ブルックの街に着いた時には、既に夕方になっていた。俺は真っ直ぐにギルドに
向かって中に入った。そして、オバちゃんのいる所に向かった。
「っ! アンタ、帰って来たのかい」
「あぁ。依頼通り、デスリザードを討伐してきた」
「こ、この短時間でかい!?」
オバちゃんの声に、周りで酒を飲んでいた冒険者達は酒を吹き出していた。
「あぁ。それと、魔物の素材やら魔石を買い取ってもらいたい。そのため、
一緒に外に来てもらえないだろうか?」
「あ、あぁ....」
オバちゃんは顔を引きつらせながらも一緒にギルドの外に来てくれた。ついでに、ギルドに
いた何人かの冒険者も外に出てきた。そして、俺はベリアライザーを持ってトリガーを引き
ゲートを作り出した。そのゲートに周りは驚いていたが、俺はそれを無視してゲートに入り
デスリザードの死体や魔石を引っ張り出した。
「ア、アンタ....これを一人でやったのかい? それもこの短時間で」
「あぁ。動きがちょっと速いぐらいだったから楽だった。あ、あとコイツもいるんだが....」
そう言って、俺は翼が無くなったワイバーンらしき龍を引っ張り出した。
「「「ワ、ワイバーン!?」」」
周りの冒険者はそれを見た瞬間、絶叫を上げていた。
「う、嘘だろ....あんな坊主がワイバーンを....」
「ぼ、坊主! お前どうやってワイバーンを倒したんだよ!」
「....そんなの、突っ込んできたのを避けたのと同時に翼を引きちぎって飛行能力をなくして、
体にデカイ一撃を叩き込んだだけだ」
「「「バケモノか!?」」」
周りの冒険者達は一斉にそうツッコんできた。
「あっはっはっは! アンタ、本当に規格外だね! 長いことギルドの人間として
働いているけど、登録初日にワイバーンを倒してくるのはアンタが初めてだよ」
オバちゃんはそう言いながら大爆笑していた。
「とりあえず、魔物の素材を査定するからギルドの中で待ってな」
そう言うと、オバちゃんはワイバーンやデスリザードを見始めた。その間に、俺はギルドに
入って受付の椅子に座って休んでいた。すると十分後、オバちゃんが受付に戻ってきた。
「待たせて悪いね。今から今回の分の報酬とさっきの魔物の素材の査定料を出すよ」
そう言うと、オバちゃんは俺の前に八枚のルタ通貨を置いた。
「今回の任務、魔物の素材の買取全部合わせて八万コルだよ。それと、悪いんだけど
ステータスプレートを出してくれるかい?」
「....? あぁ....」
俺はポケットからステータスプレートを出してオバちゃんに渡した。すると、オバちゃんは
俺のステータスプレートを何か弄って俺に返してきた。俺は返ってきたプレートを見ると、
冒険者のところの青色の点が黄色に変わっていた。
「たった一日でランクが二つも上がるのは前代未聞だよ」
「良いのか? ワイバーンを倒しただけで」
「倒しただけって....ワイバーンは赤から黄色に上がるための昇格依頼の一つなんだよ。
アンタは偶然とはいえ、無傷でワイバーンを倒したからね。黄色になる資格は十分すぎるほど
あるんだよ」
「....なるほど」
俺はそう呟き、プレートとルタ通貨をポケットに入れた。
「あ、それとこれをあげるよ」
そう言って、オバちゃんは地図の様な物を俺に渡してきた。
「この街の地図。一応、私のオススメの店とか宿を書いてるから。良かったらそこを
使っておくれ」
「あぁ、感謝する」
「(地図っていうかガイドマップレベルじゃねぇか....)」
俺は受け取った物を見てそう思った。
「それじゃあ、今日のところは失礼する」
そう言って、俺は立ち去ろうとしたのだが....
「ちょっと待ちな」
俺は突然オバちゃんに呼び止められた。
「アンタ、別に無理して敬語使わなくても良いんだよ」
「っ!?」
そう言われ、俺は心の底から驚いて声が出なかった。
「無理して敬語使ってるのが見え見えだよ。だから、アンタが話しやすい様に話しな」
「....そうかい。だったらそうさせてもらうぜ、オバちゃん」
そう言って、俺はギルドから出てオバちゃんがおススメする宿に向かった。その時に、俺は
オバちゃんに対してこう思った。
「(あのオバちゃん....地味に怖いな....)」