「(暖かい....)」
私は身体を包む暖かいものに気づいて目が覚めた。目を開くと、私の身体には
掛け布団の様な物がかけられており、背中には敷き布団の様なものが敷かれていた。
そして、近くの壁には私の剣が立てかけられていた。
「ここは....」
『....起きたか、娘』
「っ!?」
すると、突然声が聞こえてきた。その声が聞こえた方向を見ると、そこには謎の甲冑を纏い、
背中に一本の刀を差した何かが焚き火をしていた。
「だ、誰!?」
私は起き上がろうとしたのだが、身体に激痛が走って起き上がれなかった。
「っ....!」
『無理に動こうとするな娘。無理に動くと傷の治りが遅くなるだけだ』
そう言いながら、謎の甲冑は私の方を見た。その甲冑の顔は一言で言い表すのなら怖いの
一言だった。
「あ、あなたは....?」
『我が名はザムシャー。ただのしがない宇宙剣豪だ』
「宇宙、剣豪....」
「(もしかして、ベリアルと関係が....?)」
私は宇宙剣豪と聞いてベリアルと関係があるのかと思った。
『我は名を名乗った。娘、貴様の名は?』
すると、ザムシャーさんは私の目を見ながらそう聞いてきた。
「わ、私は八重樫 雫です」
『雫か。良い名だな』
「あ、ありがとうございます....あの、あなたが私をここまで運んでくれたんですか?」
私は名を名乗り、疑問に思った事を聞いた。
『そうだ。道の真ん中で意識を失って倒れていたからな』
「そうですか....助けていただきありがとうございます」
『気にするな。生きる事を諦めぬ人間を見捨てるほど、我も落ちぶれてはいない』
そう言いながら、ザムシャーさんは焚き火に木を入れていた。
『それで雫、何故お前はあの様な場所で倒れていた。ここはただの人間が来るような場所
ではないぞ』
「その、実は....」
私は自分が別世界からやって来た人間で神の使徒として戦わされている事を話した。
『なるほど....つまりお前は巻き込まれてここに来たと』
「はい....あの、私以外に男の子を見ませんでしたか?」
『見ていない。我が見つけたのは雫、お前一人だ』
「っ....! そう、ですか....」
「(もしかして南雲君はもう....いえ、それか落ちていない可能性も....)」
私は数少ない希望を持ちながらそう考えた。そして、私は名前を聞いた時に思った事を
聞いてみた。
「あの、ザムシャーさん」
『何だ』
「ベリアルって宇宙人を知っていますか」
そう言った瞬間、ザムシャーさんが纏っていた気配が変わった。
「っ!?」
『....その名をどこで知った』
「そ、その、私の友達がベリアルの力を引き継いだって言って....」
『....奴の力を引き継いだ、か。面白い事を言う人間だな』
ザムシャーさんはどこか笑った様な表情を浮かべてそう言った。
『それで、そのベリアルの力を引き継いだって言う人間はお前の想い人か?』
「....へっ!?」///
私は突然の言葉に変な声が出た。
『お前から見えるオーラ、先程話していた時とは違い美しいオーラをしているぞ。
その人間は、お前にとって大切な人間なのだな』
「う、うぅ....」///
私はザムシャーさんの言葉を否定できず、顔を真っ赤にするしかできなかった。
『恥じることはない。大切な人間がいるというのは、時に大きな力に変わる。とある男からの
受け売りだがな....』
ザムシャーさんは誰かを思い出す様な表情をしてそう言ってきた。
『だが....』
ザムシャーさんは真剣な表情で私を見てきた。
『今のお前では、仮に大きな力になったとしてもべリアルの力を受け継いだ人間にとっては
あまりにも小さなものだ。それぐらい、今のお前は弱い』
「っ....それは....」
ザムシャーさんの真剣な言葉に、私は何も言い返せなかった。
『それに、今のお前ではこの場所にいる怪物どもにも勝てない。我なら簡単に倒せるが、
ずっと一緒に居られるほど我も暇ではない』
「....」
『我がお前に提案できるのは二つだ。ここでその人間が助けに来てくれるのを待つか、
我の修行を受けてここから這い上がるか』
「修行....?」
『運が良いことにお前は剣士だろう。剣だけの指導なら我はできる。ただし、命をかけての
修行だがな』
「命を....」
『それほどの覚悟がなければ、その人間には近づけんという事だ。それに、力を受け継いだ時に
その人間もそれほどの覚悟はあっただろう』
「っ....!」
そう言われ、私は再会した時に帝君に言われた事を思い出した。
「(帝君、覚悟を決めたら連れて行ってくれるって言ったわよね....なら、今がその時なんじゃ....)」
私は自分の手を見た。
「(強くならないと何も守れない....このままだと、何もできずに死んで後悔をするだけね....
だったら....)」
私は身体を起こしてザムシャーさんに頭を下げた。
『決めたのか?』
「はい。....お願いします、私に修行をつけてください」
『....良いだろう。ならば我の全力を持って修行をつけてやる。一切の弱音は聞かんぞ』
「はい....!」
こうして、私は一時的にザムシャーさんの弟子になった。