不良と皇帝陛下   作:アイリエッタ・ゼロス

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新装備とライセン探索

「さてと....オバちゃんがおススメしてる店はここか」

 オバちゃんおススメの宿で一泊した俺は、とある服屋の前にいた。俺の目の前に

 ある服屋は、何でも冒険者用も普段着用の服も取り扱っている店らしい。

 

「(とりあえず、黒があれば良いが....)」

 そう思いながら、俺はその店に入った。その瞬間、俺は謎の既視感を感じた。

 

「あら~ん、いらっしゃい❤️随分と若い男の子が来たわねぇ❤️お姉さん嬉しいわぁ❤️」

「(なんでウチの店長と似た系統の人がいるんだよ....)」

 俺は店の中にいた人を見てそう思った。中にいた人は、俺が元の世界でお世話になっている

 店長と似たような人だった。

 

『おいミカド。あの怪物はヤバイぞ....』

「(怪物って言うのはやめとけ....)」

 俺は頭の中でベリアルにそう言うと店員に近づいた。

 

「悪いが俺に合う装備一式を見繕って欲しい。できれば黒を基調としたものが良いんだが....」

「良いわよ〜ん。ちょっと待ってて〜」

 そう言うと、店員は店の奥に向かっていった。

 

『お前、よくアレを見て平然でいられるな....』

「(まぁ、見慣れてるっちゃ見慣れてるからな....)」

 そんな事を話している間に、店員は俺のところに戻ってきた。

 

「とりあえず、コレとかどうかしら〜?」

「試着はできるか?」

「あそこでできるわよ〜ん」

「そうか」

 俺はそう言って、店員から装備を受け取って試着室で着替えた。

 

「....なかなか良いな」

 俺は試着室にあった鏡を見てそう呟いた。店員が持ってきた装備は、回避に特化しているのか

 金属が少なく、薄い長袖に長ズボン、黒いフード付きのローブ、黒のブーツだった。

 

「よし、これにするか」

 俺は外に出て、適当に何枚か普段着を選び、店員に会計を頼んだ。

 

「良い装備をありがとな。かなり気に入った」

「良いのよ〜ん❤️喜んでもらえたら店員冥利に尽きるわ〜❤️」

 会計をしている途中に店員にそう言うと、店員はそう言ってきた。

 

「いつでも待ってるから、また来てね〜❤️」

 俺は背中にその声を聞き、手を振ってその店から離れた。

 

『お前の肝が座ってるの....普通にすげぇわ....』

 ベリアルは、どこか呆れた様な声で俺にそう言ってきた。

 

「そいつはどうも」

 そう言って、俺はギルドに向かって歩き出した。

 

 〜〜〜〜

 

「ちわーっす」

 そう言いながらギルドに入ると、ギルドで酒やら飯を食っている冒険者は一斉に俺を見た。

 まぁ昨日のことで随分と有名にはなっているからだろうが....

 俺はそんな視線を気にせずオバちゃんの所に向かった。

 

「あら、いらっしゃい、って....装備を変えるだけで随分と印象が変わるねぇ」

「そいつはどうも」

「それで、今日は何の用だい?」

「ちょいとばかし、オバちゃんに聞きたい事があってな」

「私にかい?」

「あぁ。オバちゃん、七大迷宮が何処にあるか知ってるか?」

 その言葉を発した瞬間、周りからガラスの割れる音が聞こえた。周りを見ると、何故か

 冒険者達は酒の入ったジョッキを落としていた。

 

「....アンタ、本当に言うことまでが規格外だね」

「そいつはどうも」

「別に褒めちゃいないよ....それで、どうして私にそんな事を聞いてきたんだい?」

「オバちゃんは昨日、ギルドで長いこと働いてるって言ってたからな。もしかしたら、何か

 情報を知っているんじゃないかと思ってな」

「へぇ、そんな事をよく覚えてたね」

 オバちゃんはどこか感心した様にそう言った。

 

「一応、あるかもしれないっていう場所ならいくつか知ってるよ」

「なら教えてくれ」

「まぁ良いけど、一つ確認。アンタは何処の迷宮なら知ってるんだい?」

「俺が知ってるのは“グリューエン大火山”と“ハルツェナ樹海”だけだ。まぁ名前だけ知ってる

 だけで場所は知らないがな....」

「その辺は適当だねぇ....」

 そう言うと、オバちゃんは棚の所から一冊の本を取り出し本を開いた。見てみると、

 それは地図の様なものだった。

 

「一応、場所が分かっている七大迷宮は三つ。アンタがさっき言っていた“グリューエン大火山”と

 “ハルツェナ樹海”はこことここ。そして、あと一個分かっているのが”オルクス大迷宮“って

 所で、場所はここだよ」

「(王国に近いの二つもあったのかよ....)」

 俺は地図を指差した場所を見てそう思った。

 

「それと、残りの四つだけど場所はわからない。でも、その内二つは候補がある。その一個目が

 “シュネー雪原”の奥地にある“氷雪洞窟”。そして、もう一つはアンタが知っている所だよ」

「俺が?」

「あぁ。アンタが昨日行った”ライセン大峡谷“。ここにあるって噂だよ」

「そうか....」

「(こうなると、ライセンから探して行くのが得策だな....)」

 俺は地図の場所を見ながらそう考えた。

 

「悪いなオバちゃん。助かった」

「なら良いんだけど....アンタ、七大迷宮を攻略するつもりかい?」

「あぁ。それが俺の目的の一つだからな」

「へぇ....一つって事は、他にも目的はあるのかい?」

「あぁ。オバちゃんはこんなメダルを見た事がないか?」

 俺はホルダーからベリアルのメダルを取り出してオバちゃんに見せた。

 

「メダルかい?」

「あぁ。それを集めるのが、俺の本来の目的だ」

「....にしても、こんなメダル初めて見たねぇ」

 オバちゃんは興味深そうにメダルを見ていた。その間に、俺は依頼ボードから依頼の紙を

 持ってきてオバちゃんに渡した。

 

「そんじゃ、依頼ついでに迷宮の入り口でも探してくる」

 そう言って俺はメダルを返してもらい、”ライセン大峡谷“に向かった。

 

 〜〜〜〜

 

「さてさてさーて、迷宮を探すのは良いがその前に....」

 ”ライセン大峡谷“に着いた俺はベリアライザーを手に持ち、昨日手に入れたキングジョーの

 メダルをスリットに入れ音声認識のところで止めた。

 

KING JOE!

 

「来い、キングジョー!」

 そう叫んで俺がトリガーを引くと、俺の身長より少し高い金色のロボットが目の前に現れた。

 

「コイツがキングジョーか....」

 俺はキングジョーに近づき装甲を触った。

 

「(硬いな....)」

 俺はキングジョーを触ってそう思い、こう命令した。

 

「キングジョー、この辺にいるモンスターを倒してこい」

 そう言うと、キングジョーは突然四つに分離し、モンスターがいる方向に飛んで行った。

 

「アイツ分離すんのかよ....」

『それがアイツの強みでもあり弱点だけどな』

「弱点?」

『分離すると中の精密な部分が露出するからな。そこを狙われたら一瞬で終わりだ』

「そうか....」

 そう話していると、分離したキングジョーの一体から光線の様なものが発射された。光線が

 発射された場所は大爆発を起こしていた。

 

「....殲滅に良さそうだな」

 俺は光線の威力を見てそう呟いた。すると、分離していたキングジョーが俺の元に戻ってきて

 元の姿に合体した。

 

「ご苦労さん」

 そう言うと、キングジョーは光の粒子となって消え、スリットの中にメダルとして戻ってきた。

 

「さてと、俺は迷宮探しと行きますか....」

 俺は浮遊を使ってライセンにあると噂されている迷宮を探し始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 


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