『闇』という言葉は、本来ならばガンダムシリーズにはそぐわないワードである。
元々ガンダムシリーズには正義も悪も存在せず、主人公が所属する組織と敵対する組織が『敵キャラ』として立ちはだかっているだけだからだ。
しかし、数多くのタイトルを掲げるガンダムシリーズの中には、この『闇』をテーマとした物も存在する。
それが『SD戦国伝』や『騎士ガンダム』を含む、SDガンダムシリーズ。
そして、その中でも特に『SD戦国伝』は『闇』そのものを敵キャラクターとして設定しており、歴代頑駄無大将軍たちと幾度となく戦い続けてきた。
最後に『闇』が登場したのは『SDガンダムフォース絵巻 武者烈伝』
このタイトルを最後に、続編の『武者風雲録』には登場していない。
以降の消息は、完全に不明のままである。
~~
「諸葛亮!!」
伝説の鎧の前で、倒れている仲間に駆け寄った劉備。
その場に倒れていた男こそ、劉備たちが探していた諸葛亮フリーダムガンダム。
このSDガンダムワールドで一番の頭脳を持つ男。
そしてその隣ではこのムシャワールドの長である信長ガンダムエピオンも倒れていて、そちらは急いで佐助が介抱しようとする。
だが、2人へ近づこうとしたその時、伝説の鎧から禍々しい瘴気がこれでもかという程溢れ出し、それに当てられた劉備と佐助はその場に膝をついた。
「な……なんだ……コレ……!?」
「体中の力が抜けるでござる……そ、それに拙者の中に湧き上がるこの感情は……これは……憎悪……!!」
佐助がそう言った瞬間、彼の瞳が赤く輝いた。
先ほどまで苦しそうにしていた彼はゆっくりと立ち上がると、武器を手に取り、何を思ったのか劉備へと襲い掛かって来た。
「なっ!?」
「何してんの佐助っち!?」
「わ、わからんでござる……!!だ、だが、何故でござろう……拙者は今、劉備殿が憎くて憎くて仕方がないのでござる!!」
「はっ!?ちょ、ちょっと待てって!!」
「劉備!!」
劉備へ斬りかかって来た佐助と劉備の間に、馬超が急いで割って入って来た。
馬超はそのまま佐助に斬られてしまい、その場に倒れ込み、彼に愛参頑駄無が駆け寄る。
「馬超!しっかりして!ねぇってば!!」
「ぐっ……ど、どうしちまったんだ……さ、佐助ェ……!」
暴走する佐助。
そして、そんな彼に呼応するかのように、諸葛亮と信長の傍にある伝説の鎧から黒い光で輝き始めた。
溢れ出ていた瘴気が伝説の鎧の前に集まると、徐々に鎧の色がくすみはじめ、鎧の上に巨大な人影を形作り始めた。
「何……あれ……?」
「うっ……!」
「!! 諸葛亮!!くそっ、離せ!!」
佐助を振り払い、諸葛亮へと駆け寄った劉備。
どうやら彼も信長もまだ息はあったようで、諸葛亮はうっすらと目を開けると、その場に劉備がいた事に驚きを隠せていなかった。
「りゅ……劉備……!?どうして、君がここに……いや、今はそんな事どうでもいい……早く止めないと……ヤツが……!」
「ヤツ!?ヤツってなんなんだ!?どうしてお前と信長さんがこんな所で倒れてるんだ!?佐助はいったいどうなっちまったんだよ!!」
「劉備!怪我人だよ、いっぺんに聞いても答えるの何て無理っしょ!!」
「あ、そ、そうだよな……悪い……。」
「彼女は……?」
「愛参頑駄無。俺達の新しい友達だ。」
意識を取り戻した諸葛亮の体には、無数の刀傷があった。
同じタイミングで目を覚ました信長には打痕が見受けられ、おそらく2人とも佐助と同じようにこの場で争い合い、互いに気を失ってしまったのだろう。
目を覚ました信長は暴走する佐助の姿を見て、眉をひそめた。
「佐助……ワシと同じ過ちを犯すか……!」
「信長さん!目が覚めたんだな!」
「貴様は……劉備ユニコーンガンダムか……。」
劉備を見た信長は、再び佐助を見る。
正確には彼の後ろにある、伝説の鎧を。
伝説の鎧から放たれる瘴気は、さらに佐助や倒れている馬超、更に諸葛亮と信長からもエネルギーを吸い取っているのか、彼らは少しずつ衰弱し始めていた。
そんな状態でも、諸葛亮は話し始めた。
「劉備……頼む、あの鎧を破壊してくれ……!!」
「何が起きているんだ諸葛亮!!」
「あれは伝説の鎧なんてたいそうな物じゃない……あれは、僕達の世界とは別の世界からやってきた、『闇』を封じ込めた邪悪な宝物だ!張角先生が見つけて研究をしようとしたが、そのあまりに強大な力に耐え切れず……!」
「ワシと諸葛亮で破壊を試みたが、お互いを憎悪する心を植え付けられてしまったのだ。今の佐助の様に……。」
「それで2人ともそんなボロボロになって倒れてたんだ……。」
「ハロの力を持つ劉備と、何故かはわからないが愛参にはあの鎧に対する耐性があるみたいだ……だから、僕達の分まで……!」
そこまで言うと、諸葛亮と信長は再び倒れてしまった。
更に、暴走しつくした佐助も倒れてしまい、ついにその場で動けるのは劉備と愛参頑駄無だけになってしまう。
そして、人型になった瘴気が鎧の前に降りてくると、その全貌が少しずつ明らかになって来た。
その外見は、モビルスーツに例えると『機動戦士ガンダムUC』のシャンブロに似ている。
しかし、色は黒と灰色がメインであり、SDガンダム特有のシルエットをしている。
更には伝説の鎧の意標が全身に見受けられ、シャンブロとナイチンゲール、『武者烈伝』の烈火頑駄無大将軍を組み合わせたような独特の姿をしていた。
これこそが、諸葛亮が危惧していた存在。
伝説の鎧の中に封印された、このSDガンダムワールドを闇に包みこむこのミッションのラスボス。
「何者なんだ……お前は……!?」
『わが名は『闇皇帝』!この世の全てを闇で支配する者なり!!』
『闇皇帝』の復活だった。
『闇皇帝』とは、『SD戦国伝』シリーズにおけるラスボス。
時代と共に姿を変えて様々なシリーズに登場し、『武者烈伝』では闇邪神として復活したが、烈火頑駄無大将軍によって封印された。
その後は武者頑駄無シリーズが下火になった事もあり登場していなかった存在だった闇皇帝だが、何故このSDガンダムワールドのストーリーミッションに組み込まれているのかは不明。
「闇皇帝って……なんで戦国伝のラスボスが、三国創傑伝のストーリーミッションに出て来てんの!?」
『……お前は、この世界の者では無いな?』
「え?」
『その身で思い知るといい、この世界が、お前の考えている様な世界では無いと言う事を!!』
そう言いながら闇皇帝が手を上げた。
すると、空から黒い隕石が降り注ぎ、劉備と愛参頑駄無を襲う。
当然二人ともそれを避けようとするが、一部回避の難しい物は自分の剣で切り裂き、闇皇帝に近づいて行く。
だが、愛参頑駄無は攻撃を避けきれず、一発命中してしまった。
「うわぁぁ!!」
「愛!!」
地面を転がる愛参頑駄無。
今の一撃で彼女の纏っていた鎧が割れ、その破片で腕を怪我してしまった。
その瞬間、激痛が彼女を襲い、今までに感じた事の無い痛みに思わず顔をゆがめた。
「いっ……いたっ……!?え、なにこれ……どうしてこんなに痛いの……?」
『まだわからぬか。お前の感じている痛みは、全て現実だと言う事だ。』
「げ、現実って、ど、どういう……?」
闇皇帝に言われた瞬間、愛参頑駄無が今まで感じていた違和感が無くなった感じがした。
ショク・エリアで巨大ムカデに襲われた恐怖、ネットの世界であるにも拘らず感じる空腹感、村人たちの争いの時に鼻を突いた血の匂い、そしてこの痛み。
どれもGBNで再現するのはあまりにもリアルすぎる物ばかり。
そうなると、考えられることはただ一つ。
「まさか……これ、リアルって事……?じゃあ、アタシ……今……!?」
「愛!!危ない!!」
ハッとした時、彼女の眼前まで闇皇帝の腕が伸びていた。
ナイチンゲールの様な隠し腕を伸ばしてビームサーベル状の刀を振り下ろす闇皇帝の攻撃から、劉備が愛参頑駄無を庇った。
背中を切り裂かれた劉備は痛みで顔をゆがめ、その場に倒れ込んだ。
「りゅ、劉備!!ごめん、アタシ、ぼーっとしてて……!」
「なんのこれしき……!!悟空からもらった一発に比べりゃ、大した事ねーぜ……!!ハロ!!」
剣を杖代わりにして劉備が立ち上がる。
彼の元に、相棒であるハロが飛んでくると、ハロに龍の紋章が浮かび上がった。
そして、ハロと共に緑色の光に包まれた劉備は、その姿を徐々に変えていく。
赤いサイコフレームは緑色の覚醒状態に。
金色の装飾が増え、胸には龍の顔が。
両肩にはシールドファンネルと似たパーツが取りつき、劉備は彼の中に眠る真の力を覚醒させる。
「行くぜ闇皇帝!!この世界は、俺が守る!!」
フルアーマーユニコーンガンダムをモチーフとした劉備のパワーアップ形態、『龍賢劉備ユニコーンガンダム』だ。
剣を天に掲げ、そこに光を宿す。
そして彼は緑色の炎と共に、闇皇帝へと突き進んでいく。
「うおぉおおおおお!!!必殺!!超絶至極!!超絶龍破斬!!!」
龍賢劉備ユニコーンガンダム単独での最強必殺技『超絶龍破斬』で闇皇帝へと斬り込んでいく。
闇皇帝は自身の手の中に黒い巨大な刀を生成すると、真正面から劉備の攻撃を受け止めた。
今まで、この形態の劉備の攻撃を凌いだ者は誰ひとりとしていない。
劉備自身も、それを見ていた愛参頑駄無も、彼の勝利を確信していた。
しかし、
「うわぁああああ!!!」
「劉備ーーー!!」
なんと、龍賢劉備の攻撃が弾かれ、逆に突き飛ばされてしまった。
そのまま地面に落ちた劉備は元の姿に戻り、その前に闇皇帝が立ちはだかった。
「くっ……そぉぉぉ……!」
元々、龍賢劉備ユニコーンガンダムとは、彼の仲間である張飛、関羽、黄忠、趙雲、馬超、そして諸葛亮の力を一つに合わせて戦う形態。
劉備単独での変身では、戦国伝シリーズの闇の集合体である闇皇帝にはわずかに力が届かなかった。
これで、残ったのは愛参頑駄無ただ一人。
闇皇帝は彼女の前に立つ。
『何故、自分がこんな所にいるのか……そんな顔をしているな?』
「…………。」
『お前の世界の時空は非常に不安定だ。ゆえに、ワシを封じた伝説の鎧の影響を受けたのだろう。』
愛参頑駄無の元いたGBNは、現在バンシィ・ノワールによるバグの影響でシステム全体が不安定になっている。
闇皇帝は次元を超える鎧の力でそのバグを吸収し、復活するだけの力を溜めたのだ。
『ワシは元々お前の世界の住人だった。GBNの世界で作られ、その世界で敵キャラクターとして倒されていくだけの運命だったが、元の世界の時間で3年前、転機が訪れたのだ。』
3年前と言えば、ビルドダイバーズを含めた有志連合によるブレイクデカール掃討作戦が行われた時期。
あの頃もブレイクデカールやELダイバーの影響でシステムに不具合が生じていた。
『その影響でワシを封じた鎧ごと、数百年前のこのSDガンダムワールドに転移したのだ。おかげでワシは復活するだけの力を溜める事が出来たぞ。ただの敵キャラクターとしてでは無く、この世界を支配する偉大な支配者としてなぁ!』
グッと拳を握りしめた闇皇帝。
数百年の時を経て、禍々しい姿に変貌を遂げた彼は、そのおぞましい姿を愛参頑駄無に晒す。
そして、彼女に向けて手を差し伸べた。
『どうだ?ワシと共にこの世界を支配しようではないか。悪い話では無いぞ。お前は我が妃として、愚民を足蹴にして楽しく暮らしていればそれで良いのだからなぁ!』
「………無いじゃん……。」
『なんだと?』
「そんなの、楽しいわけ無いじゃん!!おりゃーーー!!」
愛参命全開を手に取った愛参頑駄無は、それで闇皇帝を貫いた。
だが、闇皇帝は身体を気体のように変化させてその攻撃を躱し、少し後ずさった。
「アタシ、この世界の事、ずっとゲームの一部だって思ってた。だけど村の人達の喧嘩とか、佐助っちとか、この場所とか見て、本当にゲームなのかなって、心の中で思ってた……。でも、違うんだよね。悲しいけどコレ、現実なんだよね……。」
『その通り。だからワシと共にこの世界を……、』
「だったらアタシは、この世界の人達を笑顔にしたい……。」
『なんだと?』
「知ってる?笑顔ってさ、楽しいから笑顔になるわけじゃないんだよ。楽しいから笑うんじゃない、笑うから楽しいんだ!でも、ここの人達は全然笑ってない。皆、ずっと苦しそうにしてる。」
『素晴らしい光景ではないか!ワシの望む世界そのものだ!!』
「アンタの望むものと、皆が望んでるものは違うよ!!苦しんでる姿を見て、嬉しい人なんていない……アタシは、どんな人にでもずっと笑顔でいてほしいんだ!」
『えぇい!!やかましい!!なんなのだ貴様は!!』
『アタシはスマイル系スクールアイドル 宮下愛!!アタシの愛で、皆を笑顔にして見せる!!』
愛参頑駄無がそう宣言すると、劉備の傍に倒れていたハロが起き上がった。
ハロが超オレンジ色の光を放つと、その光は愛参頑駄無、そして伝説の鎧を繋ぐ。
すると伝説の鎧が宙に浮かび上がり、全体に亀裂が走った。
伝説の鎧が砕け散ると、中から超オレンジ色の鎧が姿を現し、それは愛参頑駄無の前に飛んできた。
「こ、これって……!」
『バカな!!伝説の鎧が……武可舞化の鎧が復活しただと!?』
「……よーし……愛さん、いっきまーーーーーす!!」
次元を超える伝説の鎧の正体。
それは、『武者烈伝』で烈火頑駄無大将軍が纏った純白の鎧『武可舞化』の鎧のなれの果てだった。
闇邪神と化した闇皇帝を封じた影響で黒ずんでしまっていた鎧が、SDガンダムワールドの神器であるハロの力を借りて、新しい姿として蘇った。
愛参頑駄無は纏っていた鎧を全て取り外すと、伝説の鎧をその身に纏う。
ボディを挟み込む形で胸パーツとバックパックが接続され、そこに肩パーツとしてオレンジ色に変わった鉄肩が接合。
巨大な砲塔が腰に取り憑き、足には底の厚い下駄パーツが装着。
クジャクの羽のように広がった翼は、どことなくHi-νガンダムを彷彿とさせる。
最後に直江兼続頑駄無と天翔狩人摩亜屈の兜飾りを足したような、巨大な角とでかでかと掲げた『愛』の文字のついた兜をかぶり、右手にはもんじゃ焼きのへらを大きくしたような軍配を手に取った。
こうして、新たな姿を得た愛参頑駄無は、空高く舞い上がり、軍配を天に掲げた。
『愛参頑駄無!!大笑軍!!!』
SDガンダムワールドと、SD戦国伝の二つの力を得た愛参頑駄無の最強形態。
直江兼続頑駄無、Hi-νガンダム、烈火頑駄無大将軍をモチーフとした、新しい姿。
『愛参頑駄無大笑軍』だ。
『大将軍……!?大将軍だと!?馬鹿な!!何故この世界に大将軍が現れるのだ!!』
「大将軍じゃないよ!!大『笑』軍だよ!!愛さんの愛で、この世界の皆を笑顔にする!『アイ』だけにね!!」
そうして、掲げられた軍配。
そこからオレンジ色の光が溢れると、それらは倒れている劉備、馬超、信長、諸葛亮、佐助に降り注ぐ。
するとたちまち彼らの怪我が治り、全員立ち上がった。
「け、怪我が治った……!?すげぇぞ愛!!」
「信じられない。伝説の鎧の力……いや、彼女の力なのか?」
その光景を見て、憤慨した闇皇帝は、背中からファンネルの様な物を飛ばし、愛参頑駄無達を攻撃。
しかし、愛参頑駄無も負けじと背面のファンネル『天翼』を飛ばし、闇皇帝のファンネルを相殺。
更に愛参命全開を手に取り、それで闇皇帝の闇の刀と鍔迫り合いを始めた。
『だが所詮はこの程度!!ワシには及ばぬわ!!』
「アタシだけじゃない!!アタシには、愛友の皆がいる!!」
『愛友だと!?』
「「俺達だーーーー!!!」」
飛び上がったのは、馬超ガンダムバルバトスと、龍賢劉備ユニコーンガンダム。
彼らは闇皇帝に飛び蹴りを放ち、闇皇帝を地面へと叩き落す。
更にそこへ、佐助デルタガンダムと信長ガンダムエピオンが斬り込み、闇皇帝のボディを切り裂いた。
『き……貴様らぁ!!』
「僕を忘れてもらってちゃ困るよ。」
そう言うのは、諸葛亮フリーダムガンダム。
彼が持つ扇『宙天羅扇』を掲げると、羽根が展開し、吹き荒れる疾風が闇皇帝を襲う。
闇皇帝には微々たるダメージであるが、足止めには成功した。
その隙に愛参頑駄無大笑軍は愛参命全開をライフルモードに変形させ、そこに鎧から分離した鉄肩を接続。
Hi-νガンダムの武装でもある超巨大なハイパー・メガ・バズーカ・ランチャーを模した最強武器『スーパー愛参キャノン』を構える。
この武器はそのあまりの威力ゆえに、愛参頑駄無の時ではまともに運用できなかった。
だが、この愛参頑駄無大笑軍は違う。
彼女の纏う大将軍の鎧は、この威力に耐え切るだけの耐久性を持つ。
「エネルギーチャージ完了!!スーパー愛参キャノン、準備完了!!」
「皆、離れるぞ!!」
劉備が叫ぶと、一斉に闇皇帝の周りから離れていく。
そして、エネルギーチャージが完了したスーパー愛参キャノンを闇皇帝へ向けて、愛参頑駄無大笑軍は引き金を弾いた。
「ファイヤーーーーーーー!!!」
『こ……こんなはずでは……だが、ワシは再びよみがえる……その時こそ、この世界のすべてを支配してくれる……ぐおおおおおおおおお!!!』
巨大な爆発と共に、爆散する闇皇帝。
愛参頑駄無大笑軍の鎧が持つ光の力は、闇皇帝を完全に消し去った。
闇皇帝を倒したことで、彼女たちのいた時空が再び歪み、周りの景色は天宮から再びムシャワールドへと変わった。
「………た、倒した……。」
「やったぜ愛!!すげぇよお前!!」
「ううん、アタシ1人の力じゃないよ、皆が助けてくれたおかげだよ!」
「……だが、この異変で、多くの命が失われてしまった……。」
諸葛亮がそう言うと、全員で城下町を見下ろす。
元々この世界に、闇皇帝は存在しなかった。
その闇皇帝が蔓延させた瘴気で、大勢の犠牲を出してしまった。
だが、愛参頑駄無大笑軍はそれを良しとしない。
彼女の目的は、皆を笑顔にする事。
軍配を掲げて空へ浮かぶと、彼女は大声で叫んだ。
「異変のせいで失くした物、壊れた街、失った命、全部元に戻すよ!!愛さんの愛パワーで、みーんな笑顔になれーーーーーー!!!」
超オレンジの光が放たれると、その光はSDガンダムワールド全体を包み込んだ。
そして、その光は全てを異変が起こる前の状態に戻すためのもの。
壊れた街も、死んでしまった者も、全てはこの世界に本来あってはならない闇皇帝により引き起こされたもの。
よって、この世界の異物である闇皇帝がもたらした物は、すべてリセットされなければならない。
「!! ま、街の住人が……元に戻っているでござる!!」
「これが伝説の鎧の力か。大したものだ。」
「違うよ信長さん、コレは愛の力さ!」
「えへへ。ん?」
恥ずかしそうに鼻をかく愛参頑駄無の目の前に、ずっと表示されなかったコンソールパネルが表示された。
そこに出てきたのは、ストーリーミッションをクリアしたという知らせと、もう一つ……ログアウト画面だ。
ログアウトには『YES』という選択肢しかなく、愛参頑駄無はその場にいる全員を見回す。
「ごめん皆、愛さん、帰らなきゃいけないみたい。」
「……そっか。そうだよな。元々は愛の仲間さがしの為に始めた旅だったもんな。」
名残惜しそうにする劉備と馬超。
この2人にはショク・エリアからここまで、ずっと助けられてきた。
特に劉備は、最後の戦いの時に力をくれた恩人だ。
「愛さん、皆の事忘れないよ!いつか絶対、またここに遊びに来るよ!その時はアタシの友達をみんなに紹介したいな!」
「あぁ!その時は、俺達がこのワールドを案内するぜ!ここ以外にも、ネオワールドとかパイレーツワールドとかナイトワールドとか、色んなワールドに、俺達の仲間がいるんだ!だから……また、いつか!」
そうして握手をする愛参頑駄無大笑軍と劉備。
すると、愛参頑駄無の姿が光に包まれ、元のアイの姿に戻った。
そのまま彼女の体はGBNからログアウトする時の様な粒子のように散らばり、最後に、この世界で共に戦った仲間たちに言い放った。
「じゃあね皆!!愛してるよ!!『アイ』だけにね!!」
~~
「ハッ!!」
「あ、やっと戻って来た~!」
ログアウトして、ヘッドギアを外した愛の前には、SDガンダムワールドへ渡る前に共にミッションをプレイしていたかすみ、璃奈、ミアがいた。
その顔を見た愛は一瞬放心状態になるが、すぐそばまで顔を近づけて来ていたかすみに、思いっきり抱き着いた。
「ひえぇ~!?な、なんですかなんなんですかぁ!!」
「うわーん!!会いたかったよ皆~!!」
「いやいや意味わかんないですって!っていうか会いたかったって、勝手にどっか行ってたの愛先輩じゃないですかぁ!」
「あ、あれ……なんかかすかす、反応冷たくない……?久しぶりに会ったって言うのに……。」
「久しぶり?何言ってるんですか愛先輩?」
おおよそ1週間ぶりの再会となるというのに、ログアウトしてきた愛との再会を喜ぶどころか、急に抱き着いて揉みくちゃにされた事をプリプリと怒るかすみ。
頭の上に『?』を浮かべる愛に、ミアが衝撃的なひと言をはなった。
「まぁ、30分も勝手にどっか行ってたんじゃそりゃ怒るよね。」
「探しても見つからなかったから先にログアウトして待ってたよ、愛さん。」
「で、どこに行ってたのさ、愛。」
「さ……30分……?1週間とかじゃなくて……?」
「さっきからなんか変ですよ愛先輩。もしかしてかすみん達の事からかってます?」
愛があの世界で過ごした時間は1週間。
それに対し、かすみ達は愛と別れて30分しか経っていないという。
もしかしてあれは夢だったのか……愛が一瞬そう思った時、璃奈がある事に気が付いた。
「あれ?ねぇ愛さん。」
「ん?」
「愛さんのガンプラって、あんな形だったっけ?」
「ホントだね。見た目が変わってる……。」
「えー!?愛先輩もしかして秘密の特訓とかしてたんですかぁ!?ぐぬぬ……かすみんを差し置いて……!りな子ミア子!私達も特訓するよ!」
と、言いながらかすみが璃奈とミアを無理やりもう一度ログインさせてしまった。
ダイバーギアから愛機を取り外すと、愛はそのガンプラ……愛参頑駄無大笑軍を見て、笑った。
「また会おうね、皆!」
~~
「ふぃ~、やっと帰って来れた~!」
「ムシャワールドは遠いからね。」
「良かったな諸葛亮、翼があって。お前体力無いもんな~。」
「否定はしないよ。」
愛と別れた劉備、諸葛亮、馬超の3人は、なんとか数日かけて故郷であるキングダムワールドのショク・エリアへ戻って来た。
そこで、劉備はふと思った疑問を諸葛亮に投げかけた。
「なぁ、愛の鎧って、元々は諸葛亮の先生があそこに隠したんだろ?どうして何百年も昔のムシャワールドの伝記にあの鎧の事が残ってたんだよ。」
「簡単な話さ。あそこは時間の流れが僕達の世界とは違う。世界によって、時間の進むスピードはまちまちだからね。」
「ふーん。そうなのか。」
「きっとあの鎧は、こうなる事を予見していたのかもしれない。いずれ自分が封じた闇皇帝が復活した時に備えて、別の世界から彼女を呼びよせたんだろう。」
諸葛亮曰く、伝説の鎧……今の名は『大笑軍の鎧』は、自分を纏うにふさわしい者を求めていたという。
そこにハロの力が加わり、愛参頑駄無大笑軍が誕生した。
異変が起きた時点で、愛がこの世界に来ることは決まっていた事なのかもしれないと思うと、少し運命めいたものを感じてしまう。
「……よし、難しい事考えるよりはまずは飯だ!黄忠のおっちゃんにたらふく奢ってもらおうぜ!」
「ハハハ、そうだね。」
「……ん?なぁ劉備、諸葛亮、なんか聞こえないか?」
「「え?」」
馬超がそう言うので耳を澄ます2人。
確かに、何か聞こえる。
コレは……バイク音だ。
バイク整備をしている黄忠ガンダムデュナメスのガレージはまだ先なので、これは黄忠の出している音では無い。
すると、今度は劉備たちを呼ぶ声が聞こえた。
「おーーーーーい!!劉備ーーーーーー!!!」
「あれって……。」
「……もしかして、趙雲か……?」
勢いよく突っ込んできた青いバイクが、劉備たちの前に急停止した。
そこから元々青色だったボディを金色の染め上げた、アメリカかぶれのミーハーな男が降りてくると、彼は武器である双剣を手に取り、劉備たちを守るように立ち上がった。
「劉備!!大丈夫か!!お前たちが大変だって風のうわさで聞いてな……だけどもう大丈夫!!アルセーヌガンダムX師匠の下で修業を積んだ、この趙雲ダブルオーガンダム様が駆けつけたからにはお前たちには指一本触れさせないぜ!!」
「………終わったよ……。」
「え?」
「来るの遅いよ、趙雲。」
「っていうか助けに来るのにその格好ってどうなんだよ。」
「え、ちょっと待ってちょっと待って。え?終わったの?ホントに?」
「「「うん。」」」
「嘘だろーーーー!!?わざわざネオワールドからぶっとばして帰ってきて、途中でガス欠になって近くの民家から借金までして駆けつけたのにーーーー!!?」
「一番大変なのお前じゃん。」
駆けつけた男は趙雲ダブルオーガンダム。
来るのが遅いが……これで、ショク・エリアに暮らしているドラゴンズ・ウォッチのメンバーは全員そろった。
落ち込む趙雲と肩を組み、劉備は意気揚々と腕を突き上げた。
「まぁ、折角趙雲もこうして帰って来たんだし、ひとまず飯だ飯!!腹いっぱいになれば趙雲だって元気出るさ!」
「うぅぅ……劉備~……!」
「そうだね。」
「間違い無い。行こうぜ、劉備!」
「おう!」
彼らはSDガンダムワールドのヒーローズ。
今日も明日も、これからもずっと、彼らはこの世界の為に戦い続けるだろう。
~にじビル毎回劇場~
第79回:イケメン選手権
マギー「やっぱり~、イケメンと言えばチャンプよねぇん♡リアルでもGBNでも程よく引き締まった身体で本当にかっこいいわ~ん♡」
ナナミ「いやぁ、確かにキョウヤさんもカッコいいけど、リクくんやユッキーも中々じゃない?」
マギー「確かに2人ともイケメンでカワイイわよねぇ。ユッキーなんてあぁ見えてサッカー部の助っ人に呼ばれるぐらいスポーツ得意なうえに成績も優秀だなんて、将来性も高いわ~ん!」
ナナミ「リクくんは言わずもがなだし。ちょっとでもガンプラ齧ってる女子からしたらたまんない優良物件だと思うのよ。」
マギー「それならヒロトくんとカザミんもよねぇ。特にヒロトくん!もう超超超イケメン!!」
ナナミ「パルくんは、ちょーっとまだ幼いかなぁ。」
エマ「何の話してるの?」
栞子「私達もお話に参加させてください。」
璃奈「イケメンとかって聞こえた気がする。」
マギー「そうなのよぉ。ねぇねぇ、3人は誰がイケメンだと思う?」
エマ「果林ちゃんかな。」
栞子「歩夢さんです!」
璃奈「璃奈ちゃんボード『愛さんしか勝たん』」
ナナミ「あー……そういう……。」
マギー「皆にはちょっと早い話題だったかしらん?」