらのデメリットはあくまで『新機動戦記ガンダムW』におけるもので、当然GBNでは精神崩壊の危険性などは無い。

GBNのゼロシステムの欠点……それは、全ての情報が脳内では無く、コックピット内部に数式や英文などで表示されてしまう事。

 

 

要するに、ものすごく頭のいい人間でなければ使えないシステムになっている。

 

 

副会長はこの複雑なゼロシステムを使いこなしてセツナの行動を先読みし、的確な射撃を繰り出す。

更に装備された二丁のビームライフル、それらに強化パーツを取り付けた二丁のバスターライフル、頭部のバルカン砲とシールドに内蔵された近接用ビームショットガン。

そして、二丁のバスターライフルを合体させたツインバスターライフルの、計7つの重火器を状況に合わせて使い分けて戦うガンダム。

 

 

それが副会長の愛機、『ウイングガンダムセブンバスター』だ。

 

 

『セツナちゃん、私のバトル、受け止めて下さい!!』

「もちろんです!!相手は、強ければ強いほど燃えますから!!トランザム!!」

 

 

『TRANS-AM』

 

 

機体全体が赤く輝き、スカーレットエクシアはトランザムを発動。

3倍の機動力を得たスカーレットエクシアはバトルステージの中を縦横無尽に駆け巡り、セブンバスターにロックオンさせないように動く。

そんなスカーレットエクシアを捉えるため、バスターライフルだけでなく頭部バルカンも発砲し、セブンバスターが持つあらゆる重火器でスカーレットエクシアを襲う。

 

 

『!? ゼロシステムで捉える事が出来ない……!?え、ど、どうして……?』

 

 

相手の動きを読みとり、未来を予測するゼロシステムでも捉えられないスカーレットエクシア。

相手に何かしらの考えがある限り、予測できない結論などありえない。

いや、たった一つだけ、ゼロシステムで予測できない事がある。

それは……、

 

 

「あの動き……もしかしてセツナちゃん、今何も考えないで動いてる……?」

 

 

規則性の無いスカーレットエクシアの動きを見て、歩夢が呟く。

ゼロシステムは相手の行動パターンから規則性を割出し、それに基づく結論を導き出す。

つまり規則性の無い動き……要するに何も考えない適当な動きに対しては効力を発揮できない。

今のセツナは何も考えずにただ操縦桿をガチャガチャと動かしているだけで規則性も何もあったものでは無い。

 

 

『そういう事か!トランザムを発動しているから目でも追い切る事は出来ないわね……だったら!』

 

 

 

ならば、とセブンバスターが空へ浮かぶ。

そして二つのバスターライフルを合体させて巨大なツインバスターライフルにすると、それを地上へ向けて構える。

そこへエネルギーを溜める事で、ウイングガンダム最強の必殺技を放つことが出来る。

 

 

「副会長のあの構え……必殺技に違いない……!まだだ……もう少し……もう少し……!」

 

『今の隙だらけのセツナちゃんなら、この一撃で!行くよ、セブンバスター!』

 

 

 

エネルギーチャージを続けるセブンバスター。

トランザムでフィールド内を走り続けるスカーレットエクシア。

そして、いよいよセブンバスターのチャージが終わり、ツインバスターライフルによる必殺技『エンド・ワルツ』を放とうとする。

その瞬間、スカーレットエクシアもブースターを加速させ、高濃度圧縮粒子を全面開放しながらGNソードSSPを構えてセブンバスターへと突撃するために飛び上がった。

 

 

「『ここだーーーーー!!!』」

 

 

 

 

~~

 

 

バンシィ・ノワールを見つけてから、アイはレインボーユニコーンと愛参頑駄無のコンビと、シランジュによるバンシィ・ノワールの挟み撃ち作戦を提案していた。

その為シランジュは容易にバンシィ・ノワールの背後を取る事に成功し、2人を救助してからそのままバンシィ・ノワールをGNビームアックスで切り付ける。

その猛攻にバンシィ・ノワールは防戦一方で、一切反撃をしてこない。

 

『あなたは今日ここでランジュが止めてあげるわ!!光栄に思いなさい!!』

『…………。』

 

 

「……あれ?」

『どうしたのゆうゆ?』

「いや、なんか……今日のバンシィ、おかしくない?」

 

 

先ほどまではレインボーユニコーンと愛参頑駄無の2人を相手にしていても一切苦戦していなかったバンシィ・ノワールが、シランジュ一機に圧倒されているのは違和感があった。

それもシランジュは単純な斬撃攻撃しか繰り出していないにも関わらずだ。

まるで、バンシィ・ノワールがシランジュに攻撃する事を躊躇しているようにも見える。

 

『けどこれはチャンスだよ!今日こそアイツを捕まえよう!』

『早く来なさいユウ!アイ!じゃないとこのままランジュがお手柄を独り占めよ!』

「わ、わかった!行くよレインボーユニコーン……大変身!!」

 

 

『NT-D/AC』

 

 

デストロイモードの装甲がさらに開き、レインボーユニコーンはデストロイ・アンチェインドモードへと変身を遂げる。

全身のサイコフレームが虹色に輝き、一瞬でバンシィ・ノワールとの距離を詰めると、握りしめた右拳がバンシィ・ノワールに強烈なアッパーを喰らわせた。

そこへ愛参頑駄無がスピアで追い打ちをかけ、とどめにシランジュのキックがバンシィ・ノワールを地面にたたき伏せる。

地面を転がったバンシィ・ノワールはダメージを受けつつも立ち上がると、レインボーユニコーンたちを睨み付けた。

 

 

『観念しなさい!あなたは今日ここで終わるのよ!』

『何度も何度もアタシ達の邪魔をして……アイさんすっごく怒ってるんだからなーーー!!』

 

『……………。』

 

「? バンシィ……?」

 

 

クルっと振り返り、ユウ達に背中を見せたバンシィ・ノワール。

そのまま彼はどこかへと飛んで行こうとし、それをシランジュと愛参頑駄無が追いかけようとする。

だが、それをレインボーユニコーンが制止した。

 

 

『何で止めるのよユウ!』

「今日の目的はセツナちゃんのイベントを守る事で、バンシィを倒す事じゃないよ。深追いしすぎると、取り返しのつかない事になるかもしれない……前の私みたいに。」

『……確かに、せっつーの方も気になるもんね……向こうに何の被害も無いとは限らないし……。』

『あー!もーう!悔しい~!!』

 

 

じたばたと暴れるシランジュの襟パーツを掴んで、レインボーユニコーンたちは撤退。

その後ろ姿を、彼女たちから見えない位置から眺めていたバンシィ・ノワールは、去り際にポツリと言い残した。

 

 

『鐘嵐珠……優木せつ菜……マリナの、友達……。』

 

 

 

 

~~

 

 

 

「あ………!」

 

 

スカーレットエクシアとセブンバスターの戦いについに決着がつき、それを見ていた歩夢が息を呑んだ。

会場にいた全員の視線が、空中でGNソードSSPに貫かれているセブンバスターに釘付けとなり、力尽きて地面に落ちてきたスカーレットエクシアもなんとか立ち上がった上を見上げる。

 

セブンバスターが必殺技を放とうとした瞬間、スカーレットエクシアの剣がセブンバスターのボディをツインバスターライフルごと貫いた。

 

エネルギーが暴発し、そのまま上空で爆発を起こしたセブンバスターが墜落し、ボロボロになってその場に倒れる。

その姿はまるで、ヒイロ・ユイが自爆させたウイングガンダムの様だった。

 

 

『BATTLE ENDED!WINNER SETUNA!』

 

 

「はぁ……はぁ……か……勝った………?うっ……うおおおおおおお!!!やりましたよおおおおおおお!!!!」

 

 

セツナの叫びと共に、会場中から歓声が上がる。

何しろ相手はAランクの上級ダイバー。

沸き上がる歓声に包まれるセツナ……そんな彼女の後ろでは、機能停止したセブンバスターから副会長が降りてきた。

一生懸命戦ってくれたセブンバスターを労うように、彼女はセブンバスターの手に触れる。

 

 

「ご苦労様、セブンバスター。帰ったら、しっかりメンテナンスしてあげるからね。」

「ふ、副会長さ~ん!」

「! ナナ……。」

 

 

バトルフィールド用のバリアが解除され、戦闘エリア内にナナの姿の歩夢が入って来た。

彼女は副会長の手を取り、先ほどのバトルを大絶賛。

ナナの振りをすることなど忘れて、歩夢としての感想をありのままに伝えていた。

いつもの菜々と違う言動をするナナを見つめていると、スカーレットエクシアからセツナが降りてきて副会長に握手を求めて来た。

 

 

「せ、セツナちゃん!?」

「良いバトルでした!あなたの様なライバルに出会えて、私は幸せ者です!!」

「ライバル……?私がセツナちゃんの……?」

「はい!!ゼロシステムを我が物にして射撃で相手を徹底的に追い詰めるバトルスタイル!まさに白い死神の異名にふさわしい戦いでした!」

「うっ……そ、その名前、あんまり可愛くないから好きじゃないけど……でも、私も楽しかったです!」

「また一緒にバトルしましょう!!」

 

 

そう言って固く握手するセツナと副会長。

会場中から2人に歓声が上がる中、ステージの裏へと引っ込んだ歩夢を待っていたのは、バンシィ・ノワールとの戦闘を終えたユウ、アイ、ランジュの3人。

 

 

「歩夢ー!お疲れ様ー!」

「ユウちゃん!皆も!もう酷いよ皆!!私1人で大変だったんだからね!!」

「ごめんごめん!あとでアイさん家のもんじゃ奢るからそれで許してー!」

「もう……そう言えば、どうだった?」

「うん。やっぱり来たよ、バンシィ・ノワール。でも今日はちょっと変だった。」

「変?」

「なんていうのかな……私とアイちゃんには容赦なかったけど、ランジュちゃんと戦う時はどうも手を抜いていたって言うか……。」

「ランジュが強かっただけよ!!」

「はいはい、どーどー。っていうか、せっつーのライブステージも、襲おうとしてたって感じじゃ無かったよね。攻撃するかどうか迷ってる感じはあった。」

「どういう事なんだろう……?」

 

 

ユウ達が語る今日のバンシィ・ノワールの違和感。

何故彼は途中、攻撃の手を緩めたのか。

新しい疑問を抱えつつも、無事に成功を収めたセツナのスペシャルソロライブは、セツナと副会長の2人が会場中から歓声を浴びる形で幕を閉じた。

 

 

 

 

~~

 

 

イベントを終えた彼女たちは、ログアウトして現実の世界に戻って来た。

当然、菜々はセツナとしてでは無くナナとしてログインしていた事になっているため、ログアウト後も気は抜けない。

一方で肩の荷が下りた歩夢はログアウトしたと同時にそのまま筐体にだらしなく伏せて、侑達から心配されていた。

イベント後の打ち上げという形で全員愛の家でもんじゃ焼きを食べようと誘われたが、菜々と副会長はそのまま帰る事に。

途中までの帰り道が同じである2人は、一緒に帰る事になった。

道中、副会長は先ほどまでのライブとバトルの興奮が抜けていないのか、菜々にライブとバトルの感想を語っていた。

 

「あ~もう本当に最高!私がせつ菜ちゃんとバトル出来たなんて夢みたい!」

「アハハ……でも副会長、あんなにお強かったんですね。正直、驚きました。」

「……菜々の方は大丈夫?」

「え?な、何がですか?」

 

もしかして気付かれたか?と菜々は焦る。

そもそも菜々がバトルの相手に副会長を指名したのは、彼女が歩夢がナナに変装していると気付きそうだったからだ。

もしや入れ替わりがばれてしまったのか……そう考えると菜々の心臓が緊張と焦りで早くなる。

しかし、副会長の口から出てきたのは意外な言葉だった。

 

 

「ほら、菜々……私がライブに誘った時からあんまり乗り気じゃ無かったじゃない?それに今日も少し様子が変だったし……もしかしたら、嫌だったのかなって……。」

「そ、そんな!嫌だなんて……そんな事あるわけないじゃないですか!」

「バトルの際中もずっと菜々の事見てたよ。私とせつ菜ちゃんのバトル、楽しそうに見てくれてたから、少しは楽しんでくれたかなって。」

 

 

そのナナは歩夢だ。

本物の中川菜々は、優木せつ菜として副会長とバトルしていた。

 

 

(私は副会長の事を騙していたのに、副会長はずっと私の事を心配してくれていたんだ……それなのに私は……。)

 

 

「あ、あの副会長……お、お話が……!」

「話?」

 

 

言おう。

 

自分が優木せつ菜だと打ち明けよう。

 

菜々も、副会長の事は大切な友達だと思っている。

大事な友達だからこそ、こんな騙すような真似を続けるのはよくないと思う。

もしそれで今の関係が終わってしまったとしても、それは自分の責任に他ならない。

それ以上に、大切な友達に隠し事をして嘘をつきづけているという罪悪感に耐え切れない。

 

しかし、いざ言おうとすると言葉が出てこない。

 

躊躇してモジモジしている菜々の顔を見て、思わず副会長はクスクスと笑ってしまった。

 

 

「ど、どうして笑うんですか!真面目な話なんです!」

「ごめんなさい……その、菜々って小っちゃいから、モジモジしてるとお母さんに怒られる時の小学生みたいで可愛くて……。」

「え、えぇ!?わ、私は小学生ではありません!れっきとした高校生です!!」

 

 

随分失礼な事を言われて、思わずカっとなってしまった菜々。

その姿がまた可愛くて、副会長は笑いが止まらない。

 

 

「フフフ。ねぇ菜々、言いたくない事なら、言わなくてもいいのよ?」

「え……。」

「菜々が何か内緒にしたい事があるなら、私は深く聞かないし、今後も聞くつもりは無い。友達だからって、秘密の一つや二つあるものでしょ?私だってほら、Aランクダイバーだってこと隠してたし。」

「……良いんですか……?」

「勿論!あ、そうだ。これから私の家に来ない?今日のライブの感想、語り合いたいの!」

「……はい、是非!」

 

 

副会長はそう言ってくれたが、菜々は一つ決意した。

卒業するまでの間には、彼女に自分が優木せつ菜であると明かそう。

これは、副会長がくれた菜々に対する覚悟を決める為の準備期間なのだと、菜々はそう思う事にした。

 

 

(できればスクールアイドルとして最後のライブをする時は、私の口から彼女をライブに招待したい……その時までは、もう少し……この関係でいる事を許してください……。)

 

 

 

 

~~

 

 

数日後、再び休み時間にせつ菜以外の4人で集まりゲームをしていた2年生組。

スマホからシャンシャンという音をならせながら盛り上がっていると、いつかと同じように部室のドアが勢いよく開かれ、そこから涙目のせつ菜が入って来た。

 

 

「どーーーーしましょーーーーーー!!!!」

 

 

「「「!!?」」」

「せ、せつ菜ちゃん……?ど、どうしたの……?」

 

 

歩夢がそう尋ねると、目を潤ませたせつ菜が勢いよく歩夢に抱き着く。

彼女を落ち着かせようと背中をポンポン叩いていると、せつ菜が何があったのかを話してくれた。

 

 

「実は今度はリアルの方の私のライブに、菜々として副会長と一緒に行く事になってしまったんですーーーー!!!」

「「「「………はい?」」」」

「歩夢さんもう一度助けてくださーーーーーい!!!」

 

 

涙ながらそう訴えるせつ菜。

しかし、その言葉を聞いた歩夢は無表情になりせつ菜を引きはがす。

ハッとしてせつ菜が振り返ると、侑も、愛も、ランジュでさえも、せつ菜と目を合わせてくれない。

歩夢がせつ菜の肩に手を置くと、いつも穏やかな歩夢とは思えない様な表情でせつ菜へ言い放った。

 

 

「いい加減にしなさい。」

 

 

「そ、そんなーーーー!!!」

 

 

その後、歩夢からお説教を受けたせつ菜は、さすがに無理だと副会長の誘いを断った。

 

 

 

 

 

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第74回:11月11日

彼方「11月11日と言えばなんだーーーーーーーー!!!!」

ミア「え?えっと……ポッキーの日っていうのは聞いた事あるよ。」

璃奈「ポッキーゲームっていうのが流行る日。」

ミア「なんだいその面白そうなゲームは!?名前からじゃ想像もつかないなぁ!!そうだ!!璃奈、良かったら一緒にそのポッキーゲームっていうのをやってみないかい!!?」

彼方「ちっっっがーーーーーーう!!!!」

ミアりな「「!?」」

彼方「11月11日と言えば日本で……いや世界で……いいや!!宇宙で!!一番!!カワイイ!!遥ちゃんのお誕生日なのだーーーーーー!!!!」

璃奈「お、おめでとう……。璃奈ちゃんボード『ハッピーバースデイ』」

彼方「世間では皆ポッキーの日だのプリッツの日だの二コルが死ぬ日だの……。」

ミア「それはプリッツじゃなくてブリッツの日じゃん。」

彼方「そんな事より遥ちゃんの誕生日の方が大事でしょうがーーーーー!!!!」

璃奈「今日の彼方さんからはとても力強いオーラを感じる。」

彼方「と、いうわけで今日はニジガクと東雲で協力して遥ちゃんのお誕生日パーティーを盛大にやります。手を抜くことは重罪です。心の底から遥ちゃんの誕生を神に感謝して下さい。」

ミア「璃奈、彼方が怖い。」

彼方「さぁ、張り切っていくよーーーー!!ラブリー・ハルカ!!ラブリー・ハルカーーーーー!!!」

璃奈「私たちは遥ちゃんの誕生日を祝う事を、璃奈ちゃんボード『強 い ら れ て い る ん だ !!』」


~~


第75回:ハッピーバースデイ璃奈

ミア「フッフッフ……ついに今日は璃奈の誕生日だ!! Happy Birthday璃奈!!」

璃奈「ミアちゃん、ありがとう。」

ミア「今日は璃奈の為にニューヨークから特別に巨大ハンバーガーを取り寄せたんだ!それと璃奈と一緒にやろうと思っておすすめのベースボールゲームも用意したよ!」

璃奈「凄い……!このゲーム、レア物だ!」

ミア「あとねあとね!璃奈と一緒に作りたくてガンプラも買って来たんだ!璃奈、ジオンのモビルスーツ好きなんだろ?ザクとかグフとか色々準備したよ!」

璃奈「こんなにしてくれるなんて、悪いよ。」

ミア「そんな事無いよ!僕は璃奈の誕生日をお祝いできる事がとってもHappyなんだ!いや、この日の為に今まで頑張って来たと言っても過言じゃないよ!!」

璃奈「私も、ミアちゃんとお誕生日お祝いで来て嬉しい!私もミアちゃんのお誕生日の時は頑張って色々準備する!約束する!璃奈ちゃんボード『むんっ』!」

ミア「あぁ!約束だよ璃奈!」



しずく「私達の入る隙がありませんね……。」

かすみ「ミア子、りな子の事好き過ぎでしょ……。」

栞子「微笑ましいです。」

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