戦闘用ディメンション『クルジス共和国』
紛争地域がモチーフとなっているこの場所で、カリンの乗るキュベレイ・ビューティーは、相手フォースのエースパイロットの乗るアルケーガンダムと対峙していた。
アルケーガンダムのGNファングがキュベレイ・ビューティーを襲うが、クリアファンネルが難なくそれをいなす。
焦った相手がアルケーガンダムお得意の接近戦を仕掛け、キュベレイ・ビューティーも右手からビームサーベルを出現させて応戦。
さすがに接近戦は相手に分があり、少し押されてしまう。
「な……中々やるわね……!」
『このまま押し切ってやる!!』
「そうね……このままだと私の負けだと思うわ。私だけなら、ね。」
『なに!?』
アルケーガンダムのパイロットが驚いた瞬間、彼の肩が遠方からの狙撃で撃ち抜かれた。
見て見ると、その方向にはエマの乗るヴェルデブラストガンダムの姿が。
なお、強化型のスーパーヴェルデブラストガンダムは宇宙戦特化の機体の為、地上戦である今回はサポートメカのV-ディフェンサーは取り外し、通常形態となっている。
更に、いつの間にかアルケーガンダムはガンダムブレイブインパルスの無数のソードファンネルに囲まれており、焦った彼はキュベレイ・ビューティーから離れて距離を取る。
だが、逃げた先には光の翼を展開したデスティニーフリーダムガンダムが待ち構えており、デスティニーフリーダムは愛参頑駄無が変形したスーパー愛参イーグルに乗ってアルケーガンダムに突っ込んできた。
二丁のビームライフルの攻撃に対し、アルケーガンダムはトランザムを発動。
デスティニーフリーダム、ソードファンネルの攻撃を躱しつつ、一定間隔で放たれるヴェルデブラストの狙撃を弾く。
『お、俺の仲間が全滅だと!?だが、この程度なら俺一人で……!ハッ!!』
気付いた時にはもう遅かった。
アルケーガンダムが辿り着いた先は、行き止まり。
勿論壁を破壊したり、上に飛べば移動は可能であるが、それでは回避に数秒のタイムラグが生じる。
アユム、しおこ、エマの3人は、アルケーガンダムがこうなるようにわざと手を抜いた攻撃で誘導していたのだ。
「アイ!」
『OK!いくよカリン!!』
スーパー愛参イーグルを武器の様に持ち、正面に構えるキュベレイ・ビューティー。
そして、2人の持つ必殺技が、アルケーガンダムを撃ち抜いた。
「『サイレンス・ダイバー・ディーバ!!!』」
『く……くっそーーーーーー!!!』
『BATTLE ENDED!WINNER NIJIGASAKI HIGHSCHOOL IDOLCLUB!』
~~
「ありがとう、良いバトルだったわ。」
「ハハ、よく言うよ……こっちはおたくらを一機も落せなかったのに……でも、いい勉強になった。ありがとう!」
対戦相手と握手を交わし、爽やかにバトルを終えたカリン達。
戦いを終えた彼女たちの下に、他のメンバー達とマギーが駆けつけた。
「お疲れ様!アユム、アイちゃん、カリンさん、エマさん、しおこちゃん!皆とっても強かったよ!」
「ありがとうユウちゃん!そう言って貰えると嬉しいなぁ。」
「今回は地形が味方してくれたわね。障害物の多いフィールドならエマの姿を隠しつつ、ファンネル持ちの私とアユムが暴れ回れるわ。」
「私とアイさんのガンダムで細かいところの対応も出来るので、今回のフィールドにはこのメンバーが最も適正がありましたね。」
「ウフフ♪鮮やかに勝利しても決して奢らないのは良い事よ。代りにお姉さんが褒めてあげるわ~ん!」
「「やめい。」」
と、マギーがしおこに抱き着こうとしたのでカリンとアイが止めてくれた。
マギーは割といい年齢の男なので普通にセクハラである。
ユウが戦いを終えた5人を労っている傍では、次の対戦相手とフィールドを確認しながら、セツナ、りなこ、ミアが次のメンバー選出を行っていた。
「準決勝の対戦相手は全員ガンダム・フレームを採用しているフォースですね。」
「ナノラミネートアーマーなら、ビーム兵装より実弾兵器や接近戦が得意なガンプラが良いと思う。」
「なら、ボクと璃奈、それと彼方は選出決定だね。ボクと璃奈が合体すれば、接近戦はかなり有利に戦えるよ。」
「それなら私とスカーレットエクシアも出陣しましょう。実弾を使うなら、またカリンさんにも出場してもらいましょうか?」
「あら?指名してくれて嬉しいわセツナ。だけど私のキュベレイは接近戦に持ち込まれるとビームサーベルしか持って無いわよ。それなら、かすみちゃんに出てもらっていっそ全員で物理攻撃の格闘戦に持ち込んだ方がいいんじゃないかしら?」
「なるほど……では、カナタさんに相手になってもらって次のバトルに向けての特訓をしましょう!」
「んふふ~、カナタちゃん容赦しないよ~!」
何故彼女たちがこうしてフォースバトルのトーナメントに出場しているのか。
その理由は、数日前に遡る。
~~
その日、侑は同好会の部室にミアとランジュも含めて13人のフォースメンバー全員を呼び出した。
そして、思いっきり机を叩き、大声で叫んだ。
「お金がありません!!!!」
「えぇ!?そうなんですか!?侑さん、どこで無駄遣いを……、」
「知らなかったよ侑ちゃん……そんなにお金に困っていたなんて……。」
「無問題ラ!お金に困っているならランジュの所に来なさい!ニジガク寮ファミリーの皆で侑の生活のサポートをしてあげるわ!」
「寮だと他の生徒もいるしゆうゆが落ち着けないよランジュ!そうだ、愛さん家来る?もんじゃしか出せないけどひもじい思いはさせないよ!」
「あ、愛ちゃんもランジュちゃんもずるい!侑ちゃんの面倒は私が見るもん!!」
「3人とも私を置いてけぼりにしないで下さい!!じゃあ私は明日から侑さんのお弁当作ってきます!!」
「ストーーーップ!リアルの話じゃないから!!」
同級生4人がヒートアップしていたので、侑が止めた。
なんとなく察しがついていた他の学年の8人は、その様子をほのぼのと眺めていたが、正直助けてほしかったと思う侑。
軽く咳払いをすると、鞄からダイバーギアを取り出し、そこからフォース『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』の情報を全員に見えるように掲げた。
「はい、ちゅーもーく!コレ、何かわかる人ー!はい、かすみちゃん!」
「え!?かすみんですか!?えっとー……それって所持してるビルドコインの残高ですよね?侑先輩の所持コイン結構多いじゃないですか。」
「んー、半分正解かなぁ。」
「勿体ぶるねベイビーちゃん。」
「じゃあ正解言うね。これ、私達フォース全体の所持ビルドコインの残高だよ。」
「「「「…………。」」」」
「「「「まっさかー!」」」」
少しの間沈黙した後、全員侑の言った言葉を笑い飛ばした。
侑個人の所持金ならまだしも、フォース全体での所持金にしてはあまりにも額が少なすぎた。
その現実的では無い金額に、思わず冗談だと笑ってしまった。
「アハハ!侑せんぱーい、そんなわけないじゃないですかー!」
「そうそう!かすみの言う通りよ!だってアタシとミアもフォースに加入して、ミッションだってガンガンこなしてるのよ!」
「えぇ、今頃フォースネストが買えるぐらいは貯まってるんじゃ無いかしら?」
「おぉ~、フォースネスト~!彼方ちゃん、おっきなベッドですやぴしたいからお部屋の広~いフォースネストが欲しいな~。」
「私は模擬戦が出来る演習場とかも欲しいです彼方さん!」
「歩夢もカナちゃんも夢広がる事言うね~。愛さんはどんなのがいいかなー……あれ?しおってぃー、なんでそんな青ざめた顔してるの?」
「あ……愛さん……こ、これ……!」
「ん?」
侑と同じように、ダイバーギアから念のためにフォース全体の残高を確認していた栞子。
それを見せられると、そこには侑が見せた物と同じ額の残高が記載されていた。
現実の額に例えれば、一人の女子高生が持つお小遣いにしてはかなりの額。
しかし、13人全員で共有する額となると、異常に少ない額だった。
当然、フォースネストの購入など夢のまた夢どころかそのまた夢。
「こ、コレ本当なんですか侑さん!?」
「さっきからそう言ってるよしずくちゃん。」
「少ない……璃奈ちゃんボード『ザワ……ザワ……!』」
ダイバーギアにはクレジットカードと同じように、どこで何を購入したかの履歴が残る。
眉を細めながら、それを上から読み上げる。
「まずはかすみちゃんとしずくさんと果林さん。」
「「「はい……。」」」
「この衣装代って言うのは……、」
「だ、だってGBNって可愛いお洋服たくさんあるじゃないですかぁ!かすみん達スクールアイドルなんですし、もっとお洒落に気を使うべきだと思ったんですよぉ!」
「そうよそうよ!かすみちゃんの言う通りだわ!」
「私は……その……演劇の参考になるかと思って少々……。」
「うん、私もカワイイ皆が見れてとって楽しかったよ!でも、さすがに使いすぎじゃないかな……0が1,2,3……、」
「わ~!!数えないでください~!!」
「次は璃奈ちゃんとミアちゃんとせつ菜ちゃん。」
「「「うっ……。」」」
「3人はガンプラのカスタマイズで結構使ってるね。」
「あ、当たり前だろ。強いパーツを使って、ライトニングトールギスをもっと強くしてあげるんだ!」
「私もエクシアの為を思って!」
「でも私、3人がこのパーツ使ってるところ見た事無いんだけど……。」
「付けては見たけど、やっぱり使い慣れた装備が一番しっくり来る。璃奈ちゃんボード『手作りが一番』」
「そうだね!璃奈の言う通りだよ!!」
「使わないなら勿体無いから売却しようね。」
「「「はーい……。」」」
「続いては歩夢とエマさんと栞子ちゃん。」
「「「ぎくっ。」」」
「食べ歩き代でこれだけ使うかなぁ!?」
「ご、ごめんなさ~い!」
「GBNは美味しそうな物が沢山あるからね~。」
「現実では体型維持が大変ですが、GBNではカロリーを気にしなくていいのは大きなメリットです。」
「「ねー♡」」
「ねー♡じゃないでしょ!!何気に一番消費額大きいよこれ!?何をどれだけ食べればこんなに減るの!?」
「現実じゃ食べられないマンガ肉とか美味しかったよね。」
「え、何それ私も食べたいんだけど。」
「じゃあ今度皆で行こうね♡」
「最後はランジュちゃん。」
「なによう!ランジュは無駄遣いなんてしてないわ!ショッピングだってリアルで果林とエマに怒られたから無理のない範囲でしてるもの!」
「うん、確かにランジュちゃんは全然買い物はしてないよ。バトルばっかりしてるからね。でもランジュちゃんが残りの貯金のほとんどを引き落とした形跡があるんだけど……。」
「あぁ、それなら無問題ラ!人助けに使ったのよ!」
「人助け?」
「えぇ。この前マリナと一緒にログインしたら、街で凄くやつれたおじさんを見つけたのよ。それで話を聞いたらもう何日もご飯を食べて無いんですって。だからご飯が食べられるようにランジュ、おじさんにお金渡したの。」
「なるほど……大変だったんだね……。」
「そうなのよ!わかってくれる?」
「うん……とはならないよ!!あのねランジュちゃん、GBNでお金が無くても、生活には困らないんだよ……どんなにリアルでも、ゲームなんだから。」
「え、じゃああのおじさんって……、」
「多分詐欺だね。」
「絶対許さないラーーーーー!!!」
それで引っかかる方もどうなんだと思いつつも、あえてそこまでは言わなかった。
結局無駄遣いをしていないのは元々倹約家である彼方と愛、それとフォースネストを買う為に貯金してた侑だけで、他のメンバーは全員反省。
しかし、いくら後悔しても現実は変わらない。
なんとか次のライブまでにはGBNで安全に練習が出来るステージ付きのフォースネストを手に入れたい……そう考えると、頼れそうな人物は一人しかいない。
「ねぇ侑ちゃん、マギーさんに相談してみるのはどうかなぁ?」
「マギーさんかー……でも、お金が貯まらないなんて相談乗ってくれるかなー……。」
「コツコツミッションで稼ごう!って言われたらそこまでだもんね。」
マギーはとても頼れるGBNの案内人。
だからと言って金銭の相談などしてよいのかどうか、悩む侑、愛、彼方。
チラッと他の10人を見て見ると、今回の件で全員落ち込んで反省しているようで、見ていて居た堪れない。
侑は、一応マギーに相談をしてみる事にした。
~~
「なるほどね~……まっ、皆もまだ遊び対盛りの高校生だし、甘い誘惑には勝てないわよね~。」
「ランジュが勝てなかったのは甘い誘惑じゃなくて姑息な詐欺だけどね。」
「栞子~!ミアがランジュをいじめるの~!!」
「ミアさん、その辺にしておいてあげて下さい……。」
GBNにログインして、いつもの場所にいたマギー。
偶然彼と一緒にタイガーウルフとシャフリヤールも居て、久しぶりの再会に全員喜んだ。
どうやら彼らは次に開催されるイベントのVIP席に呼ばれているらしく、そのイベントについて話し合っていたらしい。
「でもユウちゃん、ナイスタイミングよ♪」
「ナイスタイミング?」
「お前ら、このイベントに参加してみる気はねーか?」
「何の話ですか師匠?」
しずこがタイガーウルフからイベントのチラシを受け取る。
そこには『フォースバトルトーナメント』という記載があり、どうやらGBNの公式が企画した一大イベントらしい。
13人全員にチラシが行き届くと、シャフリヤールが説明をしてくれた。
「コレは5人以上のフォースが参加できるバトルトーナメントイベントさ。勝ち上がり式のトーナメントで、試合の度にメンバーの入れ替えはもちろん、ガンプラの変更もOK。ただし、メンバーの増員は認められていない。」
「フォースバトルって事ですか?」
「そう。参加フォースは5対5のチーム戦に挑む事になる。ルールは最もシンプルな殲滅戦。ブレイクデカールなどのチートツールさえ使っていなければ、基本どんなスキルも装備も使用できる。もちろん、ユウくんの持つアシムレイトだって例外じゃない。」
そして、とシャフリヤールはいったん言葉を止めた。
それと同時に、歩夢がチラシに書かれているある事に気が付き、全員の視線が一斉にそちらへ集まった。
「優勝したフォースには、賞金1000万ビルドコインが与えられるのさ。」
「「「1000万!!?」」」
1000万ビルドコイン。
日本円に換算すると、1000万円に相当する超大金。
恐らく13人全員でコツコツとミッションをこなしていても、なかなか手の届かない数字。
「こ、これだけのコインがあれば、相当な広さのフォースネストが買えますよ!!」
「うん!リクくん達みたいな島まるごと一個や、隊長達みたいなお城のフォースネストは無理だけど、ライブ会場に出来るぐらいのフォースネストなら十分足りるね!」
「えー!?お城無理なんですかー!?」
「ヒロトくんから聞いたんだけど、AVALONのフォースネストって1億以上するらしいわよ……。」
「ユウちゃん!」
「うん!コレは参加するしかないよ!!皆もいいよね!?」
「「「意義なーし!」」」
「ウフフ♪そう言うと思って、あなた達のフォースが参加できる枠は確保してあげてるわよん♡」
「ありがとうマギーさん!」
相変わらず手厚いマギーのサポートに、ユウは感動。
その日はそのままマギーたちに案内され、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会は無事にフォースバトルトーナメントにエントリー出来た。
~~
そして現在。
「行くよ璃奈!!」
「うん!必殺!!」
「「ジェットストリーム、ビルドナックル!!」」
『BATTLE ENDED!WINNER NIJIGASAKI HIGHSCHOOL IDOLCLUB!』
りなことミアのガンプラが合体したライトニングビルドガンドムの必殺技『ジェットストリームビルドナックル』が、相手フォース最後の一機であるガンダムマルコシアスの顔面を完全に粉砕した。
彼女たちの勝利を告げるアナウンスが流れ、会場から彼女たちに熱い声援が送られる。
今回のバトルに参加していたりなこ、かすみん、セツナ、カナタ、ミアが控室へと戻ると、アイがりなことミアに抱き着いてきた。
「おつかれー!皆すっっごくカッコよかったよー!」
「アイさん……く、苦しい……!」
「あ、ごめんごめん、りなりー。」
「準決勝の相手もあっけなかったね。あれならボクと璃奈だけで十分だったよ。」
「あれれー?合体の邪魔された時に取り乱してたの誰だったっけー?」
「う……うるさいな!」
「はいはい、かすみんさんもミアさんも喧嘩しないでください。」
「ふわぁ~……疲れたよ~、エマちゃ~ん……。」
「よしよし、カナタちゃんも頑張ったね♪」
準決勝を勝ち進んできたというのに、まったく緊張を見せない一同。
今までバンシィの妨害やらマスダイバーの不正行為やらバグの対処やらSDガンダムワールドやらでメンタルが鍛えられているおかげなのか、大きな戦いを前にしてリラックスできるのは良い事だ。
「さぁ!次はいよいよ決勝戦だよ!皆、気を引き締めよう!」
「しおこちゃん、決勝戦の相手ってわかる?」
「はい、少々お待ちくださいアユムさん。えーっと……あ、出ました。こちらの方々です。」
そう言って、しおこが決勝で戦う相手の情報を見せてくれた。
決勝戦の相手のエース機は『機動戦士Zガンダム』の主役機であるZガンダムをベースとした『ガンダムターンZ(ゼータ)』。
彼を取り囲む残りの4人も、宇宙世紀系の強力な機体に仕上がっている。
ニジガクも決勝まではかなりの強さを見せてきたが、決勝戦の相手はそれ以上。
「フォース名は、『ミュート』か……どんな人達なんだろう?」
~~
ニジガクからそう遠くない、お台場の共学の高校。
ここには、ビルドダイバーズのリク、ユキオ、モモカが通っている。
今日はモモカがバイト休みで、3人で教室に残ってスマホでニジガクの準決勝の様子を見ていた。
「すっげー!あの子たち、いよいよ決勝だよ決勝!」
「あーあ、サッカー部の助っ人が無かったら見に行けたのに~……。」
「まぁそう言うなよユッキー。決勝戦は絶対に見に行こうな!」
「く~……!私がアドバイスしてあげたあの子たちがこんなに強くなってるなんて……お姉さん嬉しい!」
あいにくサッカー部の助っ人に駆り出されていた3人は、決勝戦は見に行こうとその場で約束。
彼らと同じように教室に残っていた長身の男子生徒も、スマホで何か動画を見ていたようで、それを見終わると彼はリク達よりも先に立ち上がり、鞄を抱えて教室を出ようとした。
「あ、虎太郎帰るの?今、俺達ガンプラバトルの実況中継見てたんだけど、良かったら一緒に見ない?」
「いや、いい。」
「相変わらず無愛想ね~。ほら、スマイルスマイル!」
「じゃあ、また明日。」
「無視かい!!」
「も、モモち落ち着いて……。」
虎太郎と呼ばれた男子生徒が教室を出ようとした時、彼はフト何かを思い出したかのように立ち止まった。
そして振り返ると、リク達へ言った。
「明日、英語の小テストだけど、大丈夫か?」
「え?あー!そうだった!!わ、忘れてたーーー!!」
「リッくん大丈夫!ボクとモモちで勉強見てあげるから!」
「あ、ありがとユッキ~!教えてくれてありがと虎太郎!また明日!」
リク達に別れを告げ、虎太郎も帰路につく。
カバンの中から彼は愛機であるガンプラ……ガンダムターンZを取り出すと、先ほど待て見ていたニジガクの動画の事を思いだしながら呟いた。
「相手はスクールアイドル…か……楽しみだな。」
~にじビル毎回劇場~
第80回:μ’sとは
ヒナタ「ねぇねぇヒロト、これ見て!」
ヒロト「何かの雑誌か?」
ヒナタ「これ、彼方ちゃんから借りたスクールアイドルの雑誌なんだけど、凄く面白いんだぁ。」
ヒロト「もしかしてヒナタ、やりたいの?」
ヒナタ「え?アハハ、まさか!私はこんな凄い事出来ないよ!それでね、10年ぐらい前にものすごいスクールアイドルがいたって書いてて、それがμ'sっていうグループらしいんだけどね。」
ヒロト「そう言えば、秋葉ドームが出来る時にニュースで毎日報道されてた気がする。芸能人かなって思ってたんだけど。」
ヒナタ「ねー、スクールアイドルだったなんてびっくりしたよ。それで、当時の動画を見つけたから一緒に見ようかなって。」
ヒロト「わかった。見せてくれ、ヒナタ。」
ヒナタ「うん、じゃあ再生するね。えいっ。」
『ヒャッハーーー!!皆さん、はじめまして!我々はスクールアイドル……『μ' s』である!新たなμ'sを見て行くがいいーー!!』
ヒロト「…………。」
ヒナタ「…………。」
ヒロト「これが……伝説のスクールアイドル……?昔流行ったデスメタル系の漫画のキャラがこんな感じだった気が……、」
ヒナタ「うーん……多分、そういう時代だったんだよ、きっと。」
メイ「後日、2人にはせつ菜から正しいμ'sの偉大さを詳細に伝えられたぞ。」