ニジガクビルドダイバーズ   作:バース・デイ

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Z・刻をこえて

ニジガクとミュートが激闘を繰り広げている中、彼女たちの知らないところでぶつかる二体のモビルスーツ。

 

一体はメイジン・カワグチの依頼で駆け付けたカミキ・セカイの覇王カミキバーニングガンダム。

 

もう一体は全てのバグの元凶であるバンシィ・ノワール。

 

歴戦のファイターであるセカイの実力でさえも、バンシィ・ノワールに決定打を与える事は出来ずに、一進一退の攻防が続く。

バンシィ・ノワールのノワールブラスターを機体から発生させた炎で掻き消し、次元覇王流拳法とカミキガンプラ流拳法を駆使して攻撃。

それに対するバンシィ・ノワールはノワールクローと多重関節の左脚で対応し、どちらも一歩も引かない。

以前にミカミ・リクのダブルオーと戦った時の記録よりも、明らかにバンシィ・ノワールは強くなっていた。

 

 

『そこをどけカミキ・セカイ!!』

「そういうわけにはいかねぇなぁ!!」

 

 

両機とも格闘戦を得意としており、ワープゲートの前の巨大な岩場で殴りあう。

バンシィ・ノワールを組み伏せて地面に叩き付けるが、クローで頭部を掴まれた覇王カミキバーニングが逆に地面に叩き付けられて今度はバンシィ・ノワールに馬乗りにされる。

だが覇王カミキバーニングはバンシィ・ノワールよりも身軽なのを活かし、バンシィ・ノワールの首を両足で掴んで、更に攻守逆転。

どちらも相手に対して一切の手加減をしていない。

 

 

『どこまでも私の邪魔を……!』

「この先には、熱いバトルを楽しんでる連中がいるんだ。ここから先に、お前を行かせるわけにはいかねぇ!!」

 

 

 

 

~~

 

 

シランジュと白銀装百式が相打ち。

スカーレットエクシアはフルアーマーサザビーを倒したが直後にコマンドガンダムMK-IIに撃墜。

その後に愛参頑駄無大笑軍と交戦するが、愛参頑駄無がエネルギーダウンし苦しくも撃破。

それによりコマンドガンダムMK-IIは負傷し、そのままレインボーユニコーンに倒され、そのレインボーユニコーンはEXAMを発動したサイコ・ディアスと共に倒れた。

そして、残るはお互いのエース機。

 

 

アユムのガンダムブレイブインパルス。

 

コタロウのガンダムターンZ。

 

 

両機とも接近戦を得意とした高機動の機体。

ブレイブインパルスはFXレイピアを、ターンZはビームサーベルを構え、両者は宇宙に浮かぶ巨大なネオ・ジオンの拠点『アクシズ』へと降り立つ。

ここは『劇場版機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』の最終決戦が行われた場所でもあり、2人はここを最後の戦いの場に選んだ。

アクシズに降り立つと同時に、ブレイブインパルスはブレイブシルエットの出力を全開にしてターンZへと突撃。

ビームサーベルとレイピアをぶつけ、ターンZを切伏せようとする。

しかし、ターンZは剣がぶつかった瞬間に後ろに素早くバックステップし、その直後にウェイブライダー形態へと変形。

ブレイブインパルスに向かって飛ぼうとするが、ブレイブインパルスは『SEED』の能力でその攻撃を察知。

命中する寸前に上に飛び上がり、シルエットから分離させたソードファンネルを自分の周りに展開した。

 

 

「行って!ソードファンネル!!」

 

『………ッ!』

 

 

無数のソードファンネルがターンZへと襲い掛かる。

ウェイブライダーで逃げ続けようとするターンZだが、ソードファンネルの動きの方がわずかに早い。

ブレイブインパルスの頭上を捉えたターンZは素早くモビルスーツ形態へと変形し、逆手に構えたビームサーベルでソードファンネルを全て薙ぎ払った。

薙ぎ払われたソードファンネルは全てブレイブインパルスへと落ちていくが、彼女はそれを全て躱して再び機体に装着。

その隙にターンZはブレイブインパルスへと急接近し、彼女の顔面を全力で殴り飛ばした。

 

 

「きゃああ!!」

『まだまだ……これからだ……!』

 

 

先に地面に手をついたのはブレイブインパルス。

そこへ飛び込んだターンZは、ビームサーベルでブレイブインパルスの右脚を貫いた。

機体内部の可動用のケーブルを切断し、ブレイブインパルスは右脚の機能を失ってしまった。

 

 

「! しまった……!」

『これで逃げられない……終わりだ!!』

「終わりじゃない!!」

 

 

右足は使えなくなってしまったが、まだ左脚がある。

ビームサーベルを振り上げたターンZの腕を、残った左脚で蹴り飛ばす。

それによりターンZはビームサーベルを手放してしまい、その隙に左脚の踏ん張りとブレイブシルエットのブースター出力のみで起き上がったブレイブインパルスがFXレイピアをターンZの肩へと突き刺した。

よろけたターンZを左脚で突き飛ばし、ブレイブシルエットで上空へと避難。

ターンZもそれを追い、アクシズ上空で再び激しい斬り合いが始まった。

 

 

 

~~

 

倒されたメンバー達は控室に戻され、そこでアユムとコタロウの試合を観戦。

ユウが来た時にはすでにアイ、セツナ、ランジュがモニターに釘付けになっており、ユウもすぐにそこへ駆け寄る。

 

「試合どうなってる!?」

「アユムさんの足がやられました。あのままじゃ、陸地に降りて戦う事が出来ません!」

「幸い向こうには飛び道具が無いから、その点じゃソードファンネルのあるアユムが有利なんだけど……。」

「だけど剣での戦いは向こうの方が一枚上手だわ!このままじゃアユムが!」

「……いや、アユムなら大丈夫。」

 

心配する3人に対し、ユウはきっぱりとそう言い切った。

不思議そうな顔で3人ともユウの顔を見て、ランジュがきょとんとしながらユウに尋ねた。

 

「どうしてそう言い切れるの?」

「だってアユム、最後に私に言ったんだよ!『絶対に勝つ』って!アユムが約束破った事、一度だって無いから!」

 

 

~~

 

 

 

「私は皆と約束したんだ……絶対に勝つんだって……こんな所で、立ち止まってられない!!エクシードバーストモード!!」

 

『X-SEED BURST』

 

 

『!? このエネルギーは……FXバースト?いや、もっと強力な……!』

 

 

全身のソードファンネルを分離させ、そこからピンク色のエネルギーが放出。

機体全体が青く染まり、ブレイブインパルスは最強戦闘形態『エクシードバーストモード』へと移行。

その瞬間、ターンZですら捉える事の出来ない速度で急接近してきたブレイブインパルスの体当たりで、ターンZはアクシズへと落下。

更にそこへ追い打ちをかけるかのように、ブレイブインパルスのソードファンネルたちがターンZへと襲い掛かる。

 

 

『ぐあぁぁ!!』

「今日の私は負けられない!!あなたに勝って、フォースネストを手に入れて、私達はもっともっと先に行く!!だから、もう少しだけ頑張ろうね、ブレイブインパルス!!」

 

 

縦横無尽に飛び回るソードファンネルと、全身をビームサーベルと化したブレイブインパルスの猛攻は止まらない。

それでも、ターンZはなんとかブレイブインパルスの動きを感じ取り、攻撃を躱そうとする。

だが、それでもブレイブインパルスは止まらない。

 

 

 

『………だったら……!!』

「行って!!ソードファンネル!!」

 

 

 

凄まじいスピードで、ソードファンネルたちがターンZへと突っ込んだ。

その瞬間、ターンZの背面のフライングアーマーが開き、そこから虹色の光が放出され、マントのように広がった。

すると、その光に包まれたソードファンネルたちが、たちまち粒子状に分解され、跡形もなく消滅。

その一瞬の出来事に、アユムも、バトルを見ていた人達も目を見開いた。

 

 

「………な……なに……?あれ……?」

 

 

 

『月光蝶』

 

 

 

~~

 

 

「ついに発動したのか、コタロウ……。」

 

控室でアユムとコタロウの戦いを見ていたミュートのメンバー。

タクヤはコタロウのターンZがマントのように広げた光を見て呟いた。

他のメンバーも集まり、コタロウを見守る。

 

 

「あれを稼働させたら最期……相手を倒すか、エネルギー切れで自分が倒れるか……。」

「諸刃の剣すぎてほとんど使ってこなかったのに、相手はそれほど強いのか!?」

「強いに決まってる!だって、見て見ろよ、アイツの顔。」

 

 

タクヤがそう言ってターンZを指差した。

チームメンバー全員、首をかしげる。

それはそうだ、何しろモニターに映し出されているのはコックピットの中では無く外側。

当然コタロウの顔なんか見えるわけもない。

だが、タクヤは自信満々に語った。

 

 

「アイツ、笑ってやがる!楽しいんだ、このバトルが!」

 

 

 

~~

 

 

 

「光のマント!?すっごく綺麗……。」

『このガンプラはガンダムターンZ。Zガンダムと、∀ガンダムの力を持ったモビルスーツだ。』

 

 

『月光蝶』

 

それは、『∀ガンダム』に登場するターンタイプと呼ばれるモビルスーツが兼ね備えた、究極の兵装。

機体内部のナノマシンを散布し、人工物を粒子状になるまで破壊、分解してしまうという能力を持つ、『黒歴史』を生み出した武装だ。

ターンZはほとんどがZガンダムをベースに作られている機体ではあるが、フライングアーマー内部にこの月光蝶を発動するためのシステムを組み込んで作られている。

GBNでは強すぎるあまり月光蝶システムはトランザム以上に組み込むのが難しいシステムとされている。

実際この能力を自在に使えるダイバーは、サラなどの特異なELダイバーを除くとごくわずかであり、∀ガンダムやターンX以外でこの機能を使う事が出来るダイバーはコタロウのみ。

展開したフライングアーマーからマント状に広がった月光蝶を翻し、ブレイブインパルスのソードファンネルを全て消滅させた。

ブレイブインパルスに残されたのは、手に持ったFXレイピアだけ。

 

 

『この力は長くは続かない。俺が君を倒すのが早いか、それとも俺が力尽きるのが早いか……。』

「どうしてそこまで……。」

『負けるわけにはいかないから。……こんな楽しいバトル、負けて終わるなんて勿体無い!!』

 

 

そう叫んだコタロウは、月光蝶マントを翻しながらブレイブインパルスへと詰め寄る。

分解されないようにエクシードバーストの出力を最大にしつつ、ブレイブインパルスはターンZの攻撃を受け止める。

だが、ビームサーベルとFXレイピアがぶつかった瞬間、少しずつではあるがFXレイピアも粒子状に分解され始めた。

それだけでは無く、今までビームサーベルのみで戦っていたターンZが、ここに来て月光蝶マントを操りながら攻撃を始めた。

エクシードバーストの出力でなんとかそれを捌いて行くが、数発被弾してしまい、それにより下半身とブレイブシルエットが大きく損傷。

アクシズに墜落し、起き上がろうとするブレイブインパルスに、ターンZがさらに追い打ちをかけてくる。

 

 

「うっ……うぅ……!」

『アユム!しっかりして!アユム!!』

「ゆ……ユウちゃん……?うん……大丈夫……!インパルス!!」

 

 

控室のユウがアユムに通信を送ってくる。

その声を聞き、再び起き上がったブレイブインパルス。

再びエクシードバーストを発動し、全身にエネルギーを纏いながらターンZへと突撃した。

だが、ターンZには最強の盾と矛となる月光蝶マントがある。

両機が激しくぶつかる中、アユムは背筋に嫌な感覚を覚えた。

 

 

 

「!? ぶ、ブレイブシルエットが……!?」

 

 

 

度重なるエクシードバーストの発動、月光蝶マントによる攻撃、その上での全力加速。

以上の事が重なりついに限界を迎えたブレイブシルエットに、大きな亀裂が走った。

それによりエクシードバーストモードは解除されてしまい、さらにアユム自身も長時間の戦闘により疲労がたまったのか『SEED』のスキルも発動できなくなってしまった。

 

 

『これで……俺達の、勝ちだ!!』

「~~~まだだよ!!」

 

 

そう言って、アユムは緊急でブレイブシルエットをブレイブインパルスから切り放した。

切り放されたブレイブシルエットはターンZへと突っ込み、月光蝶マントの攻撃からブレイブインパルスを守った。

分解された途端、内部に残っていたエネルギーが放出され、ターンZの視界を青い光で覆い尽くす。

 

 

『くっ……め、目くらまし!?』

 

 

飛行ユニットを失い、宇宙空間の中で身動きが取れないまま浮かぶブレイブインパルス。

しかし、アユムはまだあきらめていない。

 

彼女にはまだ、『アレ』がある。

 

今回のバトルでユウが使用し、アユムがかつて愛用していたあのシルエットが。

 

 

『SILHOUETTE CHANGE BRAVE to DREAM』

 

 

「シルエットチェンジ!!ドリームインパルス!!」

 

 

 

アユムが叫ぶと同時に、ドリームシルエットがブレイブインパルスの下へと飛来。

ブレイブインパルスは下半身のFXレッグフライヤーを切り離し、ドリームシルエットと共に飛んできたレッグフライヤーと合体。

背面にドリームシルエットが接続され、そこに備え付けられていたレイピアを手に取る。

 

 

これがアユムのかつての愛機『ガンダムドリームインパルス』だ。

 

 

すでにアユムに着いて行けなくなっているドリームインパルスだが、今のアユムは長時間戦闘により『SEED』の能力を発動できなくなっている。

今のアユムであれば、ドリームインパルスでも十分に着いて行くことが出来る。

ドリームシルエットを出力全開にし、一気にターンZとの距離を詰めていく。

 

 

『くっ……迎え撃つぞ、ターンZ!!』

「私達の夢を叶えて!!ドリームインパルス!!」

 

 

月光蝶マントとレイピアが同時に繰り出される。

いや、正確には同時では無かった。

視界を封じされていた分、ターンZの方がわずかに技を繰り出す速度が遅かった。

月光蝶マントがドリームインパルスを捉えるよりも先に、ドリームインパルスのレイピアがいち早く、ターンZの胸部を貫いていた。

 

ツインアイの光が消え、月光蝶が消滅するターンZ。

そうして彼は、ゆっくりとアクシズへと落ちていく。

その場に残ったモビルスーツはただ一機。

 

 

ガンダムドリームインパルスだけだった。

 

 

「はぁ……はぁ……!わ、私……か、勝ったの?」

 

 

まだ現実を受け入れられず、きょとんとするアユム。

しかし、そんな彼女を現実に戻すように、彼女を祝福する音声がGBN中に鳴り響いた。

 

 

『BATTLE ENDED!WINNER NIJIGASAKI HIGHSCHOOL IDOLCLUB!』

 

 

「!! やった……!やった!やったよ皆!!私達は、勝ったんだーーーー!!」

 

 

 

勝利の余韻に涙を流しながら喜ぶアユム。

落ちたターンZの中で、コタロウはそんな彼女を見ながらターンZの操縦桿に触れた。

 

 

『……お疲れ、ターンZ。ありがとう。』

 

 

 

 

~~

 

 

『BATTLE ENDED!WINNER NIJIGASAKI HIGHSCHOOL IDOLCLUB!』

 

 

その頃、バトルの勝敗を知らせる声はセカイとバンシィ・ノワールも聞いていた。

すでに二人ともボロボロであり、バンシィ・ノワールはその声を聞いて狼狽える。

 

 

『おのれ!!』

「へへ……どうやら片付いたみたいだな。」

『許さんぞ……カミキ・セカイ!!』

「……お前、そんなに強いのにどうして人を傷つけようとするんだ?力ってのは、人を傷つけるためにあるものじゃないんだぞ。」

『貴様に何がわかる……。』

「わかんねーから聞いてんだよ!!」

 

 

覇王カミキバーニングがバンシィ・ノワールへと急接近し、頭部アンテナを掴んだ。

だがバンシィ・ノワールは自分の角を折ってでもそこから脱出し、そのまま暗闇へと消えていく。

 

 

「待て!!」

『貴様にはわからない……わかってあげられるのは、私だけだ……。』

 

 

そう言い残し、バンシィ・ノワールは姿を消した。

覇王カミキバーニングの手には折れたバンシィ・ノワールの角だけが残り、セカイはそれを見つめながら握りしめた。

 

 

 

 

~~

 

 

「「「アユムーーーー!!!」」」

「アユムさーーーーん!!!!!!」

「うわっ!?み、みんな苦しいよ~!」

 

 

激しい戦いを終えて戻って来たアユムに、2年生全員が抱き着いてきた。

それだけは無く、観客席から来た他のニジガクメンバー……特に1年生とエマもアユムに抱き着き、おしくらまんじゅう状態に。

 

「アユムさん凄かったです!まさかドリームインパルスで勝利するだなんて!」

「あれはユウちゃんがドリームシルエットだけ壊されないように逃がしておいてくれたからだよ。」

「皆も凄く頑張ってたよ~!いい子いい子!」

「アイさんだけ一人も倒せなかった~!!悔しい~~!!」

「あら、でもアイが頑張ったおかげで狙撃手の役割を潰せたのよ?あの子が万全だったらユウとアユムは危なかったわ。よくやったわ、アイ。」

「カリ~ン!!」

「これで……ようやく……!!」

 

そう言って、ユウはフォースの所持ビルドコインを確認。

そこには、確かに優勝賞金である1000万ビルドコインが入金されている。

全員でそれを確認し、飛び上がって喜んだ。

 

 

「やっとフォースネストが買えますね先輩!かすみん、自分のお部屋欲しいです!!」

「私、全員のガンプラを一斉にメンテナンス出来る設備欲しい。りなこちゃんボード『むんっ』!」

「防音室は絶対だね。コレは譲れないよ。」

「ふふっ、夢が広がるね。」

「そうですね!あら?」

 

 

フォースネストに夢を膨らませていると、そこへ対戦相手のミュートの5人がやってきた。

コタロウを先頭にやってきた彼らは、全員の顔を見ると、代表してアユムに握手を求めて来た。

 

 

「あ……えっと……。」

「楽しいバトルだった、ありがとう。」

「こ、こちらこそ!コタロウさん、とっても強かったです!皆がドリームシルエットを私につなげてくれなければ、勝てなかったかもしれません……。」

「久しぶりに、胸が熱くなるバトルだった。皆もそうだろ?」

 

 

「「「「おーーー!!」」」」

 

 

「あ、ありがとうございます!そうだ!フォースネストを作ったら、またGBNでライブやろうと思うんです!その時はぜひ見に来て下さい!」

「うん、必ず見に来る。楽しみにしてる。」

 

 

そう言って、コタロウと固く握手を交わすアユム。

またニジガクの新しいファンを増やすことが出来た。

コタロウ達は一足先にログアウトしていくが、その時の表情を見てアユムは少し違和感を覚えた。

 

 

「え……?」

「アユムさん、そろそろ表彰式の時間です。さぁ、急ぎましょう。」

「あ、うん、そうだね、しおこちゃん。」

 

 

しおこに急かされて表彰式へと急ぐアユム。

去り際のコタロウの表情が、少しだけ気になった。

 

 

「なんだか、少しさみしそう……だったかな?」

 

 

 

 

~~

 

 

結局、ミュートの5人は表彰式には出ずにそのまま解散となった。

普通のゲームセンターからログインしていた5人は帰路につき、先ほどのバトルの事を振りかえりつつ、この後の予定について話し合っていた。

 

「虎太郎、ごめんな。」

「? 何が?」

「お前を、勝たせてやれなくて……。」

「何言ってるんだ。俺達チームだろ。そんな事気にしなくても……、」

「だってお前、せっかくお前の姉ちゃんに見てもらえるチャンスだったのに……。」

「…………。」

 

虎太郎の姉は、かつては有名なスクールアイドルだった。

そのおかげで、高校卒業後は芸能事務所に所属して、今では一人暮らしをしてそれなりに多忙な日々を送っている。

そのせいで当時幼かった虎太郎にあまり構ってあげられなかった。

虎太郎は今でも姉を尊敬しているが、少しさみしいと思うのは事実。

だが……、

 

 

「今日、俺はお前たちと一緒に、最高の相手と最高のバトルが出来て、その結果負けた。悔しくないっていうのは嘘になるけど、俺は今日最高に楽しかった。皆、ありがとう。」

 

 

「虎太郎……!よしっ!皆で飯食いに行こう!!肉!肉食いに行こうぜ!!」

「ボク、肉より魚の方がいいんだけど。」

「肉っつってもどうせ牛丼とかだろ?もう飽きたわ~。」

「これしか食べる方法を知らんからさ。だからいまだに嫁さんももらえん。」

「……お前は多分普段からシャア語喋ってるから彼女出来ないんじゃないの?」

「フッ、坊やだからさ。」

「なんなのお前。」

 

白銀装百式に乗っていた自分がシャアと思い込んでいるチームメイト(名前は西)にツッコミを入れつつ、5人で談笑しながら何を食べるか相談。

すると、後ろから突然、彼らに向かって誰かが声を掛けてきた。

 

 

 

「虎太郎!」

 

 

 

「! ………姉ちゃん?」

 

 

そこに現れたのは、噂の虎太郎の姉。

帽子とサングラスで変装はしているが、虎太郎とは似ても似つかない小柄な容姿と特徴的な声は間違い様がない。

彼女は両手にスーパーの特売で購入したと思われる食材を大量に下げて、虎太郎へと駆け寄った。

 

 

「アンタ、表彰式にも出ないでこんなとこで何してんのよ!」

「姉ちゃん、なんでその事……。」

「はぁ……馬鹿ねぇ。アンタの出る試合ぐらいちゃんと全部把握してるわよ。今日は頑張ったアンタに精のつくもの食べさせてあげようと思って急いで帰って来たのよ。」

 

 

ちゃんと見てくれていた。

今回だけではなく、今までのバトル全部。

その事実だけで虎太郎は泣きそうになるが、チームメイトの手前そんな事はせず、いつもの様にポーカーフェイスを保とうとする。

すると、タクヤが横から肘で虎太郎をつついてきた。

 

「良かったな!」

「……うるさい。」

 

「ほら!アンタ達もお腹空いてんでしょ!だったら全員まとめてうちにいらっしゃい!!」

「うおぉぉ!!まじっすか!!虎太郎からお姉さんの話聞いてます!!料理がめちゃくちゃ上手だって!!」

「荷物持ちます!ほら西、お前はそっちの袋持て!」

「持てる……!私にもスーパーの袋が持てるぞ!!」

「虎太郎、あんたこころとここあに電話して人数分の食器とか用意させといて。」

「わかった。」

「……久しぶりに見たけど、お前の姉ちゃんってパワフルだよなぁ。」

「矢澤家は女性が強いからな。」

 

 

バトルには負けたが、今日は間違いなく、今までの高校生活で最高の日になった。

そんな事を考えながら、矢澤虎太郎とその姉、そして仲間たちは虎太郎の実家へと向かって行った。

 

 

 

 

 

~~

 

 

表彰式を終えて、その場に残っていたのはカワグチとキョウヤの2人。

すると、突如上空にワープゲートが開き、そこから覇王カミキバーニングガンダムが現れた。

カワグチ達の前に降り立った覇王カミキバーニングのコックピットが開き、中からセカイが出てくると、肩をグリグリと回しながらカワグチ達の下へ。

 

「セカイ。どうだった?」

「悪い、逃げられちまった。」

「そうか……。」

「だが、大きな収穫もあった。そうだろうカワグチ?」

「あぁ。その通りだキョウヤ。セカイ、礼を言う。」

「おう!」

 

そう言って彼らが見上げたのは覇王カミキバーニング。

正確には覇王カミキバーニングが握っている、バンシィ・ノワールの折れた頭部アンテナだった。

 

 

「これを解析すれば、いよいよバンシィの正体が判明する。」

「もうすぐだ。もうすぐ我々は、ヤツを追い詰めることが出来る。バンシィ・ノワールを作ったのはいったい誰なのか……その正体が、ついに……!」

 

 

 




~にじビル毎回劇場~

第84回:かすみんバースデー(Ver2.0)

かすみ「みっなさーん!今日は~、かわいいかわいいかすみんのお誕生b、」

ランジュ「かすみーーーー!!お誕生日おめでと~~~!!」

かすみ「ぐぇぇぇ!!いたいいたい!ランジュ先輩いきなり抱き着くのやめてください!!」

ランジュ「あ、ごめんなさい。だってかすみのお誕生日をお祝いできるなんて嬉しいんだもの~!!そうだわ、プレゼント!プレゼントを用意したの!喜んでくれると嬉しいわ!」

かすみ「プレゼント?」

ランジュ「えぇ!ランジュの宝物をあげるわ!どれがいい?ダイヤ?パール?サファイア?ルビー?あ、エメラルドやプラチナなんていうのもいいわね!」

かすみ「えぇ!?いやいやそんな高価な物もらえませんよ!?」

ランジュ「嫌なの……?」

かすみ「うっ……。」

ランジュ「かすみの為に、ランジュ頑張って準備したわ……でも、かすみが嫌なら仕方ないわね……。」

かすみ「うぅ……卑怯ですよぉランジュ先輩……。わかりました、かすみんも宝石は大好きですし……でも、本当にいいんですか?」

ランジュ「勿論!さぁ、受け取って頂戴!小さい頃に薫子と一緒に遊んだランジュの宝物よ!」

かすみ「え?これって、ポ○モンのソフト……?宝石じゃなくて?」

ランジュ「? そうだけど?もしかして本物の宝石の方が嬉しかった?じゃあランジュ頑張って用意するわ!」

かすみ「いえいえいえいえこれで十分ですめちゃくちゃうれしいですから!!じ、じゃあかすみんパールにしようかなー!!」

ランジュ「きゃあ!これでかすみとポケ○ンバトルで遊べるわ!負けないわよ!」

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