不良と皇帝陛下   作:アイリエッタ・ゼロス

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俺とオレ

 扉の前に戻ってきて少しすると、六体の怪獣達が俺の元に戻ってきた。

 怪獣達の手には俺と同じ形の宝玉を持っていた。そしてその宝玉を地面に置くと、

 怪獣達はメダルとなって俺の手元に戻ってきた。

 

「お疲れさん」

 俺はメダルに向かってそう言うと、ホルダーに入れて地面に置かれた宝玉を拾って

 扉の窪みに嵌めた。すると、扉は勝手に開いていった。

 

『さて、ミレディの迷宮のことを考えたらそろそろゴールが見えそうだがな』

「あぁ。だが、もう一つぐらい何かありそうだがな」

 そう話しながら、俺は扉の向こうに進んでいった。

 

 ~~~~

 十五分後

 

『見たところ、コイツが最後っぽいな』

「あぁ」

 道を進み続け、時折現れた氷のゴーレムを潰した俺達は謎の光の門の前にいた。

 

『....この先、何かいるな』

「何か?」

『あぁ。どうも変な気配だが....』

「....そうか。まぁ、ここまで来たんだ。何がいようと進むだけだ」

『そいつはそうだ』

 そう言って、俺は謎の光の門に足を踏み入れた。

 

 光の門の先はミラーハウスのようなもので、四方八方に俺の姿が映っていた。

 

「道はそこの一本だけか....」

『みたいだな。それに、変な気配を感じるのはその先だ』

「わかった」

 俺はそう言って、警戒しながら一本道を進んだ。すると、俺達は謎の氷柱がある部屋に着いた。

 

「....ベリアル」

『あぁ。そこにいる奴、隠れてないで出て来い』

 部屋に入った瞬間、謎の気配を感じた俺はベリアライザーを手に握りベリアルにそう言った。

 すると、ベリアルは部屋全体に聞こえるぐらいの声でそう言った。

 

『....気づかれたか。まぁ、それもそうか』

 すると、氷柱からそのような声が聞こえてきた。そして、氷柱から俺が現れた。

 

「っ! お前、何者だ」

『オレはお前だ、月無 帝。正確に言えば、お前が目を逸らしている部分が形になったと

 言うべきだな』

『なるほど....変な気配の正体はお前か』

『その通りだ』

 そう言いながら、偽物のオレは氷柱の近くに座った。

 

『さて、本来なら迷宮のルール通りオレはお前と戦わなければいけないんだが....わざわざ

 負ける戦いに挑むほどオレは馬鹿じゃない』

「....なら、大人しく通してくれるのか?」

『そうしたいが、それじゃあつまらない。だからまぁ、お前には一つ質問に答えてもらいたい』

「質問だと?」

『あぁ。お前が、唯一目を逸らしていることにな』

 そう言って、オレは俺に向かってこう言ってきた。

 

『お前、雫のこと好きだろ?』

「っ....!」

『お前は過去を受け入れ、己の負の部分を認めて未来に進んでいる。だが、何故かお前は

 その事についてだけはずっと目を逸らしている。何故だ?』

「....答えなくても、お前はわかってるだろ?」

『あぁ。だが、オレはお前の口から聞きたいんだよ』

「....嫌な奴だ」チッ

『そう言うが、オレはお前だぜ?』

 笑いながらそう言ってきたオレに対して、俺は舌打ちをした。そして....

 

「八重樫が俺のことを好いてくれているのはわかっている。それに、俺だって八重樫のことは

 一人の女として好きだ。だが、人を殺した俺が八重樫の隣にいていいのか?」

『....』

「俺が人を殺した事を八重樫は知らない。だから今はこうして接してくれているが、もし

 この事を八重樫が知ったらどうだ? きっと八重樫は俺から離れていくだろ。だからずっと

 目を逸らしているんだよ。そうすれば、俺のことが八重樫にはバレずに済むからな....」

『....随分と弱気なこって。そんな俺に、一つだけアドバイスをしてやるよ』

 そう言って、オレは真剣な表情でこう言ってきた。

 

『雫の事、あんまり舐めるんじゃねぇぞ。アイツは、ああ見えて誰よりも強い女だ。それに、

 それを知ったところでアイツが離れていくかはわからねぇだろ。最初から諦めんな』

「....勝手なことを言ってくれる」

『それがオレだからな。....ま、ここから先を決めるのはお前だ』

 そう言うと、オレの姿はどんどん透明になっていった。

 

『精々後悔すんなよ俺。お前の決断、楽しみにさせてもらうぜ』

 その言葉を最後に、オレは姿を消した。すると、部屋にあった氷柱が割れ扉が現れた。

 

「....」

『ミカド』

「....あぁ」

 俺はオレ自身に言われた言葉を考えながらも扉の方に歩を進めた。

 

 

 

 

 

 

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